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【発明の名称】 |
水海底浄化装置及び水海底浄化方法 |
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【氏名】中村 宏 【氏名】河口 真紀 【氏名】佐藤 道祐 |
【課題】湖沼、河川、運河、港湾、海岸などの水海域の汚染源になっている底泥は有害無用な邪魔者であるが、これを有用な資材にしたい。
【解決手段】水海域の底泥を浚渫する浚渫装置と、該浚渫装置によって引き上げられた泥を過熱水蒸気によって加熱処理して無機化砂に変える加熱処理装置と、該加熱処理装置によって得られた無機化砂を該水海域の底に覆砂する覆砂装置とを備えた水海底浄化装置により、湖沼、河川、運河、港湾、海岸などの水海域の底泥を高温の過熱水蒸気で加熱処理して無機化砂とし、この無機化砂を水海域の底の覆砂とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水海域の底泥を浚渫する浚渫装置と、該浚渫装置によって引き上げられた泥を過熱水蒸気に曝して該泥を無機化砂に変える加熱処理装置と、該加熱処理装置によって得られた無機化砂を該水海域の底に撒く覆砂装置とを備えたことを特徴とする水海底浄化装置。 【請求項2】 前記浚渫装置と、前記加熱処理装置と、前記覆砂装置が浮遊体に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の水海底浄化装置。 【請求項3】 水海域の底泥を浚渫し、この浚渫によって引き上げられた泥を過熱水蒸気に曝して該泥を無機化砂に変え、該無機化砂を該水海域の底に撒いて該水海域を覆砂することを特徴とする水海底浄化方法。 【請求項4】 前記無機化砂を前記浚渫した場所に戻すことを特徴とする請求項3に記載の水海底浄化方法。 【請求項5】 前記過熱水蒸気の温度が350〜600℃であることを特徴とする請求項3又は4に記載の水海底浄化方法。 【請求項6】 前記泥と前記過熱水蒸気との接触時間が5〜30分であることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の水海底浄化方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、水海域の底泥から覆砂を製造し、これを元の場所に戻して覆砂する水海底浄化装置及び水海底浄化方法に関するものである。 【背景技術】 【0002】 湖沼、河川、運河、港湾、海岸などの水海域、特に、水の出入りの少ない水海域においては、水質の富栄養化が著しく、水中の溶存酸素が著しく低下し、死滅した藻類その他の汚濁有機物が水底にヘドロ等となって大量に堆積し、そのヘドロ等が酸欠状態で分解し、悪臭や有害物質を発生させたり、水性生物を斃死させたり、養殖魚の歩留を低下させている。 【0003】 そこで、従来は、このような状況を改善するため、水底のヘドロ等を浚渫するか、水底のヘドロ等の上にきれいな砂を被せて覆砂する対策が取られていた。 【0004】 しかし、水底のヘドロ等を浚渫した場合、浚渫されたヘドロ等を脱水・乾燥させたり、このヘドロ等をどこかに捨てなければならないが、ヘドロ等を脱水・乾燥させるには場所、費用、時間等がかかるし、ヘドロ等を捨てるには捨て場の確保という困難な問題が有る。 【0005】 また、覆砂をする場合は、そのための良質な砂を入手しなければならない。しかし、良質な砂の入手は、砂資源の枯渇という問題の他に、砂採取場の環境を破壊するという問題もあって、近年非常に困難である。 【0006】 また、覆砂をしてもその下にはヘドロ等が存在しており、これが無酸素状態で分解し、ここから水中に有害物や悪臭が長期に亘って漏出して来る可能性があり、覆砂が抜本的な解決になっていないという問題がある。 【0007】 また、覆砂には、ヘドロ等の上に更に砂を積層させるので、水底が浅くなり、湖沼の調節池としての貯水容量が減少したり、船の航行に支障をきたしたり、水界の生態環境を破壊するなどの問題を生じる場合もある。 【特許文献1】特開平05−005304号公報 【特許文献2】特開平06−081362号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 解決しようとする課題は、湖沼、河川、運河、港湾、海岸などの水海域の汚染源になっている底泥を有害で役に立たない邪魔者としてしか扱えなかった問題点を解決することである。 【課題を解決するための手段】 【0009】 本発明は、湖沼、河川、運河、港湾、海岸などの水海域の底泥を高温の過熱水蒸気で加熱処理して無機化砂とし、この無機化砂を環境浄化の資源とすることを最も主要な特徴とする。 【0010】 すなわち、本発明に係る水海底浄化装置は、水海域の底泥を浚渫する浚渫装置と、該浚渫装置によって引き上げられた泥を過熱水蒸気に曝して該泥を無機化砂に変える加熱処理装置と、該加熱処理装置によって得られた無機化砂を該水海域の底に撒く覆砂装置とを備えたことを特徴とするものである。 【0011】 ここで、前記浚渫装置と、前記加熱処理装置と、前記覆砂装置は作業船等の浮遊体に設置されていてもよい。なお、無機化砂とは高温の過熱水蒸気により底泥中から水分や油分を除去し、また有機物や有害な化合物を分解・除去した後に残る無機成分を主体とした砂状、顆粒状、フレーク状又は小塊状のものをいう。 【0012】 また、この発明に係る水海底浄化方法は、水海域の底泥を浚渫し、この浚渫によって引き上げられた泥を過熱水蒸気に曝して該泥を無機化砂に変え、該無機化砂を該水海域の底に撒いて該水海域を覆砂することを特徴とするものである。 【0013】 ここで、前記無機化砂は適宜撒いて覆砂に使用しても良いし、前記浚渫した元の場所に戻しても良い。無機化砂を元の位置に還元する際に、複数の地域間で、無機化砂を作成し、交換的に元の位置に戻すようにしてもよい。 【0014】 また、前記過熱水蒸気の温度と接触時間は処理の対象となる泥の性状や汚染の程度を考慮して、適宜決定する。加熱処理の対象が運河の泥の場合、過熱水蒸気の温度は350〜600℃、過熱水蒸気との接触時間は5〜30分が好ましい。 【発明の効果】 【0015】 この発明は、覆砂する現場で入手できる泥を材料として覆砂を製造し、覆砂をするので、砂の輸送コストがかからず、また、砂の採取場所の環境破壊や、砂輸送による他の交通手段への障害等といった迷惑をかけなくて済むという効果がある。 【0016】 また、この発明は、湖沼、河川、港湾、運河、海岸などの水海域の底泥を過熱水蒸気で急激に加熱処理するので、表面積が多く、含まれている有機物が炭化して形成された活性炭様の物質を含む水質浄化能力の高い無機化砂を得ることができ、従って、この無機化砂を水海域に撒いて覆砂すれば、その水海域の水質の浄化が進むという効果がある。 【0017】 また、この発明は、過熱水蒸気で処理され、有害物が分解・除去された状態の無機化砂で覆砂するので、覆砂から有害物が漏出するおそれはなく、その水海域が覆砂で二次汚染されるおそれがないという効果がある。 【0018】 また、この発明は、覆砂の材料を覆砂する場所で調達するので、覆砂によって水底が浅くなるという問題も発生しないという効果がある。 【0019】 また、この発明は、底泥を過熱水蒸気で加熱処理し、留出成分を含む水蒸気を冷却して全て回収するか、また、留出成分を過熱器で800℃以上で熱処理するので、大気汚染や異臭の発生が少ないという効果がある。 【発明を実施するための最良の形態】 【0020】 湖沼、河川、運河、港湾、海岸などの水海域の底泥の浄化という目的を、他から資材を調達することなくその現場だけで実現した。 【実施例1】 【0021】 図1はこの発明の一実施例に係る水海底浄化装置の説明図である。同図において、10は作業船であり、作業船10には水海域の底泥を浚渫する浚渫装置12と、浚渫装置12によって得られた泥を過熱水蒸気によって加熱処理して無機化砂に変える加熱処理装置14と、加熱処理装置14によって得られた無機化砂を水海域の底に覆砂する覆砂装置16とが設置されている。 【0022】 浚渫装置12は、図1の場合のように、水底の泥を船上にポンプで吸い上げるポンプ式のものを使用することができるが、パワーショベル式のものを使用して水底の泥を船上に引き上げるようにしても良い。 【0023】 加熱処理装置14は、図2に示すように、過熱水蒸気が吹き込まれる密閉された噴射炉18と、噴射炉18の上方に設けられた泥貯留装置20と、噴射炉18の下方に設けられた排出ダクト22とを備えている。 【0024】 噴射炉18には過熱水蒸気供給管24を介して過熱水蒸気発生装置が接続されている。過熱水蒸気発生装置は、水タンク26の水を水蒸気に変えるボイラー28と、ボイラー28から発生した水蒸気を過熱水蒸気に変える過熱器30からなる 【0025】 泥貯留装置20と噴射炉18の間には泥貯留装置20の泥を噴射炉18に連続的に供給する連続供給装置32が設けられ、噴射炉18と排出ダクト22の間には噴射炉18の無機化砂を排出ダクト22側に連続的に排出させる連続排出装置34が設けられている。 【0026】 水海底の浄化は、この水海底浄化装置を使用し、図3に示すような工程に従って行う。すなわち、まず、浚渫装置12を使って水海域の底泥を浚渫する。この浚渫によって覆砂の原料となる泥が得られる。浚渫する堆積底泥の区画割合や量は、該堆積底泥全体の有機物汚染度により合目的的に決める。なお、堆積底泥の有機物汚染度が低い場合は、該堆積底泥の一部を浚渫し、本発明により無機化砂として覆砂しても良い。 【0027】 次に、浚渫された泥を加熱処理装置14に入れ、過熱水蒸気によって加熱処理する。泥に含まれていた油分その他の揮発性の成分は過熱水蒸気とともに泥から留出し、有機物は炭化し、PCBやダイオキシン等の有害な物質は過熱水蒸気によって分解・無害化する。泥はこの処理によって水分を失い、フレーク状又は粒状の砂になる。 【0028】 次に、フレーク状又は粒状の砂は覆砂装置16によって水海域の原位置(その泥を浚渫した元の位置)に所定の厚さで面状に撒布する。 【0029】 次に、本発明の具体的な実験例について更に詳細に説明する。まず、汽水域運河の底の泥(原泥)を採取し、図2に示す構成の過熱水蒸気処理試験装置を用い、蒸気発生量20L/時間で、この泥2kgを500℃の過熱水蒸気に10分間曝した。泥は過熱水蒸気によってフレーク状の砂(無機化砂)になった。 【0030】 次に、原泥と無機化砂の強熱減量(g/100g)、有機炭素(g/100g)、窒素含有量(mg/g/dry)、リン含有量(mg/g/dry)、硫化物(mg/g/dry)、化学的酸素要求量(COD)(mg/g/dry)、油分(g/100g)を分析したところ、表1の通りであった。 【0031】 分析方法は、有機炭素はJISSM8819に、強熱減量、窒素含有量、リン含有量、硫化物含有量、化学的酸素要求量にあっては「底質調査方法とその解説」(環境庁水質保全局水質管理課編、(社)日本環境測定分析協会発行、平成5年8月改訂版4刷)に、油分にあっては「下水試験方法上巻1997年版」(建設省都市局下水道部・厚生省生活衛生局水道環境部監修、(社)日本下水道協会発行、平成9年9月第2刷)に準拠した。 【0032】 【表1】
【0033】 この分析の結果から、無機化砂は原泥と比較して、硫化物の91.5%およびCODの97%が除去され、油分は検出限界以下になるなど、著しい浄化がなされていることがわかった。 【0034】 COD値の著しい低下は、過熱水蒸気処理によって汚泥が引き起こす水環境へのインパクトを低減することを示唆していると考えられる。そこで、原泥と過熱水蒸気処理泥の酸素消費へのインパクトを経時的に追うために、大倉電気株式会社製(タイプOM3100A)クーロメータ(自動記録式好気性微生物呼吸計)を用いてBOD量を調べた。調査では、SS(懸濁物質量)を1000mg/Lとし、対象汽水域運河の比重などに合わせて海水の2倍希釈水(pH:8.0、EC:20.2mS/cm)を液体として使用した。図4に原泥と過熱水蒸気処理泥のBOD経時変化を示す。 【0035】 これによると、原泥のBOD値は790時間までほぼ一定の酸素消費速度で増加し、最終的に37mg/Lでプラトーに達した。一方、過熱水蒸気処理泥は、酸素消費速度は小さく、400時間で、5mg/Lのプラトーに達した。 【0036】 先に示した表1のCOD値の結果と合わせ、過熱水蒸気処理泥の、環境水への酸素消費に与えるインパクトは著しく低下するものと思われる。 【0037】 生物環境にとって、水質の溶存酸素の状況は重要である。当然溶存酸素が低下すれば水性生物の成育は難しくなり、また貧酸素条件下では生物にとって有毒な硫化水素やメタンの発生が考えられる。このため、有機物を多く含む汚泥の酸素消費に与えるインパクトが底質にとっても水質にとっても重要な問題になる。 【0038】 以上のように、過熱水蒸気を施していない原泥と比較して、過熱水蒸気処理を施した泥のBODが著しく低下することから、過熱水蒸気処理を用いた本処理方法が、油分や硫化物の削減以上に生物環境へのインパクトを大幅に軽減させるものと考えられる。 【図面の簡単な説明】 【0039】 【図1】この発明の一実施例に係る水海底浄化装置の説明図である。 【図2】過熱水蒸気を用いた加熱処理装置の説明図である。 【図3】この発明の一実施例に係る水海底浄化方法の工程図である。 【図4】BODの経時変化を示すグラフである。 【符号の説明】 【0040】 10 作業船 12 浚渫装置 14 加熱処理装置 16 覆砂装置 18 噴射炉 20 泥貯留装置 22 排出ダクト 24 過熱水蒸気供給管 26 水タンク 28 ボイラー 30 過熱器 32 連続供給装置 34 連続排出装置
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| 【出願人】 |
【識別番号】504196300 【氏名又は名称】国立大学法人東京海洋大学 【識別番号】000222668 【氏名又は名称】東洋建設株式会社
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| 【出願日】 |
平成17年8月9日(2005.8.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100090402 【弁理士】 【氏名又は名称】窪田 法明
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| 【公開番号】 |
特開2007−44608(P2007−44608A) |
| 【公開日】 |
平成19年2月22日(2007.2.22) |
| 【出願番号】 |
特願2005−230650(P2005−230650) |
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