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【発明の名称】 |
土壌硬化材用の酸化マグネシウム粉末 |
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【氏名】新松 智 【氏名】阿野 憲一 【氏名】伊藤 博美 |
【課題】実用上扱いやすい速度で、土壌硬化が発現する酸化マグネシウム粉末を提供する。
【解決手段】平均ペリクレース結晶子径が10〜50nmの範囲にあり、BET比表面積が5〜20m2/gの範囲にあり、平均粒子径が1〜5μmの範囲にあって、粒子径が10μmを超える粒子の割合が10体積%を超えることがなく、そして見かけ密度が0.3〜0.8g/cm3の範囲にある酸化マグネシウム粉末。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 平均ペリクレース結晶子径が10〜50nmの範囲にあり、BET比表面積が5〜20m2/gの範囲にあり、平均粒子径が1〜5μmの範囲にあって、粒子径が10μmを超える粒子の割合が10体積%を超えることがなく、そして見かけ密度が0.3〜0.8g/cm3の範囲にある土壌硬化材用の酸化マグネシウム粉末。 【請求項2】 硫酸根を0.5〜2.5質量%の範囲の量にて含む請求項1に記載の酸化マグネシウム粉末。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、土壌硬化材用の酸化マグネシウム粉末に関する。 【背景技術】 【0002】 酸化マグネシウム粉末は、軟弱土壌の硬化材として用いられることがある。酸化マグネシウム粉末は、土壌硬化材として同じく用いられる酸化カルシウムと比べて低アルカリであることから、環境への負荷が少ないなどの利点がある。土壌硬化材用の酸化マグネシウム粉末には、一般に軽焼酸化マグネシウム粉末が用いられる。 【0003】 特許文献1には、軽焼酸化マグネシウム粉末と、リン酸塩、硫酸塩、炭酸塩、有機酸のいずれか一種以上とからなる土壌固化材が開示されている。この特許文献1の実施例では、軽焼酸化マグネシウム粉末として全て市販試薬の軽焼酸化マグネシウム粉末が用いられている。 【0004】 特許文献2には、軽焼酸化マグネシウム粉末と、石膏、ポルトランドセメント及び高炉スラグから選ばれる一種以上、水溶態リン酸肥料又は活性汚泥焼却灰、又は吸着焼成メタリン酸、及びオキシカルボン酸塩又はケトカルボン酸塩からなる土壌固化材が開示されている。この特許文献2の実施例では、軽焼酸化マグネシウム粉末として全て中国産軽焼酸化マグネシウム粉末が用いられている。 【特許文献1】特開2003−193462号公報 【特許文献2】特許第3511287号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 上記のように、酸化マグネシウム粉末は軟弱土壌の硬化材として有用な材料であるが、従来の土壌硬化材に用いられている酸化マグネシウム粉末は反応性が低いため、これを軟弱土壌に添加しても土壌の硬化が発現するのが遅いという問題がある。このため、土壌硬化の発現が速い酸化マグネシウム粉末が望まれている。但し、酸化マグネシウム粉末の反応性が高くなりすぎて、酸化マグネシウム粉末の土壌への添加と同時に急激に硬化が始まると、軟弱土壌と酸化マグネシウム粉末とを均一に混合するのが難しくなるという実用上の問題が発生する。 従って、本発明の目的は、実用上扱いやすい速度で、土壌硬化が発現する酸化マグネシウム粉末を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明は、平均ペリクレース結晶子径が10〜50nmの範囲にあり、BET比表面積が5〜20m2/gの範囲にあり、平均粒子径が1〜5μmの範囲にあって、粒子径が10μmを超える粒子の割合が10体積%を超えることがなく、そして見かけ密度が0.3〜0.8g/cm3の範囲にある土壌硬化材用の酸化マグネシウム粉末にある。本発明の酸化マグネシウム粉末は、硫酸根を0.5〜2.5質量%の範囲の量にて含んでいてもよい。 【発明の効果】 【0007】 本発明の土壌硬化材用酸化マグネシウム粉末を用いることによって、従来の土壌硬化材用酸化マグネシウム粉末を用いる場合と比べて、軟弱土壌を適度な速さで硬化させることが可能となる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0008】 本発明の土壌硬化材用酸化マグネシウム粉末は、平均ペリクレース結晶子径が10〜50nmの範囲にあり、BET比表面積が5〜20m2/gの範囲にあり、平均粒子径が1〜5μmの範囲にあって、粒子径が10μmを超える粒子の割合が10体積%を超えることがなく、そして見かけ密度が0.3〜0.8g/cm3の範囲にある。 【0009】 平均ペリクレース結晶子径は、10〜50nmの範囲、好ましくは20〜40nmの範囲である。平均ペリクレース結晶子径は、酸化マグネシウム粒子を形成する結晶子の平均径である。平均ペリクレース結晶子径は、酸化マグネシウム粉末の反応性を表す指標の一つとなる。平均ペリクレース結晶子径が上記の範囲よりも小さいと、反応性が高くなりすぎることになる。一方、平均ペリクレース結晶子径が上記の範囲よりも大きいと、土壌硬化の発現が遅くなる。 【0010】 BET比表面積は、5〜20m2/gの範囲、好ましくは10〜20m2/gの範囲である。BET比表面積は、酸化マグネシウム粉末の反応性を表す指標の一つとなる。BET比表面積が上記の範囲よりも小さいと、土壌硬化の発現が遅くなる。一方、BET比表面積が上記の範囲よりも大きいと、反応性が高くなりすぎることになる。 【0011】 平均粒子径は、1〜5μmの範囲である。平均粒子径は、酸化マグネシウム粉末の分散性やハンドリング性を表す指標の一つとなる。平均粒子径が上記の範囲よりも大きいと、土壌が軟弱な場合に均一に分散させることが難しくなる。一方、平均粒子径が上記の範囲よりも小さいと、粉末のハンドリング性が低下する。 【0012】 粒子径が10μmを超える粒子の割合は、10体積%未満である。酸化マグネシウム粉末の分散性を表す指標の一つとなる。粒子径が10μmを超える粒子の割合が10体積%を超えると、土壌が軟弱な場合に均一に分散させることが難しくなる。 【0013】 見かけ密度は、0.3〜0.8g/cm3の範囲、好ましくは0.5〜0.8g/cm3の範囲である。見かけ密度は、酸化マグネシウム粉末の分散性やハンドリング性を表す指標の一つとなる。見かけ密度が上記の範囲よりも小さいと、粉末のハンドリング性が低下する。一方、見かけ密度が上記の範囲よりも大きいと、土壌が軟弱である場合に均一に分散させることが難しくなる。 【0014】 本発明の土壌硬化材用酸化マグネシウム粉末は、海水に水酸化カルシウムなどのアルカリを加えて生成させた水酸化マグネシウム粒子を、650〜900℃の温度、好ましくは680〜900℃の温度にて焼成することによって製造することができる。海水から得られる水酸化マグネシウム粒子には、海水中の硫酸根が取り込まれるため、この水酸化マグネシウム粒子を上記の温度範囲にて焼成して得られる酸化マグネシウム粉末には、通常は硫酸根が0.5〜2.5質量%の範囲の量にて含まれる。焼成時間は、焼成温度や水酸化マグネシウム粒子サイズなどの要因によって異なるが、一般に10〜120分間である。 【0015】 本発明の土壌硬化材用酸化マグネシウム粉末は、リン酸塩(例、過リン酸石灰)、硫酸塩(例、石膏)、有機酸塩(例、クエン酸ナトリウム)などの土壌硬化材として用いられている公知の材料と混合して用いることができる。リン酸塩の混合割合は、酸化マグネシウム粉末100質量部に対して1〜100質量部の範囲であることが好ましい。硫酸塩の混合割合は、酸化マグネシウム粉末100質量部に対して1〜100質量部の範囲であることが好ましい。有機酸塩の混合割合は、酸化マグネシウム粉末100質量部に対して0.01〜20質量部の範囲であることが好ましい。 【0016】 本発明の酸化マグネシウム粉末は、従来の土壌硬化材用の軽焼酸化マグネシウム粉末と混合して用いてもよい。この場合、本発明の酸化マグネシウム粉末の配合割合は、酸化マグネシウム粉末全体の40質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましい。 【0017】 本発明の土壌硬化材用酸化マグネシウム粉末は、硬化対象の軟弱土壌に粉末の状態で添加してもよいし、水に分散させた懸濁液の状態で添加してもよい。硬化対象の土壌への酸化マグネシウム粉末の添加量は、土壌の固形分に対して1〜30質量%となる量、好ましくは5〜20質量%となる量である。 【実施例】 【0018】 実施例及び比較例にて用いた酸化マグネシウム粉末について、平均ペリクレース結晶子径、BET比表面積、平均粒子径、粒子径が10μmを超える粒子の割合、見かけ密度、純度及び硫酸根量を測定した。平均ペリクレース結晶子径、平均粒子径、粒子径が10μmを超える粒子の割合及び見かけ密度は、下記の方法により測定した。 【0019】 [平均ペリクレース結晶子径] X線回折装置を用いて、管電圧40kV、管電流20mAの条件で酸化マグネシウム粉末ペリクレース結晶子の(200)面のX線回折パターンを測定して、平均ペリクレース結晶子径を求める。標準試料にはシリコンを使用する。 【0020】 [平均粒子径、粒子径が10μmを超える粒子の割合] 酸化マグネシウム粉末をイオン交換水に投入し、超音波分散処理を30秒間行なった後、レーザ回折式粒度分布測定装置(SKレーザーLMS−30、(株)セイシン企業製)を用いて粒度分布を測定して、平均粒子径、及び粒子径が10μmを超える粒子の割合を求める。 【0021】 [見かけ密度] 容量50cm3メスシリンダーに、酸化マグネシウム粉末を、メスシリンダーの50cm3の標線まで少しずつゆっくり投入した後、メスシリンダー内の酸化マグネシウム粉末の質量を秤量して、下記の式により見かけ密度を算出する。 見かけ密度(g/cm3)=酸化マグネシウム粉末の質量(g)/50(cm3) 【0022】 [実施例1] 海水に、15質量%濃度の水酸化カルシウム懸濁液を、海水中のマグネシウム量に対するカルシウム量としてモル比で0.9となるように添加して、水酸化マグネシウム粒子を生成させ、水酸化マグネシウム懸濁液を得た。得られた水酸化マグネシウム懸濁液を固形分濃度が35質量%となるように濃縮した。濃縮した水酸化マグネシウム懸濁液を工業用水にて洗浄した後、ろ過、乾燥して水酸化マグネシウム粉末を得た。得られた水酸化マグネシウム粉末の平均粒子径は3.3μmであった。この水酸化マグネシウム粉末をロータリー型キルン焼成炉にて700℃の温度で30分間焼成して、酸化マグネシウム粉末を得た。 得られた酸化マグネシウム粉末は、ペリクレース結晶子が31nm、BET比表面積が15.8m2/g、平均粒子径が3.3μm、粒子径が10μmを超える粒子の割合が7体積%、見かけ密度が0.66g/cm3であり、純度が95.88質量%、硫酸根の含有量が1.82質量%であった。 【0023】 上記のようにして得た酸化マグネシウム粉末100質量部に対して、過リン酸石灰30質量部、無水石膏5質量部、そしてクエン酸ナトリウム0.1質量部を加えて、ヘンシェルミキサーにて5分間混合して粉末組成物を製造した。 【0024】 得られた粉末組成物100gを正確に量り取り、コニカルビーカに入れた。次いで、粉末組成物が均質に湿潤するまで水を加えて湿潤混合物を得た(湿潤混合物の調製に必要な水の量は65gであった)。得られた湿潤混合物の上方10cmの高さから、1分毎に重さ5gのステンレス製針を自然落下させ、湿潤混合物にステンレス製針を突き刺して、湿潤混合物の凝結の進行を調べた。湿潤混合物の調製後、湿潤混合物に突き刺したステンレス製針の侵入深さが湿潤混合物の厚さの50%に相当する深さになるまでの時間(凝結始発時間)は、20分であった。さらに、湿潤混合物の調製後、湿潤混合物に突き刺したステンレス製針の侵入深さが湿潤混合物の厚さの5%に相当する深さになるまでの時間(凝結終結時間)は27分であった。 【0025】 [比較例1] 酸化マグネシウム粉末として、ペリクレース結晶子が22nm、BET比表面積が31.0m2/g、平均粒子径が3.6μm、粒子径が10μmを超える粒子の割合が1.9体積%、見かけ密度が0.11g/cm3であり、純度98.86質量%、硫酸根の含有量0.39質量%の酸化マグネシウム粉末(関東化学(株)製、試薬1級品)を用いた以外は、実施例1と同様にして、粉末組成物を製造した。 【0026】 得られた粉末組成物100gを正確に量り取り、コニカルビーカに入れた。次いで、次いで、粉末組成物が均質に湿潤するまで水を加えて湿潤混合物を得た(湿潤混合物の調製に必要な水の量は250gであった)。得られた湿潤混合物に実施例1と同様にしてステンレス製針を突き刺して、湿潤混合物の凝結の進行を調べた。その結果、凝結始発時間は230分であった。しかし、湿潤混合物の調製後、720分経過しても、湿潤混合物に突き刺したステンレス製針の侵入深さは、湿潤混合物の厚さの5%に相当する深さにはならなかった。すなわち、市販試薬の酸化マグネシウム粉末を用いた粉末組成物は、本発明に従う酸化マグネシウム粉末を用いた粉末組成物(実施例1)と比べて凝結が起こりにくいことが確認された。 【0027】 [比較例2] 酸化マグネシウム粉末として、ペリクレース結晶子が58nm、BET比表面積が12.9m2/g、平均粒子径が15.8μm、粒子径が10μmを超える粒子の割合が67体積%、見かけ密度が0.68g/cm3であり、純度96.94質量%、硫酸根の含有量0.03質量%の酸化マグネシウム粉末(中国産軽焼酸化マグネシウム粉末)を用いた以外は、実施例1と同様にして、粉末組成物を製造した。 【0028】 得られた粉末組成物100gを正確に量り取り、コニカルビーカに入れた。次いで、粉末組成物が均質に湿潤するまで水を加えて湿潤混合物を調製した(湿潤混合物の調製に必要な水の量は65gであった)。得られた湿潤混合物に実施例1と同様にしてにステンレス製針を突き刺して、湿潤混合物の凝結の進行を調べた。その結果、湿潤混合物の調製後720分経過しても、湿潤混合物に突き刺したステンレス製針の侵入深さは、湿潤混合物の厚さの50%に相当する深さにはならなかった。すなわち、中国産軽焼酸化マグネシウム粉末を用いた粉末組成物は、本発明に従う酸化マグネシウム粉末を用いた粉末組成物(実施例1)と比べて凝結が起こりにくいことが確認された。 【0029】 [実施例2] 標準砂(豊浦砂)に前記実施例1にて製造した粉末組成物と水とを、粉末組成物が標準砂(豊浦砂)に対して9質量%となる量、水が全体量に対する含水率として9質量%となる量にて加え、ソイルミキサーにて5分間混合した。 得られた混合物を、内径100mm、高さ127mmの円柱状容器に充填し、次いで、円柱状容器内の混合物に高さ30cmの位置から2.5kgの分銅を25回繰り返し落として、混合物を円柱状に加圧成形した。円柱状混合物を容器から抜き出して、防湿フィルムで被覆して、温度25℃、相対湿度95%RH以上に調節した恒温高湿槽内で28日間養生させた。 28日養生後の円柱状混合物の圧縮強度を、JIS−A−1216「土の一軸圧縮試験方法」に準拠した方法により測定したところ、3900kN/m2であった。 【0030】 [比較例3] 粉末組成物に前記比較例2にて製造した粉末組成物を用いる以外は実施例2と同様にして、円柱状混合物を作成し、この円柱状混合物の28日養生後の圧縮強度を測定した。その結果、圧縮強度は1500kN/m2であり、実施例2で得られた圧縮強度の1/2以下であった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000119988 【氏名又は名称】宇部マテリアルズ株式会社
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| 【出願日】 |
平成17年9月20日(2005.9.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100074675 【弁理士】 【氏名又は名称】柳川 泰男
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| 【公開番号】 |
特開2007−84360(P2007−84360A) |
| 【公開日】 |
平成19年4月5日(2007.4.5) |
| 【出願番号】 |
特願2005−272597(P2005−272597) |
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