| 【発明の名称】 |
吊り治具および竪管施工方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】黒鳥 幸一
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| 【要約】 |
【課題】最下層階から配管を一本ずつ最上部まで吊り上げ、その地点で固定することにより配管を上から下へと連結できるようにした吊り冶具及び竪管施工方法を提供する。
【解決手段】上方に配置された牽引手段に連結するための連結具11と、管底部に係止するフック手段13と、前記管材の内部を通る本体軸50と、管材の少なくとも上端部を前記本体軸と同軸に保持する振れ止め手段12とを具える吊り冶具とし、振れ止め手段は好ましくは前記管材の上端部に概略円錐形または角錐形をなす輪郭を具える。この吊り治具を用いて1番目の管材を吊り上げて前記竪管の最上部で固定し、2番目の管材を吊り上げて前記1番目の配管の下端部に接合させ、前記1番目の管材の下端部に2番目の管材の上端部を連結することを繰り返し、建物スリーブ内に竪管を構築する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 管材を吊り上げるために用いる吊り治具であって、上方に配置された牽引手段に連結するための連結具(11)と、管底部に係止するフック手段(13)と、前記管材の内部を通る本体軸(50)とを具えることを特徴とする吊り治具。 【請求項2】 請求項1に記載の吊り治具において、前記管材の少なくとも上端部を前記本体軸と同軸に保持する振れ止め手段(12)を具えることを特徴とする吊り治具。 【請求項3】 請求項2に記載の吊り治具において、前記振れ止め手段は、前記管材の上端部に概略円錐形または角錐形をなす輪郭を具えることを特徴とする吊り治具。 【請求項4】 請求項2または3に記載の吊り治具において、前記振れ止め手段(12)は、前記本体軸が貫通する筒状本体を具えるスライド部材(31)と、当該スライド部材に回動可能に連結され長さの等しい複数の梁部材(33)と、各梁部材の端部に設けられ前記管材の上端部に連結される保持具(32)とを具えるとともに、前記梁部材が前記管材の半径より長いことを特徴とする吊り治具。 【請求項5】 請求項4に記載の吊り治具において、前記振れ止め手段(12)がさらに、前記本体軸(50)上でスライド部材(31)の位置を固定する固定部材(34)を具えることを特徴とする吊り治具。 【請求項6】 請求項4または5に記載の吊り治具において、前記梁部材(33)の下端部近傍に、前記吊り治具の外側方向に突出する1以上の羽部材(41)が設けられていることを特徴とする吊り治具。 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかに記載の吊り治具において、前記フック手段(13)は、前記管材の管底部をほぼ等分する位置に係止される2以上のフック(14a, 15a)を具えることを特徴とする吊り治具。 【請求項8】 2以上の管材を直列に結合して建物スリーブ内に竪管を施工する方法であって、1番目の管材を吊り上げて前記竪管の最上部で固定するステップと、2番目の管材を吊り上げて前記1番目の配管の下端部に接合させ、前記1番目の管材の下端部に2番目の管材の上端部を連結するステップと、必要に応じて次の管材を吊り上げて前の管材の下端部に連結することを繰り返すステップと、を含むことを特徴とする竪管施工方法。 【請求項9】 請求項8に記載の竪管施工方法において、前記管材を吊り上げるステップは、請求項1乃至7に記載の吊り治具を降ろして前記管材の中に通し、その下端部のフック手段を管底部に係止させ、上方から牽引することを特徴とする竪管施工方法。 【請求項10】 請求項8または9に記載の竪管施工方法において、前記第管材を連結するステップは、ハウジング式継手または溶接によることを特徴とする竪管施工方法。 【請求項11】 請求項8乃至10のいずれかに記載の竪管施工方法がさらに、前記管材の吊り上げを開始する際に、当該管材の管底部を台車に乗せ、徐々に吊り上げることにより管材が自重により直立するようにしたことを特徴とする竪管施工方法。 【請求項12】 請求項8乃至12のいずれかに記載の配管施工方法において、前記管材の吊り上げは約40−60m巻き上げ可能な巻き上げ装置を用いて行うことを特徴とする竪管施工方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、吊り治具および竪管施工方法に関し、特に、建物スリーブ内に構築される竪ダクトや竪パイプなど(以下、これらを総称して「竪管」と称する。)の施工方法およびこれに用いる治具に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、建物スリーブ内に竪管を構築するには、最も下となる配管を設置し、順に上に配管を接続し溶接やハウジング継ぎ手などで固定していく方法が採られていた。この方法では、予め配管を1本ずつ上の階に上げておき、固定した配管の上に位置決めして固定するという作業が必要となるため、手間と労力がかかるとともに、非常に時間がかかるものであった。 【0003】 また、最下層の階において上下に連結される2本の配管を回動式のジョイント部材で連結し、上側の配管の上端部にウインチのフックを係止させて上から吊り上げることにより、下側の配管を自重によりほぼ垂直にして一直線状にし、この状態で上下の配管を接合する竪管施工方法および治具が開示されている(例えば、特許文献1)。この工法では、上記の作業により1本ずつ配管を最後尾に増やして徐々に吊り上げていき、最終的に屋上階まで配管を連続的に到達させるようにしている。 【0004】 【特許文献1】特開2003−56742号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかしながら、特許文献1記載の工法は、上側の配管(第1の配管)を最下層階において床面から少し浮いた状態まで吊り上げ、その状態で上下の配管をジョイント部材(治具)で連結する工程が必要となるが、この連結時における配管の正確な位置決めが必要となり、熟練および困難が伴うものであった。また、上下の配管を連結するには、上側および下側の配管にそれぞれ治具を取り付け、その後両者を連結する工程が必要であり、また上下配管を接合した後にも逆の手順で治具を取り外さねばならず、この作業は面倒で時間がかかるものであった。また、この工法では上層階にいくほどウインチにかかる荷重が増大し、最上段の配管の上端部をフックで吊り上げる構成ではこの係止構造が外れ連結した配管が落下してしまう危険性がある。 【0006】 本発明はこのような点に鑑みなされたものであり、最下層階から配管を1本ずつ最上部まで吊り上げ、その地点で固定することにより配管を上から下へと連結できるようにした工法を提供することを目的とする。この工法では、最上部の配管を確実に固定すれば施工途中で配管が落下するようなことがなく、また一本ずつ配管を上げるためウインチにかかる重量が増大する心配がなく、後述するように工期を飛躍的に短縮して竪管を短時間で施工することができる。 【課題を解決するための手段】 【0007】 この目的を達成するため、本発明にかかる吊り治具は、管材を吊り上げるために用いる吊り治具であって、上方に配置された牽引手段に連結するための連結具(11)と、管底部に係止するフック手段(13)と、前記管材の中を通る本体軸(50)とを具えることを特徴とする。 【0008】 本発明の吊り治具は、前記管材の少なくとも上端部を前記本体軸と同軸に保持する振れ止め手段(12)を具えることが有効である。 【0009】 前記振れ止め手段は、前記管材の上端部に概略円錐形または角錐形をなす輪郭を具えることが有効である。 【0010】 前記振れ止め手段(12)は、前記本体軸が貫通する筒状本体を具えるスライド部材(31)と、当該スライド部材に回動可能に連結され長さの等しい複数の梁部材(33)と、各梁部材の端部に設けられ前記管材の上端部に連結される保持具(32)とを具えるとともに、前記梁部材が前記管材の半径より長いことが有効である。 【0011】 前記振れ止め手段(12)がさらに、前記本体軸(50)上でスライド部材(31)の位置を固定する固定部材(34)を具えることが有効である。 【0012】 本発明の吊り治具は、前記梁部材(33)の下端部近傍に、前記吊り治具の外側方向に突出する1以上の羽部材(41)が設けられていることが有効である。 【0013】 また、前記フック手段(13)は、前記管材の管底部をほぼ等分する位置に係止される2以上のフック(14a, 15a)を具えることが有効である。 【0014】 本発明にかかる竪管の施工方法は、2以上の管材を直列に結合して建物スリーブ内に竪管を施工する方法であって、1番目の管材を吊り上げて前記竪管の最上部で固定するステップと、2番目の管材を吊り上げて前記1番目の配管の下端部に接合させ、前記1番目の管材の下端部に2番目の管材の上端部を連結するステップと、必要に応じて次の管材を吊り上げて前の管材の下端部に連結することを繰り返すステップと、を含むことを特徴とする。 【0015】 この竪管施工方法において、前記管材を吊り上げるステップは、上述したいずれかの吊り治具を降ろして前記管材の中に通し、その下端部のフック手段を管底部に係止させ、上方から牽引することが有効である。 【0016】 前記第管材を連結するステップは、ハウジング式継手または溶接によることが有効である。 【0017】 この竪管施工方法では、前記管材の吊り上げを開始する際に、当該管材の管底部を台車に乗せ、徐々に吊り上げることにより管材が自重により直立するようにする。 【0018】 また、前記管材の吊り上げは約40−60m巻き上げ可能な巻き上げ装置を用いて行うことが有効である。 【発明の効果】 【0019】 本発明にかかる管材用の吊り治具は、吊り治具を管材の中に通し、その下端部に設けられたフック手段を管底部に係止させ管材を吊り上げられるようにしているため、管材の上端部に容易にアクセスすることができ、これにより上に固定されている管材の下端部まで吊り上げて連結することが可能となる。したがって、下層階から管材を1本ずつ吊り上げることにより竪管の最上部の管材から下に向けて施工することが可能となり、工期を大幅に短縮することができる。 【0020】 また、吊り上げる管材の上端部を吊り治具の本体軸と同軸に保持する振れ止め手段を設けることにより、管材を吊り上げる際にその上端部が建物スリーブの縁に引っかかってスタックしてしまうのを防止することができる。管材が建物スリーブに引っかからずに吊り上げられるようにすれば、各階に作業員を配置して管材の芯を修正する必要がなくなり、施工コストの低減および工期の短縮を実現することができる。 【0021】 また、この振れ止め手段が管材の上端部に円錐または角錐形状の輪郭を付与することにより、吊り上げ軸が建物スリーブの中心とずれている場合であっても、建物スリーブの縁に振れ止め手段が接触することにより管材の芯位置が修正され、建物スリーブに引っかからずに管材を吊り上げていくことが可能となる。これにより各階に作業員を配置して管材の芯を修正する必要がなくなり、施工コストの低減および工期の短縮が達成される。 【0022】 この場合、振れ止め手段を本体軸上でスライド可能なスライド部材と、このスライド部材から放射方向に回動可能な複数の梁部材と、梁部材下端部に設けた保持具とで構成し、さらに梁部材の下端部近傍に外側に突出する羽部を設けることにより、着脱が簡単で、確実に建物スリーブをかわしつつ管材を吊り上げることが可能となる。また、管材の管底部を支持するフックも複数とし管底部をほぼ等分する位置に係止させることにより、吊り治具と管材の芯を合わせて管材を真っ直ぐに吊り上げていくことが可能となる。 【0023】 一方、本発明にかかる竪管施工方法では、建物スリーブ内に巻き上げ機のチェーン端部を降ろして1番目の管材を吊り上げて最上部に固定し、そのまま巻き上げ機のチェーンを降ろして次の管材を吊り上げ、上に固定された管材の下端部に連結していくことにより竪管を施工する。下の配管から施工していく従来例に比べると、上の階に配管を上げてから巻き上げ機で吊り降ろして位置を合わせ固定していく必要がなく、下層階から1本ずつ配管を吊り上げそこで固定できるため、工期を飛躍的に短縮することができる。この場合に上述した吊り治具を用いて管材を吊り上げるようにすると、例えば従来1月ほどかかっていた高さ50−60m程度の竪管を施工するのに40−50分程度で完了することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0024】 本発明を実施するための最良の実施形態について図面を参照しながら以下に詳細に説明する。 【0025】 図1は、本発明にかかる吊り治具10の全体構成を示す図である。この吊り治具10は、建物の上層階からウインチで吊るし配管を吊り上げるために用いるものである。吊り治具10は、巻き上げ機からのワイヤチェーン100に連結するためのシャックル11と、シャックル11の下に取り付けられた振れ止め手段12と、吊り治具10の下端部に設けられたフック手段13と、配管20の中を通る本体軸50とを具えている。本図に示すように、吊り治具10を配管20の中に通し、下端部のフック手段13をそれぞれ配管20の下端部に引っかけ、さらに配管20の上端部に振れ止め手段12を取り付けることにより、配管20を吊り治具10の同軸上に安定させ吊り上げられるように構成している。 【0026】 図2は、吊り治具10の下端部に設けられるフック手段13の詳細を示す拡大図である。本図に示すように、フック手段13は2つのフック14a、15aがそれぞれ金属ワイヤ14b、15bで治具本体ワイヤの下端部に設けられたシャックル16に連結されている。フック14a、15aの受け部は吊り上げ対象となる配管20の管底輪郭に合うよう形成されている。また、図2に示すように、配管20に引っかけたときに配管20の外側に露出する部分がテーパ形をなしており、この露出部分が極力薄く配管20の表面に近くなるよう形成されている。この形状により、配管20を吊り上げる際に建物スリーブの縁にフック14a、15aが引っかかってスタックするのが防止される。なお、フック14a、15aおよびワイヤ14b、15bの寸法や太さは、吊り上げ対象となる配管20の管壁の厚さや重量などに応じて決定される。上述のように、このフック手段13はシャックル16で治具本体に連結されるものであり、配管の太さや重量に応じて適切な大きさや強度のものに取り替えることができる。また、本実施例では2つのフック14a、15aを使用してフック手段13を構成しているが、フックの数は限定するものではなく、例えば3つ以上用いるようにしてもよい。 【0027】 図3は、吊り上げ対象となる配管20の上端部を安定的に保持するための振れ止め手段12の構成を示す拡大図である。図3に示すように、振れ止め手段12は、治具10の本体軸50にスライド可能に取り付けられたスライド部材31と、このスライド部材31の断面においてそれぞれ90度をなす位置に回動可能に4本取り付けられ、それぞれ拡開可能であるとともにその下端部のU字金具32にて配管20の上端部に取り付けられる梁部材33と、この梁部材33の下端部が配管20に取り付けられた状態で前記スライド部材31を上から押さえつけて固定する固定部材34とを具えている。この振れ止め手段12は、梁部材33をそれぞれ配管20の上端部に取り付け、固定部材34でスライド部材31を十分に押し下げて固定することにより、配管20を前述したフック手段13と振れ止め手段12との間に確保する役割を有する。振れ止め手段12の芯材となる本体軸50の部分には鉄筋材が用いられる。梁部材33の長さはそれぞれ等しく、適用される配管20の半径より大きいものが用いられる。 【0028】 振れ止め手段12を構成するスライド部材31の構成を図4に示す。図4(a)はスライド部材31の立面図であり、図4(b)は正面図である。図4(a)に示すように、スライド部材31は筒状に構成され内部に治具10の本体軸50を通す筒状本体35と、この筒状本体35の断面においてそれぞれ90度をなす位置に設けられた4枚の三角板36とを具えている。4枚の三角板36はそれぞれ、図4(b)に示すように、垂直辺が内側に向けられた直角三角形を切り欠いたような形状のプレートで構成されており、その外側下端部に前記梁部材33を連結する穴37が設けられている。また、筒状本体35はその一部が切り欠かれており、この切り欠き38を介して治具10の本体軸50に対して着脱可能に構成されている。 【0029】 振れ止め手段12を構成する梁部材33の構成を図5に示す。図5(a)は梁部材33の立面図であり、図5(b)は正面図である。各梁部材33の上端部には平行に延在する一対のプレート39が設けられており、各プレート39に直交する方向に穴40が設けられている。梁部材33は、この2枚のプレート39でスライド部材31の三角板36を挟み、穴40と穴37をリベット等の手段で連結することにより、スライド部材31に回動可能に取り付けられる。したがって、各梁部材33は治具10の本体軸50を中心に傘のように開閉可能となる。また、梁部材33の下端部にはU字型金具32が回動可能に取り付けられており、このU字型金具32の回動軸32aは梁部材33の回動軸(穴40)と平行している。この構成により、図3に示すように梁部材33を拡げて配管20の上端部に宛い、U字型金具32を配管20の上端縁に嵌めることが可能となる。さらに、各梁部材33の下端部近傍には外側に突出する2枚の羽部41が設けられている。この羽部41は、配管20を吊り上げる際に配管20の上端部が建物スリーブの縁に引っかからないよう案内する役割を有する。 【0030】 振れ止め手段12を構成する固定部材34の構成を図6に示す。図6(a)が正面図、図6(b)が立面図、図6(c)が底面図である。本図に示すように、固定部材34は略角錐形状に形成された外側部材46と、その中心を貫き治具10の本体軸50を通す筒状体43を具えている。固定部材34の上端部は比較的肉厚に形成されており、この部分において筒状体43の側壁を貫く穴44が設けられ、この穴44にボルト45が螺合している。すなわち穴44の内周面には雌ねじが切られており、この雌ねじにボルト45の雄ねじが螺合する構成である。この固定部材34は、治具10の本体軸上でスライドさせて、任意の位置でボルト45を締めることにより固定することができる。また図に示すように、外側部材46の内部輪郭は4分割された角錐形状となっており、その4つの角部に前述したスライド部材31の三角板36がそれぞれ収まるよう構成されている。振れ止め手段12の梁部材33を配管20の上端部に取り付け、上から固定部材34を降ろしてスライド部材31に被せ、その位置でボルト45を締めることにより、配管20が治具10の本体軸50と同軸上に安定する。 【0031】 振れ止め手段12において各部材の寸法や素材は吊り上げ対象となる配管20の寸法や重量を勘案して適宜定めることができる。また、図3に示すように、治具本体10を吊っているチェーン100とスライド部材31とを着脱可能な落下防止ワイヤ60で接続して、作業時に振れ止め手段12が落下しないようにしている。また、振れ止め手段12と下端部のフック手段13とを連結する本体軸50も吊り上げ対象となる配管20の長さや重量に応じて長さや強度を選択するものとする。なお、上記実施例では振れ止め部材12の梁部材33を4本で構成しているが、これは3本以下でも5本以上としてもよい。3本の場合はスライド部材の三角板が3枚となり固定部材が三角錐形状となり、5本の場合はスライド部材の三角板が5枚となり固定部材は五角錐形状となる。梁部材33が6本以上の場合にも三角板36の枚数および固定部材34の形状が対応して変更されることは自明である。 【0032】 このように構成された吊り治具10を用いた本発明の竪管施工方法を以下に説明する。本発明の方法では、竪管を構築する建物の地階または最下層階に複数本の配管を用意し、1本ずつ順に吊り上げて最上階から下に連結していくことを最も主要な特徴とする。 【0033】 まず、配管20への吊り治具10の取り付け方法について説明する。この吊り治具10は、竪管施工対象となる建物の屋上階または適宜の上層階に設置される巻き上げ機から建物スリーブ内に垂下して、地階または最下層階に用意された配管20を上まで吊り上げるのに用いられる。図7に吊り治具10の取り付け工程を示す。配管20が用意された階に吊り治具10を降ろし、横置きの配管20の中に吊り治具10を通す(図7(a))。この場合、振れ止め手段12は予め吊り治具10に装着されていてもよいし、この時点では取り外されていてもよい。取り外されている場合は、このフロアに複数の振れ止め手段12を用意しておくようにする。 【0034】 次に、図7(b)に示すように、吊り治具10の自由端部のフック14a,15aを配管20の管底部に係止させ、吊り治具10を吊り側(巻き上げ機側)に引っ張る。この場合、係合フックが2本の場合は管底においてそれぞれ180度をなす位置というように、管底を等分する位置にフックを取り付ける。 【0035】 吊り治具10にテンションをかけた状態で、図7(c)に示すように、配管20の吊り側端部の吊り治具10に振れ止め手段12を取り付け、各梁部材33を拡げて配管の端縁にU字型金具32を嵌める。最後に、吊り治具10を引っ張りながら固定部材34を移動させスライド部材31の先端に被せて配管側に押しつけ、固定部材34のボルト45を締めて固定する(図7(d))。これにより、配管20の両端部がフック14a、15aと振れ止め手段12に挟まれた形となり、また吊り治具10と配管20が同軸となる。 【0036】 この状態から、図8に示すように配管20の管底を台車80に載せ、巻き上げ機を駆動すると、配管20が建物スリーブ71に引き寄せられる形で立ち上がり、最終的に配管20が直立して建物スリーブ71とほぼ同軸となる。この状態からさらにチェーンを巻き上げると、配管20が建物スリーブ71を通り上まで吊り上げられる。このとき、吊り治具10の下端部に設けたフック14a、15aで配管20の管底を支えているため、配管20の上端部を吊り上げる従来例に比して安全かつ確実に配管を持ち上げることができる。また、配管20の上端部に略角錐形状の振れ止め部材12が取り付けられているため、建物スリーブの縁に接触することがあっても配管20の中心軸が建物スリーブの中心寄りに修正され、スタックすることなく配管20を吊り上げることができる。 【0037】 図9は、配管20を吊り上げていく状態を説明するイメージ図である。図9の左側に示すように、配管20が建物スリーブ71と同軸上にある場合は配管20はスリーブ71の縁に引っかかることなくスリーブ内を通過する。一方、図9の右側に示すように、吊り上げチェーン100がスリーブ71の中心とずれた場合であっても、吊り治具10の角錐形状の振れ止め部材12がスリーブ71の縁に接触することにより配管20の中心軸がスリーブの中心寄りに修正され、配管20をスムースに吊り上げることができる。従来はこのような吊り治具がなかったため、配管を吊り上げる際にその上端部がスリーブの縁に引っかからないようにすべく各階に人員を配置する必要があったが、本発明の吊り治具10により各階に作業員を配置する必要がなくなり、作業コストと作業スピードを向上させることができる。また、図3および図5に示すように、各梁部材33の下端部近傍には羽部41が外側に突出しているため、配管の上端部が建物スリーブ71の縁と干渉するのが確実に防止される。 【0038】 図10は、本発明による竪管施工方法を説明するための模式図である。図10(a)に示すように、本発明の施工方法では、垂下されるロードチェーン100がスリーブ71の中心に合うよう建物の屋上階のスリーブ上に巻き上げ機70を設置し、ロードチェーン100の下端部に上述した吊り治具10を連結し、最下層階まで降ろして最初の配管20−1に取り付け、巻き上げ機70で配管20−1を最上階まで吊り上げる。この巻き上げ機70は電動チェーンブロックやホイストクレーンに長さ40−60m程度のロードチェーンを適用することにより得ることができる。配管20−1を所望の高さまで吊り上げたら、巻き上げを停止して振れ止め手段12を解除する。具体的には、振れ止め手段12の固定部材34のボルト45を緩め、固定部材34およびスライド部材31を上側にスライドさせると、梁部材33のU字型金具32が配管20−1の上端部から外れ、配管20−1の上部が自由となる。 【0039】 次に、図10(b)に示すように、屋上階において荷重受け金物73を取り付けて配管20を固定し、ロードチェーン100をフック手段13が外れない程度に僅かに緩め、配管20が十分な荷重に耐えられることを確認してからフック手段13を外し、吊り治具10を降ろす前に配管20の下端部にゴムリング74を嵌め、その後巻き上げ機70を操作して吊り治具10を再び最下層階まで降ろす。ここで、荷重受け金物73は屋上階に配管20を固定し、下に連結される複数本の配管の荷重に耐えられるものであればどのような構造でもよく、すべての施工が完了したら撤去されるものである。荷重受け金物73は、例えば配管20の周面に固定される環状部材を用いることができる。この場合、配管20−1には荷重受け金物73を受けるピースが予め溶接されているものとする。また、ゴムリング74は次に説明するハウジング継手75の構成要素の1つであり、配管同士の継ぎ目に宛って上からハウジング継手75で締めて配管を連結するための部材である。 【0040】 なお、振れ止め手段12は吊り治具10を降ろす前に取り外してもよいし、吊り治具10に付けたまま降ろすようにしてもよい。すなわち、U字型金具32を解除したら梁部材33が自重により傘のように畳まれるため、配管20の中を通して降ろすことができる。配管20が細く振れ止め部材12を通すことができない場合などには、上層階で振れ止め手段12を一旦取り外し、吊り治具10を降ろすようにする。この場合は振れ止め部材12を数本まとめて別途最下層階まで降ろすようにしてもよいし、吊り治具10の下端部フック手段13に引っかけてその都度降ろすようにしてもよい。 【0041】 次に、図10(c)に示すように、最下層階で2本目の配管20−2に吊り治具10を取り付け、ウインチ70を操作して上の配管20−1の60−70cm手前で停止させ、振れ止め手段12を解除する。配管20の上端部を作業員が手で支持しながら巻き上げを再開し、徐々に上げて上に固定されている配管20−1と接合させる。このとき、配管同士が接触したら巻き上げを停止し、ゴムハンマーを打ち付ける等して配管の芯および向きを合わせる。その後、ゴムリング用の潤滑オイルを管面に塗り、先ほど装着したゴムリング74を配管20−1と配管20−2の継ぎ目に移動させ、その上からハウジング継手75を固定する。このハウジング継手75は環状の金属部材を2分割したものを配管の周りで接合し、ボルトとナットで締めて配管同士を強固に連結するものであり、市販の強力なジョイント式継手を利用することができる。このハウジング継手75は適用する配管の外径や重量に応じた寸法や強度のものを用いる。 【0042】 次に、図7(d)に示すように、巻き上げ機70を僅かに緩めて配管20−2の耐荷重を確認し、その後ウインチ70を緩めてフック手段13を配管20−2の管底から外して次のゴムリング74を配管20−2の下端部に嵌め、再び吊り治具10を最下層階まで一気に降ろして次の配管に取り付け、図7(c)以降の作業を繰り返す。このようにして、建物スリーブ内に複数の配管を直列的に連結してなる竪管を構成することができる。この方法では途中階に作業員を配置する必要がなく、必要人員を減らして作業コストを低減させることができる。また、吊り治具10の着脱を簡単且つ容易に行うことができるため、施工スピードを飛躍的に向上させることができる。この工法によれば、高さ40−50m程度の竪管を施工するのを40−50分程度で行うことができる。 【0043】 本発明の一実施例を詳細に説明したが、本発明は上記実施例で説明した構成に限らず、他の様々な変形例として実現することができる。例えば、梁部材33の羽部41は必須の構成要素ではなく、省略してもよい。また、吊り治具10の振れ止め手段12は、吊り治具10と配管20の芯合わせを達成し、吊り上げ時に建物スリーブをかわす構造であれば、特に限定するものではなく他の様々な構成を適用することができる。例えば、上記実施例の吊り治具10では振れ止め部材12が複数本の梁部材33で構成されているが、吊り上げる配管の上端部に概略円錐形または角錐形のキャップのような部材を被せて、吊り治具10と配管20の芯合わせを行うとともに吊り上げ工程で建物スリーブの縁にひっかからないようにしてもよい。この場合にも、円錐形または角錐形のキャップ部材は傘のように畳める構造として配管内を通して降ろせるようにすることが有効である。さらに、吊り治具10において振れ止め手段12自体も必須の構成要素ではなく省略してもよい。この場合は各階に作業員を配置して配管が建物スリーブをうまく通過するよう調整する必要があるが、先端部にフック手段を備える吊り治具を配管に通し、管底にフック手段を係止させてウインチで引き上げ、最上部の配管から下に連結していくことにより、簡単な吊り治具を用いて短い工期で竪管を構成することができる。 【0044】 また、上記実施例では配管同士をハウジング継手75で連結しているが、これは溶接など他の手段により連結してもよい。また、竪管を構成する配管は円筒形に限らず、角ダクトなどでもよい。また、本発明の施工法は地階から屋上階まで竪管を施工する場合に限らず、任意の階からそれよりも上層の階まで竪管を組み立てる施工すべてに適用することができる。この方法は、建物を新築するときのみならず、既設の建物に対し竪管を施工する場合にも好適に用いることができる。また上述したが、本発明の吊り治具および施工方法に必要な部材の素材,寸法,形状,強度などは、吊り上げ・固定対象となる配管の太さ,長さ,重量や、施工する竪管の全長、建物スリーブの内径などの実施条件に応じて適切なものに変更することができる。 【産業上の利用可能性】 【0045】 本発明にかかる吊り治具およびこれを用いた竪管施工方法は、複数階層の建築物に複数の配管を連続的に繋げて竪管を構成する方法および治具に関し、建設業および建設資材製造業などに利用することができる。 【図面の簡単な説明】 【0046】 【図1】本発明にかかる吊り治具10の全体構成を示す図である。 【図2】吊り治具10下端部のフック手段13の構成を示す図である。 【図3】吊り治具10上端部の振れ止め手段12の構成を示す図である。 【図4】振れ止め手段12を構成するスライド部材31の構成を示す図である。 【図5】振れ止め手段12を構成する梁部材33の構成を示す図である。 【図6】振れ止め手段12を構成する固定部材34の構成を示す図である。 【図7】横置きされた配管20に吊り治具10を取り付ける工程を示す図である。 【図8】横置きされた配管20を吊り上げる工程を示す図である。 【図9】配管20を吊り上げる工程を示す図である。 【図10】本発明の竪管施工方法を説明する図である。 【符号の説明】 【0047】 10 吊り治具 11 シャックル 12 振れ止め手段 13 フック手段 14a,15a フック 14b,15b チェーンワイヤ 16 シャックル 20 配管 31 スライド部材 32 U字型金具 33 梁部材 34 固定部材 35 筒状本体 36 三角板 37 切り欠き 41 羽部材 43 筒状体 45 ボルト 46 外側部材 70 ウインチ 71 建物スリーブ 73 荷重受け金具 74 ゴムリング 75 ハウジング継手 100 吊りチェーン
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| 【出願人】 |
【識別番号】505275952 【氏名又は名称】黒鳥 幸一 【識別番号】505275963 【氏名又は名称】黒鳥 砂智子
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| 【出願日】 |
平成17年7月21日(2005.7.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100096024 【弁理士】 【氏名又は名称】柏原 三枝子
【識別番号】100125520 【弁理士】 【氏名又は名称】高橋 剛一
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| 【公開番号】 |
特開2007−22789(P2007−22789A) |
| 【公開日】 |
平成19年2月1日(2007.2.1) |
| 【出願番号】 |
特願2005−210994(P2005−210994) |
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