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【発明の名称】 クレーンフックの回転規制装置
【発明者】 【氏名】清水 健利

【要約】 【課題】移送中の被吊下げ部材の揺れを抑えるとともに、位置合わせ作業時にはクレーンフックを回転できるようにしたクレーンフックの回転規制装置を目的とする。

【解決手段】フック6を回転自在に支持する受け座5と前記フック6に止着される受け座への取付手段9間とに、設定された力以下ではフックが回転せず、設定した力を超える力が加えられるとフックが回転されるようにした摩擦部材15を配置させ、移送時にはフック6が回転しないようにして被吊下げ部材が不用意に回転して他物に衝突して破損されたり破損したりすることを防止できる。また、設定した力を超える力を加えれば摩擦部材15を介してフック6を回転させることができるので、正確な位置合わせ作業を容易に行うことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フックを回転自在に支持する受け座と前記フックに止着される受け座への取付手段間とに、設定された力以下ではフックが回転せず、設定した力を超える力が加えられるとフックが回転されるようにした摩擦部材を配置させたことを特徴とするクレーンフックの回転規制装置。
【請求項2】
摩擦部材に摩擦力の調整機構を設けたことを特徴とする請求項1に記載のクレーンフックの回転規制装置。
【請求項3】
摩擦部材が取付手段に取り付けられる押圧子と、該押圧子を受け座に圧接させるコイルばねとよりなることを特徴とする請求項1または2に記載のクレーンフックの回転規制装置。
【請求項4】
摩擦部材と受け座間に耐摩部材を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のクレーンフックの回転規制装置。
【請求項5】
耐摩部材が押圧子の圧接面に取り付けられた無給油スラストワッシャと、受け座の上面に取り付けられた押圧子圧接用の環状板とからなることを特徴とする請求項4に記載のクレーンフックの回転規制装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は重量物を移送するクレーンフックの回転規制装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、クレーンフックの回転防止装置としては、クレーンフックをピンでロックするものや、クレーンフックに取り付けられた歯車と電磁クラッチ付きの歯車とを噛合させ、クレーンフックの回転を制御するものが提供されている。また、無負荷時は回転自在で荷重がかかると回転が規制されるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、これらはクレーンフックの回転を完全に止めてしまうものであるため、クレーン作業により移送した被吊下部材を既に設置されている構造体に位置決めして取り付けるような作業を行う場合、クレーンフックが回転できなため、位置決めのための微調整作業が極めて難しくなるという問題があった。
【特許文献1】特開平7−228468号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、移送中の被吊下げ部材の揺れを抑えるとともに、位置合わせ作業時にはクレーンフックを回転できるようにしたクレーンフックの回転規制装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、フックを回転自在に支持する受け座と前記フックに止着される受け座への取付手段間とに、設定された力以下ではフックが回転せず、設定した力を超える力が加えられるとフックが回転されるようにした摩擦部材を配置させたクレーンフックの回転規制装置を請求項1の発明とし、請求項1の発明において、摩擦部材に摩擦力の調整機構を設けたクレーンフックの回転規制装置を請求項2の発明とし、請求項1または2の発明において、摩擦部材が取付手段に取り付けられる押圧子と、該押圧子を受け座に圧接させるコイルばねとよりなるクレーンフックの回転規制装置を請求項3とし、請求項1から3の発明において、摩擦部材と受け座間に耐摩部材を設けたクレーンフックの回転規制装置を請求項4の発明とし、請求項4の発明において、耐摩部材が押圧子の圧接面に取り付けられた無給油スラストワッシャと、受け座の上面に取り付けられた押圧子圧接用の環状板とからなるクレーンフックの回転規制装置を請求項5の発明とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明はフックを回転自在に支持する受け座と前記フックに止着される受け座への取付手段間とに、設定された力以下ではフックが回転せず、設定した力を超える力が加えられるとフックが回転されるようにした摩擦部材を配置させることにより、移送時にクレーンフックが回転することを防止して、被吊下げ部材の回転による他物との接触により破損されたり、破損したりすることを防止できる。また、設定した力を超える力を加えれば摩擦部材を介してクレーンフックを回転させることができるので、作業員は設置された構造物等と正確な位置合わせ作業を容易に行うことができる。
【0007】
また、請求項2のように、摩擦部材に摩擦力の調整機構を設けたものとすることにより、被吊下げ部材の重量と重心位置のずれに基づくクレーンフックに加わる回転力の大小に応じて摩擦力の調整を行って、多種多様な被吊下げ部材の移送に対応できるものとなる。また、被吊下げ部材を構造物と位置合わせする際に、クレーンフックの回転が重すぎて微調整作業が難しい場合には、摩擦部材の摩擦力を低減させることにより微調整作業を容易に行うことができる。
【0008】
請求項3のように、摩擦部材が取付手段に取り付けられる押圧子と、該押圧子を受け座に圧接させるコイルばねとよりなるものとすることにより、構造が簡単で少ない部品点数で摩擦部材を構成でき、安価に提供できるものとなる。
【0009】
請求項4のように、摩擦部材と受け座間に耐摩部材を設けたものとすることにより、受け座の摩耗を防止でき長期耐用できるうえに、摩擦部材と受け座間で生じるこじりや焼付きによる回転不良を防止できるので常に円滑な作業が可能となる。
【0010】
請求項5のように、耐摩部材が押圧子の圧接面に取り付けられた無給油スラストワッシャと、受け座の上面に取り付けられた押圧子圧接用の環状板とからなるものとすれば、安価に入手できるうえに、摩耗時に交換作業も簡単で短時間でクレーン作業を復帰させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の好ましい実施の形態を図に基づいて詳細に説明する。
図3中、1はフックブロックであり、該フックブロック1は複数のシーブ2を軸止する軸ピン3を枢着したシャックル4と、該シャックル4の基部に枢着される受け座5と、該受け座5に支持されて水平に回転するフック6とからなるものである。
【0012】
前記フック6は図3に示されるように、基軸部7を前記受け座5の透孔8より挿通させ、取付手段9を介して受け座5に回転自在に支持されるものである。該取付手段9は受け座5の上面に下面を当接させてフック6の基軸部7に嵌合される玉軸受10と、該玉軸受10に被套されるキャップ11に座面を当接させてフック6の基軸部7に形成される雄ねじ部7aに螺着されるナット12とよりなる。ナット12は外形を円形としているため外周面に脱着操作を行うための穴13が4ヶ所形成されている。
【0013】
15はフック6の回転を規制する摩擦部材であり、該摩擦部材15は図1に示されるように、フック6と一体化される取付手段9側に取り付けられる押圧子16と、該押圧子16の先端当接面を受け座5に圧接させるコイルばね17と、押圧子16および受け座5の摩耗や焼付けを防止する耐摩部材18と、押圧子16の押圧力(摩擦)の調整機構19とからなるものである。
【0014】
押圧子16は図1、2に示されるように、取付手段9にボルト止されるホルダ20を介して取り付けられるもので、該押圧子16は中間の中径部16bをホルダ20の透孔21に嵌合させるとともに、透孔21に形成される雌ねじ部21aに螺挿されるばね圧調整ねじ22の透孔23に基方の細径部16cを挿通させることによりホルダ20に支持される。そして、中径部16bの段部に下端を支持させばね調整ねじ22の下端に上端を支持させたコイルばね17により、押圧子16の大径部16aの先端当接面24を受け座5に圧接させるものとしている。なお、コイルばね17は圧縮ばねである。
【0015】
また、前記耐摩部材18は図1、2に示されるように、押圧子16の先端当接面24にボルト止される無給油スラストワッシャ25と、受け座5の上面にボルト止される環状板26とからなるもので、押圧子16と受け座5とが摩耗したり焼き付いたりすることを防止している。
【0016】
さらに、前記摩擦力の調整機構19は図1に示されるように、押圧子16の中径部16bとばね圧調整ねじ22間に介在されるコイルばね17と、該コイルばね17の弾発力を調整できるよう透孔21の雌ねじ部21aに螺挿位置を変更自在に螺挿されるばね圧調整ねじ22とからなるものであり、ばね圧調整ねじ22の雌ねじ部21aに対する螺挿量を大きくすればばね圧が増して押圧子16の圧接力が強くなるので摩擦力を高めることができ、螺挿量を小さくすれば圧接力が弱くなり摩擦力を低減できるものである。このように押圧子16の摩擦力を調整することにより、重心のずれにより被吊下げ部材が傾きフック6が回転しようとする力に対して適宜摩擦力を調整し、設定された回転力以下ではフック6が回転しないようにするとともに、設定した力を超える回転力が加えられた際にはフック6を自由に回転させることができるようにしている。なお、被吊下げ部材の重量が重いほどフック6に加わる回転力は大きくなることは勿論である。
【0017】
図1中、27はばね圧調整ねじ22の螺着位置を確実に固定するロックナットであり、該ロックナット27によりばね圧調整ねじ22が振動等により緩んで螺着位置がずれ、摩擦力が不用意に変わることを防止している。28はばね圧調整ねじ22の基端に形成されるレンチ掛け用の角形部であり、該角形部28にレンチ等を係止させてばね圧調整ねじ2を正逆いずれかに回動させることによりばね圧を調整できるものとなる。なお、ばね圧の調整はロックナット27を緩めて行うことは勿論である。
【0018】
図3中、29はフック6に取り付けられるストッパであり、該ストッパ29はフック6に被吊下げ部材を掛け止めた後、手動でフック6の開口を閉じて被吊下げ部材が不用意にフック6から抜け出ることを防止するためのものである。図1中、30はばね圧調整ねじ22とホルダ20との内径部に設けられる無給油ブッシュであり、該無給油ブッシュ30により押圧子16がばね圧調整ねじ22やホルダ20に焼き付いたり摩耗したりすることを防止している。
【0019】
このように構成されたものは、フックブロック1のシーブ2に図示しないクレーンの巻き上げ機のワイヤーロープを巻き掛けて装着する。そして、例えば被吊下げ部材としての金型を移送して成形機に装着する場合、クレーンを金型の吊下げ位置まで移動させたうえ、巻き上げ機を作動させてワイヤーロープを巻き下ろして、フックブロック1を移送するの金型の直近まで下降させたうえ、金型に巻き掛けられている吊下げワイヤーをフック6に掛け止める。
【0020】
次に、巻き上げ機を作動させて被吊下げ部材としての金型を吊上げて、金型を装着する成形機までの移送を開始する。このとき吊下げワイヤーの吊下げ中心と金型の重心とは必ずしも一致せずずれが生じることとなる。このずれにより金型には若干傾きが生じることとなる。この傾きによりフック6には回転しようとする力が加わるが、摩擦力の調整機構19により金型の重量と重心のずれによって生じる回転力では回転しないだけの摩擦力が摩擦部材15に付与されるよう押圧子16には押圧力が加えられて、受け座5を圧接するのでフック6は回転されることなく被吊下げ部材を移送することとなる。
【0021】
同じ重量で同じ形状の金型を繰り返し移送するような場合、押圧子16の押圧力を予め設定しておけばよいが、重量や形状が一定しない被吊下げ部材を吊下げる場合は、被吊下げ部材を一度フック6に吊下げてフック6が回転しない摩擦力が得られるよう、ばね圧調整ねじ22の螺挿量を調整してコイルばね17の弾発力を変えて押圧子16の受け座5に対する押圧力を変え、摩擦部材15の摩擦力を設定する。
【0022】
このようにして被吊下げ部材としての金型は揺れ動くことなくフック6に吊下げられて移送されることとなるので、各種装置が設置されて狭い空間しか残されていない工場内を移送する際でも、吊下げた金型を装置に接触させて破損したり、他の装置を破損させたりすることなく行えるものとなる。
【0023】
フック6に吊下げられて成形機の位置まで移送された金型は、成形機の固定または可動ダイプレートへの取り付けを行うこととなるが、この取り付けは金型取付ボルト位置を正確に位置合わせする必要があるため、作業員が摩擦部材15の設定された摩擦力を超える力で金型を強制的に微動させて行うこととなる。
【0024】
フック6の回転が重く位置の微調整がし難い場合は、摩擦力の調整機構19のばね圧調整ねじ22の角形部28にレンチを係止させてコイルばね17のばね圧を下げる方向にばね圧調整ねじ22を回動させる。この操作により押圧子16の押圧力は低下し、摩擦部材15の摩擦力は低減されてフック6の回転は容易になるので、位置合わせを容易且つ正確に行うことができることとなる。このようにして金型がダイプレートに取り付けられたら、フックブロック1を僅かに下降させてワイヤーロープを緩め、金型を吊下げているワイヤーロープからフック6を外せば取付作業は完了することとなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の好ましい実施の形態を示す一部切欠正面図である。
【図2】同じく平面図である。
【図3】本発明の好ましい実施の形態の使用状態を示す一部切欠正面図である。
【図4】同じく側面図である。
【符号の説明】
【0026】
5 受け座
6 フック
9 取付手段
15 摩擦部材
16 押圧子
17 コイルばね
18 耐摩部材
19 摩擦力の調整機構
25 無給油スラストワッシャ
26 環状板
【出願人】 【識別番号】390017503
【氏名又は名称】菱栄工機株式会社
【出願日】 平成17年6月27日(2005.6.27)
【代理人】 【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄

【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫


【公開番号】 特開2007−1754(P2007−1754A)
【公開日】 平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願番号】 特願2005−186782(P2005−186782)