トップ :: B 処理操作 運輸 :: B66 巻上装置;揚重装置;牽引装置



【発明の名称】 縦吊り用クランプ
【発明者】 【氏名】葛西 義直

【要約】 【課題】容易に取り付け/取り外しを行って被保持物を縦吊りすることができる縦吊り用クランプを提供する。

【解決手段】ストッパ15の係止部56が係合ピン16に係合することにより互いに開いた状態に保持されたアーム2及び3の下端部の保持部19及び20の間に被保持物の一部を位置させ、作動ピン53によりストッパ15を回動させてストッパ15の係止部56を係合ピン16から外すと、シャックル8がシャックル用バネ13の付勢力を受けて上方へスライドし、アーム2及び3の下端部間の間隔が狭められ、保持部19及び20の間に被保持物が挟持される。この状態で、シャックル8の吊り環51を利用して縦吊り用クランプを吊り上げると、被保持物の自重がアーム2及び3を介してクランプ本体1にかかり、保持部19及び20のスクリューキャップ21及び22から被保持物に被保持物の自重に対応した締め付け力が作用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランプ本体と、
前記クランプ本体にそれぞれ中間部が鉛直面内で回動自在に取り付けられた一対のアームと、
前記一対のアームの下端部に互いに対向するように配設された一対の保持部と、
前記一対のアームの間で前記クランプ本体に対して鉛直方向にスライド自在に取り付けられたシャックルと、
前記一対のアームの上端部と前記シャックルとをそれぞれ連結する一対のリンク部材と
を備え、前記シャックルを吊り上げると前記一対のリンク部材を介して前記一対のアームの上端部間の間隔が広がって下端部が閉じることにより前記一対の保持部の間に被保持物が挟持されることを特徴とする縦吊り用クランプ。
【請求項2】
前記クランプ本体に対して前記シャックルを上方へ付勢することにより前記一対のリンク部材を介して前記一対のアームを下端部が閉じる方向に付勢するシャックル用バネをさらに備えた請求項1に記載の縦吊り用クランプ。
【請求項3】
前記クランプ本体に固定された係合ピンと、
前記シャックルに回動自在に取り付けられると共に前記係合ピンに係合するための係止部が形成されたストッパと
をさらに備え、前記クランプ本体に対して前記シャックルを下方へ移動させて前記ストッパの係止部を前記係合ピンに係合させることにより前記一対のアームを下端部が開いた状態に保持する請求項1または2に記載の縦吊り用クランプ。
【請求項4】
前記ストッパを前記係合ピンに向けて付勢するストッパ用バネをさらに備え、
前記クランプ本体に対して前記シャックルを所定位置まで下方へ移動させると前記ストッパ用バネの付勢力により前記ストッパの係止部が自動的に前記係合ピンに係合する請求項3に記載の縦吊り用クランプ。
【請求項5】
前記一対のアームの上端部に固定され且つ前記クランプ本体に対して前記一対のアームを回動させるための一対の取っ手をさらに備えた請求項1〜4のいずれか一項に記載の縦吊り用クランプ。
【請求項6】
前記一対の保持部は、それぞれこれら一対の保持部を結ぶ直線の回りに回転自在で且つこの直線に対して傾動自在に取り付けられたスクリューキャップを有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の縦吊り用クランプ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、縦吊り用クランプに係り、特に鉄道車両に使用される車輪等を縦吊りするためのクランプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、鉄道車両に使用される車輪等は、直立させた状態で運搬移動して水平方向に保持されたシャフトに組み込まれる。このため、運搬移動の際には、車輪等を直立状態で吊り上げる縦吊り用のクランプが用いられる。
例えば、特許文献1には、形鋼等の被保持物を吊り上げるためのクランプ装置が開示されている。挟持空間内に被保持物の一部を挿入して一対の締め付けボルトを締め付けることによりクランプ装置に被保持物を挟持させ、この状態でクランプ装置に形成されている吊り環を介して被保持物を吊り上げる。横吊り用と縦吊り用の2つの吊り環が形成されており、縦吊り用の吊り環を使用することで被保持物が直立状態で吊り上げられる。
【0003】
【特許文献1】特開2004−352482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のクランプ装置では、被保持物への取り付け/取り外しの毎に一対の締め付けボルトを何回も回さなければならず、作業に手間がかかるという問題点があった。
この発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、容易に取り付け/取り外しを行って被保持物を縦吊りすることができる縦吊り用クランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係る縦吊り用クランプは、クランプ本体と、クランプ本体にそれぞれ中間部が鉛直面内で回動自在に取り付けられた一対のアームと、一対のアームの下端部に互いに対向するように配設された一対の保持部と、一対のアームの間でクランプ本体に対して鉛直方向にスライド自在に取り付けられたシャックルと、一対のアームの上端部とシャックルとをそれぞれ連結する一対のリンク部材とを備え、シャックルを吊り上げると一対のリンク部材を介して一対のアームの上端部間の間隔が広がって下端部が閉じることにより一対の保持部の間に被保持物が挟持されるものである。
【0006】
好ましくは、クランプ本体に対してシャックルを上方へ付勢することにより一対のリンク部材を介して一対のアームを下端部が閉じる方向に付勢するシャックル用バネをさらに備えている。
また、クランプ本体に固定された係合ピンと、シャックルに回動自在に取り付けられると共に係合ピンに係合するための係止部が形成されたストッパとをさらに備えれば、クランプ本体に対してシャックルを下方へ移動させてストッパの係止部を係合ピンに係合させることにより、一対のアームを下端部が開いた状態に保持することができる。この場合、さらに、ストッパを係合ピンに向けて付勢するストッパ用バネを備えれば、クランプ本体に対してシャックルを所定位置まで下方へ移動させたときに、ストッパ用バネの付勢力によりストッパの係止部が自動的に係合ピンに係合するように構成することができる。
【0007】
一対のアームの上端部に一対の取っ手を固定し、これら取っ手によりクランプ本体に対して一対のアームを回動させることもできる。
さらに好ましくは、一対の保持部が、それぞれこれら一対の保持部を結ぶ直線の回りに回転自在で且つこの直線に対して傾動自在に取り付けられたスクリューキャップを有している。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、容易に取り付け/取り外しを行って被保持物を縦吊りすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1及び図2にこの発明の実施の形態に係る縦吊り用クランプの構成を示す。ここで、図1は正面図、図2は一方のアームを省略して描いた側面図である。縦吊り用クランプは、例えば鉄道車両に使用される車輪を直立状態で吊り上げるためのものであり、クランプ本体1の左右端部にそれぞれアーム2及び3の中間部がピン4及び5を介して鉛直面内で回動自在に取り付けられている。また、クランプ本体1に形成された長孔6にスライドピン7が挿入されると共にこのスライドピン7にシャックル8が連結されており、これによりシャックル8がクランプ本体1に対して鉛直方向にスライド自在に取り付けられている。
【0010】
アーム2の上端部にピン9を介して回動自在にリンク部材10の一端が連結され、このリンク部材10の他端がスライドピン7に回動自在に連結されている。同様に、アーム3の上端部にピン11を介して回動自在にリンク部材12の一端が連結され、このリンク部材12の他端がスライドピン7に回動自在に連結されている。このようにして、リンク部材10及び12によりアーム2及び3の上端部とシャックル8とがそれぞれ連結されている。
【0011】
クランプ本体1の中心部にはシャックル用バネ13の下端部が保持されており、このシャックル用バネ13の上端部がスライダ14を介してリンク部材10及び12の他端に当接することによりシャックル8がクランプ本体1に対して上方へ付勢されている。
スライドピン7にストッパ15の上端部が回動自在に連結されると共にクランプ本体1に係合ピン16が固定されている。さらに、ストッパ15の下端部とクランプ本体1に固定されたボルト17との間にストッパ用バネ18が配設されており、このストッパ用バネ18によりストッパ15がスライドピン7を中心として図1において時計方向に回動するように付勢されている。
【0012】
アーム2及び3の下端部には、互いに対向するように保持部19及び20が形成されており、これら保持部19及び20にそれぞれスクリューキャップ21及び22が配設されている。スクリューキャップ21及び22は、保持部19及び20を互いに結ぶ直線の回りに回転自在で且つこの直線に対して傾動自在に取り付けられると共に、スクリューキャップ21及び22の互いに対向する面には同心円状の歯が形成されている。
また、アーム2及び3の上端部には、それぞれ取っ手23及び24が上方へ突出するように固定されている。
【0013】
図3に示されるように、クランプ本体1は、スペーサ部材31を介して互いに間隔を隔てて平行に配置された一対の板部材32を有しており、双方の板部材32にそれぞれピン4及び5を通すための貫通孔33及び34とスライドピン7を通すための長孔6が形成されている。スペーサ部材31の上にはシャックル用バネ13の下部を保持するための円筒状のガイド35が立設されている。
【0014】
図4に示されるように、アーム2は、板形状のアーム本体36と、アーム本体36の上半部の左右両側にそれぞれ固定された一対の側板37と、アーム本体36の裏面に固定された左右一対の縦板38とを有している。双方の側板37にそれぞれピン4を通すための貫通孔39とピン9を通すための貫通孔40が形成されている。一対の側板37の上端部の間には取っ手23が掛け渡されている。さらに、アーム本体36の下端部に貫通孔41が開口しており、この貫通孔41の内周面にネジ山が形成されている。さらに、各縦板38には、貫通孔41に連通されるネジ孔42が形成されている。
【0015】
アーム本体36の貫通孔41には、図5に示されるような、スクリューキャップ21の受け座43が螺合される。受け座43の後部には矩形の突出部43aが形成されており、この突出部43aを把持して貫通孔41内の受け座43を回転させることにより、アーム本体36に対する受け座43の前後方向の位置を調整することができるように構成されている。縦板38に形成されているネジ孔42に図示しないネジを螺合させてそのネジの先端部で受け座43の外周部を締め付けることにより受け座43が固定される。
【0016】
図6に示されるように、リンク部材10には、スライドピン7を通すための貫通孔44とピン9を通すための貫通孔45が形成されている。アーム2の上端部はこの一つのリンク部材10によってスライドピン7に連結されている。
図7に示されるように、リンク部材12には、スライドピン7を通すための貫通孔46とピン11を通すための貫通孔47が形成されている。図2に示されるように、リンク部材10の両側にそれぞれリンク部材12が配置され、アーム3の上端部は2つのリンク部材12を介してスライドピン7に連結されている。
【0017】
図8に示されるように、シャックル8は、互いに間隔を隔てて平行に配置された一対の板部材48を有しており、双方の板部材48にそれぞれスライドピン7を通すための貫通孔49が形成されている。一対の板部材48の上部間には、これら板部材48より上方に延びる1枚の板部材50が固定され、この板部材50に縦吊り用クランプ全体を吊り上げるための吊り環51が開口形成されている。
【0018】
図9に示されるように、ストッパ15は、細長い板部材52と、板部材52の下端部から板部材52に対して垂直方向に突出形成された作動ピン53とを有している。作動ピン53の根元部分には、環状の溝部54が形成され、この溝部54にストッパ用バネ18の一端が連結されている。板部材52の上端部には、スライドピン7を通すための貫通孔55が形成され、板部材52の中間部には、クランプ本体1に固定された係合ピン16に係合するためのフック状の係止部56が形成されている。
【0019】
図10に示されるように、スライダ14は、上部が蓋体57で閉じられた円筒形状を有している。円筒部分は、クランプ本体1に立設されたガイド35が緩く挿入されるような内径を有しており、シャックル用バネ13の上端部が円筒部分に挿入されて蓋体57の下面に当接する。
【0020】
次に、この実施の形態に係る縦吊り用クランプの作用について説明する。図1に示されるように、ストッパ15の係止部56が係合ピン16に係合していない状態においては、シャックル用バネ13によってシャックル8がクランプ本体1に対して上方へ付勢され、一対のリンク部材10及び12を介して一対のアーム2及び3の上端部間の間隔が広がっている。ここで、アーム2及び3の上端部にそれぞれ固定された取っ手23及び24を持ち上げながら互いに内側に押すことによりアーム2及び3の上端部間の間隔を狭めて下端部間の間隔を広げると、リンク部材10及び12を介してスライドピン7が下方へ押圧され、シャックル用バネ13の付勢力に抗してシャックル8がクランプ本体1に対し下方へスライドする。
【0021】
このシャックル8のスライドと共にスライドピン7に取り付けられているストッパ15も下方へスライドし、図11に示されるように、ストッパ15の係止部56がクランプ本体1に固定されている係合ピン16より下側に位置すると、ストッパ用バネ18の付勢力によりストッパ15がスライドピン7を中心として時計方向に回動し、自動的に係止部56が係合ピン16に係合する。これにより、取っ手23及び24に加えていた押圧力を解除しても、アーム2及び3は下端部が互いに開いた状態に保持される。
【0022】
このようにアーム2及び3が保持された状態のまま、縦吊り用クランプを鉄道車両に使用される車輪等の被保持物の上に移動し、アーム2及び3の下端部の保持部19及び20の間に被保持物の一部を位置させる。ここで、ストッパ15の作動ピン53とピン5の頭部とをつかみ、握りしめて作動ピン53がピン5に近づくようにストッパ15を回動させると、ストッパ15の係止部56が係合ピン16から外れてアーム2及び3の保持状態が解除される。これにより、図1に示されるように、シャックル8がシャックル用バネ13の付勢力を受けて上方へスライドし、アーム2及び3の下端部間の間隔が狭められる。そして、保持部19及び20の間に被保持物が挟持される。
【0023】
この状態で、シャックル8の吊り環51を利用して縦吊り用クランプを吊り上げることにより、被保持物が縦吊りされる。
このとき、アーム2及び3の保持部19及び20に取り付けられているスクリューキャップ21及び22は、保持部19及び20を互いに結ぶ直線の回りに回転自在で且つこの直線に対して傾動自在であるため、同心円状の歯が形成されたスクリューキャップ21及び22の面が被保持物の表面に平行に当接し、被保持物の表面に傷をつけることなく吊り上げることが可能となる。
【0024】
また、被保持物を吊り上げたときには被保持物の自重がアーム2及び3とピン4及び5を介してクランプ本体1にかかるため、シャックル8の吊り環51を利用して吊り上げることで、シャックル用バネ13による付勢力と同一方向で且つ被保持物の自重に対応した押圧力がシャックル8に作用する。これにより、アーム2及び3の下端部に取り付けられたスクリューキャップ21及び22から被保持物に被保持物の自重に対応した締め付け力が作用することとなる。
【0025】
このようにして被保持物を搬送して目的の場所に載置した後、縦吊り用クランプを被保持物から取り外す際には、取っ手23及び24を持ち上げながら互いに内側に押すことによりシャックル用バネ13の付勢力に抗してシャックル8を下方へスライドさせる。これにより、アーム2及び3の下端部間の間隔が広がってスクリューキャップ21及び22が被保持物の表面から離れ、さらにストッパ15の係止部56が係合ピン16より下側に位置するまでシャックル8が下降すると、ストッパ用バネ18の付勢力によってストッパ15が回動し、自動的に係止部56が係合ピン16に係合してアーム2及び3は下端部が互いに開いた状態に保持される。この状態で、縦吊り用クランプを吊り上げることにより被保持物から取り外すことができる。
【0026】
なお、スクリューキャップ21及び22を保持する各受け座43の突出部43aを把持してアーム本体36の貫通孔41内で受け座43を回転させることにより、アーム本体36に対する受け座43の前後方向の位置が調整され、これによりスクリューキャップ21及び22の間隔を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の実施の形態に係る縦吊り用クランプを示す正面図である。
【図2】実施の形態に係る縦吊り用クランプを示す側面図である。
【図3】クランプ本体を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
【図4】アームを示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図5】スクリューキャップの受け座を示し、(a)は側面図、(b)は背面図である。
【図6】リンク部材を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図7】他のリンク部材を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図8】シャックルを示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図9】ストッパを示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図10】スライダを示し、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図11】ストッパによりアームが保持状態となった縦吊り用クランプを示す正面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 クランプ本体、2,3 アーム、4,5,9,11 ピン、6 長孔、7 スライドピン、8 シャックル、10,12 リンク部材、13 シャックル用バネ、14 スライダ、15 ストッパ、16 係合ピン、17 ボルト、18 ストッパ用バネ、19,20 保持部、21,22 スクリューキャップ、23,24 取っ手、31 スペーサ部材、32,48,50,52 板部材、33,34,39,40,41,44,45,46,47,49,55 貫通孔、35 ガイド、36 アーム本体、37 側板、38 縦板、42 ネジ孔、43 受け座、43a 突出部、51 吊り環、53 作動ピン、54 溝部、56 係止部、57 蓋体。
【出願人】 【識別番号】500483699
【氏名又は名称】日本クランプ株式会社
【出願日】 平成17年6月21日(2005.6.21)
【代理人】 【識別番号】100057874
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道照

【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治

【識別番号】100084010
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 秀利

【識別番号】100094695
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 憲七

【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順


【公開番号】 特開2007−1671(P2007−1671A)
【公開日】 平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願番号】 特願2005−180453(P2005−180453)