トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般

【発明の名称】 剛体電車線
【発明者】 【氏名】足立 文明

【氏名】中島 勝治

【要約】 【課題】電食の発生を高度に抑止することができる剛体電車線を提供することを目的とする。

【解決手段】先端に銅製のトロリ線1を保持する架台Kが、略T字形断面のアルミニウム製の架台本体2と、架台本体2の先端部5に固着された銅製のトロリ線受け部材4とを、有する。かつ、架台本体2に固着されると共にトロリ線受け部材4と協働してトロリ線1を掴持する銅製のイヤー3を具備する。さらに、トロリ線受け部材4及びイヤー3の架台本体2との固着面40,41に亜鉛層・クロメート処理層を内側から順に積層したものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に銅製のトロリ線(1)を保持する架台(K)が、互いに固着して組み合わされたアルミニウム材部(A)と銅材部(C)とを有し、該銅材部(C)の上記アルミニウム材部(A)との固着面(50)に亜鉛層(30)・クロメート処理層(31)を内側から順に積層したことを特徴とする剛体電車線。
【請求項2】
上記固着面(50)と上記亜鉛層(30)との間に錫層(32)を介在させた請求項1記載の剛体電車線。
【請求項3】
先端に銅製のトロリ線(1)を保持する架台(K)が、略T字形断面のアルミニウム製の架台本体(2)と、該架台本体(2)の先端部(5)に固着された銅製のトロリ線受け部材(4)とを、有し、かつ、上記架台本体(2)に固着されると共に上記トロリ線受け部材(4)と協働して上記トロリ線(1)を掴持する銅製のイヤー(3)を具備し、上記トロリ線受け部材(4)及び上記イヤー(3)の上記架台本体(2)との固着面(40)(41)に亜鉛層(30)・クロメート処理層(31)を内側から順に積層したことを特徴とする剛体電車線。
【請求項4】
先端に銅製のトロリ線(1)を保持する架台(K)が、略T字形断面のアルミニウム製の架台本体(2)と、該架台本体(2)の先端部(5)に固着された銅製のトロリ線受け部材(4)とを、有し、かつ、上記架台本体(2)に固着されると共に上記トロリ線受け部材(4)と協働して上記トロリ線(1)を掴持する銅製のイヤー(3)を具備し、上記トロリ線受け部材(4)及び上記イヤー(3)の上記架台本体(2)との固着面(40)(41)に錫層(32)・亜鉛層(30)・クロメート処理層(31)を内側から順に積層したことを特徴とする剛体電車線。
【請求項5】
上記架台本体(2)(2)を銅製のジョイントスプライサ(25)(25)にて順次連結し、該ジョイントスプライサ(25)の上記架台本体(2)(2)への固着面(42)に亜鉛層(30)・クロメート処理層(31)を内側から順に積層した請求項3又は4記載の剛体電車線。
【請求項6】
上記架台本体(2)(2)を銅製のジョイントスプライサ(25)(25)にて順次連結し、該ジョイントスプライサ(25)の上記架台本体(2)(2)への固着面(42)に錫層(32)・亜鉛層(30)・クロメート処理層(31)を内側から順に積層した請求項3又は4記載の剛体電車線。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、走行中に電車等に電気を供給するために軌道と平行に敷設される剛体電車線に関する。
【背景技術】
【0002】
略T字形断面の架台と、銅製のトロリ線、トロリ線を架台に保持するイヤー等から成る剛体電車線に於て、架台やイヤーの材質としてアルミニウム又はアルミニウム合金が用いられているものがある。そして、銅製のトロリ線とアルミニウム製等の架台・イヤ−との接触部には、異種金属材料同士が接触することによって電食が生じるという問題があった。この場合、銅よりも電気的に卑なる金属の(イオン化傾向の強い)アルミニウムが腐蝕する。
【0003】
この問題を解決するために、従来の剛体電車線は、架台とトロリ線との接触部分に絶縁テープを介在させ、かつ、イヤーのトロリ線との接触部分に錫メッキをしていた。つまり、この剛体電車線は、銅製のトロリ線とアルミニウム製のイヤーとの間に、電気的に銅とアルミニウムの中間に位置する錫を介在させることで、各素材間のイオン化傾向の差を小さくして電食の抑止を試みるものである(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−58305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のように、銅部材とアルミニウム部材の間に錫メッキを介在させて、銅・錫・アルミニウムという順に並べても、結局この中で最も卑なる(イオン化傾向の強い)金属であるアルミニウムが腐蝕し、電食の発生を高度に抑止することはできなかった。
また、将来、銅の価格が高騰する等の銅が入手しにくくなる事情が生じることを考慮して、銅以外の材料も用いた製品開発が進められている。
【0005】
そこで、本発明は、電食の発生を高度に抑止することができる剛体電車線を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る剛体電車線は、先端に銅製のトロリ線を保持する架台が、互いに固着して組み合わされたアルミニウム材部と銅材部とを有し、該銅材部の上記アルミニウム材部との固着面に亜鉛層・クロメート処理層を内側から順に積層したものである。
また、上記固着面と上記亜鉛層との間に錫層を介在させてもよい。
【0007】
先端に銅製のトロリ線を保持する架台が、略T字形断面のアルミニウム製の架台本体と、該架台本体の先端部に固着された銅製のトロリ線受け部材とを、有し、かつ、上記架台本体に固着されると共に上記トロリ線受け部材と協働して上記トロリ線を掴持する銅製のイヤーを具備し、上記トロリ線受け部材及び上記イヤーの上記架台本体との固着面に亜鉛層・クロメート処理層を内側から順に積層したものである。
【0008】
また、先端に銅製のトロリ線を保持する架台が、略T字形断面のアルミニウム製の架台本体と、該架台本体の先端部に固着された銅製のトロリ線受け部材とを、有し、かつ、上記架台本体に固着されると共に上記トロリ線受け部材と協働して上記トロリ線を掴持する銅製のイヤーを具備し、上記トロリ線受け部材及び上記イヤーの上記架台本体との固着面に錫層・亜鉛層・クロメート処理層を内側から順に積層してもよい。
【0009】
また、上記架台本体を銅製のジョイントスプライサにて順次連結し、該ジョイントスプライサの上記架台本体への固着面に亜鉛層・クロメート処理層を内側から順に積層したものである。
【0010】
また、上記架台本体を銅製のジョイントスプライサにて順次連結し、該ジョイントスプライサの上記架台本体への固着面に錫層・亜鉛層・クロメート処理層を内側から順に積層してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、次のような著大な効果を奏する。
本発明に係る剛体電車線によれば、銅材部(トロリ線受け部材)とアルミニウム材部(架台本体)との間に生じる電食を高度に抑止することができる。即ち、アルミニウムと銅の間にアルミニウムより電気的に卑なる金属である亜鉛を介在させたことにより、アルミニウム材部(架台本体)が腐蝕されるのを高度に抑止することができる。また、最外層にクロメート処理層を形成したことにより、銅材部(トロリ線受け部材)の耐食性を向上させることができる。
また、将来、銅の価格が高騰する等の銅を入手しにくくなる事情が生じた場合であっても、銅材部(トロリ線受け部材)と銅以外のアルミニウム材部(架台本体)とを組み合わせて、優れた耐食性を有する架台を製造することができる。
このように、本発明は、銅の通電性・耐食性と、アルミニウムの軽量性を巧妙に結合し、かつ、異種金属接触部の耐食性も十分に維持された優れた剛体電車線である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、実施の形態を示す図面に基づき本発明を詳説する。
図1に示す本発明に係る剛体電車線の第1の実施形態に於て、Kは架台、1は架台Kの先端に取り付けられた銅製のトロリ線である。架台Kは、互いに固着して組み合わされたアルミニウム材部Aと銅材部Cとを有し、図では、アルミニウム材部Aは略T字形断面のアルミニウム製の架台本体2、銅材部Cは架台本体2の先端部5に固着されたトロリ線受け部材4である。
また、3は銅製のイヤーであり、イヤー3の基端は架台本体2に固着されると共に、先端にてトロリ線受け部材4と協働してトロリ線1を掴持している。
【0013】
図2は、図1の側面図であり、長尺の架台本体2,2を比較的短い長さのジョイントスプライサ25にて順次連結した状態を示し、また、連続状のトロリ線1を示す。
図1に於て、ジョイントスプライサ25,25を、ハックボルト26とカラー27とから成るかしめ締結具にて相互に引き寄せて架台本体2に締結し、架台本体2,2相互間を連結している。このジョイントスプライサ25は銅製である。
【0014】
そして、銅製のトロリ線受け部材4(銅材部C)・銅製のイヤー3・銅製のジョイントスプライサ25に於て、アルミニウム製の架台本体2に対する各固着面40(50),41,42に複合メッキをする。この複合メッキをした部位(各固着面40(50),41,42)を、図3に於て太線で示す。
【0015】
複合メッキは、図4(a)に示すように、上記各固着面40(50),41,42に亜鉛層30とクロメート処理層31とを内側から順に積層したものである。さらに、複合メッキとして、図4(b)に示す如く、各固着面40(50),41,42に錫層32・亜鉛層30・クロメート処理層31を内側から順に積層したものが好ましい。
【0016】
固着面40,41,42に亜鉛層30・クロメート処理層31を形成する場合について詳しく説明すると、亜鉛層30の厚さ寸法は15μm以下、好ましくは6μm〜10μmがよい。亜鉛層30の厚さ寸法が15μmを越えると集電特性の点から好ましくない。また、亜鉛層30は純亜鉛の他、Sn、Pb、Cd、Al等が含有されていてもよい。
【0017】
亜鉛層30の形成方法は、電気メッキ法、溶融メッキ法、置換メッキ法、押出法、パイプシンキング法等が使用できるが、本発明ではトロリ線1の機械的特性を低下させない点から電気メッキ法を使用することが好ましい。
【0018】
クロメート処理層31は、クロム酸を主成分とする塗布型、反応型等の公知の処理浴中に、上記亜鉛層30を形成したトロリ線受け部材4・イヤー3・ジョイントスプライサ25を浸漬することによって形成される。本発明では、公知のクロメート処理が適用できるが、中でもクロメート処理層31の表面均一性に優れる無水クロム酸、硫酸、硝酸及び添加剤より成る特殊クロメート処理を施すことが好ましい。クロメート処理層31の厚さ寸法は、例えば、0.3 μmとする。
【0019】
また、上記形成方法によって、亜鉛層30・クロメート処理層31を、上記各固着面40,41,42のみに限らず、各部材(トロリ線受け部材4・イヤー3・ジョイントスプライサ25)の外面全体に形成しても自由である。
【0020】
次に、固着面40,41,42に錫層32・亜鉛層30・クロメート処理層31を形成する場合について説明する。
錫層32の厚さ寸法は10μm以下、好ましくは2μm〜6μmがよい。錫層32の厚さ寸法が10μmを越えると、集電特性の点から好ましくない。さらに、形成時間が多くかかり製造効率が低下する。
【0021】
錫層32の形成方法は、電気メッキ法、溶融メッキ法、置換メッキ法、押出法、パイプシンキング法等の公知の方法が使用できる。なお、錫層32は純錫の他、Zn、Pb、Cd、Al等が含有されていてもよい。
【0022】
錫層32の上に形成される亜鉛層30は、前記と同様にして形成される。この亜鉛層30の厚さ寸法は集電特性・製造効率の点から6μm〜10μmが望ましい。
錫層32・亜鉛層30の上にさらに形成されるクロメート処理層31は前記と同様にして形成される。
また、錫層32・亜鉛層30・クロメート処理層31を、各部材(トロリ線受け部材4・イヤー3・ジョイントスプライサ25)の外面全体に形成しても自由である。
【0023】
図1に於て、上記説明した以外の具体的構成について以下説明する。
アルミニウム製の架台本体2は、トンネル内等に設けられる図外のがいしに取り付けられるフランジ部13を基端(図の上端)側に有し、かつ、先端部5の近傍に架台中央面Pに対して対称に配設された一対の凸部14,14を有し、両者間をウエブ15にて連結した形状であって、押出型材、又はその後の冷間引抜き加工にて、製造される。
【0024】
銅製のトロリ線1は、図1の左右両側に、一対のV字形の係止凹溝10,10を有すると共に、基端側小扇形部16と先端側大扇形部17を合わせた略だるま形である。そして、トロリ線1は基端側に弯曲凸状面18を有している。
【0025】
トロリ線受け部材4は、基端側に架台本体2の先端部5が嵌め込まれる嵌合凹部6を有するU字形の取付部7を具備している。そして、トロリ線受け部材4は、この嵌合凹部6と、嵌合凹部6に連続して配設される左右の基端面とが、架台本体2に接触して取り付けられている。
【0026】
また、取付部7は先端側にトロリ線1の上記弯曲凸状面18が接触する平坦面状の当接面8を有する。さらに、取付部7の先端には、トロリ線1の一対の係止凹溝10,10のうちの一方(図例では右側)に係合する略三角形状の係止爪部11を有する突条部9が形成されている。
【0027】
19はトロリ線受け部材4を架台本体2の先端部5に固着するためのステンレス製の締結具であり、締結具19は、先端部5に上記架台中央面Pと直交して貫設された挿通孔21と、トロリ線受け部材4の取付部7に貫設された(図の左右)2個の孔部20,20とに、挿入されている。また、この締結具19は、例えば、リベットやピン或いはスプリングピン等から成るものである。
【0028】
イヤー3の基端は図1の左側の凸部14に当接して配設され、イヤー3の先端にはトロリ線1の上記一対の係止凹溝10,10のうちの他方(図例では左側)に係合する挟持爪部22を有する。
【0029】
23は、架台本体2の先端部5とトロリ線受け部材4とを貫通するステンレス製のイヤー締結用ボルトであり、24はボルト23と螺合するステンレス製のブッシュナットである。
このボルト23とブッシュナット24にて、イヤー3を架台本体2に取り付けると共に、イヤー3の先端をトロリ線1側へ引き寄せて、トロリ線受け部材4の係止爪部11と当接面8とで協働して掴持している。ブッシュナット24は図1の右側の凸部14に当接し、この凸部14にてブッシュナット24の回転を防止している。
【0030】
また、銅製のジョイントスプライサ25と、ハックボルト26との膨張係数を略同一とするためにハックボルト26はステンレス製のものを用いている。
【0031】
図5に示すのは、本発明に係る剛体電車線の第2の実施形態であり、架台Kの先端には2個の銅製のトロリ線1,1が保持され、架台Kは互いに組み合わされたアルミニウム材部Aと銅材部Cとを有する。図5では、アルミニウム材部Aは略T字形断面のアルミニウム製の架台本体2、銅材部Cは架台本体2の先端部5に固着されたトロリ線受け部材4である。
【0032】
また、左右一対の銅製のイヤー3,3を備え、イヤー3,3の基端は架台本体2に取り付けられると共に、先端にてトロリ線受け部材4と協働してトロリ線1,1を掴持している。
銅製のジョイントスプライサ25,25を、ハックボルト26とカラー27とから成るかしめ締結具にて相互に引き寄せて架台本体2に締結している。
【0033】
そして、銅製のトロリ線受け部材4(銅材部C)・銅製のイヤー3・銅製のジョイントスプライサ25に於て、アルミニウム製の架台本体2に対する各固着面40(50),41,42に複合メッキをする。この複合メッキをした部位(各固着面40(50),41,42)を、図6に於て太線で示す。
【0034】
複合メッキは、図4(a)に示すように、上記各固着面40(50),41,42に亜鉛層30とクロメート処理層31とを内側から順に積層したものである。さらに、図4(b)に示す如く、各固着面40(50),41,42に錫層32・亜鉛層30・クロメート処理層31を内側から順に積層することが好ましい。なお、錫層32・亜鉛層30・クロメート処理層31の構成及び形成方法は、上記第1の実施形態と同様の構成及び形成方法であるので説明を省略する。
また、この複合メッキを、各部材(トロリ線受け部材4・イヤー3・ジョイントスプライサ25)の外面全体に形成してもよい。
【0035】
図5に示す第2の実施形態の架台本体2と、図1に示す第1の実施形態の架台本体2とは、同じ断面形状であり、これに対し、トロリ線受け部材4の断面形状は異なったものとなっている。
【0036】
第2の実施形態のトロリ線受け部材4の形状について具体的に説明すると、トロリ線受け部材4は、基端側の略倒立Π字形の取付部7と、取付部7の先端に一体に連設される略台形の突条部9とから成っている。
【0037】
取付部7は、その基端側に架台本体2の先端部5が嵌め込まれる嵌合凹部6を有すると共に、先端側に2個のトロリ線1,1が接触する当接面8,8が架台中央面Pに対称に配設されている。また、取付部7の先端部に(左右)一対の突片部12,12を有し、突片部12,12の先端面は当接面8,8の一部を形成する。
【0038】
突条部9は、当接面8,8の間に配設され、トロリ線1,1の互いに向かい合う(内側の)係止凹溝10,10に係合する略三角形状の係止爪部11,11を有する。
そして、係止爪部11,11と当接面8,8とイヤー3,3とで協働して2個のトロリ線1,1を掴持している。
【0039】
また、28は、架台本体2の先端部5とトロリ線受け部材4とを貫通するボルト部材であり、29はボルト部材28と螺合するナット部材である。
このボルト部材28とナット部材29にて、両方のイヤー3,3を架台本体2に取り付けている。
なお、図5に於て、図1と同一の符号は図1と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0040】
図7に示すのは本発明の第3の実施形態であり、上記第2の実施形態に示すジョイントスプライサ25をアルミニウム製にしたものである。つまり、アルミニウム製のジョイントスプライサ25は、図1や図5に示す銅製のジョイントスプライサ25に比べ、強度を維持するために肉厚に形成されている。また、アルミニウム製のジョイントスプライサ25とアルミニウム製の架台本体2との間には電食が生じないため、このジョイントスプライサ25には上記複合メッキ(錫層32・亜鉛層30・クロメート処理層31)処理されていない。
【0041】
また、トロリ線受け部材4及びイヤー3,3は銅製であり、それぞれの架台本体2との固着面40,41には上記複合メッキがされている。
【0042】
なお、アルミニウム製のジョイントスプライサ25と、ハックボルト26との膨張係数を略同一とするためにハックボルト26はアルミニウム製のものを用いている。
【0043】
図7に於て、上記説明した以外の構成については第2の実施の形態の構成と同様であるので説明を省略する。
【0044】
また、前記「アルミニウム製」とは、純粋アルミニウム製又はアルミニウム合金製をいうと共に、前記「銅製」とは、純粋銅製又は銅合金製をいうものと定義する。
【0045】
また、本発明の剛体電車線は、架台Kに取り付けるトロリ線1の断面形状・個数・取付位置に応じて、トロリ線受け部材4やイヤー3の断面形状を変更しても自由である。さらに、トロリ線1の断面形状・個数・取付位置に対応して相違する複数の断面形状のトロリ線受け部材4を一揃え作製し、その一揃えのトロリ線受け部材4を(共通部材としての)架台本体2の先端部5に択一的に選択して固着するように構成してもよい。
【0046】
以上のように、本発明の剛体電車線は、先端に銅製のトロリ線1を保持する架台Kが、互いに固着して組み合わされたアルミニウム材部Aと銅材部Cとを有し、銅材部Cのアルミニウム材部Aとの固着面50に亜鉛層30・クロメート処理層31を内側から順に積層したので、銅材部Cとアルミニウム材部Aとの間に生じる電食を高度に抑止することができる。即ち、アルミニウムと銅の間にアルミニウムより電気的に卑なる金属である亜鉛を介在させたことにより、アルミニウム材部Aが腐蝕されるのを高度に抑止することができる。また、最外層にクロメート処理層31を形成したことにより、銅材部Cの耐食性を向上させることができ、商品価値を大幅に高めることができる。
このように、本発明は、銅の通電性・耐食性と、アルミニウムの軽量性を巧妙に結合し、かつ、異種金属接触部の耐食性も十分に維持された優れた剛体電車線である。
また、将来、銅の価格が高騰する等の銅を入手しにくくなる事情が生じた場合であっても、銅材部Cと銅以外のアルミニウム材部Aとを組み合わせて、優れた耐食性を有する架台Kを製造することができる。
【0047】
また、固着面50と亜鉛層30との間に錫層32を介在させたので、アルミニウム材部Aの電食の発生を高度に抑止すると共に、銅材部Cの耐食性を一層向上させることができる。
【0048】
また、本発明の剛体電車線は、先端に銅製のトロリ線1を保持する架台Kが、略T字形断面のアルミニウム製の架台本体2と、架台本体2の先端部5に固着された銅製のトロリ線受け部材4とを、有し、かつ、架台本体2に固着されると共にトロリ線受け部材4と協働してトロリ線1を掴持する銅製のイヤー3を具備し、トロリ線受け部材4及びイヤー3の架台本体2との固着面40,41に亜鉛層30・クロメート処理層31を内側から順に積層したので、トロリ線受け部材4と架台本体2との間、及び、イヤー3と架台本体2との間に生じる電食を高度に抑止することができる。即ち、アルミニウムと銅の間にアルミニウムより電気的に卑なる金属である亜鉛を介在させたことにより、アルミニウム製の架台本体2が腐蝕されるのを高度に抑止することができる。また、最外層にクロメート処理層31を形成したことにより、トロリ線受け部材4とイヤー3との耐食性を向上させることができ、商品価値を大幅に高めることができる。
このように、本発明は、銅の通電性・耐食性と、アルミニウムの軽量性を巧妙に結合し、かつ、異種金属接触部の耐食性も十分に維持された優れた剛体電車線である。
また、将来、銅の価格が高騰する等の銅を入手しにくくなる事情が生じた場合であっても、銅製のトロリ線受け部材4と銅製以外のアルミニウム製の架台本体2とを組み合わせて、優れた耐食性を有する架台Kを製造することができる。
【0049】
また、先端に銅製のトロリ線1を保持する架台Kが、略T字形断面のアルミニウム製の架台本体2と、架台本体2の先端部5に固着された銅製のトロリ線受け部材4とを、有し、かつ、架台本体2に固着されると共にトロリ線受け部材4と協働してトロリ線1を掴持する銅製のイヤー3を具備し、トロリ線受け部材4及びイヤー3の架台本体2との固着面40,41に錫層32・亜鉛層30・クロメート処理層31を内側から順に積層したので、トロリ線受け部材4と架台本体2との間、及び、イヤー3と架台本体2との間に生じる電食を高度に抑止することができる。即ち、アルミニウムと銅の間にアルミニウムより電気的に卑なる金属である亜鉛を介在させたことにより、アルミニウム製の架台本体2が腐蝕されるのを高度に抑止することができる。また、最外層にクロメート処理層31を形成したことにより、トロリ線受け部材4とイヤー3との耐食性を向上させることができ、商品価値を大幅に高めることができる。また、最内層に錫層32を形成したので、トロリ線受け部材4とイヤー3との耐食性を一層向上させることができる。
このように、本発明は、銅の通電性・耐食性と、アルミニウムの軽量性を巧妙に結合し、かつ、異種金属接触部の耐食性も十分に維持された優れた剛体電車線である。
また、将来、銅の価格が高騰する等の銅を入手しにくくなる事情が生じた場合であっても、銅製のトロリ線受け部材4と銅製以外のアルミニウム製の架台本体2とを組み合わせて、優れた耐食性を有する架台Kを製造することができる。
【0050】
また、架台本体2,2を銅製のジョイントスプライサ25,25にて順次連結し、ジョイントスプライサ25の架台本体2,2への固着面42に亜鉛層30・クロメート処理層31を内側から順に積層したので、ジョイントスプライサ25と架台本体2との間に生じる電食を高度に抑止することができる。即ち、アルミニウムと銅の間にアルミニウムより電気的に卑なる金属である亜鉛を介在させたことにより、アルミニウム製の架台本体2が腐蝕されるのを高度に抑止することができる。また、最外層にクロメート処理層31を形成したことにより、ジョイントスプライサ25の耐食性を向上させることができ、商品価値を大幅に高めることができる。
【0051】
また、架台本体2,2を銅製のジョイントスプライサ25,25にて順次連結し、ジョイントスプライサ25の架台本体2,2への固着面42に錫層32・亜鉛層30・クロメート処理層31を内側から順に積層したので、ジョイントスプライサ25と架台本体2との間に生じる電食を高度に抑止することができる。即ち、アルミニウムと銅の間にアルミニウムより電気的に卑なる金属である亜鉛を介在させたことにより、アルミニウム製の架台本体2が腐蝕されるのを高度に抑止することができる。また、最外層にクロメート処理層31を形成したことにより、ジョイントスプライサ25の耐食性を向上させることができ、商品価値を大幅に高めることができる。また、最内層に錫層32を形成したので、ジョイントスプライサ25の耐食性を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る剛体電車線の第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】側面図である。
【図3】説明用の簡略図である。
【図4】要部拡大断面図であって、(a)は複合メッキの実施の一形態を示す拡大断面図、(b)は複合メッキの他の実施形態を示す拡大断面図である。
【図5】第2の実施形態を示す断面図である。
【図6】説明用の簡略図である。
【図7】第3の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 トロリ線
2 架台本体
3 イヤー
4 トロリ線受け部材
5 先端部
25 ジョイントスプライサ
30 亜鉛層
31 クロメート処理層
32 錫層
40 固着面
41 固着面
42 固着面
50 固着面
A アルミニウム材部
C 銅材部
K 架台
【出願人】 【識別番号】000003263
【氏名又は名称】三菱電線工業株式会社
【出願日】 平成18年5月16日(2006.5.16)
【代理人】 【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣


【公開番号】 特開2007−307924(P2007−307924A)
【公開日】 平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願番号】 特願2006−136205(P2006−136205)