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【発明の名称】 レール直流電流検知装置
【発明者】 【氏名】立花 清次

【氏名】井上 啓

【氏名】藤澤 圭樹

【氏名】山本 恭隆

【氏名】尾川 浩隆

【氏名】西川 敏明

【氏名】前田 宏

【氏名】岸 章夫

【要約】 【課題】設備が大型化することなく直流電流を容易に検知することができるレール電流検知装置を提供する。

【解決手段】トロリ線(1)に電気車両(3)が接続されている場合にレール(2)に流れる直流電流による磁界の変化を検出する磁界検出手段(5)と、磁界検出手段(5)の出力信号によって上記レール(2)に流れる直流電流の有無に対応した表示をする表示手段(8)とを備える。表示手段(8)にて負荷電流の有無を容易かつ確実に確認することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トロリ線(1)に電気車両(3)が接続されている場合にレール(2)に流れる直流電流による磁界の変化を検出する磁界検出手段(5)と、この磁界検出手段(5)の出力信号によって上記レール(2)に流れる直流電流の有無に対応した表示をする表示手段(8)とを具備することを特徴とするレール直流電流検知装置。
【請求項2】
トロリ線(1)に電気車両(3)が接続されている場合にレール(2)に流れる直流電流による磁界の変化を検出する磁界検出手段(5)と、この磁界検出手段(5)の出力信号によって上記トロリ線(1)に接続された断路器(9)の操作を阻止する阻止手段(10)とを具備することを特徴とするレール直流電流検知装置。
【請求項3】
トロリ線(1)に電気車両(3)が接続されている場合にレール(2)に流れる直流電流により生じるレール(2)の異なる地点の電位差を検出する電位差検出手段(6)と、この電位差検出手段(6)の出力信号によってレール(2)に流れる直流電流の有無に対応した表示をする表示手段(8)とを具備することを特徴とするレール直流電流検知装置。
【請求項4】
トロリ線(1)に電気車両(3)が接続されている場合にレール(2)に流れる直流電流により生じるレール(2)の異なる地点の電位差を検出する電位差検出手段(6)と、この電位差検出手段(6)の出力信号によって上記トロリ線(1)に接続された断路器(9)の操作を阻止する阻止手段(10)とを具備することを特徴とするレール直流電流検知装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、レールに流れる直流電流を検知するレール直流電流検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電車庫等で車両点検を行う際、図3に示すように、電気車両(3)のパンタグラフ(4)を降し、電気車両(3)とトロリ線(1)とを非接続状態にして、負荷電流がなくなったことを確認した後、断路器(9)を開にして、電気車両(3)上のトロリ線(1)をき電回路から切り離す必要がある。そして、従来では、作業者がパンタグラフ(4)の下降を確認した後、断路器(9)を開放していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の作業者による操作においては、パンタグラフ(4)が下降したことの確認は、作業者の目視による確認作業であるため、必ずしも確実であるとはいい難い。従って、パンタグラフ(4)がトロリ線(1)と接触したままの状態、つまり負荷電流が流れている状態で断路器(9)が開放されてしまうことがある。このような場合、負荷電流が流れているため、断路器(9)の焼損等事象が発生する。このような事象を防止しようとすれば、負荷電流の有無をトロリ線(1)側で電気的に検出し、これに基づいて断路器(9)を操作することが考えられる。しかしながら、トロリ線(1)側は、1500V以上の直流電圧であるため、検出手段、操作手段等の設備が大形化し、非常に多くのコストが必要となる。また、断路器(9)を、負荷電流の有無に関わらず開放できる直流負荷断路器に変更することも考えられるが、直流負荷断路器は、通常の断路器に比べて、設備が大きく、多くのコストが必要となる。
【0004】
この発明は、上記従来の欠点を解決するためになされたものであって、その目的は、設備が大型化することなく直流電流を容易に検知することができるレール直流電流検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1のレール直流電流検知装置は、トロリ線(1)に電気車両(3)が接続されている場合にレール(2)に流れる直流電流による磁界の変化を検出する磁界検出手段(5)と、この磁界検出手段(5)の出力信号によって上記レール(2)に流れる直流電流の有無に対応した表示をする表示手段(8)とを具備することを特徴としている。
【0006】
請求項2のレール直流電流検知装置は、トロリ線(1)に電気車両(3)が接続されている場合にレール(2)に流れる直流電流による磁界の変化を検出する磁界検出手段(5)と、磁界検出手段(5)の出力信号によって上記トロリ線(1)に接続された断路器(9)の操作を阻止する阻止手段(10)とを具備することを特徴としている。
【0007】
請求項3のレール直流電流検知装置は、トロリ線(1)に電気車両(3)が接続されている場合にレール(2)に流れる直流電流により生じるレール(2)の異なる地点の電位差を検出する電位差検出手段(6)と、この電位差検出手段(6)の出力信号によってレール(2)に流れる直流電流の有無に対応した表示をする表示手段(8)とを具備することを特徴としている。
【0008】
請求項4のレール直流電流検知装置は、トロリ線(1)に電気車両(3)が接続されている場合にレール(2)に流れる直流電流により生じるレール(2)の異なる地点の電位差を検出する電位差検出手段(6)と、この電位差検出手段(6)の出力信号によって上記トロリ線(1)に接続された断路器(9)の操作を阻止する阻止手段(10)とを具備することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1のレール直流電流検知装置によれば、表示手段により負荷電流の有無(パンタグラフの下降の有無)を容易、且つ確実に確認することができ、作業者は、表示手段を確認して、安全に断路器の開放操作を行うことができる。また、このレール直流電流検知装置では、き電回路とは全く別の回路であり、低圧回路として小型に、しかも低コストで構成可能である。
【0010】
請求項2のレール直流電流検知装置によれば、阻止手段は、断路器の開放動作が行えないように、断路器の操作をロックすることができる。このため、断路器の操作をロックして、操作不可能状態にすれば、断路器が開放できなくなり、危険な操作の防止に有効である。また、この場合も上記請求項1のレール直流電流検知装置と同様、き電回路とは全く別の回路であり、低圧回路として小型に、しかも低コストで構成可能である。
【0011】
請求項3のレール直流電流検知装置によれば、表示手段により負荷電流の有無(パンタグラフの下降の有無)を容易、且つ確実に確認することができ、作業者は、表示手段を確認して、安全に断路器の開放操作を行うことができる。また、この場合も上記請求項1のレール直流電流検知装置と同様、き電回路とは全く別の回路であり、低圧回路として小型に、しかも低コストで構成可能である。
【0012】
請求項4のレール直流電流検知装置によれば、阻止手段は、断路器の開放動作が行えないように、断路器の操作をロックすることができる。このため、断路器の操作をロックして、操作不可能状態にすれば、断路器が開放できなくなり、危険な操作の防止に有効である。また、この場合も上記請求項1のレール直流電流検知装置と同様、き電回路とは全く別の回路であり、低圧回路として小型に、しかも低コストで構成可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、この発明のレール直流電流検知装置の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1はレール直流電流検知装置の簡略図を示し、レール直流電流検知装置は、レール(2)に流れる直流電流による磁界の変化を検出する磁界検出手段(5)と、この磁界検出手段(5)の出力信号によってレール(2)に流れる直流電流の有無に対応した表示をする表示手段(8)等を具備する。この場合、磁界検出手段(5)はレール(2)の近傍に設置される磁界検出器(5A)からなる。磁界検出器(5A)は例えば渦電流式の磁界センサで構成される。この磁界検出器(5A)は、高周波電流を発振する発振回路及び高周波電流によって高周波磁界が発生するコイル等を備えており、コイルを内蔵したセンサ部分をレール(2)の近傍に配置することによりレール(2)周辺に高周波磁界を形成する。すなわち、レール(2)に直流電流が流れレール電流による磁界が生じると、磁界検出器(5A)のコイルのインダクタンスや損失が変化し発振回路の出力(発振周波数や発振振幅)が変化する。
【0014】
そして、この磁界検出器(5A)は、これを利用してレール電流による磁界の変化を検出するもので、検出レベルが予め設定されたレベル以上のときに、リレー(7)を介して上記表示手段(8)を構成する表示器(8A)を動作させる。この表示器(8A)は、リレー(7)が動作した場合には、例えば赤色を点灯し、リレー(7)不動作の場合には、リレー(7)が動作した場合と異なり、赤色以外の点灯、例えば緑色を点灯する。
【0015】
また、レール直流電流検知装置は、磁界検出手段(5)の出力信号によって、トロリ線(1)に接続された断路器(9)の操作を阻止する阻止手段(10)とを具備する。すなわち、リレー(7)の出力により表示手段(8)と共に、阻止手段(10)が作動する。そして、表示器(8A)が赤に点灯しているときは、負荷電流が流れているため断路器(9)の開放を行ってはならず、緑色が点灯しているときは、負荷電流が流れていないため断路器(9)の開放を行うことができる。また、阻止手段(10)は、断路器(9)の開放動作が行えないように、断路器(9)の操作をロックする。断路器(9)の操作をロックして、操作不可能状態にすれば、断路器(9)が開放できなくなるので、危険な操作の防止に有効である。この場合、上記表示手段(8)での表示動作と、断路器(9)のロック動作とのいずれか一方を実施することによっても安全性を向上することが可能である。しかしながら、表示手段(8)と阻止手段(10)とを併用すれば、安全性を一段と向上することが可能である。
【0016】
このように、レール直流電流検知装置によれば、作業者は、表示手段(8)により負荷電流の有無(電気車両(3)のパンタグラフ(4)のトロリ線(1)からの下降の有無)を容易、かつ確実に確認することができる。従って、これに基づいて断路器(9)を操作(開放)することにより、安全に作業ができ、負荷電流が流れている場合に、阻止手段(10)を動作させることにより、断路器(9)の操作を開放できなくなるので、危険な操作の防止に有効であり、安全性を向上することが可能である。しかもこのレール直流電流検知装置は、き電回路とは全く別回路であり、低圧回路として小形に、しかも低コストで構成可能である。
【0017】
図2は他の実施形態を示している。この場合、レール(2)の所定間隔での電位差を検出する電位差検出手段(6)を備えている。そして、検出手段(6)として電位差検出器(6A)が使用され、この電位差検出器(6A)の測定用の一対のリード線が、所定間隔を持って離れたレール(2)のA点とB点に接続されている。すなわち、レール(2)に直流電流が流れている状態では、レール(2)の電気抵抗によってA点とB点の間に電位差が生じており、この電位差をこの電位差検出器(6A)にて検出するものである。そして、電位差検出器(6A)の検出レベルが予め決められたレベル以上の場合、負荷電流有としてリレー(7)を動作させて表示器(8A)を駆動または断路器(9)をロックする。また、このレール直流電流検知装置であっても、表示手段(8)と阻止手段(10)と断路器(9)とを具備するので、表示手段(8)での表示動作と、断路器(9)のロック動作とのいずれか一方の実施、または両者の併用が可能である。このため、この図2に示すレール直流電流検知装置であっても、上記図1に示すレール直流電流検知装置と同様の効果を得ることができる。
【0018】
以上にこの発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、上記実施形態では、磁界検出手段(5)を渦電流式の磁界センサからなる磁界検出器(5A)を使用したが、この磁界検出器(5A)以外の種々の磁界センサを使用することができる。また、表示手段(8)を構成する表示器(8A)でのリレー動作での点灯の色、及びリレー不動作での点灯の色としても相違するものであれば、任意に変更することができる。さらに、表示手段(8)としても、その表示態様は種々考えられ、単なる点灯ではなく、メッセージ等を表示するものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明のレール電流検知装置の実施形態を示す説明図である。
【図2】この発明のレール電流検知装置の他の実施形態を示す説明図である。
【図3】車両点検を行う状態を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0020】
1・・トロリ線、2・・レール、3・・電気車両、4・・パンタグラフ、5・・磁界検出手段、6・・電位差検出手段、8・・表示手段、9・・断路器、10・・阻止手段
【出願人】 【識別番号】000196587
【氏名又は名称】西日本旅客鉄道株式会社
【識別番号】390022460
【氏名又は名称】株式会社指月電機製作所
【出願日】 平成17年12月8日(2005.12.8)
【代理人】 【識別番号】100084629
【弁理士】
【氏名又は名称】西森 正博


【公開番号】 特開2007−153255(P2007−153255A)
【公開日】 平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願番号】 特願2005−354538(P2005−354538)