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【発明の名称】 AT用シフトレバー装置
【発明者】 【氏名】森 朋己

【氏名】田財 明

【要約】 【課題】シフトロック非常解除機構のリリース反力を得るばねとシフト節度付与機構の節度荷重を得るばねとの共用を図り、部品数及び組み付け工数を削減して生産性を向上させたAT用シフトレバー装置を提供する。

【解決手段】シフトレバーのシフト節度付与機構3に組み込まれたばね部材9の弾発力を、枢軸18を介してシフトロック非常解除機構4に伝達し、そのリリースボタン15に反力を付与する。これにより単一のばね部材9によってリリース反力と節度感とを得ることができる。部品数を削減でき、軽量且つコンパクトなAT用シフトレバー装置とすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一のばね部材の弾発力を、ばね力伝達機構を介してシフト節度付与機構とシフトロック非常解除機構に伝達して、シフト節度付与機構に節度荷重を与えるとともに、シフトロック非常解除機構にリリース反力を与えることを特徴とするAT用シフトレバー装置。
【請求項2】
ばね力伝達機構が、シフト節度付与機構に組み込まれるばね部材の弾発力を受けるばね受けアームと、このばね受けアームに加えられる回転トルクをシフトロック非常解除機構のリリースボタンに伝達する枢軸とよりなることを特徴とする請求項1に記載のAT用シフトレバー装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、シフトロック非常解除機構を備えたAT用シフトレバー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
AT用シフトレバー装置には、キーがオンの位置にありかつブレーキを踏まなければ、シフトレバーをパーキングポジションから他のポジションに動かすことができないようにするシフトロック機構が組み込まれている。このシフトロック機構には様々な種類があるが、例えばブレーキペダルと連動して動作するソレノイドによりシフトレバーの移動を拘束する機構が用いられる。このためバッテリの電圧低下等によりソレノイドが作動しなくなるとシフト操作ができなる事態が発生する。
【0003】
このような事態を解消するためシフトロック機構にはシフトロック非常解除機構が組み込まれており、キーを差し込んでシフトロック非常解除ボタンを押下げることにより、シフトロックを強制開放できるようになっている。このシフトロック非常解除ボタンアームには、リリース反力を付勢するためのばねが組み込まれている(例えば、特許文献1、2参照)。また、AT用シフトレバー装置にはシフト節度付与機構が組み込まれていて、シフトレバーの操作を行った際、シフト感がドライバーに伝達されるようにしている。このシフト節度付与機構は波状の凹凸部位を形成した節度ピン当接面に節度ピンがばねに付勢されて圧接されることによりシフト節度が得られる構造になっている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
特許文献1、2に記載されるように、シフトロック非常解除機構とシフト節度付与機構とは、離れた位置にある。このため従来のAT用シフトレバー装置では、リリース反力を与えるばねと、シフト節度付与機構の節度荷重を与えるばねとは別々に設けられており、部品数が多くなるうえに組み付け工数が増えるという問題があった。
【特許文献1】特開平6−323413号
【特許文献2】特開2001−1783号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記した従来の問題点を解決し、シフトロック非常解除機構のリリース反力を得るばねとシフト節度付与機構の節度荷重を得るばねとの共用を図り、部品数及び組み付け工数を削減して生産性を向上させ、軽量化とコストダウンとを図ることができるAT用シフトレバー装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するためになされた本発明のAT用シフトレバー装置は、単一のばね部材の弾発力を、ばね力伝達機構を介してシフト節度付与機構とシフトロック非常解除機構に伝達して、シフト節度付与機構に節度荷重を与えるとともに、シフトロック非常解除機構にリリース反力を与えることを特徴とするものである。なおばね力伝達機構が、シフト節度付与機構に組み込まれるばね部材の弾発力を受けるばね受けアームと、このばね受けアームに加えられる回転トルクをシフトロック非常解除機構のリリースボタンに伝達する枢軸とよりなることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明のAT用シフトレバー装置は、単一のばね部材の弾発力をばね力伝達機構を介してシフト節度付与機構とシフトロック非常解除機構に伝達してシフト節度付与機構に節度荷重を与えるとともにシフト節度付与機構にリリース反力を与える。このようにして、ばね部材を共用する構造としたので、部品数を削減でき軽量且つコンパクトにできるうえに組み付け工数を削減できる。
【0008】
また、請求項2のように、ばね力伝達機構が、シフト節度付与機構に組み込まれるばね部材の弾発力を受けるばね受けアームと、このばね受けアームに加えられる回転トルクをシフトロック非常解除機構のリリースボタンに伝達する枢軸とよりなるものとすれば、使用頻度が高く且つ微妙な節度感を要求されるシフト節度付与機構にばね部材を組み込み、優れた節度感を得ることができる。しかも、シフトロック非常解除機構とシフト節度付与機構との間を枢軸で連繋させるので、両者を同一位置に設ける必要もない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の好ましい実施の形態を図1〜4に基づいて詳細に説明する。
図1、図2において、1はAT用シフトレバー装置のシフトレバー機構2を組み付けるフレームであり、該シフトレバー機構2にはシフト節度付与機構3とシフトロック非常解除機構4とが組み付けられている。
【0010】
5はフレーム1の内部のディテント部材であり、図4に示されるようにディテント部材5によりシフトレバー6aがP・R・N・D・2・Lの各ポジションに位置決めされる。ディテント部材5はシフトポジションに対応する段付のディテント溝5aと、ディテント溝5aに係合されるディテントピン5bとを備えている。
【0011】
シフト節度付与機構3は、図1に示されるように扇型の節度付与部材7と、該節度付与部材7に当接される節度ピン8と、節度ピン8を付勢する圧縮ばね等のばね部材9と、ばね部材9を受けるばね受けアーム10とからなる。節度付与部材7は上面を節度ピン当接面7aとするとともにシフトレバー本体6と一体に形成されてシフトレバー6aと連動して回転される。また、節度ピン当接面7aには節度ピン8の先端を当接させる波状凹凸が形成されており、節度ピン8が圧接される波状凹凸の凹部11は各シフトポジションに合わせて形成されている。
【0012】
節度ピン8はフレーム1の段付ガイド孔1aにスライド自在に嵌挿されるとともに、その後端とばね受けアーム10間に介在されるばね部材9により節度ピン当接面7aの凹部11に圧接され、節度荷重を与えている。
【0013】
ばね受けアーム10の基部は枢軸18によりフレーム1に枢着されており、ばね受けアーム10の先端下面から突出されるピンに、コイル状のばね部材9の上端が係止されている。
【0014】
図2に示されるように、シフトロック非常解除機構4はフレーム1に枢軸18により枢着されるリリースボタン15と、該リリースボタン15により作動されるストッパ部材16とを備えている。リリースボタン15は「入」字形をしてその上面を非常解除工具または非常解除キー17の当て面15aとするとともに、下面にストッパ部材16の係止アーム16aと当接してストッパ部材16を強制枢動させる作動片15bを張出形成したものである。
【0015】
この実施形態のストッパ部材16は、図2に示されるようにフレーム1に軸16bによって枢着され、その先端面がディテント溝5aのPポジションに位置して、ディテントピン5bの移動通路を封鎖するものである。ストッパ部材16はブレーキペダルを踏むことにより作動するソレノイド21と連結されており、ソレノイド21によって想像線の位置まで枢動されるとPポジションからの移動経路を解放する。このストッパ部材16の背面上方にはアーム16aが突設されている。この係止アーム16aがリリースボタン15の作動片15bにより押し下げられると、ソレノイド21によらずに想像線の位置まで枢動され、Pポジションからの移動経路を解放する。
【0016】
リリースボタン15は非常時にのみ使用されるものであるから、常時は図2に実線で示す上方位置になければならない。本発明ではシフト節度付与機構3のばね部材9のばね力を利用してリリースボタン15を図2上、時計回り方向に付勢させ、その作動片15bがストッパ部材16の係止アーム16aに当接することがないように反力を付与している。このためばね部材9のばね力はばね力伝達機構20を介してシフト節度付与機構3からシフトロック非常解除機構4に伝達される。
【0017】
ばね力伝達機構20はシフト節度付与機構3に設けられたばね部材9のばね力をシフトロック非常解除機構4に伝達するものであり、該ばね力伝達機構20は図3に示されるように、シフト節度付与機構3に組み込まれるばね部材9のばね力を受けるばね受けアーム10と、このばね受けアーム10に加えられる回転トルクをシフトロック非常解除機構のリリースボタン15に伝達する枢軸18とよりなる。
【0018】
なお、22はディテントピン5bがディテント溝5aのPレンジ位置にあるか否か検出するリミットスイッチ、23はフレーム1を補強し、剛性を高めるためのリブや厚肉部等の補強部であり、該補強部23はシフト節度付与機構3のばね受けアーム10とリリースボタン15を取り付ける枢軸18を軸支する部位のみに形成されている。24はATトランスミッション連繋用のワイヤーを掛止する掛止用アームである。
【0019】
本発明はこのように構成されたものであり、シフト節度付与機構3によるシフト節度を付与するばね部材9のばね力はシフト節度付与機構3のばね受けアーム10を枢着した枢軸18を介し、該枢軸18に取り付けられたシフトロック非常解除機構4のリリースボタン15に伝達される。そして、ソレノイド21の作動不良などにより、ディテントピン5bがディテント溝5aのP位置より抜き出すことができず、シフト操作が不能となった場合は、非常解除工具または非常解除キー17を用いて、リリースボタン15を押し下げれば、作動片15bがストッパ部材16の係止アーム16aに当接して、ストッパ部材16を図2の想像線の位置まで回動させる。この回動によりストッパ部材16の先端当接面はディテントピン5bの移動通路から外れ、シフトロックが解除される。
【0020】
これによりディテントピン5bはディテント溝5aのPレンジ位置から抜き出すことができるので、シフトレバー6aはドライブレンジへのシフト操作が可能となる。シフトロック非常解除機構4の非常解除を行う際、ばね部材9は圧縮されるが、通常のシフト操作時にはばね部材9は圧縮されることがないので、シフト節度は変動することがなく従来通りの安定した節度荷重を得ることができる。
【0021】
なお、前記の実施形態では、シフト節度付与機構3側にばね部材9を設けたものとしているが、シフトロック非常解除機構4側にばね部材9を設けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の好ましい実施の形態を示す一部切欠正面図である。
【図2】図1の背面図である。
【図3】ばね力伝達機構の概略を示す斜視図である。
【図4】ディテントピンのディテント溝に対する動作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0023】
3 シフト節度付与機構
4 シフトロック非常解除機構
9 ばね部材
10 ばね受けアーム
15 リリースボタン
20 ばね力伝達機構
18 枢軸

【出願人】 【識別番号】000243700
【氏名又は名称】万能工業株式会社
【出願日】 平成18年4月13日(2006.4.13)
【代理人】 【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄

【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫


【公開番号】 特開2007−283819(P2007−283819A)
【公開日】 平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願番号】 特願2006−110737(P2006−110737)