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【発明の名称】 真空成形品の製造方法
【発明者】 【氏名】西川 孝志

【要約】 【課題】真空成形でも微細凹凸絞形状の転写が可能な真空成形品の製造方法を提供する。

【解決手段】金型1により熱可塑性樹脂シート12を真空吸引する際に、真空成形しながら金型1を冷却するため、真空吸引初期に金型1のキャビティ面3に相応して転写された熱可塑性樹脂シート12の微細凹凸絞形状10を、そのまま安定させることができる。従って、大規模な設備を必要としない真空成形でも微細凹凸絞形状10の転写が可能となる。金型1の加熱温度は100〜140°C、冷却温度は60〜80°Cが好適である。金型1で熱可塑性樹脂シート12を真空成形する際、プラグアシスト2から0.05MPa〜0.5Mpaの圧空をかけると転写性が向上する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空成形用の金型(1)のキャビティ面(3)に真空成形による転写が可能な微細凹凸絞形状(10)を形成し、
熱可塑性樹脂シート(12)を軟化点以上の温度で少なくとも表面側から加熱し、
加熱された熱可塑性樹脂シート(12)を、金型(1)により真空吸引して真空成形すると共に、真空吸引しながら金型(1)を冷却し、
熱可塑性樹脂シート(12)の表面に微細凹凸絞形状(10)を転写することを特徴とする真空成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、微細凹凸絞形状を表面に有する真空成形品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車内装材等に用いられる樹脂成型品の表面には、質感を高めるために、高級スエード調、天然皮革調、緻密毛穴調等の微細凹凸絞形状が付与される。このような、微細凹凸絞形状は、例えば熱可塑性樹脂の射出成形により、十分な温度と圧力とをかけて成形される(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−322392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、射出成形は大規模な設備を必要とし、コスト的な負担が大きいため、比較的簡単な設備で済む真空成形で微細凹凸絞形状の成形が行えないか検討されている。真空成形では、真空吸引初期に一時的に樹脂シートの表面を金型の微細凹凸絞形状に相応した形状に賦形しても、樹脂の復元力により賦形された微細凹凸絞形状が金型内で崩れてしまうおそれがある。
【0004】
本発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、真空成形でも微細凹凸絞形状の転写が可能な真空成形品の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、真空成形用の金型のキャビティ面に真空成形による転写が可能な微細凹凸絞形状を形成し、熱可塑性樹脂シートを軟化点以上の温度で少なくとも表面側から加熱し、加熱された熱可塑性樹脂シートを、金型により真空吸引して真空成形すると共に、真空吸引しながら金型を冷却し、熱可塑性樹脂シートの表面に微細凹凸絞形状を転写することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、金型により熱可塑性樹脂シートを真空吸引する際に、真空成形しながら金型を冷却するため、真空吸引初期に金型のキャビティ面に相応して転写された熱可塑性樹脂シートの微細凹凸絞形状を、そのまま安定させることができる。従って、大規模な設備を必要としない真空成形でも微細凹凸絞形状の転写が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、真空成形でも微細凹凸絞形状の転写が可能な真空成形品の製造方法を提供するという目的を、真空成形用の金型のキャビティ面に真空成形による転写が可能な微細凹凸絞形状を形成し、熱可塑性樹脂シートを軟化点以上の温度で少なくとも表面側から加熱し、加熱された熱可塑性樹脂シートを、金型により真空吸引して真空成形すると共に、真空吸引しながら金型を冷却し、熱可塑性樹脂シートの表面に微細凹凸絞形状を転写することで、実現した。以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0008】
図1〜図8は、本発明の一実施例を示す図である。この実施例に用いられる金型1の構造を図1及び図2に基づいて説明する。金型1には、コア型のプラグアシスト2も組み合わせて使用される。
【0009】
金型1は、表面のキャビティ面3が電鋳層4により形成された電鋳型である。キャビティ面3には微細凹凸絞形状10が形成されている。電鋳層4はキャビティ面3の微細凹凸絞形状10が形成し易く、耐久性の面で優れている。キャビティ面3には真空吸引孔(図示せず)が全面に形成されている。真空吸引孔の径は、微細凹凸絞形状10のサイズにもよるが、100μm以下が好ましい。100μm以下であれば、真空吸引孔自体の転写を防ぐことができる。
【0010】
電鋳層4の裏面には複数の温配管5と冷配管6が交互に設けられている。温配管5には温流体を、冷配管6には冷流体を、それぞれ流すことができる。温配管5と冷配管6はそれぞれロウ付け7により、電鋳層4の裏面に結合されている。温配管5と冷配管6のピッチはなるべく細かく設定し、温度のバラツキが発生しにくいように設定する必要がある。温配管5及び冷配管6は断熱材8により周囲が囲まれており、電鋳層4及び断熱材8はバッキング材9により保持されている。
【0011】
次に、この金型1を用いて、微細凹凸絞形状10を転写した樹脂製の真空成形品11を製造する方法を説明する。
【0012】
まず、図7の成形サイクルに示すように、ステップ1で、自動車内装材となる熱可塑性樹脂シート(TPO)12をクランプ13で保持してセットすると共に、金型1の加熱を開始する。金型1の電鋳層4の加熱は、温配管5に温流体を流すことで行われる。
【0013】
次に、ステップ2で、熱可塑性樹脂シート12をヒーター14により上下両面から190°Cに加熱する。表面側からだけの加熱でも良いが、両面から加熱した方が、温度のバラツキが生じにくい。熱可塑性樹脂シート12は軟化点以上に加熱するのが必要で、TPOの場合、160〜210°C(好ましくは170〜200°C)に加熱することで、転写性を向上させることができる。金型1の加熱は図8に示すように、150°C〜70°Cまでの8通りの温度で試験した。
【0014】
次に、ステップ3で、金型1が所定の温度になったらプラグアシスト2を下降して、熱可塑性樹脂シート12を金型1のキャビティ面3に押し付ける。
【0015】
次に、ステップ4で、プラグアシスト2から0.2MPa(0.05MPa〜0.5Mpaが好適)の圧空をかけると共に、約0.1秒の遅れで、キャビティ面3より真空吸引する。プラグアシスト2からの圧空はなくても良いが、あった方が転写性が向上する。
【0016】
次に、ステップ5で、圧空を停止し、真空吸引を維持したまま、温配管5への温流体の供給を停止し、代わりに冷配管6に冷流体を循環することで、金型1を冷却する。冷却は金型1の電鋳層4が70°Cになるまで短時間で行う。短時間で冷却することにより、成形した熱可塑性樹脂シート12に転写された微細凹凸絞形状10の形状を安定させることができると共に、金型1との離型を容易にすることができる。
【0017】
次に、ステップ6で、金型1の冷却を維持したため、真空を大気圧開放して、プラグアシスト2を上昇させ、真空成形品11を脱型する。金型1の冷却温度を極端に低くすると、成形サイクルタイムが伸びて生産性が落ちるという問題が発生するため、60°C〜80°Cが好ましい。また、高温で脱型を行おうとすると、脱型時に真空成形品11が塑性変形したり、製品の寸法安定性に欠けるという問題が生じる。
【0018】
金型1の加熱温度ごとに得られた8種類のサンプル(No.1〜8)の形状転写性と微細凹凸絞形状10の転写性について評価して図8に示した(図8中の「表皮」は熱可塑性樹脂シート12を示している)。
【0019】
サンプルNo.2〜5のものは、形状転写及び絞転写性の両方において良好であった。従って、それらの真空成形品11の表面には微細凹凸絞形状10の微細部分まで確実に転写されていた。このように微細凹凸絞形状10の微細部分まで確実に転写できたのは、熱可塑性樹脂シート12を真空成形しながら金型1を冷却して、キャビティ面3に相応して転写された微細凹凸絞形状10を、そのまま安定させることができたからである。
【0020】
金型1の温度が高いサンプルNo.1は、形状転写の面で曲げ部のR形状が不良であった。また、絞転写性の面で、先にキャビティ面3と接触した部分にエアー溜まりが発生しやすく、外観不良となっていた。
【0021】
金型1の温度が低いサンプルNo.6〜8では、微細凹凸絞形状10の微細部分まで確実に転写されなかった。また、サンプル8では、形状転写の面で曲げ部のR形状が若干不良であった。以上のことから、熱可塑性樹脂シート(TPO)12の場合は、金型1の加熱温度は100〜140°Cが好適といえる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
以上の説明では、金型1に温配管5と冷配管6を設け、それぞれに温流体及び冷流体を流すことにより、金型1の加熱と冷却を行う例を示したが、共用配管を所定ピッチで設け、そこにバルブの切換等により、全ての配管に温流体を流したり、冷流体を流すことにより、金型1の加熱と冷却を選択して行っても良い。また、本発明は、自動車内装部品に限定されず、微細凹凸絞形状を有するあらゆる真空成形品に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る金型及びプラグアシストを示す断面図。
【図2】図1中矢示DA部分を示す拡大断面図。
【図3】熱可塑性樹脂シートの加熱状態を示す断面図。
【図4】金型熱可塑性樹脂シートを真空吸引する直前の状態を示す断面図。
【図5】真空成形品を示す断面図。
【図6】図5中矢示DB部分を示す拡大断面図。
【図7】成形サイクルを表で示した図。
【図8】成形条件を及び成形結果を表で示した図。
【符号の説明】
【0024】
1 金型
2 プラグアシスト
3 キャビティ面
4 電鋳層
5 温配管
6 冷配管
10 微細凹凸絞形状
11 真空成形品
12 熱可塑性樹脂シート
【出願人】 【識別番号】000004765
【氏名又は名称】カルソニックカンセイ株式会社
【出願日】 平成18年1月10日(2006.1.10)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和

【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦

【識別番号】100100929
【弁理士】
【氏名又は名称】川又 澄雄

【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和

【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一

【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄


【公開番号】 特開2007−182035(P2007−182035A)
【公開日】 平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願番号】 特願2006−2907(P2006−2907)