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【発明の名称】 棒状芯材の加工方法と装置、およびシリコンシード
【発明者】 【氏名】山口 幸男

【氏名】石井 敏由記

【氏名】今村 哲士

【要約】 【課題】多結晶シリコンの製造に用いるシリコンシード等の棒状芯材について、その任意の長さに亘って、芯材の断面を丸形や角形に容易に加工することができる加工方法と加工装置、および加工したシリコンシードを提供する。

【解決手段】回転砥石10の外周面に棒状芯材の外径に対応する溝状の研磨部が形成されている加工装置を用い、該溝部分11を棒状芯材の側面に押し当てて研削することによって、該棒状芯材の断面を上記溝部分11に対応する形状に成形することを特徴とする加工方法および加工装置であって、例えば、回転砥石外周の溝状研磨部が丸溝、多角形の溝、またはV字形の溝であり、該棒状芯材の断面を上記溝部分11に対応する丸形、多角形、またはV字形に成形する加工方法および加工装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転砥石の外周面に棒状芯材の外径に対応する溝状の研磨部が形成されている加工装置を用い、該溝部分を棒状芯材の側面に押し当てて研削することによって、該棒状芯材の断面を上記溝部分に対応する形状に成形することを特徴とする加工方法。
【請求項2】
請求項1の加工方法であって、回転砥石外周の溝状研磨部が棒状芯材の外径に対応する丸溝、多角形の溝、またはV字形の溝であり、該棒状芯材の断面を上記溝部分に対応する丸形、多角形、またはV字形に成形する加工方法。
【請求項3】
回転砥石を有し、該回転砥石の外周面に棒状芯材の外径に対応する溝状の研磨部が形成されており、該溝部分を棒状芯材の側面に押し当てて研削することによって、該棒状芯材の断面を上記溝部分に対応する形状に成形することを特徴とする加工装置。
【請求項4】
請求項3の加工装置であって、回転砥石外周の溝状研磨部が棒状芯材の外径に対応する丸溝、多角形の溝、またはV字形の溝であり、該棒状芯材の断面を上記溝部分に対応する丸形、多角形、またはV字形に成形する加工装置。
【請求項5】
回転砥石の外周面に形成された溝状研磨部の材質がダイヤモンド、メタルレンジ、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(SiN)であり、シリコンシードの断面を上記溝部分に対応する形状に加工する請求項3または4の加工装置。
【請求項6】
シーメンス法に基づく多結晶シリコンの製造に用いるシリコンシードであって、炉内に立設するシードの基端部および上端部の断面が角形であり、該基端部および上端部を除く立設部分の少なくとも上半分以上が丸形断面ないし多角形断面であることを特徴とするシリコンシード。
【請求項7】
炉内に逆U字形に立設されるシリコンシードであって、立設部分どうしを接続する連結部の断面が角形であり、さらに立設部分の基端部および上端部の断面が角形であって、該基端部および上端部を除く立設部分が丸形断面ないし多角形断面である請求項4のシリコンシード。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状芯材の断面を丸形ないし多角形に加工する加工装置と加工された芯材に関し、より詳しくは、シーメンス法による多結晶シリコンロッドの製造に用いるシリコン芯材(シリコンシード)の加工装置と加工されたシリコン芯材に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの素材であるシリコン単結晶は工業的には主にCZ法により製造されており、その原料である多結晶シリコンは専らシーメンス法によって製造されている。シーメンス法による多結晶シリコンの製造では、反応炉内に棒状のシリコン芯材を立て、このシリコン芯材に通電してシリコン芯材を1000℃前後に赤熱し、この炉内にクロルシラン類と水素ガスを導入し、シリコン芯材の表面にシリコン結晶を析出させて棒状の多結晶シリコンロッドを製造する。
【0003】
この製造方法において、従来から使用されているシリコン芯材は、多結晶シリコンロッドから切り出された断面が10mm角程度の四角形の細長い角棒(角柱)であり、これを逆U字形に組み立て炉内に設置している。ところが、角柱シード(角形断面)を用いると、原料ガスの流れがシード表面の角部によって乱されるため、シード長さに沿った多結晶シリコンの均一な成長が得られず、結晶成長の遅れによる不均一な部分が局部的に発生し、多結晶シリコンロッド表面の長さ方向に縦筋が付く場合がある。
【0004】
この巻き込みの発生を防止あるいは抑制するには、反応炉内のガス流を均一にすれば良いが、角柱シードを用いたままで炉内全体のガス流を均一化するのは難しい。そこで、シードを多角形断面にしたシードや、シード表面の角部を面取りした丸形断面のシード(丸形シード)を用いることが考えられる。
また、角形断面のシードを用いると多結晶シリコンの成長時に微小な内部空隙(鬆)や歪みが生じる場合があり、これを防止するために、丸形断面や多角形断面のシードが提案されている。(特許文献1)
【特許文献1】特開2004−149324
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、多角断面や丸形断面等のシードを用いるには、多結晶シリコンロッドから直接に多角形あるいは丸形シードを切り出すことはできないので、最初に断面が四角の角形シードを切り出し、これを多角形や丸形断面に加工する必要がある。従来、断面角形のシードを丸形断面に加工するには、例えば、円盤形の砥石を用いる場合には、回転する砥石の平面をシード表面の角部に押し当てて角部を研削し、この角部の研削を繰り返して丸形に加工している。しかし、この方法は平面研削を繰り返すものであるので、手間がかかるうえに長手方向に沿って均一な多角形や丸形断面を形成するのが難しい。
【0006】
また、反応炉内に逆U字型のシードを設ける場合、通常、一対の棒状シードを立設し、その上端どうしを連結用シードによって接続して組み立てているが、互いに突き合わされる接続部分のシード断面が丸形や多角形であると接続が難しく、また互いの接触面積が少ないので通電状態が不良になる虞がある。シード全体の断面を丸形や多角形に加工すると、このような問題を生じる。
【0007】
本発明は、従来の上記問題を解決したものであって、シーメンス法に基づく多結晶シリコンの製造に用いるシリコンシード等の棒状芯材について、その任意の長さに亘って、芯材の断面を丸形や角形に容易に加工することができる加工方法と加工装置を提供する。
また、本発明は、反応炉内に組み立てられるに逆U字型のシードについて、組立が容易であって通電状態および原料ガスの流通が良好であるように加工したシリコンシードを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、以下の加工方法と加工装置が提供される。
(1)回転砥石の外周面に棒状芯材の外径に対応する溝状の研磨部が形成されている加工装置を用い、該溝部分を棒状芯材の側面に押し当てて研削することによって、該棒状芯材の断面を上記溝部分に対応する形状に成形することを特徴とする加工方法。
(2)上記(1)の加工方法であって、回転砥石外周の溝状研磨部が棒状芯材の外径に対応する丸溝、多角形の溝、またはV字形の溝であり、該棒状芯材の断面を上記溝部分に対応する丸形、多角形、またはV字形に成形する加工方法。
(3)回転砥石を有し、該回転砥石の外周面に棒状芯材の外径に対応する溝状の研磨部が形成されており、該溝部分を棒状芯材の側面に押し当てて研削することによって、該棒状芯材の断面を上記溝部分に対応する形状に成形することを特徴とする加工装置。
(4)上記(3)の加工装置であって、回転砥石外周の溝状研磨部が棒状芯材の外径に対応する丸溝、多角形の溝、またはV字形の溝であり、該棒状芯材の断面を上記溝部分に対応する丸形、多角形、またはV字形に成形する加工装置。
(5)回転砥石の外周面に形成された溝状研磨部の材質がダイヤモンド、メタルレンジ、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(SiN)であり、シリコンシードの断面を上記溝部分に対応する形状に加工する上記(3)または(4)の加工装置。
【0009】
さらに、本発明によれば以下のシリコンシードが提供される。
(6)シーメンス法に基づく多結晶シリコンの製造に用いるシリコンシードであって、炉内に立設するシードの基端部および上端部の断面が角形であり、該基端部および上端部を除く立設部分の少なくとも上半分以上が丸形断面ないし多角形断面であることを特徴とするシリコンシード。
(7)炉内に逆U字形に立設されるシリコンシードであって、立設部分どうしを接続する連結部の断面が角形であり、さらに立設部分の基端部および上端部の断面が角形であって、該基端部および上端部を除く立設部分が丸形断面ないし多角形断面である上記(4)のシリコンシード。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、回転砥石の外周面に棒状芯材の外径に対応する溝状の研磨部が形成されている加工装置を用い、該溝部分を棒状芯材の側面に押し当てて研削することによって、該棒状芯材の断面を上記溝部分に対応する形状に成形する加工方法および加工装置であり、具体的には、回転砥石外周の溝状研磨部が棒状芯材の外径に対応する丸溝、多角形の溝、またはV字形の溝であり、該棒状芯材の断面を上記溝部分に対応する丸形、多角形、またはV字形に成形するので、平面研削を繰り返す方法とは異なり、棒状芯材の長手方向に沿って均一な丸形断面ないし多角形断面を容易に形成することができる。
【0011】
また、本発明の加工装置は、回転砥石の外周面に形成された溝状研磨部の材質がダイヤモンド、メタルレンジ、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(SiN)であるので、シリコンシードを加工する際に不純物の混入が少なく、高純度の多結晶シリコンを製造することができる。
【0012】
さらに、本発明のシリコンシードは、炉内に立設するシードの基端部および上端部の断面が角形であり、好ましくは、立設部分どうしを接続する連結部の断面が角形であり、上記基端部および上端部を除く立設部分の少なくとも上半分以上が丸形断面ないし多角形断面であるので、炉内に逆U字形のシリコンシードを形成する場合に、連結部分の接続が容易であると共に接続部分の接触面積が大きいので通電状態が良い。
【0013】
しかも、本発明のシリコンシードは立設部分が丸形断面または多角形断面に形成されているので、炉内の原料ガスの流れが良く、多結晶シリコンが均一に析出するので、多結晶シリコンロッド表面の長さ方向に縦筋が付くことがなく、高品質の多結晶シリコンを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の加工装置の一例を図1、図2に示す。図示するように、本発明の加工装置は、円盤状ないし円筒状の回転砥石10を有しており、回転砥石10は軸12によって駆動部13に連結されている。円盤状の回転砥石10はその厚さが棒状芯材の外径Lに対応して該外径よりもやや大きく形成されている。円筒状の回転砥石10はその筒長が棒状芯材の外径Lに対応して該外径よりもやや大きく形成されている。この回転砥石10の外周面に溝状の研磨部11が設けられている。この溝状研磨部11の深さ方向の具体的な形状は丸溝、多角形の溝、またはV字形の溝などにすることができる。丸溝は楕円形から真円まで任意の曲率を有する各種の湾曲形状にすることができる。また、多角形溝およびV形溝(多角形溝およびV形溝を含めて凹状角形溝と云う)の溝角度ないし溝深さは任意に設定することができる。上記溝部分(溝状研磨部)11は棒状芯材の外径Lに対応した溝径φを有している。
【0015】
この加工装置を用い、図2に示すように、回転砥石10の外周面に設けた溝部分11を棒状芯材20の側面に押し当てて研削することによって、該棒状芯材20の断面を上記溝部分11に従った形状に成形することができる。丸溝11を有する回転砥石10を用いた場合には、丸溝11の曲率によって、楕円形から真円まで各種の丸形断面を形成することができる。また、多角形溝やV形溝の凹状角形溝を有する回転砥石10を用いた場合には、芯材20の断面をこの凹状角形に対応する形状に成形することができる。
【0016】
具体的には、図2(A)〜(F)に示すように、回転砥石10の溝部分11を芯材20の側面に押し当てた状態で、芯材20の長手方向に沿って回転砥石10を移動させて芯材20の片側を加工する。次いで、図2(D)〜(F)に示すように、芯材20を反転させ、あるいは芯材20の反対側の側面に回転砥石10を移動させ、再び溝部分11を芯材20の側面に押し当てた状態で、芯材20の長手方向に沿って回転砥石10を移動させて芯材20の残り片側を加工する。なお、芯材20の片側を長手方向に沿って加工した後に、芯材20の残り片側を加工しても良い。このように芯材20の両側を加工して、丸形断面または多角形断面の芯材を得ることができる。
【0017】
本発明の加工装置ないし加工方法は、シーメンス法に基づく多結晶シリコンの製造に用いるシリコンシードの断面を加工する場合に特に有用である。シリコンシード用の加工装置は、回転砥石10の外周面に設けた溝状研磨部11はシリコンシード20の外径に対応する溝幅φを有している。溝部分の具体的な形状は上述のように丸溝、または多角形溝やV字溝のような凹状角形溝である。この溝部分11の材質はダイヤモンド、メタルレンジ、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(SiN)が好ましい。回転砥石の溝部分を上記材質によって形成したものは、シリコンシードを加工する際に不純物の混入が少なく、高純度の多結晶シリコンを製造することができる。
【0018】
具体的には、例えば、多結晶シリコンから切り出されたシリコンシード20は一般に約8mm〜9mm角断面を有している。従って、加工装置の円盤状砥石は約10mm〜15mm厚さを有し、該砥石外周面の研磨溝11は上記シリコンシードの外径に対応した溝幅を有しており、溝部分の材質はダイヤモンド、メタルレンジ、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(SiN)などによって形成されている。砥石外周面の溝11は例えば曲率4±0.2mmの丸溝、ないし例えば扁平率1.0〜1.3の楕円形の溝である。
【0019】
本発明によって加工したシリコンシードは、シーメンス法に基づく多結晶シリコンの製造に用いるシリコンシードであって、炉内に立設するシードの基端部および上端部の断面が角形であり、該基端部および上端部を除く立設部分の少なくとも上半分以上が丸形断面ないし多角形断面であることを特徴とするシリコンシードである。このような基端部およぶ上端部が角形断面であって、基端部と上端部を除く立設部分が丸形断面のシリコンシードは本発明の加工方法によって容易に得ることができる。
【0020】
本発明のシリコンシードの一例を図3に示す。図示するように、炉内に一対のシリコンシード30が立設されており、この立設部分30が連結部31によって接続され、逆U字形のシリコンシードが形成されている。上記連結部31の断面は角形であり、さらに立設部分30の基端部32および上端部33の断面は角形である。一方、該基端部32および上端部33を除く立設部分30は丸形断面ないし多角形断面に形成されている。
【0021】
本発明のシリコンシードは、連結部と立設部分の接続箇所が角形断面であるので、接続が容易であると共に接続部分の接触面積が大きいので通電状態が良い。一方、立設部分は丸形断面または多角形断面に形成されているので、炉内の原料ガスの流れが良く、多結晶シリコンが均一に析出するので、多結晶シリコンロッド表面の長さ方向に縦筋が付くことがなく、高品質の多結晶シリコンを得ることができる。
【実施例】
【0022】
従来の角形断面のシリコーンシード(比較例)と、本発明の丸形断面または楕円断面のシリコンシード(実施例1〜3)を用い、シーメンス法に基づいて多結晶シリコンを製造した。この結果を表1に示した。表示するように、従来の角形断面のシリコーンシードを用いた比較例では巻き込み発生率が極めて高く90%以上であるのに対して、本発明の丸形断面または楕円断面のシリコンシードを用いた実施例では巻き込み発生率は0%であり、多結晶シリコンロッド表面の長さ方向に縦筋が生じない。
【0023】
【表1】


【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の加工装置の概略斜視図
【図2】本発明の加工方法の工程図
【図3】本発明のシリコンシードの概略斜視図
【符号の説明】
【0025】
10−回転砥石、11−溝部分、12−軸、13−駆動部、20−芯材(シリコンシード)、30−立設部分、31−連結部分、32−基端部、33−上端部。
【出願人】 【識別番号】000169639
【氏名又は名称】三菱マテリアルポリシリコン株式会社
【出願日】 平成17年11月21日(2005.11.21)
【代理人】 【識別番号】100088719
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 博史


【公開番号】 特開2007−136909(P2007−136909A)
【公開日】 平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願番号】 特願2005−335250(P2005−335250)