| 【発明の名称】 |
ホウ酸塩ベース木材保存剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】荒川 民雄
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| 【要約】 |
【課題】通常の建築用木材のように、雨や水が直接かからず地面に接触しない用途で利用される木材に表面処理剤を散布あるいは塗布することにより、長期間木材劣化生物から保護できるようにする。
【解決手段】八ホウ酸二ナトリウム四水和物の過飽和水溶液(15−25%)に微量の糖アルコールを添加して沈殿の生成を阻止し、低分子量ポリエチレングリコールを添加して、木材に対する親和性及び浸透性を向上させた組成物で表面処理する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 八ホウ酸二ナトリウム四水和物15%以上25%以下、アルキレングリコール1%以上20%以下、水55%以上85%以下、糖アルコール1%以下からなるホウ酸塩を有効成分とする木材保存剤。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は地面に直接接触せず、液体の水のかからない環境で使用される木材を、長期間劣化生物から保護するため、木材の表面に塗布あるいは散布する、ホウ酸塩を有効成分とする木材保存剤に関する。 【背景技術】 【0002】 木材は再生可能な優れた建築材料として広く使用されているが、腐朽や虫害などの生物劣化を受けやすい欠点がある。この欠点を克服する手段として、木材の表面にホウ酸塩を含む表面処理剤を塗布あるいは散布する方法が広く実施されている。 【0003】 ホウ酸塩は、水分を媒体として木材中を移動(拡散)する性質があるため、木部に塗布した保存剤有効成分の表層部での濃度は年月とともに減衰し、やがて木材劣化生物の毒性閾値以下まで低下して木材保護機能を失うことになる。 【0004】 表面処理剤の効果を半永久的に保持するためには、処理剤中のホウ酸塩濃度を高め、表層部に塗布したホウ酸塩が木材中に均一に拡散した後も、劣化生物の毒性閾値以上のホウ酸塩濃度が保証されるようにすることである。通常、ホウ酸塩に対し最も高い抵抗性を示す木材劣化生物はイエシロアリで、毒性閾値はホウ酸換算で3kg/m3である。 【0005】 標準的な表面処理条件では、木材の表面1m2あたり300gの処理剤が塗布される。軸組み構法で壁を構成する代表的な構造材である10cm正角材を例にとる。この角材の側面に標準条件で塗布した処理剤中のホウ酸塩が材中に均一に分布し、3kg/m3の濃度となるためには、処理剤はホウ酸換算で25%のホウ酸塩を含む必要がある。しかし、ホウ酸塩中水に最もよく溶ける八ホウ酸二ナトリウム四水和物(DOT)でも、室温では高々10%しか水に溶解しない。 【0006】 ホウ酸塩換算25%以上のホウ酸塩を含む液体を調整する手法として、ホウ酸塩とアミンやアルコール類との反応を利用することが知られている。特にアルキレングリコールはホウ酸塩と反応し易く、沸点が高いためVOC問題もなく、木材との親和性に優れているため、ホウ酸塩を有効成分とする表面処理剤用溶媒として商業的に利用されている。 【0007】 例えば、米国特許4,610,881は、酸化ホウ素(B2O3)換算で25%以上のホウ酸塩をエチレングリコールに溶解した組成物が木材保存剤として優れた性能を有するとしている。 また、米国特許5,104,664では、ポリアルキレングリコール4〜23%、アルキレングリコール20〜50%及びグリコール可溶性ホウ酸塩からなる組成物が木材保存剤として優れているとしている。これらの組成物は、そのまま、あるいは水を加えてホウ素濃度、溶液粘度を調節し、木材表面に塗布または散布される。 【特許文献1】USP4,610,881 【特許文献2】USP5,104,664 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 ホウ酸塩をアルキレングリコール中に均一に分散させ、表面処理剤として使用する技術には、共通の問題がある。第一は、アルキレングリコール、特にエチレングリコールの毒性が高いことである。毒性を緩和するため、プロピレングリコールを使用する例もあるが、コスト高は避けられない。 【0009】 また、ホウ酸塩をアルキレングリコール中に均一に分散させ、安定な組成物を得るには、ホウ酸塩とグリコールを加熱下で反応させ、反応物中の水を除去する必要がある。このプロセスは製造コストを高める。 【0010】 また、ホウ酸塩濃度や溶液粘度を調製するために組成物を水で希釈する場合、ホウ酸塩とアルキレングリコールの縮合物は加水分解し、生成したホウ酸塩が沈殿しやすい。このため、一旦水で希釈した溶液は、速やかに消費する必要がある。 【課題を解決するための手段】 【0011】 本発明は、高濃度のホウ酸塩をアルキレングリコール中に分散させる表面処理剤処方の長所を維持したまま上記の諸欠陥を是正したものである。即ち、溶解性に優れた八ホウ酸二ナトリウム四水和物の水溶液に微量の糖アルコールを添加することにより過飽和水溶液からのホウ酸塩の沈殿生成を抑制できることを発見した。 【0012】 また、低分子量ポリエチレングリコールを適量添加すれば、表面処理剤に必要な木材に対する親和性、浸透性が十分達成できることを見出した。 【発明の効果】 【0013】 一般にホウ酸塩をベースとした木材保存剤は、合成殺虫剤ベースのものに比較して毒性が低く、耐久性に優れているとされているが、本発明の保存剤は、アルキレングリコールを全く含まないため、さらに安全性が高められており、屋内で使用することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0014】 本発明のいう八ホウ酸二ナトリウム四水和物(Na2B8O13・4H2O)の水溶液は、オルトホウ酸(H3BO3)4モルとホウ砂(Na2B4O7)1モルの混合物の水溶液と同一である。したがって、本発明では、八ホウ酸二ナトリウム四水和物のかわりに、モル比4:1のホウ酸ホウ砂混合物を用いてもよい。この場合、モル比はおおよそ4:1であれば、必要な溶解度は確保できる。 【0015】 本発明のいう低分子量ポリエチレングリコールとは、分子量400〜800のものである。実用上は、PEG400またはPEG600または両者の混合物が適当である。 【0016】 本発明で、微量の糖アルコールの添加が、八ホウ酸二ナトリウム四水和物の過飽和水溶液からの沈殿の生成を長期にわたり抑制する理由は明らかではない。添加量は、マニトールやキシリトールの場合、DOTに対し5%以下、好ましくは0.1〜1%である。 【0017】 本発明の木材保存剤は、計算量のホウ酸塩、水、PEG、糖アルコールを耐熱容器に入れ、攪拌加熱して均一な溶液とすれば製造できる。 【0018】 また、あらかじめ調製した八ホウ酸二ナトリウム四水和物の水溶液に、所定量の糖アルコール及びPEGを添加してもよい。 【0019】 実用的価値の高い調整法としては、適量のホウ酸、ホウ砂、PEG、糖アルコールの混合物に、適量のカルボキシメチルセルロースを溶解した水を加え、攪拌しながら加熱して均一な液状とした後、攪拌を続けながら冷却して、ペースト状物質とする。 【0020】 このペーストは容器に入れて容易に持ち運びでき、適量の水に溶解すれば本発明の木材保存剤が得られる。 【0021】 本発明を構成する必須要件ではないが、処理木材の識別や装飾等のため染料、顔料などの着色剤を添加してもよい。 【0022】 (実施例1〜3) 1リットルのステンレス製ビーカーに所定量の八ホウ酸二ナトリウム四水和物(DOT)、水、PEG400、D−マニトール入れ、電気ヒーターにのせて加熱した。ビーカー内の温度が上昇し、DOTが溶融し始めた時点で攪拌を始め、全体が均一、透明な液状になった時点(約70℃)で加熱を止めて冷却すると、低粘度の透明な液体が得られた。 【表1】
【0023】 上記液体300gを3角フラスコに入れて保管し、時々目視で沈殿の有無をチェックし、沈殿生成が始まるまでの時間を記録した。 【0024】 残りの液体で塗装実験を行った。断面61mm×35mmのプレナー仕上げSPF材を長さ200mmに切断し塗装試験用試験体とした。試験体の一端約80mmを残して、該液体を全面に刷毛塗りした。刷毛塗りは、試験体を垂直に立て、側面に塗布した溶液が流れ始める寸前まで行った。結果を表1にまとめた。表1において、塗装性とは塗布した場合の溶液の濡れ性であり、弾かれなければ良好とした。白華は塗布面が乾燥につれて白色化する現象で、白華の有無は同一試験体で塗布面と塗布しない面を目視で比較決定した。 【0025】 実施例1−3では、沈殿発生までの時間は、微量のマニトールの添加によりいずれも1ヶ月以上阻止される。また、塗装性は良好で白華の生成も見られない。 【0026】 (比較例1〜2) 比較例1〜2は、DOT20%水溶液の塗装性、溶液安定性を検討したものである。微量のマニトールの添加により沈殿の生成は1ヶ月以上阻止されるが、PEG無添加では、白華の発生は顕著であった。PEGの添加は塗装性を向上させ、白華を抑える効果がある。 【実施例4】 【0027】 1リットルのステンレススチール製三口フラスコにイオン交換水120gを入れ、攪拌しながらカルボキシメチルセルロース6.0gを加えた後、攪拌を止め、20時間放置した。これに、ホウ酸120g、ホウ砂(10水和物)185g、D−マンニトール4gならびに50gのPEG−600を加えた。 【0028】 三口フラスコにリービッヒ冷却器を装着し、マントルヒーターで加熱した。内部温度が100℃近くなった時点で攪拌を開始してさらに加熱し、90ccの水が流出した時点で反応を停止し、マントルヒーターをはずした。ついで、攪拌を続けながら冷却したところ、内容は次第に白化してスラリー状となり、攪拌抵抗が増大した。得られた反応物は室温に30日間放置しても安定で、固液分離は殆ど見られなかった。 【0029】 上記の反応生成物に等量の水を加えて加熱したところ、約60℃で透明な溶液が得られた。この溶液は、30日間室温で放置しても沈殿を発生しなかった。また、塗装性は良好で、乾燥後も塗装面の白華は見られなかった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】504180398 【氏名又は名称】有限会社ボロンテクノロジー
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| 【出願日】 |
平成17年8月5日(2005.8.5) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2007−45134(P2007−45134A) |
| 【公開日】 |
平成19年2月22日(2007.2.22) |
| 【出願番号】 |
特願2005−252545(P2005−252545) |
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