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【発明の名称】 接合装置
【発明者】 【氏名】五島 庸

【要約】 【課題】高速で精度良く凹部の先端部で接合を行うこと。

【解決手段】錐体状の凹部23を有する凹部形成パネル21,21′に対して前記凹部23の先端部で接合される被接合パネル21,21′の凹部23の反対側の面に当接する電極42b,44bと、被接合パネル21,21′および凹部形成パネル21,21′を挟んで電極42b,44bと対向して配置された溶接用電極を有し、凹部23内に溶接用電極が進退可能に構成され、凹部形成パネル21,21′と被接合パネル21,21′を電極42b,44bと溶接用電極で挟んだ状態で溶接を行う浮動ガンチップ47であって、凹部23に対して進退する方向に垂直な面内で移動自在な浮動ガンチップ47とを備えた接合装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構成要件(C01),(C02)を備えたことを特徴とする接合装置、
(C01)錐体状の凹部を有する凹部形成パネルに対して前記凹部の先端部で接合される被接合パネルの前記凹部の反対側の面に当接する電極、
(C02)前記被接合パネルおよび凹部形成パネルを挟んで前記電極と対向して配置された溶接用電極を有し、前記凹部内に前記溶接用電極が進退可能に構成され、前記凹部形成パネルと前記被接合パネルを前記電極と前記溶接用電極とで挟んだ状態で溶接を行う浮動ガンチップであって、前記凹部に対して進退する方向に垂直な面内で移動自在な浮動ガンチップ。
【請求項2】
下記の構成要件(C03)を備えたことを特徴とする請求項1に記載の接合装置、
(C03)前記凹部形成パネルおよび被接合パネルに対して接近して溶接を行う溶接位置と、前記パネルから離隔した離隔位置との間を移動可能に構成され、前記浮動ガンチップを前記凹部に対して進退する方向に垂直な面内で移動自在に支持するガンチップ支持体。
【請求項3】
下記の構成要件(C04)を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の接合装置、
(C04)複数の前記凹部が形成された凹部形成パネルの各凹部に対応して配置された複数の前記浮動ガンチップ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のパネルを接合する接合装置に関し、特に、一対の電極で複数のパネルを挟み込んで加熱溶融して溶接を行うスポット溶接でパネルを接合する接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車のドアの補強材や緩衝材、建築用の補強パネル等で使用されるパネルを作製する際に、凹凸のあるパネルを接合して強度を高めることが行われている(例えば、特開2002−127942号公報等参照)。特に、剛性の高いパネルを作成するためには、凹凸が形成されたパネルの先端部で他のパネル(外装パネルやその他の補強パネル等)に接合することが効果的である。
【0003】
凹凸が形成されたパネルを凹部の先端部分で接合するための技術として、下記の従来技術(J01),(J02)が公知である。
(J01)特許文献1(特開2002−307117号公報)記載の技術
特許文献1には、多数のエンボスが形成された金属薄板(3)と平板状のフェイスシート(4)と接合する際に、凹部にレーザービームを照射して溶接するレーザー溶接装置が記載されている。
(J02)特許文献2(特開平5−253677号公報)記載の技術
特許文献2には、スポット溶接装置のフレームを一対の挟持電極の加圧挟持点を通る軸線回りに回動自在に保持させることにより、一対の挟持電極で挟持した被溶接物が傾斜している場合でも溶接ガンの姿勢を補正して最適な溶接作業を行う技術が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−307117号公報
【特許文献2】特開平5−253677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(従来技術の問題点)
前記従来技術(J01),(J02)では、溶接対象物を溶接装置にセットする際の位置精度や、溶接対象物の製造誤差等により、溶接する位置がばらつく可能性があり、正確に凹部の先端部で溶接することが困難であるという問題がある。したがって、正確に凹部の先端部で溶接するためには、精度良くセットするために時間がかかったり、製造誤差を少なくするために高コストになってしまうという問題がある。また、従来技術(J01),(J02)では、溶接を行う場所が1箇所であるため、多くの箇所で溶接を行う場合には、時間がかかり、生産性が低くコスト高になるという問題がある。
【0006】
本発明は、前述の事情に鑑み、次の記載内容(O01)を技術的課題とする。
(O01)高速で精度良く凹部の先端部で接合を行うこと。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(本発明)
次に、前記課題を解決した本発明を説明するが、本発明の要素には、後述の実施の形態の具体例(実施例)の要素との対応を容易にするため、実施例の要素の符号をカッコで囲んだものを付記する。また、本発明を後述の実施例の符号と対応させて説明する理由は、本発明の理解を容易にするためであり、本発明の範囲を実施例に限定するためではない。
【0008】
(第1発明)
前記技術的課題を解決するために、第1発明の接合装置(41)では、下記の構成要件(C01),(C02)を備えたことを特徴とする。
(C01)錐体状の凹部(23)を有する凹部形成パネル(21,21′)に対して前記凹部(23)の先端部で接合される被接合パネル(21,21′,27)の前記凹部(23)の反対側の面に当接する電極(42b,44b)、
(C02)前記被接合パネル(21,21′,27)および凹部形成パネル(21,21′)を挟んで前記電極(42b,44b)と対向して配置された溶接用電極(57)を有し、前記凹部(23)内に前記溶接用電極(57)が進退可能に構成され、前記凹部形成パネル(21,21′)と前記被接合パネル(21,21′,27)を前記電極(42b,44b)と前記溶接用電極(57)とで挟んだ状態で溶接を行う浮動ガンチップ(47)であって、前記凹部(23)に対して進退する方向に垂直な面内で移動自在な浮動ガンチップ(47)。
【0009】
(第1発明の作用)
前記構成要件(C01),(C02)を備えた第1発明の接合装置(41)では、電極(42b,44b)は、錐体状の凹部(23)を有する凹部形成パネル(21,21′)に対して前記凹部(23)の先端部で接合される被接合パネル(21,21′,27)の前記凹部(23)の反対側の面に当接する。前記凹部(23)に対して進退する方向に垂直な面内で移動自在な浮動ガンチップ(47)は、前記被接合パネル(21,21′,27)および凹部形成パネル(21,21′)を挟んで前記電極(42b,44b)と対向して配置された溶接用電極(57)を有し、前記凹部(23)内に前記溶接用電極(57)が進退可能に構成され、前記凹部形成パネル(21,21′)と前記被接合パネル(21,21′,27)を前記電極(42b,44b)と前記溶接用電極(57)で挟んだ状態で溶接を行う。
【0010】
したがって、第1発明の接合装置(41)では、浮動ガンチップ(47)の溶接用電極(57)が凹部(23)に進入する際に、溶接用電極(57)が、前記進退する方向に垂直な面内で自由に移動できる。この結果、溶接用電極(57)と凹部(23)の先端部との位置がずれていても、溶接用電極(57)が凹部(23)の錐壁によりガイドされて自動的に位置が調整され、凹部(23)の先端部に溶接用電極(57)が移動する。この結果、自動的に位置調整されて正確に凹部(23)の先端部で接合することができる。すなわち、凹部形成パネル(21,21′)等をセットする精度がそれほど高くなかったり、凹部形成パネル(21,21′)等の製造誤差がある場合でも、セットし直す時間を省略できるので、高速で精度良く凹部(23)の先端部で接合を行うことができ、生産性を向上させ、コストを低減できる。
【0011】
(第1発明の形態1)
第1発明の形態1の接合装置(41)は、前記第1発明において、下記の構成要件(C03)を備えたことを特徴とする。
(C03)前記凹部形成パネル(21,21′)および被接合パネル(21,21′,27)に対して接近して溶接を行う溶接位置と、前記パネルから離隔した離隔位置との間を移動可能に構成され、前記浮動ガンチップ(47)を前記凹部(23)に対して進退する方向に垂直な面内で移動自在に支持するガンチップ支持体(43,46)。
(第1発明の形態1の作用)
前記構成要件(C03)を備えた第1発明の形態1の接合装置(41)では、前記浮動ガンチップ(47)を前記凹部(23)に対して進退する方向に垂直な面内で移動自在に支持するガンチップ支持体(43,46)は、前記凹部形成パネル(21,21′)および被接合パネル(21,21′,27)に対して接近して溶接を行う溶接位置と、前記パネルから離隔した離隔位置との間を移動できる。したがって、ガンチップ支持体(43,46)を移動させることにより浮動ガンチップ(47)の溶接用電極(57)を進退できる。
【0012】
(第1発明の形態2)
第1発明の形態2の接合装置(41)は、前記第1発明または第1発明の形態1において、下記の構成要件(C04)を備えたことを特徴とする。
(C04)複数の前記凹部(23)が形成された凹部形成パネル(21,21′)の各凹部(23)に対応して配置された複数の前記浮動ガンチップ(47)。
(第1発明の形態2の作用)
前記構成要件(C04)を備えた第1発明の形態2の接合装置(41)では、複数の前記凹部(23)が形成された凹部形成パネル(21,21′)の各凹部(23)に対応して、複数の前記浮動ガンチップ(47)が配置されているので、一度に複数の箇所で接合することができ、高速化することができる。
【発明の効果】
【0013】
前述の本発明は、下記の効果(E01)を奏する。
(E01)高速で精度良く凹部の先端部で接合を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(実施例)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0015】
(プレス装置の説明)
図1は本発明の成形装置の実施例1の説明図であり、図1Aは受け型および板体の平面図、図1Bは押し型がプレス位置に移動した状態での図1AのIB−IB線断面図、図1Cは押し型が離隔位置に移動した状態での図1AのIC−IC線断面図である。
図1において、実施例1のパネル作成方法で使用される成形装置としてのプレス装置1は、金属板体2の搬送路上に配置されている。前記プレス装置1は、金属板体(板状体)2の裏面側に配置された受け型3と、金属板体2の表面側に配置された押し型4とを有する。前記押し型4は図示しない移動装置により、受け型3に接近して、金属板体2をプレスするプレス位置と、受け型3から離隔した離隔位置との間を移動可能に構成されている。
【0016】
図1Aにおいて、前記受け型3には、複数の正三角錐状の凹部により形成された凹部形成用受け部6が周期的に形成されている。前記凹部形成用受け部6は、金属板体2の搬送方向上流側の搬送幅Lの間に形成された浅凹部形成用受け部6aと、搬送方向中流部の搬送幅Lの間に形成された中深凹部形成用受け部6bと、搬送方向下流側の搬送幅Lの間に形成された深凹部形成用受け部6cとを有する。
図1Aにおいて、前記浅凹部形成用受け部6aは、搬送幅Lの間に搬送方向に沿って2列分形成されており、板体2の幅方向に沿って等間隔に周期的に5つ形成され且つ上流側の一列分と下流側の一列分では半周期分位相がずれた状態で配置されている。
【0017】
前記中深凹部形成用受け部6bは、浅凹部形成用受け部6aと同様に、搬送幅Lの間に搬送方向に沿って2列分形成され、板体2の幅方向に沿って等間隔に周期的に形成され且つ上流側の一列分と下流側の一列分では半周期分位相がずれた状態で配置されている。そして、中深凹部形成用受け部6bは、浅凹部形成用受け部6aよりも深さの深い正三角錐状の凹部により形成されている。
前記深凹部形成用受け部6cは、浅凹部形成用受け部6aや中深凹部形成用受け部6bと同様に、搬送幅Lの間に搬送方向に沿って2列分形成され、板体2の幅方向に沿って等間隔に周期的に形成され且つ上流側の一列分と下流側の一列分では半周期分位相がずれた状態で配置されている。そして、深凹部形成用受け部6cは、中深凹部形成用受け部6bよりも深さの深い正三角錐状の凹部により形成されている。
【0018】
図2は実施例1のプレス装置の押し型の移動押圧子の要部拡大説明図であり、図2Aは移動押圧子の斜視説明図、図2Bは図2AのIIB−IIB線断面図、図2Cは移動押圧子による引込量の説明図である。
図1C、図2において、前記押し型4は、押し型本体11と、前記押し型本体11に支持され且つ各凹部形成用受け部6a〜6cの深さに対応して形成された三角錐状の押圧子12とを有する。
前記押し型本体11は、板体2の幅方向の中央部に形成された固定押圧子支持部11aと、固定押圧子支持部11aの板体幅方向外側に形成され、内側に行くにつれて上方(受け型3から離隔する方向)に傾斜する移動押圧子支持部11bとを有する。
図2において、前記移動押圧子支持部11bには、板体幅方向に沿って延びる略T字形のガイド溝部11cが形成されている。
【0019】
前記押圧子12は、前記各凹部形成用受け部6に対応して配置されており、中央部の前記固定押圧子支持部11aに固定支持された固定押圧子13と、前記移動押圧子支持部11bに板体幅方向にスライド移動可能に支持された移動押圧子14とを有する。
前記押圧子12は、板体2の幅方向に沿って5つ配置された凹部形成用受け部6(6a〜6c)の中央部に配置された凹部形成用受け部6に、プレス位置移動時に嵌合するように配置されている。したがって、前記浅凹部形成用受け部6a、中深凹部形成用受け部6bおよび深凹部形成用受け部6cの深さに対応して、上流側から下流側に行くほど三角錐の高さが順に高くなるように形成された浅凹部形成用移動押圧子14a、中深凹部形成用移動押圧子14bおよび深凹部形成用移動押圧子14cとを有する。なお、固定押圧子13も同様に、浅凹部形成用固定押圧子13a、中深凹部形成用固定押圧子13bおよび深凹部形成用固定押圧子13cを有する。
【0020】
図2において、移動押圧子14は、前記ガイド溝11cに嵌合してガイドされる被ガイド部16を有し、前記被ガイド部16の板体幅方向内端とスライド溝部11cの内端との間には、移動押圧子14を外方に付勢する圧縮バネ17が装着されている。したがって、図1C、図2Cに示すように、移動押圧子14は、押し型4が離隔位置に保持された状態では、移動押圧子14の先端部が凹部形成用受け部6の最深部に対して外側にずれて配置されると共に、外側に配置された移動押圧子14a2,14b2,14c2の方が内側の移動押圧子14a1,14b1,14c1よりも凹部形成用受け部6bの最深部に対するズレ量(引込量)αが大きくなるように設定されている。そして、押し型4がプレス位置に移動すると、移動押圧子14が凹部形成用受け部6bの傾斜面に沿って、凹部形成用受け部6の最深部側(板体幅方向内側)に、圧縮バネ17の付勢力に抗して移動し、凹部形成用受け部6との間で板体2をプレス成形する。
【0021】
前記実施例1のプレス装置1において、板体2をプレスする場合、上流側から搬送幅Lだけ下流側に板体2を搬送して押し型4を離隔位置からプレス位置に移動させてプレスを行う。このとき、浅凹部形成用移動押圧子14aの先端部が板体2に当接した状態で浅凹部形成用受け部6a側に押圧されるので、三角錐状の浅凹部形成用受け部6aの錐壁面とガイド溝11cおよび傾斜した移動押圧子支持部11bとにより、浅凹部形成用移動押圧子14aは板体幅方向内側(浅凹部形成用受け部6bの最深部側)に移動する。したがって、浅凹部形成用移動押圧子14aの先端部の移動に伴って、板体2が外側から内側に引き込まれる。そして、プレス位置に移動すると、押圧子12が浅凹部形成用受け部6bに嵌合した状態となり、浅凹部形成用受け部6aと、浅凹部形成用固定押圧子13a及び浅凹部形成用移動押圧子14aとにより浅い凹部が形成される。
この結果、板体2の内側の凹部が形成される際に外側から材料が流入するような形で変形する(伸びる)。この結果、凹部が形成される際に板体2の伸びを均一にしやすくできる。
【0022】
次に、押し型4を離隔位置に戻した状態で、搬送幅Lだけ板体2を移動させて停止し、押し型4を再びプレス位置に移動させる。これにより、中深凹部形成用固定押圧子13bおよび中深凹部形成用移動押圧子14bにより、浅凹部形成用受け部6aで浅く形成された凹部が、中深凹部形成用受け部6bで更に深く加工される。
同様にして、搬送幅Lだけ板体2を搬送して、プレスすることにより、深凹部形成用受け部6cと深凹部形成用固定押圧子13cおよび深凹部形成用移動押圧子14cとによって、目的の深さの凹部が形成されたパネルを得ることができる。
【0023】
図3は実施例1のプレス装置により作成されたパネルの説明図である。
図3において、前記プレス装置1により作製されたパネル(凹部形成パネル、被接合パネル)21は、所定の一方向に凹んだ正三角錐(正四面体)状の凹部23が、前記深凹部形成用受け部6cに対応するパターンで複数形成されている。前記凹部23は、3つの正三角形状の錐壁23aと、凹部23の突端に形成された突端頂点23bと、正三角形状の空孔により構成された底面23cの頂点である3つの底頂点23dとを有する。前記凹部23は、前記各底頂点23dで、3つの底面23cの底頂点23dが集中するように配置されている。したがって、実施例1のパネル21では、3つの正三角錐状凹部23の三角形状底面23cにより囲まれた部分に、正三角形状の平面部24が配置されている。すなわち、前記正三角形状の平面部24の各辺は、前記各凹部23の底面23cの底辺と共通化され、正三角形状の平面部24の頂点(被接合部)が底頂点23dと共通化されている。このため、実施例1のパネル21では、正三角形状の底面23cと正三角形状の平面部24とにより平面充填状態となるように前記正三角錐状凹部23および平面部24が配置されている。
なお、前記パネル21は、各平面部24の各辺が隣接する各平面部24の1つの辺に対して直線状(図3の直線26参照)に配置されている。したがって、パネル21は、辺が連結された直線26に沿って、湾曲させたり、巻き取ったりすることができる(変形させることができる)。
【0024】
図4は図3に示すパネルと平板状板体とを接合した高剛性パネルの説明図であり、図4Aは接合する前の状態の説明図、図4Bは接合した後の状態の説明図である。
図5は図3に示すパネルどうしを接合した高剛性パネルの説明図であり、図5Aは接合前の状態の説明図、図5Bは接合後の説明図である。
前記パネル21は、平板(被接合パネル)27に接合したり(図4参照)、一対のパネル(凹部形成パネル、被接合パネル)21、21′の凹部23の突端頂点23bどうしを向かい合わせて、上側のパネル21の突端頂点23bを下側のパネル21′の底頂点23d′に接合する(図5参照)ことで、飛躍的に剛性が高まった高剛性パネル(21+27),(21+21′)を作製することができる(本出願人の先願である特願2005−307615号参照)。
【0025】
(カシメ装置(接合装置)の説明)
図6は実施例1の接合装置としてのカシメ装置の説明図である。
図4,図5に示す高剛性パネル(21+27),(21+21′)は、作成された状態では、非常に剛性が高く、変形(湾曲等)させるには非常に大きな力が必要となる。したがって、高剛性パネルを使用、設置する場所が湾曲している場合、作成後に高剛性パネルを湾曲等させることは困難である。このため、パネル21と平板状板体27(またはパネル21′)とを接合する際に、高剛性パネルを使用する場所の外形に応じて湾曲、変形させた状態で接合する必要がある。このとき、パネル21および平板状板体27(またはパネル21′)は金属製であり、弾性変形の範囲内で弾性復元力が作用するため、接合が不十分であると、接合が解除され、湾曲した形状を保持できない。
これに対応するために、図6に示す実施例1のパネル作成方法で使用されるカシメ装置(接合装置)31は、パネル21と平板状板体27(またはパネル21′)とを湾曲した状態で接合することで、高剛性パネル(21+27)を作製・成形する。なお、以下、パネル21と平板状板体27を接合する場合について説明し、パネル21、21′を接合する場合の説明を省略する。
【0026】
図6において、カシメ装置31は、接合用受け型32と、パネル21および板体27を挟んで接合用受け型32の上方に配置され、接合用受け型32に対して接近してパネル21および板体27を接合する接合位置と、接合用受け型32から離隔した離隔位置との間を移動可能な接合用押し型33とを有する。前記接合用受け型32の外表面32aおよび接合用押し型33の外表面33aは、高剛性パネル(21+27)を使用する場所に応じた湾曲した形状に形成されている。
【0027】
図7は実施例1の接合装置のカシメツール部分の説明図であり、図7Aはカシメる前の状態の説明図、図7Bは接合位置での説明図、図7Cはカシメた後の状態の説明図である。
前記接合用受け型32には、複数の上方に突出するポンチ34が支持されている。前記ポンチ34は、パネル21の凹部23の突端頂点23bに係合する位置に対応して配置されており、先端部34aが凹部23をくずさないように尖った形状に形成されている。前記接合用押し型33には、前記ポンチ34に対応して配置された下方に突出するダイ36が支持されている。図7において、前記ダイ36の先端部には、中央の平面部36aと、平面部36の外側に形成された凹溝36bと、凹溝36bの外側に形成された凸部36cとを有する。
前記ポンチ34およびダイ36により、実施例1のカシメツール(34+36)が構成されている。
【0028】
図6において、接合用押し型33を接合位置に移動させると、パネル21および板体27は、接合用受け型32および接合用押し型33の外表面32a、33aの形状に応じて湾曲した状態に変形する。このとき、図7Bに示すようにパネル21の突端頂点23bの部分と板体27とがポンチ34およびダイ36により押圧されて、変形する(カシメられる)。すなわち、板体27はダイ36の先端部の形状に応じて変形し、パネル21の凹部23の先端部は板体27の変形に伴ってダイ36の凹溝36b側(外側)に変形する。この結果、図7B、図7Cに示すように、凹部23の先端の変形部分37は、板体27の内側に食い込み且つ外側に広がった形状となるため、抜け止めされた状態となる。なお、このとき、凹部23の三角錐形状が保持されたまま、パネル21の凹部23の先端部が変形して板体27に接合される(カシメられる)。
【0029】
この結果、パネル21の凹部23の先端部が板体27にカシメられて、凹部23の三角錐形状が保持されたまま、パネル21が板体27に湾曲した状態で接合される。この状態では、パネル21および板体27の弾性復元力により元の平板状に戻るために変形しようとしても、カシメられているので、湾曲した状態で保持される。また、カシメ接合は剪断方向にも十分な強度を有する。したがって、パネル21および板体27を接合した高剛性パネル(21+27)としても使用可能である。
また、前記カシメ装置31により接合された高剛性パネル(21+27)のカシメられていない部分は、後述するスポット溶接装置で溶接することができ、カシメ装置31をスポット溶接装置41で溶接する前の仮止めを行う装置として使用することも可能である。
【0030】
(スポット溶接装置(接合装置)の説明)
図8は実施例1の接合装置の説明図であり、図8Aは平面図、図8Bは図8AのVIIIB−VIIIB線断面図である。
図8,図9において、実施例1のパネル作成方法で使用されるマルチスポット溶接装置(接合装置)41は、前記図3Cに示す一対のパネル21,21′が支持される下部電極支持体42と、前記下部電極支持体42の下方に離隔した離隔位置とパネル21,21′を押圧して溶接を行う溶接位置との間を移動可能な下部ガンチップ支持体43と、前記下部ガンチップ支持体43に対応して配置され前記下部電極支持体42との間でパネル21,21′を挟むパネル挟持位置とパネル21,21′から離隔した離隔位置との間を移動可能な上部電極支持体44と、前記下部電極支持体42に対応して配置され前記上部電極支持体44の上方に離隔した離隔位置とパネル21,21′を押圧して溶接を行う溶接位置との間を移動可能な上部ガンチップ支持体46とを有する。
図8Aにおいて、前記電極支持体42,44には、各ガンチップ支持体43,46が溶接位置に移動した時に浮動ガンチップ(後述)が通過するためのライン状の複数のスリット42a、44aが形成されている。前記スリット42a、44aの両側には、スポット抵抗溶接用の板状の電極42b、44bが支持されており、パネル21の各底頂点23dの位置に対応して所定の間隔を空けてすだれ状に配置されている。
【0031】
図9は実施例1の浮動ガンチップの説明図であり、図9Aは要部断面説明図、図9Bは図9AのIXB−IXB線断面図である。
図8において、前記ガンチップ支持体43,46には、パネル21の全ての突端頂点23bに対応して、複数の浮動ガンチップ47が支持されている。図9において、浮動ガンチップ47は、ガンチップ支持体43,46に固定支持された第1方向ガイド部材51を有する。前記第1方向ガイド部材51は第1方向Ya方向に沿って伸びる第1方向ガイドレール51aが形成されており、内側(パネル21,21′側)には第1方向Yaに伸びる第1方向スリット51bが形成されている。
前記第1方向ガイド部材51には、第1方向スリット51bを貫通する板状の第1方向被ガイド部材52が支持されている。前記第1方向被ガイド部材52は、前記ガイドレール51aにガイドされるコロ52aを有し、第1方向Yaに沿ってスライド移動可能に支持されている。
【0032】
前記第1方向被ガイド部材52の内端(パネル21,21′側端部)には、第2方向ガイド部材53が支持されている。前記第2方向ガイド部材53は、第1方向Ya方向およびガンチップ支持体43,46の移動方向(パネル21,21′に接近、離隔する方向)に対して直交する第2方向Ybに沿って伸びる第2方向ガイドレール53aを有する。また、前記第2方向ガイド部材53の内側(パネル21,21′側)には第2方向Ybに伸びる第2方向スリット53bが形成されている。
前記第2方向ガイド部材53には、第2方向スリット53bを貫通する板状の第2方向被ガイド部材54が支持されている。前記第2方向被ガイド部材54は、前記ガイドレール53aにガイドされるコロ54aを有し、第2方向Ybに沿ってスライド移動可能に支持されている。前記符号51〜54を付した部材により、実施例1の浮動機構(51〜54)が構成されている。
【0033】
前記第2方向被ガイド部材54の内端部には、通電される電極支持部材56が支持されており、前記電極支持部材56の内側には内側に突出する溶接用発熱体57が支持されている。したがって、浮動ガンチップ47は、前記第1方向ガイド部材51と第1方向被ガイド部材52、及び、第2方向ガイド部材53と第2方向被ガイド部材54によって、第1方向Yaおよび第2方向Ybにスライド自在な状態で支持されている。すなわち、ガンチップ支持体43,46の移動方向(パネル21,21′に接近、離隔する方向)に対して直交する面内で位置調節可能な状態で支持されている。
図8において、前記各浮動ガンチップ47は、電極支持体42,44のスリット42a、44aに沿ってライン状に配置されており、各ガンチップ47の電極支持部材56で電源供給部材58により接続されている。したがって、前記電源供給部材58によりライン状に接続されたガンチップ列59が、各スリット42a、44a毎に設けられている。前記電源供給部材58は導電性のバネ材により構成されており、無負荷状態で前記浮動ガンチップ47の位置を所定の位置に保持するように構成されている。
【0034】
したがって、実施例1のマルチスポット溶接装置41で溶接を行う場合、先ず2枚のパネル21,21′を重ね合わせた状態またはカシメ装置31で仮止めした状態で、下部電極支持体42の所定位置にセットする。そして、上部電極支持体43をパネル挟持位置に移動させてパネル21,21′を挟持した状態で、ガンチップ支持体43,46を溶接位置に移動させる。ガンチップ支持体43,46を溶接位置に移動させる際に、浮動ガンチップ47の溶接用発熱体57の位置と、溶接する部分である突端頂点23bとの位置がずれていても、第1方向Yaおよび第2方向Ybに移動自在な浮動ガンチップ47の溶接用発熱体57の先端と、パネル21の錐壁23aとの当接により浮動ガンチップ47は突端頂点23b側にガイドされ、溶接位置では溶接用発熱体57の先端は突端頂点23bの位置に自動的に位置調整される。
前記溶接位置において、一方のパネル(21)の突端頂点23bと他方のパネル(21′)の底頂点23dとが溶接用発熱体57および電極42b、44bにより挟圧された状態で、電流が供給されると、溶接用発熱体57、一方のパネル21(21′)の突端頂点23b(23b′)、他方のパネル21′(21)の底頂点23d′(23d)、電極42b、44bを電流が流れ、加熱、溶融されてスポット溶接される。この結果、全ての突端頂点23b、23b′と底頂点23d′、23dとが一度に溶接され、高剛性のパネル(21+21′)を作製することができる。
【0035】
(実施例1の作用)
したがって、前記構成を備えた実施例1のパネル作成方法では、プレス装置1によって、金属板体2からパネル21を作成する際に、凹部23を3段階で徐々に深く形成するので、凹部23形成時に一度だけプレスして材料を延ばす場合と比較して均一に延ばすことができる。特に、正三角錐では115%の伸びが必要であり、深さが正三角錐の1/2の三角錐でも39%の伸びが必要になるが、実施例1のプレス装置1では、移動押圧子14により板体幅方向の外側から内側に材料を引き込むようにしてプレスするので、深い凹部23を形成する場合にも材料が伸びきらず、途中で破断することなく十分な厚さを有する凹部23を形成することができる。特に、外側に配置された移動押圧子14の引込量αが大きくなっているので、外側から材料が流入する形になりやすく、伸びが均一になりやすい。さらに、凹部形成用受け部6および押圧子12が、2列ずつ形成され且つ上流側の一列分と下流側の一列分では半周期分位相がずれた状態で配置されているので、板体搬送方向に沿った方向の変形による材料の流入を期待することもでき、板体搬送方向に沿った方向でも伸びを均一にすることも期待できる。
【0036】
そして、実施例1のカシメ装置31によって、パネル21と板体27やパネルどうし21を凹部の形状を保持したまま先端部で接合することができ、多数の錐体状の凹部23により高い剛性を有する高剛性パネル(21+27)を作成できる。特に、接合した高剛性パネル(21+27)を設置する場所に応じた湾曲形状で作製または仮止めすることができる。
【0037】
さらに、実施例1のマルチスポット溶接装置41により、錐壁23aを有する2枚のパネル21,21′、27を、多数の突端頂点23bの部分で一度に溶接することができ、、生産性を向上させ、コストを低減することができる。また、マルチスポット溶接装置41は浮動ガンチップ47により自動的に位置調節されるため、パネル21の製造公差やマルチスポット溶接装置41への設置誤差等があっても自動的に位置が調節され、突端頂点23bで溶接することができる。したがって、マルチスポット溶接装置41の微調整やパネルの設置位置の微調整を行わずに、正確に突端頂点23b、23b′で溶接できるので、高速、高品質、低コストで高剛性パネルを作成することができる。
この結果、金属板体2から、多数の凹部23を有する高剛性パネルを高速、高品質且つ低コストで作製することができる。
【0038】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H09)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、カシメ装置31の説明において平板状板体27とパネル21との接合を例示したが、これに限定されず、マルチスポット溶接装置41と同様に、一対のパネル21,21′の接合を行うことも可能である。
逆に、マルチスポット溶接装置41において、下部電極支持体42と上部ガンチップ支持体46を省略し、上部電極支持体44と下部ガンチップ支持体43で、パネル21と板体27との接合を行うことも可能である。また、カシメ装置31で仮止めされた湾曲した高剛性パネルの湾曲形状に合わせて、浮動ガンチップ47の先端部のガンチップ支持体43,46からの突出量を調整することも可能である。
【0039】
(H02)前記実施例において、三角錐状の凹部を多数有するパネル21について説明したが、三角錐に限定されず、四角錐や六角錐等の多角錐や円錐状とすることが可能である。また、凹部を周期的に配置する場合を例示したが、これに限定されず、凹部を形成したい位置に応じて不規則に配置して、必要な凹部の伸び量に応じて移動押圧子による引込量を調整することも可能である。
(H03)前記実施例において、凹部の突端頂点の角を平らにして、三角錐台状とし、接合しやすくすることも可能である。
(H04)前記実施例において、カシメツール(34+36)や浮動ガンチップの数や位置は設計に応じて任意に変更可能であり、全ての突端頂点に対応してカシメツール(34+36)を配置したり、浮動ガンチップ47を間引きして配置することも可能である。
【0040】
(H05)前記実施例において、マルチスポット溶接装置41はガンチップ支持体43、46が移動可能な構成となっていたが、これに限定されず、各浮動ガンチップ47の発熱体57が電極支持部材56に対して突出可能に構成して、溶接時に突出するように構成することも可能である。
(H06)前記実施例において、プレス装置1は、3段階で徐々に凹部の深さを深くしたが、これに限定されず、2段階としたり、4段階以上とすることも可能である。
(H07)前記実施例において、カシメツール(34+36)は、接合用受け型32および接合用押し型33に固定支持されていたが、これに限定されず、接合用受け型32および接合用押し型33に対して進退可能に構成して、受け型32および押し型33でプレスして湾曲させた後にカシメツール(34+36)を突出させてカシメることも可能である。
【0041】
(H08)前記実施例において、カシメツール(34+36)では、ポンチを接合用受け型32に配置し、ダイを接合用押し型33に配置したが、逆に、接合用受け型にダイを配置し、接合用押し型にポンチを配置することも可能である。
(H09)前記実施例において、電源供給部材58をバネ状の部材により構成したが、これに限定されず、帯状ケーブル等任意の電源供給部材により構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は本発明の成形装置の実施例1の説明図であり、図1Aは受け型および板体の平面図、図1Bは押し型がプレス位置に移動した状態での図1AのIB−IB線断面図、図1Cは押し型が離隔位置に移動した状態での図1AのIC−IC線断面図である。
【図2】図2は実施例1のプレス装置の押し型の移動押圧子の要部拡大説明図であり、図2Aは移動押圧子の斜視説明図、図2Bは図2AのIIB−IIB線断面図、図2Cは移動押圧子による引込量の説明図である。
【図3】図3は実施例1のプレス装置により作成されたパネルの説明図である。
【図4】図4は図3に示すパネルと平板状板体とを接合した高剛性パネルの説明図であり、図4Aは接合する前の状態の説明図、図4Bは接合した後の状態の説明図である。
【図5】図5は図3に示すパネルどうしを接合した高剛性パネルの説明図であり、図5Aは接合前の状態の説明図、図5Bは接合後の説明図である。
【図6】図6は実施例1の接合装置としてのカシメ装置の説明図である。
【図7】図7は実施例1の接合装置のカシメツール部分の説明図であり、図7Aはカシメる前の状態の説明図、図7Bは接合位置での説明図、図7Cはカシメた後の状態の説明図である。
【図8】図8は実施例1の接合装置の説明図であり、図8Aは平面図、図8Bは図8AのVIIIB−VIIIB線断面図である。
【図9】図9は実施例1の浮動ガンチップの説明図であり、図9Aは要部断面説明図、図9Bは図9AのIXB−IXB線断面図である。
【符号の説明】
【0043】
21,21′…凹部形成パネル、
21,21′,27…被接合パネル、
23…凹部、
41…接合装置、
42b,44b…電極、
43,46…ガンチップ支持体、
47…浮動ガンチップ、
57…溶接用電極。
【出願人】 【識別番号】592065885
【氏名又は名称】城山工業株式会社
【出願日】 平成18年1月5日(2006.1.5)
【代理人】 【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行


【公開番号】 特開2007−181848(P2007−181848A)
【公開日】 平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願番号】 特願2006−725(P2006−725)