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【発明の名称】 変形追随遮水材
【発明者】 【氏名】久保 博
【氏名】塩田 耕三
【氏名】甚野 智子
【課題】含水比が低く、有機系材料を含まず、耐久性に優れた変形追髄遮水材を提供する。

【解決手段】本発明の変形追髄遮水材は、砂若しくは珪砂を母材として、かかる母材及びベントナイトをドライミックスし、これに水を加えて攪拌するとともに、水ガラスを加えてゲル状に改質したものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
砂及びベントナイトをドライミックスし、これに水を加えて攪拌するとともに、水ガラスを加えてゲル状に改質してなる変形追随遮水材。
【請求項2】
前記砂は、最大粒径が5mm以下であり、且つ平均粒径が1.5mmであることを特徴とする請求項1に記載の変形追随遮水材。
【請求項3】
請求項2に記載の変形追随遮水材において、
前記砂は、1,300〜1,550kg/m、前記ベントナイトは、80〜100kg/m、前記水は、400〜460kg/m、前記水ガラスは、0.5〜2.0kg/m、配合されてなることを特徴とする変形追随遮水材。
【請求項4】
珪砂及びベントナイトをドライミックスし、これに水を加えて攪拌するとともに、水ガラスを加えてゲル状に改質してなる変形追随遮水材。
【請求項5】
前記珪砂は、最大粒径が0.3mmであり、且つ平均粒径が0.15mmであることを特徴とする請求項4に記載の変形追随遮水材。
【請求項6】
請求項5に記載の変形追随遮水材において、
前記珪砂は、1,000〜1,300kg/m、前記ベントナイトは、80〜100kg/m、前記水は、460〜580kg/m、前記水ガラスは、0.5〜2.0kg/m、配合されてなることを特徴とする変形追随遮水材。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、管理型産業廃棄物最終処分場などの遮水工において用いられる変形追随遮水材に関し、特に、耐久性に優れた変形追髄遮水材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、海洋や陸地の管理型産業廃棄物最終処分場などの遮水工においては、鋼管矢板ジョイント部の充填材、或いは止水壁や地中連続壁の造成材として、変形追随性及び遮水性を有する変形追随遮水材が用いられている。かかる変形追随遮水材としては、例えば、変形追従型遮水材(特許文献1参照)やアスファルト混合物系遮水材(アスファルトマスチック:特許文献2参照)などが開発されている。これらの変形追随遮水材は、変形追随性、遮水性のみならず、耐久性、施工性、経済性なども要求されている。なお、変形追髄性についてはフロー値及びベーンせん断強度を指標にし、遮水性については透水係数を指標にして評価している。そして、これらの指標が所定基準(例えば、透水係数10−6cm/s以下)を満たすように各材料の配合がなされている。
【特許文献1】特開2002−336811号公報
【特許文献2】特許第3425943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の変形追随遮水材にあっては、含水比が極めて高く、有機系材料を含んだ配合であるが故に、耐久性が低いという問題があった。
【0004】
すなわち、特許文献1の変形追従型遮水材は、海成粘土懸濁液に粘土鉱物(例えば、ベントナイト)を加え、さらに珪酸塩類など(例えば、水ガラス)を加えてゲル状物質に改質したものである。そして、粘土鉱物としてベントナイトを使用する場合には、ベントナイトは海水中において膨潤する機能を十分に発揮できないので、ベントナイトを大量に使用しなければ、変形追随性及び遮水性を確保することができない。そのため、かかる変形追従型遮水材にあっては、大量の海水を使用することとなり、含水比が極めて高くなる(約120〜130%)。また、かかる変形追従型遮水材を前述の充填材に用いた場合には、自重沈下が約10〜15%認められ耐久性が低い。つまり、このように含水比が極めて高い変形追従型遮水材を充填材に使用した場合には、深さ方向に圧密沈下が進行し、その過程で水が上部あるいはジョイント部に移動するため遮水能が低下する。また、圧密沈下による水の抜け方は、開放面に近いほど早く抜ける一方で、開放面に遠いほど遅くなるため遮水能が不均一となってしまう。
【0005】
一方、特許文献2のアスファルト混合物系遮水材は、有機系材料であるアスファルトを含むため、長期的には微生物による劣化が生じて遮水能が低下してしまう。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、含水比が低く、有機系材料を含まず、耐久性に優れた変形追髄遮水材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の変形追髄遮水材は、砂及びベントナイトをドライミックスし、これに水を加えて攪拌するとともに、水ガラスを加えてゲル状に改質したものである。
かかる構成の場合には、砂及びベントナイトをドライミックスにより均一に混合してから、水及び水ガラスを加えることとなる。そのため、水及び水ガラスの添加量を少なくしても、これらの混合物をゲル状に改質して、変形追随性及び遮水性について所定基準を確保することができる。しかも、変形追髄遮水材の含水比が低下するので、耐久性が向上する。また、本発明の変形追髄遮水材を構成する、砂、ベントナイト、水、水ガラスは、いずれも無機系材料である。そのため、長期的にも微生物による劣化が生じ難く、遮水能が低下しにくいので耐久性が向上する。
【0008】
また、本発明において、前記砂は、最大粒径が5mm以下であり、且つ平均粒径が1.5mmであることが好ましい。
また、本発明において、前記砂は、1,300〜1,550kg/m、前記ベントナイトは、80〜100kg/m、前記水は、400〜460kg/m、前記水ガラスは、0.5〜2.0kg/m、配合されてなることが好ましい。
【0009】
さらに、本発明の変形追随遮水材は、珪砂及びベントナイトをドライミックスし、これに水を加えて攪拌するとともに、水ガラスを加えてゲル状に改質したものである。
かかる構成の場合には、珪砂及びベントナイトをドライミックスにより均一に混合してから、水及び水ガラスを加えることとなる。そのため、水及び水ガラスの添加量を少なくしても、これらの混合物をゲル状に改質して、変形追随性及び遮水性について所定基準を確保することができる。これにより、変形追髄遮水材の含水比が低下して、耐久性が向上する。しかも、本発明の変形追髄遮水材を構成する、珪砂、ベントナイト、水、水ガラスは、いずれも無機系材料であるため、長期的にも微生物による劣化が生じ難く、遮水能が低下しにくいので耐久性が向上する。
【0010】
また、本発明において、前記珪砂は、最大粒径が0.3mmであり、且つ平均粒径が0.15mmであることが好ましい。
また、本発明において、前記珪砂は、1,000〜1,300kg/m、前記ベントナイトは、80〜100kg/m、前記水は、460〜580kg/m、前記水ガラスは、0.5〜2.0kg/m、配合されてなることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、含水比が低く、有機系材料を含まず、耐久性に優れた変形追髄遮水材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の変形追髄遮水材について説明する。
本発明の変形追髄遮水材は、砂若しくは珪砂を母材として、かかる母材及びベントナイトをドライミックスし、これに水を加えて攪拌するとともに、水ガラスを加えてゲル状に改質したものである。
【0013】
すなわち、かかる構成の変形追随遮水材は、母材である砂若しくは珪砂とベントナイトとをドライミックスにより均一に混合してから、水及び水ガラスを加えて改質したものである。そのため、水及び水ガラスの添加量を少なくしても、これらの混合物をゲル状に改質して、変形追随性及び遮水性について所定基準を確保することができる。しかも、変形追髄遮水材の含水比が低下するので耐久性が向上する。また、本発明の変形追髄遮水材を構成する、母材、ベントナイト、水、水ガラスは、いずれも無機系材料である。そのため、長期的にも微生物による劣化が生じ難く、遮水能が低下しにくいので耐久性が向上する。
【0014】
変形追随性とは、液状若しくは塑性状を呈し、外力に対し自由に形状を変えることができる状態のことをいい、フロー値及びベーンせん断強度を指標としてその状態を知ることができる。フロー値は、粘土鉱物であるベントナイト、及び流動化剤若しくはゲル化剤である水ガラスの配合量に比例して低下する。フロー値が高い場合には液状を呈し、低い場合には塑性状態を呈する傾向にある。一方、ベーンせん断強度は、ベントナイト、及び水ガラスの配合量に比例して増加する。ベーンせん断強度が高い値の場合には塑性状態を通り越して亀裂が生じやすくなり、低い値の場合には液状を呈する傾向にある。
【0015】
なお、本発明において、変形追随性の指標となるシリンダーフロー値(φ8cm×h8cm)、及びベーンせん断強度の適正値は、それぞれ10〜16cm、0.001〜0.06kgf/cmである。また、遮水性の指標となる透水係数の適性値は、10−6cm/sec以下である。
【0016】
ところで、母材として砂を用いる場合には、最大粒径が5mm以下であり、且つ平均粒径が1.5mm前後のものが好ましい。このような砂としては、例えば、破砕砂(JIS A 5005)などがある。かかる場合にあっては、砂(破砕砂)は1,300〜1,550kg/m、ベントナイトは80〜100kg/m、水は400〜460kg/m、水ガラスは0.5〜2.0kg/m、配合されたものが好ましい。砂(破砕砂)が1,300kg/m未満であると、砂の減量分水が増加し、含水比が高くなる。その結果、フロー値が大きくなり、ブリージング(例えば、自重沈下や材料分離など)も大きくなってしまう。一方、砂(破砕砂)が1,550kg/mを超えると、砂の増加分水が減少し、流動性が低下する。その結果、フロー値を適性値にすることが困難となり、充填性が悪くなってしまう。なお、上記配合の場合には、砂の比重が2.7、ベントナイトの比重が2.6、水ガラスの比重が1.4であることより、砂:1,300〜1,550)/2.7+ベントナイト:(80〜100)/2.6+水:(400〜460)/1.0+水ガラス:(0.5〜2.0)/1.4=1,000Lの関係にある。
【0017】
また、母材として珪砂を用いる場合には、最大粒径が0.3mmであり、且つ平均粒径が0.15mm前後のものが好ましい。このような珪砂としては、例えば、7号珪砂などがある。かかる場合にあっては、珪砂は1,000〜1,300kg/m、ベントナイトは80〜100kg/m、水は460〜580kg/m、水ガラスは0.5〜2.0kg/m、配合されたものが好ましい。珪砂が1,000kg/m未満であると、砂の場合と同様の傾向が現れ、1,300kg/mを超えたときにも同様の傾向が現れる。
【0018】
以上の配合からなる本発明の変形追随遮水材は、変形追随性及び遮水性がいずれも前述の所定基準を満たすようになる。また、本発明の変形追随遮水材は、含水比が低いので耐久性が向上する。また、流動化剤若しくはゲル化剤である水ガラスの添加量が少なくてもよく、コスト低減にも寄与する。さらに、本発明の変形追随遮水材は、長期に渡り流動性が高い状態で保持されるため高品質である。また、変形追随遮水材には硬化材が含まれていないのでハンドリングが極めてよい。さらに、本発明の変形追随遮水材は、ポンプ圧送する場合にも適しており、水中打設の際に打設管を上昇させると、変形追随遮水材が穏やかに充填されて、自重でほぼ平坦となる。つまり、セルフレベリング性が良好である。また、本発明の変形追随遮水材は、適度の粘性を保持しており、ポンプやトレミー管を用いて水中打設する際に材料分離が極めて起こりにくい。そのため、本発明の変形追随遮水材は、ほとんど懸濁することなく打設管から流れ出すので、施工性も向上する。
【0019】
次に、本発明の実施例について説明する。本実施例では、母材として砂を用いた場合を実施例1とし、珪砂を用いた場合を実施例2として、各変形追髄遮水材の性能につき確認試験を実施した。その試験結果を表1に示す。
【0020】


【0021】
表1に示すように、実施例1の変形追随遮水材の配合は、砂(破砕砂:JIS A 5005):1,450kg/m、ベントナイト(群馬産のNa型ベントナイト):100kg/m、水(水道水):441.9kg/m、水ガラス(珪酸ナトリウム3号):1kg/mとした。
【0022】
また、実施例2の変形追随遮水材の配合は、珪砂(7号珪砂):1,250kg/m、ベントナイト(群馬産のNa型ベントナイト):100kg/m、水(水道水):487.7kg/m、水ガラス(珪酸ナトリウム3号):1kg/mとした。
【0023】
かかる配合とした場合において、実施例1、2の変形追随遮水材は、いずれも無機系材料のみで構成されており有機系材料を含んでいない。従って、前述したように耐久性が向上する。また、耐紫外線性が高く、化学変化が生じにくいことも耐久性の向上に寄与する。
【0024】
さらに、実施例1、2の変形追随遮水材は、それぞれ湿潤密度が1.94tf/m、1.82tf/mと極めて大きな値を示した。従って、かかる変形追随遮水材を水中打設する際に浮力が1.0tf/m程度作用したとしても、1.0Gの重力で容器壁面に荷重が働く。そのため、変形追随遮水材は容器との密着性が良く、施工性及び遮水性が向上する。
【0025】
さらに、実施例1、2の変形追随遮水材は、それぞれ含水比が28.5%、37.7%と極めて低い値を示した。かかる値は、土質系の流動化した遮水材としては極めて低い値であり、砂若しくは珪砂の空隙をベントナイトと水で過不足なく充填し、ほとんど自由水がない状態を示唆する。従って、本発明の変形追随遮水材は、自重圧密若しくはブリージングが生じにくい(例えば、1ヶ月で1%以下)。
【0026】
さらに、実施例1、2の変形追随遮水材は、それぞれシリンダーフロー値が15.3cm、15.4cmとなり、いずれも前述した適性値(10〜16cm)を満たした。また、実施例1、2の変形追随遮水材は、ベーンせん断強度が、それぞれ0.0026kgf/cm、0.0035kgf/cmとなり、いずれも前述した適正値(0.001〜0.06kgf/cm)を満たした。従って、変形追随性について所定基準を確保することができた。
【0027】
さらに、実施例1、2の変形追随遮水材は、それぞれ透水係数が4.60×10−8cm/sec、5.89×10−8cm/secとなり、いずれも前述した適正値10−6cm/sec以下を満たした。従って、透水性についても所定基準を確保することができた。
【0028】
以上のように、実施例1、2の変形追随遮水材は、いずれも変形追随性及び遮水性について所定基準を確保することができた。しかも、含水比が極めて低く、有機系材料が含まれていないので、耐久性に優れている。かかる変形追随遮水材は、管理型産業廃棄物最終処分場の遮水工だけでなく、その他の遮水工においても広く用いることができる。
【出願人】 【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
【出願日】 平成17年10月21日(2005.10.21)
【代理人】 【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
【公開番号】 特開2007−111651(P2007−111651A)
【公開日】 平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願番号】 特願2005−307120(P2005−307120)