| 【発明の名称】 |
有機ハロゲン化合物の分解処理方法及びマイクロ波内蔵型分解処理システム |
| 【発明者】 |
【氏名】伊藤 鉱一
【氏名】小川 仁
【氏名】下条 幹雄
【氏名】井樋 雅行
【氏名】梅田 陽子
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| 【要約】 |
【課題】柱上変圧器に使用された絶縁油など有機ハロゲン化合物が混入した油を、柱上変圧器容器内で短期間で無害化処理することができ、しかも、触媒を分離する手間が不要で、副反応生成物が生成する可能性が低い、有機ハロゲン化合物の分解処理方法及び分解処理システムを提供する。
【解決手段】容器内に充填又は保存された油に含まれる有機ハロゲン化合物を分解する分解処理方法であって、有機ハロゲン化合物を含む油に水素供与体及びアルカリ化合物を添加してなる混合液を、容器蓋体に取付けられた触媒充填装置に流通させながら容器内で循環させるとともに、容器内でマイクロ波を照射し、油中の有機ハロゲン化合物を分解する。油を充填又は保存した容器内に設置可能な触媒充填装置とマイクロ波発振器とを備えた容器蓋体と、該触媒充填装置に容器内の油等を供給する供給手段とを少なくとも備えたマイクロ波内蔵型の分解処理システム。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 容器内に充填又は保存された油に含まれる有機ハロゲン化合物を分解する分解処理方法であって、 触媒充填装置とマイクロ波発振器を備えた容器蓋体を前記容器に装着し、 前記有機ハロゲン化合物を含む油に水素供与体及びアルカリ化合物を添加してなる混合液を、前記容器内に設置された触媒充填装置に流通させながら容器内で循環させるとともに、 前記容器内で触媒層にマイクロ波を照射することにより、油中の有機ハロゲン化合物を分解することを特徴とする有機ハロゲン化合物の分解処理方法。 【請求項2】 前記水素供与体が、複素環式化合物、アミン系化合物、アルコール系化合物、ケトン系化合物及び脂環式化合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物である請求項1に記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法。 【請求項3】 前記水素供与体の添加量が、有機ハロゲン化合物を含む油に対する割合として、5〜50%(vol)である請求項1又は2に記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法。 【請求項4】 前記アルカリ化合物が、苛性ソーダ、苛性カリ、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法。 【請求項5】 前記アルカリ化合物の添加量が、水素供与体に対する割合として、0.1〜40%(w/v)である請求項1〜4のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法。 【請求項6】 前記油に添加する水素供与体及びアルカリ化合物が、アルカリ化合物を水素供与体に溶解したものである請求項1〜5のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法。 【請求項7】 前記触媒が、炭素結晶化合物、金属担持炭素化合物、金属担持酸化物及び金属担持複合酸化物からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物である請求項1〜6のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法。 【請求項8】 前記油が炭化水素油で、前記有機ハロゲン化合物がポリ塩化ビフェニールである請求項1〜7のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法。 【請求項9】 前記容器が柱上変圧器で、前記触媒充填装置が柱上変圧器内の巻き線上に配置されている請求項1〜8のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法。 【請求項10】 容器内に充填又は保存された油に含まれる有機ハロゲン化合物を分解する分解処理システムであって、 マイクロ波発振器と前記容器内に設置可能な触媒充填装置とを備えた容器蓋体と、 該触媒充填装置に前記容器内の油等を供給する供給手段と を少なくとも備えたことを特徴とするマイクロ波内蔵型の分解処理システム。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、容器内に充填又は保存された油に含まれる有機ハロゲン化合物を分解して油を無害化する有機ハロゲン化合物の分解処理方法及び分解処理システムに関し、詳細には、柱上変圧器内に充填又は保存された絶縁油に含まれるポリ塩化ビフェニール等を分解して油を無害化する、有機ハロゲン化合物の分解処理方法及び分解処理システムに関する。 【背景技術】 【0002】 各種有機ハロゲン化合物のなかでも、ポリ塩化ビフェニール(以下PCBと略称することがある。)は人体を含む生体に極めて有害であることから、1973年に特定化学物質に指定され、その製造、輸入、使用が禁止されている。しかし、その後適切な廃棄方法が決まらないまま数万トンのPCBが未処理の状態で放置されている。PCBは、高温(30〜750℃)分解では強毒性のダイオキシン類である塩素化ジベンゾ−p−ダイオキシン(PCDD)とジベンゾフラン(PCDF)が副生することから、技術的にPCBを安全に分解することが難しく、永年にわたりPCBの安全で効率的な各種分解法が検討されている。 【0003】 例えば、特許文献1には、炭素系触媒担体に担持された白金族触媒と芳香族系塩素化合物とを含む反応系に、水素ガスを吹き込みながらマイクロ波を照射することにより芳香族系塩素化合物を脱塩素化する方法が提案されている。 【0004】 また、特許文献2には、PCBを少量含む炭化水素油を、ナトリウムエトキシドやNaOH等のアルカリ物質の存在下、高沸点かつ耐熱アルカリ性極性溶剤(1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン)と100〜300℃で接触させたのち、炭化水素油と溶剤とを分液することにより、炭化水素油からPCBを除去する方法が記載されている。 【0005】 また、特許文献3には、PCBを含有する柱上変圧器、水および酸化剤を収納するオートクレーブを加熱し、水を超臨界状態にしてPCBを酸化分解することにより、PCBを含有する柱上変圧器を無害化する方法が提案されている。この方法は、柱上変圧器から絶縁油を分離することなく、そのままの状態で無害化処理し、変圧器内の絶縁油に含まれるPCBと変圧器に付着する絶縁油に含まれるPCBを同時に一括して無害化処理することを目的とするものである。 【0006】 また、特許文献4には、PCBを含有する絶縁油を使用した柱上変圧器から絶縁油を抜油したのち、水で洗浄し、更に炭化水素系溶剤で洗浄することにより、柱上変圧器を無害化する方法が提案されている。この方法では、分離された油分をアルカリ金属ターシャリーブトキシドを反応剤として用いて加熱攪拌することで無害化している。配電用柱上変圧器からPCBを含有する絶縁油を効率的かつ安全に回収し、膨大な配電用柱上変圧器の保管に伴うスペースを低減することを目的とするものである。 【0007】 さらに本発明者らは、特許文献5において、容器内に設置した触媒充填装置を用いて、常温で有機ハロゲン化合物を分解処理する方法を提案した。 【0008】 【特許文献1】特開2001−19646号公報(請求項1、段落番号0009の実施例1等) 【特許文献2】特開平6−25691号公報(請求項1、段落番号0004、第3頁の表1) 【特許文献3】特開2000−116814号公報(請求項1、第6頁の図1、段落番号0008等)。 【特許文献4】特開2001−246014号公報(請求項1、請求項9、段落番号0013、段落番号0030、2頁右欄下4行〜末行)。 【特許文献5】特許第3626960号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 しかしながら、特許文献1記載の方法では、水素ガスを芳香族塩素系化合物を含む反応系に外部から供給する必要があり、実用的な手法としては好ましくない。また、特許文献2記載の方法で使用されている溶媒DMIは2000円/kgと高価であり、また、該方法では残存PCB割合が多く、脱塩素化を十分行うためには反応時間を長くする必要があるため、PCBの大量処理には不向きである。 【0010】 特許文献3記載の方法は、変圧器から絶縁油を分離することなく無害化処理できる利点があるが、圧力容器に柱上変圧器を丸ごと入れ、水と酸化剤を添加して圧力容器を加熱することにより水を超臨界状態にしてPCBを酸化分解するので、大掛かりな装置が必要となる。また、特許文献4は柱上変圧器から抜き取った油の分解処理方法について開示しているが、容器中でPCBを分解処理することについては何ら言及していない。 【0011】 さらに、従来はバッチ式の処理のため、大量に処理するためには設備が非常に大きくなるとともに、粉末触媒をそのまま油中に投入するため、無害化処理済み後の廃油中から触媒を分離するのに大きな手間がかかっていた。また、固定床式の触媒を使用するとPCBとの接触機会が減り、反応が満足に進まないなどの問題があった。さらに、油中のクラスターの影響を除去するため超音波を照射すると効果的ではあるが、バッチ式では触媒も破壊されるなどの問題があった。 【0012】 また、PCB処理設備の建設にはアセスメントが必要であることより、変圧器貯蔵所などの現場でPCBの無害化処理が可能で、しかも、PCBを安全に大量処理することができ、かつ安価に分解処理できる方法の開発が望まれていた。その点、特許文献5記載の方法は優れた処理方法であるが、油を短時間で分解処理したいときに課題があった。 【0013】 本発明は、前記従来の課題に鑑みてなされたものであり、柱上変圧器に使用された絶縁油など有機ハロゲン化合物が混入した油を、柱上変圧器等の容器内で短期間で無害化処理することができ、しかも、触媒を分離する手間が不要で、副反応生成物が生成する可能性が低い、有機ハロゲン化合物の分解処理方法及び分解処理システムを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0014】 本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、有機ハロゲン化合物が微量混入した柱上変圧器内の油に、水素供与体とアルカリを添加し、その混合液を内蔵型触媒充填装置に流通させながら容器内で循環させるとともに、前記触媒に、容器蓋体に取付けたマイクロ波発振器からマイクロ波を照射することにより、油中の微量有機ハロゲン化合物を短期間で簡易に無害化処理できることを、本発明を完成するに至った。 【0015】 すなわち、本発明は以下のとおりである。 1)容器内に充填又は保存された油に含まれる有機ハロゲン化合物を分解する分解処理方法であって、 触媒充填装置とマイクロ波発振器を備えた容器蓋体を前記容器に装着し、 前記有機ハロゲン化合物を含む油に水素供与体及びアルカリ化合物を添加してなる混合液を、前記容器内に設置された触媒充填装置に流通させながら容器内で循環させるとともに、 前記容器内で触媒層にマイクロ波を照射することにより、油中の有機ハロゲン化合物を分解することを特徴とする有機ハロゲン化合物の分解処理方法、 2)前記水素供与体が、複素環式化合物、アミン系化合物、アルコール系化合物、ケトン系化合物及び脂環式化合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物である前記1)に記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法、 3)前記水素供与体の添加量が、有機ハロゲン化合物を含む油に対する割合として、5〜50%(vol)である前記1)又は2)に記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法、 4)前記アルカリ化合物が、苛性ソーダ、苛性カリ、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド及び水酸化カルシウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物である前記1)〜3)のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法、 5)前記アルカリ化合物の添加量が、水素供与体に対する割合として、0.1〜40%(w/v)である前記1)〜4)のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法、 6)前記油に添加する水素供与体及びアルカリ化合物が、アルカリ化合物を水素供与体に溶解したものである前記1)〜5)のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法、 7)前記触媒が、炭素結晶化合物、金属担持炭素化合物、金属担持酸化物及び金属担持複合酸化物からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物である前記1)〜6)のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法、 8)前記油が炭化水素油で、前記有機ハロゲン化合物がポリ塩化ビフェニールである前記1)〜7)のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法、 9)前記容器が柱上変圧器で、前記触媒充填装置が柱上変圧器内の巻き線上に配置されている前記1)〜8)のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法、 10)容器内に充填又は保存された油に含まれる有機ハロゲン化合物を分解する分解処理システムであって、 マイクロ波発振器と前記容器内に設置可能な触媒充填装置とを備えた容器蓋体と、 該触媒充填装置に前記容器内の油等を供給する供給手段と を少なくとも備えたことを特徴とするマイクロ波内蔵型の分解処理システム。 【発明の効果】 【0016】 本発明の有機ハロゲン化合物の分解処理方法によれば、容器に充填又は保存されている有機ハロゲン化合物が混入した油と水素供与体とアルカリ化合物とを混合し、得られた混合液を容器内に配置した触媒充填装置に流通させながら容器内で循環させるとともに、容器内でマイクロ波を照射するので、有機ハロゲン化合物を常温常圧下で短期間に分解処理することができ、しかも、汚染油を回収する必要がなく、変圧器貯蔵所などの現場でも新たな装置の設置スペースを設ける必要がなく、その場で脱ハロゲン化処理を実施することができる。また、マイクロ波発振器と触媒充填装置を備えた蓋体を容器に装着するだけで分解処理できるので、蓋体を移動させるだけで、順次容器内の油を無害化処理することができる。 【0017】 また、分解処理に用いる水素供与体及び/又はアルカリ化合物を選択することにより、有機ハロゲン化合物の分解処理を高い効率で行うことができ、さらに、それらの使用量を規定することにより、有機ハロゲン化合物の分解処理をより高い効率で行うことができる。また、予めアルカリ化合物を水素供与体に溶解しておいた溶液を油に添加することにより、有機ハロゲン化合物の初期分解速度を高めることができる。 【0018】 また、分解処理に用いる触媒として、炭素結晶化合物、金属担持炭素化合物、金属担持酸化物及び金属担持複合酸化物から選ばれた少なくとも一つの化合物を用いることにより、有機ハロゲン化合物の分解処理を高い効率で行うことができ、処理コストを低減することができる。 【0019】 本発明の有機ハロゲン化合物の分解処理システムは、容器内に充填又は保存された有機ハロゲン化合物含有油を無害化する有機ハロゲン化合物の分解処理システムであって、 マイクロ波発振器と前記容器内に設置可能な触媒充填装置とを備えた容器蓋体と、 該触媒充填装置に前記容器内の油等を供給する供給手段と を少なくとも備えているので、柱上変圧器に容器蓋体をかぶせ、有機ハロゲン化合物混入油を該触媒充填装置に流通させてマイクロ波を照射することにより、設備付加が不要となり、しかも油中の有機ハロゲン化合物を短期間に容器内で分解することができるコンパクトな分解システムとなる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0020】 以下、本発明に係る有機ハロゲン化合物の分解処理方法及び分解処理システムについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。 【0021】 本発明の分解処理方法及び分解処理システムは、有機ハロゲン化合物を含有する油(含有量:1ppm〜10,000ppm、好ましくは1ppm〜500ppm)が充填又は保存された容器に、容器内に設置可能な触媒充填装置とマイクロ波発振器を備えた蓋体を装着した後、この触媒充填装置に容器内の油を流通させて有機ハロゲン化合物を触媒に接触させる操作を行いながら、容器内で触媒層にマイクロ波を照射し、油中の有機ハロゲン化合物を分解処理するものである。有機ハロゲン化合物の分解処理を促進するために、油に水素供与体及びアルカリ化合物を混合する。前記の容器としては、例えば、柱上変圧器、大型トランス、OFケーブル油槽等が挙げられるが、柱上変圧器が好ましい。 【0022】 本発明の分解処理対象である有機ハロゲン化合物としては、例えば、ポリ塩化ビフェニール類(PCB)やダイオキシン類等を挙げることができ、その種類は特に限定されるものではないが、好ましくはPCB類である。PCB類の市販品としては、例えば、鐘淵化学(株)のKC−200(主成分:2塩化ビフェニール)、KC−300(主成分:3塩化ビフェニール)、KC−400(主成分:4塩化ビフェニール)、KC−500(主成分:5塩化ビフェニール)、KC−600(主成分:6塩化ビフェニール)や、三菱モンサイト(株)のアロクロール1254(54% Chlorine)等を挙げることができる。 【0023】 本発明の分解処理方法は、有機ハロゲン化合物の中でも、一般に脱ハロゲン化が困難であるPCB類を少量ないし微量含む油の分解処理に好適である。油としては、炭化水素油等が挙げられ、具体的には、電気絶縁油、熱媒体用の油、潤滑油、あるいは、固体中に含まれる有機ハロゲン化合物を抽出した鉱油等が挙げられる。 【0024】 図1は、本発明の分解処理システムの一実施形態を示す概略図であり、柱上変圧器6に充填された有機ハロゲン化合物含有油の分解処理の一例を示すものである。図1に示したように、本発明の分解処理システム1は、有機ハロゲン化合物を含有する油に、水素供与体及びアルカリ化合物を添加してなる混合液(以下、「被処理液」という。)7の入った柱上変圧器6、マイクロ波発振器20と柱上変圧器6内に設置可能な触媒充填装置10とを備えた容器蓋体8と、被処理液7を該触媒充填装置に供給する供給手段(ポンプ)18とを主たる構成要素として構成される。マイクロ波発振器20は、容器蓋体8の外面に取付けられている。触媒充填装置10には、温度計用の熱電対21、温度コントローラー用熱電対23が備えられ、容器6には温度計用熱電対22が備えられている。 【0025】 図1において、15は柱上変圧器6に充填されている被処理液の液面を示している。ポンプ18の取り付け位置は特に限定されるものではなく、図示したように柱上変圧器6の外部、あるいは内部のいずれに備えられていてもよい。また、各ポンプには、被処理液7をポンプ18を介して触媒充填装置10に供給するための供給ライン19が、各ポンプ毎に備えられている。これにより、被処理液を触媒充填装置に供給して有機ハロゲン化合物を触媒と接触させる。 【0026】 柱上変圧器6は、図示を省略しているが、水素供与体及びアルカリ化合物の供給ラインを備えていてもよい。あるいは、水素供与体とアルカリ化合物を予めプレミックスして水素供与体にアルカリ化合物を溶解させたものを保管する図示しない装置(プレタンク)を設置し、該装置から柱上変圧器2へ水素供与体及びアルカリ化合物を供給する供給ライン(図示を省略する)を備えていてもよい。 【0027】 図1に示す触媒充填装置10は、フランジ17により容器蓋体8に取付けられている。また触媒充填装置10には、有機ハロゲン化合物を分解しうる後述する触媒が充填された触媒層12が、目皿板11の上に形成されている。被処理液7は、図中の矢印で示すように循環配管19、ポンプ18、供給配管を介し、触媒充填装置10内に形成された触媒層12の上部に導入される。導入された被処理液は触媒層12を流通し、触媒層流通後の被処理液7は、触媒充填装置10の下部から排出配管13を介して矢印の方向に流れ出る。かくして、被処理液が触媒と接触することにより、被処理液中の有機ハロゲン化合物は分解する。触媒充填装置10内には、液面レベル16に対応させたオーバーフロー液排出配管14が具備されている。これにより、触媒充填装置内で被処理液がオーバーフローするのを回避できる。 【0028】 触媒充填装置10内の液面16は、容器6内の液面15よりも高く維持されるので、触媒充填層の通過液を自重で柱上変圧器内に戻すことができ、柱上変圧器から触媒充填装置への液供給手段を設けるだけで排出手段は不要となる。 【0029】 図2は、図1に示す触媒充填装置10の目皿板11周辺の上面図である。被処理液は、SUSメッシュフィルター等で形成された目皿板11に設けられた流通孔11aを通過して、下方に流出した後、排出配管13から溢れ出る。流通孔11aの数は制限されないが、被処理液が均一に広がるように、触媒充填装置全体に存在させるのがよい。流通孔11の大きさにも限定はないが、被処理液が流通可能で、かつ、触媒を保持可能な程度の大きさ(50μm〜5mmφ、より好ましくは0.1mm〜1mmφ程度)のものが好ましい。 【0030】 本発明の分解処理システムに使用する触媒充填装置は、柱上変圧器等の容器内部に設置可能な大きさであれば、形状や大きさ等は特に限定されるものではなく、種々の形態であってよいが、図1に例示するように、柱上変圧器6の内部巻き線2上に配置することが望ましい。触媒層の液流通断面積を柱上変圧器の内径に応じて大きく設計することができ、空間速度(SV)を一定にした場合でも液流速を高められることで、分解所要時間を短縮できるからである。 【0031】 触媒充填装置は、その全体が被処理液に浸漬している必要はなく、その上部が被処理液の液面より上にあっても構わない。図1に示すように、触媒層12が被処理液7に浸漬している場合は、触媒充填層全体が流動化し易くなるため、被処理液のショートパスが少なくなり、短時間で油を無害化することができると考えられる。 【0032】 また、容器蓋体8の容器外面側には、マイクロ波発振器20が取付けられているため、触媒層12に、容器内で、上方からマイクロ波を照射することができる。このため、触媒層を流通する被処理液は、照射されるマイクロ波によって加熱された触媒と接触する。かくして、被処理液中の有機ハロゲン化合物はマイクロ波を照射しない場合に比べて、格段に早い速度で分解する。 【0033】 触媒充填装置10に導入された被処理液7は、触媒充填装置の触媒層12を連続的に流通しながら、柱上変圧器6内に流出するので、被処理液を容器6内と触媒充填装置10との間で循環させることができる。柱上変圧器内に戻された被処理液は、柱上変圧器内に残存していた被処理液と混合される。混合された被処理液中の有機ハロゲン化合物が所定の濃度以下になるまで、被処理液を、柱上変圧器と触媒充填装置との間を循環させる。 【0034】 上記の循環操作によって、マイクロ波分解用触媒層を通過した高温の被処理液は、大量の被処理液を収容する柱上変圧器内の被処理液と混合されて液温が低下するため、マイクロ波をフル出力に近い出力で照射することが可能になる。そのため、被処理液を循環しない状態で流通させたときよりも、有機ハロゲン化合物の分解効率が向上する。 【0035】 また、配管19上の少なくとも1箇所の任意の場所に、冷却手段として、コンデンサなどの冷却装置を設置することもできる。これにより、マイクロ波分解用触媒層通過後の高温の被処理液を冷却することができ、マイクロ波分解用触媒層により低温の被処理液を供給することが可能になるため、高出力のマイクロ波を照射することが可能になる。したがって、冷却手段を設けない場合に比べて、有機ハロゲン化合物の分解効率が一段と向上する。 【0036】 ただし、触媒充填装置におけるマイクロ波照射は、必要に応じて行えば良いので、その回数や時期は限定されない。マイクロ波の照射は、迅速処理の観点からはできるだけ連続照射またはできるだけ長時間の照射が望ましいが、運転の安全やコスト、人員の確保等を考慮すると、昼間のみ行うことが望ましい。後者の場合は、昼間はマイクロ波を照射し、夜間は非照射で循環のみ行うのがよい。 【0037】 また、本発明の分解処理システムは、例えば触媒充填装置10の被処理液入口近傍に、被処理液7内に形成されたクラスターを破壊可能な超音波発生装置等のクラスター破壊装置を備えていてもよい(図示は省略する)。有機ハロゲン化合物を溶解している溶媒が絶縁油等の油の場合、有機ハロゲン化合物と溶媒分子とがクラスターを形成する可能性があり、有機ハロゲン化合物の分解を阻害する恐れがある。超音波発生装置等のクラスター破壊装置を備えることは、これらクラスターを破壊し、有機ハロゲン化合物をむき出しにして分解反応をおこし易くする効果があると考えられる。 【0038】 次に、上記分解処理システムの使用方法とともに、本発明に係る有機ハロゲン化合物の分解処理方法の一実施形態について、図1を参照しつつ具体的に説明する。 【0039】 まず、図1に示す微量ないし少量のPCBが混入した油の入った柱上変圧器6に、後述する水素供与体及びアルカリ化合物を添加して被処理液を調製する。必要に応じて容器内を攪拌、混合する。次に、触媒充填装置10及びマイクロ波発振器20が取付けられた蓋体8を容器6に装着し、液漏れやマイクロ波漏れがないことを確認する。 【0040】 次に、被処理液7を、触媒が充填された触媒充填装置10に連続的に流通させて有機ハロゲン化合物を脱ハロゲン化処理する。流通時間は特に限定されないが、通常、1〜2週間行う。 【0041】 反応の雰囲気は不活性ガス中で行うことが、望ましくない副反応が起きないので、より好ましい。但し、汚染油の処理環境によっては不活性ガスの調達が困難な場合もあり得るため、自然雰囲気中で反応を行うこともできる。 【0042】 触媒層12に照射するマイクロ波の出力や周波数、照射方法は、特に限定されるものではなく、反応温度が所定の範囲に保持できるよう電気的に制御すればよい。出力が低すぎる場合は水素発生量が少なくなり、出力が高すぎる場合はマイクロ波の利用率が悪くなるため、電気的に制御しながら10W〜20kWの範囲とするのが望ましい。マイクロ波の周波数は1〜300GHzが望ましい。1GHz未満又は300GHzを超える周波数範囲では、触媒や水素供与体の加熱が不十分となる。マイクロ波の照射は連続照射、間欠照射のいずれの方法であってもよいが、電気的に制御しながら連続照射するのが好ましい。マイクロ波発振器としては、マグネトロン等のマイクロ波発振器や、固体素子を用いたマイクロ波発振器等を適宜用いることができる。 【0043】 触媒充填装置における反応温度は200℃以下が望ましく、好ましくは100℃以下、特に好ましくは15〜80℃の範囲である。反応温度を15℃以上にすることにより、分解反応が進行する。一方、200℃を超える場合は、脱塩素化反応は十分進むが、副生物が生成し易くなり、また経済性にも劣るものとなる。 【0044】 また、マイクロ波を照射していない間も、液循環を継続させることができる。この場合の反応温度は特に限定されないが、装置の簡略化を図るためには、加熱装置を設置せずに実施することが好ましい。通常15〜25℃である。ただし、副反応生成物を抑制しつつ脱ハロゲン化効率を高める観点より、適宜、加温することもできる。 【0045】 以上の分解処理を行うことにより、劣化していない油に対しては、25℃、1週間程度で油中の有機ハロゲン化合物含有量を0.5ppm以下に減少させることができる。 【0046】 本発明において油に添加する「水素供与体」としては、例えば、複素環式化合物、アミン系化合物、アルコール系化合物、ケトン系化合物、及び脂環式化合物等の有機系水素供与体等が挙げられる。これらの化合物の中でも、安全性の観点より、アルコール系化合物、ケトン系化合物、脂環式化合物が好ましく、特に、安全性が高く、低コストで入手可能であり、しかも反応制御が容易で、PCB分解効率が高い点より、アルコール系化合物が好ましい。これらの水素供与体は、単独で又は二種以上を任意に組合わせて使用することができる。 【0047】 ここで、前記のアルコール系化合物としては、脂肪族アルコール、芳香族アルコールのいずれであってもよく、直鎖又は分岐鎖を有する一価アルコールや多価アルコールを用いることができる。アルコール系化合物の炭素数は1〜12の範囲が好ましく、より好ましくは2〜9の範囲、さらに好ましくは3〜6の範囲である。前記アルコール系化合物の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール等の脂肪族アルコール、シクロプロピルアルコール、シクロブチルアルコール、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、シクロヘプチルアルコール、シクロオクチルアルコール等の脂環式アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、デカリンジオール等の多価アルコール等が挙げられる。これらの中でも、分解効率の点から2−プロパノール、シクロヘキサノールが特に好ましい。 【0048】 また、アルカリ化合物としては、有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を促進しうるものであれば制限なく使用することができるが、脱ハロゲン化効率を高める観点より、苛性ソーダ、苛性カリ、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、水酸化カルシウム等が好ましく用いられる。中でも、コストやハンドリング性の観点より、苛性ソーダ、苛性カリが特に好ましい。アルカリ化合物は、単独で又は二種以上を任意に組合わせて使用することができる。 【0049】 本発明の分解処理方法では、上記の水素供与体及びアルカリ化合物を事前にプレ攪拌してアルカリ化合物を水素供与体に溶解させておいたものを用いてもよい。 【0050】 水素供与体は、有機ハロゲン化合物含有油に対し、5〜50%(vol)用いることが好ましく、より好ましくは10〜40%(vol)である。水素供与体の量が5%未満では溶液の粘度が高くなり、また分解反応が進まなくなる。また、水素供与体の量が50%を超えると、反応は十分進むが実用上意味がなく、また容器の許容量を超えるおそれがある。 【0051】 また、アルカリ化合物は、水素供与体に対する割合として、0.1〜40%(w/v)とするのが好ましく、より好ましくは0.2〜20%(w/v)である。前記割合が0.1%未満では分解反応が進まず、40%を超えるとアルカリ化合物が溶解しきれなくなる。アルカリ化合物は、有機ハロゲン化合物含有油に対し、0.02〜10%(w/v)用いることが好ましい。 【0052】 本発明の分解処理方法においては、容器内の油と水素供与体及びアルカリ化合物を混合する場合は、振とうによる外部からの攪拌、攪拌子による内部からの攪拌、超音波によるミクロ的な攪拌など、いずれの方法を用いてもよい。振とうによる外部からの攪拌としては、例えば、柱上変圧器などの容器を、振動式攪拌機、振動台、振とう機等を用いて加振する方法(例えば、垂直および/または水平方向へ平行振動させる方法、回旋振動させる方法など)などが挙げられる。攪拌子による内部からの攪拌としては、例えば、攪拌羽根やマグネチックスターラー等の攪拌子を用いて被処理液を攪拌する方法などが挙げられる。攪拌する場合は、連続攪拌、間欠攪拌のいずれの方法を採用してもよい。 【0053】 本発明の触媒充填装置に充填する触媒としては、ポリ塩化ビフェニールの脱ハロゲン化反応を促進しうるものであれば制限なく使用することができ、その種類は特に限定されない。無機系触媒は触媒寿命が長く、かつ、アルカリ化合物存在下でも安定であるため、有機系触媒よりも好ましい。無機系触媒の好ましい具体例としては、脱ハロゲン化効率を高める観点より、複合金属酸化物、炭素結晶化合物、金属担持炭素化合物、金属担持酸化物、金属担持複合金属酸化物及び金属酸化物等が好ましく用いられる。中でも、アルカリ性雰囲気で安全性が高い点より、炭素結晶化合物、金属担持炭素化合物、金属担持酸化物及び金属担持複合酸化物が好ましく、特にマイクロ波吸収性の高い金属担持炭素化合物が好ましい。これらの触媒は、単独で又は二種以上を任意に組合せて使用することができる。また、上記の方法で再生された再生触媒を使用してもよい。 【0054】 ここで、前記の炭素結晶化合物としては、グラファイト、カーボンナノチューブ(金属を含むものと含まないものの双方が含まれる)、フラーレン等が挙げられる。 【0055】 また前記の金属担持炭素化合物としては、金属を担持した炭素化合物であれば制限なく用いることができ、その金属担持量は、触媒全量に対して0.1〜20wt%、より好ましくは0.1〜10wt%であるのがよい。担持される金属としては、例えば、鉄、銀、白金、ルテニウム、パラジウム、ロジウム等が挙げられ、脱ハロゲン化効率を高める観点より、パラジウム、ルテニウム、白金が好ましい。金属担持炭素化合物の具体例としては、例えば、Pd/C(パラジウム担持炭素化合物)、Ru/C(ルテニウム担持炭素化合物)、Pt/C(白金担持炭素化合物)等が挙げられる。 【0056】 前記の金属担持酸化物及び金属担持複合酸化物は、金属を担持した酸化物、複合酸化物であれば制限なく用いることができ、その金属担持量及び金属の種類は、上記の金属担持炭素化合物と同様である。金属担持酸化物の具体例としては 例えば、Pd/TiO2(パラジウム担持2酸化チタン)等が挙げられる。金属担持複合酸化物の具体例としては、例えば、Pd/SiO2・Al2O3(パラジウム担持シリカ−アルミナ)等が挙げられる。 【0057】 金属担持炭素化合物等の触媒は、粒状のものでもハニカム状のものでもよい。粒状の場合はカラムの上下をメッシュ等で固定する必要があり、その場合の粒子径は75μm〜10mmが好ましい。10mmを超える場合は比表面積が不足し、75μm未満の場合はメッシュが詰まり差圧が高くなる。より好ましくは150μm〜5mmが望ましい。触媒粒子は、できるだけ粒子径のそろったものがよい。 【0058】 本発明の分解処理方法及びシステムによれば、油中に混入した有機ハロゲン化合物の濃度が短期間に0.5ppm以下にまで分解されるので、分解処理後の油を回収して後処理することにより、燃料などとして再利用することができる。 【0059】 本発明の有機ハロゲン化合物の分解処理方法によれば、外部から水素ガスや熱を加える場合より若干遅い速度で有機ハロゲン化合物が分解し脱ハロゲン化される。その機構は明らかではないが、アルカリ化合物が有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化反応を促し、そこに水素供与体からの水素ラジカルが入り込むものと考えられる。 【図面の簡単な説明】 【0060】 【図1】本発明に係る有機ハロゲン化合物の分解処理システムの一実施形態を示す正面概略図である。 【図2】本発明に係る触媒充填装置の目皿板周辺の上面図である。 【符号の説明】 【0061】 1 分解処理システム 2 柱上変圧器内部巻き線 6 柱上変圧器(容器) 7 被処理液 8 容器蓋体 10 触媒充填装置 11 目皿板 11a 流通孔 12 触媒層 13 排出配管 14 オーバーフロー液排出配管 15 柱上変圧器内液面レベル 16 触媒充填装置内液面レベル 17 フランジ 18 ポンプ 19 循環配管 20 マイクロ波発振器 21,22 温度計用熱電対 23 温度コントローラー用熱電対
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003687 【氏名又は名称】東京電力株式会社
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| 【出願日】 |
平成17年8月9日(2005.8.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100115440 【弁理士】 【氏名又は名称】中山 光子
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| 【公開番号】 |
特開2007−105063(P2007−105063A) |
| 【公開日】 |
平成19年4月26日(2007.4.26) |
| 【出願番号】 |
特願2005−231282(P2005−231282) |
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