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【発明の名称】 歩容式移動体用磁気着脱機構
【発明者】 【氏名】ロペス ベレンゲレス ホセ オリオル

【要約】 【課題】本発明は磁性構造体の壁面を歩容式移動する際に、移動体の重量を壁面に吸着固定させつつ、小さい力で剥離動作可能な磁気移動体用着脱機構を提供することを課題とする。

【解決手段】この目的を達成するために、本発明の移動体用着脱機構は、複数の磁石が長手の先端に備えられている。その長手は磁石を備えた側の一端部が湾曲していて、湾曲部以外は直線形である。長手の磁石が備わっていない側の一端は鋭角をなして傾斜して長手支持部に結合されている。また、長手は複数本が一列に配置されて、長手支持部に結合されている。長手支持部は移動体を支える移動体連結部と結合している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に磁石と該磁石を備えた側の一端部が湾曲した長手と、
該長手が複数本配列され、該長手の磁石を備えない側の一端が結合された長手支持部と、該長手支持部が1または2本以上結合され、かつ移動体と連結される移動体連結部を備えることを特徴とする歩容式移動体用磁気着脱機構。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼鉄製構造物壁面における歩容式移動体の移動面との着脱機構に関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁や鉄塔の構造物外壁面を昇降する移動体には、重力により滑落・脱落しないよう磁石を備え壁面に吸着しながら移動し得る吸着式移動手段が従来から考えられている。磁気吸着式壁面移動装置は、重力にかかわらず移動体を定位置に維持することが可能であり、また壁面吸着のための他の動力源等は必要としないという利点を有している。従来の磁気吸着式壁面移動機構の代表的なものは、全周が磁石によって形成された車輪、すなわち磁気を備えた車輪を用いて、そのマグネットホイールにより壁面に吸着させるとともに走行させるようにしたものであった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、外壁面で作業を行う壁面走行ロボットにおいては、その足回り装置において壁面に対する吸着体として磁石が設けられている手段が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−254904号公報 (第1図)
【特許文献2】特開平10−24875号公報 (第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の壁面吸着手段では、移動体の重量を支えることができる相当の大きさを有する磁石をホイールの内部または間にもうける必要があり、走行の障害になるという問題があった。
【0005】
しかしながら、ホイールは走行面にボルトや管のジョイント部分等の凹凸があると、それら構造物を越えることができず走行が停止したり、また超えたとしてもバランスを崩して転倒する可能性があるという問題もある。
【0006】
また、ホイールに磁石を備えると、移動面に凹凸がある場合に、磁石の吸着力を、移動面が滑面である場合より高めないと滑落・脱落してしまうという問題もある。また、特許文献2で示されるように、壁面走行ロボットにおいて、その足回り装置において壁面に対する吸着体として磁石が設けられている場合には、磁石と磁性移動面との距離が吸着力に影響するため、吸着力を一定に保つことはできない。つまり、移動面凸部においては吸着力が増し剥離に大きな力を要し、凹部においては吸着力が減少し移動体が自重に耐えられず滑落する恐れがある。
【0007】
一つの大きな磁石を吸着力源とすると、壁面を昇降する際に必要な吸着力を得ることができる一方、剥離させるためには、吸着力と同じ力を一度に加える必要がある。よって、剥離動作に大きな力を要する。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、磁石を用いた壁面移動手段として、簡単な構造で容易に着脱可能な歩容式移動体用磁気着脱機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明の歩容式移動体用磁気着脱機構は、複数の磁石が長手の先端に備えられている。その長手は磁石を備えた側の一端部が湾曲していて、湾曲部以外は直線形である。長手の磁石が備わっていない側の一端は鋭角をなして傾斜して長手支持部に結合されている。また、長手は複数本が一列に配置されて、長手支持部に結合されている。長手支持部は移動体を支える移動体連結部と結合している。
【0010】
また、ホイールでは安定した移動ができないような凹凸ある面でも移動が可能となるように、本発明では歩容式移動体を採用している。移動面との接着点を着脱しながら進む歩容式であれば、凸部が移動面に現れても、それらを超えて移動することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の歩容式移動体用磁気着脱機構によれば、複数の磁石が分散して移動面に吸着するので、複数の点で移動体を壁面に固定することになる。そして、移動体が歩容式移動する際には、磁石が一つもしくは少数ずつ剥離されることにより、剥離動作に必要な力も分散される。
【0012】
また、磁石の吸着点および剥離力の力点の間の距離を確保する。これにより、長手先端に備わり壁面に吸着している磁石を剥離させることがより小さな力で可能となる。本歩容式移動体用磁気着脱機構は、壁面ではなく傾斜面または平面において移動する場合にも適用できる。例えば、鉄鋼製構造物平面を強風に向かって前進する場合、本歩容式移動体用磁気着脱機構を適用すれば、煽られることなく安定してかつ大きな力を要せず移動することが可能となる。よって、大型構造物の高所での作業を安全に行うことができるようになる。
【0013】
また、本発明の歩容式移動体用磁気着脱機構によれば、長手が傾斜しているので、長手の先端がものに触れると、長手付根に容易にモーメントが発生する。このモーメントにより、まず凸部に接触した長手付根の角度が変わり、しなる。この変形により、他の長手付根は、凹部に達することが可能となる。以上のように、複数本の長手が全体として、凹凸のある移動面に適応することが可能である。よって、凹凸ある面の移動も可能となる。
【発明を実施するための裁量形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
図1に示すように歩容式移動体用磁気着脱機構は、先端に磁石7を備え磁石が備わっている側の一端が湾曲した長手6と、複数の長手が配列結合された長手支持部5と、長手支持体5が長手支持体結合部3において結合し、かつ人の手1に把持される、または作業機(図示せず)に結合される移動体連結部2とによって構成されている。
【0015】
図2(a)〜(h)では、歩容式移動体用磁気着脱機構要部である磁気性着脱部4の剥離動作経時的変化を示す。移動体連結部2において、図1に示すよう右上方向に力を加えた場合に、長手支持体結合部3に近い側の長手先端の磁石から剥離し始め、長手支持部5先端に向かって順に剥離する。
【0016】
この時長手は、図3に示すように、移動面に吸着していたときの長手位置12よりも右上に持ち上がった位置に移動し、さらに剥離動作が進むと長手は移動面を離れ、剥離動作途中の長手位置13よりも右上の位置に移動する。
【0017】
移動面と吸着していた長手先端の磁石7の先端を回転点10、移動体連結部における移動体との連結点を力点(図示せず)とすると、力点から回転点の距離が長手により確保されるため、長手が長いほど直接一度に剥離する場合より小さい力で、先端の磁石7を回転点10を中心に回転させることができる。回転により引っ張り剥離力は小さくてすむ。例えば、厚さ5mm、直径13.5mmおよび吸着力2kgである円柱形の磁石面が移動面から回転点10を中心に20°回転すると、剥離力は約1kgに半減し、90°回転すると、約400gに減少する。すなわち、磁石が回転点10を中心に回転すればするほど、剥離力は減少するといえる。
【0018】
例えば、重量50kgの移動体が歩容式移動体用磁気着脱機構2つを用いて垂直壁面を昇降する場合、各歩容式移動体用磁気着脱機構において、長さ250mmの長手支持体5が5本、各長手支持体5に結合される長さが120mmの長手6が8本、各長手先端部は湾曲していて先端には最大吸着力が2kgである直径13.5mmの円形平面磁石が1つ備えられている。
【0019】
長手6および長手支持体5は、軟性材質から成ることが好ましい。なぜならば、図2に示すように、長手の3に近い側から一つずつ剥離させる機能を発揮させるためである。仮に、長手が無限硬性材質から成ると、磁石は一つずつ剥離せず全部が同時に剥離しようとするため、剥離に必要な力が分散されない。
【0020】
歩容式移動体用磁気着脱機構あたりの長手支持体5の本数は1または2以上である。移動体に多少揺れが生じても壁面に安定して吸着するためには、複数本の長手支持体が必要で、その場合長手支持体5の長手6が設けられている側と逆の一端が束ねられて長手支持体結合部3において移動体結合部と結合され、他端は広がる扇状をする形状が望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る歩容式移動体用磁気着脱機構を示す上面図(a)および側面図(b)である。
【図2】本発明の一実施形態において、剥離動作による歩容式移動体用磁気着脱機構の要部の経時的変化を示す図である。
【図3】図2における歩容式移動体用磁気着脱機構の長手の剥離動作を示す図である。
【符号の説明】
【0022】
1 移動体
2 移動体連結部
3 長手支持体結合部
4 磁気性着脱部
5 長手支持部
6 長手
7 磁石
8 移動面
9 剥離力方向
10 回転点
11 移動面
12 剥離動作前長手位置
13 剥離動作途中長手位置
14 力点
【出願人】 【識別番号】506073018
【氏名又は名称】ロペス ベレンゲレス ホセ オリオル
【出願日】 平成18年2月13日(2006.2.13)
【代理人】
【公開番号】 特開2007−209729(P2007−209729A)
【公開日】 平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願番号】 特願2006−64838(P2006−64838)