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【発明の名称】 固形芳香剤および容器入り芳香剤
【発明者】 【氏名】田中 統夫

【要約】 【課題】使用する長期間にわたって香料成分を安定して放出し、香りの強さや香調の変化が少なく、また安定でしっかりした固形の芳香剤および容器入り芳香剤を提供すること。

【解決手段】本発明は、香料成分をゲル化剤とともに多孔質支持体に含浸させ、多孔質支持体中で香料成分のゲルを形成したものである固形芳香剤、および底部と側壁部に突起部を有する容器に該固形芳香剤を挿入した容器入り芳香剤である。多孔質支持体はフェルトまたは不織布が好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
香料成分をゲル化剤とともに多孔質支持体に含浸させ、多孔質支持体中で香料成分のゲルを形成したものである固形芳香剤。
【請求項2】
多孔質支持体が、フェルトまたは不織布のいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の固形芳香剤。
【請求項3】
ゲル化剤が油性ゲル化剤であることを特徴とする、請求項1または2に記載の固形芳香剤。
【請求項4】
ゲル化剤が、ジベンジリデンソルビトール、12-ヒドロキシステアリン酸、N−アシルアミノ酸誘導体、2-エチルへキサン酸アルミニウム、または金属石鹸からなる群から選ばれる化合物のいずれかであることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかの項に記載の固形芳香剤。
【請求項5】
ゲル化剤の量が、香料成分が100質量部に対してゲル化剤が1〜10質量部であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかの項に記載の固形芳香剤。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかの項に記載の固形芳香剤を、底部および側壁部に突起部を有する容器に、底部および側壁部との間に隙間を有する状態で収納したことを特徴とする容器入り芳香剤。
【請求項7】
固形芳香剤が、収納する容器の中心部に相当する位置に、固形芳香剤の貫通孔を設けたものであることを特徴とする、請求項6に記載の容器入り芳香剤。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、長時間にわたって香料の放出が一定して持続する固形芳香剤、およびこの固形芳香剤を装入した容器入り固形芳香剤および容器入り芳香剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、日常生活において香りを楽しむなどの目的で香料を居間や自動車の車内などの居住空間に放出させたり、トイレなどの悪臭をマスキングするために室内に香りを付与することが広く行なわれており、それぞれの目的に応じたさまざまなタイプの芳香剤が販売されている。
【0003】
香料は通常多数の揮発性の香料成分からなる混合物であり、これをそのまま容器に入れて揮散させると揮発性の高い成分から揮散してゆくため、時間の経過とともに香料の組成が変化し、したがって香りの強さや香調が変化するという問題がある。揮散する香料の量および組成が大きく変化せず、使用期間中の香りの強さや香調の変化をできるだけ少なくするために、芳香剤自体とそれを収納する容器の構造について種々の試みがなされている。
【0004】
このような試みの一つとして、香料成分を安定に放出する徐放剤としてゲルを用いたゲル状芳香剤がある。ゲル状芳香剤としては、水を揮散助剤とし、カラギーナン、ジュランガムなどをゲル化剤とする水性ゲル芳香剤と、リモネンやイソパラフィンなどの炭化水素類を揮散助剤とし、ステアリン酸ナトリウムなどをゲル化剤とするオイルゲル芳香剤がある。このようなゲル状芳香剤は、液体の香料成分をゲル中に閉じ込めて徐々に放出するために、徐放性の向上、香調の変化の抑制という点では改良されたものとなっている。
【0005】
しかし、このようなゲル状芳香剤では、使用時間が経過するにしたがってゲルが収縮して揮散表面の面積が減少するとともに、ゲル表面に皮膜が生成し、この皮膜が次第に厚くなるために香料成分の揮散量が徐々に減少するため、香料成分の揮散性が悪くなり、香りの強さや香調の変化が起こるという問題がある。
【0006】
これらの問題点を解決するために、従来からゲル状芳香剤そのものやゲルを装入する容器や支持体などにさまざまな工夫をしたものが提案されている。
例えば、香りを長時間保持できるように香料を担持した疎水性シリカ粒子をゲル中に含むゲル状芳香剤(例えば、特許文献1を参照)や、不均一な香料の揮散を改良するために架橋型カルボン酸ポリマーを加えた水系ゲル状芳香剤(例えば、特許文献2を参照)などが提案されている。また、香料成分を適正に揮散させるように、液体の香料成分を含浸した芳香剤含浸体を容器に収容した芳香剤容器(例えば、特許文献3を参照)や、容器底部に不織布を貼った容器とその上にゲル状芳香剤を組み合わせ、不織布を通して香料成分を揮散させる芳香剤容器(例えば、特許文献4を参照)などがある。
しかしながら、これらの従来から提案されている方法でも、使用期間の長期にわたって香りの強さや香調の変化を少なくした芳香剤を得るという点からは、必ずしも満足できるものではなかった。
【0007】
【特許文献1】特開平7−75666号公報
【特許文献2】特開平9−290015号公報
【特許文献3】特開2002−362660号公報
【特許文献4】特開2001−104464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような従来の芳香剤の問題点を解決し、使用する長期間にわたって香料成分を安定して放出し、香りの強さや香調の変化を少ない芳香剤および容器入り芳香剤を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上述のような状況に鑑み鋭意研究を進めた結果、香料成分を含浸させた不織布やフェルトをゲル化剤によってゲル化させた固形芳香剤とすることによって、これらの問題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、以下の内容をその要旨とするものである。
(1)香料成分をゲル化剤とともに多孔質支持体に含浸させ、多孔質支持体中で香料成分のゲルを形成したものである固形芳香剤。
(2) 多孔質支持体が、フェルトまたは不織布のいずれかであることを特徴とする、前記(1)に記載の固形芳香剤。
(3)ゲル化剤が油性ゲル化剤であることを特徴とする、前記(1)または(2)に記載の固形芳香剤。
(4)ゲル化剤が、ジベンジリデンソルビトール、12-ヒドロキシステアリン酸、N−アシルアミノ酸誘導体、2-エチルへキサン酸アルミニウム、または金属石鹸からなる群から選ばれるいずれかであることを特徴とする、前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の固形芳香剤。
(5)ゲル化剤の量が、香料成分が100質量部に対してゲル化剤が1〜10質量部であることを特徴とする、前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の固形芳香剤。
(6)前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の固形芳香剤を、底部および側壁部に突起部を有する容器に、底部および側壁部との間に隙間を有する状態で収納したことを特徴とする容器入り芳香剤。
(7)固形芳香剤が、収納する容器の中心部に相当する位置に、固形芳香剤に貫通孔を設けたものであることを特徴とする、前記(6)に記載の容器入り芳香剤。
【発明の効果】
【0011】
本発明の固形芳香剤は、フェルトまたは不織布のような多孔質支持体の中で香料成分をゲル化して固化したものであるため、フェルトまたは不織布の繊維との間の毛細管現象によって香料成分が最後まで一定の割合で放出され、最後までほぼ一定した香りを持続することができるとともに、香料成分が揮散する表面にゲルの皮膜を形成することが少なく、香料成分の揮散が抑制されることが少ない。また、安定した強度のある固体を形成するため、従来の単純なゲル製品のようにゲルが破壊されて変形や流動性を示したり、高温に曝されて溶けて液状となることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の固形芳香剤は、フェルトまたは不織布などの多孔質支持体の中に香料成分とゲル化剤とを含浸させ、この支持体の中で香料成分をゲル化して固化したものである。
本発明に使用する香料成分は、ゲル化剤によって固化することができ、ゲルから揮散して芳香を与えるものであれば特に制限されず、合成香料でも、天然香料でも、調合香料でも配合することが可能である。
【0013】
具体的には、合成香料としては、例えば、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、カンフェン、α−テルピネン、γ−テルピネン、テルピノーレン、3−カレン、p−サイメン、α−セドレン、β−セドレン、α−カリオフィレン、β−カリオフィレン、β−グアイエン、γ−グアイエン、δ−グアイエン、ロンギホレン、1,3,5−ウンデカトリエン、4−イソプロピル−1−メチル−2−プロペニルベンゼン、ジフェニル、ジフェニルメタン等の炭化水素類;3−メチル−1−ペンタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、2−エチルヘキサノール、1−ノナノール、2−ノナノール、2,6−ジメチルヘプタノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、2−ウンデカノール、1−ドデカノール、1−ペンテン−3−オール、3−ヘキセノール、4−ヘキセノール、6−ノネノール、9−デセノール、1−ウンデセノール、シクロヘキシルエチルアルコール、p−イソプロピルシクロヘキサノール、t−ブチルシクロヘキサノール、イソプロピルシクロヘキシルメタノール等のアルコール類;シトロネロール、ロジノール、ゲラニオール、ネロール、リナロール、ジヒドロリナロール、テトラヒドロリナロール、ジメチルオクタノール、ミルセノール、ジヒドロミルセノール、テトラヒドロミルセノール、オシメノール、ラバンジュロール、イソジヒドロラバンジュロール、ヒドロキシシトロネロール、エチルリナロール、イソプレゴール、メントール、テルピネオール、ペリラアルコール、イソシクロゲラニオール、ミルテノール、ボルネオール、イソボルネオール、ファルネソール、ネロリドール、α−ビザボロール、α−サンタロール、β−サンタロール、ベチベロール、セドロール、セドレノール、パチュリアルコール、ゲラニルリナロール、スクラレオール等のアルコール類が挙げられる。
【0014】
また、ベンジルアルコール、クミンアルコール、α−ジメチルベンジルアルコール、α−フェニルエチルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、メチルβ−フェニルエチルアルコール、フェノキシエチルアルコール、2−メトキシフェニルエチルアルコール、α,α−ジメチルフェニルエチルアルコール、α−プロピルフェニルエチルアルコール、イソブチルベンジルカルビノール、3−フェニルプロピルアルコール、ジメチルフェニルエチルカルビノール、フェニルエチルメチルエチルカルビノール、シンナミックアルコール、アミルシンナミックアルコール等の芳香族アルコール類が挙げられる。
【0015】
また、アニソール、p−クレジルメチルエーテル、p−エチルフェノール、アネトール、チモール、カルバクロール、ヒノキチオール、β−ナフトールメチルエーテル、β−ナフトールエチルエーテル、グアヤコール、クレオゾール、ベラトロール、オイゲノール、イソオイゲノール、メチルオイゲノール等のフェノール類及びその誘導体が挙げられる。
【0016】
また、n−ヘキサナール、n−ヘプタナール、n−オクタナール、n−ノナナール、2−メチルオクタナール、デカナール、ウンデカナール、ドデカナール、トリデカナール、テトラデカナール、3−ヘキセナール、6−ノネナール、10−ウンデセナール、シトロネラール、シトラール、ジメチルオクタナール、ミルテナール、ベンズアルデヒド、クミンアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、シンナミックアルデヒド、α−メチルシンナミックアルデヒド、リラール、ヘリオナール、シクラメンアルデヒド、リリアール、サリチルアルデヒド、アニスアルデヒド、ヘリオトロピン、フルフラール等のアルデヒド類及びアセタール類が挙げられる。
【0017】
また、2−ペンタノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ウンデカノン、メチルイソブチルケトン、エチルイソアミルケトン、2−トリデカノン、ゲラニルアセトン、アミルシクロペンテノン、ジャスモン、ジヒドロジャスモン、イソジャスモン、o−t−ブチルシクロヘキサノン、α−ヨノン、β−ヨノン、γ−ヨノン、メチルヨノン、カルボン、メントン、アセチルセドレン、p−メトキシアセトフェノン、等のケトン類及びケタール類が挙げられる。
【0018】
ゲラニルエチルエーテル、α−テルペニルメチルエーテル、リモネンオキサイド、ローズフラン、1,8−シネオール、1,4−シネオール、ローズオキサイド、ネロールオキサイド等のエーテル類及びオキサイド類;ムスコン等の合成ムスク類;酪酸、イソ吉草酸、ヘキサン酸、ゲラニル酸、安息香酸等の有機酸類;γ−ブチロラクトン、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、γ−ウンデカラクトン、クマリン、ジヒドロクマリン、ジャスモンラクトン、ジャスミンラクトン等のラクトン類が挙げられる。
【0019】
また、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、酢酸テルペニル、酢酸ベンジル、酪酸アミル、酪酸イソアミル、酪酸イソブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸シトロネリル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸シトロネリル、イソ吉草酸ゲラニル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸アリル、ヘキサン酸アミル、ヘキサン酸イソアミル、ヘキサン酸ゲラニル、安息香酸メチル、安息香酸ベンジル、安息香酸リナリル、桂皮酸メチル、桂皮酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸アミル、サリチル酸イソアミル、サリチル酸フェニル、サリチル酸メチル等のエステル類が挙げられる。
合成香料としては、前記合成香料からなる群から選ばれる1種又は2種以上を組み合わせた調合香料であってもよい。
【0020】
天然香料としては、動物性香料でもよく、植物性香料でもよい。具体例として、セージオイル、ペパーミントオイル、スペアミントオイル、レモンオイル、レモングラスオイル、オレンジオイル、ラベンダーオイル、バジルオイル、シトロネラオイル、クローブオイル、コリアンダーオイル、ユーカリオイル、ゼラニウムオイル、ジンジャーオイル、ヒノキオイル、ラバンジンオイル、ライムオイル、ハッカハクユ、アニスオイル、カンファーオイル、キャラウェイオイル、カルダモンオイル、セダーウッドオイル、セダーリーフオイル、セロリオイル、カモミルオイル、コスタスオイル、クミンオイル、パチュリオイル、ローズオイル、ジャスミンオイル、シトロネラオイル、サンダルウッドオイル、ベチバーオイル等から選ばれる1種又は2種以上の天然香料が挙げられる。
【0021】
さらに、香料成分としては、前記合成香料及び前記天然香料からなる群から選ばれる1種又は2種以上を組み合わせた調合香料であってもよい。
【0022】
本発明では、上記のような香料成分をゲル化剤を用いてゲル状に固化する。このような香料成分をゲル化させるゲル化剤としては、水を揮散助剤とする水性ゲルと、炭化水素類を揮散助剤とする油性ゲルとがある。水性ゲルでは、水分が全体の80〜90%であり、香料成分は数%配合することができるが、油性ゲルでは油性成分である香料成分を全体の80〜90%配合することができるので、大量の香料成分を配合することのできるという点で油性ゲルのほうが好ましい。
【0023】
このような本発明に使用できる油性ゲル用のゲル化剤としては、例えば、ジベンジリデンソルビトール、12-ヒドロキシステアリン酸、N−アシルアミノ酸などのN−アシルアミノ酸誘導体、2-エチルへキサン酸アルミニウム、アルミニウム石鹸などの金属石鹸、ステアリン酸ソーダ等が挙げられる。
また、使用目的によっては前記水性ゲル化剤を用いて、水性ゲルとしてもよい。このような本発明に使用できる水性ゲル用のゲル化剤としては、例えば、カラギーナン、ローカストビーンガム、ジェランガム、カルボキシビニルポリマー(カーボポール)、ポリビニルアルコール、寒天などが挙げられる。
【0024】
本発明では、これらの香料成分をゲル化剤とともに多孔質支持体に含浸させる。香料成分を含浸させる多孔質支持体は、香料成分とゲル化剤に対して不活性で、内部にこれらの液体成分を安定に多量に保持することができるものであれば特に制限されないが、フェルト、不織布、合成樹脂発泡体、厚紙、木工圧縮ボードなどが挙げられるが、これらのうちでフェルトおよび不織布が好ましい。
【0025】
ここで使用する不織布は、種々の繊維を接着剤や熱で結合させた繊維の集合体であり、綿、レーヨン、ポリエステルなどの各種合繊などを原料とするものである。この不織布は繊維がランダムに絡み合っており、繊維の方向が自由に配列されているのでどの方向に対しても強度があり、多くの空隙があるので毛細管現象によって液体を吸収することができる。また、フェルトは羊毛やスケールの多い獣毛を揉み固めて、或いは水流やニードルによって繊維を絡み合わせて布状としたものであり、不織布とほぼ同様の機能を有する。本発明で使用する不織布やフェルトは空隙率の大きいものが好ましく、一般的に空隙率が80〜98%、好ましくは85〜90%のものを使用する。
【0026】
具体的には、この多孔質支持体、例えば不織布またはフェルトを容器の中に装入し、ここに前記香料成分とゲル化剤とを注入して、支持体の内部に浸透させてゲル化反応をおこなって、支持体の内部で香料成分をゲル化、固化して不織布またはフェルトと香料成分が一体となった本発明の固形芳香剤とする。この場合、油性ゲル化剤を用いる場合は、香料成分が100質量部に対してゲル化剤が0.5〜20質量部、好ましくは香料成分が100質量部に対してゲル化剤が1〜10質量部の割合で使用する。また、水性ゲル化剤を用いる場合は、香料成分が1質量部に対してゲル化剤が10〜100質量部、好ましくは香料成分が1質量部に対してゲル化剤が10〜20質量部の割合で使用する。
【0027】
次に、本発明の容器入り芳香剤は、上記した不織布やフェルトのような多孔質支持体に香料成分含浸させ、これをゲル化剤で固めた固形芳香剤を、底部および側壁部に突起部を有する容器に、底部および側壁部との間に隙間を有する状態で収納したことを特徴とする容器入り芳香剤である。
【0028】
固形芳香剤を装入する容器は、その一例を図1に示すように、固形芳香剤と容器壁面との間に空間を形成しうるように、その底部および側壁部に突起部を有するものである。即ち、図1において、本発明の容器入り固形芳香剤1は、容器本体2と容器蓋部3とその内部に装入された固形芳香剤8とからなるものであり、容器本体2の底部および側壁部の複数箇所に固形芳香剤8と容器壁面との間に空間を形成させるための突起部4および5が設けられている。容器蓋の開閉方法の一例としては、例えば、側壁部の突起の一部のものが上方に延伸して先端にかぎ部7を有する蓋支持部6を形成しており、容器蓋部3はその側壁にらせん状の溝10が設けられており、容器本体のかぎ部7が容器蓋部3の溝10に係合している。この容器本体2の中に、上述した本発明の固形芳香剤のこの容器内径より1〜5mm小さい外径に成形したものを装入する。蓋支持部6のかぎ部7が溝10に係合しているため、使用時に容器蓋部3を回転すると容器蓋部3が持ち上がり香料が揮散するための隙間ができる。使用終了時に蓋を逆方向に回転すれば隙間が閉じて、香料の揮散を止めることができる。
【0029】
容器本体2の突起部4,5は、容器内に装入された固形芳香剤を浮かして容器の壁面および底面との間に空隙を形成しうるものであればよく、特に制限はない。例えば、容器本体の底部と側壁部にそれぞれ線状の突起4および5を複数個、好ましくは4〜8個設ける。突起の高さは0.5〜3mm程度が好ましい。
【0030】
本発明の固形芳香剤8は、温度変化などに対して安定してしっかりした固形状態を維持しており、簡単には軟化や変形したり、液状になることがない。そのため、上述のような容器に挿入した場合にも、容器壁との間に空間を持った状態で容器の内部で安定した固形状態を保持することができる。そのため、使用期間の間に固形芳香剤が軟化したり、液状になって、容器壁との空隙をふさぐことがなく、効率よく香料成分を揮散させることができる。
【0031】
一般に、従来から使用されているゲル化剤で香料成分を固めただけの固形芳香剤は、温度変化等に対して安定性が悪く、軟化したり、形状が崩れたりすることが多く、100℃以上の高温度になると液状化することがある。しかし、本発明の固形芳香剤は、このような温度変化等に対する安定性が大きく、しっかりした固形状態を保持することができ、100℃を超える高温度でも液状化することはない。
【0032】
また、固形芳香剤8はその中心部に断面が円形や多角形、その他の形状の貫通孔9を有している。この貫通孔9を有するため、容器本体2の底部および側壁部に形成された空隙とこの貫通孔9が連通し、この貫通孔9を通して空気が効率よく流通するため、より一層香料成分を効率よく揮散させることができる。
【0033】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。また、実施例中の「%」および「部」は特に別途注記しない限り質量基準である。
【実施例1】
【0034】
次の組成からなる2種類の液体香料を調合した。
処方1(レモンタイプ):
エチルブチレート 3.0部
オクチルアルデヒド 2.0
パラサイメン 2.8
ターピノレン 8.6
ジヒドロミルセノール 2.5
ノニルアルデヒド 5.0
シトロネラール 2.0
エチルオクタノエート 4.5
テトラヒドロゲラニオール 2.0
フェニルアセトアルデヒド 1.5
シトロネロール 6.4
ゲラニオール 9.0
10−ウンデセナール 1.2
メチルノニルアセトアルデヒド 0.5
ラウリックアルデヒド 6.0
アリルシクロヘキシルプロピオネート 5.0
ブロメリア 2.0
ヘキシルシンナミックアルデヒド 25.0
レモンオイル 11.0
計 100.0
【0035】
処方2(ジャスミンタイプ):
シス−3−ヘキセノール 5.0部
イソアミルアセテート 1.5
オーランチオール 2.0
ベンジルアセテート 6.5
ベンジルサリシレート 1.4
ジエチルマロネート 3.9
エチル−2−メチルブチレート 2.0
エチルイソバレレート 1.0
オイゲノール 2.0
ゲラニルアセテート 1.0
ヘキシルシンナミックアルデヒド 8.5
インドール 2.5
リナロール 1.2
メチルアンスラニレート 1.5
メチルサリシレート 6.0
レモンオイル 5.0
ガラクソライド50%ベンジルベンゾエート 9.0
リラール 18.0
ユーカリプタスオイル 11.0
カンファーオイル 2.0
リナリルアセテート 9.0
計 100.0
【0036】
一方、ポリエステル100%の3デニールと4デニールの混綿からなるフェルト(空隙率約88%、テイボー株式会社製)を用いて、2個の直径55mm、厚さ15mmの円盤状のフェルト成形体を作製した。一方、ゲル化剤としてジベンジリデンソルビトールを用いて、上記の処方1および処方2の2種類の液体香料のそれぞれ97gとゲル化剤27.5gとの混合液を作成し、これらをそれぞれ室温で上記のフェルト成形体に滲み込ませた。フェルト成形体は香料成分を27.5g吸収した。これらをそれぞれ室温で密閉容器の中に3時間保存して、ゲル化反応を進行させ、香料成分を含浸した本発明の固形芳香剤を得た。
【0037】
次に、これらのゲル化剤により香料が固化した円盤状の固形芳香剤の中心部分に直径10mmの貫通孔をあけたものを作成し、これを図1の合成樹脂製の容器に装入した。容器の内径は58mm、側壁高さは20mm、突起部高さは1mmであった。このようにして得られた本発明の容器入り芳香剤は、いずれも30日間の間室温で、蓋を開いた状態で保存したところ、内部の固形芳香剤が安定してしっかりした固形を保持しており、変形したりすることはなかった。これらの容器入り固形芳香剤の30日間の重量変化を測定して、香料の揮散量を測定した。処方1を用いた場合についての結果を表1に示す。また、保存開始前のサンプルの密閉で保存したものと30日経過後のサンプルの香りの強さや香調を評価したところ、両者の間にほとんど相違がなかった。
【0038】
比較例1:
実施例1の処方1と同一の組成の液体香料87gと、ゲル化剤としてステアリン酸ナトリウムを用い、フェルト等の支持体を用いることなく、液体香料にゲル化剤13gを混合して、これを内径が55mmの円盤状の方に注入し、室温で3時間保存してゲル化を行い、直径55mm、高さ15mmの円盤状のゲル状芳香剤を作製した。この円盤状のゲル状芳香剤の中心部に直径10mmの貫通孔をあけ、実施例1と同一の容器に装入した。
この容器入りゲル状芳香剤を30日間の間室温で保存したところ、ゲルの表面に薄い乾燥皮膜ができていた。実施例1と同様にして、この容器入りゲル状芳香剤の30日間の重量変化を測定して、香料の揮散量を測定した。その結果を表1に示す。
【0039】
【表1】


【0040】
この結果からわかるように、本発明の固形芳香剤は、多少の起算量の減少は見られるが、使用開始から30日間の間安定して一定の香料成分を放出するのに対して、比較例のゲル状芳香剤は、使用開始してしばらくの間は一定量の香料成分を放出するが、10日を過ぎる頃からその放出量が急激に減少してしまう。
【実施例2】
【0041】
実施例1で作製した本発明のフェルトを用いた固形芳香剤と比較例1で作製したゲル状芳香剤とを、それぞれガラス容器に入れて恒温槽で90℃と120℃で6時間保存した。保存後の外観を肉眼で観察したところ、本発明の固形芳香剤は90℃と120℃のいずれのものも最初の形状を維持しており、特に軟化や変形等は認められなかった。一方、比較例1のゲル状芳香剤は80℃で保存したものはシャーベット状であり、120℃で保存したものは完全に液状化した。
このように本発明の容器入り固形芳香剤は、長時間にわたって安定して香料を揮散させ、かつ100℃以上の高温度になっても変形したり、液状になったりすることがない。従って、高温の条件下で使用したり、動かすことの多い用途に有用であり、特に自動車の車内用の芳香剤として有用である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の固形芳香剤は、表面にゲルの皮膜が形成されることがなく、毛管現象によって内部の香料成分も効率よく揮散することができ、家庭用、業務用の種々の芳香剤として有用である。特に、100℃以上の高温度の環境でも変形や軟化したり、液状化することがなく、安定な固形状態を維持することができるので、自動車の社内用の芳香剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1の(a)は本発明の容器入り芳香剤の蓋を取り除いた状態の平面図であり、(b)は本発明の容器入り芳香剤の蓋を取りつけた状態の断面図であり、(c)は本発明の容器入り芳香剤の蓋および固形芳香剤を取り除いた状態の平面図である。
【出願人】 【識別番号】301043384
【氏名又は名称】アロマジックサービス株式会社
【出願日】 平成17年10月21日(2005.10.21)
【代理人】 【識別番号】100077975
【弁理士】
【氏名又は名称】望月 孜郎


【公開番号】 特開2007−111281(P2007−111281A)
【公開日】 平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願番号】 特願2005−306481(P2005−306481)