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【発明の名称】 乾式直打速崩壊性錠剤
【発明者】 【氏名】立田 美佐

【氏名】佐久間 哲

【氏名】榎本 逸見

【要約】 【課題】有効成分と配合成分の組合せを工夫することにより、打錠前の混合粉末の流動性が良好であり、打錠機のホッパーからの流出性が良く、キャッピングの発生がなく、錠剤の重量偏差が小さく、かつ、錠剤の崩壊性を維持しつつ、実用的な錠剤の硬度を有する速崩壊性錠剤、及びその乾式直打法による製造方法を提供すること。

【解決手段】(a)有効成分、(b)溶解補助剤としてクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸及びアスコルビン酸から選択される酸類又はそのアルカリ金属塩;アルカリ金属炭酸水素塩;及びアルカリ金属炭酸塩からなる群から選択される少なくとも一種を含有し、更に(c)賦形剤、(d)結合剤、(e)崩壊剤、(f)流動化剤及び(g)滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム及びショ糖脂肪酸エステルの組合せからなる滑沢剤を含有することを特徴とする乾式直打速崩壊性錠剤である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)有効成分、(b)溶解補助剤としてクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸及びアスコルビン酸から選択される酸類又はそのアルカリ金属塩;アルカリ金属炭酸水素塩;及びアルカリ金属炭酸塩からなる群から選択される少なくとも一種を含有し、更に(c)賦形剤、(d)結合剤、(e)崩壊剤、(f)流動化剤及び(g)滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム及びショ糖脂肪酸エステルの組合せからなる滑沢剤を含有することを特徴とする乾式直打速崩壊性錠剤。
【請求項2】
酸類のアルカリ金属塩が、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カリウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、アスコルビン酸ナトリウム又はアスコルビン酸カリウムであり、アルカリ金属炭酸水素塩が炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウムであり、アルカリ金属炭酸塩が炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムである請求項1に記載の乾式直打速崩壊性錠剤。
【請求項3】
前記(b)の溶解補助剤が、クエン酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムの組合せからなるものである請求項1記載の乾式直打速崩壊性錠剤。
【請求項4】
前記(c)の賦形剤が、乳糖、エリスリトール、D−マンニトール、キシリトール、マルチトール等の糖類、合成ケイ酸アルミニウム、ヒドロキシプロピルスターチナトリウム、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、無水リン酸水素カルシウム、還元麦芽糖水アメからなる群から選ばれる一種以上である請求項1〜3のいずれかに記載の乾式直打速崩壊性錠剤。
【請求項5】
前記(d)の結合剤が、結晶セルロース、粉末セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースからなる群から選ばれる一種以上である請求項1〜4のいずれかに記載の乾式直打速崩壊性錠剤。
【請求項6】
前記(e)の崩壊剤が、クロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウムからなる群から選ばれる一種以上である請求項1〜5のいずれかに記載の乾式直打速崩壊性錠剤。
【請求項7】
前記(f)の流動化剤が軽質無水ケイ酸(二酸化ケイ素)である請求項1〜6のいずれかに記載の乾式直打速崩壊性錠剤。
【請求項8】
前記有効成分(a)がメロキシカムである請求項1〜7のいずれかに記載の乾式直打速崩壊性錠剤。
【請求項9】
下記成分;
(a)の有効成分がメロキシカム、
(b)の溶解補助剤がクエン酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウム、
(c)の賦形剤が乳糖及びエリスリトール、
(d)の結合剤が結晶セルロース、
(e)の崩壊剤がクロスポビドン、
(f)の流動化剤が軽質無水ケイ酸(二酸化ケイ素)、
(g)の滑沢剤がステアリン酸マグネシウム及びショ糖脂肪酸エステル、
からなる乾式直打速崩壊性錠剤。
【請求項10】
(a)メロキシカム、(b)溶解補助剤としてクエン酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウム、(c)賦形剤、(d)結合剤、(e)崩壊剤及び(f)流動化剤を混合し、さらに(g)滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム及びショ糖脂肪酸エステルを添加混合した後、得られた混合物を直接打錠することを特徴とする請求項8又は9に記載の乾式直打速崩壊性錠剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、有効成分と配合成分の組合せを工夫することにより、速崩壊性を維持しつつ、実用的な錠剤の硬度を有する、乾式直打速崩壊性錠剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療用固形製剤において、服用のしやすさ等の理由より口腔内速崩壊錠の開発の要望が高くなっている。口腔内速崩壊錠としての錠剤には、(1)日本薬局方の崩壊試験法により30秒以内に崩壊すること、(2)口腔内で60秒以内に崩壊することの崩壊性と、(3)摩損度試験200回転で目立った破損が認められないことの硬度等が求められている。
【0003】
このような口腔内速崩壊錠の製造方法として、従来から、湿式造粒法と乾式造粒法が提案されている。湿式造粒法として、例えば、(1)薬効成分と賦形剤としての糖類とを含む錠剤成分に対して、0.3〜7重量%の水分を用いて前記糖類の粒子の表面を湿らせ、前記薬効成分と糖類と水分とを含む混合物を打錠した後乾燥することによる、日本薬局方第12改正に記載されている崩壊試験法による崩壊時間が0.05〜3.0分である口腔内崩壊型錠剤を製造する方法(特許文献1)が報告されている。
【0004】
また、乾式造粒法としては、例えば、(2)投与前に水中に分散させることなく経口投与する錠剤であって、味覚をマスクするように被覆された微結晶又は微粒子形態の有効物質と、賦形剤を含む混合物との混合材料を、直接圧縮して得られた急速崩壊性多粒子錠剤が提案されている(特許文献2)。この場合、前記賦形剤を含む混合物としては、少なくとも1つの崩壊剤、及び澱粉、加工澱粉、あるいは微結晶セルロースから選択され、水と接触して高粘度を生じない少なくとも1つの膨張剤、又は少なくとも1つの可溶剤を含むものであり、錠剤は、発泡剤及び遊離の有機酸を含まず、口腔内で唾液の存在下で咀嚼無しに60秒より短い時間で崩壊する急速崩壊性多粒子錠剤である。
【0005】
更に乾式造粒法による組成物として、例えば、(3)活性成分としてのメロキシカム;オリゴサッカライド及び/又はポリサッカライド;界面活性剤、ヒドロトロピー剤、アルカリ化剤、ハイドロコロイド、及びポリマーよりなる群から選択された薬学的に許容された添加剤の一種あるいはそれ以上;及び任意の賦形剤、担体及び/又は助剤よりなる医薬組成物(特許文献3)が提案されている。
【0006】
また同様乾式打錠法として、例えば、(4)マンニトール、崩壊剤、セルロース類、滑沢剤、並びにデンプン類及び乳糖の少なくとも一種を含有する口腔内で速やかに崩壊し、実用上十分な強度を有する口腔内崩壊性組成物(特許文献4)、或いは(5)メロキシカム又は医薬的に許容されるその塩、スターチ又は多種のスターチ、流動促進剤及び少なくとも一種の追加の賦形剤から本質的になる水中で素早く崩壊する錠剤であって、追加の賦形剤の少なくとも一種が水溶性であるダイレクトドライプレス法(直打法)、例えばメロキシカム、ラクトース、スターチ及び二酸化ケイ素水和物のブレンドを、前記成分を30分間従来のミキサーで混合することによって調製し、次いでステアリン酸マグネシウムを加え、前記組成物をさらに5分間ブレンドする方法(特許文献5)等が報告されている。
【0007】
【特許文献1】特許第3069458号公報
【特許文献2】特許第2820319号公報
【特許文献3】特表2001−513563号公報
【特許文献4】特開2000−273039号公報
【特許文献5】特表2004−525975号公報
【0008】
しかしながら、これらの従来の方法は、例えば、前記(1)の湿式造粒法では、薬効成分と糖類とを含む錠剤成分に対して、0.3〜7重量%の水分を用い、前記糖類の粒子の表面を湿らせ、乾燥するという煩雑な処理が必要である。また前記(2)の乾式造粒法は、活性成分(有効成分)が被覆され微結晶状態にあるときは、微結晶を被覆するものであり、また有効成分が被覆されない微顆粒状態にある場合には、有効成分を例えば押出し造粒化、パン内での加工、空気流動層等のような方法により微顆粒形状にするものであり、さらに前記(3)では、セラミックボールミル中でメロキシカムとオリゴサッカライド及び/又はポリサッカライド(例えば、シクロデキストリン、微結晶セルロース、ラクトース、デンプン)を共粉体化した組成物を用いる発泡性錠剤及びその製造方法であり、煩雑な操作を必要とするものであった。
【0009】
乾式打錠法は、薬物とその他の賦形剤等を混合後に、混合物を直接打錠(直打法)して錠剤を形成する方法であり、混合、打錠の2工程で錠剤を調製することができる簡便な調製方法である。しかしながら、薬物の種類、混合成分等の組合せにより、例えば、混合物の流動性が低くなることにより、打錠機のホッパーから粉体混合物が流出せず打錠不可能となるか、キャッピングによる収率の低下、錠剤の重量偏差が著しく大きくなることが観察され、又は、錠剤の崩壊性を改善すると錠剤の硬度が維持できなくなる等の問題があった。
【0010】
事実、本発明者らは、乾式法に用いる薬剤、例えば、メロキシカムの乾式法による錠剤の場合には、メロキシカムの粒子径が小さいほど得られる錠剤からのメロキシカムの溶出速度は早くなるが、杵付着等の打錠障害が起きやすくなることを経験している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、有効成分と配合成分の組合せを工夫することにより、打錠前の混合粉末の流動性を良好ならしめることにより、したがって打錠機のホッパーからの流出性が良く、キャッピングの発生を抑えると共に、結果として錠剤の重量偏差が小さく、かつ、錠剤の崩壊性を維持しつつ、実用的な錠剤の硬度を有する速崩壊性錠剤、及びその乾式直打法による製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、有効成分と配合成分の組合せを工夫すること、特に溶解補助剤として特定のものを選定すること、並びに特定の滑沢剤を選択することにより、これらの問題点を解決できることを新規に見出し、本発明を完成させるに至った。
特に本発明は有効成分として非ステロイド性消炎・鎮痛剤であるメロキシカムを選択して、メロキシカムを含有する、効果的な速崩壊性錠剤を提供し得るものである。
【0013】
すなわち、本発明は、その基本的態様として、(a)有効成分、(b)溶解補助剤としてクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸及びアスコルビン酸から選択される酸類又はそのアルカリ金属塩;アルカリ金属炭酸水素塩;及びアルカリ金属炭酸塩からなる群から選択される少なくとも一種を含有し、更に(c)賦形剤、(d)結合剤、(e)崩壊剤、(f)流動化剤及び(g)滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム及びショ糖脂肪酸エステルの組合せからなる滑沢剤を含有することを特徴とする乾式直打速崩壊性錠剤である。
【0014】
より具体的には、本発明は、酸類のアルカリ金属塩が、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カリウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、アスコルビン酸ナトリウム又はアスコルビン酸カリウムであり、アルカリ金属炭酸水素塩が炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウムであり、アルカリ金属炭酸塩が炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムである乾式直打速崩壊性錠剤である。
【0015】
さらに具体的には、本発明は、前記(b)の溶解補助剤が、クエン酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムの両者の組合せからなるものであり、前記(c)の賦形剤が、乳糖、エリスリトール、D−マンニトール、キシリトール、マルチトール等の糖類、合成ケイ酸アルミニウム、ヒドロキシプロピルスターチナトリウム、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、無水リン酸水素カルシウム、還元麦芽糖水アメからなる群から選ばれる一種以上である乾式直打速崩壊性錠剤である。
【0016】
また、本発明は、前記(d)の結合剤が、結晶セルロース、粉末セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースからなる群から選ばれる一種以上であり、前記(e)の崩壊剤が、クロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウムからなる群から選ばれる一種以上であり、前記(f)の流動化剤が軽質無水ケイ酸(二酸化ケイ素)である乾式直打速崩壊性錠剤である。
【0017】
最も具体的には、本発明は、前記有効成分(a)がメロキシカムである乾式直打速崩壊性錠剤であり、詳細には、下記成分;
(a)の有効成分がメロキシカム、
(b)の溶解補助剤がクエン酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウム、
(c)の賦形剤が乳糖及びエリスリトール、
(d)の結合剤が結晶セルロース、
(e)の崩壊剤がクロスポビドン、
(f)の流動化剤が軽質無水ケイ酸(二酸化ケイ素)、
(g)の滑沢剤がステアリン酸マグネシウム及びショ糖脂肪酸エステル、
からなる乾式直打速崩壊性錠剤である。
【0018】
また本発明は、別の態様として、(a)メロキシカム、(b)溶解補助剤としてクエン酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウム、(c)賦形剤、(d)結合剤、(e)崩壊剤及び(f)流動化剤を混合し、さらに(g)滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム及びショ糖脂肪酸エステルを添加混合した後、得られた混合物を直接打錠することを特徴とする乾式直打速崩壊性錠剤の製造方法である。
【0019】
すなわち本発明は、有効成分/賦形剤等に加えて配合する溶解補助剤として、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸及びアスコルビン酸から選択される酸類又はそのアルカリ金属塩;アルカリ金属炭酸水素塩;及びアルカリ金属炭酸塩からなる群から選択される少なくとも一種を含有すること、更に、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム及びショ糖脂肪酸エステルの両者の組合せからなる滑沢剤を含有させる点に特徴を有するものであり、かかる特徴により、所望の速崩壊性と、適度の硬度を有する乾式直打速崩壊性錠剤が提供されるのである。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、打錠前の有効成分を含む混合粉末の流動性が良好であり、したがって打錠機のホッパーからの混合粉末の流出性が良く、キャッピングの発生を抑え、結果として錠剤の重量偏差が殆どない速崩壊性錠剤、及びその乾式直打法による製造方法が提供される。
本発明により得られた速崩壊性錠剤は、所望の崩壊速度を有すると共に、実用的な錠剤の硬度を有するものであり、またその製造方法は、安価かつ、簡便な製造方法である利点を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の乾式直打速崩壊性錠剤に用いる薬効成分としては、特に制限はなく、例えば、非ステロイド性の解熱鎮痛消炎剤、ビタミン剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、殺菌剤、制酸剤、生薬、胃粘膜修復剤、鎮痛鎮痙剤、便秘治療剤、H2受容体拮抗剤、潰瘍治療剤、降圧剤、抗生物質、不整脈治療剤、胃腸薬、去痰薬、鎮暈薬(乗り物酔い薬)及び中枢神経興奮薬を挙げることができる。
そのなかでも、非ステロイド性の解熱鎮痛消炎剤について好ましく適用することができる。
【0022】
以下に、本発明の乾式直打速崩壊性錠剤を、例えば、メロキシカムを代表例として説明する。
メロキシカムは、淡黄色の粉末であり、メタノール、エタノールに極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない、融点241℃の粉体である。また苦みがない非ステロイド性消炎・鎮痛剤であり、関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頚肩腕症候群の疾患並びに消炎・鎮痛薬として、10mg含有錠として1日1回食後に経口投与されている。
【0023】
本発明の乾式直打速崩壊性錠剤に用いるメロキシカムの医薬原体の粒子径は小さい程好ましく、錠剤にした場合の溶解性が向上することを考慮して、適宜な粒径のものを用いることができる。好ましくは、平均粒子径が20μm以下のものを使用するのがよい。
【0024】
上記の有効成分と共に用いる溶解補助剤としては、酸類又はそのアルカリ金属塩、アルカリ金属炭酸水素塩又はアルカリ金属炭酸塩を挙げることができる。そのような酸類としては、本発明にあっては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、及びアスコルビン酸からなる群から選択されるものであり、したがって、酸類のアルカリ金属塩としては、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カリウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム等を挙げることができる。
【0025】
さらに、溶解補助剤としてのアルカリ金属炭酸水素塩としては、炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウムを、アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムを挙げることができる。
【0026】
これら溶解補助剤は一種以上を組合せて用いることができる。好ましくは、クエン酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの両者の組合せが特に好ましい。
【0027】
本発明における溶解補助剤の配合量は、用いる有効成分、溶解補助剤の種類等により異なり、特に限定することができないが、例えば、有効成分としてメロキシカムを用い、これに対する溶解補助剤としてクエン酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムの両者を組合せて配合させた場合には、溶解補助剤の配合量を重量%で表示すると、1錠当たり、クエン酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの総量で0.5〜6重量%程度とするのが好ましい。
【0028】
このクエン酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムの両者を組合せて配合させた場合において、上記クエン酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムとの最も好ましい配合比は、クエン酸ナトリウム1モルに対し、炭酸水素ナトリウム0.3〜1.9モル、好ましくは0.57〜1.72モル、より好ましくは0.7〜1.6モル程度である。
【0029】
上記のモル比率による組合せにより配合させるクエン酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの錠剤に対する配合量は、錠剤1個を蒸留水900mLに溶解させたときに、その溶液のpHが4〜8.5の間になるように組合せるのがよい。より好ましいpHの範囲はpH5.0〜8.0の範囲、特に好ましくはpH6.5〜7.5となるように配合される。
なお、メロキシカムを有効成分として用いる場合には、このpHは幾分アルカリサイドとなるように配合するのがよいことが判明した。
【0030】
溶解補助剤として、クエン酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウム以外の溶解補助剤を採用した場合であっても、溶解補助剤としての各成分の好ましい配合量は、前記と同様にして、錠剤1個を蒸留水900mLに溶解させたときに、その溶液のpHが4〜8.5、好ましくは5.0〜8.0、特に好ましくはpH6.5〜7.5となるように配合されるのがよい。
【0031】
本発明が提供する速崩壊性錠剤において、賦形剤としては、乳糖、エリスリトール、D−マンニトール、キシリトール、マルチトール等の糖類、合成ケイ酸アルミニウム、ヒドロキシプロピルスターチナトリウム、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、無水リン酸水素カルシウム、還元麦芽糖水アメ等を挙げることができる。なかでも、好ましくは、乳糖、矯味剤として用いることができるエリスリトールを用いるのがよい。
配合する賦形剤の1錠当たり配合量は20〜70重量%、好ましくは30〜70重量%であり、より好ましくは約60重量%であるのがよい。
【0032】
本発明が提供する速崩壊性錠剤において、結合剤としては、結晶セルロース、粉末セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース等を挙げることができる。好ましくは、結晶セルロース、例えば、セオラスPH101、セオラスPH302[旭化成ケミカルズ(株)製]である。
用いる結合剤の1錠当たり配合量は5〜20重量%であり、好ましくは約10重量%であるのがよい。
【0033】
本発明が提供する速崩壊性錠剤において、崩壊剤としては、クロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウムからなる群から選ばれる一種以上を挙げることができる。好ましくは、クロスポビドンである。
崩壊剤の1錠当たり配合量は、5〜20重量%であり、好ましくは約15重量%であるのがよい。
【0034】
流動化剤としては、軽質無水ケイ酸(二酸化ケイ素)が挙げられる。好ましくは、アドソリダー101[商品名、フロイント産業(株)製]を挙げることができる。
流動化剤の1錠当たり配合量は、0.5〜3重量%であり、好ましくは約0.5〜1.5重量%であるのがよい。
【0035】
本発明が提供する速崩壊性錠剤において、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム及びショ糖脂肪酸エステルの両者を組合せて使用するのが特徴である。ショ糖脂肪酸エステルとしては、例えば、シュガーエステルB−370F、或いはサーフホープJ−2203F[ショ糖ベヘニン酸エステルを滑沢剤用としてB−370を微粉砕したもの;三菱化学フーズ(株)製]等を挙げることができる。
ステアリン酸マグネシウムとショ糖脂肪酸エステルの配合比は、重量比で1:1〜2程度、好ましくは1:1〜1.4程度であるのがよい。
また、滑沢剤の全量としての1錠当たり配合量は、1.0〜3重量%、好ましくは約1.0〜2.0重量%である。
【0036】
有効成分が苦みを有する場合には、常法に従って、かかる苦みをマスキングするマスキング剤を配合することができる。そのようなマスキング剤としては、アスパルテーム、タウチマン等の甘味剤、或いはl−メントール、ドライコートワニラ、黒糖フレーバー、ドライコートペパーミント、グレープフルーツコート等の香料を挙げることができる。これらのマスキング剤の配合量は、含有させる有効成分により、その使用量を適宜増減することができる。
【0037】
本発明が提供する乾式直打速崩壊性錠剤は、例えば、以下の工程による製造方法で調製することができる。
かかる方法は、概略、先ず錠剤を構成する各成分を混合する第一工程、次いで打錠する第二工程の2工程からなり、各工程自体は常法に従って行うことができる簡便、かつ効率的な錠剤の調製方法である。
その詳細を示せば、以下のようになる。
【0038】
[第一工程]
まず、所定量の下記成分、(a)有効成分、(b)溶解補助剤、(c)賦形剤、(d)結合剤、(e)崩壊剤、及び(f)流動化剤を、常法に従って、例えば、混合機[商品名、ボーレコンテナーミキサー;コトブキ技研工業(株)製]を用いて混合する。
このときの混合時間は、用いる添加剤の種類、使用量等により異なり特に限定されるものではないが、好ましくは5〜40分間、より好ましくは5〜30分間混合する。
【0039】
次いで、上記混合物に更に(g)滑沢剤を添加し、混合する。
このときの混合時間は、滑沢剤が十分に混合し得る時間であればよく、上記混合物の使用量等により特に限定されるものではないが、通常、2〜10分間、好ましくは2〜4分間である。混合に際し、さらに、所望により、矯味剤、例えば、エリスリトールを添加しても良い。
【0040】
[第二工程]
かくして調製された混合物を用い、直接乾式打錠することにより、目的とする本発明の乾式直打速崩壊性錠剤が調製される。
【0041】
本発明が提供する速崩壊性錠剤に用いる香料は、前記第一工程或いは第二工程のいずれでも添加することができるが、好ましくは第二工程で添加するのがよい。
また、本発明の錠剤に用いる甘味剤は、前記第一工程或いは第二工程のいずれでも添加することができる。
【0042】
以上により、本発明が目的とする乾式直打速崩壊性錠剤が提供されるが、得られた錠剤は、所望の速崩壊性を維持しつつ、実用的な錠剤の硬度を有するものである。
【実施例】
【0043】
以下、本発明を下記実施例にてより詳細に説明する。
なお、実施例1〜9では、常法に従って粉砕機で粉砕することにより得られた平均粒子径が4〜15μmのメロキシカムを使用し、溶解補助剤としてクエン酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムの両者を併用して添加した錠剤の調製方法を例示しているが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
また、比較例においても、各粒子径を有するメロキシカムを調製し、使用している。
【0044】
実施例1〜9:
下記表1に記載の配合により、各成分を混合し、打錠することにより乾式直打速崩壊性錠剤を得た。
【0045】
【表1】


【0046】
なお、表中において、(a)は有効成分、(b)は溶解補助剤、(c)は賦形剤、(d)は結合剤、(e)は崩壊剤、(f)は流動化剤、(g)は滑沢剤、(h)は矯味剤、(i)は甘味料、(j)は香料である。
【0047】
代表的な製造操作例を、実施例1の配合処方で示す。
(a)メロキシカム(有効成分;8.00g)、(b)クエン酸ナトリウム(溶解補助剤;8.00g)、炭酸水素ナトリウム(溶解補助剤;2.00g)、(c)乳糖(賦形剤;62.00g)、(d)結晶セルロース[結合剤;20.00g、セオラスPH302、旭化成ケミカルズ(株)製]、(e)クロスポビドン[崩壊剤;30.00g、クロスポビドンXL、ISP(株)製]及び(f)軽質無水ケイ酸[流動化剤;2.60g、フロイント産業(株)製]を30分間混合後、さらに(g)ステアリン酸マグネシウム(滑沢剤;1.40g)及びショ糖脂肪酸エステル[滑沢剤;2.00g、シュガーエステルB−370F、三菱化成フーズ(株)製]を添加し、3分間混合した。
混合に際して、エリスリトール(矯味剤;60.00g)、アスパルテーム(甘味剤;4.00g)、l−メントール(香料;0.10g)を添加した。
得られた混合物を直接打錠することにより、有効成分を15mg含有する375mg重量の錠剤を得た。
【0048】
各実施例についても、上記に準じてそれぞれの錠剤を調製した。ただし、実施例8及び9においては、有効成分を10mg含有する250mg重量の錠剤である。
【0049】
得られた錠剤について、錠剤の硬度、日本薬局方の崩壊試験法による崩壊時間(分)、摩損度試験200回転での摩損度を測定し、あわせて表中に示した。
【0050】
実施例10:
実施例7の製造法において、メロキシカム及びクエン酸ナトリウムを4重量部とし、炭酸水素ナトリウム1重量部とした以外は同様の配合により、有効成分15mg含有の錠剤(全重量:375mg)を調製した。
その結果、後記する比較例3の錠剤より溶出は早いが、若干の苦みを感じるものであった。
【0051】
実施例11:
実施例7の製造法において、メロキシカム及びクエン酸ナトリウムを3重量部とし、炭酸水素ナトリウム2重量部とした以外は同様の配合により、有効成分15mg含有の錠剤(全重量:375mg)を調製した。
その結果、後記する比較例4の錠剤より溶出は早いが、若干の苦みを感じるものであった。
【0052】
実施例12:
前記実施例3の錠剤の調製方法において、香料として黒糖フレーバー(0.2g)又はドライコートペパーミント(0.2g)を添加した以外は同様にして得られた混合物を打錠することにより、有効成分15mg含有の錠剤(全重量:375mg)を調製した。これらの錠剤についての溶出挙動等の特性は、実施例3の錠剤と何等変わらないものであり、これらの錠剤の味は良好であった。
【0053】
なお、上記実施例11と実施例12の場合、甘味剤としてアスパルテーム、香料としてl−メントールを添加して錠剤を調製したとき、不快な苦みが緩和された。
【0054】
比較例1〜6:
下記表2に記載の配合により、各成分を混合し、打錠することにより乾式直打速崩壊性錠剤を得た。
得られた各錠剤についても、上記実施例と同様に試験を行い、その結果をあわせて表中に示した。
【0055】
【表2】


【0056】
比較例1ないし4は、平均粒子径60〜80μmのメロキシカムを用い、溶解補助剤として、比較例1では炭酸水素ナトリウムのみをメロキシカム1重量部に対して0.25重量部、比較例1ないし4は、クエン酸ナトリウムのみをメロキシカム1重量部に対してそれぞれ1、2.5及び5重量部を添加した各錠剤である。
【0057】
これらの各錠剤について、メロキシカム含有の市販の錠剤との比較で、「後発医薬品の生物学的同等性試験のガイドライン」の「V.溶出試験」の項に従い、溶出挙動を確認した。
その結果、市販の錠剤は60分以内に平均85%以上溶出したが、比較例1〜4の各錠剤は、規定時間6時間以内に平均85%以上溶出しないものであった。
市販の錠剤とのとの溶出挙動の差の原因として、まずメロキシカム原末の物性値の違いが考えられた。そこで、粒子径を小さくすることで改善されるか検討した。
【0058】
比較例5及び6は、平均粒子径7〜15μmのメロキシカムを用い、溶解補助剤としてクエン酸ナトリウムをメロキシカム1重量部に対してそれぞれ1及び1.25重量部を添加した各錠剤である。その結果、平均粒子径の小さなメロキシカムを使用し、溶解補助剤を添加することにより、溶出挙動が市販品に類似してくることが判明したが、「後発医薬品の生物学的同等性試験のガイドライン」のV.溶出試験の項による規定時間6時間以内での平均85%以上の溶出は認められなかった。
なお、滑沢剤として、ステアリン酸マグネシウム、又は、ショ糖脂肪酸エステルを各々単独で用いて打錠をしてみたが、キャッピングが発生し、歩留まりが低下し、実用的ではなかった。
【0059】
以上の結果から、メロキシカムの粒子径が小さなものを使用し、さらに溶解補助剤を添加することにより、市販品と溶出挙動を類似させるのに有効であることが確認されたが、未だ充分な溶出挙動を得ることができないものであった。
【0060】
これに対して、実施例1〜9の錠剤は、平均粒子径4〜15μmのメロキシカムを用い、溶解補助剤としてクエン酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムの両者を併用するものであり、それにより所望の溶解挙動が得られるものであることから、本発明の特異性がよく理解される。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上記載のように、本発明により、速崩壊性を維持しつつ、実用的な錠剤の硬度を有する乾式直打速崩壊性錠剤、特にメロキシカム含有の直打速崩壊性錠剤が提供され、その溶出挙動も良好なものであることから、医療上の価値は多大なものである。
【出願人】 【識別番号】594105224
【氏名又は名称】東亜薬品株式会社
【出願日】 平成18年1月26日(2006.1.26)
【代理人】 【識別番号】100083301
【弁理士】
【氏名又は名称】草間 攻


【公開番号】 特開2007−197357(P2007−197357A)
【公開日】 平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願番号】 特願2006−17401(P2006−17401)