| 【発明の名称】 |
炎症性腸疾患用グリチルリチン製剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】岡村 信一
【氏名】工藤 智洋
【氏名】森 昌朋
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| 【要約】 |
【課題】副作用が少なく、安定的に供給されているグリチルリチン製剤を経肛門的に局所投与することで抗炎症効果が得られる炎症性腸疾患用グリチルリチン製剤を提供する。
【解決手段】グリチルリチン酸及びその誘導体、並びにそれらの薬理学上許容される塩の1種又は2種以上を有効成分とする炎症性腸疾患用グリチルリチン製剤であって、有効成分の他に増粘剤を含有することを特徴とする。また増粘剤がカルボキシメチルセルロースであって、カルボキシメチルセルロースを有効成分100重量%に対して0.5〜2.0重量%の割合で添加する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 グリチルリチン酸及びその誘導体、並びにそれらの薬理学上許容される塩の1種又は2種以上を有効成分とする炎症性腸疾患用グリチルリチン製剤であって、 前記有効成分の他に増粘剤を含有することを特徴とする炎症性腸疾患用グリチルリチン製剤。 【請求項2】 増粘剤がカルボキシメチルセルロースであって、前記カルボキシメチルセルロースを有効成分100重量%に対して0.5〜2.0重量%の割合で添加する請求項1記載の炎症性腸疾患用グリチルリチン製剤。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、副作用が少なく、経肛門的に局所投与することで抗炎症効果が得られる炎症性腸疾患用グリチルリチン製剤に関するものである。 【背景技術】 【0002】 グリチルリチン製剤は、主として慢性肝疾患における肝機能異常改善として実用に供されている。また、小児ストルフルス、湿疹、皮膚炎、口内炎などに適応が認められ、抗コルチゾン作用、脱コレステロール作用、抗アレルギー作用、抗炎症作用、解毒作用、胃潰瘍修復作用等を有していることが知られており、製剤供給は安定しており、日常診療で広く使用されている。 例えば、グリチルリチン酸を主剤とし、非イオン系界面活性剤から選択された少なくとも1種類の界面活性剤とが配合されていることを特徴とするグリチルリチン坐剤が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、グリチルリチン酸を有効成分とするグリチルリチン酸直腸製剤において、上記成分の他に吸収促進剤とpH調整剤とを含有することを特徴とするグリチルリチン酸直腸製剤が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。更に、グリチルリチン経口投与剤において、吸収促進剤として、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸などを含有し、腸溶性被膜で被覆されたグリチルリチン経口投与剤が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。 【0003】 一方、潰瘍性大腸炎やクローン病に代表される炎症性腸疾患(IBD;Inflammatory Bowel Disease)は腸管に原因不明の炎症を繰り返す難病であり、本邦では厚生労働省より特定疾患に指定されている。炎症性腸疾患に対する治療のひとつに注腸薬や坐剤を用いた薬剤局所投与がある。炎症性腸疾患治療薬としてリンデロン坐剤(塩野義製薬社製)や、ペンタサ注腸薬、プレドネマ注腸薬(ともに日清キョーリン製薬社製)、サラゾピリン坐剤(三菱ウェルファーマ社製)、ステロネマ(太田製薬社製)が知られている。坐剤の適応は主に直腸炎型の潰瘍性大腸炎に限定される。注腸薬として本邦で現在使用可能なものはステロイド製剤、メサラジン製剤があるが、前者は副作用を伴うため長期使用に適さず、後者は製薬企業からの安定的な供給が期待できない。平成14年度における特定疾患受給数によると、慢性炎症性腸疾患患者は約10万人といわれており、毎年増加する傾向が見られる。米国では約200万人もの患者が存在している。 【特許文献1】特開平5−97680号公報(請求項1) 【特許文献2】特開平7−82155号公報(請求項1) 【特許文献3】特開2003−160496号公報(請求項1) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 上記特許文献1〜3に示されるグリチルリチン製剤は、全て慢性肝疾患の治療を使用目的としており、未だ、慢性炎症性腸疾患に対して適用した例は報告されていない。 【0005】 本発明の目的は、副作用が少なく、安定的に供給されているグリチルリチン製剤を経肛門的に局所投与することで抗炎症効果が得られる炎症性腸疾患用グリチルリチン製剤を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0006】 請求項1に係る発明は、グリチルリチン酸及びその誘導体、並びにそれらの薬理学上許容される塩の1種又は2種以上を有効成分とする炎症性腸疾患用グリチルリチン製剤であって、有効成分の他に増粘剤を含有することを特徴とする炎症性腸疾患用グリチルリチン製剤である。 請求項1に係る発明では、グリチルリチン酸を有効成分とした製剤に増粘剤を含有することで、注腸剤として経肛門的に局所投与した際に、有効成分がその炎症発生部位に留まる時間が高まるため、潰瘍性大腸炎やクローン病に代表される慢性炎症性腸疾患に対して高い抗炎症効果が期待できる。 【0007】 請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、増粘剤がカルボキシメチルセルロース(以下、CMCという。)であって、前記CMCを有効成分100重量%に対して0.5〜2.0重量%の割合で添加する炎症性腸疾患用グリチルリチン製剤である。 【発明の効果】 【0008】 本発明の炎症性腸疾患用グリチルリチン製剤は、グリチルリチン酸及びその誘導体、並びにそれらの薬理学上許容される塩の1種又は2種以上を有効成分とし、有効成分の他に増粘剤を含有することを特徴とする。このようなグリチルリチン製剤は、副作用が少なく、安定的に供給されているグリチルリチン製剤を経肛門的に局所投与することで抗炎症効果が得られる、という利点がある。グリチルリチン製剤を慢性炎症性腸疾患に対して適用した場合、ステロイド系薬剤に比べて重篤な副作用も生じないと考えられ、今後欧米並みに罹患率の増加が予想される慢性炎症性腸疾患の治療の選択肢を増やし、臨床医学への貢献が期待できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0009】 次に本発明を実施するための最良の形態を説明する。 本発明の炎症性腸疾患用グリチルリチン製剤は、注腸剤として局所投与されることが好ましい。坐剤での使用は、有効成分が直腸近辺に留まって、炎症発生部位に直接投与することが難しく、大きな抗炎症効果が得られないためである。 【0010】 本発明の炎症性腸疾患用グリチルリチン製剤はグリチルリチン酸及びその誘導体、並びにそれらの薬理学上許容される塩の1種又は2種以上を有効成分とする。有効成分として使用することができる製品としては、グリチロン注(ミノファーゲン製薬社製)や強力ネオミノファーゲンシー(ミノファーゲン製薬社製;以下、SNMCという。)が挙げられる。その他に、カロスゲン(日医工社製)、ニチファーゲン(日新製薬社製)、ネオファーゲンC(大鵬薬品社製)、ホクファーゲン(北陸製薬社製)、レミゲン(東和薬品)など多くの同効薬品が市販されているが、これら同効薬品も使用可能である。 【0011】 本発明の炎症性腸疾患用グリチルリチン製剤は、有効成分の他に増粘剤を含有することを特徴とする。増粘剤を含有することで、注腸剤として経肛門的に局所投与した際に、有効成分がその炎症発生部位に留まる時間が高まるため、潰瘍性大腸炎やクローン病に代表される慢性炎症性腸疾患に対して高い抗炎症効果が期待できる。 【0012】 増粘剤としてはCMC、カルボキシビニルポリマーが挙げられる。特にCMCが好ましい。CMCは有効成分100重量%に対して0.5〜2.0重量%の割合で添加することが好ましい。0.5重量%未満では製剤が炎症発生部位に長い時間留まることができないため十分な抗炎症効果が得られず、2.0重量%を超えると製剤の粘度が高くなりすぎて局所投与し難くなる。 【実施例】 【0013】 次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。 <実施例1〜3、比較例1,2> 先ず、局所投与する製剤として、SNMCの原液に増粘剤としてCMCを0.5重量%の割合で添加したもの(実施例1)、SNMCの原液に増粘剤としてCMCを1.0重量%の割合で添加したもの(実施例2)、SNMCの原液に増粘剤としてCMCを2.0重量%の割合で添加したもの(実施例3)、生理的食塩水(比較例1)、SNMCの原液(比較例2)をそれぞれ用意した。また局所投与する製剤毎に4〜6匹のラットを用意した。次に、滅菌した水道水で3%に希釈したデキストラン硫酸ナトリウム(dextran sulfate sodium;分子量5000)を大腸炎誘発物質として全てのラットに7日間投与することで、大腸炎を誘発させたラットとした。大腸炎誘発物質の投与3日目から7日目までに、上記用意した製剤を1mlづつ、エーテル麻酔下にてカニュレを介して経肛門的に局所投与した。全てのラットは8日目に屠殺した。 【0014】 <比較試験1> 実施例1〜3及び比較例1,2の製剤を局所投与したラットについて、(a)体重増加率、(b)炎症肉眼的評価及び(c)体重あたりの腸重量をそれぞれ求めた。 【0015】 (a)体重増加率は、次の式(1)に示すように、実験開始時と屠殺時におけるラットの体重の比を体重増加率として計算した。体重増加率を評価としたのは、炎症が進行すると体重が減少し、炎症が軽いほど体重が増える傾向があるためである。 【0016】 【数1】
【0017】 (b) 炎症肉眼的評価は、屠殺したラットを解剖して腸の一部を摘出し、摘出した腸管を長軸に沿って開いた状態で腸内壁を観察してMorrisらのGastroenterolgy(1989)の基準に従って評価した。 (c) 体重あたりの腸重量は、ラットより摘出した腸管の肛門から8cmまでの湿重量を測定し、屠殺時のラット体重との比として求めた。この体重あたりの腸重量を評価としたのは、炎症が進行すると、浮腫がでて腸の重量が増える傾向があるためである。 (a)体重増加率、(b)炎症肉眼的評価及び(c)体重あたりの腸重量の評価結果を表1に示す。 【0018】 【表1】
【0019】 表1から明らかなように、(a)体重増加率では比較例1、2に比べて実施例1〜3の製剤を局所投与した方が、有意に体重増加率が大きかった。(b)炎症肉眼的評価では比較例1、2に比べて実施例1〜3の製剤を局所投与した方が、有意に低値であった。更に、(c)体重あたりの腸重量では比較例1、2に比べて実施例1〜3の製剤を局所投与した方が、有意に低値であった。従って、実施例1〜3のグリチルリチン製剤は、慢性炎症性腸疾患モデルの腸管炎症を抑制しており、全身状態を改善することが明らかとなった。以上のことから本発明のグリチルリチン製剤を局所投与することによる腸炎の治療効果を確認できた。
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| 【出願人】 |
【識別番号】504145364 【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
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| 【出願日】 |
平成17年9月26日(2005.9.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100085372 【弁理士】 【氏名又は名称】須田 正義
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| 【公開番号】 |
特開2007−84514(P2007−84514A) |
| 【公開日】 |
平成19年4月5日(2007.4.5) |
| 【出願番号】 |
特願2005−278382(P2005−278382) |
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