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【発明の名称】 電動カート
【発明者】 【氏名】山室 成樹

【氏名】西川 隆朗

【要約】 【課題】簡易な構造により車体側方からの衝突に対して運転者の身体を保護し、その保護部材が乗り降りに支障しないようにする。

【解決手段】電動カートの足載せ台3上の空間と車体1の幅方向外側の空間とを仕切る安全バー10を回動自在に設け、運転者が乗り降りする際は、前記安全バー10を足もと側方から退避させ、運転者がシート2に着座した際は、前記安全バー10を倒して前記足載せ台3上の空間と車体1の幅方向外側の空間とを仕切ることができるようにした。運転者が乗り降りする際は、その安全バー10が乗り降りに支障しないようにすることができ、また、運転者が前記シート2に着座した際は、車体側方からの衝突に対して運転者の身体を保護することができる。さらに、シート2は前向きから横向きへと回転自在で、安全バー10を倒すことによりシート2を前向きに固定するロック手段を設けたので、運転中にシート2が回転する事態を防止し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート2の前方に足載せ台3を備えた電動カートにおいて、前記シート2前方の足もと側方に、前記足載せ台3上の空間と車体1の幅方向外側の空間とを仕切る安全バー10を設け、その安全バー10を、運転者が乗り降りする際は前記足もと側方から退避させて乗り降り可能とするとともに、運転者が前記シート2に着座した際は前記足もと側方に出現させて前記足載せ台3上の空間と車体1の幅方向外側の空間とを仕切ることができるようにした電動カート。
【請求項2】
上記安全バー10は上記車体1の前後方向に回動自在に設けられ、その回動により前記安全バー10は、上記足もと側方からの退避及び足もと側方への出現を可能としたことを特徴とする請求項1に記載の電動カート。
【請求項3】
上記シート2は、上記車体1に対して前向きの状態から横向きの状態へと回転自在となっており、前記シート2が前向きの状態で、上記安全バー10を上記足もと側方に出現させることにより前記シート2の向きを前向きに固定するロック手段20を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動カート。
【請求項4】
上記ロック手段20は、上記安全バー10の上記足もと側方からの退避及び足もと側方への出現に連動して進退するワイヤー30と、上記シート2と一体に回転する被係止部材32aと、上記車体1に設けられ前記被係止部材32aに係合する係止部材31と、その係止部材31を前記被係止部材32aとの係合方向へ付勢する弾性部材33とを有し、前記安全バ10ーが上記足もと側方に出現した際に前記係止部材31は前記弾性部材33の付勢力により前記被係止部材32aに係合して前記シート2の向きを前向きに固定し、前記安全バ10ーを前記足もと側方から退避させることにより、前記ワイヤー30が前記係止部材31を引いて前記被係止部材32aとの係合を解除することを特徴とする請求項3に記載の電動カート。
【請求項5】
上記車体1に、その車体1の前後方向に延びる固定節51と、その固定節51から伸びる対のクランク52,53と、その対のクランク52,53間を結ぶ作動節54とを備えた四節クランク機構50を設け、前記作動節54は上記安全バー10と一体に固定されてその安全バー10の回動により前記対のクランク52,53が前記固定節51に対して揺動し、上記ワイヤー30は、前記対のクランク52,53のいずれかに進退可能に支持されるとともにその先端が作動節54に接続されて前記対のクランク52,53の揺動により進退することを特徴とする請求項4に記載の電動カート。
【請求項6】
上記車体1に、前記ロック手段20による上記シート2の向きの固定及びその固定解除の動きに連動して電気回路を開閉するスイッチ40を設け、そのスイッチ40による前記電気回路の開閉により、前記ロック手段20の前記固定解除状態で電動カートの電源の起動操作又は走行操作が規制され、前記ロック手段20の前記固定状態で電動カートの電源の起動操作又は走行操作の規制が解除されることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の電動カート。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、身体の不自由な人やお年寄りなどが利用する電動カートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
身体の不自由な人やお年寄りなどが利用する電動カートは、電動車いすとも呼ばれ、運転者が乗り降りしやすいように運転席のシートが回転可能になっていることが多い。
これは、電動カートのシート前方にはフラットな足載せ台が設けてあり、その足載せ台上の空間が車体側方へと開放されているので、乗り降りの際にシートが横向きになれば、運転者はシートに腰掛けたままの姿勢で横向きから前向きへ、あるいは前向きから横向きへと向きを変えて、楽な姿勢で乗り降りしやすくなるからである。
なお、シートが横向きの状態にあるときは、安全装置が働いて、カートが動かないようになったものもある。
【0003】
さらに、そのシートの回転機構に加えて、シートの上下方向変位により運転者の着座の有無を検知する機構を備え、シートが前方に向いている時のみ着座を検知して走行操作ができるようにした安全装置もある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、走行用の駆動力伝達を入断するクラッチを備え、その入断を行う操作部を移動可能にして、人が電動カートに乗車している状態においてクラッチを切断する操作を行うことができないようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平8−72772号公報
【特許文献2】特開2001−346833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、従来の電動カートは、運転者が乗り降りしやすいようにシート前方の足を置くスペースが車体側方へ開放されている。このため、車体側方から、例えば、自転車等の接触、衝突があれば、その自転車の車輪や車体の一部が運転者の足に直接当たってしまうことがある。
【0007】
このような車体側方からの衝突に対して運転者の身体、特に足下を保護するためには、電動カートの車体に、運転者の身体を覆う保護部材を設けることが望ましい。
しかし、電動カートの性格上、法令等により車体の構造には制限が設けられており、運転者の身体を完全に覆う強靱な保護部材を設けることは困難である。したがって、簡易な構造で運転者の身体を保護できるようにすることが要求される。
また、運転者の足下を保護部材で完全に覆ってしまえば、上記のごとく楽な姿勢で乗り降りすることができなくなり不便であるので、運転者の身体を保護する保護部材は、その乗り降りに支障しないものであることが望ましい。
【0008】
そこで、この発明は、簡易な構造の保護部材により車体側方からの衝突に対して運転者の身体を保護し、その保護部材が運転者の乗り降りに支障しないようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、この発明は、電動カートの運転者の足もと側方に安全バーを設けて、その安全バーを足もと側方から退避可能、及びその退避状態から出現可能としたものである。
このようにすれば、運転者が乗り降りする際は前記安全バーを前記足もと側方から退避させて乗り降り可能とすることができ、また、運転者が前記シートに着座した際は前記安全バーを前記足もと側方に出現させて前記足載せ台上の空間と車体の幅方向外側の空間とを仕切ることができる。
このため、車体側方からの衝突に対して運転者の身体を保護し、その保護部材が運転者の乗り降りに支障しないようにできる。
【発明の効果】
【0010】
この発明は、電動カートの運転者の足もと側方に安全バーを設けて、その安全バーを足もと側方から退避可能、及びその退避状態から出現可能としたので、簡易な構造の保護部材により車体側方からの衝突に対して運転者の身体を保護し、その保護部材が運転者の乗り降りに支障しないようにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明の実施形態として、シートの前方に足載せ台を備えた電動カートにおいて、前記シート前方の足もと側方に、前記足載せ台上の空間と車体の幅方向外側の空間とを仕切る安全バーを設け、その安全バーを、運転者が乗り降りする際は前記足もと側方から退避させて乗り降り可能とするとともに、運転者が前記シートに着座した際は前記足もと側方に出現させて前記足載せ台上の空間と車体の幅方向外側の空間とを仕切ることができるようにした構成を採用し得る。
【0012】
上記安全バーを退避及び出現可能に設ける手法としては、例えば、その安全バーを上記車体の前後方向に回動自在に設け、前記安全バーが、その回動により上記足もと側方から退避及び足もと側方へ出現するようにすれば、安全バーは掴んで引いたり押したりするだけで退避及び出現し、操作が簡単であるとともに、その操作は、あたかも自動車のドアの開閉操作に似通ったものとなりスマートである。
また、安全バーが、その回動中心においてのみ車体に支持されるので、支持構造をコンパクトにすることができ、例えば、その安全バーを車体の前後方向、又は上下方向にスライドさせることにより上記のごとく退避及び出現させる構造、あるいは、その安全バー自身が長手方向に伸縮することにより同じく退避及び出現させる構造などに比べて、その構造を簡素化し得る。
【0013】
また、上記シートが、上記車体に対して前向きの状態から横向きの状態へと回転自在となっており、前記シートが前向きの状態で、上記安全バーを上記足もと側方に出現させることにより前記シートの向きを前向きに固定するロック手段を設けた構成を採用し得る。
このようにすれば、シートの回転を止めるロック手段の動作を、安全バーの退避及び出現動作に連動させることができるので、電動カートの構造を簡素化し得るとともに、安全バーを退避させない限りシートが回転しないので、運転中にシートが回転する事態をより確実に防止し得る。
【0014】
さらに、上記ロック手段を設けた構成において、そのロック手段が、上記安全バーの上記足もと側方からの退避及び足もと側方への出現に連動して進退するワイヤーと、上記シートと一体に回転する被係止部材と、上記車体に設けられ前記被係止部材に係合する係止部材と、その係止部材を前記被係止部材との係合方向へ付勢する弾性部材とを有し、前記安全バーが上記足もと側方に出現した際に前記係止部材は前記弾性部材の付勢力により前記被係止部材に係合して前記シートの向きを前向きに固定し、前記安全バーを前記足もと側方から退避させることにより、前記ワイヤーが前記係止部材を引いて前記被係止部材との係合を解除する構成を採用し得る。
このようにすれば、ワイヤーは湾曲自在であり、比較的自由なルートで車体に取り回し、配線できるので、上記安全バー及びロック手段の設置位置に係わらず、その安全バーの退避及び出現動作とシートのロック手段の係脱動作とを容易に連動させることができる。
なお、上記ワイヤーの進退の際、ワイヤーはその長さ方向に引かれたり、その引きが緩められたりするが、その引く力は、上記弾性部材の弾性力に抗して係止部材と被係止部材との係合を解除し得るものであればよい。また、その弾性部材の弾性力は、前記ワイヤーに弛みが発生することを抑えるように、そのワイヤーの進退に係る摩擦力以上あればよい。
【0015】
また、上記車体に、その車体の前後方向に延びる固定節と、その固定節から伸びる対のクランクと、その対のクランク間を結ぶ作動節とを備えた四節クランク機構を設け、前記作動節は上記安全バーと一体に固定されてその安全バーの回動により前記対のクランクが前記固定節に対して揺動し、上記ワイヤーは、前記対のクランクのいずれかに進退可能に支持されるとともにその先端が作動節に接続されて前記対のクランクの揺動により進退する構成を採用し得る。
【0016】
四節クランク機構により安全バーを車体に対して回動可能に支持すれば、例えば、同様な安全バーを一本の回転軸により車体に支持する場合と比較して、力の作用点が分散されるので、車体の構造を簡素化し得るとともに、安全バーをより強固に支持できるので好ましい。
【0017】
また、上記ロック手段を係脱動作させるために必要なワイヤーの進退距離は、そのロック手段の動作機構によって様々であるが、ワイヤーを接続した部分における安全バーの回動距離(安全バー上の一点が、回動中心周りに移動する周方向距離)が、そのワイヤーに求められる必要進退距離と一致するとは限らない。
仮に、ワイヤーの先端を安全バーに取付ける位置が、その安全バーの回動中心に近い根元部であれば、進退距離は短くなってロック手段の係脱動作させ得るに足りなくなる場合も考えられ、逆に、回動中心から遠い先端部に取付けられれば進退距離は長くなり過ぎる場合も考えられる。また、ロック手段を係脱させるために必要なワイヤーの進退距離が僅かで足りる場合には、ワイヤーを安全バーの根元部に取付けても、なお、その進退距離が長すぎる場合も考えられる。
そこで、上記のように、四節クランク機構を採用して、その四節クランク機構の揺動とともに安全バーが回動できるようにすれば、安全バーの回動に伴ってワイヤーが進退する長さを、任意の長さに設定しやすいようになる。
これは、四節クランク機構を構成する上記固定節、対のクランク、作動節の各部材長さ(節点間距離)は自由に設定することができ、その各部材長さの設定により、前記安全バーの回動に伴う各部材相互間の最接近時及び最離反時の距離の差異を任意に変化させることができる。二点間の最接近時及び最離反時の距離の差異を任意に変化させることができれば、その二点間にワイヤーを支持すれば、ワイヤーが進退する長さを調整できるからである。
【0018】
さらに、上記車体に、前記ロック手段による上記シートの向きの固定及びその固定解除の動きに連動して電気回路を開閉するスイッチを設け、そのスイッチによる電気回路の開閉により、前記ロック手段の前記固定解除状態で電動カートの電源の起動操作又は走行操作が規制され、前記ロック手段の前記固定状態で電動カートの電源の起動操作又は走行操作の規制が解除されるようにした構成を採用し得る。
このようにすれば、シートが前向きに固定された状態以外の状態において、電動カートの電源が起動又は走行する事態をより確実に防止し得る。
【0019】
なお、上記機能を有するスイッチとしては、機械的な作動体の動きによってレバーを動作し、所定の電気回路を開閉するリミットスイッチが便利である。その作動体としては、例えば、係止部材そのものであり、上記係合時に前記リミットスイッチのレバーを動作させる方向へ動かすものとすることができる。
【実施例】
【0020】
一実施例を図面に基づいて説明する。この実施例は、モーターの駆動によって運転者を乗せて走行する電動カートである。
図1に示すように、電動カートは、車体1の前方両側に前輪(操舵輪)5が設けられ、後方両側に後輪(駆動輪)6が設けられている。車体1の最前部に立ち上がる前面フレーム7には、前輪5を操舵させるハンドル4が設けられており、その前面フレーム7とシート2との間には、運転者が両足を揃えて載せることができるフラットな足載せ台3が設けられている。
【0021】
上記足載せ台3の車体幅方向両側、すなわち上記シート2前方の足もと側方に、前記足載せ台3上の空間と車体1の幅方向外側の空間とを仕切る安全バー10が退避及び出現自在に設けられている。
この安全バー10は、図1及び図2に示すように、車体1の幅方向両側にそれぞれ設けられて、上記前面フレーム7の下端部を車体1への支持点として、車体1の前後方向に回動自在に設けられている。
【0022】
安全バー10を後方へ回動することにより、その安全バー10は運転者の足もと側方に突出して出現し、前方へ回動することにより、安全バー10は足載せ台3上の空間から退避することとなる。
この退避及び出現により、例えば、運転者が乗り降りする際は、図2のごとく、安全バー10を上げて前面フレーム7側へ退避させれば足載せ台3の側方に障害物がなくなり、運転者は両足を持ち上げることなく水平移動させて乗り降りすることができる。また、図1のごとく、安全バー10を倒して足もと側方に出現させておけば、その安全バー10で足載せ台3上の空間と車体1の幅方向外側の空間とを仕切ることができるので、運転者の身体を車体1の側方からの衝突物から保護できるようになっている。
【0023】
なお、上記のように、安全バー10を倒した際に、その安全バー10の先端が、シート2の周囲三方に帯状に設けられたシートフレーム11の先端に係合するようになっており、その係合により車体1の前面フレーム7、左右両安全バー10,10、シートフレーム11が環状に一体化されて剛性を高め、衝突に対する安全バー10の強度が高められている。
また、安全バー10とシートフレーム11の断面を類似した形状とすることにより、その安全バー10とシートフレーム11とが、外観上一体に見えるようなデザインとなっているので、車体1と安全バー10との一体感が増し、美観向上にも寄与し得る。
さらに、その安全バー10の先端は、退避時にハンドル4付近に位置するので、運転者が着座した状態で、その安全バー10の先端を掴んで操作しやすいようになっている。
【0024】
また、上記シート2は、上記車体1に対して前向きの状態(図1参照)から横向きの状態(図2参照)へと横方向に回転自在となっている。
安全バー10を上げた状態において、足載せ台3上の空間は、車体1側方へ障害物なく開放されているので、乗り降りの際に運転者は、シート2に腰掛けたままの姿勢で横向きから前向きへ、あるいは前向きから横向きへと向きを変えて、乗り降りしやすいようになっている。
【0025】
上記シート2には、上記安全バー10を倒した際に、そのシート2の向きを前向きに固定するロック手段20を設けられている。
そのロック手段20の構成は、上記安全バー10の回動に連動して進退するワイヤー30と、上記シート2の下面に沿って設けられてシート2と一体に回転し、且つ径方向外側に延びる突起(被係止部材)32aを有する回転盤32と、上記車体1に設けられ前記回転盤32の突起32aに係合する係止部材31と、その係止部材31を前記被係止部材32aとの係合方向へ付勢する弾性部材33とを有している。
【0026】
回転盤32とシート2とは、その回転盤32の中央に設けた穴32bに、シート2の下方に設けた突起2aが嵌って一体に回転するようになっており(図5(a)参照)、回転盤32の突起32aは、上記シート2が前向きの状態から横向きの状態へと回転すると、図6(b)に中央に示す実線位置から鎖線位置へと周方向へ移動する。また、係止部材31は、同じくシート2の下方において、車体1に設けた軸受け37に回転自在に支持された車体幅方向の軸36に設けられ、シート2が前向きの状態において、図5(a)に矢印で示す軸36の軸周り回転とともに、その係止部材31の穴31aに回転盤32の突起32aが係合し、シート2の回転を規制するようになっている。
また、この軸36に設けた固定部39と、車体1側に設けた固定部38との間には、コイルバネ(弾性部材)33が接続されており、その弾性力で前記係止部材31を突起32aへの係合方向へ付勢している。
【0027】
上記安全バー10には、その回動に連動して進退するワイヤー30の一端30cが接続されており、そのワイヤーの他端30dは、上記軸36の固定部39に接続されている。ワイヤー30は、保護管30bとその保護管30b内において進退自在のワイヤー本体30aとで構成されており、その保護管30bの両端部が、それぞれ安全バー10側に設けた固定部35、及びシート2の下方において車体1側に設けた固定部34に支持されて、ワイヤー本体30aが進退できるようになっている。
【0028】
そのワイヤー30が引かれることにより、前記コイルバネ33の付勢力に抗して軸36を上記係合解除方向へ回転させ、その回転により係止部材31と被係止部材32aとの係合が解除される。また、そのワイヤー30の引きが緩められることにより、係止部材31はコイルバネ33の付勢力により被係止部材32aに係合して前記シート2の向きを前向き状態から動かないように固定する。
【0029】
上記ワイヤー30の一端30cは、上記安全バー10を車体1に回動自在に支持する四節クランク機構50の構成部材に接続されている。
【0030】
四節クランク機構50の構成は、図3(a)(b)に示すように、上記車体1に不動に固定され、その車体1の前後方向に延びる固定節51と、その固定節51から伸びる対のクランク52,53と、その対のクランク52,53間を結ぶ作動節54とを備えている。
前記作動節54は上記安全バー10と一体に固定されて、その安全バー10の回動により前記対のクランク52,53が、それぞれ固定節51に対して節点のピン51a,51bを中心に揺動し、作動節54は、節点のピン54a,54bを介してその両クランク52,53の揺動に追随して動く。安全バー10は作動節54に一体に固定されているので、安全バー10は、この四節クランク機構50により車体1に対して回動可能に支持される。
【0031】
上記ワイヤー30の一端30cは、この作動節54の中程に接続されており、またワイヤー30の保護管30bを支持する固定部35は、前記クランク53の中程に設けられている。
【0032】
上記ワイヤー30の一端30cの固定位置と、ワイヤー30の保護管30bを支持する固定部35とは、安全バー10の回動に伴って両者を結ぶ距離が変化する部位に設定すれば、安全バー10の回動に連動してワイヤー30を進退させて、引いたり緩めたりできるようになるので、例えば、固定部35は車体1(固定節51)側の任意の位置に設けても良いし、固定部35を車体1側に設けたならば、一端30cは作動節54でなくともクランク52,53のいずれかに設けても良い。また、一端30cと固定部35とを、それぞれクランク52,53に設けた構成も考えられる。
【0033】
しかし、この実施例では、図5(a)に示す他端30dの位置変化のように、ロック手段20を係脱させるために必要なワイヤー30の進退距離が僅かで足りるので、ワイヤー30の固定部35は車体1側に設けると、安全バー10は大きく回動するので、その回動に伴うワイヤー30の進退距離が長すぎることとなる。
そこで、上記のように、四節クランク機構50を採用して、その四節クランク機構50の揺動とともに安全バー10が回動できるようにし、且つその四節クランク機構50を構成する部材にワイヤー30を接続、支持したので、安全バー10の回動に伴うワイヤー30の進退距離を、そのワイヤー30を接続、支持した部位における安全バー10の車体1に対する回動距離よりも短くすることができる。
【0034】
さらに、シート2の下方において、車体1には、上記ロック手段20の動作に伴って電気回路を開閉するリミットスイッチ40が設けられている。
リミットスイッチ40は、図5及び図6に示すように、上記回転盤32上面又は下面に設けられ、係止部材31が被係止部材32aに係合すると同時に、その係止部材31がリミットスイッチ40のレバー41を押す作動体として機能するように構成されている。
係止部材31は、シート2が前向きの状態にある場合のみ被係止部材32aに係合することができるので、シート2が前向きになり、且つその状態がロックされた場合にのみレバー41が押されて、リミットスイッチ40が「入」となる。
リミットスイッチ40が「入」となることにより、電動カートに設けられた電源の起動操作又は走行操作の規制(不許可)、規制解除(許可)を制御する電気回路が閉じられる。その電気回路に電流が流れると、電動カートの電源の起動操作又は走行操作の規制が解除される。また、レバー41の押し動作が開放されて元の状態に戻り、リミットスイッチ40が「断」となることにより電気回路が開けられ、その電気回路に流れる電流が遮断されると、電動カートの電源の起動操作又は走行操作が規制されるようになっている。
【0035】
なお、リミットスイッチ40が「入」となることにより、電気回路が開けられて、その電気回路に流れる電流が遮断されることにより、電動カートの電源の起動操作又は走行操作の規制が解除されるように構成することもできる。
この実施例以外にも、スイッチの入断動作(例えば、上記レバー41の押し動作、及び戻り動作)とその入断動作に基づく電気回路の開閉動作、及びその電気回路の開閉動作に基づく電動カートの各操作の規制、規制解除を行う制御の形態は、周知の制御回路等により自由に組合わせて構成することができる。
【0036】
また、図7及び図8に示す構成を採用することもできる。この構成において、上記回転盤32の突起32aの下面に設けた突出片(作動体)42が、シート2が前向きの状態にある場合のみリミットスイッチ40のレバー41を押すように構成されている。
【0037】
さらに、上記リミットスイッチ40に加え、図7に示すように、係止部材31がコイルバネ33の付勢力により被係止部材32aに係合した場合にのみ電気回路を開閉するリミットスイッチ40’を設けた構成となっている。このリミットスイッチ40’の構成は、上記軸36の固定部39が、係止部材31と被係止部材32aとが係合した場合のみリミットスイッチ40’のレバー41’を押すように構成されている。
この構成によれば、上述の図5及び図6に示す構成と同様、シート2の向きが前向き状態となっており、且つ安全バー10を倒すことにより、シート2の向きがその前向き状態から動かないように固定されている場合にのみ、電動カートの電源の起動操作又は走行操作の規制が解除されるようになる。
このとき、上記両リミットスイッチ40,40’は、上記電動カートの電源の起動操作又は走行操作の規制(不許可)、規制解除(許可)を制御する電気回路に直列に配置して、両スイッチが閉じることにより又は開くことにより、電動カートの電源の起動操作又は走行操作の規制、又は規制解除が行われるようにしてもよいし、両リミットスイッチ40,40’を別々の電気回路に配置して、その両電気回路の開閉状況に基づいて、電動カートの電源の起動操作又は走行操作の規制、又は規制解除が行われるようにしてもよい。
【0038】
なお、上記各リミットスイッチ40,40’によらず、他の構成からなるスイッチを採用してもよい。例えば、電動カートの電源の起動操作又は走行操作の規制及び規制解除を制御し得るように機能する電気回路を開閉するスイッチを、上記シート2の向きを検知する接触式、又は光センサ等を使用した非接触式の周知の検知手段からの信号、あるいはロック手段20の動きを検知する同じく周知の検知手段からの信号を受けて動作させるようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】一実施例の電動カートの斜視図
【図2】同実施例の安全バーを上げた状態を示す斜視図
【図3】四節クランク機構を示し、(a)は安全バーを下げた状態、(b)は安全バーを上げた状態を示す詳細図
【図4】ロック手段の斜視図
【図5】(a)はロック手段の側面図、(b)はロック手段の底面図
【図6】電動カートの電源の起動操作又は走行操作を規制するスイッチの取付部を示す要部拡大図
【図7】他の実施例を示し、(a)はロック手段の側面図、(b)はロック手段の底面図
【図8】図7のスイッチの取付部を示す要部拡大図
【符号の説明】
【0040】
1 車体
2 シート
3 足載せ台
4 ハンドル
5 前輪
6 後輪
7 前面フレーム
10 安全バー
11 シートフレーム
20 ロック手段
30 ワイヤー
30a ワイヤー本体
30b 保護管
30c,30d 先端
31 係止部材
31a 穴
32 回転盤
32a 突起(被係止部材)
32b 穴
33 弾性部材
34,35,38,39 固定部
36 軸
37 軸受け
40 スイッチ(リミットスイッチ)
41 レバー
42 突出片(作動体)
50 四節クランク機構
51 固定節
51a,51b,54a,54b 節点
52,53 クランク
54 作動節
【出願人】 【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
【出願日】 平成18年4月6日(2006.4.6)
【代理人】 【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二

【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久

【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由

【識別番号】100084858
【弁理士】
【氏名又は名称】東尾 正博


【公開番号】 特開2007−275280(P2007−275280A)
【公開日】 平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願番号】 特願2006−105097(P2006−105097)