| 【発明の名称】 |
冷凍惣菜 |
| 【発明者】 |
【氏名】森田 日出男
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| 【要約】 |
【課題】冷凍・解凍により煮崩れ状態となったり風味が損なわれるという問題が解消された冷凍惣菜を提供しようとする。
【解決手段】2.5kg以下の包装単位に小分け包装されている、調味料とまぜあわされた加熱前の具材を準備する工程と、該具材を加熱により不完全調理する工程と、不完全調理された該具材を、0〜20℃の温度まで、20分以内に急冷する工程と、急冷された該具材を、0℃から−5℃の温度域を25分以内に通過するように、急速冷凍する工程と、を含む製造工程で製造され、加熱解凍して調理が完了する冷凍惣菜である。また、前記加熱前の具材がジャガイモを素材とする具材を含み、前記不完全調理する工程において、該ジャガイモを素材とする具材がα化度20〜70%になるように加熱される前記冷凍惣菜である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 2.5kg以下の包装単位に小分け包装されている、調味料とまぜあわされた加熱前の具材を準備する工程と、 該具材を加熱により不完全調理する工程と、 不完全調理された該具材を、0〜20℃の温度まで、20分以内に急冷する工程と、 急冷された該具材を、0℃から−5℃の温度域を25分以内に通過するように、急速冷凍する工程と、 を含む製造工程で製造され、 加熱解凍して調理が完了する冷凍惣菜。 【請求項2】 前記不完全調理する工程における加熱が、前記加熱前の具材を減圧包装してなされる、請求項1に記載の加熱解凍して調理が完了する冷凍惣菜。 【請求項3】 前記加熱前の具材がジャガイモを素材とする具材を含み、 前記不完全調理する工程において、該ジャガイモを素材とする具材がα化度20〜70%になるように加熱される請求項1又は2に記載の冷凍惣菜。 【請求項4】 前記急速冷凍する工程が、高電圧電場ブライン冷凍処理により行われる請求項1ないし3のいずれかに記載の冷凍惣菜。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、冷凍惣菜に関する。 【背景技術】 【0002】 従来の冷凍法による冷凍惣菜は、なまものであれ加熱したものであれ、根菜類については、解凍後のものにドリップが多量に発生している。そのためにテクスチャー、色、味、香りの劣化が著しく、食材、食品の減量も大きい。 【0003】 例えば、芋類ではジャガイモはとくに冷凍品では良い品質が得られない。ジャガイモはデンプン粒が大きいため、煮崩れが速やかに起こることから、ホクホク感のあるテクスチャーは得られない。 【0004】 また、ふき、ごぼう、れんこん、にんじん等のいわゆる繊維系の根菜類の食品の冷凍化においても、そのテクスチャー、風味や色調は大きく劣化する。 【0005】 冷凍惣菜の冷凍・解凍により煮崩れ状態となったり風味が損なわれるという問題に対処する方法としては、丸のままあるいは大きくカットした大きさの野菜類を、その組織の強化処理を施こした後、冷凍処理することを特徴とする冷凍野菜の製造方法が開示されている。この組織の強化処理は、野菜類を高温で処理する第一工程およびカルシウムを含む水溶液中で加熱処理する第二工程を必須とする工程、またはさらに再度高温で処理する第三工程を必須とする工程で行われる。(例えば、特許文献1参照) 【0006】 あるいは、砂糖、グルタミン酸ソーダー等を溶解させただし汁に解凍されたカット野菜を浸漬し、次にみりん、しょう油等を溶解した調味液に浸漬し、液切り後蒸し加熱を行い凍結を行う製造方法が開示されている。(例えば、特許文献2参照) 【0007】 さらに、ジャガイモについては、湯煮したジャガイモを、具材,調味液などとパウチに充填し真空包装されてなる肉ジャガを、冷凍初期,冷凍中期,冷凍後期での冷凍条件を経て凍結する方法が開示されている。(例えば、特許文献3参照) 【0008】 また、ジャガイモについては、ジャガイモを剥皮・カットして化石化サンゴ抽出水に浸漬し、蒸煮し、温風を当てて表面付近を脱水し、真空包装し、真空包装したカットジャガイモを熱湯殺菌し冷水に浸漬後冷凍する方法が開示されている。(例えば、特許文献4参照) 【0009】 これらの方法は、調味料以外の特殊な液を必要としたり、工程が複雑であったり、冷凍食材を素材とするものであったりして、汎用的な実施には不安が残る。 【特許文献1】特開平8−140570号公報 【特許文献2】特開平8−242802号公報 【特許文献3】特開平10−57025号公報 【特許文献4】特開2005−261338号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0010】 本発明は、冷凍・解凍により煮崩れ状態となったり風味が損なわれるという問題が解消された冷凍惣菜を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0011】 発明の要旨とするところは、調味料とまぜあわされた加熱前の具材を準備する工程と、 該具材を加熱により不完全調理する工程と、 不完全調理された該具材を、0〜20℃の温度まで、20分以内に急冷する工程と、 急冷された該具材を、0℃から−5℃の温度域を25分以内に通過するように、急速冷凍する工程と、 を含む製造工程で製造され、 加熱解凍して調理が完了する冷凍惣菜であることにある。 【0012】 前記具材を準備する工程における、調味料とまぜあわされた加熱前の具材は、2.5kg以下の包装単位に小分け包装されている具材である。 【0013】 前記不完全調理する工程における加熱は、前記加熱前の具材を減圧包装してなされ得る。 【0014】 前記冷凍惣菜においては、前記加熱前の具材がジャガイモを素材とする具材を含み得、 前記不完全調理する工程において、該ジャガイモを素材とする具材がα化度20〜70%になるように加熱され得る。 【0015】 前記急速冷凍する工程は、高電圧電場ブライン冷凍処理により行われ得る。 【発明の効果】 【0016】 本発明によると、冷凍・解凍により煮崩れ状態となったり風味が損なわれるという問題が解消された冷凍惣菜が提供される。 【発明を実施するための最良の形態】 【0017】 本発明の冷凍惣菜の態様について説明する。本発明の冷凍惣菜は 2.5kg以下の包装単位に小分け包装され、調味料とまぜあわされた加熱前の具材を準備する工程と、 小分け包装された該具材を加熱により不完全調理する工程と、 不完全調理された該具材を、0℃をこえて20℃以下の温度まで、20分以内に急冷する工程と、 急冷された該具材を、0℃から−5℃の温度域を25分以内に通過するように、急速冷凍する工程と、 を含む製造工程で製造され、 加熱解凍して調理が完了する冷凍惣菜である。 【0018】 惣菜は日常、家庭で「おかず」としてあるいは主食に添える「具」として食される加工調理した食品を言う。本発明における惣菜は、食材が単一とは限らず、性状も雑多で、本発明の目的にかなう調理食品であればよく、例えば、煮物、蒸し物等が挙げられ、中でも液汁を含む煮物が挙げられる。具体的には、好ましいものは惣菜中の固形物成分の比較的大きなものであり、例えば筑前煮、肉じゃが、酢豚、五目野菜煮、里芋煮、かぼちゃ煮、筍煮、おでん、シチュー、カレーやスパゲッテイの具などが挙げられるが、これらに限定されない。惣菜には魚介類、肉類、こんにゃく、揚げ物等の食物が含有されていてもよい。 【0019】 本発明に用いられる具材としては、ジャガイモ、さといも、さつまいも等の芋類、にんじん、ふき、れんこん、ごぼう等の繊維系の根菜類、小松菜、ほうれん草等の菜類、ねぎ、にら等の葉類、しめじ、しいたけ、きくらげ等のきのこ類、コンブ、ヒジキ等の海草類、かぼちゃ、たまねぎ、たけのこ等が挙げられる。 【0020】 以下工程を追って詳述するならば、まず、食材が所定の大きさに切り分けられて調理用の具材とされ2.5kg以下の包装単位で包装袋あるいは包装箱に入れられて小分け包装される。包装袋は調理温度及び冷凍環境に耐える袋からなるもので、例えばポリプロピレンやポリエステル等のフィルムを素材とすることができる。あるいは、フィルムに金属箔が積層されたものであってもよい。この袋はヒートシール可能であることが好ましい。 【0021】 具材を入れた包装袋あるいは包装箱の中には必要に応じて各種調味料が添加される。加えて、これら具材以外の、加熱調理済みあるいは場合によっては未調理の食物が添加されてもよい。 【0022】 次いで、包装された具材が加熱により不完全調理される。不完全調理は具材が完全には調理されていない状態に調理されることをいう。不完全調理における加熱は具材の通常の調理における加熱温度より低い温度でなされる。あるいは通常の調理における加熱時間より短い時間でなされる。加熱時間を短くする不完全調理は、加熱時間の僅かな違いが調理状態に影響し、また、具材の部位や位置により調理の程度に偏りが生じやすいので、調理の度合いは主に加熱温度の設定で調整することが好ましい。 【0023】 さらに包装された具材を減圧下で加熱することが調理の程度に偏りが生じにくく好ましい。減圧下で加熱されることにより、沸騰状態の加熱であっても通常の常圧下での加熱調理時と比べ低温で調理される。温度センサーなどを用いて常圧下で低温調理することも可能である。しかし、その場合は局所的に具材の温度が設定温度より過度に高くなったり、過度に低くなったりすることがあり、具材を、具材のおかれる位置や具材の部位にかかわりなく、均一に長時間にわたって所定の一定温度に保って加熱することが容易でないが、減圧下での加熱においては、具材を、具材のおかれる位置や具材の部位にかかわりなく、均一に長時間にわたって所定の一定温度に保って加熱することができる。 【0024】 さらに、本発明においては、具材が2.5kg以下の包装単位で小分け包装されているので、具材の位置により加熱状態が異なるおそれが少なく、各具材にわたって均一な加熱がなされる。各具材にわたって均一な加熱がなされることにより、調理が進行して解凍後の煮崩れと風味の低下をきたす部分ができることが防止される。 【0025】 また、不完全調理工程におけるこの加熱は具材が完全には調理されない温度で行われる。この温度は、減圧下では液体の沸点が常圧下より低いことを利用して、具材を設定された気圧に減圧されたチャンバーの中で加熱することにより低温加熱を行なうことができる。 【0026】 加熱調理はこのように具材を減圧されたチャンバーの中で加熱することにより行われてもよいが、具材を予め包装袋に減圧封入することにより減圧包装された包装体を得て、その包装体を加熱することが操作が簡便で好ましい。但し減圧包装された包装体は、加熱による蒸気圧の上昇で袋の中の気圧が上昇するので、包装袋の外部の加熱温度を通常の温度コントロール手段により所定の値に設定することが必要である。 【0027】 本発明においては、具材がジャガイモの場合、加熱によるジャガイモでんぷんのα化がある程度以上は進行しない加熱温度と時間が設定される。この加熱条件は具材のサイズにより異なるが、例えば、直径30mm、厚さ20mm程度のサイズのものでは75℃60分であることが好ましい。あるいは、20〜22g/個のサイズのものでは85℃50分であることが好ましい。また、α化は20%〜70%の範囲に抑えられることが好ましい。30%〜50%の範囲に抑えられることがさらに好ましい 【0028】 ジャガイモのでんぷん粒は他のイモ類に比べて大きく、かつ単粒で細胞内に存在するので加熱処理によって破壊されやすい。従って、この加熱による破壊(完全α化)以前の半生状態で止め、かつα化状態をできるかぎり各ジャガイモにわたって揃えて次いで冷凍処理することが必要である。 【0029】 また、α化状態ができるかぎり各ジャガイモにわたって揃うように加熱処理した後は、α化をそれ以上進行させないために、とくに各ジャガイモにわたって不均一にα化が進行しないために、加熱処理後の速やかな冷却処理が重要である。これが、包装単位の具材の量を多くできない理由である。例えば、具材を大きな鍋に入れて加熱した場合は、加熱後の具材全体にわたる均一な冷却が難しい。 【0030】 加熱により不完全調理された具材は次いで直ちに急冷される。急冷は放置による自然冷却ではなく、積極的に低温の冷却媒体に接触させて行う冷却であり、0℃をこえて20℃の温度までの温度に20分間以内に到達するように急冷されることが好ましい。この急冷も以降の工程と相俟って解凍後の煮崩れと風味の低下を防ぐことに大きく寄与する。急冷は例えば包装体を冷水に急投して浸漬するなどの手段で行うことができる。 【0031】 具材が2.5kg以下の包装単位で小分け包装されているので、具材の位置により冷却状態が異なるおそれが少なく、各具材にわたって均一な冷却がなされる。 【0032】 均一な冷却がなされることにより、冷却がおくれて調理が進行して解凍後の煮崩れと風味の低下をきたす部分ができることが防止される。これにより、以降の冷凍を含む工程と相俟って解凍後の煮崩れと風味の低下を防ぐことができ、ホクホク感のある調理品例えば肉じゃがを得ることができる。 【0033】 この急冷後に具材は冷凍されるが、でんぷん粒が加熱による膨張でつぶれなくとも、細胞の外側が冷凍時に破壊されることがある。この破壊により解凍後のテクスチャーが損なわれる。とくに、緩慢冷凍ではこの細胞破壊が起こりやすい。 【0034】 従って、急冷後の具材は次いで急速冷凍されることが好ましい。急速冷凍は0℃から−5℃の温度域を25分以内に通過する冷凍であり、例えば−30〜−40℃程度の冷凍室に具材を急投入して、あるいは低温の流体に接触させて、行うことができる。急速冷凍は0℃から−5℃の温度域を15分以内に通過する冷凍であることが解凍後の良好なテクスチャーのうえでさらに好ましい。 【0035】 急速冷凍の方法としては、0℃から−5℃の温度域を25分以内に通過する冷凍であれ特に限定されず、例えば、アルコールブライン冷凍、ガス冷凍(CO2、N2等)やエアーブラスト等が挙げられる。 【0036】 なかでも、高電圧電場ブライン冷凍処理が0℃から−5℃の温度域を15分以内に確実に通過でき、また、工業的に大量の被冷凍物を簡易な操作で処理できて最も好ましい。高電圧電場ブライン冷凍とは、電極の1本をブライン内に挿入したブライン冷却装置および高電圧電場発生手段を用いて、ブラインに高電圧電場を与えながら調理食品を冷却する方法をいう。ブラインの温度は−20℃〜−50℃の範囲で、高電圧電場発生手段の電位は5〜50kVを発生させるのが好ましい。このとき用いる冷却装置の概略は、以下のようなものである。すなわち、ブライン冷却装置のブライン内に高電圧電場発生手段の2本ある電極の一方を挿入する。電極のもう一方は、ブライン冷却装置のブライン内に挿入せず、絶縁処理を行い、2本の電極間に電流が流れないようにする。これらの電極は、特公昭38―6106号公報に示されているような高周波電位発生装置の2次側に接続されている。ブラインは、冷却装置に接続した冷凍機を用いて冷却し、駆動モータを使用した循環装置を用いてブラインを循環させることにより、ブラインの入っている槽内の温度を一定に保持する。冷凍装置、高電圧電場発生手段、及び循環装置の駆動モータはそれらの設置に際し、床面と各装置との間は絶縁碍子を支持体として用いる。 【0037】 ブラインに用いる不凍剤は目的の温度で凍結しないものであれば、特に限定はなく、例えば、塩化カルシウム、エチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール等、およびこれらの混合物またはこれらと水との混合物が挙げられる。例えば、水とエタノールの混合液である。 【0038】 冷凍された具材は、加熱解凍して調理が完了する冷凍惣菜として市場に供せられ、この冷凍惣菜を加熱解凍することにより惣菜が得られる。この加熱は、具材が調理される加熱でもある。冷凍惣菜は包装されたまま加熱解凍がなされてもよい。この加熱は、レンジ、スチーム、湯煎等の方法で行うことができる。 【0039】 この冷凍惣菜は、自然解凍や流水解凍のような常温付近の温度まで徐々に解凍されると、良好な風味やテクスチャーが得られず、加熱よる解凍がなされることが煮崩れを起こさず良好な風味やテクスチャーを得るうえで必要である。即ち、できるだけ速やかに−5℃の温度時間帯を通過することが好ましい。特にジャガイモの場合は急速な加熱解凍がでんぷんの老化を防止するうえでも必要である。 【0040】 なお、加熱解凍は、加熱手段を用いて、常温の具材をその加熱手段で加熱するとその具材の温度が上昇するような加熱条件で、対象物を加熱することにより、対象物を解凍することである。 【0041】 加熱解凍の処理は、加熱により解凍が終了した時点で終了させることが良好な風味やテクスチャーを得るうえで好ましい。解凍が終了してから長時間加熱を継続すると良好な風味やテクスチャーが損なわれ煮崩れを起こすことが多い。加熱解凍時の加熱により冷凍前の加熱調理の不足が補われることが好ましい。また、冷凍前の加熱調理の不足が補われる程度を超えて加熱解凍時の加熱が過度になされると、良好な風味やテクスチャーが損なわれ煮崩れを起こすこととなるので、加熱解凍時の加熱が冷凍前の加熱調理を補完して加熱の過不足なく調理を完了させることが重要である。 【0042】 従って、本発明の冷凍惣菜の製造工程における、冷凍前に小分け包装された該具材を減圧下で不完全加熱する工程にあっては、この不完全加熱は、冷凍惣菜の加熱解凍において解凍が終了した時点で具材の調理が完了する程度の不完全加熱であることが好ましい。 【0043】 本発明は、具材のなかでも従来冷凍により煮崩れや風味やテクスチャーの低下が顕著なジャガイモに対して優れた効果を有するが、とくに肉じゃがの場合、男爵がホクホク感のあるものが得られる。 【0044】 実験例1 男爵ジャガイモを水洗いした後、肉厚20mmに輪切りにした。これを直径30mmのコルク栓用の打ち抜き具で円形に打ち抜いた。このサイズは食品に利用されるジャガイモのサイズを想定したものである。 【0045】 この円形状の生ジャガイモ2個(55g)に1%食塩水40ml加え、減圧包装して表1に示す各種条件で加熱した。加熱後直ちに5℃の冷水で冷却してα化度を測定した。α化度については、試料40gに水350mlを加えてミキサーにて60秒攪拌混合し、この混合液を200mlメスシリンダに入れ、3時間放置し、沈殿層の容積(ml)を、その試料の澱粉の膨張容積(S)とする。この際、未加熱のジャガイモ(A)のα化度を0%とし、98℃30分で煮たジャガイモ(B)のα化度を100%とする。 【0046】 ジャガイモ(A)につき同様にして得た沈殿層の容積(ml)をSA、ジャガイモ(B)につき同様にして得た沈殿層の容積(ml)をSBとしたとき、試料のα化度(簡易α化度)(D)は次式で表される。 D=(S−SA)÷(SB−SA)×100(%) 【0047】 表1に各種条件で加熱した試料についてα化度と官能評価結果を示す。官能評価は3名の専門家パネラーによった。 【0048】 【表1】
【0049】 次に、表1のNo.1〜11の試料を−35℃で高電圧アルコールブライン法による冷凍処理をして、−30℃、1ヶ月保管したものを85〜95℃、10分間温湯湯煎により加熱解凍してその品質評価を行なった。その結果を表2に示す。品質評価は3名の専門家パネラーによった。 【0050】 【表2】
【0051】 表1、2の結果から各種加熱処理したジャガイモと、それらを冷凍後加熱解凍処理したジャガイモを比較すると、加熱処理直後のものはテクスチャーが良くても、冷凍処理後のものは煮崩れをしてモチモチ感が無いものが多い。 【0052】 また、α化度から判断すると、α化度が20〜70%のものが、冷凍後加熱解凍処理してもテクスチャーが良いが、なかでもα化度が30〜50%のものが、テクスチャー、ホッコリ感、モチモチ感の点で良好である。 【0053】 さらに、加熱処理の程度(温度、時間)が75℃×60分、あるいは65℃×120分の条件より低いものは、加熱解凍処理における85〜95℃、10分間温湯湯煎という条件では完全に調理されず、完全に調理するためには解凍に要する加熱以上の加熱条件での解凍時の加熱が必要となり、冷凍食品としての利便性が損なわれる。 【0054】 実験例2 男爵ジャガイモを水洗いし、22〜25gの大きさに乱切りし、1)16cm×27cmのポリ袋に1.5kg収納したもの(収納後の収納物全体の厚さ3.2cm)、2)16cm×27cmのポリ袋に2.5kg収納したもの(収納後の収納物全体の厚さ6.0cm)、3)16cm×27cmのポリ袋に3.5kg収納したもの(収納後の収納物全体の厚さ8.5cm)をそれぞれ準備し、表3に示す配合の調味料を220ml、400ml、560mlをそれぞれのジャガイモに加え袋を減圧密閉した。減圧の圧力は略30mmHgであった。 【0055】 【表3】
【0056】 減圧密閉後、袋ごと85〜88℃で加熱調理した。加熱時間は予備実験により各収納体中のジャガイモのα化度が平均で50%になるように定め、1)が50分、2)が65分、3)が77分とした。 各収納物のα化度は1)は収納物全体にわたって約50%であった。2)は、上部、下部において60〜70%、中心部で40〜45%であり、3)は、上部、下部において85〜100%、中心部で40〜45%であった。 【0057】 加熱調理後の収納体を直ちに袋ごと8〜10℃の冷水に投入し攪拌しながら手早く冷却し、次いで直ちに−35℃の高電圧電場アルコールブライン法で冷凍し、その後−35℃で1ヶ月冷凍庫で保管した。このアルコールブライン法での冷凍における0℃から−5℃に至る温度帯を通過するに要した時間は、1)が8分、2)が13分、3)が20分であった。 【0058】 1ヶ月保管後の冷凍試料は、85℃で加熱解凍した。この解凍時間は1)、2)、3)でそれぞれ12分、15分、18分であった。各試料における収納物の温度が65℃に達した時点で加熱解凍を終了させた。これら解凍時間は加熱解凍開始からこのようにして加熱解凍を終了させるまでの時間である。 【0059】 加熱解凍後の各試料を品質評価した。1)はホクホク感のあるジャガイモであったが、2)はホクホク感にややばらつきがあり、ホクホク感のあるジャガイモが多いものの収納体の上部あるいは下部に位置するものは一部ではあるが煮崩れしていてテクスチャーも悪かった。3)は、収納体の中心部に位置するジャガイモの一部がホクホク感のあるジャガイモであったが、他の多くの部分のジャガイモが煮崩れしており、ジャガイモ特有のテクスチャーはなかった。また、3)は良質のものから煮崩れの激しいものまで、品質に幅が大きかった。 【0060】 このように、ジャガイモ特有のホクホク感のある肉じゃが等のジャガイモ加工品を製造するには、収納する袋の大きさ(調理する量)、とくに熱の伝わり方に大きく影響する収納体の厚みが重要である。このことは、冷凍ジャガイモ加工品においては、加熱調理を鍋などで一括加熱調理できないことを意味する。 【0061】 [実施例、比較例] その1 皮むきした男爵ジャガイモを1個あたり20〜23gの大きさに乱切りし、このジャガイモ90g、スライス玉ねぎ55g及び薄切り牛肉40gをポリプロピレン製の袋に入れ、表3に示す調味料100mlをさらに入れて30mmHgで減圧包装しシールして包装体とした。 【0062】 この包装体を12袋作り、表4に示す加熱条件(温度、時間)で各条件につき2袋加熱調理した。 【0063】 【表4】
【0064】 加熱調理後直ちに5〜10℃の冷却水にて冷やして、各条件ごとに1袋の計6袋を直ちに冷凍した。冷凍は、−35℃に冷却した55%濃度アルコールブラインに20KVの高電圧を付加した高電圧電場アルコールブライン(特許第3639499号)で行なった。このアルコールブライン法での冷凍における0℃から−5℃に至る温度帯を通過するに要した時間は、13分であった。また、各条件ごとの残りの1袋計6袋はジャガイモのα化度の測定に用いた。 【0065】 冷凍後の試料を−20℃、1ヶ月冷凍保存した包装体を85〜95℃の温水にて10分間加熱解凍して、その品質評価を行なった結果を表5に示す。評価は8名のパネラーにより行い、各人が3点評価法(1点:悪い 2点:普通 3点:良い)で付けた点を合計した。 【0066】 【表5】
【0067】 表5より、条件1、2は明らかに加熱不足であり、ジャガイモの外観は角(カド)が完全にのこっていて、テクスチャーIはかたく、半生の状態であった。条件3、4、5はテクスチャーI、IIともに肉じゃがの食感としてはほぼ満足できるものであったが、条件5は角がかなり崩れていて、ホクホク感はあるものの見端が劣っていた。条件6は明らかに加熱過剰であり、外観も悪く煮崩れがしていた。条件3、4は煮崩れも少なく、肉じゃが特有のかたさ、ホクホク感が認められた。 【0068】 表6に表4の加熱条件に対応するジャガイモのα化度を示す。 【0069】 【表6】
【0070】 表6に示すように、ジャガイモのα化度は、品質評価の良い条件3、4についてはそれぞれ37%、67%であった。条件2では29%であり、やや加熱調理の度合いが不足していた。条件5では87%であり、ホクホク感はある煮崩れがあり、もう少し加熱条件を低くすれば品質良好と充分に評価できるものであった。 【0071】 その2 男爵ジャガイモを水洗いして1個あたり20〜23gの大きさに乱切りしたものを1450g、スライス玉ねぎ880g及び油炒めした薄切り牛肉550gを8分割し、それぞれを実施例1で用いた調味料180mlとともにポリプロピレン製の袋に入れ、30mmHgで減圧包装しシールして包装体とした。この包装体を85〜88℃、50分の加熱調理後、6〜8℃の流水で急冷し、−35℃のエアブラスト冷凍法及び高電圧電場アルコールブライン冷凍で各4袋づつ冷凍した。このアルコールブライン法での冷凍における0℃から−5℃に至る温度帯を通過するに要した時間は、13分であった。このエアブラスト冷凍法は通常のエアブラスト冷凍法であり、0℃から−5℃の温度域を1時間で通過させた。冷凍後、−35℃、1ヶ月冷凍保存した各試料を表7に示す条件で加熱解凍し、品質評価した。表8に評価結果を示す。評価は8名のパネラーにより行い、各人が3点評価法(1点:悪い 2点:普通 3点:良い)で付けた点を合計した。 【0072】 【表7】
【0073】 【表8】
【0074】 表8に示すように、条件(4)、(6)の高電圧電場アルコールブライン冷凍されたものは、煮崩れも少なく、ホクホク感のある肉じゃがが得られ高い評価を得た。これに対して、条件(3)、(5)のエアブラスト冷凍されたものは、ホクホク感が条件(4)、(6)のものに比べて乏しくザラザラとしたテクスチャーが感じられる肉じゃがであった。 【0075】 また、条件(2)は、解凍時間が短く、この解凍条件ではジャガイモ澱粉の再α化現象が起こらないため、ホクホク感が乏しい結果となったと思われる。条件(1)はホクホク感が乏しくかつテクスチャーが総合的に不良であった。条件(8)はホクホク感は認められるが、ジャガイモの角が煮崩れして欠落しており、肉じゃがが丸くなっている。これは、解凍時間が長く、いわゆる調理過剰となっていることがわかる。条件(7)は煮崩れが激しく、テクスチャーが総合的に不良であった。 【0076】 このように、冷凍前の加熱調理の度合いを低くして、その調理度合いの不足分を冷凍後の加熱解凍時の加熱によりその不足分だけ補うことにより、テクスチャーの良い冷凍肉じゃがが得られる。しかも、このようにしてテクスチャーの良い冷凍肉じゃがを得るためには、最大氷結温度帯を速やかに通過させることのできる高電圧電場アルコールブライン冷凍法を用いることが好ましいことが表8からわかった。 【0077】 その3 ジャガイモ(メークイン)を水洗いして1個あたり約25gの大きさに乱切りしたものを100g、スライス玉ねぎ20g、マッシュルーム20g、少し油炒めした牛バラ肉100gに調味料275gをポリプロピレン製の袋に入れ、30mmHgで減圧包装しシールして包装体とした。この包装体を90℃で加熱調理後、8℃の流水で急冷し、次いで冷凍した。冷凍後、−35℃、1ヶ月冷凍保存した各試料を85〜88℃、15分加熱解凍し、クリームシチューを得て各試料の官能評価を行なった。なお、調味料は1袋あたり赤ワイン25ml(35mlを煮詰めたもの)、デミグラスソース(ハインツ製)200g、水65ml、塩1.5gを加熱して調整したものを用いた。 【0078】 表9に加熱調理条件及び冷凍方法を示す。表10に評価結果を示す。評価は6名の専門パネラーにより行い、各人が5点評価法(1点:非常に悪い 2点:悪い 3点:普通 4点:良い 5点:非常に良い)で付けた点を合計した。 【0079】 【表9】
【0080】 【表10】
【0081】 表9の条件c、dにおける加熱調理条件は、この包装された具材がこの条件により完全にシチューになるように調理される加熱調理条件である。表9の条件a、bにおける加熱調理条件は、この包装された具材が、完全にシチューになった状態の半分の度合いに調理される、加熱調理条件である。 【0082】 表10から、条件c、dでは加熱解凍によって調理が過剰になることや、冷凍及び解凍によりジャガイモの組織破壊が起こりテクスチャーが悪くなることがわかる。とくに、条件cの冷凍方法ではジャガイモはボロボロと形が崩れている。条件bでは、加熱調理による調理の度合いが通常の調理の場合の1/2程度であり、そのままシチューとしては調理不足ではあるが、加熱解凍時の加熱により調理不足を補い、風味、テクスチャーの良好なシチューが得られる。しかし、条件aでは、エアブラスト冷凍方法による組織破壊が生じやすく、加熱解凍時の加熱によっても充分良好な風味、テクスチャーのシチューは得られないことがわかる。表9におけるエアブラスト冷凍方法は通常のエアブラスト冷凍法であり、0℃から−5℃の温度域を1時間で通過させた。 【0083】 その4 表11に示す材料配合で冷凍筑前煮を作った。 【0084】 【表11】
【0085】 表11の材料を8等分し、これに調味料としてみりん10ml(煮切り後9ml)、淡口しょう油5ml、砂糖3g及びだしの素(シマヤ製)1.5gを加えてポリ袋に入れて減圧包装しシールして包装体とした。これら8袋を85〜88℃、40分の加熱調理後、直ちに8℃の流水で冷却した。冷却時間は8分間で、試料は15℃になるまで冷却された。この加熱条件は、通常の筑前煮の調理加熱に比較して度合いが60〜70%程度である。 【0086】 次いで4袋を通常の−35℃のエアブラスト冷凍(条件A)、他の4袋は、−35℃の高電圧電場アルコールブライン冷凍で急速冷凍(条件B)した。このアルコールブライン法での冷凍における0℃から−5℃に至る温度帯を通過するに要した時間は、13分であった。このエアブラスト冷凍法においては、0℃から−5℃の温度域を1時間で通過させた。 【0087】 また、表11の材料と同じ配合の材料を鍋にて85〜88℃、40分の加熱調理を行い、その後調理された試料が入ったままの鍋の外表面を直ちに8℃の流水で、試料が15℃になるまで23分を要して、冷却した。この試料を2等分してそれぞれポリ袋に入れて1つを−35℃のエアブラスト冷凍(条件C)し、他の1つを−35℃の高電圧電場アルコールブライン冷凍で急速冷凍(条件D)した。このアルコールブライン法での冷凍における0℃から−5℃に至る温度帯を通過するに要した時間は13分であった。このエアブラスト冷凍法は通常のエアブラスト冷凍法であり、0℃から−5℃の温度域を1時間で通過させた。 【0088】 これら条件A〜Dで得られた冷凍筑前煮を−35℃、1ヶ月冷凍保存した後、条件A、Bの各2袋及び条件C、Dの袋は、90℃、15分の加熱解凍を行った。また、条件A、Bの残りの2袋は冷蔵庫解凍を行ない、それぞれ条件A´、条件B´とした。これらの試料についての官能評価結果を表12に示す。評価は6名の専門パネラーにより行い、各人が5点評価法(1点:非常に悪い 2点:悪い 3点:普通 4点:良い 5点:非常に良い)で付けた点を合計した。 【0089】 【表12】
【0090】 表12において、鍋で多量に調理したものは、加熱調理後の冷却時間が長く、その冷却時間の間に熱が具材に入り過ぎて最適の調理条件ではなくなる。また、鍋による調理では充分に攪拌しても具材の均一な加熱がなされないことも原因して条件Bと条件Dとの評価の差となる。 【0091】 また、冷凍条件の差も、条件Aと条件B、条件Cと条件D、のそれぞれの品質の大きな差となる。 【0092】 さらに、条件Aと条件A´との比較及び条件Bと条件B´との比較からわかるように、解凍条件も品質に影響する要因となる。一般に、澱粉系、繊維系の食品では加熱解凍が必要なのはこのためである。 【0093】 このように、冷凍筑前煮では、ジャガイモの調理品と同じように、厚みの薄い包装体を正確な条件管理のもとに加熱調理条件、冷却条件、冷凍条件及び加熱解凍条件を設定してはじめて、非冷凍である通常の筑前煮と同レベルのものが得られる。 【0094】 その他、本発明は、主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】506008098 【氏名又は名称】森田 日出男
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| 【出願日】 |
平成18年1月6日(2006.1.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100094248 【弁理士】 【氏名又は名称】楠本 高義
【識別番号】100124718 【弁理士】 【氏名又は名称】増田 建
【識別番号】100129207 【弁理士】 【氏名又は名称】中越 貴宣
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| 【公開番号】 |
特開2007−181422(P2007−181422A) |
| 【公開日】 |
平成19年7月19日(2007.7.19) |
| 【出願番号】 |
特願2006−1235(P2006−1235) |
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