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【発明の名称】 起泡性水中油型乳化脂用油脂組成物
【発明者】 【氏名】高橋 恵巳

【氏名】石田 淳也

【氏名】池田 憲司

【氏名】奥冨 保雄

【要約】 【課題】常温域(約15〜35℃)において良好な保形性を有し、口溶け性が良好で、常温保管時の経時的乳化安定性に優れ、常温保管時にも起泡済水中油型乳化脂が硬くなることのない、優れた常温流通型起泡済水中油型乳化脂を与える起泡性水中油型乳化脂用油脂組成物を提供すること

【解決手段】油脂中の全トリグリセライドを構成する全脂肪酸残基のうちラウリン酸残基の占める割合が30〜60質量%であり、且つ該油脂中の個々のトリグリセライドを構成する脂肪酸残基の炭素原子数の合計が42〜49であるトリグリセライドの占める割合が油脂中の全トリグリセライドの20〜45質量%であり、且つ該油脂中の個々のトリグリセライドを構成する脂肪酸残基の炭素原子数の合計が50〜62であるトリグリセライドの占める割合が油脂中の全トリグリセライドの4〜15質量%であることを特徴とする起泡性水中油型乳化脂用油脂組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油脂中の全トリグリセライドを構成する全脂肪酸残基のうちラウリン酸残基の占める割合が30〜60質量%であり、且つ該油脂中の個々のトリグリセライドを構成する脂肪酸残基の炭素原子数の合計が42〜49であるトリグリセライドの占める割合が油脂中の全トリグリセライドの20〜45質量%であり、且つ該油脂中の個々のトリグリセライドを構成する脂肪酸残基の炭素原子数の合計が50〜62であるトリグリセライドの占める割合が油脂中の全トリグリセライドの4〜15質量%であることを特徴とする起泡性水中油型乳化脂用油脂組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の起泡性水中油型乳化脂用油脂組成物を油相中の油脂成分として水中油型に乳化させたことを特徴とする起泡性水中油型乳化脂。
【請求項3】
請求項2に記載の起泡性水中油型乳化脂を起泡させたことを特徴とする常温流通型起泡済水中油型乳化脂。
【請求項4】
請求項3に記載の常温流通型起泡済水中油型乳化脂をフィリング材として使用したことを特徴とする常温流通型食品。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、起泡性水中油型乳化脂用油脂組成物、これを乳化させた起泡性水中油型乳化脂、該起泡性水中油型乳化脂を起泡させた常温流通型起泡済水中油型乳化脂、及び該起泡済水中油型乳化脂をフィリング材として使用した常温流通型食品に関する。
詳しくは、起泡済水中油型乳化脂が常温域(約15〜35℃)において良好な保形性を有し、口溶け性が良好で、常温保管時の経時的乳化安定性に優れ、常温保管時にも起泡済水中油型乳化脂が硬くなることのない、優れた常温流通型起泡済水中油型乳化脂を与える起泡性水中油型乳化脂用油脂組成物、これを乳化させた起泡性水中油型乳化脂、該起泡性水中油型乳化脂を起泡させた常温流通型起泡済水中油型乳化脂、及び該起泡済水中油型乳化脂をフィリング材として使用した常温流通型食品に関する。
【背景技術】
【0002】
起泡させた乳化脂、所謂ホイップクリームは、パンや洋菓子などのベーカリー製品、あるいはプリンやムースなどの洋生菓子などの食品においてフィリング材として広く用いられている。なかでもパンや洋菓子などのベーカリー製品にあっては常温流通させる場合があり、このような常温流通型食品に使用するホイップクリームとしては、従来、油中水型の乳化脂が使用されてきた。
近年、市場の高級化志向と流通網の発達を背景に、常温流通型食品にあっても口溶けが良好で水々しさのある水中油型の乳化脂の使用が求められてきた。しかしながら、常温流通型食品であるパンや洋菓子などのベーカリー製品には、生クリームに代表される従来の水中油型乳化脂では常温域(約15〜35℃)での保形性が弱く、改良が求められていた。
このような点の改良方法として、エステル交換によりトリグリセライド1分子中1個以上の炭素数20以上の飽和脂肪酸を含む油脂を作成しこれを使用すること(特許文献1)や、エステル交換によりラウリン系油脂に長鎖脂肪酸を導入すること(特許文献2)などが検討されてきたが、口溶けなどホイップクリームとしての基本的な部分で不十分なものであった。
【特許文献1】特許第3105636号公報
【特許文献2】特許第3092364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の目的は、常温域(約15〜35℃)において良好な保形性を有し、口溶け性が良好で、常温保管時の経時的乳化安定性に優れ、常温保管時にも起泡済水中油型乳化脂が硬くなることのない、優れた常温流通型起泡済水中油型乳化脂を与える起泡性水中油型乳化脂用油脂組成物、これを乳化させた起泡性水中油型乳化脂、該起泡性水中油型乳化脂を起泡させた常温流通型起泡済水中油型乳化脂、及び該常温流通型起泡済水中油型乳化脂をフィリング材として使用した常温流通型食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは上記に鑑み鋭意研究の結果本発明に到達した。即ち本発明は、油脂中の全トリグリセライドを構成する全脂肪酸残基のうちラウリン酸残基の占める割合が30〜60質量%であり、且つ該油脂中の個々のトリグリセライドを構成する脂肪酸残基の炭素原子数の合計が42〜49であるトリグリセライドの占める割合が油脂中の全トリグリセライドの20〜45質量%であり、且つ該油脂中の個々のトリグリセライドを構成する脂肪酸残基の炭素原子数の合計が50〜62であるトリグリセライドの占める割合が油脂中の全トリグリセライドの4〜15質量%である起泡性水中油型乳化脂用油脂組成物である。
また本発明は、上記の起泡性水中油型乳化脂用油脂組成物を油相中の油脂成分として水中油型に乳化させたものである起泡性水中油型乳化脂である。
また本発明は、上記の起泡性水中油型乳化脂を起泡させたものである常温流通型起泡済水中油型乳化脂である。
また本発明は、上記の常温流通型起泡済水中油型乳化脂をフィリング材として使用した常温流通型食品である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の効果は、常温域(約15〜35℃)において良好な保形性を有し、口溶け性が良好で、常温保管時の経時的乳化安定性に優れ、常温保管時にも起泡済水中油型乳化脂が硬くなることのない、優れた常温流通型起泡済水中油型乳化脂を与える起泡性水中油型乳化脂用油脂組成物、これを乳化させた起泡性水中油型乳化脂、該起泡性水中油型乳化脂を起泡させた常温流通型起泡済水中油型乳化脂、及び該常温流通型起泡済水中油型乳化脂をフィリング材として使用した常温流通型食品を提供したことにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の油脂組成物は、油脂中の全トリグリセライドを構成する全脂肪酸残基のうちラウリン酸残基の占める割合が30〜60質量%、好ましくは40〜55質量%であり、且つ該油脂中の個々のトリグリセライドを構成する脂肪酸残基の炭素原子数の合計が42〜49であるトリグリセライドの占める割合が油脂中の全トリグリセライドの20〜45質量%、好ましくは25〜40質量%であり、且つ該油脂中の個々のトリグリセライドを構成する脂肪酸残基の炭素原子数の合計が50〜62であるトリグリセライドの占める割合が油脂中の全トリグリセライドの4〜15質量%、好ましくは4〜10質量%である。
【0007】
本発明の油脂組成物において、油脂中の全トリグリセライドを構成する全脂肪酸残基のうちラウリン酸残基の占める割合が上記量未満であると、起泡済乳化脂の口溶けが悪く、また常温域での保形性が悪くなるものである。逆にラウリン酸残基の占める割合が上記量を超えると、常温保管時の経時的乳化安定性に劣り、また常温保管時に起泡済水中油型乳化脂が硬くなってしまうものである。
【0008】
本発明の油脂組成物において、油脂中の個々のトリグリセライドを構成する脂肪酸残基の炭素原子数の合計が42〜49であるトリグリセライドの占める割合が上記量未満であると、常温保管時の経時的乳化安定性に劣り、また常温保管時に起泡済水中油型乳化脂が硬くなってしまうものである。逆に脂肪酸残基の炭素原子数の合計が42〜49であるトリグリセライドの占める割合が上記量を超えると、常温域での保形性が悪くなるものである。
【0009】
本発明の油脂組成物において、油脂中の個々のトリグリセライドを構成する脂肪酸残基の炭素原子数の合計が50〜62であるトリグリセライドの占める割合が上記量未満であると、常温保管時の経時的乳化安定性に劣り、また常温保管時に起泡済水中油型乳化脂が硬くなってしまうものである。逆に脂肪酸残基の炭素原子数の合計が50〜62であるトリグリセライドの占める割合が上記量を超えると、起泡済乳化脂の口溶けが悪くなってしまうものである。
【0010】
このような油脂組成物を得る方法は何ら限定されるものではなく、公知の方法を用いればよく、例えば各種食用油脂をそのまま、若しくは硬化(水素添加)処理や分別処理を施した油脂、あるいは油脂中のトリグリセライド間で脂肪酸のエステル交換処理(ランダムエステル交換でも特異的エステル交換でもよい)を施した油脂、油脂中のトリグリセライドを他の脂肪酸原料(例えば、脂肪酸エステルなど)との間で脂肪酸のエステル交換処理(ランダムエステル交換でも特異的エステル交換でもよい)を施した油脂、これらの処理を複数組み合わせて処理した油脂などを、油脂を構成する脂肪酸残基が上記条件を満足するように、単独で、若しくは混合して用いればよい。
上記のような食用油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、カカオ脂、サフラワー油、乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の各種の植物油脂、動物油脂などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0011】
次に、本発明の起泡性水中油型乳化脂について説明する。本発明の起泡性水中油型乳化脂は、上記本発明の起泡性水中油型乳化脂用油脂組成物を油相中の油脂成分として水中油型に乳化させたものである。
本発明の起泡性水中油型乳化脂中の上記起泡性水中油型乳化脂用油脂組成物の含有量は、特に制限はないが、起泡性水中油型乳化脂中、好ましくは10〜80質量%、さらに好ましくは20〜60質量%である。
本発明の起泡性水中油型乳化脂の水分の含有量は、特に制限はないが、好ましくは10〜80質量%、さらに好ましくは20〜60質量%である。
【0012】
また、本発明の起泡性水中油型乳化脂では、本発明の効果を阻害しない範囲内で所望により、油相部及び/又は水相部に乳化剤、安定剤、蛋白質、糖類、果汁、ジャム、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品等の呈味成分、調味料、着香料、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤等の成分を、必要に応じ、任意に配合してもよい。この任意成分の配合量は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、特に制限されず、通常の使用量の範囲で任意に使用することができる。
【0013】
上記乳化剤としては、特に限定されないが、例えばレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等が挙げられる。これらの乳化剤は単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0014】
上記安定剤としては、リン酸塩(ヘキサメタリン酸、第2リン酸、第1リン酸)、クエン酸のアルカリ金属塩(カリウム、ナトリウム等)、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、アルギン酸塩、ファーセルラン、ローカストビーンガム、ペクチン、カードラン、澱粉、化工澱粉、結晶セルロース、ゼラチン、デキストリン、寒天、デキストラン等の安定剤が挙げられる。これらの安定剤は、単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0015】
上記蛋白質としては、特に限定されないが、例えばα−ラクトアルブミンやβ−ラクトグロブリン、血清アルブミン等のホエイ蛋白質、カゼイン、その他の乳蛋白質、低密度リポ蛋白質、高密度リポ蛋白質、ホスビチン、リベチン、リン糖蛋白質、オボアルブミン、コンアルブミン、オボムコイド等の卵蛋白質、グリアジン、グルテニン、プロラミン、グルテリン等の小麦蛋白質、その他動物性及び植物性蛋白質等の蛋白質が挙げられる。これらの蛋白質は、目的に応じて1種ないし2種以上の蛋白質として、あるいは1種ないし2種以上の蛋白質を含有する食品素材の形で添加してもよい。
【0016】
上記糖類としては、特に限定されないが、例えばブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム等の糖類が挙げられる。これらの糖類は、単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0017】
本発明の起泡性水中油型乳化脂の製造方法は特に限定されるのもではなく、上記本発明の起泡性水中油型乳化脂用油脂組成物及び水、さらに所望により上記のその他の物質を、常法によって水中油型に乳化すればよいが、好ましい製造方法について説明すると以下の通りである。
【0018】
まず、水及びその他の物質を含む水相部と、油脂及びその他の物質を含む油相部とをそれぞれ個別に調製し、該水相部と該油相とを混合乳化し、起泡性水中油型乳化脂を得る。
得られた起泡性水中油型乳化脂は、必要により、バルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等の均質化装置により圧力0.01MPa〜100MPaの範囲で均質化してもよい。また、必要によりインジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・低温殺菌、バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌もしくは加熱殺菌処理を施してもよく、あるいは直火等の加熱調理により加熱してもよい。また、加熱後に必要に応じて再度均質化してもよい。また、必要により急速冷却、徐冷却等の冷却操作を施してもよい。
【0019】
本発明の起泡性水中油型乳化脂は、主としてホイップ用クリームとして用いられる他、洋菓子用素材、コーヒーホワイトナー、アイスクリーム、及びパン練り混み等の用途に用いられるが、本発明の起泡性水中油型乳化脂と、生クリームや、カスタードクリーム等のフラワーペースト類、ジャム、果汁、チョコレートペースト等のカカオ製品等、などの呈味性素材等とを混合しブレンド物としても本発明の起泡性水中油型乳化脂の特性を失うことがない。また、起泡済みクリームとして、冷蔵、冷凍、常温の保管流通条件で用いることもできる。
【0020】
本発明の常温流通型起泡済水中油型乳化脂は、上記本発明の起泡性水中油型乳化脂を起泡させたものである。起泡の条件は特に限定されるものではなく、従来起泡性水中油型乳化脂を用いてホイップクリームを製造する場合と概ね同様に起泡させればよいが、例えば以下のようにして得ることができる。
【0021】
上記本発明の起泡性水中油型乳化脂を、必要により、バルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミルなどの均質化装置により圧力0.01MPa〜100MPaの範囲で均質化してもよい。また、必要によりインジェクション式、インフージョン式などの直接加熱方式、あるいはプレート式、チューブラー式、掻き取り式などの間接加熱方式を用いたUHT・HTST・低温殺菌、バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱などの加熱滅菌もしくは加熱殺菌処理を施してもよく、あるいは直火などの加熱調理により加熱してもよい。また、加熱後に必要に応じて再度均質化してもよい。また、必要により急速冷却、徐冷却などの冷却操作を施してもよい。
次いで、上記起泡性水中油型乳化組成物を縦型ミキサーや連続ホイップマシーンにてホイップし、起泡済水中油型乳化脂(ホイップ済みクリーム)を製造する。該起泡済水中油型乳化脂のオーバーランは、好ましくは100以上300以下がよい。このオーバーランとは下記の式により得られた値である。
〔(A−B)/B〕×100
但し、Aは一定容積の乳化脂の重量であり、Bは一定容積のホイップ後の乳化脂の重量である。
【0022】
このようにして得られた本発明の起泡済水中油型乳化脂は、常温域(約15〜35℃)において良好な保形性を有し、口溶け性が良好で、常温保管時の経時的乳化安定性に優れ、常温保管時にも起泡済水中油型乳化脂が硬くなることがないので、常温流通させることができるものである。
【0023】
本発明の常温流通型食品は、上記本発明の常温流通型起泡済水中油型乳化脂をフィリング材として使用した食品である。
上記本発明の常温流通型起泡済水中油型乳化脂をフィリングするベースの食品としては特に限定されるものではないが、好ましいものとしてパン、ケーキ、プリン、ムースなど、パン類或いは洋菓子類を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
ベースの食品に対するフィリング材としての上記本発明の常温流通型起泡済水中油型乳化脂の使用量は何ら限定されず、所望により任意に使用することができる。
【0024】
次に実施例、および比較例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明を何ら制限するものではない。
尚、実施例および比較例で用いた油脂は以下の通りである。
(パーム核ステアリン)
パーム核油を20〜25℃で分別して得た高融点部(即ち溶融していない固形部分)として、ケンパス社製 マレーシアMEOMA規格パーム核ステアリン(融点32℃)を用いた。
(パーム核オレイン硬化油)
パーム核油を20〜25℃で分別して得た低融点部(即ち溶融している液状部分)を水素添加して硬化した油脂(ケンパス社製パーム核オレイン硬化油、商品名:KK−35、融点35℃)を用いた。
(エステル交換油A)
パーム核油及びパーム極度硬化油を50対50の質量比率で混合した油脂を化学触媒を用いてランダムエステル交換した油脂。(融点43℃)
(エステル交換油B)
パーム核油及びパーム極度硬化油を75対25の質量比率で混合した油脂を化学触媒を用いてランダムエステル交換した油脂。(融点32℃)
【0025】
〔実施例1〜5、比較例1〜3〕
下記表1に記載の割合で各油脂を混合し本発明の起泡性水中油型乳化脂用油脂組成物及び比較のための油脂組成物を得た。該油脂組成物中の全トリグリセライドを構成する全脂肪酸残基のうちラウリン酸残基の占める割合、油脂中の全トリグリセライドのうち個々のトリグリセライドを構成する脂肪酸残基の炭素原子数の合計が42〜49であるトリグリセライドの占める割合、及び油脂中の全トリグリセライドのうち個々のトリグリセライドを構成する脂肪酸残基の炭素原子数の合計が50〜62であるトリグリセライドの占める割合を下記表1に示した。
【0026】
一方、60℃の水に下記表1に記載した配合の通り混合して水相を調製した。
次に上記水相に上記油脂組成物からなる油相を加え、混合攪拌して予備乳化物を調製した。その後、バルブ式ホモジナイザーにより10MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で142℃、4秒間殺菌し、再度30MPaの圧力で均質化後15℃まで冷却した。その後、5℃の冷蔵庫で24時間エージングを行い、本発明の起泡性水中油型乳化脂及び比較のための水中油型乳化脂をそれぞれ得た。
【0027】
得られた水中油型乳化脂の乳化安定性を以下の方法で調べた。結果を下記表1に示す。
〔乳化安定性試験〕
振動器を用い100回/37秒で水平方向に振動させた。水中油型乳化脂が流動性を失うまでの振動回数が10000回以上のものを優、5000回以上〜10000回未満のものを良、5000回未満のものを不可とした。
【0028】
上記で得られた起泡性水中油型乳化脂を起泡した。即ち、縦型ミキサーを使用し、毎分700回転の速度で、500mlの水中油型乳化脂を最適起泡状態に達するまで起泡させ、本発明の常温流通型起泡済水中油型乳化脂及び比較のための起泡済水中油型乳化脂を得た。
得られた起泡済水中油型乳化脂について、耐熱保形性、口溶け、常温保管時の硬化についての評価を以下のようにして行った。結果を下記表1に示す。
〔耐熱保形性〕
起泡した水中油型乳化脂を絞り袋で造花し、25℃及び30℃の恒温槽中でそれぞれ24時間放置した場合の嵩落ちを測定した。嵩落ち量が1mm未満のものを◎、1mm以上5mm未満のものを○、5mm以上のものを×とした。
〔口溶け性〕
起泡した水中油型乳化脂を口にふくんだときの溶け易さを、20人のパネラーにて官能試験した。口溶け性が良好なもの、口溶け性が不良なもの、及びどちらともいえないもの、3段階で評価し、良好なものに2点、どちらともいえないものに1点、不良なものに0点を与え、合計点が35点以上を◎、34〜30点を○、29点以下を×で表す。
〔常温保管時のクリーム硬化〕
起泡した水中油型乳化脂について、起泡直後と、25℃の恒温槽中で24時間放置したときについて、レオメーター(株式会社レオテック製。アダプターNo.1(カード測定用)を使用)にて硬さを測定し、硬さ変化率(放置後の硬さ÷起泡直後の硬さ)が1.5未満のものを◎優、1.5〜2.5のものを○良、2.5を超えるものを×とした。
【0029】
【表1】


【出願人】 【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
【出願日】 平成18年4月13日(2006.4.13)
【代理人】 【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修


【公開番号】 特開2007−282535(P2007−282535A)
【公開日】 平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願番号】 特願2006−111391(P2006−111391)