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【発明の名称】 エリンギの漬物及びその製造方法
【発明者】 【氏名】小林 大輔

【要約】 【課題】エリンギを、漬物の材料として好適に利用して、その独特な食感や風味を楽しむためのエリンギの漬物及びその製造方法を提供すること。

【解決手段】エリンギとエノキ茸とを加熱処理する加熱工程と、加熱処理されたエリンギとエノキ茸を、水切りが可能で乾燥が可能な状態で放置して冷却する冷却工程と、前記エノキ茸を刻んだ状態かペースト状にして味噌を主材料とする調味料に混ぜて練る混練工程と、前記エノキ茸が混合された味噌を主材料とする調味料に、前記エリンギをカットしない状態或いは長手方向に裂くか切り分けて2分割した状態で漬け込む工程とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エリンギとエノキ茸とを加熱処理する加熱工程と、
加熱処理されたエリンギとエノキ茸を、水切りが可能で乾燥が可能な状態で放置して冷却する冷却工程と、
前記エノキ茸を刻んだ状態かペースト状にして味噌を主材料とする調味料に混ぜて練る混練工程と、
前記エノキ茸が混合された味噌を主材料とする調味料に、前記エリンギをカットしない状態或いは長手方向に裂くか切り分けて2分割した状態で漬け込む工程とを有することを特徴とするエリンギの漬物の製造方法。
【請求項2】
前記加熱工程がエリンギとエノキ茸を茹でることによって行われることを特徴とする請求項1記載のエリンギの漬物の製造方法。
【請求項3】
前記味噌を主材料とする調味料が、少なくとも味噌と味醂であることを特徴とする請求項1又は2記載のエリンギの漬物の製造方法。
【請求項4】
前記加熱処理がなされるエリンギとエノキ茸が、収穫から1日以内できのこの細胞内成分の変質が生じる前の新鮮なものであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の製造方法。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4記載のエリンギの漬物の製造方法で製造され、食品用の真空パック又は食品容器に詰められたことを特徴とするエリンギの漬物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、エリンギの味噌漬け等のエリンギの漬物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、きのこを漬物として食する考え方は、一般的になかった。人工栽培のきのこにあっても、生の状態で販売されるものは、鍋物や汁物の具、或いは炒め物や天ぷらの具等和洋中種々の料理に用いられるが、一般的に漬物の材料としては用いられない。また、加工食品として販売されるものでは、例えばエノキ茸等にあっては、所定の長さに刻んだものを煮込んで味付けした瓶詰めが定番となっているが、一般的に味噌漬けの如き漬物は見受けられない。このことは、白あわび茸とも称される特有な食感を有するエリンギについても同様で、従来においては漬物として利用されるものではなかった。
【0003】
これに対して、生のエノキタケの水分を40〜50%にし、これをミキサー等にて糊状にし、既製の味噌70部前後に対し糊状化したエノキタケ30部前後の割合にて加え万遍なく混合し、2〜3日寝かして得るキノコ味噌の製造方法が提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、このキノコ味噌は、エノキタケを糊状にするものであり、きのこを漬物として食する発想のものでないことは明らかである。
【特許文献1】特開平6−339351号公報(第1頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エリンギの漬物及びその製造方法に関して解決しようとする課題は、肉厚の特有な子実体を有する人工栽培のエリンギにあって、その特性を活かした漬物として利用することが開発されていない点にある。
そこで、本発明の目的は、エリンギを、漬物の材料として好適に利用して、その独特な食感や風味を楽しむためのエリンギの漬物及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明にかかるエリンギの漬物の製造方法の一形態によれば、エリンギとエノキ茸とを加熱処理する加熱工程と、加熱処理されたエリンギとエノキ茸を、水切りが可能で乾燥が可能な状態で放置して冷却する冷却工程と、前記エノキ茸を刻んだ状態かペースト状にして味噌を主材料とする調味料に混ぜて練る混練工程と、前記エノキ茸が混合された味噌を主材料とする調味料に、前記エリンギをカットしない状態或いは長手方向に裂くか切り分けて2分割した状態で漬け込む工程とを有することを特徴とする。
【0006】
また、本発明にかかるエリンギの漬物の製造方法の一形態によれば、前記加熱工程がエリンギとエノキ茸を茹でることによって行われることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかるエリンギの漬物の製造方法の一形態によれば、前記味噌を主材料とする調味料が、少なくとも味噌と味醂であることを特徴とすることができる。
【0007】
また、本発明にかかるエリンギの漬物の製造方法の一形態によれば、前記加熱処理がなされるエリンギとエノキ茸が、収穫から1日以内できのこの細胞内成分の変質が生じる前の新鮮なものであることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかるエリンギの漬物の一形態によれば、上記のエリンギの漬物の製造方法で製造され、食品用の真空パック又は食品容器に詰められたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかるエリンギの漬物及びその製造方法によれば、エリンギを、漬物の材料として好適に利用でき、そのエリンギ特有の食感や風味を好適に楽しむことができるという特別有利な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明にかかるエリンギの漬物及びその製造方法の最良の形態について、エリンギの味噌漬けを例にして以下に説明する。なお、エリンギとは、ヒラタケ科のきのこで、軸が太くて白い特徴がある。
【0010】
エリンギの味噌漬けを製造する場合、先ず、加熱工程でエリンギとエノキ茸とを加熱処理する。加熱手段としては、茹で、蒸し、焼きのいずれかを採用すればよく、芯まで熱が通るように加熱する。なお、加熱工程がエリンギとエノキ茸を茹でることによって行われる場合は、安定的で画一的に且つ比較的簡単に処理できる利点がある。
【0011】
次に、上記の加熱工程で加熱処理されたエリンギとエノキ茸を、冷却工程で水切りが可能で乾燥が可能な状態で放置して冷却する。これにより、きのこの細胞内にある酵素の働きを止め、きのこの細胞内成分が変質することを停止できる。また、殺菌効果もある。
例えば、お湯で茹でた場合は、ざるに取り上げて常温で放置すればよい。ざるの上に置かれるため、水が好適に切られる共に、加熱された状態から冷却されるまでの間に水分が蒸発することで、適度に乾燥される。蒸した場合や焼いた場合も同様に水分が蒸発して、適度に乾燥させることができる。
【0012】
次に、上記のように加熱した後で冷却したエノキ茸を刻んだ状態かペースト状にして味噌を主材料とする調味料に混ぜて練る。このエノキ茸と味噌を混ぜ合わる混練工程によって、エノキ茸のうま味成分を味噌に十分に拡散させて馴染ませる。なお、エノキ茸をペースト状にするにはミキサーで粉砕するとよい。また、エノキ茸の分量(生の状態で計量した重量を基準とする。)は、特に限定されるものではないが、多くて重量比で味噌と1対1の割合程度を目安として混合すればよい。
ところで、エノキ自体には適度な水分が含まれているため、味噌と混練することで、味噌が適度に柔らかくのばされた状態となる。これによって、後述するようにエリンギを漬けた際に、味噌の成分がより速くエリンギにしみることになる。すなわち、短時間で漬かる。
【0013】
また、味噌を主材料とする調味料は、味噌のみでもよいが、その味噌に少なくとも適宜の分量の味醂を加えればさらによい。味噌と味醂だけでも、味噌に混合されたエノキ茸とエリンギ自体のうま味成分があるため、極めて味の良い味噌漬けになる。また、味醂を加えることは、味噌との相性がよく、味に深みとまろやかさを増すことができる効果がある。
なお、さらに混合できる調味料としては、例えば醤油や唐辛子等を、味醂と同様に適宜の分量を味噌に添加して練り込んでもよく、消費者の味覚のニーズに合わせて、種々の調味料の中から適宜選択的に採用できるのは勿論である。また、味噌を主材料とする調味料の形態も、味噌自体のようなペースト状の漬け床に限定されず、液体状の漬け液であってもよい。
【0014】
次に、エノキ茸が混合された味噌を主材料とする調味料に、上記のように加熱した後で冷却したエリンギを、カットしない状態或いは長手方向に裂くか切り分けて2分割した状態で漬け込む。原則として、大きなエリンギの場合は、縦長に2分割にして漬け込み、小さなエリンギは収穫したそのままの形態で漬け込む。
このようにエリンギを刻むことなく漬け込んでも、エリンギが肉厚の太い軸を有するきのこであるにもかかわらず、味噌を主材料とする調味料が好適に浸透できることを、本発明者は見出した。
【0015】
さらに、この加熱処理がなされて漬け込まれるエリンギとエノキ茸が、収穫から1日以内できのこの細胞内成分の変質が生じる前の新鮮なものであることで、最適なエリンギの味噌漬けを得ることができる。1日以内に加熱処理ができると、エノキの茸の生長のサイクルの1単位(自然界の一日の寒暖のサイクル)以内であり、きのこ自体が持つ酵素等によって変質が生じる前に、その新鮮な状態を維持した状態でその風味を閉じ込めることができる。
これによれば、きのこの収穫後に生じる独特の臭いの発生や、苦味の発生等の味の変化による品質の悪化が生じる前に加工でき、品質の高い味わいのあるエリンギの漬物を提供できる。
【0016】
以上のエリンギの漬物の製造方法で製造されるエリンギの漬物によれば、特に寝かせることなく、食品用の真空パックに詰めることができる。エリンギは、そのパックの中で一昼夜の間放置されると、食するに適する程度に漬かり込む。このため、製造してすぐに出荷しても、店頭に並ぶ時点では適度に漬かった味噌漬けになっている。従って、生産性よく製造でき、製造コスト及び流通コストを低減できる。なお、このエリンギの漬物は、袋状の真空パックの他に、缶、瓶又はプラスチック容器等の食品容器に入れても良いのは勿論である。
また、冷蔵して1ヵ月程度であれば、より漬かり込んだ状態となるが、防腐剤等の添加物を加える必要もなく、良い風味を維持した状態で好適に保存できる。
【0017】
以上のように、漬け込まれたエリンギの味噌漬けを、適度な厚さに切って食すると、あわびに似たコリコリ或いはモチモチとした独特の食感を楽しむことができる。また、エリンギ自体のうま味と、エノキ茸が混合された味噌を主材料とする調味料とのうま味のミックスによる相乗効果によって、味わいの極めて高い食品になっている。
また、味噌漬けの漬け床は、通常は廃棄されるものであるが、本発明にかかる味噌を主材料とする漬け床は、きのこのうま味成分が含まれる味噌として味噌汁に或いは薬味調味料として好適に用いることができる。従って、漬け床を含めて全てを無駄なく味わうことができるという効果もある。
【0018】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【出願人】 【識別番号】505410748
【氏名又は名称】小林 大輔
【出願日】 平成18年1月6日(2006.1.6)
【代理人】 【識別番号】100128794
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 庸悟


【公開番号】 特開2007−181429(P2007−181429A)
【公開日】 平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願番号】 特願2006−1844(P2006−1844)