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【発明の名称】 殺虫用及び駆虫用の組成物
【発明者】 【氏名】メナ カンポス、イエスズ

【氏名】ピメンテル ヴァスケス、エオロジオ

【氏名】エルナンデス ガルシア、アルマンド、トマス

【氏名】ヴェロス ゴンザレス、リウヴェン

【氏名】マリン ブルソス、マリエタ

【氏名】コンプテ アルベルト、オスカル

【氏名】ドミンゴ プエンテ、マリリン

【氏名】レオン バレーラス、リセッテ

【氏名】プホル フェレーロ、メラルド

【氏名】メンチョ ポンセ、ファン、ディエゴ

【氏名】ボロート ノルデロ、カルロス

【要約】 【課題】植物寄生線虫及び動物寄生線虫、真菌性及び細菌性の数種の病気、並びに寄生吸虫類の防除に有用な組成物を提供すること。

【解決手段】微生物或いは化学化合物から得た少なくとも1種のキチン分解剤又はキチン分解活性誘導剤及び硫黄又は硫黄誘導剤が含まれ、微生物或いは化学化合物から得た少なくとも1種のキチン分解剤又はキチン分解活性誘導剤及び硫黄又は硫黄誘導剤は個々に適用するより同時に適用したほうが顕著に低い量範囲で効果的増殖防止を達成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物又は動物の病原性の線虫、吸虫、細菌又は真菌を防除するための組成物であって、該組成物1グラム当たり、キチン分解活性と硫化水素産生能とを有する微生物(ただし、Acromobactor Bine−B及びCorynebacterium paurometabolumを除く)を107〜1012コロニー形成単位(CFU)含有する組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明の組成物は、植物寄生線虫及び動物寄生線虫、真菌性及び細菌性の数種の病気、並びに寄生吸虫類(Fasciola hepatica)の防除に有用な、数種の相乗作用を有する殺虫用及び駆虫用の組成物である。
【背景技術】
【0002】
線虫は、世界的規模で、熱帯、亜熱帯及び温帯地域において農業に大きな損害をもたらしている原因である(Nickle W.R.(編者).1991.Manual of Agricultural Nematology,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.Pub.1035pp)。プランタンのみで、世界総生産の約20%が線虫関連損失であり、毎年178百万ドルの損害がある(Sasser J.N.and Freckman D.W.1987.線虫についての世界的展望(A world perspective on nematology):当協会の役割(the role of the society).線虫に関する展望(Vistas on nematology):a commemoration of the twenty−fifth aniversary of the Society of Nematologists/edited by Joseph A.Veech and Donald W.Dickson.p7〜14)。プランタン及びバナナ農園は、顕著にRadopholus similisによって影響を受ける。
【0003】
Meloidogyne種は、最も重要な植物寄生線虫で、その活動によって、殆ど全ての熱帯で、収穫の11%から25%の損失が発生している(Sasser J.N.1979.Root−knot nematodes.Ed.F.Lamberti & C.E.Taylor,Academic Press,London,p359)。このため、これら寄生虫の防除に対して、大きな要求があるものの、過去において、これら寄生虫に対しては、化学的な殺線虫剤を適用してきた経緯がある。当該化合物は非常に効果的であるが、それらの多くは、環境に多大な危険をもたらす。あるケースにおいて、規制当局は、当該化合物の利用に際して、その量若しくは頻度又はそれら両方を制限しているが、それによって、それらの殺線虫効果は、不十分なものとなっている。
【0004】
線虫防除は、未だ、不十分である。化学的な殺線虫剤の使用は、それらが高い毒性を持ち、しかも広範囲に作用する化合物であることから、日毎に制限されている。その結果、化学的殺虫剤の削減を選択しながらも、線虫による被害を排除する効果的な方法を、見出すための努力がなされてきた。当該取り組みの1つとしては、化学的な殺線虫剤に代え、特異的な作用様式と比較的安全な毒理学的側面を持つ生物的な殺線虫剤の使用がある。当該代替殺線虫剤としては、ABG−9008、Myrothecium verrucaria真菌代謝物、及びエバーメクチン(又はミルベシンのような関連化合物)と脂肪酸の組合せ(Abercrombie K.D.1994.相乗的殺虫組成物(Synergistic pesticidal compositions).米国特許第5346698号。Mycogen Corporation.Sept.13)がある。同様に、線虫類、場所、土壌又は種子により植物にもたらされる被害をなくすための同時投与を含む方法であって、a)Myrothecium verrucaria真菌類代謝物と、b)化学殺虫剤、及びこの場合に有効な相乗的な殺線虫効果を有する組成物の処方を必要とする方法が特許で請求されている(Warrior P.Heiman D.F.and Rehberger Linda A.1996.相乗効果的な殺線虫組成物。Abbott laboratories.国際特許9634529、1996−11−07)。他の取り組みとしては、線虫寄生細菌のPasteuria penetransの胞子と有機リン化殺線虫剤の組合せがある(Nordmeyer D.1987.Pasteuria penetrans胞子及び有機リン殺線虫剤の相乗効果的殺線虫組成物。1987. CIBA−GEIGY AGの豪州特許AU06057386A1.01/29/1987)。
【0005】
しかしながら、工業スケールでのP.penetrans胞子の調製は、当該生物が絶対寄生細菌であるという問題に直面する。従って、その寄生細菌は、線虫が寄生した根源消化物から単離したもとの線虫中で生育させねばならない。
【0006】
線虫の生育環境を共用するキチン分解性の真菌及び細菌は、ある種の生物的均衝を保ち、何らかの形で、線虫の増殖を制限することができる。キチン分解性細菌の2菌株(Toda T.and Matsuda H.1993.抗菌性、抗線虫性及び/又は植物細胞活性化組成物及びその物を生産するキチン分解性微生物。Toda Biosystem Laboratory,Japan.米国特許第5208159号、05/04/1993)が、抗菌性、抗線虫性及び/又は植物細胞活性化組成物として請求されている。
【0007】
線虫に対するキチン分解性効果の幾つかの例がある。最も顕著なものとしては、真菌及び線虫中でキチンを分解することができる酵素であるキチナーゼをコードするDNAを導入して作られた、新しい細菌株がある(Suslow T.and Jones D.G.1994.新規キチナーゼ生産細菌及び植物。DNA Plant Technology Corporation,米国特許第04940840号、07/10/1990)。当該菌株は、植物病原体を阻害するキチナーゼの生産に有効である。キチナーゼをコードするDNAを導入した結果、病原体に抵抗性の新規植物も記載されている。
【0008】
他の微生物の例としては、自然な条件で、植物を攻撃する線虫を減少させる微生物が記載されている。
【0009】
Rodriguez−Kabana等(Rodrigues−Kabata R.,Jordan J.W.,Hollis J.P.1965.Nematodes:稲田における生物的調節−硫化水素の役割。Science.148:524〜26)、並びにHollis and Rodrigues−Kabana



は、細菌のDesulfovibrio desulfuricansと、硫化水素の生産と、植物寄生線虫との間で対応関係を観測し、植物寄生線虫の数は、ルイジアナの稲農場では減少していた。硫化物は、ある種の土壌細菌により生産される他の代謝物と同じく好気性生物の電子伝達呼吸経路での阻害剤である


【0010】
BIOACT又はNemachekとしても知られているPAECIL(登録商標)は、土壌及び種子の処理のために、乾燥して安定化した胞子濃縮物である、Paecilomyces lilacinus由来の特許された菌株を含有する生物的な殺線虫剤である。本真菌種は、一般的に世界中の土壌中に見出される。PAECIL(登録商標)活性成分として用いられる特許された菌種は、特に、植物寄生線虫に対し効き目がある。それは、当初、The Philippines Universityで単離され、オーストラリアのMacquarie Universityで発展したものである。更に、PAECIL(登録商標)は、オーストラリア、フィリピン、南アフリカ及び他の国の主たる農作物を冒す様々な線虫の防除について広く試験されてきた。PAECIL(登録商標)製剤は、フィリピンではBIOACT(商標)、南アフリカではPL PLUS、インドネシアではPAECIL(登録商標)の名前で登録された殺虫剤として市販されている。最近、オーストラリア国立登録局(Australian National Registration Authority)は、当該製品を殺虫剤として評価している(Holland,R.PAECIL(登録商標).1998.http://www.ticorp.com.au/article 1.htm)。上記の例は、全ての寄生蠕虫の問題を解決してはいない。従って、依然として、化学的な殺虫剤や抗寄生虫製品に代わる、寄生虫の防除方法を改良した方法に対する要求がある。
【0011】
吸虫は、動物生産物やヒトの健康に対し、顕著な経済損失をもたらす。当該種の多様性、比較的穏やかな病原性、及び孤立した地域の風土病であることが、吸虫に関する知識の欠如をもたらす主な原因になっているようである。一般的には、腸に寄生する吸虫は、人畜共通であり、各種において多数の保虫宿主を持っている。
【0012】
経済的に言うと、最も重要な吸虫の1つは、最初に知られた寄生吸虫であるFasciola hepaticaであり、それは胆汁導管に住み着いてヒトを冒す。その卵は蠕虫から得られる、卵形で有蓋の最も大きな卵の1つで、胃のジセプシア(disepsia)における消化器機能不全、結腸運動機能不全、肝臓と胆汁小胞の痛み、熱及び肝仙痛を起こす。他の徴候としては、肺、眼、脳、肝臓血管及び他の組織における嚢胞形成がある(Saleha A.1991.肝臓吸虫病疫学、経済的影響及び公共衛生の重要性(Liver fluke disease(fasiolosis)epidemiology,ecomonic impact and public health significance).Southeast Asian J.Trop.Med.Public health 22 supp 1dic.P316〜4)。
【0013】
人畜共通罹患性蠕虫は、羊及び牛にとって重要な病害虫となっている。抗蠕虫剤抵抗性は広く、特に、小型の反芻動物に寄生する線虫の群で顕著である。
【0014】
新たな補助的技術が開発されているが、他の技術は研究中である。真菌のDuddingtonia flagransは、ネットを形成し、広範囲に壁やじっとして動かない胞子、即ち、牛、馬、羊及び豚の腸管経路に対しても耐え得る、クラミドスポア(clamidospores)を作る捕食菌である(Larsen M.1999.蠕虫の生物的防除(Biological control of helminths).Int J Parasitol.Jan;29(1):139〜46、and Larsen,M.2000.捕食性ミクロ真菌による動物寄生線虫の防除への展望(Prospect for controlling animal parasitic nematodes by predacious micro fungi).Parasitogy,120,S120〜S121)。
【0015】
フランス、オーストラリア、米国及びメキシコにおけるD.flagransについての研究では、この真菌が生物性防除の強い可能性を有することを確認した。
【0016】
他の多くの重要な羊生産国と同様に、南アフリカも、抗駆虫剤抵抗性に関し、特に羊及びヤギにおける胃腸に寄生する線虫において、重大な問題を抱えている。重要な寄生蠕虫が、この現象に関与している;しかしながら、これは反芻動物の第四胃に寄生する吸血性ファージであるHaemonchus contortusに関する特殊な問題を起こす。この研究は、南アフリカの最も重要な羊生産地域から得られたこの寄生菌株の90%以上は、南アフリカ市場で入手できる4駆虫剤群の3群において、様々な薬剤抵抗性を示すことを指摘している。北部地方の如く、通常放牧している地域でさえ、1993年に研究された5つの群で検出された(van Wyk J.A.,Bath G.F.and Malan F.S.2000.南アフリカにおける反芻性動物の線虫寄生を防除する代替法に関する必要性。World Animal Review.http://www.fao.org/aq/AGA/AGAP/FRG/FEEDback/War/cntents.htm)。
【0017】
この菌株は、他の地方でも同様に見られたので、耐性株の増大は、深刻な問題になっている。一連の駆虫剤研究が最近ラテンアメリカの4カ国で実施された:アルゼンチン(Eddi,C.,Caracostantogolo,J.,Peya,M.,Schapiro,J.,Marangunich,L.,Waller,P.J.&Hansen,J.W.1996.南ラテンアメリカにおける羊の寄生線虫での駆虫剤抵抗性の流行:アルゼンチン.Vet.Parasitol.,62:189〜197);ブラジル(Echevarria F.,Borba M.F.S.,Pinheiro A.C.,Waller P.J.&Hansen J.W.1996.南ラテンアメリカにおける羊の寄生線虫での駆虫剤抵抗性の流行:ブラジル.Vet.Parasitol.,62:199〜206);パラグアイ(Maciel S.,Giminez A.M.,Gaona,C.,Waller P.J.& Hansen J.W.1996.南ラテンアメリカにおける羊の寄生線虫における駆虫剤抵抗性の流行:パラグアイ.Vet.Parasitol.,62:207〜212);及びウルグアイ(Nari A.,Salles J.,Gil A.,Waller P.J.& Hansen J.W.1996.南ラテンアメリカにおける羊の寄生線虫における駆虫剤抵抗性の流行:ウルグアイ。Vet.Parasitol.,62:213〜222)。
【0018】
牛に重大な損傷をもたらす線虫の1つは、性的に成熟して成虫になると、牛、特に若い牛の肺に住み着く線虫である、Dictyocaulus viviparousである。発生する疾病は、寄生虫性気管支炎又は牛肺吸虫症(Dictyocaulosis)として知られており、侵襲は、牧草地に存在するthe3を摂取したり、牧草地に存在する幼虫が寄生した後に生じる。治療には駆虫剤を必要とするが(Borgsteede F.H.M.,de Leeuw W.A.& Burg W.P.J.1988.仔牛におけるDictyocaulus viviparusによる感染を防ぐための4種の異なる持続性大丸薬の効き目の比較。The Veterinary Quarterly,Vol 10,No.3)、それは、薬剤抵抗性の新株を生じるという犠牲を伴い、そのことは、更に寄生された動物の治療をより難しくする。これらの製品の高価格は、多数の畜産物を抱える国にとって制限的な要因であり、しかも有害な生態系への影響は、これらの製剤を使用することで生み出される。
【0019】
駆虫剤抵抗性に関する国際的な問題は、化学的治療法が寄生虫防除の基礎であり続ける一方で、少なくとも次の10年間に、新規で化学的に類似しない駆虫剤が出現することを殆ど期待できないという事実によって、いっそう大きくなっている(Soll,M.D.1997.産業展望からの駆虫剤治療の将来。In J.A.van Wyk & P.C.van Schalkwyk,eds.内部寄生虫における駆虫剤抵抗性の管理。p1〜5.Proceedings of the 16th International Conference of the World Association for the Advancement of Veterinary Parasitology,Sun City,South Africa,10〜15 August 1997)。
【0020】
細菌及び病原性真菌の場合、生物学的薬剤についての膨大な報告があり、その作用は主に拮抗作用に基づいており、多数の薬剤が市場で入手できる。それら薬剤を挙げると、Conquer(Pseudomonas tolassiiに拮抗するPseudomonas fluorescens)、Galltrol−A(Agrobacterium tumefaciensを防除するAgrobacterium radiobacter)、Bio−Fungus(以下の真菌を防除するTrichoderma種:Phytophthora,Rhizoctonia solani,Phythium種,Fusarium,Verticillium)、Aspire(Botrytis種.及びPenicillium種.を防除するCandida oleophila I−182)などがある。
【0021】
最も広く活性な生物学的殺真菌剤の1つは、真菌Trichoderma種であり(Chet I,Inbar J.1994 病原性真菌の生物的防除、Appl Biochem Biotechnol;48(1):37〜43)、その機構について詳しく検討され、宿主真菌の細胞壁を分解するキチナーゼが関与している事が分かった。しかも、真菌病の生物学的制御剤として使用される真菌及び細菌のキチン分解作用に関する実験的証明がなされている(Herrera−Estrella A,Chet I.1999.生物的防除におけるキチナーゼ。EXS;87:171〜84)。しかしながら、これは植物に寄生する真菌に対する細菌作用の唯一の方法ではなく、P.fluorescens CHA0菌株の特殊な場合においては、根源たる病原性真菌を阻害する青酸のような二次的代謝物の生産に基づく他の防止法もある(Blumer C.and Haas D.2000.細菌性シアン化物生合成の機構、制御及び生態的役割。Arch Microbiol Mar;173(3):170〜7)。
【0022】
細菌−細菌相互作用の分析により、抗生作用、基質競合及び寄生という、3つの主なタイプがあることが示された。抗生作用の場合、幾つかの細菌株において、周囲に存在する細菌の活性を抑制するために抗生物質を放出することが知られており、それを病原性種の生物学的防除に利用することができる。同じように、適切な生物制御をする微生物は、鉄伝達微量元素消去剤を合成することができ、それが培地中の微量元素欠乏、特に鉄欠乏を起こして各病原体の発育を阻害するので、基質競合は適切な生物学的な制御を達成するためにより一層使用することができる機構である。(Ongena M.1998.Conference on biological controls.Training program in the area of biotechnology applied to agriculture and bioindustry.Gembloux,Belgium)。
【0023】
(発明の開示)
本発明は、少なくとも1種のキチン分解剤又はキチン分解活性誘導と、硫化物又は微生物由来の若しくは化学的な合成物からなる硫化物産生剤とを含有する組成物であって、当該キチン分解剤又はキチン分解活性誘導剤と、当該硫化物又は微生物由来若しくは化学的な合成物からなる硫化物産生剤とを、同時に、各成分を個々に使用する際より実質的に少量で適用して、蠕虫、及び細菌や真菌による疾病の原因成分の効果的な防除を達成する組成物に関する。
【0024】
本発明はまた、植物寄生線虫(Meloidogyne 種,Angina 種、Ditylenchus 種、Pratylenchus 種、Heterodera 種、Aphelenchus 種、Padopholus 種、Xiphinema 種、Rotylenchulus 種)、動物寄生線虫及び動物寄生吸虫(Haemonchus 種,Trichostrongylus 種,Dictyocaulus 種.y Fasciola hepatica)、病原性の細菌性薬剤(Erwinia chrysanthemi,Burkholderia glumae)、並びに病原性の真菌性薬剤(Pestalotia palmarum,Alternaria tabacina,Sarocladium orizae)などの広範囲に亘り効果的に防除する生物学的薬剤及び化学的薬剤のような異なる根源の前記合成物の同時投与、又はこれらを含む組成物の使用に関する。
【0025】
キチン分解剤又はキチン分解活性誘導剤、並びに硫化物又は硫化物産生剤の、蠕虫、細菌及び真菌に対する効能は、既に実証され、報告されている。しかしながら、両成分を同時に適用したときの相乗効果は、本研究において、初めて実証されたものである。
【0026】
キチン分解剤又はキチン分解活性誘導剤、及び硫化物又は硫化物産生剤を別々に適用すると、その効能は、常に2種の薬剤を同時に適用するときより小さい。
【0027】
本発明の組成物として適用する場合、当該キチン分解剤又は当該キチン活性誘導剤、並びに硫化物又は硫化物産生剤は、寄生蠕虫、並びに細菌性及び真菌性の疾病を防除する溶液、懸濁液、乳化液、粉末又は顆粒混合物の形で適当に混合され、肥料、プレパック土壌、種子被覆手段、粉末、顆粒、噴霧液、懸濁液、液体又はこれらをカプセル化したものとして、植物又は土壌に適用される。
【0028】
線虫、吸虫、細菌又は真菌の特定の場合、並びに特異な条件の場合、キチン分解剤又はキチン分解活性誘導剤、並びに硫化物又は硫化物産生剤の最適な適用範囲は、生体外である温室又は野外の条件下などで実験に基づく調査により決定される。
【0029】
本発明において説明された結果によれば、蠕虫、細菌及び真菌に対する顕著な防除は、1)組成物グラム当たり、10〜1012コロニー形成単位(CFU)のキチナーゼ産生微生物、又は当該組成物の1%〜50%のキチンと、2)組成物グラム当たり、10CFU〜1012CFUの硫化物生産微生物、又は硫化物が組成物グラム当たり1.0mg/分で変化するような硫化物産生化学薬剤、の混合物で達成される。
【0030】
組成物グラム当たり10CFU〜1012CFUの、キチン分解剤及び硫化物を同時に生産する微生物を有する組成物は、蠕虫、細菌及び真菌に対する防除に好適である。上記組成物は、上記比率による以下の薬剤の組合せを含んでいる:
1.キチナーゼ及びNaS、
2.キチナーゼ及びFeS、
3.キチナーゼ及び微生物Desulfovibrio desulfuricans、
4.キチナーゼ及びNaS、
5.キチナーゼ及びFeS、
6.キチン及び微生物Desulfovibrio desulfurivans、
7.キチン分解活性とHSを同時に生産する微生物。
前記組成物は、これに限らないが、M.incognitaのようなMeloidogyne種、A.triticiのようなAnginas種、D.dipsaciのようなDitylencus種、P.coffeeのようなPratylenchus種、H.glycinesのようなHeterodera種、A.avenaeのようなAphelenchus種、R.similisのようなRadopholus種、X.indexのようなXiphinema種、R.reniformisのようなRotylenchulus種などを含む植物寄生線虫;Haemonchus種、Trichostrongylus種、Ostertagia種、Nematodirus種、Cooperia種、Ascaris種、Bunostomum種、Oesophagostomum種、Chabertia種、Trichuris種、Strongylus種、Trichonema種、Dictyocaulus種、Capillaria種、Heterakis種、Toxocara種、Ascaridia種、Oxyuris種、Ancylostoma種、Uncinaria種、Toxascaris種、及びParascaris種のような動物寄生線虫;Fasciola hepaticaのような吸虫;Erwinia chrysanthemi、Burkholderia glumaeのような植物病原性細菌、並びにPestalotia palmarum、Alternaria tabacina及びSarocladium orizaeのような植物病原性真菌など、広い範囲で効き目がある。
【実施例】
【0031】
(実施例1)化学的原料から得た硫化水素とキチン分解酵素による殺線虫効果の生体外での評価。
動物線虫である、Haemonchus種とTrichostrongyus colubriformisとDictyocaulus vivparusから得た卵とともにMelodoigyne incognitaから得た寄生性植物線虫の幼虫(幼虫2)を用いた。
【0032】
Haemonchus種及びTrichostrongylus colubriformis線虫類の採集をヒツジ(羊)及びウシ(牛)の第四胃からそれぞれ行った。成虫メス線虫を生理食塩水で洗浄し、0.5%“ヒビテン”(酢酸クロルヘキシジン)で、1分間、37℃の工程で処理した。予め殺菌した個体約100個を50mlのLB培地溶液を入れたエーレンマイヤーフラスコに導入して、滅菌蒸留水で10倍に希釈し、次いでそれらの卵を一夜放置した(8〜10時間)。
【0033】
D.viviparous線虫の採集を、予め屠殺したウシ(牛)の寄生肺から行った。同じ手順をHaemochus種及びT.colubriformisにつき用いた。但し、そのメスについては、その卵を2〜3時間放置した。
【0034】
このときから、操作は、24穴組織培養プレートを用いて、垂直方向の層流中における無菌条件下で行なった。当該メス及び卵を含有する培地の全容を60μmのshift netでろ過した。当該線虫卵は、第2shiftの30μmのnet上に捕集した。それを0.5%のヒビテン溶液中に3分間導入し、次いで滅菌蒸留水で10倍に希釈したLB培地で3回洗浄した。
【0035】
消毒後直ちに、卵をshift netから取出し、滅菌蒸留水で10倍希釈したLB培地で注意深く再懸濁した。分配の最終的な状態をオリンパス倒立顕微鏡にて各穴における当該卵を計数及び記録して検査し、この時期で、発生状態が均一であることも観測した。
【0036】
Haemonchus種及びT.colubriformisの卵は、28℃の培養では、24から48時間で孵化するが、D.vivparusの卵は、24時間前に孵化する。全ての未処理の対照中、孵化の60%より多くが、各種につき事前に予測した時間で起こるとき、良好な試料調製が達成される。
【0037】
Meloidogyne incognitaの卵塊の採集は、予め寄生させ温室で栽培したカボチャ属の根(Cucurbita pepo)から行った。この操作には実体顕微鏡及び適切に改良したチップを付けた針を用いた。卵塊を28℃でペトリ皿中の滅菌蒸留水に入れ、1皿に50塊数とした。毎日卵の孵化を観察した。約72時間で収集及び殺菌を開始するのに充分な幼虫となった。
【0038】
卵塊及び幼虫を含有する全容を、60μmのshift netを通してろ過した。その時から引き続き、全ての操作は、24穴組織培養プレートを用いて、垂直方向の層流中における無菌状態で行なった。卵塊から分離した卵は孵化できず、30μmのshift netの上に残った。更に5μmのnetを用いて幼虫を採集した。それを0.5%のヒビテン溶液に3分間導入し、次いで滅菌蒸留水で10倍に希釈したLB培地で洗浄した。一回消毒して、当該Meloidogyne incognita幼虫をshift netから取除き、注意深く滅菌蒸留水で10倍に希釈したLB培地溶液に再懸濁した。最終的な採集及び消毒の状態は、オリンパス倒立顕微鏡により生きている幼虫を計数し記録して検査した。
【0039】
当該線虫の卵及び幼虫を、10倍に希釈したLB培地の約2ml中に100個体数入れた。この内容物を、空気をその液体に通させる安全バルブに導入し、当該空気が卵や幼虫に接触できるようにした。各処理に関して全てのバルブは、同じレプリカである。
【0040】
硫化水素は、2種の硫化物(NaS及びFeS)を塩酸と反応させるか、細菌Desulfovibrio desulfuricans subs.desulfuricans ATCC 27774(羊類の第一胃から単離)の嫌気性発酵で得た。使用したキチン分解酵素は、細菌Serratia marcescensから得たキチナーゼSIGMA C 1650である。
【0041】
実験された線虫の卵及び幼虫は、24時間、以下の処理に供された:
1.対照処理:キナーゼは適用せず、バルブを通して空気を循環した;
2.キチナーゼ処理:複製物当たり0.2単位の比率;
3.硫化物処理:NaSからの硫化水素を0.3mg/分において0.2の流束;
4.硫化物処理:FeSからの硫化水素を0.3mg/分において0.2の流束;
5.硫化物処理:Desulfovibrio desulfuricansからの硫化水素を0.3mg/分において0.2の流束;
6.組合せ処理:処理2及び処理3の同時適用;
7.組合せ処理:処理2及び処理4の同時適用;
8.組合せ処理:処理2及び処理5の同時適用。
上記処理の全ては、4つの複製物に供された。
【0042】
実験を開始してから24時間後、全ての処理において、新生の幼虫(Haemonchus種,T.colubriformis及びD.viviparous)及び生存幼虫の数(Melodogyne incognita)を計数した。効能結果(E)を表1に示した。この値は全ての処理において4つの複製物の平均である。分散分析(ANOVA)を本研究における各線虫種で得た結果に別々に適用した;ダンカン(Duncan)検定



を適用し、表1に同様に示す。同じアルファベットは当該処理の間に有意差(p<0.05)がないことを示している。
【0043】
【表1】



*有効性(E)は、実施例に関して、孵化又は生存幼虫についての活性頻度(Fr)の値を1から差引いた結果である。Frは各処理(Ntto)における新生又は生存幼虫の数と処理1(Nc)における新生又は生存幼虫数の間の比率である。
【0044】
E=1−Frであり、その式中のFrは、Fr=Ntto−Ncである。それ故、E=1−Ntto/Ncである。
【0045】
処理6,7及び8における相乗効果を測定するために、それらにおいて生じる事象が排除されないと仮定した。
【0046】
この種の分析で、予期される有効性(EE)は、個々の効果の合計と等しくなければならず、キチナーゼ作用(Eq)に反映する有効性と硫化水素(Esn、Esf及びEsd)に反映する有効性との総和から交差効果(ei)



を差引いて得られる。
【0047】
EE=Eq+Es−eiであり、その式中eiは、ei=Eq×Esである。
【0048】
2種類の殺真菌薬剤の組合せた(処理6,7,8)処理における実験での有効性(E)がこれらの処理につき予期した有効性(EE)より大きな場合、キチン分解剤(キチナーゼ)及び硫化水素を同時に同じ処理に適用するときに殺真菌活性において相乗効果があることを確証することができる。得られた値は表2にまとめた。
【0049】
【表2】


【0050】
キチナーゼ及び硫化水素を同時に組合せた3種類の処理では、実験を行った4種の線虫についての当該実験での有効性(E)は予期した有効性(EE)を超えており、それらの殺線虫活性に関して両合成物(同時に作用するとき)の間に相乗作用の存在を統計的に示している。硫化物源及びそれらの殺線虫効果については有意差は認められなかった(表1)。
【0051】
(実施例2)キチン分解活性誘導剤(キチン)及び硫化水素産生剤(土壌から単離したDesulfovibrio desulfuricans subps.desulfuricans ATCC29577)による殺線虫効果の温室における評価
【0052】
中性pHの褐色土壌を選択し、それを乾燥し、0.5cmの網で篩をかけて望ましくない粒子を除去した。この土壌を縦型オートクレーブ中で、120℃及び1気圧にて1時間で滅菌した(Sambrook J.,Fritsch E.F.及びManiatis T.1989.Molecular Cloning:A Laboratory Manual.2nd.Ed.Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.,USA)。これを室温で3〜4日間乾燥し、その後、川砂、土壌生物腐葉土及びキチン(ICN カタログ番号101334)で処理して予定の混合物を作成した。
【0053】
20個のポット(直径15cm×深さ13cm及び容量1リットル)に以下の処理物を所定比率で満たした:
1.対照処理:土壌70%、川砂25%及び腐葉土5%;
2.キチン処理:土壌70%、川砂25%、腐葉土4%及びキチン1%;
3.微生物処理:土壌70%、川砂25%、腐葉土5%、及びポット当たり1010CFUの濃度で適用されたD.desulfuricans;
4.混合処理:土壌70%、川砂25%、腐植土4%、キチン1%、及びポット当たり1010CFUの濃度で適用されたD.desulfuricans。
各処理は5つのレプリカ(ポット)で実施した。
【0054】
2及び4の処理では、腐葉土とキチンの予備混合物を4:1の比率で作成し、次いで土壌及び砂を混ぜ、最終混合物を作成した。3及び4の処理では、D.desulfuricansを、ポット当たり100mlの脱イオン水を用いて利用した。これらの量を最初の注水の間、均一に適用した。
【0055】
全ての処理で、天然の寄生バナナの根から予め採集したRadopholus similisの線虫試料500個をポットに接種した。採集には、遠心分離−浮遊方法(Jenkins,W.R.1964.土壌から線虫分離する際の迅速遠心−浮遊方法。Plant Disease Reporter,48:692)を用いた。試料は、5mlの蒸留水で希釈し、土壌表面下5cmの深さで均等にアプライした。ポットを温室に置き、処理後3日間静置し、線虫を接種した。注水は、良好な湿度条件を保持するために、この段階の間、毎日実施した。処理の第四日目前に、生体外組織培養で得られたバナナ変種Cavendishをポットに移植した。この時から厳格な注水管理をとって、その圃場容水量に関し不変の土壌水分を保った。
【0056】
最終評価は実験を開始してから3ヶ月後、植物の根を注意深く土壌から取出した。その後、植物から採集した試料(幼虫及び成虫)及び生きている線虫の数を、遠心分離−浮遊手法(Jenkins,W.R.1964.土壌から線虫分離する際の迅速遠心−浮遊手法。Plant Disease Reporter,48:692)、計数用に倒立顕微鏡を用いて記録した。異なる処理についての有効性の結果を表3に示す。これは各処理での5複製物の平均値である。得られた結果に変動分析を適用し(ANOVA),次いでダンカンの検定



を適用した。それぞれ、表3に示す。同じアルファベットは当該処理の中で有意差(p<0.05)がないことを示す。
【0057】
【表3】



有効性(E)は、1から生存試料相対頻度(Fr)値を差引いた結果である。Frは、各処理(Ntto)における生存試料の数と処理1(Nc)における生存試料の数との比率である。
【0058】
E=1−Frであり、その式中Frは、Fr=Ntto/Ncである。それ故E=1−Ntto/Ncである。
【0059】
処理4において、可能性ある相乗効果を測定するために、発生する事象(殺線虫効果)は排除されないと仮定した。
【0060】
実施例1と同様に、予測される有効性(EE)は各効果(EI)の合計に等しいはずであり、土壌及び腐葉土の混合物中に存在する微生物のキチン分解活性の誘導物質としてキチン作用に反映された有効性(Eq)と、細菌D.desulfuricansから得られる硫化水素の作用に反映される有効性(Esd)との総和から、2つの処理間の交差効果(ei)を差引いたものである


【0061】
EE=Eq+Es−ei,その式中eiは、ei=Eq×Esである。
【0062】
2種の殺線虫剤を組合せた処理4において、実験での有効性(E)が予期した有効性(EE)より大きい場合には、キチン分解活性誘導剤(キチン)及び硫化水素(D.desulfuricansより)が同時に同じ処理に適用されたとき、それらによる相乗効果の存在を確証することができる。得られた値は表4に示す。
【0063】
【表4】


【0064】
処理4は、キチン分解活性誘導物質(キチン)と硫化水素の生物学的根源(D.sulfuricans)を組合せたものである。この処理において、実験での効果(E)は予期した有効性(EE)より大きく、それ故土壌に同時に適用した場合2種の合成物には相乗効果(その殺線虫活性に関して)が存在することを示した。
【0065】
(実施例3)細菌Corynebacterium paurometabolum C−924とTsukamurella paurometabola DSM20162によるキチン分解活性及び硫化水素産生の実証
【0066】
硫化物産生の測定:
気体採取用の100mlの管中に、5lの生物反応器に入れた菌株C−924及びDSM20162の発酵で生じた気体から得た試料を取り込んだ。全培養時間は24時間であった。硫化水素の生成は最初に16時間目に検出された。
【0067】
試料を、HSパターン生成に類似の方法で処理した。
分析は、Varianガスクロマトグラフにて以下の条件で実施した:
・硫黄を含有する化合物に高感度のフィルターを有する炎光光度計検出器;
・硫化水素パターン:43.2ng/ml、2回;
・試料:試料採取を行なう毎に2度;
・注入:1ml又は1μlのヘッドスペース;
・カラム:DB−5(15m×0.53mm);
・温度:35℃;
・キャリヤーガス:窒素1.5ml/分;
・検出器:FPD−S;
・パージガス:窒素30ml/分。
【0068】
表5は異なる時間にて2種の菌株により生成した硫化物ガス分析のまとめを示す。
【表5】



両菌株とも硫化物を生産するが、C−924は菌株DSM20162より高い流量を産生する。
【0069】
キチン分解性活性測定
Corynebacterium paurometabolum C−924,Tsukamurella paurometabola DSM20162,Serratia marcescen ATCC 13880及びE.coli ATCC 25922菌株を使用した。
【0070】
検討した菌株の細菌培養はLB培地にて28℃で100rpmにて24時間行い、次いで3500rpmの遠心分離を行なった。その上澄み液を2種の0.2μmの網でろ過した。ろ過した生成物を、キチンコロイド状懸濁液(0.5%)を用いて調製され、培地をゲル化させ、蛋白質拡散を促進する気孔率を確保するためにアガロースを0.8%に至るまで加えたプレートで検定した。ゲル化後、5mm直径の穴を開き、そこに各細菌菌株から得たろ過上澄み液100μlを加えた。3つの複製物が、全てのプレートで使用され、暗所で28℃にて培養した。
【0071】
48時間目から光輪(halo)状の濁りの減少が培地で観測され、キチンが加水分解されていることが示された。以下の表(表6)では、検討中の異なる菌株の培養から得た上澄み液について異なる培養時間における加水分解による光輪(halo)現象の発生から得た定性的結果を示す。
【0072】
【表6】



+++は最大の加水分解による光輪(halo)が観察されたことを表す。
++ は中程度の加水分解による光輪(halo)を表す。
+ は最小の加水分解による光輪(halo)が観察されたことを表す。
【0073】
両菌株(C.paurometabolum及びT.paurometabola)は、用いた陽性対照(S.marcescen)と同じようにキチン加水分解による光輪(halo)現象を示し、E.coli(陰性対照)は加水分解による光輪(halo)現象を生じなかった。
【0074】
(実施例4)細菌Corynebacterium paurometabolum C−924及びTsukamurella paurometabola DSM20162が産生した硫化物及びキチナーゼの寄生虫Fasciola hepatica(吸虫)に対する効果の生体外評価
【0075】
寄生虫Fasciola hepaticaから得た卵を使用した。卵採集は、予め屠殺したウシ(牛)の寄生肝臓胆汁から直接行なった。胆汁の内容物を3倍の蒸留水に再懸濁し、28℃で2〜3時間静置して卵を沈殿させた。次いで上澄み液を最大限除去した。得られた沈殿物を71μmのshift netにてろ過して、卵を捕集した。
【0076】
このときから、全ての操作は、24穴組織培養プレートを用いて、垂直層流における無菌条件で行った。F.hepaticaの卵を有するshift netを0.5%ヒビテン溶液中に3分間導入し、次いで滅菌蒸留水で10倍希釈したLB培地で3回洗浄した。消毒後直ちに、卵をshift netから取出し、注意深く滅菌蒸留水で10倍に希釈したLB培地で再懸濁した。採集及び消毒による最終的な状態は、オリンパス倒立顕微鏡にて生存幼虫を計数及び記録して検査した。この時期で、発生状態が均一であることも観測した。
【0077】
この寄生吸虫の卵は、予め生体外で設定された条件下で、28℃で約15日培養して孵化させた。当該試料の良好な調製は、60%より多い卵が培養期間終了時に孵化する場合とみなした。
【0078】
実験を進行させ、消毒した卵の数約100個体を10倍に希釈したLB培地1mlに入れた。この内容物を、空気をその液体に通すことができる20個の安全バルブに導入し、当該空気が卵や幼虫に接触できるようにした。全ての5処理に関して、各バルブは、同じレプリカ(処理当たり4)である。
【0079】
F.hepaticaの卵は、培養の最後の4日間に以下の処理に曝した:
1.対照処理:10倍希釈したLB培地の1mlをキチナーゼなしで全てのバルブに添加し、空気をその中で循環させる;
2.各バルブに、1010コロニー形成単位(CFU/ml)のCorynebacterium paurometabolum C−924の培養物から細菌細胞なしで得たキチン分解活性を有する上澄み液1mlの添加;
3.各バルブに、1010CFU/mlのTsukamurella paurometabola DSM20162から、細菌細胞なしで得たキチン分解活性を有する上澄み液1mlの添加;
4.1010CFU/mlのCorynebacterium paurometabolum C−924の連続培養から得たガス流を、バルブを通過させる;
5.1010CFU/mlのTsukamurella paurometabola DSM20162の連続培養で得たガス流を、バルブを通過させる。
6.組合せ処理:処理2及び4の同時適用;
7.同時処理:処理3及び5の同時適用。
【0080】
実験を開始して第4日目に、孵化した卵を計数した。F.hepaticaの場合、幼虫(ミラシド)は、その激しい自己運動性のため計数ができないので、顕微鏡での観察は卵について行なった。異なる処理による有効性の結果は表7に示した。この結果は各処理において4つの複製物についての平均値である。同一のアルファベットは当該処理間に有意差(p<0.05)がないことを示す。
【0081】
【表7】



有効性は1から孵化値の相対頻度(Fr)を差引いた結果である。Frは処理毎の孵化卵の数(Ntto)と処理1で孵化した卵の数(Nc)との比率である。
【0082】
E=1−Frであり、その式中Frは、Fr=Ntto/Ncである。それ故、E=1−Ntto/Ncである。
【0083】
処理6及び7において、可能性ある相乗効果を測定するために、それらで起こる事象(抗寄生効果)は排除されないと仮定した。
【0084】
この種の分析で、予期される有効性(EE)は、キチナーゼ作用(Eq)に反映される有効性と、硫化水素に反映される有効性(Esn、Esf及びEsd)との合計から、これらの交差効果(ei)を差引いて得られる


【0085】
EE=Eq+Es−ei、その式中ei=Eq×Es
【0086】
2種の抗寄生薬剤を組合せた(処理6及び7)処理における実験の有効性(E)が、これらの処理についての予期される有効性より大きい場合には、キチン分解性薬剤(キチナーゼ)及び硫化水素の両方を同時に同一処理に適用するとき、抗寄生活性の点で相乗効果があることを確証することができる。得られた値を表8にまとめて示す。
【0087】
【表8】


【0088】
キチナーゼ及び硫化水素を組合せた処理において、実験での有効性(E)は、予期した有効性(EE)より大きかった、このことは、殺線虫活性の点で同時に作用する2つの化合物の相乗作用を実証する。
【0089】
(実施例5)硫化水素を生産し、且つ数種の細菌及び真菌に対しキチン分解活性を有する細菌菌株(Corynebacterium paurometabolum C−924)の生体外での効果評価
【0090】
以下の真菌種を使用した:
Pestalotia palmarum、Altenaria tabacina、Sarocladium orizae、Pitium debaryanum。
また以下の細菌種を使用した:
Erwinia Chrysanthemi、Burkholderia glumae、Serratia marcescen ATCC13880、Bacillus subtilis F1695及びEscherichia coli ATCC25922。
【0091】
A)真菌アッセイ
Corynebacterium paurometabolum C−924の真菌に対する相互作用を、以下のこれら真菌につき分析した:
Pestalotia palmarum、Alternaria Tabacina、Sarocladium orizae及びPytium debayianum。
Serratia marcescen ATCC13880の菌株は、抗真菌活性につき陽性対照として、E.coli菌株ATCC25922は、抗真菌活性につき陰性対照として使用した。当該細菌培養は全ての種につき通常の振とう及び温度条件で24時間生育させた。細胞濃度10cfu/mlを保証するために530nmの吸光度で必要な希釈を行なった。これらはPDA培地(寒天−ジャガイモ−デキストローズ)を含むペトリ皿に入れ、接種は中心線に微生物用輪匙を用いて行った。接種したペトリ皿を、28℃で48時間培養し、次いで、予め生育させておいた(PDA培地を含むプレート)異なる真菌菌株から得た直径8mmの円盤状コロニー(disc)を接種し、接種細菌の中心線のどちらか一端でプレート表面に塗抹した。3個の複製物を各真菌に用いて検討し、28℃で10日間培養した。結果は、実験の開始から5日目で判読した。
【0092】
b)細菌アッセイ
Corynebacterium paurometabolum C−924、E.coli ATCC25922及びBacillus subtilis F1695の相互作用の発生を、以下の細菌について検討した:
Erwinia chrysanthanem及びBurkholderia glumae。
Bacillus subtilis菌株F1695を、他の細菌との拮抗に関する陽性対照として用い、陰性対照として、E.coli菌株ATCC25922を用いた。細菌株はLB培地にて普通の振とう及び温度条件で24時間成育させた。これら培養物に対し、細胞濃度10cfu/mlを保証するために、530nmの予備的吸光度で必要な希釈を行った。C−924の場合、5μlの液滴をLB培地のプレートの異なる3ヶ所に塗抹したが、陽性対照においては異なる2ヶ所、陰性対照用は他の異なる2ヶ所に、それぞれ塗抹した。塗抹したプレートは、28℃で48時間培養した。その後、それらを3分間クロロホルム蒸気で処理し(不活性化し、更なる工程で分散をさけるため)、プレートは、半分蓋を開けてガス過剰を排除して層流中に設置された。試験菌株であるErwinia chrysanthemi及びBurkholderia glumaeの接種を実施した。接種は、半固体のLB培地(0.1%工業用寒天No.3)で3ミリリットルとした後、細胞濃度10cfu/mlなるような量を採取した微生物毎の純粋培養で始めた。試験菌株を含むプレートの上に、混合物を分散させ、その後それらを28℃で48時間培養して結果を評価した。
表9は上記相互作用分析において得られた結果を示す。
【0093】
【表9】



+++:強い拮抗作用が見られ、生育が停止し、C−924の効果により光輪(halo)の形成を生じる。真菌の場合典型的な放射状の成長が阻止される。
++:微生物に対するC−924の中程度の拮抗効果。
+:微生物に対しC−924の僅かな拮抗効果。
−:微生物に対しC−924の拮抗効果が見られなかった。
【0094】
表9に示したように、菌株Corynebacterium paurometabolum C−924は、その構造中、高いキチン含有量を有する特徴がある真菌Pestlotioa palmarum、Alternaria tabacina及びSarocladium orizaeに対し、顕著な拮抗作用がある。硫化水素作用による拮抗作用は、ごく僅かであることが観測された。検討した細菌との相互作用の場合、拮抗作用は2種の病原性菌株(Erwinia chrysanthemi及びBurkholderia glumae)で観測され、その一方で、他の微生物を有する拮抗土壌から単離されたように、Bacillus subtilisの場合は拮抗作用が観察されなかった。従って、Bacillus subtilisは、不利な環境因子にもより抵抗性がある。
【出願人】 【識別番号】304012895
【氏名又は名称】セントロ デ インジエニエリア ジエネテイカ イ バイオテクノロジア
【出願日】 平成19年6月27日(2007.6.27)
【代理人】 【識別番号】100066692
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 皓

【識別番号】100072040
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 肇

【識別番号】100088926
【弁理士】
【氏名又は名称】長沼 暉夫

【識別番号】100102897
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 幸弘


【公開番号】 特開2007−326861(P2007−326861A)
【公開日】 平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願番号】 特願2007−168329(P2007−168329)