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【発明の名称】 徐放性忌避材
【発明者】 【氏名】橋本 達範

【要約】 【課題】本発明は、一般に屋外で使用される有害動物の忌避材について、特に、降雨による忌避成分の流出を抑制し、忌避効果の持続性を更に向上させた、徐放性の忌避材を提供することを目的とする。

【解決手段】本発明の徐放性忌避材は、多孔質基材に、有害動物の忌避効果を有する忌避剤及び吸排水性樹脂が付加されて成るものである。また、本発明の徐放性忌避材は、更にニラ及び/又はニンニクが付加されて成るものであり、また更に、寒天や蒟蒻芋が付加されて成るものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質基材に、有害動物の忌避効果を有する忌避剤及び吸排水性樹脂が付加されて成る徐放性忌避材。
【請求項2】
前記忌避剤が、木酢液及び/又はゴーヤの煮汁である請求項1に記載の徐放性忌避材。
【請求項3】
前記忌避剤に、唐辛子及び/又はハーブが付加された請求項1又は請求項2に記載の徐放性忌避材。
【請求項4】
ニラ及び/又はニンニクが付加された請求項1から請求項3の何れかに記載の徐放性忌避材。
【請求項5】
寒天が付加された請求項1から請求項4の何れかに記載の徐放性忌避材。
【請求項6】
蒟蒻芋が付加された請求項1から請求項5の何れかに記載の徐放性忌避材。
【請求項7】
前記多孔質基材が炭である請求項1から請求項6の何れかに記載の徐放性忌避材。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、獣害対策用の徐放性忌避材に関する。
【背景技術】
【0002】
猪、猿、鹿、狸、熊等の有害動物による農作物の被害は跡を絶たず、電気柵、防護柵、防護ネット、嗅覚に作用する忌避剤等による獣害対策が一般に行われており、それぞれ一定の効果を上げている。しかし、例えば電気柵について見てみると、獣害の忌避効果は非常に高い反面、設置コストが掛かるため小規模農家では導入が難しく、農圃の地形によっては設置自体が困難な場合もある。また、防護柵や防護ネットは、設置費用が比較的安価で設置自体も容易であるが、壊されたり破られたりすることが多いため、忌避効果はさほど期待できず、補修等にも手間が掛かる。更に、忌避剤は、その殆どが忌避成分を含む液体であり、農圃に散布するのみで容易に忌避効果を得られるが、忌避効果が短期間しか持続しないため、頻繁に散布する必要があり、手間が掛かる。
【0003】
そこで、忌避効果の持続性を向上させた忌避材が多数開示されている(例えば、特許文献1乃至3参照。)。特許文献1に開示された徐効性動物忌避剤組成物は、水分及び嫌気性バクテリアの存在下で崩壊する生分解性樹脂に動物忌避剤を混練してなり、水分が存在する区域に散布して使用することによって、生分解性樹脂が徐々に生分解してゆくと共に、動物忌避剤が露出して、その効果が徐々に奏せられるというものである。また、特許文献2に開示された有害動物忌避性材料は、忌避物質(忌避剤)を固体ケイ酸に担持させてなり、固体ケイ酸に担持させた忌避剤を徐々に揮発させることにより、忌避効果の持続性の向上を図っている。更に、特許文献3に開示された害虫忌避用粉粒物は、植物から抽出した成分を主成分とした液体(忌避剤)を、風化造礁サンゴや木炭、竹炭等に吸着させてなり、前記有害動物忌避性材料と同様、風化造礁サンゴ等に吸着させた忌避剤を徐々に揮発させることにより、忌避効果の持続性の向上を図っている。
【0004】
また更に、植物精油のエキスを単独又は複数種ブレンドしたもの(忌避剤)を含浸させた天然の有機繊維より成る防虫用ロープ等も開示されている(特許文献4参照。)。忌避剤の直接散布に適さない農圃においても適用できると共に、従来の単なる防護柵や防護ネットに比べて、害虫や害獣に対する忌避効果の向上も期待できる。
【特許文献1】特開平8−208415号公報(請求項1)
【特許文献2】特開平9−216801号公報(請求項1)
【特許文献3】特開2001−114622号公報(請求項1、請求項3)
【特許文献4】特開2002−220306号公報(請求項1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、忌避剤は通常、屋外において使用されるものであり、特許文献1乃至3に開示された種々の忌避材であっても、降雨による忌避物質の流出は避けられず、忌避効果の持続性の観点から、十分であるとは言い難い。
【0006】
また、特許文献4に開示された防虫用ロープ等についても、忌避剤を天然の有機繊維に含浸させたのみの構成であるため、降雨によって忌避剤が流出し易く、忌避効果の持続性は期待できない。
【0007】
そこで本発明者は、上記の問題点に鑑み、降雨による忌避剤の流出を抑制し、忌避効果の持続性を更に向上させた忌避材を提供するべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に至ったのである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明の要旨とするところは、多孔質基材に、有害動物の忌避効果を有する忌避剤及び吸排水性樹脂が付加されて成る徐放性忌避材であることにある。
【0009】
また、かかる徐放性忌避材において、前記忌避剤は、木酢液及び/又はゴーヤの煮汁であり得る。
【0010】
また、かかる徐放性忌避材において、前記忌避剤には、唐辛子及び/又はハーブが付加されることが好ましい。
【0011】
また、かかる徐放性忌避材において、更にニラ及び/又はニンニクが付加されることが好ましい。
【0012】
また、かかる徐放性忌避材において、更に寒天が付加され得る。
【0013】
更に、かかる徐放性忌避材において、蒟蒻芋が付加されてもよい。
【0014】
また更に、前記多孔質基材は炭であり得る。
【発明の効果】
【0015】
本発明の徐放性忌避材によると、忌避剤が多孔質基材に吸着・保持されているため、忌避効果の持続性を向上することができる。また、吸排水性樹脂を付加することによって、降雨による多孔質基材からの忌避剤の流出を抑制できる。
【0016】
更に、吸排水性樹脂を付加することによって、本発明の徐放性忌避材を種々の態様で実施することが可能となる。特に、本発明の徐放性忌避材を固形化することによって、忌避効果が劣化した際、再度、忌避剤を含浸させることで、本発明の徐放性忌避材の再生が可能となる。また、再生不能となった場合でも、土壌保水材や土壌改良材としてそのまま利用することが可能である。
【0017】
また更に、本発明に係る忌避剤に、唐辛子及び/又はハーブを付加することによって、忌避効果を更に向上することができる。
【0018】
また、本発明の徐放性忌避材に、更にニラ及び/又はニンニクを付加することによって、忌避効果を更に向上することもできる。
【0019】
また、本発明の徐放性忌避材に、更に寒天を付加することによって、本発明の徐放性忌避材を固形化した際、強度を増すことができると共に、忌避効果の持続性を更に向上することができる。
【0020】
更にまた、本発明の徐放性忌避材に、更に蒟蒻芋を付加することによって、嗅覚に作用する忌避効果のみならず、触覚にも作用する忌避効果を付与することができる。
【0021】
また、本発明に係る多孔質基材に炭を適用することによって、忌避剤の吸着性及び保持性が良好であると共に、本発明の徐放性忌避材が効用を終えた際、土壌改良材としても好適に使用し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明の徐放性忌避材の実施形態について説明する。本実施の形態に係る徐放性忌避材は、多孔質基材に、少なくとも有害動物の忌避効果を有する忌避剤と、吸排水性樹脂とが付加されて成る混合物である。まず、多孔質基材は、後述する忌避剤を付加した際、この忌避剤を吸着・保持させるための部材であって、忌避剤を吸着・保持可能なものであれば特に限定されない。本実施形態では、炭(木炭)を多孔質基材として適用したが、竹炭やゼオライト等を適用してもよい。或いは、特許文献2に開示された固体ケイ酸や、特許文献3に開示された造礁サンゴ等も、本発明に係る多孔質基材として適用できる。
【0023】
また、本発明に係る忌避剤については、猪、鹿、猿等の有害動物に対して忌避効果を有するものであれば公知のあらゆる忌避剤が適用可能であり、特に限定されない。本実施形態では、種々の有害動物に対して忌避効果を有する木酢液を、忌避剤の主成分として適用した。なお、その他の忌避剤としては、例えばゴーヤの煮汁等も忌避剤として好適である。特にゴーヤは、猿の忌避効果に優れているため、猿による被害が多発する農圃においては、ゴーヤの煮汁、或いはゴーヤの煮汁と木酢液とを混合したものを忌避剤として適用することによって、猿等の有害動物の忌避効果が得られる。すなわち、本発明に係る忌避剤は、有害動物の種類に応じて任意に選択して適用できる。
【0024】
更に、本実施形態に係る忌避剤には、唐辛子及びハーブが付加されている。具体的には、唐辛子及びハーブの一種であるローズマリーをそれぞれ適当な大きさに破砕して木酢液に混合し、唐辛子及びローズマリーに含まれる忌避成分を木酢液に添加している。このように、木酢液を主成分とする忌避剤に、唐辛子等に含まれる忌避成分を添加することによって、本発明の忌避効果を更に向上することができる。なお、本実施形態では、上記のように、唐辛子等の破砕物を木酢液に混合することによって、木酢液に忌避成分を添加しているが、例えば、唐辛子やローズマリーを含むハーブから予め抽出した忌避成分(抽出液)を、木酢液等の忌避剤に添加・混合してもよい。また、唐辛子及びハーブの何れか一方のみが付加されてもよく、忌避効果を有するハーブが複数種、付加されてもよい。
【0025】
一方、本発明に係る吸排水性樹脂は、低温で水を吸収・保持し、温度が上昇して特定の温度(感温点)を超えると吸収・保持していた水を外部に排出する、感温性の吸排水性樹脂(以下、単に「吸排水性樹脂」という。)である。本実施形態では、この吸排水性樹脂を、多孔質基材である炭に、木酢液を主成分とする忌避剤と共に付加している。
【0026】
以上の各構成要素から成る本実施形態の徐放性忌避材は、以下に示す工程を経て得られる。まず、木酢液に唐辛子及びローズマリーをそれぞれ細かく破砕して混合し、忌避剤を調整する。次に、この調整された忌避剤に、適当な大きさ(10〜30mm程度)に破砕した炭を投入し、炭に忌避剤を吸着させる。そして、忌避剤が吸着された炭を更に粉砕(0.5〜3mm程度)し、この粉砕された炭に、吸排水性樹脂及び忌避剤を付加(混合)することによって、本実施形態の徐放性忌避材が得られる。
【0027】
ここで、本発明の徐放性忌避材は種々の形態に加工できることを特徴としている。これは、徐放性忌避材を構成する吸排水性樹脂が多孔質基材同士を接着するバインダーとして機能するためであり、本実施形態では、粉砕された炭に、吸排水性樹脂及び忌避剤を付加(混合)した混合物を樹脂トレーに流し込み、乾燥させることによって、平板状に固形化した徐放性忌避材を作製した。忌避剤を吸着させて粉砕した炭と、吸排水性樹脂とを混合し、そこへ適度な水分を補給するため、上記の調整された忌避剤を混合すると、吸排水性樹脂が忌避剤を吸収してゲル化し、更に乾燥させると余分な水分が蒸発して、固形化した徐放性忌避材が得られるのである。
【0028】
上記のような本実施形態に係る徐放性忌避材によると、まず、忌避剤が炭(多孔質基材)に吸着・保持されているため、忌避剤をそのまま農圃に散布した場合に比べて、忌避効果の持続性が向上される。また、吸排水性樹脂が付加されているため、本実施形態の徐放性忌避材を農圃に配置した際、降雨による炭からの忌避剤の流出を抑制できる。これは、徐放性忌避材を構成する吸排水性樹脂が、雨水を吸収・保持すると共に、炭から流出する忌避剤をも吸収・保持するためである。そして、吸排水性樹脂に吸収・保持された忌避剤は、天候回復による気温の上昇に伴い、吸排水性樹脂から蒸散される。つまり、従来は降雨によって忌避剤が流出し、忌避効果の持続性を確保することが困難であったが、本実施形態によると、忌避剤の流出を抑制して、忌避効果の持続性を更に向上することができる。
【0029】
更に、吸排水性樹脂を付加することによって、忌避効果の持続性を確保しつつ、多孔質基材である炭同士を接着・固形化することができる。従って、本実施形態に係る徐放性忌避剤の忌避効果が劣化した場合には、この固形化された徐放性忌避材に再度、忌避剤を含浸させることで、徐放性忌避材の再生が可能となる。なお、固形化された徐放性忌避材が外力等によって崩壊した場合であっても、本実施形態に係る吸排水性樹脂は生分解性樹脂であり、その他の構成要素も何ら農圃に悪影響を及ぼすことが無く、効用を終えた徐放性忌避材は、土壌保水材や土壌改良材としてそのまま利用することが可能である。
【0030】
更にまた、本実施形態に係る忌避剤には、唐辛子及びローズマリーの破砕物が混合されているが、粉砕された炭に吸排水性樹脂を付加して固形化する際、唐辛子等の破砕物も同時に取り込まれて固形化されるため、唐辛子等による忌避効果も更に向上される。
【0031】
以上、本発明の徐放性忌避材の一実施形態について詳述したが、本発明の徐放性忌避材は上記の実施形態に限定されず、他の実施形態でも実施できる。例えば、本発明の徐放性忌避材には、更に、ニラ及び/又はニンニクを付加することが好ましい。ニラやニンニク等を付加することによって、有害動物に対する忌避効果を更に向上することができる。なお、これらの付加態様としては特に限定されず、例えば、ニラやニンニクの破砕物、又はこれらから抽出された抽出液を予め忌避剤に混合した上で多孔質基材に吸着させることによって付加してもよく、或いは、上記の実施形態に係る固形化された徐放性忌避材には、抽出液を噴霧することによって付加してもよい。
【0032】
また、他の実施形態として、上記の実施形態に係る固形化された徐放性忌避材を作製する際、忌避剤を吸着させた炭に、吸排水性樹脂及び忌避剤と共に、寒天が付加されてもよい。寒天を更に付加して固形化することによって、得られる徐放性忌避材の強度を更に増すことができ、外力等による崩壊を長期間にわたって防止することができる。また、寒天は、炭等の多孔質基材が備える孔の目詰まりを防止する働きがあるため、忌避効果の持続性を向上させることもできる。なお、寒天の付加態様としては特に限定されず、例えば、多孔質基材、吸排水性樹脂、及び忌避剤の混合物に、粉寒天を直接付加(混合)してもよく、或いは寒天を予め水等の溶媒に溶かして寒天溶液を調整し、この寒天溶液を前記混合物に付加(混合)してもよい。また、寒天溶液を付加する際、寒天溶液の濃度は特に限定されないが、3重量%〜10重量%の濃度の寒天溶液を付加することがより好ましい。
【0033】
更に、本発明の徐放性忌避材は、上記の実施形態のように、任意形状の型枠に入れ、単に固形化するのみでも十分に忌避効果を発揮できるが、例えば、忌避剤を吸着させた炭に、吸排水性樹脂及び忌避剤を付加(混合)した混合物を、合成繊維や天然繊維から成るロープやネットに含浸させた上で乾燥・固形化してもよい。本実施形態によれば、忌避剤をロープ等に担持させると共に、忌避剤を吸着させた炭を吸排水性樹脂によってロープ等に固着できるため、従来の単に忌避剤をロープ等に担持させた態様に比べて、忌避効果の持続性が向上される。また、吸排水性樹脂が付加されることによって、降雨による忌避剤の流出も抑制できる。更に、本実施形態によれば、ロープやネット自体に忌避効果が付与されているため、従来の防護柵や防護ネットのように、壊されたり破られたりすることもない。なお、本実施形態において、上記の寒天溶液を付加することによって、炭とロープ等との固着が強化されるため、更に好ましい。
【0034】
また更に他の実施形態として、忌避剤を吸着させた炭に、吸排水性樹脂及び忌避剤と共に、蒟蒻芋が付加されてもよい。蒟蒻芋に触れると気触れが生じることは知られており、蒟蒻芋が付加された徐放性忌避材に直接又は間接的に触れた有害動物は、二度と近寄らなくなるため、嗅覚に作用するのみならず、触覚にも作用する徐放性忌避材を得ることができる。具体的には、蒟蒻芋をすり下ろして、忌避剤を吸着させた炭に、吸排水性樹脂及び忌避剤と共に混合する。このようにして得られる徐放性忌避材は、蒟蒻芋の混合割合にもよるが、最初は粘性の高いゲル状をなし、乾燥させると固形化する。本実施形態に係る徐放性忌避材の使用態様としては、例えば、ゲル状の段階でロープ等に粘着させ、これを乾燥して固形化する。このようにして、ロープ等に本実施形態に係る徐放性忌避材を固着することによって、上述した種々の効果が得られると共に、触覚にも作用する忌避効果を付与することができる。なお、有害動物が本実施形態の徐放性忌避材に間接的に触れる態様としては、例えば、一の有害動物の体が徐放性忌避材に触れて体毛に付着した際、毛繕い等によって他の有害動物がこの付着した徐放性忌避材に触れる場合等がある。
【0035】
以上、本発明の種々の実施形態に係る徐放性忌避材について詳述したが、本発明の徐放性忌避材は、これらの実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明に係る多孔質基材について、上記の実施形態において適用した炭は、忌避剤を吸着させる段階で予め適当な大きさに破砕し、忌避剤を吸着後、更に粉砕しているが、必ずしもこのような工程を経る必要はなく、例えば、最初から粉砕した多孔質基材に忌避剤を吸着させてもよく、多孔質基材の粒径によっては、破砕・粉砕工程を経る必要もない。
【0036】
また、上記の種々の実施形態においては、忌避剤を予め多孔質基材である炭に吸着させているが、多孔質基材と、吸排水性樹脂と、忌避剤とを同時に混合することによって、本発明の徐放性忌避材が作製されてもよい。
【0037】
以下に、本発明の徐放性忌避材の実施例を示すが、本発明の徐放性忌避材は、以下の実施例に限定されず、特に、忌避剤の調合割合や、忌避剤、吸排水性樹脂等の付加量は、上述した徐放性忌避材の種々の実施形態に応じて、任意に設定されるものである。
【実施例1】
【0038】
まず木酢液9Lに、適当な大きさに破砕した唐辛子419g及びローズマリーの葉100gと、ゴーヤの煮汁2.3Lを混合して、本実施例に係る忌避剤を調整した。なお、ゴーヤの煮汁は、ゴーヤ4kgを水5Lで煮て、煮汁の全量が2.3Lになるまで煮詰めたものである。次に、この調整した忌避剤に、多孔質基材として10〜30mm程度に破砕した木炭を漬け込む。そして、この破砕した木炭に忌避剤を吸着・保持させた後、この木炭を更に0.5〜3mm程度に粉砕することによって、本実施例に係る、忌避剤が吸着・保持された木炭(多孔質基材)を作製した。
【0039】
このようにして得られた木炭100gに対し、吸排水性樹脂(商品名:サーモゲル(登録商標)、(株)興人)13g、濃度5%の寒天溶液100ml、忌避剤100mlを付加・混合して、これを樹脂トレーに入れた。そのまま放置して、天日干しを行うことによって、平板状に固形化された徐放性忌避材を得た。
【0040】
鹿による被害が多発する地域において、この平板状の徐放性忌避材の上に、鹿せんべい及びニンジンを載置して観察したが、これらの餌には全く手がつけられなかった。
【実施例2】
【0041】
上記実施例1で得られた、平板状に固形化された徐放性忌避材に、ニラ及びニンニクから得られた抽出液を、1cmあたり0.2〜0.4mlの割合で塗布した。
【0042】
このニラ及びニンニクの抽出液が塗布された平板状の徐放性忌避材を使用して、実施例1と同様の実験を行ったが、餌に手を付けられることは全くなかった。
【実施例3】
【0043】
実施例1と同様にして、忌避剤が吸着・保持された木炭(多孔質基材)を作製した。この木炭100gに対して、吸排水性樹脂(商品名:サーモゲル(登録商標)、(株)興人)13g、濃度5%の寒天溶液100ml、忌避剤200mlを付加・混合して、本実施例に係る徐放性忌避材を得た。この徐放性忌避材に合成繊維から成るロープを浸漬してロープに徐放性忌避材を付着・含浸させ、そのまま放置して、天日干しを行った。
【0044】
このようにして得られた、徐放性忌避材が付着・含浸されたロープを農圃の周辺に設置したところ、有害動物の農圃への進入を防止できた。また、鹿の通った場所にこのロープを設置して観察したところ、ロープを設置していない場所に新たな獣道が出来ており、ロープの設置箇所を明らかに避けた様子が確認できた。
【実施例4】
【0045】
実施例1と同様にして、忌避剤が吸着・保持された木炭(多孔質基材)を作製した。この木炭100gに対して、吸排水性樹脂(商品名:サーモゲル(登録商標)、(株)興人)10g、濃度5%の寒天溶液300ml、忌避剤300ml、及びすり下ろした蒟蒻芋68gを付加・混合して、本実施例に係る液状の徐放性忌避材を得た。この徐放性忌避材に合成繊維から成るロープを浸漬してロープに徐放性忌避材を付着・含浸させ、そのまま放置して、天日干しを行った。
【0046】
このようにして得られたロープには、上記実施例3で得られたロープに比べて、より多くの木炭が固着していた。つまり、寒天溶液を付加・混合することによって、木炭の固着量を増加させることができ、忌避効果の向上が図られる。また、ロープへの木炭の接着力も向上することができる。
【実施例5】
【0047】
実施例1と同様にして、忌避剤が吸着・保持された木炭(多孔質基材)を作製した。この木炭100gに対して、吸排水性樹脂(商品名:サーモゲル(登録商標)、(株)興人)5g、濃度5%の寒天溶液60ml、忌避剤60ml、及びすり下ろした蒟蒻芋68gを付加・混合して、本実施例に係る徐放性忌避材を得た。
【0048】
本実施例に係る徐放性忌避材は、上記実施例4で得られた液状の徐放性忌避材に比べて非常に粘性の高いゲル状をなしている。そして、このゲル状の徐放性忌避材をロープに担持させ、そのまま放置して、天日干しを行った。なお、ロープには、10〜20cmの間隔を空けて、15cm程度の棒状をなすように取り付けた。このようにして得られた、徐放性忌避材を担持したロープを農圃の周辺に設置したところ、有害動物の農圃への進入を防止できた。
【0049】
以上に例示した本発明の実施例に係る徐放性忌避材は、本発明の技術的思想を実質的に限定するものと解してはならない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、当業者の創意と工夫により、適宜に改良、変更又は追加をしながら実施できる。

【出願人】 【識別番号】506051924
【氏名又は名称】高島市農業共済組合
【出願日】 平成18年2月14日(2006.2.14)
【代理人】 【識別番号】100094248
【弁理士】
【氏名又は名称】楠本 高義

【識別番号】100124718
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 建

【識別番号】100129207
【弁理士】
【氏名又は名称】中越 貴宣


【公開番号】 特開2007−217306(P2007−217306A)
【公開日】 平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願番号】 特願2006−37068(P2006−37068)