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【発明の名称】 人体用害虫忌避剤
【発明者】 【氏名】石塚 朋子

【要約】 【課題】害虫忌避効果の持続性に優れ、かつ肌に塗付した際にべたつき、てかりが少なく使用感に優れた人体用害虫忌避剤を提供すること。

【解決手段】害虫忌避成分と、少なくとも2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと疎水性モノマーとを構成単位とする共重合体を含有することを特徴とする、人体用害虫忌避剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
害虫忌避成分と、少なくとも2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと疎水性モノマーとを構成単位とする共重合体を含有することを特徴とする、人体用害虫忌避剤。
【請求項2】
前記共重合体が、更にアニオン基を有するモノマーを構成単位とすることを特徴とする、請求項1記載の人体用害虫忌避剤。
【請求項3】
前記害虫忌避成分が、N,N−ジエチル−m−トルアミドおよび/または天然精油であることを特徴とする、請求項1または2記載の人体用害虫忌避剤。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、人体用害虫忌避剤に関する。より詳細には、本発明は、害虫忌避成分と、少なくとも2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと疎水性モノマーとを構成単位とする共重合体を含有することを特徴とする人体用害虫忌避剤に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の肌を蚊、アブ、ブユ、ノミ等の吸血性昆虫から守る害虫忌避剤は従来から頻繁に使用されている。例えば、N,N−ジエチル−m−トルアミド(以下、DEETと称することがある)を害虫忌避成分として含有した害虫忌避剤が多く使用されているが、DEETは揮発しやすく、また体内に吸収され易いことから、肌の表面から消失しやすく、害虫忌避効果が持続しにくいという欠点があった。これに対して、DEETの害虫忌避効果をより持続させるための技術としては、害虫忌避剤に更に脂肪酸エステルを含有させる方法等が今までに知られていた(例えば、特許文献1および特許文献2を参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平5−92905号公報
【特許文献2】特開平4−244001号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような害虫忌避剤は脂肪酸エステルを含有するために、肌に塗付した際にべたつきを有する、てかりを有する等の使用感上の欠点を有していた。
【0005】
従って本発明は、害虫忌避効果の持続性に優れ、かつ肌に塗付した際にべたつき、てかりが少なく使用感に優れた人体用害虫忌避剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明は、
[1]害虫忌避成分と、少なくとも2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと疎水性モノマーとを構成単位とする共重合体を含有することを特徴とする、人体用害虫忌避剤;
[2]前記共重合体が、更にアニオン基を有するモノマーを構成単位とすることを特徴とする、[1]記載の人体用害虫忌避剤;ならびに
[3]前記害虫忌避成分が、N,N−ジエチル−m−トルアミドおよび/または天然精油であることを特徴とする、[1]または[2]記載の人体用害虫忌避剤
に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、害虫忌避効果の持続性に優れ、かつ、肌に塗付した際にべたつき、てかりが少なく使用感に優れた人体用害虫忌避剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の人体用害虫忌避剤は、害虫忌避成分と、少なくとも2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(以下、MPCと称することがある)と疎水性モノマーを構成単位とする共重合体、好ましくは、更にアニオン基を有するモノマーを構成単位とする共重合体を含有することを1つの大きな特徴とする。
【0009】
少なくとも2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと疎水性モノマーとを構成単位とする共重合体は皮膜形成機能を有することから、害虫忌避成分と共に人体用害虫忌避剤中に配合させることによって、該害虫忌避成分の揮発や肌への吸収を適度に制御することができ、よって該害虫忌避成分を肌の表面に長時間残存させることが可能となる。従って、本発明の害虫忌避剤は、揮発しやすく、また体内に吸収されやすい特性をもつ害虫忌避成分を有効成分として含有するものであっても、優れた害虫忌避効果の持続性を示すことができると考えられる。
【0010】
また、少なくとも2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと疎水性モノマーとを構成単位とする共重合体は高保湿効果、および刺激緩和効果を有することから、人体用害虫忌避剤に配合することによって、べとつかず、しっとりとした好ましい使用感を付与することが可能となると考えられる。
【0011】
本発明の人体用害虫忌避剤に含有される害虫忌避成分としては、例えば、N,N−ジエチル−m−トルアミド(DEET)、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジ−n−プロピルイソシンコメロネート、p−ジクロロベンゼン、ジ−n−ブチルサクシネート、カラン−3,4−ジオール、1−メチルプロピル2−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペリジンカルボキシラート、カプリン酸ジエチルアミド、n−プロピルアセトアニリド、β−ナフトール、カンファー、p−メンタン−3−8−ジオール、天然精油等が挙げられる。ここで、天然精油としては、例えばユーカリオイル、シトロネラオイル、レモングラスオイル、ゼラニウムオイル、シナモンリーフオイル、ピメントツリーオイル、クローブオイル、タイムオイルなどが例示される。本発明の人体用害虫忌避剤には、害虫忌避成分として、上記成分のうち1種のみが含有されていてもよく、2種以上が併せて含有されていてもよいが、これらの中では、害虫忌避効果の観点から、DEETおよび/または前記のような天然精油のうち少なくとも1種以上が含有されていることが好ましい。
【0012】
本発明の人体用害虫忌避剤における上記害虫忌避成分の含有量としては、害虫忌避効果の観点から、人体用害虫忌避剤中、1〜25重量%が好ましく、5〜15重量%がより好ましい。
【0013】
本発明の人体用害虫忌避剤に含有される共重合体は、少なくとも2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと疎水性モノマーとを構成単位とする共重合体であり、好ましくは更に、アニオン基を有するモノマーを構成単位とする共重合体である。更にアニオン基を有するモノマーを構成単位とする共重合体を含有する人体用害虫忌避剤は、害虫忌避成分の効力が持続する傾向にあることから、好ましい。
【0014】
本発明において使用される2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンは、公知の製造方法により得ることができる。また、本発明において使用される疎水性モノマーとしては、例えば、ブチルメタクリレート等が例示される。
【0015】
また、本発明の好ましい態様において使用されるアニオン基を有するモノマーとしては、例えば、メタクリル酸ナトリウム等が例示される。
【0016】
前記のような共重合体は、当業者にとって周知である、通常の共重合体の製造方法に従って製造することができ、例えば前記MPCと前記疎水性モノマーとを、好ましくは更に、前記アニオン基を有するモノマーとを、溶媒中で重合開始剤の存在下、反応させて得ることができる。溶媒および重合開始剤としても、通常の共重合体の製造方法に使用されるものを用いることができる。
【0017】
本発明において使用される共重合体は、前記のように製造されてもよいが、市販のものを利用することもできる。例えば、該共重合体を5重量%含有した水溶液状態のものとして、MPCとブチルメタクリレートとメタクリル酸ナトリウムとを構成成分とする共重合体であるLipidure(登録商標)−A(日本油脂株式会社製)、MPCとブチルメタクリレートとを構成成分とする共重合体であるLipidure(登録商標)−PMB(日本油脂株式会社製)等を使用することができる。前記したように、少なくとも2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと疎水性モノマーとを構成単位とする共重合体は、害虫忌避成分の効力持続の観点から、更にアニオン基を有するモノマーを構成単位としていることが好ましいことから、前記共重合体の中でも、Lipidure(登録商標)−Aが好ましく使用される。
【0018】
本発明の人体用害虫忌避剤における少なくとも2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと疎水性モノマーとを構成単位とする共重合体の含有量としては、害虫忌避効果の持続性の観点およびべたつき感を抑制する観点から、人体用害虫忌避剤中、0.01〜1.0重量%が好ましく、0.1〜1.0重量%がより好ましい。
【0019】
また、本発明の人体用害虫忌避剤における、害虫忌避成分と、少なくとも2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと疎水性モノマーとを構成単位とする共重合体との含有比としては、使用感、溶解性の観点から、重量比で、害虫忌避成分:該共重合体=1:0.2〜1:0.001が好ましく、1:0.1〜1:0.005がより好ましい。
【0020】
本発明の人体用害虫忌避剤には、その他にも、本発明の効果を損なわない範囲内で、所望により制汗剤、紫外線吸収剤、収れん剤、パウダー、保湿剤、溶剤、補助溶剤、保湿剤、防腐剤、pH調整剤、ゲル化剤、着香剤、着色剤、界面活性剤等が含有されていてもよい。
【0021】
本発明の人体用害虫忌避剤は、公知の製造方法に従って製造することができ、例えば、後述の実施例1〜4に記載のようにして製造することができる。すなわち例えば、前記DEETおよび前記MPC、ならびに、残部としてエタノールおよび/または水を混合することにより得ることができる。ここで、エタノールと水の混合量比は特に限定されるものではなく、いずれかのみを使用することもできる。
【0022】
本発明の人体用害虫忌避剤の使用量としては特に限定されないが、例えば皮膚の表面上に、一回あたり好ましくは0.5〜5.0g/m、より好ましくは1.0〜3.0g/mの量で塗付することによって使用することができる。
【0023】
本発明の人体用害虫忌避剤の剤型としては、特に限定されるものではなく、例えば、液、クリーム、エアゾール、非エアゾール型スプレー、ジェル、ティッシュ、ロールオン等として使用することができる。また、各剤型の製造には、それぞれ公知の製造方法を使用することができる。
【実施例】
【0024】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらにのみ限定されるものではない。
【0025】
実施例1〜4、比較例1〜2
以下の表1に示すような配合量で、実施例1〜4および比較例1〜2の害虫忌避剤を処方した。
【0026】
実施例1〜4については、まず、DEETおよびエタノールを表1に記載のような所定量で量り込み、均一な液を得るまで混合した。該混合液に所定量の水を量り込み、均一な液を得るまで混合した。その後、5%MPC溶液を加え、供試剤とした。5%MPC水溶液としては、実施例1〜3についてはLipidure(登録商標)−PMB(日本油脂株式会社製)を、実施例4についてはLipidure(登録商標)−A(日本油脂株式会社製)を使用した。
【0027】
比較例1についてはDEET、ミリスチン酸イソプロピルおよびエタノールを表1に記載のような所定量で量り込み、均一な液を得るまで混合した。また、比較例2については、DEETおよびエタノールを表1に記載のような所定量で量り込み、均一な液を得るまで混合し、供試剤とした。
【0028】
【表1】


【0029】
試験例1 使用感試験
実施例1〜4および比較例1〜2で得られた害虫忌避剤を2g/mの量で肌に塗付し(n=各3)、風乾させた後、触れた際のべたつき感の有無を確認した。また、目視によりてかりの有無を確認した。結果を以下の表2に示す。
【0030】
【表2】


【0031】
本発明の害虫忌避剤に、べたつき感およびてかりは確認されなかった。
【0032】
試験例2 害虫忌避効果試験
実施例4、比較例1、および比較例2の害虫忌避効果を確認した。実施例4、比較例1、および比較例2の害虫忌避剤を、それぞれ被験者(n=各3)の肌に2g/mの量で塗付した。ヒトスジシマカ10匹を入れた、開口面をナイロン製ネットで覆った直径2.5cm、高さ4cmの円柱状のガラスリングを塗付部にあて、2時間おきに、それぞれの時間帯における3分間の刺咬数および吸血数をカウントした。各時間帯における忌避率を、以下の式:
忌避率(%)=(無処理区吸血数−処理区吸血数)/無処理区吸血数×100
により求めた。結果を以下の表3に示す。
【0033】
【表3】


【0034】
表3の結果により、本発明の害虫忌避剤は、時間の経過後も優れた害虫忌避効果を示すことがわかる。従って、本発明の害虫忌避剤は、優れた害虫忌避効果の持続性を有することが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、害虫忌避効果の持続性、使用感に優れた害虫忌避剤として有用に利用することができる。

【出願人】 【識別番号】000112853
【氏名又は名称】フマキラー株式会社
【出願日】 平成17年8月18日(2005.8.18)
【代理人】 【識別番号】100095832
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳


【公開番号】 特開2007−51097(P2007−51097A)
【公開日】 平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願番号】 特願2005−237694(P2005−237694)