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【発明の名称】 床下土壌用防カビ剤組成物
【発明者】 【氏名】池田 道彦

【氏名】木口 恵美子

【要約】 【課題】家屋床下土壌に発生するカビの防除に適した防カビ剤組成物を提供する。

【解決手段】3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート、2,3,3−トリヨードアリルアルコール等のヨード系化合物及びテブコナゾール、ヘキサコナゾール、シプロコナゾール等のアゾール系殺菌剤を有効成分として含有することを特徴とし、家屋床下に発生するカビの防除を目的として使用されるカビの防除剤組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート及び2,3,3−トリヨードアリルアルコールから選択される1種または2種のヨード系化合物を含有することを特徴とする家屋床下土壌に発生するカビの防除剤組成物。
【請求項2】
テブコナゾール、ヘキサコナゾール、シプロコナゾールから選択される1種または2種以上のアゾール系化合物を含有することを特徴とする家屋床下土壌に発生するカビの防除剤組成物。
【請求項3】
3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート及び2,3,3−トリヨードアリルアルコールから選択される1種または2種のヨード系化合物と、テブコナゾール、ヘキサコナゾール、シプロコナゾールから選択される1種または2種以上のアゾール系化合物とを含有することを特徴とする家屋床下土壌に発生するカビの防除剤組成物。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載のカビの防除剤組成物を有効成分量として1mあたり0.01〜10の範囲で処理することを特徴とする家屋床下土壌に発生するカビの防除方法。
【請求項5】
処理方法が床下土壌への散布処理である請求項4に記載のカビの防除方法。
【請求項6】
処理方法が床下への燻蒸処理または燻煙処理である請求項4に記載のカビの防除方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は家屋床下に発生するカビの防除を目的として使用される防カビ剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、家屋床下における防カビ処理については、防腐・防カビ成分を加圧注入処理された土台を使用するか、ヨード系またはアゾール系殺菌剤を有効成分とする防腐・防カビ剤(シロアリ防除剤成分を同時に含んでも良い)を木質材料部分表面に塗布または吹付け処理することのみ実施され、床下土壌への防カビ処理は行われてこなかった。
また、シロアリ防除剤等の床下土壌に処理する薬剤には、防カビ成分が配合されている製品も存在するが、薬剤自体の腐敗防止効果しかなく、薬剤処理後の床下土壌に発生するカビを長期間防除することはできなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年家屋の建築工法の変化等により、床下の通気条件が悪化し、床下の湿度が上昇することにより木質材料部分のみでなく、土壌表面においてもカビの繁殖する事例が増えて来ており、シロアリ防除剤等の薬剤処理により土壌表面に残った界面活性剤等の有機物の腐敗による臭気、床下に繁殖したカビから放散される多量の胞子がアレルギー症状を引き起こす等の問題が増加していることから、床下土壌に発生するカビを防除できる防カビ剤組成物の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の防カビ剤を床下土壌に処理することにより、長期間に亘り床下のカビの繁殖が抑制されることを見出し、本発明を完成させた。即ち本発明は、
(1)3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート及び2,3,3−トリヨードアリルアルコールから選択される1種または2種のヨード系化合物を含有することを特徴とする家屋床下土壌に発生するカビの防除剤組成物、
(2)テブコナゾール、ヘキサコナゾール、シプロコナゾールから選択される1種または2種以上のアゾール系化合物を含有することを特徴とする家屋床下土壌に発生するカビの防除剤組成物、
(3)3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート及び2,3,3−トリヨードアリルアルコールから選択される1種または2種のヨード系化合物と、テブコナゾール、ヘキサコナゾール、シプロコナゾールから選択される1種または2種以上のアゾール系化合物とを含有することを特徴とする家屋床下土壌に発生するカビの防除剤組成物、
(4)(1)乃至(3)に記載のカビの防除剤組成物を有効成分量として1mあたり0.01〜10の範囲で処理することを特徴とする家屋床下土壌に発生するカビの防除方法、
(5)処理方法が床下土壌への散布処理である(4)に記載のカビの防除方法、
(6)処理方法が床下への燻蒸処理または燻煙処理である(4)に記載のカビの防除方法に関する。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、家屋床下土壌用防カビ剤組成物を提供するものであり、家屋床下土壌に繁殖するカビの防除に極めて有効である。更に床下のカビが原因で起こる、臭気、アレルギー等を防止し、快適な生活環境を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の防カビ剤組成物において用いられるヨード系化合物及びアゾール系化合物は、防カビ剤として文献(例えば、ザペスティサイドマニュアル(The Pesticide Manual thirteenth Edition 2003)、渋谷成美,他3名,「SHIBUYA INDEX−2005−10th Edition」,SHIBUYA INDEX研究会等。)記載の公知化合物であり、ヨード系化合物としては3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート、2,3,3−トリヨードアリルアルコール等が例示でき、アゾール系化合物としては、テブコナゾール、ヘキサコナゾール、シプロコナゾール等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0007】
本発明の防カビ剤組成物は家屋床下土壌用に繁殖するカビの防除に極めて有効であり、例えば、Aureobasiduim pullulans等のAureobasiduim属、Cladosporium
cladosporioides等のCladosporium属、Gliocladium virens等のGliocladium属、Trichoderma viride等のTrichoderma属、Aspergillus
niger等のAspergillus属、Penicillium citrinum等のPenicillium属、Chaetomium globosum等のChaetomium属、Rhizopus
stolonifer等のRhizopus属、Fusarium属等のカビを防除することができる。
【0008】
本発明における防カビ剤組成物に、シロアリに対する殺虫活性を有する防蟻成分を加えることにより、家屋床下土壌のカビ防除とシロアリ防除を同時に行える防カビ・防蟻組成物とすることができる。本発明における防カビ剤組成物に加える防蟻成分としては、ビフェントリン、ペルメトリン、エトフェンプロックス等のピレスロイド化合物、イミダクロプリド、アセタミプリド等のネオニコチノイド系化合物、フィプロニル等のフェニルピラゾール系化合物等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
本発明の防カビ剤組成物は、有効成分化合物を固体担体や液体担体と混合し、必要により界面活性剤やその他の製剤用補助剤を添加して製剤化して使用するのが好ましい。本発明の防カビ剤組成物の製剤形態としては、油剤、乳剤、水和剤、水中懸濁剤・水中乳濁剤等のフロアブル剤、粉剤、エアゾール、自己燃焼型燻蒸剤・化学反応型燻煙剤等の加熱燻蒸剤、フォッギング等の煙霧剤、ULV剤等が例示できるが、これらに限定されるものではない。これらの製剤中には、有効成分化合物が合計で通常0.001〜95重量%含有されるが、好ましくは0.01〜60重量%であり、更に好ましくは0.1〜50重量%である。
【0009】
製剤化の際に用いられる固体担体としては、例えば、粘土類(カオリンクレー、珪藻土、ベントナイト、酸性白土等)、合成含水酸化珪素、タルク類、その他無機鉱物などの微粉末が挙げられ、液体担体としては、例えば、水、アルコール類、芳香族炭化水素類、非芳香族炭化水素類、エステル類、エーテル類、植物油などが挙げられる。また、必要により液化石油ガス、ジメチルエーテル、炭酸ガス等の噴射剤を加えて製剤化することもできる。
界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル類、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルアリルエーテル類及びそのポリオキシエチレン化物、ポリエチレングリコールエーテル類、多価アルコールエステル類等が挙げられる。固着剤や分散剤等のその他の製剤用補助剤としては、例えば、カゼイン、ゼラチン、糖類(キサンタンガム、セルロース誘導体等)、リグニン誘導体、合成水溶性高分子(ポリビニールアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸類等)が挙げられる。また、PAP(酸性リン酸イソプロピル)、BHT(ブチルヒドロキシトルエン)、植物油、脂肪酸、脂肪酸エステル等の安定化剤も製剤用補助剤として用いられる。
【0010】
加熱燻蒸剤の基材としては、例えば、硝酸塩、亜硝酸塩、グアニジン塩、塩素酸カリウム、ニトロセルロース、木粉等の燃焼発熱剤、アルカリ金属塩等の熱分解刺激剤、硝酸カリウム等の酸素供給剤、メラミン、小麦澱粉等の支燃剤、珪藻土等の増量剤及び合成糊料等の結合剤の混合物などが用いられる。化学反応型燻煙剤の基材としては、例えば、アルカリ金属の硫化物、多硫化物、水硫化物、含水塩、酸化カルシウム等の発熱剤、炭素質物質、酸化鉄、活性白土等の触媒剤、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロペンタメチルテトラミン、ポリスチレン、ポリウレタン等の有機発泡剤及び天然繊維片等の充填剤の混合物などが用いられる。
【0011】
水中懸濁剤・水中乳濁剤等のフロアブル剤は、一般に1〜75重量%の有効成分化合物を、0.5〜20%の懸濁助剤(例えば、保護コロイドやチクソトロピー性を付与し得る物質)、0〜15重量%の補助剤(例えば、消泡剤、安定剤、凍結防止剤等)を含む水中で、微小に分散させることにより得ることができる。水のかわりに有効成分化合物がほとんど溶解しない油を用いることにより、油中懸濁剤とすることもできる。保護コロイドとしては、例えば、ゼラチン、カゼイン、ガム類、セルロースエーテル類、ポリビニールアルコール等が挙げられる。また、チクソトロピー性を付与し得る物質としては、例えば、ベントナイト、アタパルジャイト、キサンタンガム、ポリアクリル酸等が挙げられる。
【0012】
このようにして得られる本発明の防カビ剤組成物の処理方法としては、油剤、エアゾール、加熱燻蒸剤、煙霧剤、ULV剤等においては、通常そのまま、床下または床下土壌へ塗布、噴霧、燻蒸、燻煙、散布処理され、乳剤、水和剤、フロアブル剤等においては、通常水等で希釈して土壌へ散布処理される。作業効率からは散布処理、燻蒸処理または燻煙処理が好ましい。希釈する際、一般に、有効成分化合物が重量割合で約1〜10,000ppm含有される濃度とする。本発明の防カビ剤組成物の処理量は、処理する床下土壌中のカビ類の種類・繁殖度合、製剤の種類、処理方法等により異なるが、一般に床下土壌1m当り有効成分化合物量で0.001〜10g程度である。
【0013】
以下、本発明を製剤例及び試験例にて、より具体的に説明するが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。
製剤例1
3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート 0.1重量部、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル 5重量部、ノルマルパラフィン 94.9重量部を混合し、本発明の防カビ剤組成物である油剤を得る。
【0014】
製剤例2
3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート 5重量部、テブコナゾール 5重量、アジピン酸ジイソブチル 80重量部、ツイーン85 8重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム 2重量部を混合して本発明の防カビ剤組成物である乳剤を得る。
【0015】
製剤例3
ヘキサコナゾール40重量部、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物 3重量部、消泡剤(ロードシル454) 0.1重量部、水 56.9重量部を混合し、ガラスビーズ(平均粒径0.5mm)を加えて湿式粉砕し、粉砕品を得る。この粉砕品 25重量部、キサンタンガム 0.2重量部、水 74.8重量部を混合して本発明の防カビ剤組成物であるフロアブル剤を得る。
【0016】
製剤例4
3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート 1.0重量部、ヘキサコナゾール 1.0重量部、ジエチレングリコールモノへキシルエーテル 10.0重量部、イソパラフィン系溶剤(アイソゾール400) 48.0重量部を混合し、エアゾール容器に入れ、該エアゾール容器にバルブを取り付けた後、該バルブ部分を通じジメチルエーテル40重量部を加圧充填して本発明の防カビ剤組成物である油性エアゾールを得る。
【0017】
試験例1
家屋床下土壌から分離したカビ3種(Penicillium sp、Trichoderma sp、Fuzarium sp )をふすまと土を混合した培地で培養し、十分乾燥させた後、乳鉢ですりつぶし、これを十分乾燥させ乳鉢ですりつぶした滅菌土壌(10倍量)と混和し接種原とした。滅菌土壌50mLをプラスチック製カップに入れ、その上に接種原10mLを広げ、各種製剤を処理した(製剤例1の油剤は原液を、製剤例2の乳剤は500倍水希釈液を、製剤例3のフロアブルは500倍希釈液をそれぞれ3L/m相当量プラスチックカップ内に滴下した。製剤例4の油性エアゾールは3秒間プラスチックカップ内の土壌表面に噴射した。)。各プラスチック容器を25℃湿室条件下で10日間培養し、調査を行った。調査は、土壌表面のカビ菌糸生育面積率により行い、菌糸生育阻止率を求めた。また、同時に肉眼判定も行った。結果を表1に示す。表中、肉眼判定値は( )内に示し、−は菌糸の生育が認められないことを表し、+は一見して生育が認められることを表し、++は生育が旺盛であることを表す。また、無処理区の数値は菌糸生育面積率(%)を表す。
【0018】
【表1】


【0019】
試験例2
試験例1と同様にプラスチック製カップに接種原を含む土壌を用意し、ここに滅菌水3L/m相当量を滴下し、25℃湿室条件下で10日間培養し、菌の生育を確認した後、各種製剤を処理した(製剤例1の油剤は原液を、製剤例2の乳剤は500倍水希釈液を、製剤例3のフロアブルは500倍希釈液をそれぞれ3L/m相当量プラスチックカップ内に滴下した。)。各プラスチック容器を25℃湿室条件下で3日間培養し、調査を行った。調査は、試験例1と同様の方法で行った。結果を表2に示す。
【0020】
【表2】


【出願人】 【識別番号】000232623
【氏名又は名称】日本農薬株式会社
【出願日】 平成17年7月14日(2005.7.14)
【代理人】
【公開番号】 特開2007−22947(P2007−22947A)
【公開日】 平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願番号】 特願2005−205116(P2005−205116)