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【発明の名称】 乳牛の乳房清拭用ペーパー
【発明者】 【氏名】熊谷 勝人

【要約】 【課題】乳牛の乳房清拭用ペーパーの清拭性を向上させる

【解決手段】パルプを主原料とし、JIS P 8124による坪量が10〜40g/m2のシートが2枚重ね状態で接合され、JIS L 1096 E法によりソフトネスが、縦5.0〜11.0g、横3.0〜10.0g、KES試験機による曲げ剛性Bが、縦0.010〜0.045g・cm2/cm、横0.010〜0.045g・cm2/cmであり、かつ、JAPAN TAPPI No.32−2:2000に基づいて測定される吸水性が0.1〜1.0秒である乳牛の乳房清拭用ペーパーにより解決される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプを主原料とし、
JIS P 8124による坪量が10〜40g/m2のシートが2枚重ね状態で接合され、
JIS L 1096 E法によりソフトネスが、縦5.0〜11.0g、横3.0〜10.0g、
KES試験機による曲げ剛性Bが、縦0.010〜0.045g・cm2/cm、横0.010〜0.045g・cm2/cmであり、かつ、
JAPAN TAPPI No.32−2:2000に基づいて測定される吸水性が0.1〜1.0秒である、ことを特徴とする乳牛の乳房清拭用ペーパー。
【請求項2】
前記パルプが古紙パルプを含まないものである請求項1記載の乳牛の乳房清拭用ペーパー。
【請求項3】
生分解性である請求項1または2記載の乳牛の乳房清拭用ペーパー。
【請求項4】
KES試験機による平均曲げヒステリシス幅2HBが、縦0.005〜0.15g・cm/cm、横0.005〜0.20g・cm/cmである請求項1〜3の何れか1項に記載の乳牛の乳房清拭用ペーパー。
【請求項5】
前記シート相互の接合態様が次記(a)または(b)である、
(a)一方のシートのエンボス凸部の天部と、他方のシートのエンボス凸部の天部とが接着剤により接着される、
(b)一方のシートのエンボス凸部が他方のシートのエンボスの凹部内に嵌り込みかつその嵌り込み域において空間を残して嵌り込むように前記エンボス凸部の天部と前記エンボス凹部の底部とが接着剤により接着される、
請求項1〜4の何れか1項に記載の乳牛の乳房清拭用ペーパー。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、乳牛の乳房清拭用ペーパー、すなわち、乳牛の搾乳前のプレディッピング後、搾乳後のポストディッピング後に、乳房又は乳頭を清拭するためのペーパーに関する。
【背景技術】
【0002】
酪農家において、乳牛の乳房炎は、乳量及び乳成分(乳質)の低下の原因となり、また治療代負担も生ずるため、その予防が重要とされている。
乳房炎は搾乳時に乳管内へ細菌が侵入して増殖することが一因とされていることから、その防止には搾乳に際して乳牛の搾乳前のプレディッピング(消毒液を乳頭につける)と搾乳終了後のポストディッピング(プレディッピングとは異なる消毒液を乳頭につける)とを行うのが一般的とされている。
ところで、各ディッピングの後には、消毒液等を清拭する作業が行われるが、このような清拭作業は、出願人が知る限り多くの酪農家においては国内2社から販売されている再生古紙を原料とするドライタイプの清拭用ペーパー又は一般的な織布タオルが使用されている。近年では、使い捨てができることから、清拭用ペーパーの需要が高まりつつある。
ここで、乳頭が濡れた状態で搾乳器を取付けると乳頭上で搾乳器が滑ること(業界では、この滑りをライナースリップとも言う)があり、このライナースリップによって乳頭が痛められて乳房炎が主ずることがある。従って、特にプレディッピング後の清拭作業において消毒薬等を確実に清拭することは重要な作業として認知されている。
他方、搾乳前には乳頭刺激(前搾り)を行うのが一般的である。乳頭刺激は、脳下垂体後葉から排乳のためのホルモン(オキシトシン)分泌を促し搾乳効果を向上せしめるために行われ、通常、ホルモンは乳頭刺激から約1分後に分泌されその後5〜6分間程度分泌されるため、効率の良く搾乳を行うべく乳頭刺激からホルモン分泌までの約1分間にプレディッピング、清拭作業、搾乳器の装着までを終了させ、その後5〜6分間搾乳作業を行う。
このように、乳頭刺激から1分間という限られた時間内に、プレディッピング、搾乳器の装着までの作業を行わなければならないため各作業は迅速性が求められる。
そして、各作業のうち必要な消毒時間を要するディッピング作業や、乳房を痛めないように慎重を要する搾乳機の装着時間を確保すべく、特に清拭作業の迅速性が重要となる。 してみると、乳房の清拭用ペーパーにおいては消毒液の確実な清拭と迅速な清拭が求められる。
【特許文献1】特許3263038号公報
【特許文献2】特願2005−041037
【特許文献3】特開平11−115404
【特許文献4】特開2001−159089
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の乳房清拭用ペーパーは、清拭の迅速性について十分に満足しているとはいえずさらなる改良を要するものであった。
そこで本発明の主たる課題は、搾乳前処理のうちの特に清拭作業の時間を短縮すべく、迅速に清拭作業を行える乳房清拭用ペーパーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明およびその作用効果は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
パルプを主原料とし、
JIS P 8124による坪量が10〜40g/m2のシートが2枚重ね状態で接合され、
JIS L 1096 E法によりソフトネスが、縦5.0〜11.0g、横3.0〜10.0g、
KES試験機による曲げ剛性Bが、縦0.010〜0.045g・cm2/cm、横0.010〜0.045g・cm2/cmであり、かつ、
JAPAN TAPPI No.32−2:2000に基づいて測定される吸水性が0.1〜1.0秒である、ことを特徴とする乳牛の乳房清拭用ペーパー。
【0005】
(作用効果)
本発明のものは、後に実施例で示すように、従来例や市販品のものに比較して、ソフトネスの値が小さく、かつ、曲げ剛性Bの値が小さい。ソフトネスは、硬さ又はやわらかさの指標であり、曲げ剛性Bは、「値が大きいほど、曲げにくい」ことを表わす。したがって、本発明のものは、柔らかい紙質であり、小さい力でシートを折ったり、曲げたりといったシート外形を容易に変えることができる。特に曲げ剛性Bが小さいことは、乳房に対し、その乳房の形に合うようシートがフィットさせることができることを意味し、しかも、柔らかいので、乳房を痛めることもなく、確実に清拭できるのである。
また、本発明のものは、従来例や市販品のものに比較して吸水性が0.1〜1.0秒であり極めて早い。これは消毒液等を迅速に吸収することができることを意味する。
【0006】
<請求項2記載の発明>
前記パルプが古紙パルプを含まないものである請求項1記載の乳牛の乳房清拭用ペーパー。
【0007】
(作用効果)
古紙パルプ中には皮膚刺激やアレルギーの原因となる蛍光染料(蛍光増白剤)が含有されていることがある。また、蛍光染料は発癌性物質や環境ホルモン (内分泌攪乱化学物質)であるとの疑いがあり、食品衛生法第6条では食品及び食品に触れる全てのものに蛍光染料を使用することが禁止されている。さらに、古紙パルプに含まれるインキ残留成分であると考えられているビスフェノールAも環境ホルモンとして認知されており、ごく微量で脳の記憶に関する脳内物質(エストラジオール)の働きを阻害する研究報告がある。
従って、乳房清拭用ペーパーは、乳汁に触れる可能性が高いため、本発明に従って蛍光染料等含有のおそれのある古紙パルプを原料としないのが望ましい。
【0008】
<請求項3記載の発明>
生分解性である請求項1または2記載の乳牛の乳房清拭用ペーパー。
【0009】
(作用効果)
本発明のものは、生分解可能であるので、使用後の清拭用ペーパーは堆肥に混ぜて簡易に処理することができる。ここで、生分解性とは自然界における微生物の関与により低分子化されて分解されることをいう。
【0010】
<請求項4記載の発明>
KES試験機による平均曲げヒステリシス幅2HBが、縦0.005〜0.15g・cm/cm、横0.005〜0.20g・cm/cmである請求項1〜3の何れか1項に記載の乳牛の乳房清拭用ペーパー。
【0011】
(作用効果)
平均曲げヒステリシス幅2HBは、「値が大きいほど、回復性(復元性)が悪い」ことを表わす。本発明では、従来例や市販品のものに比較して、平均曲げヒステリシス幅2HBの値が小さい。したがって、清拭時に隈なく清拭でき、またペーパーを取り去るときに、消毒液を残存させることもない。
【0012】
<請求項5記載の発明>
前記シート相互の接合態様が次記(a)または(b)である、
(a)一方のシートのエンボス凸部の天部と、他方のシートのエンボス凸部の天部とが接着剤により接着される、
(b)一方のシートのエンボス凸部が他方のシートのエンボスの凹部内に嵌り込みかつその嵌り込み域において空間を残して嵌り込むように前記エンボス凸部の天部と前記エンボス凹部の底部とが接着剤により接着される、
請求項1〜4の何れか1項に記載の乳牛の乳房清拭用ペーパー。
【0013】
(作用効果)
【0014】
シート相互の接合態様として、エンボス加工のみの接合でもよいが、接合を確実にならしめ接着剤による接合形態が望ましい。しかも、空間を形成し消毒液の吸収性を高め、嵩高性を得るために、上記のエンボスしたシート相互を接合させるものが特に望ましい。
【発明の効果】
【0015】
以上のとおり、本発明によれば、迅速に乳頭に付着した消毒液を清拭することができる乳房清拭用ペーパーが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳説する。
本発明の乳牛の乳房清拭用ペーパーの坪量(JIS P 8124)は、1枚のシートにおいて、10g/m2〜40g/m2が望ましい(より望ましくは17g/m2〜25g/m2)。10g/m2未満であるとシート自体が薄くなるため、消毒液の単位面積あたりの吸収量が少なくなり、清拭時に消毒液の吸収が不十分であるとともに、シートが破れたり穴があいたりする恐れがある。40g/m2を超えると、消毒液の吸収は十分であるものの、全体的にシートの柔軟性が低下し剛度が高まり、乳房に対し、その乳房の形に合うようシートがフィットさせることができにくくなる。なお、最良の形態としては、シートが2枚重ね状態で接合されたものである。
【0017】
さらに、1枚シート(エンボス未加工。以下特性を示す場合は同様。)基準で、JIS L 1096 E法によりソフトネスが、柔軟性確保の観点から、縦5.0〜11.0g(より望ましくは8.0〜10.5g)、横3.0〜10.0g(より望ましくは5.0〜8.0g)とされる。
【0018】
他方、KES試験機(カトーテック社製「KESFB2−AUTO−A」による曲げ剛性Bが、縦0.010〜0.045g・cm2/cm、(より望ましくは0.010〜0.30g・cm2/cm)、横0.010〜0.045g・cm2/cm(より望ましくは0.010〜0.020)g・cm2/cmが望ましい。この測定方法は、紙や布帛の分野で周知であり、かつ同機の取り扱い説明書に記載のとおりであるので説明を省略する。
【0019】
また、JAPAN TAPPI No.32−2:2000に基づいて測定される吸水性が0.1〜1.0秒(より望ましくは0.1〜0.3秒)である。なお、吸水性の測定方法については後述する。
【0020】
さらに、平均曲げヒステリシス幅2HBが、縦0.005〜0.15g・cm/cm、横0.005〜0.20g・cm/cmであるのが望ましい。
【0021】
本発明において、消毒液の清拭性及び吸収性を良好とするために、2枚のシート相互の接合態様が次記(a)または(b)であるのが望ましい。
(a)一方のシートのエンボス凸部の天部と、他方のシートのエンボス凸部の天部とが接着剤により接着される。
(b)一方のシートのエンボス凸部が他方のシートのエンボスの凹部内に嵌り込みかつその嵌り込み域において空間を残して嵌り込むように前記エンボス凸部の天部と前記エンボス凹部の底部とが接着剤により接着される。
【0022】
(a)の形態例について説明すれば、図1に示すように、シート1と2とを2枚重ね状態で接着したもので、その坪量は10〜40g/m2とされている。その接着態様は、「Tip to Tip」形態としており、一方のシート1のエンボス凸部1Aの天部と、他方のシート2のエンボス凸部2Aの天部とが接着剤3により接着したものである。
【0023】
(b)の形態例について説明すれば、図2に示すように、一方のシート1のエンボス凸部が他方のシート2のエンボスの凹部内に嵌り込みかつその嵌り込み域において空間を残して嵌り込むように前記エンボス凸部の天部と前記エンボス凹部の底部とが接着剤3により接着したものである。
【0024】
エンボスの形状は、図示例では裁切四角錐形としてあるが、裁切円錐形や、天部が平面形状で楕円や三角その他多角形などとすることができる。シート相互の接着のために天部は可能な限り平坦であるのが望ましい。天部の面積は0.1〜40.0mm2、より好適には0.25〜4.0mm2、最も望ましくは0.5〜2.0mm2である。
【0025】
かかる山形のエンボスは図3に図示されているように規則的に多数形成され、エンボスセクションX,X…が形成されている。このエンボスセクションX,X…間に、エンボスが形成されていない、直線状の交差し一辺の長さが1.731〜50.0mm、好適には15.0〜50.0mmで、幅が0.824〜20.0mm、好適には1.2mm〜5.0mmの格子状の抜き柄セクションYが形成されている。抜き柄セクションYにおいてはシート1,2は接着されていない。
【0026】
エンボスセクションXの面積に対するそのエンボスセクションX内の接着剤3による接着部分の総面積は5.0〜30.0%、好適には9.0〜25.0%、最も望ましくは10.0〜14.5%である。
【0027】
ここで、シート相互の接着剤としては、PVA、CMC、MC、デンプンなどを使用できる。
【0028】
接着すべき天部の面積は0.1〜40.0mm2、より好適には0.25〜4.0mm2、最も望ましくは0.5〜2.0mm2であるが、天部の面積が過度に小さいとシート相互の接着強度が低下する。天部の面積が過度に大きいと、エンボスによる吸収空間の容積が小さくなり、吸収能力に低下に繋がる。これと関係して、エンボスセクションXの面積に対するそのエンボスセクションX内の接着剤3による接着部分の総面積は5〜30%、好適には9.0〜25.0%、最も望ましくは10.0〜14.5%であるが、この面積率が小さいと、単位面積当たりの吸収空間の容積を大きくすることができるものの、シート相互の接着強度が低下する。面積率が大きいと、エンボスによる吸収空間の容積が小さくなり、吸収能力に低下に繋がる。
【0029】
抜き柄セクションYは、格子状である限り、正四角形の格子であるほか、長方形の格子や斜め格子形状であってもよい。格子の一辺の長さは1.731〜50.0mm、好適には15.0〜50.0mmで、幅が0.824〜20.0mm、好適には1.2〜5.0mmが望ましい。この格子長さが過度に短いと、エンボスセクションによる十分な吸収力が得られない。反対に、格子長さが過度に長いと、抜柄セクションによる平面方向への拡散が十分得られない。
【0030】
また、格子幅が過度に短いと、抜柄の空間が小さく拡散前に抜き空間が液体により飽和してしまうため、吸収スピードが得られない。反対に、格子幅が過度に長いと、抜柄部のシート自体が貼りつくことで抜柄の空間が維持されず、拡散につながらない。
【0031】
抜き柄セクションYの面積はエンボスセクションXの面積の10.0〜50.0%、特に20.0〜30.0%が望ましい。
【0032】
シート1枚の紙厚は、130〜250μm、好ましくは150〜200μmとされる。なお、紙厚測定は、JIS P 8111の条件下で、尾崎製作所ダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK G型」を用いて測定する。具体的には、プランジャーと測定台の間にゴミ、チリ等がないことを確認してプランジャーを測定台の上におろし、前記ダイヤルシックネスゲージのメモリを移動させてゼロ点を合わせ、次いで、プランジャーを上げて試料(乳房清拭用ペーパー)を試験台の上におき、プランジャーをゆっくりと下ろしそのときのゲージを読み取る。このとき、プランジャーをのせるだけとする。なお、紙厚は測定を10回行って得られる平均値とする。
【0033】
さらに、柔軟性の観点から、本発明に係る乳房清拭用ペーパーは、伸び率が10.0〜 30.0%にあることが望まれる。
【0034】
また、本発明に係る乳房清拭用ペーパーは、吸水量測定試験により測定される吸水量が150g/m2以上であることが望まれる。吸水量が150g/m2未満であると、消毒液の吸収性が良好でない。望ましくは350〜700g/m2とされる。なお、吸水量測定試験については後述する。
【0035】
また、本発明に係る乳房清拭用ペーパーは、JIS P 8111に規定される条件下でJIS P 8113の規定に従って測定される乾燥時の縦方向及び横方向の引張強さが、それぞれ800〜900CN/25mmおよび200〜320CN/25mmであり、かつ縦方向の引張強さが横方向の引張強さの2〜4倍であるのが好ましい。
【0036】
さらに、清拭時にシートが破れたり穴があいたりすることを防止するため、JIS P 8113の規定に従って測定される湿潤時の縦方向及び横方向の引張強さが、それぞれ200〜450CN/25mmおよび50〜150CN/25mmであり、かつ縦方向の引張強さが横方向の引張強さの0.25〜9.0倍であるのが好ましい。
【0037】
本発明の乳牛の乳房清拭用ペーパーは、パルプを主原料とする紙シートである。この場合、バージンパルプ100%が最適である。しかし、全量を古紙パルプとすることもできる。古紙パルプを含ませる場合、40%以下が特に望ましい。
【0038】
本発明に係る乳房清拭用ペーパーでは、公知の原料パルプ、NBKPとLBKPとを任意の割合で配合したものを用いることができるが、特に紙力が不足しがちのときには、NBKP:LBKPが10:0〜5:5、特に7:3〜5:5の比率で配合されたものを推奨する。NBKPは、平均繊維長が長く引張り強度が高く、これを高配合とすることによって紙力を増強できる。
【0039】
紙力増強のために、原料パルプの一部または全てを叩解して製造することもできる。原料パルプの一部を叩解する場合、NBKP及びLBKPともに同レベルで叩解するほか、両者を異なるレベルで若しくは一方のみを叩解することもできる。原料パルプの全てを叩解する場合には、NBKP及びLBKPともに同レベルで叩解するほか、両者を異なるレベルで叩解することもできる。
【0040】
また、本発明の乳房清拭用ペーパーは生分解性であるのが望ましい。分解性とするにあたっては、例えば、生分解性樹脂繊維を原料パルプに混合せしめて抄紙することができる。生分解性樹脂繊維としては、ポリ乳酸系繊維、ポリブチレンテフタレート系繊維、ポリブチレンサクシネート系繊維等の生分解性繊維が挙げられる。具体例としては、「ラクトロン:カネボウ社開発」、「プラスターチ:クラレ社開発」、「テラマック:ユニチカ社開発」が挙げられる。生分解性樹脂は、一般に酸素含有量が高く、燃焼カロリーが低いため、焼却時に炉を傷めることがなく、また有毒ガスの発生もないという利点ももたらす。
【0041】
ところで、先の説明からも判るように、本発明で規定する特性は、使用パルプの選定、抄造法、抄紙法、添加剤の選定などによって得ることができる。
【0042】
なお、本発明の清拭用ペーパーが消毒液は特に限定されるものではないが、現在主に酪農家の間で使用されている「クウォーターメイト」(ヨウ素溶液) (輸入販売元:日本全薬工業、製造元:ウェストアグロ) に特に適する。
【実施例】
【0043】
以下、本発明を実施例及び比較例によって説明する。比較例は、従来例(先行技術製品としてのA社及びB社の市販品)である。各測定方法については下記のとおりである。
【0044】
(測定条件)
全ての測定は、原則としてJIS P 8111に規定される条件下で行った。
【0045】
(坪量)
紙の坪量は、JIS P 8124の規定に準拠して測定した。
【0046】
(紙厚)
紙厚は、尾崎製作所ダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK G型」を用いて測定した。具体的手法については前述のとおりであるので、ここでは詳細を省略する。
【0047】
(乾燥時引張強さ)
縦方向および横方向の乾燥時引張強さは、JIS P 8113の規定に準拠して測定した。
【0048】
(湿潤引張強さ)
縦方向および横方向の湿潤引張強さは、JIS P 8113の規定に準拠して測定した。
【0049】
(伸び率)
試料を5枚重ねて縦方向の幅が25mmとなるように裁断機を用いて裁断し、次いで、その試料を容量20kgのロードセル引張試験機(ミネベア株式会社製 TG−200N)を用いてつかみ間隔100±2mm、引張速度50mm/minで試料が破断する長さを測定し、次式に従って計算した値である。表中の数値は、5回測定した際の平均値である。
伸び率(%)=[破断時長さ(mm)−100(mm)]÷100(mm)
【0050】
(ソフトネス)
ソフトネスは、ハンドルオメータ法(JIS L 1096 E法)により測定した。
【0051】
(吸油量)
本発明の吸油量測定試験は次のように行う。先ず、100mm×100mmの試験片を作成し、吸油前の重量を測定する。また、深さ20mmのところまでサラダオイルで満たしたバットを用意する。試験片を金網に載せた状態でバット内に浸漬し、試験片全体がサラダオイルに浸った時点で金網を油面から引き上げ、30秒間放置して余剰サラダオイルを自然落下させる、その後、試験片の吸油後重量を測定し、吸油前後の重量変化(吸収したサラダオイルの重さ)を算出し、さらにこれを1m2あたりに換算した値を吸油量とする。
【0052】
(吸水量)
本発明の吸水量測定試験は次のように行う。先ず、100mm×100mmの試験片を作成し、吸水前の重量を測定する。また、深さ20mmのところまで水で満たしたバットを用意する。試験片を金網に載せた状態でバット内に浸漬し、試験片全体が水に浸った時点で金網を水面から引き上げ、30秒間放置して余剰水を自然落下させる、その後、試験片の吸水後重量を測定し、吸水前後の重量変化(吸収した水の重さ)を算出し、さらにこれを1m2あたりに換算した値を吸水量とする。
【0053】
(吸水性)
吸水性は、JAPAN TAPPI No.32−2:2000に基づいて測定した。すなわち、直径40mm以上の孔を有する支持台に試験片(2枚重ね一組)を支持し、約10mmの高さから温度20±1℃の蒸留水1滴(約1mL)をピペットで前記試験片に滴下する。そして、水滴が試験片に接触したときから、完全に吸収されて反射光が消えるまでの時間を、0.1秒単位で測定する。この試験を5回行い、その平均値を算出して吸水性の値とする。
【0054】
(吸薬液性)
吸薬液性は、前記吸水性の測定方法において試験片に滴下する液体を蒸留水から消毒液(クウォーターメイト:日本全薬工業株式会社販売)に代えて測定した。
【0055】
(白色度)
白色度は、JIS P 8123の規定に準拠して測定した。
【0056】
(曲げ剛性B)
曲げ剛性B、および平均曲げヒステリシス幅2HBは、純曲げ試験機(カトーテック社製「自動化純曲げ試験機 KESFB2−AUTO−A」)を使用して測定した。なお曲げ剛性Bが大きいほど曲げ難く固い。B/Wは、曲げ剛性Bを坪量Wで除して算出した。
【0057】
(清拭性)
実際に酪農家50名が所有する乳牛に対し、清拭性を試験した。まず、日本全薬工業株式会社が販売する消毒液「クウォーターメイト」を塗布し、実施例及び各比較例のシートで清拭し、その際の使用感を柔らかさ、ソフトさ、消毒液の吸収の速さ、乳房に残る消毒液の残存量の点に主に着目して5段階で判断した。段階5は清拭性にきわめて優れる、4は優れる、3は普通、2は清拭性に難がある、1は清拭性が悪いとした。表中の値は50名の評価平均値である。
【0058】
【表1】


【0059】
(考察)
本発明に係る実施例のものは迅速かつ確実に清拭できるものであることが判る。また、清拭性の評価についても50名評価平均で「4.8」であり、比較例1〜2と比較して高い数値となっている。これは、本発明の乳房清拭用ペーパーが、従来例に比較して極めて柔らかくソフトであるにもかかわらず迅速かつ確実な消毒液の吸収がなされるものであることを意味する。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、例えば、乳牛以外の家畜の搾乳時のディッピング作業後に行う清拭作業に利用することもできる。また、ディッピング作業以外に行われる乳牛等の消毒作業時の清拭用にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】Tip to Tipの接合形態の説明図である。
【図2】ネステッドの接合形態の説明図である。
【図3】シート例の平面図である。
【図4】エンボス部に拡大平面図である。
【符号の説明】
【0062】
1,2…シート、1A,2A…凸部、2B…凹部、3…接着剤、X…エンボスセクション、Y…抜き柄セクション。
【出願人】 【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
【出願日】 平成18年5月22日(2006.5.22)
【代理人】 【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久


【公開番号】 特開2007−306890(P2007−306890A)
【公開日】 平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願番号】 特願2006−141706(P2006−141706)