| 【発明の名称】 |
蓄光釣り糸 |
| 【発明者】 |
【氏名】岡野 信
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| 【要約】 |
【課題】光により発光し、光を取り除いた後にも極めて長時間の残光輝度特性を有すると共に、耐水性にも優れ、低比重、高強力、低伸度の特性を有する蓄光釣り糸を提供する。
【解決手段】破断強度が17〜30cN/dtex、初期弾性率が440〜550cN/dtexのフィラメントを複数本撚りおよび/または製紐してなる擬似モノフィラメントからなる芯成分の表面に、アルカリ土類金属酸化物に賦活剤として希土類酸化物をドープさせてなる蓄光性蛍光体を含有するコーティング材からなるコーティング成分を被覆した複合繊維からなり、芯成分の面積割合が50〜95%、コーティング成分の面積割合が5〜50%、比重が1.0〜1.3の範囲にある蓄光釣り糸。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 合成繊維からなる芯成分の表面に、蓄光性成分を含有するコーティング材からなるコーティング成分を被覆した複合繊維からなり、繊維軸に垂直な断面における前記芯成分の面積割合が50〜95%、前記コーティング成分の面積割合が5〜50%、比重が1.0〜1.3の範囲であって、前記芯成分が、破断強度が17〜30cN/dtex、初期弾性率が440〜550cN/dtexのフィラメントを複数本撚りおよび/または製紐してなる擬似モノフィラメントであり、前記コーティング成分に含有される蓄光性成分が、アルカリ土類金属酸化物に賦活剤として希土類酸化物をドープさせてなる蓄光性蛍光体であることを特徴とする蓄光釣り糸。 【請求項2】 20℃の水中に24時間放置後の残光輝度保持率が40〜100%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の蓄光釣り糸。 【請求項3】 前記蓄光性蛍光体の粒子表面にリン酸塩がコーティングされていることを特徴とする請求項1または2に記載の蓄光釣り糸。 【請求項4】 破断強力が10〜28cN/dtexの範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄光釣り糸。 【請求項5】 破断伸度が、2〜10%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓄光釣り糸。 【請求項6】 アオリイカのエギ釣り用釣り糸であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の蓄光釣り糸。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、光などの外部刺激により発光し、光を取り除いた後においても極めて長時間の残光輝度特性を有すると共に、耐水性に優れ、低比重、高強力、低伸度の特性を有する蓄光釣り糸に関するものである。 【背景技術】 【0002】 近年、釣具の進化はめざましく、中でも釣り糸の分野では、それぞれの釣り用途に最も適した釣り糸の開発が盛んに行われている。 【0003】 例えば、夜釣り用の釣り糸としては、蓄光性蛍光体を含有し、光などの外部刺激により光を蓄え、光を取り除いた後においても暗所で発光し続ける蓄光性釣り糸が提案されているが、この蓄光性蛍光体は水と反応することにより蓄光性能を失効してしまうため、釣り糸としての耐久性に欠けることから、この点の改善が望まれていた。 【0004】 蓄光性蛍光体の水との反応を抑える技術としては、複合繊維の少なくとも内層の一部を構成する成分を蓄光性蛍光顔料を含有する熱可塑性ポリマとし、最表層を構成する熱可塑性ポリマの吸水率を0.5重量%以下とした夜光性複合繊維(例えば、特許文献1参照)、および特定の吸水率を有する熱可塑性合成樹脂と蓄光性蛍光体とからなる樹脂組成物を少なくとも一部の構成成分とする発光性モノフィラメント(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。 【0005】 しかし、これら従来の蓄光釣り糸は、耐水性の問題は解決できるものの、夜釣り用釣り糸としての十分な視認性を確保するには、蓄光性蛍光体を多量に添加する必要があるため、結果として強力の低下が招かれてしまうという不具合を包含していた。そればかり、釣糸の素材が、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエステル系樹脂などのモノフィラメントからなることから、釣り糸の伸びが大きいため、夜釣りによるアオリイカ釣りに使用する場合の釣り果に多くを期待できないという問題があった。 【0006】 つまり、夜釣りによる釣り、特にアオリイカ釣りにおいては、エギ(海老の形をした疑似餌)を使用することから、このエギの動きを大きくすると共に、エギに海老が跳ねるような縦の動きを演出して、獲物に対するアピール力を高めることが要求されるが、釣糸の伸びが大きい場合には、糸の伸びが邪魔をしてエギの動きが小さくなってしまい、アピール力の低下から、結果として釣果が下がっていたのである。 【0007】 また、高強力、低伸度の蓄光釣り糸としては、芯成分を特定の比重、引張強度、引張弾性率を有する有機合成繊維とし、被覆成分を特定の平均粒径を有する蓄光剤を含有してなる熱可塑性合成樹脂とした複合繊維から構成した蓄光繊維(例えば、特許文献3参照)が提案されているが、この蓄光釣り糸を使用してアオリイカ釣りを行い、エギにアクションを加えた場合には、釣り糸の比重が重すぎるために、エギを投げ入れアオリイカが居る深さ(棚)までエギを沈めるのと同時に、釣り糸が沈んでしまい、結果として海老に似せて作られたエギの動きに海老が跳ねるような縦の動きを演出することができず、アピール力の低下から釣果が下がってしまうという問題があった。 【特許文献1】特開2001−123328号公報 【特許文献2】特開2001−89928号公報 【特許文献3】特開2005−200774号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 本発明は、上述した問題点の解決を目的として検討した結果達成されたものである。 【0009】 したがって、本発明の目的は、光などの外部刺激により発光し、光を取り除いた後においても極めて長時間の残光輝度特性を有すると共に、耐水性にも優れ、低比重、高強力、低伸度の特性を有する蓄光釣り糸を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0010】 上記目的を達成するために本発明によれば、合成繊維からなる芯成分の表面に、蓄光性成分を含有するコーティング材からなるコーティング成分を被覆した複合繊維からなり、繊維軸に垂直な断面における前記芯成分の面積割合が50〜95%、前記コーティング成分の面積割合が5〜50%、比重が1〜1.3の範囲であって、前記芯成分が、破断強度が17〜30cN/dtex、初期弾性率が440〜550cN/dtexのフィラメントを複数本撚りおよび/または製紐してなる擬似モノフィラメントであり、前記コーティング成分に含有される蓄光性成分が、アルカリ土類金属酸化物に賦活剤として希土類酸化物をドープさせてなる蓄光性蛍光体であることを特徴とする蓄光釣り糸が提供される。 【0011】 なお、本発明の蓄光釣り糸においては、 20℃の水中に24時間放置後の残光輝度保持率が40〜100%の範囲にあること、蓄光性蛍光体の粒子表面にリン酸塩がコーティングされていること、 破断強力が10〜28cN/dtexの範囲にあること、 破断伸度が2〜10%の範囲にあること、および アオリイカのエギ釣り用釣り糸であること が、いずれも好ましい条件として挙げられ、これらの条件を満たすことによりさらに優れた効果を取得することができる。 【発明の効果】 【0012】 本発明によれば、高強度で耐水性にも優れ、低比重、高強力、低伸度の釣り糸として繰り返し使用した場合においても、強度や残光輝度特性の低下が小さく、十分な耐久性を有する蓄光釣り糸を得ることができる。したがって、本発明の蓄光釣り糸は、アオリイカのエギ釣り用蓄光釣り糸として好ましく使用することができ、特に夜釣りにおいてしっかりと糸が視認できると共に、エギの動きも海老が跳ねるような大きな縦の動きが演出るようになり、アオリイカの釣果アップに繋がることから、その実用性は極めて高いといえる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0013】 以下、本発明を具体的に説明する。 【0014】 本発明の蓄光釣り糸は、合成繊維からなる芯成分の表面に、蓄光性成分を含有するコーティング材からなるコーティング成分を被覆した複合繊維からなり、繊維軸に垂直な断面における芯成分の面積割合が50〜95%、コーティング成分の面積割合が5〜50%、比重が1.0〜1.3の範囲であって、芯成分が破断強度17〜30cN/dtex、初期弾性率440〜550cN/dtexのフィラメントを複数本撚りおよび/または製紐してなる擬似モノフィラメントであり、コーティング成分に含有される蓄光性成分が、アルカリ土類金属酸化物に賦活剤として希土類酸化物をドープさせてなる蓄光性蛍光体であることを特徴とする。 【0015】 芯成分を構成する合成繊維に含まれるフィラメントは、引張強度が17〜30cN/dtex、特に19〜25cN/dtexであることが重要であり、引張強度が17cN/dtex未満では、コーティングされて得られた釣り糸の強度が低下するため好ましくない。一方、引張強度が30cN/dtexより大きいフィラメントは、現在の技術では得ることが困難である。 【0016】 また、芯成分を構成する合成繊維に含まれるフィラメントは、初期弾性率が440〜550cN/dtex、特に470〜520cN/dtexであることが重要であり、初期弾性率が440cN/dtex未満では、エギの動きが悪くなったり、当たりが分かりづらくなったりして低感度な釣り糸になるため好ましくない。一方、初期弾性率が550cN/dtexより大きい場合は、高感度ではあるが、エギにアクションを付けるために釣り竿を上下に動かしたときに竿先や釣り人の手首や、腕にかかる負荷が大きく成るため好ましくない。 【0017】 本発明の芯成分を構成する上記の特性を満たすフィラメントとしては、例えば高密度ポリエチレン繊維[東洋紡(株)製ダイニーマ(登録商標)、三井石油化学(株)製テクミロン(登録商標)]、全芳香族ポリアミドの乾湿式紡糸で得られるパラ系アラミド繊維[東レ・デュポン(株)製ケブラー(登録商標)、テイジン・トワロン(株)製トワロン(登録商標)、帝人(株)製テクノーラ(登録商標)]、全芳香族ポリエステルの溶融液晶紡糸で得られる全芳香族ポリエステル繊維[クラレ(株)製ベクトラン(登録商標)]、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールの液晶紡糸で得られるPBO繊維[東洋紡(株)製ザイロン(登録商標)]、PAN系炭素繊維[東レ(株)製トレカ(登録商標)、東邦テナックス(株)製ベスファイト(登録商標)]、ピッチ系炭素繊維[三菱化成(株)製ダイアリード(登録商標)]などが挙げられるが、上記の特性を満たす限りこれらに限定されるものではない。 【0018】 本発明における芯成分は、上記の特性を満たすフィラメントの複数本を撚りおよび/または製紐してなる擬似モノフィラメントであることが重要であり、複数本のフィラメントを単に引き揃えただけでは、繊維のバラケを生じるためコーティング成分を均一に施すことが困難になるばかりか、高強力、低伸度の特性を得ることができなくなる。 【0019】 また、フィラメント本数、撚りの程度、紐にする場合の密度などについては、目的とする釣り糸の太さや用途などに応じて任意に設定することができる。 【0020】 一方、本発明の蓄光釣り糸におけるコーティング成分は蓄光性能を担うものであり、強度、引張弾性率、伸度などの機械的物性はほとんど担っていない。つまり、本発明の蓄光釣り糸の機械的物性は、釣り糸全体に対する芯成分の比率に依存する。よって、本発明の蓄光釣り糸において繊維軸に垂直な断面における芯成分の面積割合(芯成分比率)は、50〜95%、特に80〜90%であることが重要である。芯成分比率が50%未満では、釣り糸の機械的物性が不足するため好ましくない。一方、芯成分比率が95%を越えると、蓄光性能を担うコーティング成分量が不足し発光特性が低下するため好ましくない。 【0021】 本発明の釣り糸の比重は1.0〜1.3、特に1.0〜1.2の範囲に有ることが重要であり、比重が1未満では、釣り糸が浮きすぎて風の影響を受けやすく、狙ったポイントにエギを投げ込んでも糸に引っ張れてポイントがずれてしまうため好ましくなく、比重が1.3以上と高すぎる場合は、エギと一緒に道糸が沈んでしまい、エギにアクションを加えたとき海老が跳ねるような縦の動きが演出できず、アピール力の低下から結果として釣果が下がってしまうとため好ましくない。 【0022】 本発明で使用するコーティング材に含まれる蓄光性成分は、アルカリ土類金属酸化物に賦活剤として希土類酸化物をドープさせてなる蓄光性蛍光体からなる。 【0023】 上記アルカリ土類金属酸化物としては、種々のものを選択することができるが、金属としてCa(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)およびBa(バリウム)の1種以上を含んだものとすることが好ましい。 【0024】 また、上記希土類酸化物も種々のものを選択できるが、ランタノイド系、すなわちLa(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、Lu(ルテチウム)の1または複数から選択することができる。 【0025】 蓄光性蛍光体の具体的な例としては、式M1−XAl2O4−X(但し、式中のMはカルシウム、ストロンチウムおよびバリウムから選ばれる少なくとも1種の金属元素であり、Xは−0.33〜0.60の範囲の数値を示す)で表される化合物の結晶を粉砕・分級したアルカリ土類酸化物に、Eu(ユウロピウム)および/またはDy(ジスプロシウム)を式のMで表される金属元素に対し原糸比で0.001%以上10%以下添加されたものなどが挙げられるが、この限りではない。 【0026】 この蓄光性蛍光体は、その粒子表面に難溶性塩であるリン酸塩をコーティングしたものであることが好ましく、これによりさらに優れた耐水性を示す。 【0027】 ここで使用するリン酸塩としては、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素ナトリウム二水和物、リン酸水素アンモニウムナトリウム四水和物、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどが挙げられるが、これらの塩類以外ではカリウム塩なども使用することができる。 【0028】 蓄光性蛍光体にリン酸塩を被覆する方法としては、蓄光性蛍光体を乾式で混合する方法、リン酸塩水溶液中でスラリー状に混合する方法、およびリン酸溶液中で攪拌後脱水する方法などが挙げられるが、用いるアルカリ土類金属酸化物および希土類酸化物に応じて、混合するリン酸塩の種類や量、加熱条件を適宜選択することができる。 【0029】 なお、本発明の蓄光釣り糸を構成する芯成分およびコーティング成分には、必要に応じて、顔料、染料、耐候剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、結晶化抑制剤および可塑剤などの添加物を、本発明の効果を阻害しない範囲で含有させることができる。 【0030】 また、芯成分である疑似モノフィラメントにコーティング材をコーティングする方法としては、熱可塑性樹脂に蓄光性蛍光剤を配合し溶融したコーティング材をコーティングする一般的なメルトコーティング方法、光硬化性樹脂に蓄光性蛍光剤を配合したコーティング材をディッピングによりコーティングした後に紫外線を当てて固化させる光硬化性樹脂コーティング方法、樹脂製接着剤などに蓄光性蛍光剤を配合したコーティング材をディッピングによりコーティングした後に熱を掛けて固化させるボンドコーティング方法など適選選択できる。 【0031】 なお、ここで使用する熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂および樹脂製接着剤などについては、釣糸の太さや用途に応じて任意の素材を選択し使用することができる。 【0032】 本発明の蓄光釣り糸においては、20℃の水中に24時間放置後の残光輝度保持率が40〜100%、特に60〜100%の範囲にあることが好ましい。 【0033】 なお、本発明における残光輝度保持率とは、蓄光釣り糸を20℃の水中に24時間放置後、あらかじめ暗所に24時間以上放置して残光を消去したサンプルに、36W(40形)電球を用い、測定点を1400ルクスの照度で5分間照射し、照射停止から3分後における残光輝度を輝度計で測定し得られた数値を、水中に放置する前に同様の手法で測定した蓄光釣り糸の3分後の残光輝度の数値で割り返し、100%を掛けて算出した値である。 【0034】 この残光輝度保持率が高いほど、蓄光性蛍光体が吸湿することによる残光輝度特性の低下が少ない耐水性に優れた蓄光釣り糸といえる。 【0035】 つまり、残光輝度保持率が40%未満であると、実際に釣り糸として使用した場合に数回の使用で残光輝度特性が低下してしまい、夜釣り用の蓄光釣り糸としては好ましくないものとなる。 【0036】 さらに、本発明の蓄光釣り糸においては、破断強力が10〜28cN/dtex、特に15〜25cN/dtexの範囲にあること、および破断伸度が2〜10%、特に4〜8%の範囲にあることが望ましい。 【0037】 つまり、破断強力と破断伸度が上記の範囲にあれば、エギの操作性や釣り果が一層向上するからである。 【0038】 本発明の蓄光釣り糸の直径については特に制限しないが、0.1mm〜0.4mmの範囲にあることが好ましい。つまり、直径が0.1mmを下回ると、強力が不足し、逆に直径が0.40mmを上回ると、剛直となり、リールに巻いた際にパラケが発生しやすく、さらにリール、竿およびガイドなどに備え付けられた蓄光器を使用する場合に蓄光器の中を通過しにくいといった操作性の低い蓄光釣り糸となるからである。 【0039】 また、コーティング剤に含まれる蓄光性蛍光体の量についても特に制限しないが、5〜50重量%の範囲に有ることが好ましい。つまり、含有量が5重量%未満であると、釣り糸の発光性能が劣る傾向が生じ、含有量が50重量%以上であると、芯糸との接着性に劣る傾向となるためである。 【0040】 本発明の蓄光釣り糸の断面形状は、その用途や特性を満足させるために様々な形状をとり得る。すなわち、繊維軸方向に垂直な断面の形状を、円形、楕円形、扁平、正多角形および不定形な形状を含む多角形などのいかなる形状にも設定することができる。なおここで、扁平とは楕円もしくは長方形のことを意味するが、数学的に定義される正確な楕円、長方形以外に概ね楕円、長方形またはこれに類似した形状を含み、正多角形とは数学的に定義される正多角形以外に、概ねこれに類似した形状を含むものである。また、繊維軸状に凹凸を設けガイドとの接点を減らすような形状も含まれる。 【0041】 この様にして製造された本発明の蓄光釣り糸を、夜釣り用の釣り糸として使用した場合には、蓄光釣り糸として十分な強度と、低伸度、低比重と言った優れた特徴を発揮し、特に竿、ガイドまたはリールなどに設置された蓄光器を通過させた場合には、優れた発光性と共に、繰り返し使用しても残光輝度特性の低下が極めて小さくなる。 【0042】 ここで、本発明の蓄光釣り糸用途は、道糸、ルアーフィッシング用ライン、フライフィッシング用ラインなどの釣り糸全般に渡るものであるが、中でも、蓄光性釣り糸をリールに巻いて使用し、かつ竿、ガイドまたはリールに設置された蓄光器の中を通過することにより発光する蓄光性道糸として使用した場合には、光を発光しやすいことから極めて好適である。 【0043】 さらに、リールに巻いて使う釣り糸の中でも、特にアオリイカのエギ釣り用道糸として使用した場合には、耐水性に優れ、低比重、高強力、低伸度の蓄光釣り糸の特徴を遺憾なく発揮して、釣り果を一段と高めることができる。 【実施例】 【0044】 以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、実施例における蓄光釣り糸の評価は以下の方法に準じて行った。 【0045】 [直径] アンリツ(株)製レーザー外径測定機”KL−151A”を使用した。繊維300mを30m/分の速度で計測部を走行させることにより測定し平均直径を算出した。 【0046】 [破断強度、初期弾性率] JIS−L1013の規定に準じて、試料を20℃、65%RHの温湿度調整室で24時間放置後、(株)オリエンテック社製“テンシロン”UTM−4−100型引張試験機を用い、試長250mm、引張速度300mm/分の条件でフィラメントの強力−伸度曲線を求め強度を算出した。 【0047】 [破断強力、破断伸度] JIS−L1013の規定に準じて、試料を20℃、65%RHの温湿度調整室で24時間放置後、(株)オリエンテック社製“テンシロン”UTM−4−100型引張試験機を用い、試長250mm、引張速度300mm/分の条件でフィラメントの破断時の強力と伸度を測定した。 【0048】 [比重] 比重測定機((株)島津製作所製”SGM300P”)を使用し、施行回数5回の平均値を採用した。 【0049】 [蓄光釣り糸の残光輝度保持率] 測定する蓄光釣り糸を20℃の水中に24時間放置後風乾して水分を取り除き、蛍光剤を含まない厚さ10〜15mmの白色板に蓄光釣り糸を均一に巻きつける。さらにその直角方向に同じように均一に巻き付ける。この巻き付けを交互に繰り返し、重なり部分の厚みを0.5mm以上とする。この際に、巻き取られた蓄光釣り糸が重なる部分の面積を10mm×10mm以上になるようにサンプルを作成し、この重なる部分の輝度を測定点とする。次に、20℃の暗室内に設置した外部の光を遮断する暗箱中に、あらかじめ暗所に24時間以上放置して残光を消去したサンプルを投入し、36W(40形)電球(National製 LW100V36WL/1P)を用い、測定点を1400ルクスの照度で5分間照射し、照射停止から3分後における残光輝度を輝度計(コニカミノルタ センシング社製 LS−100)で測定する。得られた数値を、水中に放置する前に同様の手法で測定した該蓄光釣り糸の3分後の残光輝度の数値で割り返し、100%を掛けて算出して得られた数値を残光輝度保持率とした(単位:%)。残光輝度保持率が高いほど蓄光釣り糸が耐水性に優れていることを示す。 【0050】 [蓄光釣り糸の性能評価] A.釣果 蓄光釣り糸を道糸としてリールに巻き、その釣り糸を竿に取り付けた蓄光器で発光させながら延べ10時間夜釣りでアオリイカのエギ釣りを実施し、その結果を次の3段階で評価を行った。 ○・・・手首や、腕に負担を掛けることなく、エギのアクションが思ったように操作でき、アオリイカが掛かった際に糸切れがなく、問題なく取り込むことができた、 △・・・手首や、腕に負担をかけることなく、つりができ、アオリイカが掛かった際に糸切れすることなく取り込むことができたが、エギのアクションが少し悪くなりアオリイカが掛かる割合が下がった、 ×・・・エギのアクションが思い通りに操作できず、釣果が下がってしまったり、せっかく掛けたアオリイカを糸切れにより逃がしてしまい大切なエギまで無くしてしまったりした。 【0051】 B.夜釣りでの視認性 蓄光釣り糸をアオリイカのエギ釣り用釣り糸としてリールに巻き、その釣り糸を竿に取り付けた蓄光器で発光させて実際に夜釣りを行い、その結果を次の2段階で評価した。 ○・・・糸筋が肉眼ではっきりと確認でき、蓄光釣り糸としての機能が十分に発揮できた、 ×・・・糸筋を肉眼で視認することが困難、または、最初は視認可能であるが時間とともに蓄光釣り糸としての明るさが減っていった。 【0052】 [実施例1] 破断強度26.0cN/dtex、初期弾性率500cN/dtexの高密度ポリエチレン繊維(東洋紡社製ダイニーマ)原糸を引き揃えて、それぞれリング撚糸機で、124t/mの下撚り(S撚り)を与えた後、この下撚り糸を4本合わせて、65t/mの上撚り(Z撚り)を与えて直径0.115mmの芯糸を得た。 【0053】 上記芯糸に、コニシ社製ボンドスーパークリヤーに根本特殊化学社製N夜光ルミノーバGLL300FFS(リン酸塩コーティングあり)を20重量%分散させたコーティング材をディッピングし、直径0.13mmのダイスを通して形を整えた後、温度155℃の温風乾燥炉で乾燥させ、蓄光釣り糸を得た。 【0054】 得られた蓄光釣り糸の評価結果を表1に示す。 【0055】 [実施例2] 蓄光性蛍光体として、根本特殊化学社製N夜光ルミノーバGLL300FFS(リン酸塩コーティングなし)を使用したこと以外は、実施例1と同じ方法で蓄光釣り糸を得た。 【0056】 得られた蓄光釣り糸の評価結果を表1に示す。 【0057】 [実施例3] 破断強度26.0cN/dtex、初期弾性率500cN/dtexの高密度ポリエチレン繊維(東洋紡社製ダイニーマ)原糸を使い4本を、ブレード角度19度で製紐した直径0.115mmの組み糸を芯糸に使用した以外は、実施例1と同じ方法で蓄光釣り糸を得た。 【0058】 得られた蓄光釣り糸の評価結果を表1に示す。 【0059】 [実施例4] 破断強度26.0cN/dtex、初期弾性率500cN/dtexの高密度ポリエチレン繊維(東洋紡社製ダイニーマ)原糸を引き揃えて、それぞれリング撚糸機で、124t/mの下撚り(S撚り)を与えた後、この下撚り糸を3本合わせて、65t/mの上撚り(Z撚り)を与えて直径0.170mmの芯糸を得た。 【0060】 上記芯糸に、宇部興産社製低密度ポリエチレンに根本特殊化学社製N夜光ルミノーバGLL300FFS(リン酸塩コーティングあり)を20重量%含有させた樹脂組成物を、エクストルーダー型押し出し機で樹脂温度180℃となるように加熱押し出し、クロスヘット部でメルトコーティングすることにより蓄光釣り糸を得た。 【0061】 得られた蓄光釣り糸の評価結果を表1に示す。 【0062】 [実施例5] 破断強度26.0cN/dtex、初期弾性率500cN/dtexの高密度ポリエチレン繊維(東洋紡社製ダイニーマ)原糸使い6本を、ブレード角度19度で製紐した直径0.210mmの芯糸を得た。 【0063】 上記芯糸に、JSR社製光硬化樹脂DesoliteZ7002に根本特殊化学社製N夜光ルミノーバGLL300FFS(リン酸塩コーティングあり)を20重量%分散させたコーティング材をディッピングし、直径0.260mmのダイスを通して形を整えた後、糸表面に紫外線を照射させ、蓄光釣り糸を得た。 【0064】 得られた蓄光釣り糸の評価結果を表1に示す。 【0065】 [比較例1] 破断強度11.0cN/dtex、初期弾性率40cN/dtexのナイロン繊維(東レ社製)原糸使い4本を、ブレード角度19度で製紐した直径0.080mmの芯糸を得た。 【0066】 上記芯糸に、コニシ社製ボンドスーパークリヤーに根本特殊化学社製N夜光ルミノーバGLL300FFS(リン酸塩コーティングあり)を20重量%分散させたコーティング材をディッピングし、直径0.130mmのダイスを通して形を整えた後、温度155℃の温風乾燥炉で乾燥させ、蓄光釣り糸を得た。 【0067】 得られた蓄光釣り糸の評価結果を表1に示す。 【0068】 [比較例2] 破断強度26.0cN/dtex、初期弾性率500cN/dtexの高密度ポリエチレン繊維(東洋紡社製ダイニーマ)原糸を6本引き揃え、そのままコニシ社製ボンドスーパークリヤーに根本特殊化学社製N夜光ルミノーバGLL300FFS(リン酸塩コーティングあり)を20重量%分散させたコーティング材をディッピングし、蓄光釣り糸の作成を試みたが、ダイニーマの繊維がバラケてしまい、蓄光釣り糸が得られなかった。 【0069】 [比較例3] 芯成分とコーティング成分の断面積割合が芯=98%:鞘=2%となるように変更した以外は、実施例1と同じ方法で蓄光釣り糸を得た。 【0070】 得られた蓄光釣り糸の評価結果を表1に示す。 【0071】 [比較例4] 芯成分とコーティング成分の断面積割合が芯=30%:鞘=70%となるように変更した以外は、実施例1と同じ方法で蓄光釣り糸を得た。 【0072】 得られた蓄光釣り糸の評価結果を表1に示す。 【0073】 【表1】
【0074】 表1から明らかなように、本発明の蓄光釣り糸(実施例1〜5)は、いずれも光などの外部刺激により発光し、光を取り除いた後においても極めて長時間の残光輝度特性を有すると共に、耐水性にも優れ、低比重、高強力、低伸度の特性を有する蓄光釣り糸であり、特に夜釣りにおけるアオリイカのエギ釣りよう釣り糸として最適なものであった。 【0075】 一方、芯糸用原糸の破断強力、初期弾性率が低くい釣り糸(比較例1)は、釣り糸の強度が低く、実際につりに使用した場合、糸切れにより逃がしてしまい大切なエギまでなくしてしまうなどの点で実用性に欠けるものであった。 【0076】 芯糸に撚り加工または製紐加工をしない釣り糸(比較例2)は、芯糸にコーティングする段階で芯糸がバラケてしまい、蓄光釣り糸に加工することができなかった。 【0077】 芯成分の比率が高くなっている釣り糸(比較例3)は、釣り糸の強度の面では問題ないが、出来上がった釣り糸の比重が低くなりすぎて、実際に釣り糸として使用したときに、釣り糸が浮きすぎて風の影響を受けやすく、狙ったポイントにエギを投げ込んでも糸に引っ張られてポイントがずれてしい、釣果が極端に落ちてしまうと共に、コーティング成分が少なくなることから、夜釣りでの視認性に欠け実用性に劣るものであった。 【0078】 また、芯成分の比率が低すぎる釣り糸(比較例4)は、視認性の点では問題ないが、コーティング成分の量が多すぎて、釣り糸の比重が高く成りすぎてエギと一緒に道糸が沈んでしまい、エギにアクションを加えたとき海老が跳ねるような縦の動きが演出できず、結果として釣果が下がってしまうばかりか、釣り糸の強度が極端に低くなってしまい、釣り糸が切れてしまうため、実用性に欠けるものであった。 【産業上の利用可能性】 【0079】 以上説明したように、本発明の釣り糸は、高強度で耐水性にも優れ、低比重、高強力、低伸度の特性を有する釣り糸として、繰り返し使用した場合においても、強度や残光輝度特性の低下が小さく、十分な耐久性を有することから、なかでもアオリイカのエギ釣り用蓄光釣り糸として有効に使用することができ、特に夜釣りにおいてしっかりと糸が視認でき、エギの動きについても海老が跳ねるような大きな縦の動きが演出できるようになり、アオリイカの釣果アップに繋がることからその実用性が極めて高い。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000219288 【氏名又は名称】東レ・モノフィラメント株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年4月18日(2006.4.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100104950 【弁理士】 【氏名又は名称】岩見 知典
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| 【公開番号】 |
特開2007−282580(P2007−282580A) |
| 【公開日】 |
平成19年11月1日(2007.11.1) |
| 【出願番号】 |
特願2006−114350(P2006−114350) |
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