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【発明の名称】 魚釣用リール
【発明者】 【氏名】野上 雅行

【要約】 【課題】他物に当たっても容易に傷付くことはなく、良好な耐食性および外観を長期間にわたって維持することのできる魚釣用リールを提供すること

【解決手段】リール本体16のディスク状部18bおよび側板20b一体的に形成された突面部21a,21bで形成される突設部の外周に、糸巻回層26が形成されている魚釣用リール。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール本体に設けた突設部の外周に、糸巻回層が形成されていることを特徴とする魚釣用リール。
【請求項2】
前記突設部は、リール本体の外部に突設された状態で装着される外装部材である請求項1に記載の魚釣用リール。
【請求項3】
前記外装部材は、指で挟持されて回転操作される部材である請求項2に記載の魚釣用リール。
【請求項4】
前記外装部材は、巻取り回転操作されるハンドルの腕部先端部に回転自在に支持された摘み部である請求項3に記載の魚釣用リール。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、リール本体の外部に突設した状態で装着される外装部品を備えた魚釣用リールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、魚釣用リールは、釣糸を巻回保持するスプールをリール本体で支えており、このリール本体には、例えばハンドル等の外装部材が突設されている。このようなハンドルは、通常、リール本体に設けられた巻取り駆動部に連結される連結部と、この連結部に取付けられる腕部と、この腕部の端部に回転自在に支持されて指で挟持されつつ操作される摘み部とを有する。
【0003】
この摘み部には、指で挟持して回転操作する際に、指とのフィット性の向上および長時間にわたって挟持したときの、指の痛みの緩和を図るため、摘み部の全体をゴム等の可撓性カバーで覆うように配置したもの(例えば特許文献1参照)、あるいは、摘み部全体をコルク材で形成してその表面を柔軟性を有する保護用被膜で覆うようにしたもの(例えば特許文献2参照)がある。
【0004】
また、魚釣用リールの外部に突設された外装部品として、アルミニウム合金をアルマイト処理したハンドル連結部の外側部材(例えば特許文献3参照)、フレームに外側板を着脱するセットスクリュウ頭部あるいはスプール軸端部を押圧してブレーキ力を調節するキャップ(例えば特許文献4参照)等がある。
【特許文献1】実開昭63−15776号公報
【特許文献2】特許第3457145号公報
【特許文献3】特開2001−231414
【特許文献4】実公平2−29911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、外装部品が摘み部である場合には、ゴムやコルク材等の軟質材で形成された摘み部は、把持したときに好適な感触を与えることができるとしても、釣糸からリール本体を介して伝達される魚信すなわち微振動が、これらの軟質材で吸収されることになる。このため、摘み部を介してハンドルを回転操作しつつ仕掛けを引き寄せる等の魚釣り操作中に、指で挟持している摘み部を介して魚信を確実に検知することができない。
【0006】
また、外装部品がハンドル連結部の外側部材の場合には、この外側部材が実釣り時又は釣り場の移動中に他物に当たって傷付き易い。アルマイト処理した表面が傷付くと、内部のアルミニウム合金の腐食が促進され、外観が損なわれる。
【0007】
また、外装部品がセットスクリュウ頭部あるいはキャップ等の締結用部材である場合には、通常、指で摘んで操作する外周部がローレット加工処理されている。このような金属表面の凹凸に指が直接触れると、この指を痛めやすい。このため、指による締め付け操作に支障を来たし易い。
【0008】
このように、リール本体に突設される外装部品の表面部は、その実用に適したものではなく、部品本来の機能を充分に発揮しあるいは維持することができない。
【0009】
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、他物に当たっても容易に傷付くことはなく、良好な耐食性および外観を長期間にわたって維持することのできる魚釣用リールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する本発明の魚釣用リールは、リール本体に設けた突設部の外周に、糸巻回層が形成されていることを特徴とする。
【0011】
前記突設部は、リール本体の外部に突設された状態で装着される外装部材であってもよく、この前記外装部材は、指で挟持されて回転操作される部材であってもよい。
【0012】
更に、前記外装部材は、巻取り回転操作されるハンドルの腕部先端部に回転自在に支持された摘み部でもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の魚釣用リールによると、突設部の外周に形成した糸巻回層は、他物との衝突時にその衝撃を緩衝し、突設部の本体の表面が直接傷付けられるのが回避され、長期間にわたって良好な耐食性および外観を維持することができる。
【0014】
糸巻回層が形成された突設部が外装部材の場合には、糸巻回層の緩衝作用によって、外装部材の表面を外力から充分に保護することができる。
【0015】
この外装部材が指で挟持されて操作される部材であると、糸巻回層が指に優しくかつフィット感のある良好な感触を与え、好適に回転操作することが可能となる。
【0016】
更に、外装部材がハンドルの腕部先端部に回転自在に支持された摘み部の場合には、フィット感のある好適な把持感覚を持って回転操作することができることに加え、摘み部を挟持する指で魚信を高感度で検知することができ、釣果が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明の好ましい実施形態による魚釣用リールの全体を示す。
【0018】
図示の魚釣用リール10は、握持した手の掌に包み込んだ状態に保持して操作するパーミング性や親指を用いて釣糸の繰出しを操作するサミング性を容易とする小型の両軸受型手巻きリールとして形成してある。
【0019】
この魚釣用リール10は、釣糸が巻回されるスプール12と、このスプール12を釣糸巻取方向に回転するハンドル14とを有する。このスプール12は、図示しないスプール軸を介してリール本体16に回転可能に支持されている。
【0020】
本実施形態のリール本体16は、左右に延びる複数の連結部材18aで左右のディスク状部18b,18cを一体成形により形成したフレーム18と、このフレーム18のディスク状部18b,18cの外側に、例えば複数のネジで締結された左右の側板20a,20bとを有する。この右側の側板20a内には、通常と同様に、ハンドル14の回転をスプール12に伝達する駆動機構と、この駆動機構とスプール12との間に介挿されて一定限度以上の荷重が釣糸に作用したときにスプール12を空転させるドラグ機構とが収容されており、操作レバー22を回転操作することにより、ドラグ力を調整することができる。
【0021】
また、スプール12の前方側には、スプール12上に釣糸を均等に巻回するレベルワインド機構24が配置されている。このレベルワインド機構24は、右側の側板20a内の駆動機構と連動する係合子26を左右に移動することにより、ハンドル14の回転操作にともなって、釣糸をスプール12上に均等に巻き取ることができる。また、釣糸放出時のバックラッシュを防止するバックラッシュ防止機構が、例えば左側の側板20b内に設けられる。
【0022】
このように形成される魚釣用リール10は、リール本体16に設けたそれぞれの突設部の所望部位の外周に、符号26で示す糸巻回層が形成されている。このような糸巻回層26は、例えば操作上の必要あるいは外観の向上等に応じた所望部位に形成することができるものであり、例えばリール本体16に設けられた突設部として、図示のような両軸受型リールの場合にあっては、リール本体16のディスク状部18bおよび側板20b等に略円筒状形状に一体的に形成された突面部21a,21bの他にも、側板20aから側方に突出してハンドル14の回転軸であるハンドル軸(図示しない)を支える円筒状構造のハンドルスタンド25があり、このハンドルスタンド25の外周に糸巻回層26が形成されている。このように、両軸受型リールにおけるリール本体16に設けた突設部は、このリール本体16に一体的に形成された部位で、他の部位よりも外方に突出し、したがって他物に衝突し易い部位をいうものである。
【0023】
更に、リール本体16に設けられる突設部は、リール本体16と一体的に形成される上述の部位の他にも、リール本体16の外部に突設された状態で装着される外装部材によっても形成される。このような外装部材には、例えば固定用のネジで形成される連結部28を介してハンドル軸に連結され、この連結部28から延びる腕部30の先端側にハンドルノブである摘み部32を装着したハンドル本体34が含まれる。更に、ハンドル本体34だけでなく、リール本体16に取付けられる各種のキャップ、螺子頭部等の部材もこのような突設部を形成しており、このような突設部の外周に糸巻回層26を形成することができる。
【0024】
図示の実施形態では、外装部材としてのハンドル本体34は、連結部28でリール本体12に固定された中央部から、2つの腕部30を互いに逆方向に延設したダブルハンドルとして形成してあり、それぞれの腕部30の先端に立設させて固定した支軸36に、2つのボール軸受38を介して金属製の摘み部32を回転自在に装着してある。この摘み部32は、止めネジ40により、支軸36から抜け止めされており、腕部40および支軸36と同様に、エンジニアリングプラスチック等の硬質樹脂あるいはアルミニウム合金等の金属を含む高強度の硬質材料で形成され、その外周に糸巻回層26が配置されている。
【0025】
この摘み部32を2本あるいは3本の指で挟持する状態で把持し、支軸36上で回転しつつ腕部30を連結部28の回りで回転させると、リール本体16内に収容された駆動機構を介してスプール12が回転され、これに同期してレベルワインド機構24が係合子26を左右に移動する。これにより、スプール12上に釣糸が均等に巻回される。
【0026】
このような摘み部32の外周等、種々の突設部の所望部位の外周に形成した糸巻回層26は、他物に当たったときに、この衝撃を緩衝し、リール本体18の突設部あるいはハンドル14等の外装部材の表面への直接的な傷発生を回避し、これらの突設部の良好な耐食性および外観を維持し、また、外装部材の表面を保護するものである。このような種々の突設部あるいは外装部材に形成される糸巻回層26について、金属製の摘み部32との関連で説明する。
【0027】
図2に拡大して示すように、本実施形態の摘み部32は、支軸36と一対の軸受38と止めネジ40とを収容する段付構造の内孔を有し、止めネジ40の頭部も外方に突出することなく、この内孔内に収容される。この円筒状構造の摘み部32の外周には、略半円形の断面形状を有する突条44が軸方向の両端部で全周にわたって延設され、これらの突条44の間の凹溝42に糸巻回層26が形成されている。これらの突条44は、把持する指に痛みを与えないものであれば、その幅すなわち摘み部32の軸方向に沿う寸法を適宜の大きさに形成し、その外面形状も種々の形状とすることができる。
【0028】
糸巻回層26は、摘み部32の中心軸すなわち回転軸に対して直角方向に糸46を巻回することで形成してあり、その全体が透明あるいは半透明又は透明性があってカラー色調を有する樹脂48で覆われている。糸46は、凹部42の深さすなわち突条44の高さよりも僅かに小径に形成されており、隣接する糸46間に隙間を形成することなく密巻き状に巻回したときに、突条44を超えて半径方向外方に突出することはない。樹脂48は、この糸巻回層26を形成する糸46の緩みあるいは位置ずれが生じるのを防止する。
【0029】
このような糸巻回層26を形成する糸46は、摘み部32の外面を保護できるものであれば、綿糸等の天然材料、あるいはナイロン糸等の人造材料を含む適宜の材料で形成することができる。また、糸巻回層26は、図示のように糸46を一層のみ巻回して形成するだけでなく、より細い糸を用いて複数層を巻回して形成することも可能である。このような糸46を覆う樹脂48は、糸巻回層26の弾性あるいは保持感覚を損なわないものであれば適宜のものでよく、糸46と共に糸巻回層26を通じて魚釣用リール10の外観を向上させるために、エポキシ樹脂等のクリヤー塗料であるのが好ましく、自然乾燥、強制乾燥、あるいはUV系塗料(紫外線硬化塗料)が使用される。
【0030】
図2に示すように、樹脂48が糸巻回層26を完全に覆う状態に塗布する場合は、糸46に樹脂48を含浸させた状態で硬化させた後、重ね塗りしてもよい。また、図3に示すように、糸46の一部を外部に露出させた状態に塗布してもよい。糸46を指に直接接触させることができるため、滑り止め機能を向上させることができる。この場合には、凹溝42内に予め適量の樹脂48を塗布しておき、この樹脂48の上から糸46を巻回して糸巻回層26を形成することも可能である。いずれの場合も、樹脂48は、突条44の頂部44aが露出した状態を維持し、この摘み部32を糸巻回層26の上から把持したときに、把持した手の指が糸巻回層26あるいはこの上の樹脂48と共に、突条44の頂部44aを介して摘み部32に直接接触可能としておくことが好ましい。
【0031】
このように指で挟持操作される摘み部32の外周に糸巻回層26が形成されることにより、この糸巻回層26を介して指に優しくフィット感のある状態で良好な回転操作を行うことができことに加え、摘み部32は金属等の硬質材料で形成されているため、釣糸を介して伝達される微細な魚信を指に伝達することができ、魚信感度を更に高めることができる。特に、摘み部32の外周の全体を糸巻回層26で覆うのではなく、突条44が露出しているため、この突条44を介して魚信を高感度で検知することができ、釣果を向上させることができる。
【0032】
図4は、他の実施形態による魚釣用リール10Aを示す。なお、以下に説明する実施形態も基本的には上述の実施形態と同様であるため、同様な部位には同様な符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0033】
この実施形態では、レベルワイド機構の図示を省略してあり、対象魚の種類や魚釣時における魚とのファイティングを伴う釣法における糸切れや口切れ対策としてスプール12を摩擦制動しつつ回転可能とするドラグ力を調整するための円筒状のドラグ摘み50が外装部材として設けられており、このドラグ摘み50の外周に糸巻回層26が形成されている。
【0034】
また、外装部材としてのハンドル14Aは、連結部28としての固定用ネジから一側に腕部30を延設したシングルハンドルとして形成してあり、この腕部30の先端には、一端側が幅広のバー状に拡大したT字状形状を有する摘み部52が回転自在に取付けられている。このハンドル14Aでは、連結部28を形成する固定用ネジの外周に糸巻回層26が形成され、更に、T字状形状を形成する3つの脚部のそれぞれの外周に糸巻回層26が形成されている。
【0035】
この実施形態による魚釣用リール10Aにおいても、本体すなわちドラグ摘み50、固定用ネジで形成される連結部28およびT字状の摘み部52の表面が、糸巻回層26の衝撃緩衝作用で保護され、外力による直接的な傷発生が回避され、良好な耐食性と外観とを維持することができる。また、ハンドル14Aの摘み部52も、特に、その表面の一部が露出した状態で糸巻回層26が形成されているため、フィット感のある巻取り回転操作を行うことができると共に、摘み部52を挟持する指で魚信を高感度で検知することができる。
【0036】
以上、本発明の種々の実施形態および変形例について個々に説明してきたが、本発明はいずれかの実施形態あるいは変形例に限定されるものではなく、様々な用途に応じて適宜に組合せあるいは変更することが可能である。例えば、上述のような両軸受型リールに限らず、スピニングリールのボディやボディカバー等にも糸巻回層26を形成することができる。また、複数部位に糸巻回層26を形成する場合には、それぞれの糸46の太さ、色彩あるいは材質等を様々に組合わせることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の好ましい実施形態による魚釣用リールの部分断面図。
【図2】図1に示す魚釣用リールのハンドルの摘み部を拡大して示す断面図。
【図3】変形例による摘み部の図2と同様な断面図。
【図4】他の実施形態による魚釣用リールの説明図。
【符号の説明】
【0038】
10…魚釣用リール、16…リール本体、21a,21b…突面部(突設部)、32…摘み部(突設部)、25…ハンドルスタンド(突設部)、26…糸巻回層。
【出願人】 【識別番号】000002495
【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
【出願日】 平成18年2月10日(2006.2.10)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲

【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠

【識別番号】100100952
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 鉄也


【公開番号】 特開2007−209280(P2007−209280A)
【公開日】 平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願番号】 特願2006−33833(P2006−33833)