| 【発明の名称】 |
魚釣用スピニングリール |
| 【発明者】 |
【氏名】柴田 崇
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| 【要約】 |
【課題】リール本体の小型化を図りつつ、設計上の制約もなく耐久性に優れ、スプール往復動装置の歯車噛合時のバックラッシュの発生を確実に防止した魚釣用スピニングリールを提供する。
【解決手段】ピニオン29に噛合する従動歯車55を有する螺軸49にスプール軸43の後端側に装着した摺動子53を係合連結して、ハンドルの回転をスプール軸43の前後動に変換するスプール往復動装置を備えた魚釣用スピニングリールに於て、前記ピニオン29の歯部に隣接させてその側部に環状凹部を形成し、当該環状凹部に弾性リング63を装着すると共に、前記従動歯車55の歯部に隣接させてその側部に、上記弾性リング63に当接する摩擦回転部65を設けたことを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ハンドルのハンドル軸に取り付く駆動歯車に噛合するピニオンが後端側に形成され、先端側にロータが取り付く回転軸筒をリール本体に回転可能に支持し、 当該回転軸筒内に、先端にスプールを装着したスプール軸を摺動可能に挿通すると共に、 前記ピニオンに噛合する従動歯車を有する螺軸に前記スプール軸の後端側に装着した摺動子を係合連結して、ハンドルの回転をスプール軸の前後動に変換するスプール往復動装置を備えた魚釣用スピニングリールに於て、 前記ピニオンの歯部に隣接させてその側部に環状凹部を形成し、当該環状凹部に弾性リングを装着すると共に、 前記従動歯車の歯部に隣接させてその側部に、上記弾性リングに当接する摩擦回転部を設けたことを特徴とする魚釣用スピニングリール。 【請求項2】 前記環状凹部は、ピニオンの歯部と、リール本体に支持される回転軸筒の軸受部との間に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、リール本体に装着したハンドルの巻取り操作(回転操作運動)をスプールの前後往復動に変換するスプール往復動装置を備えた魚釣用スピニングリールに関する。 【背景技術】 【0002】 従来周知のように魚釣用スピニングリール(以下、「スピニングリール」という)は、リール本体に装着したハンドルの巻取り操作をスプールの前後往復動に変換するトラバース機構等のスプール往復動装置を備えており、ハンドルの巻取り操作に連動してロータが回転し、前後方向へ往復動するスプールに釣糸が巻回されるようになっている。 ところで、このスプール往復動装置は、ハンドルからの回転駆動力を歯車同士の噛合による歯車列を介して伝達させる構造上、歯車噛合時の噛合ガタ、即ち、バックラッシュが生じて振動や異音が発生する虞がある。 【0003】 そこで、このような歯車噛合時のバックラッシュ現象を防止するため、特許文献1には、歯車(回転軸筒後端側のピニオンとこれに噛合する螺軸側の従動歯車)による動力伝達部と、弾性部材の摩擦による動力伝達部とをスプール往復動装置に併設したスピニングリールが提案されている。 図9及び図10に示すように弾性部材の摩擦による動力伝達部1は、回転軸筒(フライヤ軸)3の後端側のピニオン5にその歯部7と隣接して摩擦伝達回転部9を設けると共に、当該ピニオン5に噛合する螺軸(トラバースカム軸)11側の従動歯車13に、前記摩擦伝達回転部9の外周面が圧接する幅広で肉厚な均一の厚さからなるリング状の弾性部材15を従動歯車13の歯部17に隣接させて取着し、摩擦伝達回転部9とこの弾性部材15との間に発生する摩擦力により動力伝達可能とした構造で、斯かる動力伝達部1により、ピニオン5と従動歯車13との噛合時のバックラッシュの発生を抑制し、振動や異音の発生が防止できることとなった。 【特許文献1】特開2004−113039号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかし、上記従来例にあっては、ピニオン5と従動歯車13の噛み合いに対し、隣接配置された弾性部材15と摩擦伝達回転部9との圧接伝達によって、弾性部材15が変形したり捩れてしまう虞があった。 そして、斯様に弾性部材15が変形したり捩れてしまうと、ピニオン5と従動歯車13との噛合部分に弾性部材15が接触して損傷したり、動力伝達部1による安定した摩擦性能を維持することができず、耐久性も低下してしまう虞があった。 【0005】 また、従動歯車13の歯部17に隣接させて幅広で肉厚な弾性部材15を取り付けるに当たり、リール本体19のギヤボックス内に配置される内部駆動部材を考慮して収容する構造上、設計上の制約があると共にリール本体19も大型化し、更にデザイン上の制約も生じてしまう不具合があった。 本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、リール本体の小型化を図りつつ、設計上の制約もなく耐久性に優れ、スプール往復動装置の歯車噛合時のバックラッシュの発生を確実に防止したスピニングリールを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 斯かる目的を達成するため、請求項1に係る発明は、ハンドルのハンドル軸に取り付く駆動歯車に噛合するピニオンが後端側に形成され、先端側にロータが取り付く回転軸筒をリール本体に回転可能に支持し、当該回転軸筒内に、先端にスプールを装着したスプール軸を摺動可能に挿通すると共に、前記ピニオンに噛合する従動歯車を有する螺軸に前記スプール軸の後端側に装着した摺動子を係合連結して、ハンドルの回転をスプール軸の前後動に変換するスプール往復動装置を備えたスピニングリールに於て、前記ピニオンの歯部に隣接させてその側部に環状凹部を形成し、当該環状凹部に弾性リングを装着すると共に、前記従動歯車の歯部に隣接させてその側部に、上記弾性リングに当接する摩擦回転部を設けたことを特徴とする。 【0007】 そして、請求項2に係る発明は、請求項1に記載のスピニングリールに於て、前記環状凹部は、ピニオンの歯部と、リール本体に支持される回転軸筒の軸受部との間に形成されていることを特徴とする。 【発明の効果】 【0008】 請求項1に係る発明によれば、ピニオンの歯部に隣接する側部に形成した環状凹部に弾性リングを装着して螺軸に摩擦伝達する構成としたので、環状凹部の両側壁部で駆動力伝達時の弾性リングの捩れや変形が防止でき、この結果、弾性リングの安定した摩擦性能を発揮維持することが可能となり、耐久性に優れ、長期に亘ってバックラッシュ現象の抑制,異音の発生防止が可能となった。 【0009】 また、摩擦伝達させる弾性リングの小型,軽量化が図れるため、スピニングリール全体の小型,軽量化が図れると共に、設計上,デザイン上の制約もない利点を有する。 そして、請求項2に係る発明によれば、ピニオンの歯部と軸受部との間に環状凹部を形成して弾性リングの近傍を軸受で支持した構造上、弾性リングの装着部の回転性能を高精度に維持することができ、弾性リングによる安定した摩擦作用が得られる利点を有する。 【発明を実施するための最良の形態】 【0010】 以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。 図1乃至図6は請求項1及び請求項2に係るスピニングリールの第一実施形態を示し、図1に於て、21は軸受23を介してリール本体25の前部に回転可能に支持された中空な回転軸筒(フライヤ軸)で、その先端にロータ27がナットで固定されている。また、回転軸筒21の後端側外周に形成されたピニオン29に、ハンドル31のハンドル軸33に回り止め嵌着した駆動歯車35が噛合しており、ハンドル31の回転操作(巻取り操作)が駆動歯車35,ピニオン29から回転軸筒21に伝達されて、ロータ27が釣糸巻取り方向へ回転するようになっている。 【0011】 そして、ロータ27の基部には、一対の支持アーム37がリール本体25の前方へ一体に延設されており、両支持アーム37の先端に、夫々、ベール支持部材39が釣糸巻取り位置と釣糸放出位置とに反転自在に取り付けられている。そして、両ベール支持部材39の間に半環状のベール41が取り付き、一方のベール支持部材39に図示しないラインローラが回転可能に装着されている。 【0012】 また、図中、43は回転軸筒21内を挿通して摺動可能に支持されたスプール軸で、当該スプール軸43のロータ側突出端にスプール45が取り付き、スプール軸43の後端側にトラバース機構(スプール往復動装置)47が装着されている。 図1乃至図3に示すようにトラバース機構47は、リール本体25内にスプール軸43と平行に回転可能に支持された螺軸(トラバースカム軸)49と、当該螺軸49の外周に設けられたカム溝51に係合する係合爪を有する摺動子53と、螺軸49の前端部に回り止め嵌着されて前記ピニオン29に噛合する従動歯車55とで構成されており、摺動子53はスプール軸43の後端部にビス57で固定されている。 【0013】 そして、従来と同様、ベール41を釣糸巻取位置側へ倒してハンドル31を巻取り操作すると、ピニオン29,従動歯車55を介して螺軸49が回転し、これに伴いカム溝51に係合する係合爪を有する摺動子53が螺軸49上を往復動するため、摺動子53に連結されたスプール軸43を介してスプール45がリール本体25の前後方向へ往復動して、スプール45に釣糸が巻回されるようになっている。 【0014】 而して、本実施形態に係るスピニングリール59は、上述の如き従来と同様の構成に加え、以下の如き特徴を有する。 図4乃至図6に於て、61は前記ピニオン29の歯部29aに隣接させてその側部外周に刻設した環状凹部で、当該環状凹部61は、ピニオン29の歯部29aと前記軸受23によるピニオン29の軸受部29bとの間にこれらから若干離間して設けられている。そして、当該環状凹部61に断面円形状の弾性リング(O−リング)63が装着されており、図示するように弾性リング63は、その外周を径方向外方へ突出させて環状凹部61内に装着されている。 【0015】 一方、図3及び図5に示すようにピニオン29に噛合する従動歯車55側には、歯部55aに隣接させてその側部に、当該従動歯車55よりも大径で弾性リング63の外周に当接する円盤状の摩擦回転部65が一体に設けられており、ピニオン29と従動歯車55の噛合による駆動力の伝達に加え、弾性リング63と摩擦回転部65との間に発生する摩擦力により、弾性リング63と摩擦回転部65との間で駆動力の伝達が可能となっている。 【0016】 そして、図5に示すように摩擦回転部65に対する弾性リング63の摩擦面の軌跡は、ピニオン29の歯部29aのピッチ円径と異なるように設定されている。 尚、上述したように本実施形態は、摩擦回転部65を従動歯車55と一体に設けたが、摩擦回転部を従動歯車と別体に設けて、これを螺軸に回り止め嵌着してもよい。 このように本実施形態は、弾性リング63と摩擦回転部65との摩擦力による駆動力伝達部を、ピニオン29と従動歯車55との噛合による駆動力伝達部に併設すると共に、摩擦回転部65に対する弾性リング63の摩擦面の軌跡を、ピニオン29の歯部29aのピッチ円径と異なるように構成したので、釣糸の巻取り操作時にピニオン29と従動歯車55の噛合による駆動力伝達と、弾性リング63と摩擦回転部65との摩擦力による駆動力伝達との間に回転差が生じ、弾性リング63の摩擦による駆動力伝達に滑りが生じてピニオン29と従動歯車55との駆動力伝達に負荷(抵抗力)が加わることとなる。 【0017】 このため、ピニオン29の歯部29aと従動歯車55の歯部55aを常時押し付け合う力が生ずることから、歯部29a,55a同士の噛み合い誤差等による振動、或いは回転不良が防止されて異音の発生が防止される。 そして、図6に示すように環状凹部61の両側壁部61a,61bが、駆動力伝達時の弾性リング63の捩れや変形を防止する。 【0018】 このように、本実施形態によれば、歯部29a,55a同士の噛み合い誤差等による振動、或いは回転不良を防止して異音の発生を防止することができると共に、環状凹部61の両側壁部61a,61bによって駆動力伝達時の弾性リング63の捩れや変形が防止でき、この結果、特許文献1の従来例に比し、弾性リング63の安定した摩擦性能を発揮維持することが可能となり、耐久性に優れ、長期に亘ってバックラッシュ現象の抑制,異音の発生防止が可能となった。 【0019】 また、本実施形態によれば、幅広で肉厚な図10の弾性部材15に比し、小型,軽量な弾性リング63を用いたことで、スピニングリール59全体の小型,軽量化が図れると共に、設計上,デザイン上の制約もない利点を有する。 而も、既述したように本実施形態は、ピニオン29の歯部29aと軸受部29bとの間に環状凹部61を形成して弾性リング63の近傍を軸受23で支持した構造上、弾性リング63の装着部の回転性能を高精度に維持することができ、弾性リング63による安定した摩擦作用が得られる利点を有する。 【0020】 尚、既述したように本実施形態は、摩擦回転部65に対する弾性リング63の摩擦面の軌跡を、ピニオン29の歯部29aのピッチ円径と異なるように設定したが、これを同一(略同一を含む)としてもよい。 而して、斯かる構成とすることで、低負荷状態では、歯部29a,55a同士が接触することなく弾性リング63と摩擦回転部65との摩擦によって駆動力の伝達が行われる。 【0021】 そして、高負荷状態では、弾性リング63が滑ることによって、ピニオン29の歯部29aと従動歯車55の歯部55aを常時押し付け合う力が生ずることから、歯部29a,55a同士の噛み合い誤差等による振動、或いは回転不良が防止されて異音の発生が防止できる。 図7は請求項1及び請求項2に係るスピニングリールの第二実施形態を示し、本実施形態は、前記環状凹部61を刻設することなく、ピニオン29-1の歯部29a-1と軸受23とで、歯部29a-1の側部に弾性リング63を装着する環状凹部61-1を設けたもので、弾性リング63は軸受23の内輪23aに当接している。 【0022】 而して、本実施形態によっても、駆動力伝達時の弾性リング63の捩れや変形が防止できるため、上記第一実施形態と同様、所期の目的を達成することが可能である。 また、本実施形態は、弾性リング63を軸受23の内輪23aに当接させた構造上、ピニオン29-1のスラスト方向のガタ付きを抑制することができる利点を有する。 図8は請求項1及び請求項2に係るスピニングリールの第三実施形態を示し、本実施形態は、前記環状凹部61に代え、断面楕円形状の弾性リング63-1が軸受23の内輪23aに当接するように、ピニオン29-2の歯部29a-2に隣接させてその側部外周に環状凹部61-1を刻設したもので、弾性リング63-1は前記摩擦回転部65の外周に当接可能に外方へ突出して環状凹部61-1内に装着されている。 【0023】 而して、本実施形態によっても、弾性リング63-1の捩れや変形が防止できるため、前記第一実施形態と同様、所期の目的を達成することが可能であり、また、前記第二実施形態と同様、弾性リング63-1を軸受23の内輪23aに当接させた構造上、ピニオン29-2のスラスト方向のガタ付きを抑制することができる利点を有する。 【図面の簡単な説明】 【0024】 【図1】請求項1及び請求項2の第一実施形態に係るスピニングリールの要部切欠き側面図である。 【図2】図1に示すスピニングリールの要部拡大側面図である。 【図3】図2の要部拡大側面図である。 【図4】図3のIV−IV線断面図である。 【図5】図3のV−V線断面図である。 【図6】図4の要部拡大断面図である。 【図7】請求項1及び請求項2の第二実施形態に係るスピニングリールの要部拡大断面図である。 【図8】請求項1及び請求項2の第三実施形態に係るスピニングリールの要部拡大断面図である。 【図9】従来のスピニングリールの要部切欠き側面図である。 【図10】図9に示すスピニングリールの要部拡大断面図である。 【符号の説明】 【0025】 21 回転軸筒 23 軸受 23a 内輪 25 リール本体 27 ロータ 29,29-1,29-2 ピニオン 29a,29a-1,29a-2,55a 歯部 31 ハンドル 35 駆動歯車 43 スプール軸 45 スプール 47 トラバース機構 49 螺軸 51 カム溝 53 摺動子 55 従動歯車 59 スピニングリール 61,61-1 環状凹部 63,63-1 弾性リング 65 摩擦回転部
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002495 【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年1月19日(2006.1.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100072718 【弁理士】 【氏名又は名称】古谷 史旺
【識別番号】100116001 【弁理士】 【氏名又は名称】森 俊秀
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| 【公開番号】 |
特開2007−189954(P2007−189954A) |
| 【公開日】 |
平成19年8月2日(2007.8.2) |
| 【出願番号】 |
特願2006−11494(P2006−11494) |
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