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【発明の名称】 家畜用の識別表示具
【発明者】 【氏名】小池 進

【要約】 【課題】表示する情報量が多く、また、生まれたときから生育するまで付け替える必要がない家畜の手足に装着する家畜用の識別表示具を提供する。

【解決手段】適宜の幅と長さとを有する帯状の識別表示部1の両端に、家畜の手足などの挿入孔31を有する一対の平板状の取付部3がそれぞれ連設されている。識別表示部1を帯状とすることで長く形成しても従来の環状のものが有する装着上の問題がなく、多くの識別情報を表示することができ、全体が薄く形成されることから、従来の硬質材により環状に形成される足環のように嵩張ることがなく、保管や運搬にも有利である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
適宜の幅と長さとを有する帯状の識別表示部の両端に、家畜の手足などの挿入孔を有する一対の平板状の取付部が、それぞれ連設されていることを特徴とする家畜用の識別表示具。
【請求項2】
前記一対の平板状の取付部と、帯状の識別表示部とが同一の基材により一体的に形成されている請求項1記載の家畜用の識別表示具。
【請求項3】
前記基材が適宜軟質の合成樹脂板あるいは不織布である請求項2記載の家畜用の識別表示具。
【請求項4】
前記各取付部に設けられた挿入孔が、挿入した家畜の手足などが成長により太くなるのに対応して拡径可能である請求項1,2または3記載の家畜用の識別表示具。
【請求項5】
前記各取付部に設けられている挿入孔が、その内周縁から所定の長さを有する複数の切り込みが放射状に形成されていることにより挿入した家畜の手足などが成長により太くなるのに対応して拡径可能である請求項4記載の家畜用の識別表示具。
【請求項6】
前記各取付部に設けられている挿入孔が、その内周縁から所定の長さを有する切り込みが螺旋状に形成されていることにより挿入した家畜の手足などが成長により太くなるのに対応して拡径可能である請求項4記載の家畜用の識別表示具。
【請求項7】
前記切り込みがミシン目により形成されている請求項5または6記載の家畜用の識別表示具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、家畜用の識別表示具、特に、家畜の手足等に取り付けて、生産地、生産者、流通経路などの情報を表示する、所謂、トレーサビリティ(商品の追跡管理)にも対応可能な家畜用の識別表示具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者において、食料品の安全性、健全性についての関心度が高まってきており、食料品には製造年月日、産地、使用した原材料などを明記することが半ば義務づけられており、家畜から得られる商品についても、生産地、生産者、流通経路等の情報などを商品や陳列ケースなどに表示している。
【0003】
そのため、家畜の生産者においてもこのような状況に対応するため、家畜が誕生した時点で、家畜に生産地、生産者、流通経路などの検索や開示を目的とした個体情報を付した識別表示具を装着している。
【0004】
ところで、商品の対象となる家畜としては、牛、豚、鶏など一般的であり、これらの家畜では手足や耳などに識別表示具が取り付けられているが、鶏などは識別表示具を取り付ける耳がないので、手足に取り付ける識別表示具が家畜の種類を問わずに広く実施することができることから汎用性に優れている。
【0005】
そして、従来、家畜の手足に取り付ける識別表示具として、例えば、実開平7−13140号公報、特開平7−154290号公報、特開2002−360103号公報、登録実用新案第3067066号公報などに提示されている。
【0006】
ところが、前記公報に提示されている識別表示具は環状に形成され、これに鳥の足を差し込む、所謂、足環と呼ばれるものであり、筒体を呈する外周面に固体情報などの識別表示をするものである。そのため、表示する情報量を増加するには長尺の筒体にして表示面積を拡大する必要があるが、長尺の筒体を手足に装着することは手足の機能面からきわめて困難であり、実際に装着可能なものは比較的短尺のものに限られることから表示する情報量も少なく、特に、情報が表示される外周面は、その殆どが湾曲面で構成されることから、一方向から視認可能な表示範囲が狭くなり、実質的に表示可能な情報量も少なくなるという問題があり、多くの項目についての個体情報を必要とする現在の情報表示に対応できないという問題がある。
【0007】
また、前記公報に提示されているような識別表示具は、その殆どが、成鳥を対象としたもので、取り付ける成鳥の足径に合わせた径を有する挿入孔を有するものである。そのため、このような環状の識別表示具を生まれた直後の家畜に合わせて取り付けると、その後に、家畜が成長して足が太くなると、装着した足環による締め付けで血行障害が起きるなど、足の成長が阻害されることにもなる。
【0008】
そのため、足の成長に応じて、一定周期毎に挿入可能な挿入口を有する識別表示具に付け替える必要があり、特に、現在では一カ所で多量の家畜を飼育しているので付け替え作業に多大な手間と時間を要することになる。また、識別表示具の脱着を容易にするために複雑な構成が必要であり、特に、付け替える度に、固体情報を新たに表示した家畜の数の数倍の識別表示具を必要とするばかりか、取り外した多量の識別表示具の処理も含めて多大な経費を要し、きわめて面倒でもあるなどの問題もある。
【特許文献1】実開平7−13140号公報
【特許文献2】特開平7−154290号公報
【特許文献3】特開2002−360103号公報
【特許文献4】登録実用新案第3067066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、表示する情報量が多く、また、家畜の生まれたときから生育するまで付け替える必要がない家畜の手足に装着する家畜用の識別表示具を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた本発明である家畜用の識別表示具は、適宜の幅と長さとを有する帯状の識別表示部の両端に、家畜の手足などの挿入孔を有する一対の平板状の取付部が、それぞれ連設されていることを特徴とする。
【0011】
識別表示部を帯状としたので長く形成しても従来の環状のものが有する装着上の問題がなく、多くの識別情報を表示することができる。
【0012】
また、本発明は、全体が薄く形成されることから、従来の硬質材により環状に形成される足環のように嵩張ることがなく、保管や運搬にも有利である。
【0013】
特に、前記一対の平板状の取付部と、帯状の識別表示部とが同一の基材により一体的に形成されている場合には、例えば型抜きのような手段によりきわめて簡単に少ない工程で作成することができるので安価なものを多量に製造することも可能であり、識別表示部に印刷する場合も取付部が邪魔にならないので一般的な印刷機の使用も可能であり、経済的でもあり、基材が適宜軟質の合成樹脂板あるいは不織布である場合には、印刷が容易であるばかりか家畜の手足に装着したときにその柔軟性から家畜を傷つける心配もない。
【0014】
更にまた、前記各取付部に設けられた挿入孔が、挿入した家畜の手足などが成長により太くなるのに対応して拡径可能である場合には、生まれた直後の家畜に合わせて取り付け、家畜の成長により手足が拡径したとしても、装着した手足が締め付けられたり血行障害が起きるなど、足の成長が阻害されることがなく、付け替え作業も不要である。
【0015】
特に、前記各取付部に設けられている挿入孔が、その内周縁から所定の長さを有する複数の切り込みが放射状に形成されていることにより挿入した家畜の手足などの成長によって生じる膨出に対応して拡径可能である構成、前記各取付部に設けられている挿入孔が、その内周縁から所定の長さを有する切り込みが螺旋状に形成されていることにより挿入した家畜の手足などの成長によって生じる膨出に対応して拡径可能である構成とすることにより、容易に各取付部に設けられた挿入孔が、挿入した家畜の手足などの成長による膨出に対応して拡径可能にすることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上、本発明によれば、従来のものに比べて識別に必要な個体情報を多量に表示することができるとともに製造、管理も容易である。特に、生まれた直後の家畜に取り付けて、家畜の成長により手足が拡径したとしても、装着した手足が締め付けられたり血行障害が起きるなど、足の成長が阻害されることがなく、付け替え作業も不要である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の好ましい実施の形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明を鶏の足に装着する場合について適用した場合の好ましい実施の形態を示すものであり、本発明である識別表示具1は適宜の幅と長さとを有する帯状の識別表示部2とその両端に一対の平板状の取付部3,3がそれぞれ連設されており、例えば適宜軟質の塩化ビニルやポリプロピレン樹脂などの適宜の柔軟性を有する合成樹脂板あるいは不織布の基板を打ち抜いて一体的に形成される。
【0019】
そして、識別表示部2は例えば、使用する家畜の生産地、誕生日、生産者等の流通経路などの検索や開示の目的に必要な個体情報が印刷等の手段により表示されたタグ状の標識部21が設けられている。この標識部21は識別表示部2と一体であってもよく、また、シール材等により別途に形成してもよい。必要であれば、更に表面を適宜のコーティング剤を用いて処理することにより耐性を向上させることも可能である。
【0020】
また、識別表示部2の両端に連設された各取付部3は、ほぼ中央に家畜の手足などの挿入孔31が形成されており、前記各挿入孔31は、その内周縁32から所定の長さを有する複数の切り込み33が放射状に形成されている。前記各挿入孔31の直径は、誕生時の家畜における足径とほぼ同径であり、各切り込み33の深さはこの切り込み33が装着する家畜の成長後における足径に到達する長さである。例えば、一般の鶏の場合では幼鳥では足の直径の平均値は2.5mm、成鳥での平均値は6.4mmであり、前記各挿入孔31の孔径を2.5mm、各挿入孔31の中心から複数の切り込み33の先端までの距離を6.5mmとしておくとよい。
【0021】
以上の構成を有する本実施の形態である識別表示具1を使用するには、まず、前記識別表示部2に使用する幼鳥に関し、生産地、生産者、流通経路等の検索、開示を目的とした個別情報を表示した標識部21を付設し、図2に示すように、幼鳥の足4に一方の取付部3の表側から挿入孔31に差し込み、次いでもう一方の取付部3の裏側から挿入孔31に差し込み装着する。
【0022】
このようにして装着された識別表示具1は、幼鳥の足4に所定の間隔を有して挿入、支持される一対の取付部3,3により識別表示部2が安定した状態で幼鳥の足4に沿って配置されることになり、容易に表示を視認することができる。
【0023】
また、本実施の形態は適宜の柔軟性を有する合成樹脂板あるいは不織布の基板により形成されているので、従来の足環の様に硬質材により形成された全体が筒状のものに比べて軽量であり、非力な幼鳥にあっても装着による負担がなく、取付部3の挿入孔31,31に差し込んだ幼鳥の足4を圧迫する心配もない。
【0024】
そして、前記識別表示具1を装着した幼鳥が成鳥になるにつれて前記図3に示した足4が拡径した場合には、図3に示すように、前記各取付部3に設けられた挿入孔31が、挿入した成鳥の足5が成長により太くなるのに対応して各切り込み33が押し広げられて挿入孔31が拡径するので、挿入孔31が足5を締め付けて血行障害などを起こすということがない。そのため、従来の足環のように成長に合わせて付け替える必要がない。
【0025】
尚、本実施の形態では、識別表示部2の標識部21の素材として印刷、熱転写、サーマル発色、レーザープリント等の各種のプリント方式で印字が可能であるが、標識部21はこれらに限るものでなく、例えば、RFIDタグのようなICタグを付設することもでき、これらの場合には、更に複雑で高度な情報管理をすることができる。
【0026】
また、本実施の形態では、取付部3における挿入孔31に形成された切り込み33を直線状としたが、これに限らず、例えば波形など(図示せず)、他の線形状であってもよく、切り込み33の開始端を面取りしておくことにより(図示せず)比較的硬質の素材を用いた場合にも足の損傷が防止できる。
【0027】
図4は、本発明の異なる実施の形態の一部を示すものであり、全体の構成は前記図1に示した識別表示具1とほぼ同様であるが、各取付部3の挿入孔31の内周縁から形成される切り込み33が螺旋状にした点が異なる。
【0028】
本実施の形態の使用方法並びに効果も前記図1に示したものとほぼ同様であり、特に、切り込み33を螺旋状としたことにより鳥が成長して足が太くなっていくときに、太さに合わせて順次、切り込み33が裂けるので常に安定した支持状態を保つことができる。
【0029】
図5は、本発明の更に異なる実施の形態の一部を示すものであり、全体の構成は前記図1に示した実施の形態とほぼ同様であるが、前記取付部3に形成した切り込み33を、カット部とタイ部とからなるミシン目により形成した点が異なり、成長する鳥の足が太くなるに従って挿入孔31が段階的に拡径するので、識別表示具1が常に安定した状態で足に保持されるという利点を有している。
【0030】
尚、前記各実施の形態は使用対象として家畜の一種である鶏の足に装着するものを示したが、本発明は、他の家畜の手や足についても同様にして実施することはいうまでもなく、また、例えば動物園で動物の位置情報の特定など家畜の情報管理に用いるだけでなく各種の用途に使用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の好ましい実施の形態を示す正面図。
【図2】図1に示した実施の形態を幼鳥の足に装着した状態を示す説明図。
【図3】図1に示した実施の形態を成鳥の足に装着した状態を示す説明図。
【図4】本発明の異なる実施の形態を示す正面拡大部分図。
【図5】本発明の更に異なる実施の形態を示す正面拡大部分図。
【符号の説明】
【0032】
1 識別表示具、2 識別表示部、3 取付部、4 足、5 足、21 標識部、31 挿入孔、32 内周縁、33 切り込み
【出願人】 【識別番号】392004819
【氏名又は名称】株式会社ビーエフ
【出願日】 平成18年1月5日(2006.1.5)
【代理人】 【識別番号】100067437
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 昭二


【公開番号】 特開2007−181446(P2007−181446A)
【公開日】 平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願番号】 特願2006−25045(P2006−25045)