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【発明の名称】 底曳漁業用網
【発明者】 【氏名】三好 康夫

【要約】 【課題】コネクトリングに負荷される応力を均一にし、桁網のコネクトリング全体が均一に摩耗するようにして、桁網の長寿命化を図ることを目的とし、さらに網目の組み方をかえることによって桁網の長寿命化を図ることを目的とする。

【解決手段】本発明は、曳網方向に対して最前列に並置された複数の本体リング1と2列目以降に並置された複数の本体リング1とが縦横に互い違いに配列されており、コネクトリング2が曳網方向に対して直交せず傾斜方向に向って前後列の本体リング1同士が連結されている底曳漁業用網である。また前記コネクトリング2は、曳網方向に対して20〜45度傾斜していることが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔で並置する複数の本体リングと、該本体リング同士を連結するコネクトリングとからなる底曳漁業用網において、曳網方向に対して最前列に並置する複数の本体リングと2列目以降に並置された複数の本体リングとが互い違いに配列されており、当該コネクトリングが曳網方向に対して直交せず傾斜方向に向って前後列の本体リング同士が連結されていることを特徴とする底曳漁業用網。
【請求項2】
底曳漁業用網の角部を形成する角部本体リングからは一体のコネクトリングが連設し、角部本体リング以外であって底曳漁業用網の外周部を形成する端部本体リングからは二体のコネクトリングが連設することを特徴とする請求項1記載の底曳漁業用網。
【請求項3】
前記コネクトリングが、曳網方向に対して20〜45度傾斜していることを特徴とする請求項1又は2に記載の記載の底曳漁業用網。
【請求項4】
前記底曳漁業用網が、底面網(沈子網)と、側面網(袖網)と、上面網とを有し、曳網方向が開口部となる袋状に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に記載の底曳漁業用網。
【請求項5】
少なくとも底側に複数の爪が固着された桁枠を有する底曳漁業用桁網において、該桁枠の網口に請求項4に記載の底曳漁業用網が係着されていることを特徴とする底曳漁業用桁網。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、底曳漁業に用いられる漁業用網に係り、曳網時に漁業用網が水底の岩などに擦れることにより生ずる応力を軽減し、桁網の摩耗を抑制するようにした底曳漁業用網及び底曳漁業用桁網に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、海底に生息する貝類、カニ、エビ、カレイ類を漁獲する漁法として底曳網漁業が知られている。底曳網漁業に使用される底曳網としては、上面網、底面網(沈子網)及び側面網(袖網)からなる袋状のものを曳綱で曳くものが知られている。
例えば、特許文献1及び特許文献2に示されるように、地まき養成で育ったホタテガイを漁獲するには、「八尺」と呼ばれる桁網が用いられるのが一般的である。図5は、かかる「八尺」の一例を示す斜視図である。図5に示すように、袋状の漁業用網40の網口45が木または鉄などの桁枠41に固定され、桁枠41の底側からは鉄製の爪42が複数下方に向って配置されている。かかる「八尺」は、曳綱51を介して図示しない漁船に連結され、漁船を航行させることによって引きずられることになる。「八尺」は、海底内にいるホタテガイ等を複数の爪42によって掘り起こし、網口45を通して袋状の漁業用網40内に漁獲する。
【0003】
漁船によって海底を引きずられる「八尺」は、貝だけでなく海底の砂利を掘り起こし、また岩石等に引っ掛かることがある。このような衝撃によって、爪42や漁業用網40は経時的に摩耗することになる。そこで「八尺」に使用される爪42や漁業用網40は、耐摩耗性に優れ、長寿命のものが開発されている。例えば、爪42の耐摩耗性を向上する技術としては、特許文献3に開示されている。
また漁業用網40は、図5に示すように上面網46、底面網(沈子網)47及び側面網(袖網)48とから構成されている。漁業用網40の摩耗は、海底に接する桁網(沈子網)47において顕著である。
【0004】
図6は、底曳網漁業に使用されている従来の桁網を示す概略平面図である。図6に示すように、従来の桁網において本体リング50は縦横に整然と並置され、それを径の小さな縦コネクトリング51aと、横コネクトリング51bとで相互に連結する構造が採用されている。この構造では、漁船によって桁網を引きずる場合に、図の矢印における曳網方向に対して平行な縦コネクトリング51aは水底に接触して回動する。縦コネクトリング51aは、かかる回動作用により均一に摩耗することになる。しかし、曳網方向に直角な横コネクトリング51bは、桁網を引きずる際の抵抗部材となり、また回転しないことから横コネクトリング51bの一部分のみが摩耗することになる。そして本発明者は、コネクトリング51の方が本体リングより海底に接しやすいため、桁網の中ではコネクトリング51bが最も摩耗しやすいことを見出した。
【0005】
ここでコネクトリングとしては、耐摩耗性に優れたスプリングワッシャや鍛造リングを用いる方法が知られている。スプリングワッシャーを使用している場合は、コネクトリング51bの摩耗時にスプリングワッシャーを追加したり、交換することによって本体リングが摩耗するまで桁網の使用を継続することができる。また、鍛造リングを用いる場合には、鍛造リングの線径を太くして焼き入れし、高硬度にすることによって摩耗を抑制している。
また桁網の曳網方向に対して直角方向の横コネクトリング51bが摩耗すると、桁網を組み直し、網の曳網方向を90度傾けて係着して使用する方法も採用されている。
【特許文献1】実開昭62−116675号公報
【特許文献2】実公平7−33654号公報
【特許文献3】特開平9−308410号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、桁網の曳網方向に対して傾斜するような位置にコネクトリングを配置して、コネクトリングに負荷される応力を均一にし、桁網のコネクトリング全体が均一に摩耗するようにして、桁網の長寿命化を図ることを目的とする。
さらにコネクトリングの傾斜角度を20度に近づけることにより曳網の際にコネクトリングを回転可能にし均一な摩耗とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
(1)本発明は、所定間隔で並置された複数の本体リングと、該本体リング同士を連結するコネクトリングとからなる底曳漁業用網において、曳網方向に対して最前列に並置された複数の本体リングと2列目以降に並置された複数の本体リングとが互い違いに配列されており、当該コネクトリングが曳網方向に対して直交せず傾斜方向に向って前後列の本体リング同士が連結されている底曳漁業用網である。
(2)本発明は、底曳漁業用網の角部を形成する角部本体リングからは一体のコネクトリングが連設し、角部本体リング以外であって底曳漁業用網の外周部を形成する端部本体リングからは二体のコネクトリングが連設する上記(1)記載の底曳漁業用網である。
【0008】
(3)本発明は、前記コネクトリングが、曳網方向に対して20〜45度傾斜している上記(1)又は(2)に記載の記載の底曳漁業用網である。
傾斜角度を20度に近づけることによりコネクトリングを回転可能にして均一に摩耗させることができる。20度未満では前後列の間隔が長くなってしまい、網目の間隔が広くなり魚介類を漁獲できない場合があるからである。45度に近づけることにより網目をつめることができ、単位面積当りの本体リングの数を増加させるか、一定寸法の網における網目が密になる。傾斜角度が45度を超えるとコネクトリングが桁網を引きずる際の抵抗部材となる可能性がある。
(4)本発明は、前記底曳漁業用網が、底面網(沈子網)と、側面網(袖網)と、上面網とを有し、曳網方向が開口部となる袋状に形成されていることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか一に記載の底曳漁業用網である。
(5)本発明は、少なくとも底側に複数の爪が固着された桁枠を有する底曳漁業用桁網において、該桁枠の網口に上記(4)に記載の底曳漁業用網が係着されている底曳漁業用桁網である。
【発明の効果】
【0009】
桁網の曳網方向に対して傾斜するような位置にコネクトリングを配置して、コネクトリングに負荷される応力を均一にすることにより、桁網のコネクトリング全体が均一に摩耗するようにして、桁網の長寿命化という効果を奏する。
さらにコネクトリングの傾斜角度を20度に近づけることによりコネクトリングを回転可能にして均一に摩耗させることにより、結果的に桁網の長寿命化を図るという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に則して本発明に係る底曳漁業用網を説明する。ただし、下記に記載された実施形態は例示であって発明思想として同一のものは全て本発明の範囲に属する。
(実施形態1)
図1は、本発明に係る底曳漁業用網の連結構造を説明するための部分斜視図である。図
1に示すように、本発明に係る底曳漁業用網は、本体リング1とコネクトリング2とから構成されている。なお図1は、本発明の連結構造を説明するために簡略化された概念図であり、実際の底曳漁業用網は本連結構造が多数連設されたものである。
【0011】
曳網方向に向って前列にある本体リング1と、その後列に位置する本体リング1とは、図1に示す如く互い違いに配列されている。そして前後列の本体リング同士はコネクトリング2によって連結されている。かかるコネクトリング2は、曳網方向に対して直交せず傾斜方向に向って前後列の本体リングと連結するように形成されている。
ここで、前記コネクトリング2は、曳網方向に対して20〜45度傾斜していることが好ましい。20度未満では前後列の間隔が長くなってしまい、網目の間隔が広くなり魚介類を漁獲できない場合があるからである。45度を超えるとコネクトリング2が桁網を引きずる際の抵抗部材となるおそれがある。
【0012】
(実施形態2)
図2は、本発明に係る底曳漁業用網の他の連結構造を説明するための部分平面図である。図2に示すように、本発明に係る底曳漁業用網は、本体リング5とコネクトリング6とから構成されている。なお図2は、本発明の連結構造を説明するために簡略化された平面図であり、実際の底曳漁業用網は本連結構造が多数連設されたものである。
曳網方向に向って前列にある一体の本体リング5と、その後列に位置する二体の本体リング5,5とは、図2に示す如く互い違いに配列されている。そして前後列の本体リング5同士はコネクトリング6によって連結されている。かかるコネクトリング6は、曳網方向に対して直交せず傾斜方向に向って前後列の本体リング5と連結するように形成されている。
ここで、前記コネクトリング6の曳網方向に対する傾斜角度α,α’は20〜45度である。20度未満では前後列の間隔が長くなってしまい、網目の間隔が広くなる箇所が生じてしまい魚介類を漁獲できない可能性があるからである。45度を超えると曳網方向に対してコネクトリングの抵抗が大きくなりすぎるためである。
【0013】
(実施形態3)
図3は、本発明に係る底曳漁業用網の一例を示す平面図である。図3に示すように本発明に係る底曳漁業用網は、本体リングとコネクトリング12とから構成されている。さらに本体リングは、網の角に位置する4体の角部本体リング10と、角部本体リング10以外であって網の外周部を形成する多数の端部本体リング11とから構成されている。角部本体リング10からは一体のコネクトリング12が隣接する本体リング10に連設している。また、複数の端部本体リング11からは夫々二体のコネクトリング12が隣接する本体リングに連設している。ここで、前記コネクトリング12は、曳網方向に対して20度〜45度の範囲で傾斜している。コネクトリング12の曳網方向に対する傾斜角度を20度に近づけることにより前後の本体リングを近接し網目を拡げることができるため、網の経時劣化に対する耐摩耗性を向上することができる。
【0014】
図4は、図3におけるIII−III矢視断面図である。11は本体リングであり、12はコネクトリングの断面を示す。
本実施形態2に係る底曳漁業用網に用いられる、本体リングの内径はφ90〜100mmである。線径はφ5〜6.5mmである。コネクトリング12の形状を円形状とすることにより、コネクトリングの外周部が海底等に接触した際に自由に回動することになる。このような回動作用によりコネクトリングの摩耗が抑制され結果的に長寿命となる。
【0015】
(実施形態4)
図5は、本発明に係る底曳漁業用桁網の一例を示す断面図である。本実施形態4に係る底曳漁業用桁網は、主にホタテガイを漁獲するために使用される。
図5に示すように、本発明に係る底曳漁業用桁網30は、底曳漁業用網40と、底側に成形された爪42を有する桁枠41と、引手部50と、引手部50に巻き付けられた曳綱51とから構成されている。
ここで底曳漁業用網40は、曳網方向に対して最前列に並置された複数の本体リングと2列目以降に並置された複数の本体リングとが互い違いに配列されており、当該コネクトリングが曳網方向に対して直交せず傾斜方向に向って前後列の本体リング同士が連結されて形成されている。好ましくは、底曳漁業用網の角部を形成する角部本体リングからは一体のコネクトリングが連設し、角部本体リング以外であって底曳漁業用網の外周部を形成する端部本体リングからは二体のコネクトリングが連設している。さらに好ましくは、前記コネクトリングが、曳網方向に対して20〜45度傾斜している。
上記の構造を有する底曳漁業用網40は、さらに底面網(沈子網)47と、側面網(袖網)48と、上面網46とを有し、曳網方向が開口部となる袋状に形成されている。
本実施形態4に係る底曳漁業用桁網30を曳網43を介して漁船に連結し、漁船を航行させることによって底曳漁業用桁網30を引きずることになる。本発明に係る底曳漁業用桁網30は、海底内にいるホタテガイを複数の爪42によって掘り起こし網口45を通して袋状の底曳漁業用網40内に漁獲する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る底曳漁業用網の連結構造を説明するための部分斜視図である。
【図2】本発明に係る底曳漁業用網の他の連結構造を説明するための部分平面図である。
【図3】本発明に係る底曳漁業用網の一例を示す平面図である。
【図4】図2におけるIII−III矢視断面図である。
【図5】本発明に係る底曳漁業用桁網の一例を示す斜視図である。
【図6】底曳網漁業に使用されている従来の桁網を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0017】
1,5 本体リング
2,6,12 コネクトリング
10 角部本体リング
11 端部本体リング
30 底曳漁業用桁網
40 底曳漁業用網
41 桁枠
46 上面網
47 底面網(沈子網)
48 側面網(袖網)
【出願人】 【識別番号】000176833
【氏名又は名称】三菱製鋼株式会社
【出願日】 平成17年12月27日(2005.12.27)
【代理人】 【識別番号】100116713
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 正己

【識別番号】100094709
【弁理士】
【氏名又は名称】加々美 紀雄

【識別番号】100117145
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 純

【識別番号】100078994
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀岳


【公開番号】 特開2007−174906(P2007−174906A)
【公開日】 平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願番号】 特願2005−373826(P2005−373826)