| 【発明の名称】 |
両軸受リールのスプール制動装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】生田 剛
【氏名】川崎 憲一
【氏名】中川 勝二
|
| 【要約】 |
【課題】両軸受リールのスプール制動機構において、簡単な操作で最適なキャスティング条件を即座に見つけ出すことができるようにする。
【解決手段】両軸受リールのスプール制動機構25は、スプール制動ユニット40と、設定つまみ44と、調整つまみ43と、スプール制御ユニット42とを備えている。スプール制動ユニットは、スプール12とリール本体とに設けられ、スプールを制動する電気的に制御可能である。設定つまみは、リール本体に移動自在に設けられ複数の第1操作位置に操作可能である。調整つまみ43は、リール本体に移動自在に設けられ複数の第2操作位置に操作可能である。スプール制動ユニット42は、設定つまみの操作位置及び調整つまみの操作位置に応じてスプール制動ユニットを電気的に制御する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 キャスティングに用いられ、リール本体に回転自在に装着され釣り糸が装着されるスプールを制動する両軸受リールのスプール制動装置であって、 前記スプールと前記リール本体とに設けられ、電気的に制御可能に前記スプールを制動するスプール制動手段と、 前記リール本体に移動自在に設けられ複数の第1操作位置に操作可能な第1操作具と、 前記リール本体に移動自在に設けられ複数の第2操作位置に操作可能な第2操作具と、 前記第1操作具の前記第1操作位置及び前記第2操作具の前記第2操作位置に応じて前記スプール制動手段の制動力を電気的に制御するスプール制御手段と、 備えた両軸受リールのスプール制動装置。 【請求項2】 前記スプール制御手段は、時間的な制動力の変化の度合いが異なる複数の基本制動パターンの強弱をそれぞれ変化させた強弱制動パターンを用いて前記スプール制動手段を制御する、請求項1に記載の両軸受リールのスプール制動装置。 【請求項3】 前記スプール制御手段は、 前記第1操作具の第1操作位置に応じて前記複数の基本制動パターンの少なくともいずれかひとつを含む複数の制動モードのいずれかを選択する第1選択手段と、 前記第2操作具の第2操作位置に応じて選択された前記制動モードの前記複数の強弱制動パターンのいずれかひとつを選択する第2選択手段と、を有し、選択された前記強弱制動パターンにより前記スプール制動手段を制御する、請求項2に記載の両軸受リールのスプール制動装置。 【請求項4】 前記第1操作具の操作を規制する操作規制手段をさらに備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の両軸受リールのスプール制動装置。 【請求項5】 前記スプール制動手段は、 回転方向に並べて配置され極性が交互に異なる複数の磁極を有し前記スプールに連動して回転する回転子と、 前記回転子の周囲に周方向に間隔を隔てて前記リール本体に装着され直列接続された複数のコイルと、 直列接続された前記複数のコイルの両端に接続されたスイッチ手段とを有し、 前記スプール制御手段は、前記スイッチ手段をオンオフ制御することにより前記スプール制動手段を制御する、請求項1から4のいずれか1項に記載の両軸受リールのスプール制動装置。 【請求項6】 前記スプール制御手段は、所定周期のパルス幅変調(PWM)信号のデューティ比を制御することにより前記スイッチ手段のオンオフ制御を行う、請求項5に記載の両軸受リールのスプール制動装置。 【請求項7】 前記複数の基本制動パターンの少なくともいずれかは、キャスティング開始から第1時間経過後に最大制動力の20〜100%の一定の前記デューティ比で第2時間の間前記スプールを制動した後、それより徐々に小さくなるように変化する前記デューティ比で第3時間の間前記スプールを制動するように設定されたパターンである、請求項6に記載の両軸受リールのスプール制動装置。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、制動装置、特に、キャスティングに用いられ、リール本体に回転自在に装着され釣り糸が装着されるスプールを制動する両軸受リールのスプール制動装置に関する。 【背景技術】 【0002】 両軸受リール、特にキャスティングで釣り糸を放出するベイトキャスティングリールには、キャスティング時のバックラッシュを防止するためのスプール制動装置が設けられている。スプール制動装置は、従来、遠心力を利用した遠心制動装置や、磁石により発生する渦電流を利用したマグネット制動装置などが知られている。また、最近では、リール本体に回転自在に装着されたスプールの糸繰り出し方向の回転を電子的に制御して制動する技術が知られている(たとえば、特許文献1参照)。従来の電子制御制動装置は、リール本体の内部に設けられた回路基板と、マイクロコンピュータやスプールの回転速度等を検出するセンサを含み回路基板に配置された複数の電気部品とを備えている。また、スプール軸には、回転方向に並べて配置された複数の磁石が装着されており、回路基板には、磁石の外周に配置されたコイルが接続されている。そして、スプールの回転によりコイルに発生する電力をスイッチングしてスプールを制動している。 【0003】 また、従来の電気制御制動装置では制動力の強弱をダイヤルにより調整できるようになっている。具体的には、コイルと磁石との軸方向の重複度合いを調整することにより変更できるようになっている。 【特許文献1】特開平11−332436号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 キャスティングを行う場合、キャスティング条件は種々に変化する。たとえば、釣り糸の場合、ポリアミド樹脂製の釣り糸と、フロロカーボン製の釣り糸と、ポリエチレン製の釣り糸とでは比重が異なるため、スプールに釣り糸を巻き付けたとき、釣り糸によってスプールの質量が変化し、スプールの慣性モーメントが変化する。また、釣り糸の先端に装着されるルアーなどの仕掛けの質量も仕掛けに応じて変化する。このような慣性モーメントの変化や仕掛けの質量の変化によりキャスティング時のスプール回転速度が変化する。また、フルキャスティングやライトキャスティングなどのキャスティング方法によってキャスティング時のスプール速度が変化する。さらに釣り場の状況、たとえば向かい風や追い風によっては、仕掛けの作用する抵抗が変化しキャスティング時の仕掛けの飛行速度が変化する。 【0005】 前記従来の構成では、ダイヤルにより制動力の強弱を調整できる。このため、仕掛けの質量の変化に対してはダイヤルの調整により対応できることがある。しかし、強弱を段階的に調整することしかできないため、設定された釣り糸と質量が異なる釣り糸を用いた場合や向かい風の場合やフルキャストの場合等のキャスティング条件が変化すると、バックラッシュが生じるおそれがある。また、質量が小さい釣り糸を用いた場合や追い風の場合やライトキャストの場合に、仕掛けが遠くに飛ばなかったり飛びすぎたりする不都合が生じて仕掛けが目標位置からずれ、キャスティング性能を維持できないおそれがある。 【0006】 キャスティング性能を維持するためには、操作具により細かな調整を行えるようにし、キャスティング条件に応じた設定を行えるようにすることが考えられる。しかし、操作具で細かな調整を行おうとすると、微小な移動距離の細かな操作を行わなければならず操作が煩雑になるとともに、キャスティング条件に応じた最適な設定を即座に見つけ出すのが困難である。 【0007】 本発明の課題は、両軸受リールのスプール制動装置において、簡単な操作で最適なキャスティング条件を即座に見つけ出すことができるようにすることにある。 【課題を解決するための手段】 【0008】 発明1に係る両軸受リールのスプール制動装置は、キャスティングに用いられ、リール本体に回転自在に装着され釣り糸が装着されるスプールを制動する装置であって、スプール制動手段と、第1操作具と、第2操作具と、スプール制御手段とを備えている。スプール制動手段は、スプールと前記リール本体とに設けられ、電気的に制御可能にスプールを制動する手段である。第1操作具は、リール本体に移動自在に設けられ複数の第1操作位置に操作可能なものである。第2操作具は、リール本体に移動自在に設けられ複数の第2操作位置に操作可能なものである。スプール制御手段は、第1操作具の第1操作位置及び第2操作具の第2操作位置に応じてスプール制動手段の制動力を電気的に制御するものである。 【0009】 この両軸受リールのスプール制動装置では、第1操作具と第2操作具との2つの操作具を設けたので、たとえば、第1操作具では、キャスティング条件に応じた複数の制動モードから一つを選択できるようにし、第2操作具では、選択した制動モードの強弱を調整できるようにすることができる。また、2つの操作具の操作位置の組み合わせに応じて、制動モードと制動力の強弱との組み合わせを任意に選択できるようにすることもできる。ここでは、制動力を設定するために2つの操作具を設けたので、2つの操作具の機能を使い分けることにより、仕掛けの質量の変化や釣り糸の種類やキャスティング方法や釣り場の状況等の複数のキャスティング条件に応じて制動特性を操作具の移動距離を細かくすることなく細かく調整することができる。このため、2つの操作具を操作することにより、簡単な操作で最適なキャスティング条件を即座に見つけ出すことができるようになる。 【0010】 発明2に係る両軸受リールのスプール制動装置は、発明1に記載の装置において、スプール制御手段は、時間的な制動力の変化の度合いが異なる複数の基本制動パターンの強弱をそれぞれ変化させた強弱制動パターンを用いてスプール制動手段を制御する。この場合には、キャスティング条件に応じて基本制動パターン及びその強弱を選択できるので、種々のキャスティング条件に的確に対応することができる。 【0011】 発明3に係る両軸受リールのスプール制動装置は、発明2に記載の装置において、スプール制御手段は、第1操作具の第1操作位置に応じて複数の基本制動パターンの少なくともいずれかひとつを含む複数の制動モードのいずれかを選択する第1選択手段と、第2操作具の第2操作位置に応じて選択された制動モードの複数の強弱制動パターンのいずれかひとつを選択する第2選択手段と、を有し、選択された強弱制動パターンによりスプール制動手段を制御する。この場合には、第1操作具と第2操作具の役割が明確であるので、制動モードの選択が容易である。 【0012】 発明4に係る両軸受リールのスプール制動装置は、発明1から3のいずれかに記載の装置において、スプール制動手段は、第1操作具の操作を規制する操作規制手段をさらに備える。この場合には、第1操作具の操作を、たとえば、カバーを開けないと第1操作具を操作できないようにしたり、第1操作具を第2操作具より移動抵抗を大きくして移動しにくくしたり、第1操作具の移動をロック・ロック解除できるようにしたりして、規制することにより、釣りを行っているときに、第1操作具が誤って動かないようにすることができる。このため、誤動作による最適な設定の変更が生じにくくなる。 【0013】 発明5に係る両軸受リールのスプール制動装置は、発明1から4のいずれかに記載の装置において、スプール制動手段は、回転方向に並べて配置され極性が交互に異なる複数の磁極を有し前記スプールに連動して回転する回転子と、回転子の周囲に周方向に間隔を隔てて前記リール本体に装着され直列接続された複数のコイルと、直列接続された前記複数のコイルの両端に接続されたスイッチ手段とを有し、スプール制御手段は、スイッチ手段をオンオフ制御することによりスプール制動手段を制御する。この場合には、キャスティング時などのスプール回転中にスイッチ手段をオンオフ制御することにより、コイルを流れる電流に対する負荷を変更して、スプール制動手段を任意の制動力に細かく制御できる 発明6に係る両軸受リールのスプール制動装置は、発明5に記載の装置において、スプール制御手段は、所定周期のパルス幅変調(PWM)信号のデューティ比を制御することによりスイッチ手段のオンオフ制御を行う。この場合には、PWM信号のデューティ比を制御することにより制動力を簡単に制御できる。 【0014】 発明7に係る両軸受リールのスプール制動装置は、発明6に記載の装置において、複数の基本制動パターンの少なくともいずれかは、キャスティング開始から第1時間経過後に最大制動力の20〜100%の一定のデューティ比で第2時間の間スプールを制動した後、それより徐々に小さくなるように変化するデューティ比で第3時間の間スプールを制動するように設定されたパターンである。この場合には、キャスティング直後の比較的回転速度が速い期間に比較的強くスプールを制動することにより張力が急激に大きくなりバックラッシュを防止できるとともに、仕掛けが安定して飛行する。このため、バックラッシュを防止しつつ仕掛けの姿勢を安定させてより遠くに仕掛けをキャスティングできるようになる。また、その後の回転が落ちた状態では、制動力を徐々に弱くすることにより仕掛けの飛距離の減少を防止できる。 【発明の効果】 【0015】 本発明によれば、制動力を設定するために2つの操作具を設けたので、2つの操作具の機能を使い分けることにより、仕掛けの質量の変化や釣り糸の種類やキャスティング方法や釣り場の状況等の複数のキャスティング条件に応じて制動特性を操作具の移動距離を細かくすることなく細かく調整することができる。このため、2つの操作具を操作することにより、簡単な操作で最適なキャスティング条件を即座に見つけ出すことができるようになる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0016】 〔リールの構成〕 図1及び図2において、本発明の一実施形態を採用した両軸受リールは、ベイトキャスト用のロープロファイルの両軸受リールである。このリールは、リール本体1と、リール本体1の側方に配置されたスプール回転用ハンドル2と、ハンドル2のリール本体1側に配置されたドラグ調整用のスタードラグ3とを備えている。 【0017】 ハンドル2は、板状のアーム部2aと、アーム部2aの両端に回転自在に装着された把手2bとを有するダブルハンドル形のものである。アーム部2aは、図2に示すように、ハンドル軸30の先端に回転不能に装着されており、ナット28によりハンドル軸30に締結されている。 【0018】 リール本体1は、例えばアルミニウム合金やマグネシウム合金などの金属製の部材であり、フレーム5と、フレーム5の両側方に装着された第1側カバー6及び第2側カバー7とを有している。リール本体1の内部には糸巻用のスプール12がスプール軸20(図2)を介して回転自在に装着されている。 【0019】 フレーム5内には、図1及び図2に示すように、スプール12と、サミングを行う場合の親指の当てとなるクラッチレバー17(図1参照)と、スプール12内に均一に釣り糸を巻くためのレベルワインド機構18とが配置されている。またフレーム5と第2側カバー7との間には、ハンドル2からの回転力をスプール12及びレベルワインド機構18に伝えるためのギア機構19と、クラッチ機構21と、クラッチレバー17の操作に応じてクラッチ機構21を制御するためのクラッチ制御機構22と、スプール12を制動するドラグ機構23と、スプール12の回転時の抵抗力を調整するためのキャスティングコントロール機構24とが配置されている。また、フレーム5と第1側カバー6との間には、キャスティング時のバックラッシュを抑えるための電気制御式のスプール制動機構(スプール制動装置の一例)25が配置されている。 【0020】 フレーム5は、所定の間隔をあけて互いに対向するように配置された1対の側板8,9と、これらの側板8,9を一体で連結する複数の連結部(図示せず)とを有している。側板8の中心部よりやや上方には、段差を有する円形の開口8aが形成されている。この開口8aには、リール本体1を構成するスプール支持部13がねじ止め固定されている。また、フレーム5の下部には、釣り竿に装着するための竿取付脚部4(図4参照)が一体形成されている。 【0021】 スプール支持部13は、図3に示すように、開口8aに着脱自在に装着される扁平な略有底筒状の部材である。スプール支持部13の壁部13aの中心部には、内外方に向けて突出する筒状の軸受収納部13bが一体形成されている。軸受収納部13bの内周面には、スプール軸20の一端を回転自在に支持するための軸受26bが装着されている。また、軸受収納部13bの底部(図3左端部)には、キャップ部材14が着脱自在に装着されている。キャップ部材14には、キャスティングコントロール機構24の摩擦プレート51が装着されている。キャップ部材14は、軸受収納部13bの内周面にねじ込み固定される。軸受収納部13bの内周面とキャップ部材14との間は、Oリング15によりシールされている。軸受26bは、金属製材を多角形(たとえば5角形)に折り曲げた線材製の抜け止め部材26cにより軸受収納部13bに対して抜け止めされている。抜け止め部材26cの角部は、軸受収納部13bの内周面に形成された環状溝に係止されている。このようなキャップ部材14を軸受収納部13bに着脱自在に設けることにより、キャップ部材14を外すと軸受26bを軸受収納部13bの外側(図4左側)から装着することができ、軸受26bを着脱しやすくなる。また、軸受26bへの注油も容易になる。 【0022】 図2及び図4に示すように、第1側カバー6は、側板9に開閉自在に装着されている。具体的には、フレーム5の後下部において、両側板8,9に回動自在かつ軸方向所定範囲移動可能に支持された揺動軸90により第1側カバー6は開閉自在になっている。揺動軸90は、ばね部材91により軸方向外方に付勢されており、この揺動軸90の先端に第1側カバー6は固定されている。フレーム5の後部には、揺動軸90回りに回動する開閉操作用の操作レバー92が回動自在に装着されている。操作レバー92の中心には、揺動軸90が貫通しており、操作レバー92の一方向の回動操作により第1側カバー6を開けることができる。また、第1側カバー6をしめた状態で他方向に操作することにより第1側カバー6を閉状態でロックすることができる。第1側カバー6には、後述する設定つまみ(第1操作具の一例)44を露出させるための開口部6aが形成されている。第2側カバー7は、図2に示すように、ハンドル2側に配置され、フレーム5に、たとえば、ねじにより固定されている。 【0023】 スプール12は、図2に示すように、両側部に皿状のフランジ部12a,12bを有しており、両フランジ部12a,12bの間に筒状の糸巻胴部12cを有している。図2左側のフランジ部12aの外周面は、糸噛みを防止するために開口8aの内周側に僅かな隙間をあけて配置されている。スプール12は、糸巻胴部12cの内周側を貫通するスプール軸20にたとえばセレーション結合により回転不能に固定されている。この固定方法はセレーション結合に限定されず、キー結合やスプライン結合等の種々の結合方法を用いることができる。左側のフランジ部の外側面には、後述する回転速度センサ41の検出子として機能する、周方向に間隔を隔てて形成された多数の図示しないスリットを有するスリットリング12dが一体形成されている。 【0024】 スプール軸20は、たとえばSUS304等の非磁性金属製であり、側板9を貫通して第2側カバー7の外方に延びている。その延びた一端は、第2側カバー7に設けられたボス部7bの内周面に装着された軸受26aにより回転自在に支持されている。軸受26aは、抜け止め部材26cと同様な構成の抜け止め部材26dにより抜け止めされている(図6参照)。またスプール軸20の他端は前述したように軸受26bにより回転自在に支持されている。スプール軸20の中心には、大径部20aが形成されており、両端に軸受26a,26bに支持される小径部20b,20cが形成されている。なお、軸受26a,26bは、たとえばSUS440Cに特殊耐食性被膜をコーティングしたものである。 【0025】 さらに、図3に示すように、左側の小径部20cと大径部20aとの間には両者の中間の外径を有する、後述する磁石61を装着するための磁石装着部20dが形成されている。磁石装着部20dには、たとえば、SUM(押出・切削)等の鉄材の表面に無電解ニッケルめっきを施した磁性体製の磁石保持部27がたとえばセレーション結合により回転不能に固定されている。磁石保持部27は、図5に示すように、断面が正方形で中心に磁石装着部20dが貫通する貫通孔27aが形成された四角柱状の部材である。磁石保持部27の固定方法はセレーション結合に限定されず、キー結合やスプライン結合等の種々の結合方法を用いることができる。 【0026】 スプール軸20の大径部20aの右端は、図2に示すように、側板9の貫通部分に配置されており、そこにはクラッチ機構21を構成する係合ピン29が固定されている。係合ピン29は、直径に沿って大径部20aを貫通しており、その両端が径方向に突出している。 【0027】 クラッチレバー17は、図1に示すように、1対の側板8,9間の後部でスプール12後方に配置されている。クラッチレバー17は側板8,9間で上下方向にスライドする。クラッチレバー17のハンドル装着側には、係合軸(図示せず)が側板9を貫通して一体形成されている。この係合軸は、クラッチ制御機構22に係合している。 【0028】 レベルワインド機構18は、図2に示すように、スプール12の前方で両側板8,9に回転自在支持され、外周面に交差する螺旋状溝46aが形成された螺軸46と、螺軸によりスプール軸方向に往復移動して釣り糸を案内する釣り糸案内部47とを有している。螺軸46は、ギア機構19に連動して回転し、螺軸46の回転により釣り糸案内部47が図2左右方向に往復移動して釣り糸をスプール12に均等に案内する。 【0029】 ギア機構19は、ハンドル軸30と、ハンドル軸30に固定されたメインギア31と、メインギア31に噛み合う筒状のピニオンギア32とを有している。ハンドル軸30は、側板9及び第2側カバー7に回転自在に装着されており、ワンウェイクラッチ90により糸繰り出し方向の回転(逆転)が禁止されている。メインギア31は、ハンドル軸30に回転自在に装着されており、ハンドル軸30とドラグ機構23を介して連結されている。 【0030】 ピニオンギア32は、側板9の外方から内方に延び、中心にスプール軸20が貫通する筒状部材であり、スプール軸20に軸方向に移動自在に装着されている。また、ピニオンギア32の図2左端側は、軸受33により側板9に回転自在かつ軸方向移動自在に支持されている。ピニオンギア32の図2左端部には係合ピン29に噛み合う噛み合い溝32aが形成されている。この噛み合い溝32aと係合ピン29とによりクラッチ機構21が構成される。また中間部にはくびれ部32bが、右端部にはメインギア31に噛み合うギア部32cがそれぞれ形成されている。 【0031】 クラッチ制御機構22は、ピニオンギア32のくびれ部32bに係合してピニオンギア32をスプール軸20方向に沿って移動させるクラッチヨーク35を有している。クラッチヨーク35は、クラッチレバー17の移動に応じてスプール軸20方向に移動する。また、クラッチ制御機構22は、スプール12の糸巻取方向の回転に連動してクラッチ機構21をクラッチオンさせるクラッチ戻し機構(図示せず)を有している。 【0032】 キャスティングコントロール機構24は、図2及び図6に示すように、スプール軸20の両端を挟むように配置された複数の摩擦プレート51と、摩擦プレート51によるスプール軸20の挟持力を調節するための制動キャップ52と、制動キャップ52の回転により発音する発音機構53と、を有している。左側の摩擦プレート51は、前述したようにキャップ部材14の内部に装着されている。右側の摩擦プレート51は、制動キャップ52の内部に装着されており、コイルばね51aにより内側(図6左側)に付勢されている。制動キャップ52は、ボス部7bの外周面に螺合している。制動キャップ52とボス部7bの外周面との間には、制動キャップ52を回り止めするととともに、内部への液体等の異物の侵入を防止するためにOリング54が装着されている。 【0033】 発音機構53は、制動キャップ52に進退自在に装着された音出しピン53aと、音出しピン53aが衝突する音出し凹部53bが周方向に間隔を隔てて形成された音出し部材53cとを有している。音出しピン53aは、コイルばね53dにより音出し凹部53bに向けて付勢されている。音出し部材53cは、制動キャップ52に回転自在に装着されているとともに、ボス部7bに形成された係止突起7cに回転不能に係止されている。したがって、音出し部材53cは、音出しピン53aに対して相対回転する。制動キャップ52の内周面には、環状の抜け止め溝52bが形成されており、音出し部材53cは、抜け止め部材26cと同様な構成の多角形(たとえば6角形)の線材製の抜け止め部材により制動キャップ52に対して抜け止めされている。抜け止め部材39は、制動キャップ52の内周面に形成された環状の抜け止め溝52bに装着されている。これにより、制動キャップ52をボス部7bから外しても音出しピン53aが脱落しなくなり、音出しピン53aの紛失を防止できる。また、音出し部材53cの内周部は、右側の摩擦プレート51の外周部より内側に位置している。したがって、コイルばね51aにより付勢された右側の摩擦プレート51の脱落を防止できる。 【0034】 制動キャップ52には、スプール軸20と平行に貫通する外側が小径の段付き孔52aが形成されており、段付き孔52aには、回動位置によりキャスティングコントロール機構24のコントロール度合いを示す指針部材37が装着されている。指針部材37は赤色で透光性を有するルビー製の段付き円柱状の部材であり、先端側の小径部37aが外部に露出している。基端側の大径部37bの底面には、リング形状の反射部材38が配置されている。反射部材38は、制動キャップ52に形成された環状凹部52cに接着等の適宜の固定手段により固定されている。このように、ルビー製の指針部材37の底面に反射部材38を配置することにより、指針部材37を透過した外部からの光が反射し、指針部材37が輝く。このため、指針部材37の回動位置を容易に視認でき、キャスティングコントロール機構24のコントロール度合いを瞬時に認識できる。 【0035】 〔スプール制動機構の構成〕 スプール制動機構25は、図3から図5及び図7に示すように、スプール12とリール本体1とに設けられたスプール制動ユニット(スプール制動手段の一例)40と、複数(たとえば8つ)の操作位置(第2操作位置の一例)に操作可能な調整つまみ(第2操作具の一例)43と、複数(たとえば4つ)の操作位置(第1操作位置の一例)に操作可能な設定つまみ(第1操作具の一例)44と、調整つまみ43及び設定つまみ44の操作位置に応じてスプール制動ユニット40を電気的に制御するスプール制御ユニット(スプール制御手段の一例)42とを有している。また、スプール制動機構25は、釣り糸に作用する張力を検出するための回転速度センサ41をさらに有している。 【0036】 スプール制動ユニット40は、スプール12を発電により制動する電気的に制御可能なものである。スプール制動ユニット40は、スプール軸20に回転方向に並べて配置された4つの磁石61を含む回転子60と、回転子60の外周側に対向して配置され直列接続されたたとえば4つのコイル62と、直列接続された複数のコイル62の両端が接続されたスイッチ素子63とを備えている。スプール制動ユニット40は、磁石61とコイル62との相対回転により発生する電流を、スイッチ素子63によりオンオフすることによりスプール12を制動する。スプール制動ユニット40で発生する制動力はスイッチ素子63のオン時間の長さに応じて大きくなる。 【0037】 回転子60の4つの磁石61は、周方向に並べて配置され極性が交互に異なっている。磁石61は、図5に示すように、磁石保持部27と略同等の長さを有する部材であり、その外側面61aは断面円弧状の面であり、内側面61bは平面である。この内側面61bがスプール軸20の磁石保持部27の外周面に接触して配置されている。磁石61の両端部は、たとえばSUS304等の非磁性体製の円形皿状のキャップ部材65a,65bにより挟持され、スプール軸20に対して回転不能に磁石保持部27に装着されている。このようにキャップ部材65a,65bにより磁石61を保持することにより、キャップ部材65a,65bが非磁性体製であるので、磁力を弱めることなくスプール軸20上での磁石の組立を容易にできるとともに、組立後の磁石の比強度を高めることができる。 【0038】 磁石61の図4左端面と軸受26bとの距離は2.5mm以上離れている。図4右側のキャップ部材65aは、スプール軸20の大径部20aと磁石装着部20dとの段差と磁石保持部27とに挟まれてそれより右方への移動が規制されている。 【0039】 軸受26bとの間に配置された左側のキャップ部材65bには、たとえば、SPCC(板材)等の鉄材の表面に無電解ニッケルめっきを施した磁性体製のワッシャ部材66が装着されている。ワッシャ部材66は、スプール軸20に装着されたたとえばE型止め輪67により抜け止めされている。このワッシャ部材66の厚みは0.5mm以上2mm以下であり、外径は軸受26bの外径の60%以上120%以下である。このような磁性体製のワッシャ部材66を設けることにより、磁石61の近くに配置される軸受26bが磁化されにくくなる。このため、磁石61の近くに軸受26bを配置してもスプール12の自由回転時の回転性能に影響を与えにくくなる。また、磁石61と軸受26bとの距離を2.5mm以上離したことも軸受26bを磁化しにくくしている。 【0040】 糸巻胴部12cの内周面の磁石61に対向する位置には、たとえば、SUM(押出・切削材)等の鉄材の表面に無電界ニッケルめっきを施した磁性体製のスリーブ68が装着されている。スリーブ68は、糸巻胴部12cの内周面に圧入又は接着などの適宜の固定手段により固定されている。このような磁性体製のスリーブ68を磁石61に対向して配置すると、磁石61からの磁束がコイル62を集中して通過するので、発電及びブレーキ効率が向上する。 【0041】 コイル62は、コギングを防止してスプール12の回転をスムーズにするためにコアレスタイプのものが採用されている。さらにヨークも設けていない。コイル62は、巻回された芯線が磁石61に対向して磁石61の磁場内に配置されるように略矩形に巻回されている。4つのコイル62は直列接続されており、その両端がスイッチ素子63に接続されている。コイル62は、磁石61の外側面61aとの距離が略一定になるようにスプール軸芯に対して実質的に同芯の円弧状にスプール12の回転方向に沿って湾曲して成形されている。このため、コイル62と回転中の磁石61との隙間を一定に維持することができる。4つのコイル62は、たとえば合成樹脂製のリング状のコイルホルダ69(図3参照)によりまとめられており、表面はニスなどの絶縁被膜により覆われている。コイルホルダ69は、スプール制御ユニット42を構成する後述する回路基板70に固定されている。なお図5ではコイル62を主に描くためにコイルホルダ69は、二点鎖線で図示している。このように、4つのコイル62が合成樹脂製のコイルホルダ69に装着されているので、コイル62を回路基板70に装着しやすくなるとともに、コイルホルダ69が合成樹脂製であるので、磁石61による磁束を乱すことがない。 【0042】 スイッチ素子63は、たとえば高速でオンオフ制御できる並列接続された2つのFET(電界効果トランジスタ)を有している。FETの各ドレイン端子に、直列接続されたコイル62が接続されている。このスイッチ素子63は回路基板70の裏面(フランジ部12aと対向する表面と逆側の面)に装着されている。 【0043】 回転速度センサ41は、たとえば、投光部と受光部とが対向して配置された側面視C字状の投受光型の光電センサを用いており、回路基板70のスプール12のフランジ部12aに対向する表面に配置されている。この回転速度センサ41の投受光部の間にスリットリング12dが配置される。この回転速度センサ41からの信号によりスプール12の回転速度を検出して釣り糸に作用する張力を検出する。 【0044】 調整つまみ43は、図8から図11に示す制動パターンで動作する各制動モードの強弱を8段階に調整するために設けられている。なお、図8から図10に示す制動パターンについては後で詳述するが、基本的にナイロン製の釣り糸を基準に設定されている。 【0045】 調整つまみ43は、図3〜図5に示すように、リール本体1を構成するスプール支持部13に回動自在に装着されている。調整つまみ43は、たとえば合成樹脂製の円盤状のつまみ本体73と、つまみ本体73の中心に位置してスプール支持部13を貫通する回動軸74とを有している。回動軸74は、つまみ本体73と一体形成されており、ボルト部材78bにより後述する第2回転位置識別センサ45bとともにスプール支持部13に回転自在に装着されている。つまみ本体73の開口部6aに臨み外部に露出する外側面には、外側に脹らむつまみ部73aが形成されている。つまみ部73aの周囲は凹んでおり調整つまみ43を操作しやすくなっている。 【0046】 つまみ部73aの一端には僅かに凹んで指針73bが形成されている。指針73bに対向する第1側カバー6の開口部6aの周囲には、制動力の強弱の段階を示す8つのマーク75が等間隔に印刷やシールなどの適宜の形成方法により形成されている。調整つまみ43を回して指針73bをマーク75のいずれかに合わせることにより制動パターンの強弱又は制動パターン及び精度力の強弱を8段階に設定できる。また、つまみ本体73の背面には、調整つまみ43の8段階の操作位置のいずれが選択されたかを検出するための第2回転位置識別センサ45bが回転不能に装着されている。第2回転位置識別センサ45bは、回路基板70に形成された8つの識別パターン(図示せず)に接触して識別パターンを短絡する導電体製のブラシ部材45dを有しており、制御部55は、いずれの識別パターンを短絡したかにより調整つまみ43の回動位置を検出する。なお、スプール支持部13の内側壁部には、第2回転位置識別センサ45bを収納する円柱状の第2収納空間13eが形成されている。第2収納空間13eと回路基板70との間には、シール部材79aが装着されており、内部への液体の浸入を防止している。また、回動軸74とスプール支持部13の貫通部分との間にもOリング79bが装着されており、内部への液体の浸入を防止している。 【0047】 つまみ本体73とスプール支持部13の壁部13aの外側面との間には位置決め機構77が設けられている。位置決め機構77は、調整つまみ43を8段階の操作位置で位置決めするとともに、回動操作時に発音する機構である。位置決め機構77は、図5に示すように、つまみ本体73の背面に形成された凹部73cに装着された位置決めピン77aと、位置決めピン77aの先端が係合する8つの位置決め穴77bと、位置決めピン77aの位置決め穴77bに向けて付勢する付勢部材77cとを有している。位置決めピン77aは、小径の頭部とそれより大径の鍔部と小径の軸部とを有する軸状の部材であり、頭部は半球状に形成されている。位置決めピン77aは、凹部73cに進退自在に装着されている。8つの位置決め穴77bは、スプール支持部13の壁部13aの外側面に貫通孔の周囲に固定された扇形の補助部材13fに周方向に間隔を隔てて形成されている。位置決め穴77bは、指針73bが8つのマーク75のいずれかに一致するように形成されている。 【0048】 設定つまみ44は、キャスティング条件に応じた制動モードを設定するために設けられている。設定つまみ44は、図4及び図5に示すように、調整つまみ43と離反した位置でスプール支持部13に回動自在に装着されている。ただし、設定つまみ44は、あまり頻繁に操作する必要がないため、操作が規制されている。具体的には、設定つまみ44の操作を規制するために、設定つまみ44は、第1側カバー6の内側に配置されており外部に露出しない。したがって、第1側カバー6は操作規制手段として機能し、設定つまみ44を操作する場合には、第1側カバー6を開ける必要がある。このため、釣りを行っているときに、設定つまみ44が誤って動かないようにすることができ、誤動作による最適な制動モードの設定変更が生じにくくなる。 【0049】 設定つまみ44は、たとえば合成樹脂製の円盤状のつまみ本体83と、つまみ本体83の中心に位置してスプール支持部13を貫通する回動軸84とを有している。回動軸84は、つまみ本体83と一体形成されており、ボルト部材78aにより後述する第1回転位置識別センサ45aとともにスプール支持部13に回転自在に装着されている。つまみ本体73の外側面には、外側に脹らむつまみ部83aが形成されている。 【0050】 つまみ部83aの一端には僅かに凹んで指針83bが形成されている。指針83bの周囲において側板8には、設定された制動パターンに応じた後述する制動モードを示す4つの文字(L,M,A,W)85が等間隔に印刷やシールなどの適宜の形成方法により形成されている。設定つまみ44を回して指針83bを文字85のいずれかに合わせることによりキャスティング条件に応じた4つの制動モードのいずれかに設定できる。また、つまみ本体83の背面には、設定つまみ44の4つの操作位置のいずれが選択されたかを検出するための第1回転位置識別センサ45aが回転不能に装着されている。第1回転位置識別センサ45aは、回路基板70に形成された4つの識別パターン(図示せず)に接触して識別パターンを短絡する導電体製のブラシ部材45cを有しており、制御部55は、いずれの識別パターンを短絡したかにより設定つまみ44の回動位置を検出する。なお、スプール支持部13の内側壁部には、第1回転位置識別センサ45aを収納する円柱状の第1収納空間13dが形成されている。第1収納空間13dと回路基板70との間には、図示しないシール部材が装着されており、内部への液体の浸入を防止している。また、回動軸84とスプール支持部13の貫通部分との間にも図示しないOリングが装着されており、内部への液体の浸入を防止している。 【0051】 つまみ本体83とスプール支持部13の壁部13aの外側面との間には位置決め機構87が設けられている。位置決め機構87は、設定つまみ44を4段階の操作位置で位置決めするとともに、回動操作時に発音する機構である。位置決め機構87は、図5に示すように、つまみ本体83の背面に形成された凹部83cに装着された位置決めピン87aと、位置決めピン87aの先端が係合する8つの位置決め穴87bと、位置決めピン87aの位置決め穴87bに向けて付勢する付勢部材87cとを有している。位置決めピン87aは、小径の頭部とそれより大径の鍔部と小径の軸部とを有する軸状の部材であり、頭部は半球状に形成されている。位置決めピン87aは、凹部83cに進退自在に装着されている。4つの位置決め穴87bは、スプール支持部13の壁部13aの外側面に貫通孔の周囲に周方向に間隔を隔てて形成されている。位置決め穴87bは、指針83bが4つの文字85のいずれかに一致するように形成されている。 【0052】 スプール制御ユニット42は、スプール支持部13のスプール12のフランジ部12aに対向する外壁面に装着された回路基板70と、回路基板70に搭載された制御部55とを有している。 【0053】 回路基板70は、中心が円形に開口する座金形状のリング状の基板であり、軸受収納部13bの外周側にスプール軸20と実質的に同芯に配置されている。回路基板70は、スプール支持部13の壁部13aの内側面に3本のビス92により固定されている。この回路基板70をビス92により固定する際には、たとえば、軸受収納部13bに仮置きされた治具を利用して芯出しし、回路基板70がスプール軸芯に対して実質的に同芯に配置されるようにしている。これにより、回路基板70をスプール支持部13に装着すると、回路基板70に固定されたコイル62がスプール軸芯と実質的に同芯に配置される。 【0054】 ここでは、回路基板70がリール本体1を構成するスプール支持部13の開放された外壁面に装着されているので、第1側カバー6との間の空間に装着する場合に比べてリール本体1のスプール軸方向の寸法を小さくすることができ、リール本体1の小型化を図れる。また、回路基板70がスプール支持部13のスプール12のフランジ部12aと対向する面に装着されているので、回転子60の周囲に配置されたコイル62を回路基板70に直接取り付けることができる。このため、コイル62と回路基板70とを接続するリード線が不要になり、コイル62と回路基板70との絶縁不良を軽減できる。しかも、コイル62がスプール支持部13に取り付けられた回路基板70に装着されているので、回路基板70をスプール支持部13に取り付けるだけでコイル62もスプール支持部13に装着される。このため、スプール制動機構25を容易に組み立てできる。 【0055】 制御部55は、図7に示すように、たとえばCPU55a,RAM55b,ROM55c及びI/Oインターフェイス55d等が搭載され回路基板70に配置されたマイクロコンピュータ59から構成されている。制御部55のROM55cには、制御プログラムが格納されるとともに、4種類以上の基本となる基本制動パターンやキャスティング条件に応じた各制動モードにおける、使用する基本制動パターンの種類や基本制動パターンの8段階の強弱の度合いなどのデータが格納されている。また、各制動モードにおける張力の設定値や回転速度の設定値やタイミングを規定する時間データなども格納されている。なお、この実施形態では、同じ制動モードでも、強弱の段階により異なる基本制動パターンを使用することがある。 【0056】 制御部55には、スプール12の回転速度を検出する回転速度センサ41と、設定つまみ44の回動位置を検出するための第1回転位置識別センサ45aと、調整つまみ43の回動位置を検出するための第2回転位置識別センサ45bとが接続されている。また、制御部55には、スイッチ素子63の各FETのゲートが接続されている。制御部55は、各センサ41,45a,45bからのパルス信号によりスプール制動ユニット40のスイッチ素子63を後述する制御プログラムにより、たとえば周期1/1000秒のPWM(パルス幅変調)信号によりオンオフ制御する。具体的には、制御部55は、設定つまみ44の4つの操作位置と調整つまみの8つの操作位置との組み合わせに応じて、キャスティングの経過時間とともにデューティ比Dを変化させた4種類の制動パターン及び8周類の強弱の組み合わせのいずれかを選択してスイッチ素子63をオンオフ制御する。 【0057】 第1及び第2回転位置識別センサ45a,45bは、前述したように、回路基板70に形成された識別パターンを短絡するブラシ部材45c,45dを有している。 【0058】 整流回路58はスイッチ素子63に接続されており、回転子60とコイル62とを有し、発電機として機能するスプール制動ユニット40からの交流電流を直流に変換しかつ電圧を安定化して制御部55や回転速度センサ41に出力する。なお、整流回路58も回路基板70に搭載されている。 【0059】 〔実釣時のリールの操作及び動作〕 キャスティングを行うときには、クラッチレバー17を下方に押圧してクラッチ機構21をクラッチオフ状態にする。このクラッチオフ状態では、スプール12が自由回転状態になり、キャスティングを行うと仕掛けの重さにより釣り糸がスプール12から勢いよく繰り出される。このキャスティングによりスプール12が回転すると、磁石61がコイル62の内周側を回転して、スイッチ素子63をオンするとコイル62に電流が流れスプール12が制動される。キャスティング時にはスプール12の回転速度は徐々に速くなり、ピークを越えると徐々に減速する。 【0060】 ここでは、磁石61を軸受26bの近くに配置しても、その間に磁性体製のワッシャ部材66を配置しかつ軸受26bとの間隔を2.5mm以上離したので、軸受26bが磁化しにくくなりスプール12の自由回転性能が向上する。また、コイル62をコアレスコイルとしたので、コギングが生じにくくなり、さらに自由回転性能が向上する。 【0061】 仕掛けが着水すると、ハンドル2を糸巻取方向に回転させて図示しないクラッチ戻し機構によりクラッチ機構21をクラッチオン状態にし、リール本体1をパーミングしてアタリを待つ。 【0062】 〔制御部の制御動作〕 次に、キャスティング時の制御部55の概略のブレーキ制御について、各制動モードの制動パターンを示すグラフに基づいて説明する。なお、制動パターンは、キャスティング開始からの制動時間で制動力(スイッチ素子63のデューティ比)が変化するパターンである。本発明者等は、張力が所定以下になったときに大きな制動力を作用させると、回転速度のピークの手前で仕掛け(ルアー)の姿勢が反転して安定して飛行することを知見した。この回転速度のピークの手前で制動して安定した姿勢で仕掛けを飛行させるために以下の制御を行う。すなわち、キャスティング当初では、もっとも高いデューデューティ比で短時間強い制動力を作用させて仕掛けを反転させる。その後、デューティ比を徐々に下げて制動力を弱くする。 【0063】 このスプール制動機構25では、図8から図11に示す4種類の制動モードにおいて、8段階の強弱調整が可能である。ここで、縦軸はデューティ比を示し、横軸はキャスティングからの経過時間を示している。図8に示す制動モードは、遠投用の制動モードLであり、図9に示す制動モードは、標準的な制動モードMである。また、図10に示す制動モードは、近距離に正確にキャスティングするために急激で強い制動を行う制動モードAであり、図11に示す制動モードは、ナイロン製の釣り糸に比べて高比重のフロロラインや向かい風の場合に使用する際に用いる制動モードWである。 【0064】 各制動モードに共通する制御としては、キャスティング時のスプール12の回転開始時には制動を行わず、張力が所定以下になったときに制動を開始する。また、制動開始から回転速度のピークを過ぎた第1所定時間T1(たとえば0.2秒〜0.5秒程度)の間は各制動モードの最大値で制動する。 【0065】 図8に示す制動モードLでは、弱い方の第1から第3段階の制動パターン(DL1〜DL3)は、たとえば、遠投競技などの特殊な用途に対応したパターンであり、この3段階では、制動開始から第1所定時間T1(たとえば0.2〜0.5秒)間、各段階で最大デューティ比を付与し、第1所定時間T1経過後に徐々にデューティ比を下げ、その途中でサミングに相当する制動力を付与するために、制動開始から第2所定時間T2(たとえば、1秒)経過後に各制動パターンにおける最大デューティ比に近いデューティ比を瞬間的に付与し、その後デューティ比を徐々に下げていく。これにより、釣り糸の繰り出し速度がスプールの回転速度を上回って糸ふけするバックラッシュを効果的に防止できる。第4から第8段階までの制動パターン(DL4〜DL8)は、たとえば、メタルジグなどの遠投に対応したパターンであり、ここでは、制動開始から第1所定時間T1(たとえば0.2〜0.5秒)経過後に徐々にデューティ比を下げる。なお制動モードLでは、最大の制動パターンDL8でも最大デューティ比は50%以下である。したがって、制動モードLでは、第1から第3段階と第4から第8段階とで、基本制動パターンが異なっている。 【0066】 図9に示す制動モードMでは、弱い方の第1及び第2段階の制動パターン(DM1及びDM2)では、制動開始から第1所定時間T1(たとえば0.2〜0.5秒)経過後にデューティ比を徐々に下げる。このデューティ比の下降パターン(デューティ比の時間的変化の状態)は、制動モードLと同じであり、制動モードLの第9及び第10段階に相当する。第3から第5段階までの制動パターン(DM3〜DM5)は、たとえば、よく飛ぶ重いミノーなどに対応したパターンであり、ここでは、第1所定時間T1(たとえば0.2〜0.5秒)経過後に、デューティ比を徐々に下げる。このときのデューティ比の下降パターンは、制動モードLより第1所定時間T1(たとえば0.2〜0.5秒)経過後の下降度合いが大きい。なお、この実施形態では、第3段階の制動パターンDM3は、第2段階の制動パターンDM2と最大デューティ比は同じであり、下降度合いが異なる。また、第6から第8段階の制動パターン(DM6〜DM8)は、飛びにくいミノーなどに対応したパターンであり、ここでは、制動開始から第1所定時間T1(たとえば0.2〜0.3秒)経過後にデューティ比を徐々に下げる。すなわち、各段階における最大デューティ比を付与する第1所定時間T1を短くする。なお制動モードMでは、最大の制動パターンDM8で最大デューティ比は90%以下である。したがって、制動モードMでは、第1から第2段階と、第3から第5段階と、第6から第8段階とで、基本制動パターンが異なっている。 【0067】 図10に示す制動モードAでは、各段階(DA1〜DA8)でそれぞれ強く一定に近い制動力を与えるために、一定のデューティ比を付与する。これにより近距離を速い初速で打ち込むキャスティングに対応することができる。なお、各段階の最大デューティ比は、制動モードLと同じである。したがって、制動モードAでは、各段階で同じ基本制動パターンを使用している。 【0068】 図11に示す制動モードWでは、制動開始から第1所定時間T1(たとえば0.2〜0.3秒)経過後に制動モードMの第6から第8段階(DM6〜DM8)と同じ下降度合いでデューティ比を徐々に下げる。なお、なお、各段階の最大デューティ比は、制動モードLと同じである。これにより、向かい風や高比重のフロロラインに対応しやすくなる。したがって、制動モードWでは、各段階で同じ基本制動パターンを使用している。 【0069】 次に、制御部55の具体的なブレーキ制御動作について、図12の制御フローチャートを参照しながら説明する。 【0070】 キャスティングには、スプール12が回転してコイル44から電源が投入されると、ステップS1で初期設定が行われる。ここでは、各種のフラグや変数がリセットされる。ステップS2では、第1回転位置識別センサ45aからの信号により設定つまみ44によっていずれの制動モードが選択されたかを判断する。ステップS3では、第2回転位置識別センサ45bからの信号により調整つまみ43によって何れの段階が選択されたかを判断する。ステップS4では、ROM55cから選択された制動モード及びその段階に応じた制動パターンを読み出し、読み出した制動パターンをRAM55bにセットする。以降は、次につまみ43,44が変更操作されるまでこの変更された制動パターンで制動動作が行われる。また、以降の制御で制御部55内のRAM55bから制動パターンに応じたデューティ比Dが読み出される。ステップS5では、回転速度センサ41からのパルスによりキャスティング当初のスプール12の回転速度Vを検出する。ステップS7では、スプール12から繰り出される釣り糸に作用する張力Fを算出する。 【0071】 ここで、張力Fは、スプール12の回転速度の変化率(Δω/Δt)とスプール12の慣性モーメントJとで求めることができる。ある時点でスプール12の回転速度が変化すると、このとき、もしスプール12が釣り糸からの張力を受けずに単独で自由回転していた場合の回転速度との差は釣り糸からの張力により発生した回転駆動力(トルク)によるものである。このときの回転速度の変化率を(Δω/Δt)とすると、駆動トルクTは、下記(1)式で表すことができる。 【0072】 T=J×(Δω/Δt)・・・・・(1) (1)式から駆動トルクTが求められれば、釣り糸の作用点の半径(通常は15〜20mm)から張力を求めることができる。 【0073】 ステップS8では、回転速度の変化率(Δω/Δt)と慣性モーメントJとにより算出された張力Fが所定値Fs(たとえば、0.5〜1.5Nの範囲のいずれかの値)以下か否か判断する。所定値Fsを超えている場合にはステップS9に移行してデューティ比Dを10に、つまり周期の10%だけスイッチ素子63をオンするように制御し、ステップS2に戻る。これにより、スプール制動ユニット40はスプール12を僅かに制動するが、スプール制動ユニット40が発電するため、スプール制御ユニット42が安定して動作する。 【0074】 張力Fが所定値Fs以下になるとステップS11に移行する。ステップS11では、RAM55bから制動パターンに応じたデューティ比Dが読み出されて、スイッチ素子63をPWM制御する。この実施形態では、制動力が最大の時、すなわち、各段階のデューティ比Dが最も大きいときから徐々にデューティ比が小さくなる。このように仕掛けに合わせて強い制動力を短時間作用させると仕掛けの姿勢が釣り糸係止部分から反転して釣り糸係止部分が手前になって仕掛けが飛行する。これにより仕掛けの姿勢が安定して仕掛けがより遠くに飛ぶようになる。 【0075】 ステップS12では、速度Vが制動終了速度Ve以下になったか否かを判断する。速度Vが制動終了速度Veを超えている場合にはステップS2に戻り、一連のキャスティングにおける制動処理を終了し、それを超える場合は、ステップS11に戻る。 【0076】 ここでは、制動力を設定するために、2つの操作具である調整つまみ43及び設定つまみ44を設けたので、2つのつまみ43,44の機能を使い分けることにより、仕掛けの質量の変化や釣り糸の種類やキャスティング方法や釣り場の状況等の複数のキャスティング条件に応じて制動特性をつまみ43,44の移動距離を細かくすることなく細かく調整することができる。このため、2つのつまみ43,44を操作することにより、簡単な操作で最適なキャスティング条件を即座に見つけ出すことができるようになる。 【0077】 〔他の実施形態〕 (a)前記実施形態では、スプール軸に磁石を配置し、リール本体にコイルを配置したが、スプールがスプール軸に対して回転自在な両軸受リールの場合、スプール軸にコイルを配置し、スプールに磁石を配置してもよい。また、スプールのフランジ部に磁石を設け、回路基板の磁石と対向する位置にコイルを設けてもよい。この場合、コイルを扁平な薄型にしてもよい。 【0078】 (b)前記実施形態では、制動パターンの段階を8段階として、モードを4種類としてが、これらは例示であり、これらの段階や種類は適宜の値に設定できる。 【0079】 (c)前記実施形態では、ROM55cに、基本制動パターンとその強弱を記憶しているが、全ての制動パターンを記憶するようにしてもよい。 【0080】 (d)前記実施形態では、各制動モードにおいて複数の基本制動パターンを使用しているが、各制動モードで一つの基本制動パターンを使用し、それを調整つまみの操作位置に応じてシフトするようにしてもよい。 【0081】 (e)前記実施形態では、ローププロファイルの両軸受リールを例に本発明を説明したが、図13に示すように、丸形の両軸受リールにも本発明を適用できる。なお、図13では、調整つまみ143とともに設定つまみ144も外部に露出している。両軸受リールは、リール本体101は、フレーム105と、フレーム105と、フレーム105の両側方に装着された第1側カバー106及び第2側カバー107とを有している。さらに第1側カバー106には、円形の開口部106a,106bが形成されている。この開口部106bは、設定つまみ144を外部に露出させるために設けられている。設定つまみ144では、たとえば、前述したような釣り糸の種類やキャスティングの種類や風向き等により種々の制動モードに変更できるようになっている。 【0082】 調整つまみ143は、制動力を、たとえば強弱8段階に調整するためのつまみであり、設定つまみ144は、制動パターンを選択するためのつまみである。この実施形態では、制動パターンは、各制動モードで異なるパターンであり、調整つまみ143でその強弱を調整する。具体的には、調整つまみ143の操作位置に応じて基本制動パターンをシフトする。 【0083】 (f)前記他の実施形態(e)では、2つのつまみ143,144が離反して配置されているが、調整つまみ243と設定つまみ244とを同芯に内外周に配置してもよい。この場合、操作する頻度が高い調整つまみ243を内周側の操作しやすい位置に設けるのが好ましいが、逆でもよい。さらに、内周側に調整つまみ243を配置した場合、外周側の設定つまみ244を第1側カバー206の内側に隠して操作を規制するようにしてもよい。その他の構成及び動作は前述した実施形態と略同様なため説明を省略する。 【0084】 このような実施形態でも前記同様な作用効果を得ることができるとともに、2つのつまみ243,244が同芯上に配置されるので、制動モードの変更や制動力の強弱の調整をより行いやすくなる。 【0085】 (g)前記実施形態では、設定つまみ44の操作規制手段として、開閉可能な第1側カバーを例示したが、操作規制手段は、第1操作カバーに限定されない。たとえば、設定つまみの動きに抵抗を与えて調整つまみより回りにくくしたり、設定つまみをロック・ロック解除できるようなロック機構を設けたりして設定つまみを規制するようにしてもよい。 【0086】 (h)前記実施形態では、スプール回転速度が最大になる前に制動するように制御したが、スプール回転速度が最大になってからスプールを制動する技術にも本発明を適用できる。 【0087】 (i)前記実施形態では、スプール制動ユニットからの電力が整流回路58を介して制御部55や回転速度センサ41に直接供給されているが、整流された電力を蓄えて供給するようにしてもよい。具体的には、二次電池やコンデンサなどの蓄電素子に蓄電して制御部55の電源としてもよい。また、電源としての電池を別途設けてもよいし、それによって駆動する表示部を設けてスプールの速度やブレーキ力を表示するようにしてもよい。 【図面の簡単な説明】 【0088】 【図1】本発明の一実施形態を採用した両軸受リールの斜視図。 【図2】第1側カバーを開いた状態の両軸受リールの平面断面図。 【図3】スプール制動機構の断面拡大図。 【図4】第1側カバーを開いた状態の両軸受リールの側面図。 【図5】スプール制動機構の分解斜視図。 【図6】キャスティングコントロール機構の断面図。 【図7】スプール制動機構の制御ブロック図。 【図8】制動モードLの制動パターンのデューティ比の変化を模式的に示すグラフ。 【図9】制動モードMの制動パターンのデューティ比の変化を模式的に示すグラフ。 【図10】制動モードAの制動パターンのデューティ比の変化を模式的に示すグラフ。 【図11】制動モードWの制動パターンのデューティ比の変化を模式的に示すグラフ。 【図12】スプール制御ユニットの制御動作を示すフローチャート。 【図13】他の実施形態の図1に相当する図。 【図14】さらに他の実施形態の図1に相当する図。 【符号の説明】 【0089】 1 リール本体 12 スプール 25 スプール制動機構 40スプール制動ユニット 41 回転速度センサ 42 スプール制御ユニット 43,143,243 調整つまみ 44,144,244 設定つまみ 55 制御部 59 マイクロコンピュータ 60 回転子 61 磁石 62 コイル 63 スイッチ素子
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000002439 【氏名又は名称】株式会社シマノ
|
| 【出願日】 |
平成17年11月15日(2005.11.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100094145 【弁理士】 【氏名又は名称】小野 由己男
【識別番号】100121382 【弁理士】 【氏名又は名称】山下 託嗣
|
| 【公開番号】 |
特開2007−135417(P2007−135417A) |
| 【公開日】 |
平成19年6月7日(2007.6.7) |
| 【出願番号】 |
特願2005−330248(P2005−330248) |
|