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【発明の名称】 埋め込み用針、埋め込み用針の製造方法並びに埋め込み用針によるマイクロチップ埋め込み口の形成方法
【発明者】 【氏名】廣田 匡信

【氏名】日下部 守昭

【要約】 【課題】マイクロチップ等の埋め込み物を体内に埋め込むためには、埋め込み物よりも内径の太い埋め込み用針を採用する必要があるが、埋め込みによって形成される傷口を小さいものとする埋め込み用針を提供する。

【解決手段】埋め込み用針1は、先端部に形成される刃面部1aが、先端側に形成される鋭利な刃部1cと、基端側に形成される鈍部1dとで構成され、鋭利な刃部1cで皮膚に切開部を切り開きながら刺入した後、鈍部1dでさらなる切開を可及的に回避して切開部を押し広げるようにして刺入することになり、この結果、刃面部1aを全て鋭利にした従来の埋め込み用針に比して傷口を小さいものにできることになって、傷口の治癒が早く、小動物に対してのダメージも低減できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜状の刃面部を動物に刺入せしめた状態でマイクロチップ等の体内埋め込み物を埋め込むための埋め込み用針であって、
前記刃面部は、先端側が鋭利な刃部に、基端側が鋭利でない鈍部になっていることを特徴とする埋め込み用針。
【請求項2】
請求項1において、針は硬質の合成樹脂材からなることを特徴とする埋め込み用針。
【請求項3】
請求項2において、合成樹脂材はポリカーボネートであることを特徴とする埋め込み用針。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一つにおいて、針は射出成型によって形成され、刃面部の鈍部は、前記射出成型によって形成されたものとし、刃部は、前記鈍部に続く状態で射出成型によって形成された刃部相当部位を切削または研磨することによって形成されていることを特徴とする埋め込み用針。
【請求項5】
傾斜状の刃面部を動物に刺入せしめた状態でマイクロチップ等の体内埋め込み物を埋め込むための埋め込み用針の製造方法であって、
該針全体は射出成型によって形成され、
刃面部は、基端側の鈍部と該鈍部に続く先端側の刃部相当部位とを前記射出成型によって形成したものの該刃部相当部位を切削または研磨によって鋭利な刃部に形成したことを特徴とする埋め込み用針の製造方法。
【請求項6】
請求項5において、針は合成樹脂材で形成されていることを特徴とする埋め込み用針の製造方法。
【請求項7】
傾斜状の刃面部を動物に刺入せしめた筒状の埋め込み用針を用いてマイクロチップを体内に埋め込むための埋め込み口を形成するための方法であって、
前記刃面部の先端側に形成された鋭利な刃部で皮膚を切開しながら刺入した後、刃面部の基端側に形成された鋭利でない鈍部で前記切開した部位を押し広げるようにして埋め込み口を形成したことを特徴とする埋め込み用針によるマイクロチップ埋め込み口の形成方法。
【請求項8】
請求項7において、前記針は、合成樹脂材で形成されていることを特徴とする埋め込み用針によるマイクロチップ埋め込み口の形成方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばマイクロチップ等の体内埋め込み物を、マウス、ラット、ウサギ、犬、牛、豚等の動物の体内に埋め込むための埋め込み用針、埋め込み用針の製造方法並びにマイクロチップ埋め込み口の形成方法の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種埋め込み用針としては、通常、ステンレス等の金属を用いて製造している。ところが金属製であると、使用後において焼却処分ができないだけでなく、製造が面倒かつ煩雑になってコスト高になるという問題がある。そこで焼却処分ができるだけでなく、製造が容易で製造コストが安価になるものとして合成樹脂材を用いて製造するようにしたものが提唱されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平9−9811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところでこれらの針は、先端部を、動物の皮膚に刺入するため鋭利な状態で傾斜した刃面部にする必要があるが、埋め込み用針としては、例えば体内埋め込み物がマイクロチップのように直径でも2mm程度もあるものでは、内径ですらこれよりも太い針を採用する必要がある。そして従来の刃面部は、このような太い針においても先端部全体を鋭利なものに形成して皮膚を切り裂くように構成しているため、該刃面部を動物の皮膚に刺入した場合、針の外径に対応した大きな傷口が形成されることになって、該傷口が治癒しづらいものになるという問題がある。しかもこのような大きな傷を、ラットやマウスといった小動物に与えると、該小動物にとっては非常に大きなダメージになって動物が弱ってしまったり、ここから黴菌が入って死に至るようなことがあるという問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、傾斜状の刃面部を動物に刺入せしめた状態でマイクロチップ等の体内埋め込み物を埋め込むための埋め込み用針であって、前記刃面部は、先端側が鋭利な刃部に、基端側が鋭利でない鈍部になっていることを特徴とする埋め込み用針。
請求項2の発明は、請求項1において、針は硬質の合成樹脂材からなることを特徴とする埋め込み用針である。
請求項3の発明は、請求項2において、合成樹脂材はポリカーボネートであることを特徴とする埋め込み用針である。
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか一つにおいて、針は射出成型によって形成され、刃面部の鈍部は、前記射出成型によって形成されたものとし、刃部は、前記鈍部に続く状態で射出成型によって形成された刃部相当部位を切削または研磨することによって形成されていることを特徴とする埋め込み用針である。
請求項5の発明は、傾斜状の刃面部を動物に刺入せしめた状態でマイクロチップ等の体内埋め込み物を埋め込むための埋め込み用針の製造方法であって、該針全体は射出成型によって形成され、刃面部は、基端側の鈍部と該鈍部に続く先端側の刃部相当部位とを前記射出成型によって形成したものの該刃部相当部位を切削または研磨によって鋭利な刃部に形成したことを特徴とする埋め込み用針の製造方法である。
請求項6の発明は、請求項5において、針は合成樹脂材で形成されていることを特徴とする埋め込み用針の製造方法である。
請求項7の発明は、傾斜状の刃面部を動物に刺入せしめた筒状の埋め込み用針を用いてマイクロチップを体内に埋め込むための埋め込み口を形成するための方法であって、前記刃面部の先端側に形成された鋭利な刃部で皮膚を切開しながら刺入した後、刃面部の基端側に形成された鋭利でない鈍部で前記切開した部位を押し広げるようにして埋め込み口を形成したことを特徴とする埋め込み用針によるマイクロチップ埋め込み口の形成方法である。
請求項8の発明は、請求項7において、前記針は、合成樹脂材で形成されていることを特徴とする埋め込み用針によるマイクロチップ埋め込み口の形成方法である。
【発明の効果】
【0005】
請求項1または7の発明とすることにより、刃面部は、先端側の刃部が鋭利になっていて動物の皮膚に刺入しやすいものでありながら、鈍部になった基端側が皮膚を押し広げることになって傷口が大きくなってしまうことを回避でき、小動物においてダメージの少ない状態で体内埋め込み物の埋め込みができることになる。
請求項2、6または8の発明とすることにより、合成樹脂剤を用いることで製造が簡単でコストダウンが図れるうえ焼却処理ができることになるという利点がある。
請求項3の発明とすることにより、汎用性の高いポリカーボネートを用いて埋め込み用針の製造ができることになって製造もより容易であるうえ、製造コストもさらに安価にすることができる。
請求項4または5の発明とすることにより、埋め込み用針が射出成形によって簡単に製造でき、しかも刃面部の鈍部は、射出成型によって形成されたままの状態でよく、先端の刃部のみを切削または研磨して鋭利に形成すればよいことになって、切削または研磨部分が少なくなり、製造がさらに簡略化することになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1は、埋め込み用針1であって、該埋め込み用針1は、ポリカーボネート、ポリアセタール等の硬質の合成樹脂材からなり、先端部に傾斜断面した刃面部1aを有する中空円筒状に形成されている。埋め込み用針1の内径は、動物体内に埋め込まれる埋め込み物2を移動自在に挿入可能な寸法設定になっている。因みに、埋め込み物2としては、例えば、各種の電子情報の読み書きができるマイクロチップ、固形薬剤、薬剤を収容したカプセル等がある。
【0007】
さて、前記埋め込み用針1は、前述したように先端部位が傾斜状に切断した状態に形成された刃面部1aを備え、基端側の筒状部1bの端面部を後述する埋め込み具3に組込むようになっているが、該刃面部1aは、先端側に位置して鋭利な先鋭状の刃部1cと、基端側に位置して鋭利に形成されていない鈍部1dとを有している。そして本実施の形態では、前記刃部1cは、埋め込み用針1の直径になる位置Xよりも少し先端側位置Yまでになっており、該位置Yよりも基端側が鈍部1dになっているが、後述する第二の実施の形態のように刃部1cを直径位置Xよりも基端側位置まで形成してもよいことは勿論である。
【0008】
そして前記埋め込み用針1は金型を用いた射出形成によって型成形されるものであるが、射出成形の手法については通常知られたものであるのでその詳細については省略する。そうして前記埋め込み用針1は、前記射出成型によって、鈍部1dおよび筒状部1bと共に先端側の刃部1cに相当する部位1eが形成されたものについて、該相当部位1eを切削または研磨することで鋭利な刃部1cに加工することで形成される。
【0009】
因みに、埋め込み用針1に形成される刃面部1aについては、先端側の刃部1cと基端側の鈍部1dとを有して形成されるが、射出成形に用いる金型では、皮膚に刺入するに充分な鋭利度を出すことが難しく、そこで刃部1cについては刃部相等部位1eを形成し、該部位1eを切削または研磨をして必要な鋭利度を確保しているが、鈍部1dについては金型によって成形されたままのもので充分であり、そこで射出形成されたそのままの状態を鈍部1dとしたが、射出形成されたものを研磨や切削する等して鈍部1dを形成することももちろんできる。
【0010】
続いて埋め込み用針1の使用方法について説明するが、本実施の形態では、埋め込み物としてマイクロチップ2を採用した場合について説明する。
埋め込み用針1は、基端部を埋め込み具3に組込むことで使用されるものであるが、該埋め込み具3は、埋め込み用針1の基端部を挿入して保持する保持部3aが先端部に形成され、埋め込み具3に移動可能に設けた芯棒3bを、該芯棒3bの基端に設けた操作部3cで押し操作することで先端側に強制移動させ、これによって埋め込み用針1に充填したマイクロチップ2を動物の皮膚内に埋め込むようになっている。尚、図中、3dは指掛け部、3eは操作部3cを元位置に復帰させる復帰弾機部である。
【0011】
そして、埋め込み用針1は、マイクロチップ2を内装し埋め込み具3に取り付けられた状態で動物の皮膚に刺し入れられるが、該刺し入れは、刃部1cの先端が動物の皮膚に突き刺さり、さらなる埋め込み用針1の刺し入れに伴って、刃部1cが皮膚を切り開きながら刺入して切開部(図示せず)が形成される。次いでさらに埋め込み用針1を刺しいれていくと、該針1は刃部1cから鈍部1dが入り込むことになるが、鈍部1dは前記刃部1cのように鋭利になっていないので、前記切開部を押し広げる状態で皮膚内に入り込むことになる。そして刃面部1aが完全に皮膚内部まで刺入し筒状部1bの先端側一部までが入り込むことで埋め込み用針1の刺入れが完了する。
そしてこの刺入れ状態で、操作部3cを押圧して埋め込み用針1に充填したマイクロチップ2を押し出すことによってマイクロチップ2が埋め込まれ、その後、埋め込み用針1を動物から引き抜くことになる。
【0012】
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、埋め込み用針1を用いてマイクロチップ2を動物の皮膚内に埋め込むことになるが、該埋め込み用針1は、先端部に形成される刃面部1aが、先端側に形成される鋭利な刃部1cと、基端側に形成される鈍部1dとで構成され、鋭利な刃部1cで皮膚に切開部を切り開きながら刺入した後、鈍部1dでさらなる切開を可及的に回避して切開部を押し広げるようにして刺入することになり、この結果、刃面部1aを全て鋭利にした従来の埋め込み用針に比して切開部(傷口)の大きさを小さいものにできることになって、傷口の治癒が早く、小動物に対してのダメージも低減できることになる。
【0013】
しかもこのものでは、埋め込み用針1が入手のし易いポリカーボネートを材料として用い射出成型によって型成形されているため、使用後においてこれを焼却処分することができる。しかも埋め込み用針1は、前記射出成型によって形成される刃面部1aのうちの鈍部1dと筒状部1bとはそのまま何の加工をしないでも使用でき、刃部1cについて、前記射出成型によって形成された相当部位1eを切削または研磨等の加工をして鋭利にするだけでよく、この結果、従来のように刃面部1a全体を加工して鋭利にする場合のように加工面積が広くなってしまうようなことが無く、加工能率も向上する。
【0014】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されないものであることは勿論であって、図4に示す第二の実施の形態のようにすることもできる。つまりこの埋め込み用針4は、刃面部4aの先端側において鋭利な状態に加工される刃部4bについて、前記直径位置Xを越えた位置に位置するまで形成されたものであり、このようにしても本発明を実施することができる。
【0015】
さらにまた、本発明は埋め込み用針をステンレス等の金属材料を用いて構成することができるが、この場合、刃面部は切削または研磨によって形成されることになるため鋭利なものとなり、そこで鈍部についてさらに加工して鈍状態になるように製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(A)、(B)、(C)、(D)はそれぞれ埋め込み用針の正面図、平面図、底面図、斜視図である。
【図2】(A)、(B)はそれぞれ埋め込み用針の組み付け状態を示す平面図である。
【図3】(A)、(B)はそれぞれ埋め込み用針の刃部形成前、後の斜視図である。
【図4】(A)、(B)、(C)、(D)はそれぞれ第二の実施の形態における埋め込み用針の正面図、平面図、底面図、斜視図である。
【符号の説明】
【0017】
1 埋め込み用針
1a 刃面部
1b 筒状部
1c 刃部
1d 鈍部
1e 刃部相当部位
2 埋め込み物(マイクロチップ)
3 埋め込み具
【出願人】 【識別番号】304053979
【氏名又は名称】株式会社共伸
【識別番号】500446373
【氏名又は名称】日下部 守昭
【出願日】 平成17年11月2日(2005.11.2)
【代理人】 【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫


【公開番号】 特開2007−124934(P2007−124934A)
【公開日】 平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願番号】 特願2005−319718(P2005−319718)