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【発明の名称】 バルククーラ用監視装置
【発明者】 【氏名】西部 光弘

【氏名】小田切 誉

【氏名】山嵜 修

【氏名】田中 清雄

【要約】 【課題】事前に対処できる異常の場合、搾乳者に警報を発し、事前の対処により二次的な弊害を回避する。

【解決手段】搾乳後の生乳を集乳まで一時貯留するバルククーラBa,Bb…の状態を監視するバルククーラ用監視装置1を構成するに際して、所定の異常が発生したなら警報を出力するための警報判定及び異常処理を行うための異常判定を行う判定機能と、この判定機能に基づいて異常判定が行われた際に異常処理を行う異常処理機能と、判定機能に基づいて警報判定が行われた際に異常処理を行う手前で警報を出力する警報処理機能を備える。異常には、予め設定した規定値Tsを越えた乳温と時間の乗算値を累積した累積値が予め設定した異常判定値を越えた異常を含ませることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搾乳後の生乳を集乳まで一時貯留するバルククーラの状態を監視するバルククーラ用監視装置において、所定の異常が発生したなら警報を出力するための警報判定及び異常処理を行うための異常判定を行う判定機能と、この判定機能に基づいて前記異常判定が行われた際に異常処理を行う異常処理機能と、前記判定機能に基づいて前記警報判定が行われた際に前記異常処理を行う手前で警報を出力する警報処理機能を備えることを特徴とするバルククーラ用監視装置。
【請求項2】
前記所定の異常には、少なくとも、予め設定した規定値を越えた乳温と時間の乗算値を累積した累積値が予め設定した異常判定値を越えた異常を含むことを特徴とする請求項1記載のバルククーラ用監視装置。
【請求項3】
前記判定機能は、前記異常判定値の手前における所定の水準に警報判定値を設定し、前記累積値が前記警報判定値に達したなら警報判定を行うことを特徴とする請求項2記載のバルククーラ用監視装置。
【請求項4】
前記警報の出力には、警報ランプの点灯又は搾乳者の携帯電話への自動通報の一方又は双方を含むことを特徴とする請求項1記載のバルククーラ用監視装置。
【請求項5】
一又は二以上のバルククーラにそれぞれ設置し、少なくとも前記バルククーラの状態に係わるデータを検出する検出機能を有する一又は二以上の子機と、前記子機と通信可能に構成し、少なくとも前記子機により検出した前記データの一部又は全部を記憶する記憶機能を有する単一の親機を備えてなることを特徴とする請求項1記載のバルククーラ用監視装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、搾乳後の生乳を集乳まで一時貯留するバルククーラ(バルクタンク)の状態を監視するバルククーラ用監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、搾乳設備には、例えば、特開2001−128582号公報に開示されるように、搾乳された生乳を一旦収容するレコーダジャーと、このレコーダジャーに収容された生乳をミルクポンプにより送乳配管を通して送乳する送乳ラインと、この送乳ラインにより送乳された生乳を集乳まで一時貯留するバルククーラを有する受乳システムを備えている。
【0003】
この種の受乳システムでは、搾乳後の生乳を集乳までバルククーラにより一時貯留するため、この一時貯留中における生乳の品質低下を回避することが重要な課題となる。特に、機器故障や操作ミスなどにより正規の保冷温度が維持されない場合には、生乳に細菌が繁殖し、致命的な品質低下を来すことになる。したがって、バルククーラの状態を常時監視することが必要となり、このような監視に用いる温度管理装置も、特開2003−199451号公報で開示されている。この温度管理装置は、生乳を保管したバルクタンクの温度を計測する温度検出手段と、この温度検出手段で計測した温度データを読み出し、読み出した温度データに基づいてバルクタンクの温度を生乳保管からバルクタンクの洗浄終了まで予め設定された規定温度に従って制御する制御手段と、読み出した温度データ及び制御手段の制御結果を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された記憶内容を表示する表示手段と、記憶内容を表示する際に必要な操作を行う操作手段を備えている。
【特許文献1】特開2001−128582号
【特許文献2】特開2003−199451号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の温度管理装置は、主にバルククーラ内における生乳の温度状態を管理することから、バルククーラの近傍に設置する必要があるとともに、他方、大規模な酪農施設では、複数のバルククーラが設置される場合も少なくない。
【0005】
したがって、複数のバルククーラが設置される大規模な酪農施設では、バルククーラの数量に応じた台数分だけ温度管理装置を用意する必要があり、従来の温度管理装置では、大幅なコストアップを強いられるとともに、作業効率(管理効率)の低下及び管理ミスの発生などを招く。また、システムの発展性及び融通性に欠け、特に、異常が発生した際における異常処理に対して更なる解決すべき課題が存在した。
【0006】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したバルククーラ用監視装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するため、搾乳後の生乳を集乳まで一時貯留するバルククーラBa,Bb…の状態を監視するバルククーラ用監視装置1を構成するに際して、所定の異常が発生したなら警報を出力するための警報判定及び異常処理を行うための異常判定を行う判定機能と、この判定機能に基づいて異常判定が行われた際に異常処理を行う異常処理機能と、判定機能に基づいて警報判定が行われた際に異常処理を行う手前で警報を出力する警報処理機能を備えることを特徴とする。
【0008】
この場合、異常には、少なくとも、予め設定した規定値Tsを越えた乳温と時間の乗算値を累積した累積値が予め設定した異常判定値を越えた異常を含ませることができる。また、判定機能は、異常判定値の手前における所定の水準に警報判定値を設定し、累積値が警報判定値に達したなら警報判定を行うことができる。さらに、警報の出力には、警報ランプの点灯又は搾乳者の携帯電話への自動通報の一方又は双方を含ませることができる。一方、監視装置1は、一又は二以上のバルククーラBa,Bb…にそれぞれ設置し、少なくともバルククーラBa,Bb…の状態に係わるデータDt,Ds…を検出する検出機能Fs…を有する一又は二以上の子機2a,2b…と、子機2a,2b…と通信可能に構成し、少なくとも子機2a,2b…により検出したデータDt…の一部又は全部を記憶する記憶機能Fmを有する単一の親機3を備えて構成することができる。
【発明の効果】
【0009】
このような構成を有する本発明に係るバルククーラ用監視装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0010】
(1) 所定の異常が発生したなら異常処理を行う異常処理機能に加え、この異常処理を行う手前で警報を出力する警報処理機能を備えるため、事前の対処により二次的な弊害を回避することができる。即ち、通常、異常処理機能は、異常故に、動作の一部又は全部を停止させる場合も多いが、動作の一部又は全部を停止させることは、二次的な弊害をもたらす虞れがあるため、事前に対処できる異常の場合、警報処理機能により搾乳者に警報を発することにより二次的な弊害を回避することができる。
【0011】
(2) 最良の形態により、所定の異常として、少なくとも、予め設定した規定値Tsを越えた乳温と時間の乗算値を累積した累積値が予め設定した異常判定値を越えた異常を含ませれば、リアルタイムデータによっては検出できない品質低下要因を把握し、かつ対処することができる。
【0012】
(3) 最良の形態により、一又は二以上のバルククーラBa,Bb…にそれぞれ設置し、少なくともバルククーラBa,Bb…の状態に係わるデータDt,Ds…を検出する検出機能Fs…を有する一又は二以上の子機2a,2b…と、子機2a,2b…と通信可能に構成し、少なくとも子機2a,2b…により検出したデータDt…の一部又は全部を記憶する記憶機能Fmを有する単一の親機3を備えて構成すれば、複数のバルククーラBa,Bb…が設置される大規模な酪農施設であっても、各バルククーラBa,Bb…における監視装置の一部を親機3が共有するため、装置全体のコストダウンを図ることができる。また、装置故障が発生しても子機2a…又は親機3の交換等により対応できるため、この観点からもコスト的に有利になるとともに、メンテナンス性にも優れる。しかも、新たなバルククーラが設置される場合或いは仕様が変更される場合であっても、子機の追加或いは親機3のプログラム変更等により対応できるなど、システム全体の発展性及び融通性に優れる。さらに、複数のバルククーラBa,Bb…の全体を親機3により一括(集中)して監視できるため、作業効率(管理効率)の向上を図れるとともに、管理ミスの防止にも寄与できる。
【実施例】
【0013】
次に、本発明に係る好適な実施例を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0014】
まず、本実施例に係るバルククーラ用監視装置1の構成について、図1〜図3を参照して説明する。
【0015】
図3は、監視装置1を付設するバルククーラBa,Bbを備える受乳システム50の一例を示す。Rは搾乳ロボットであり、四つのティートカップ52…を支持するエンドエフェクタ51を備えるとともに、このエンドエフェクタ51はマニュピレータ53により自在に移動制御される。
【0016】
一方、ティートカップ52…は、ミルクチューブ54を介してレコーダジャー(レシーバジャー)55に接続するとともに、このレコーダジャー55は送乳ライン56及びバルククーラ切換弁57a,57bを介してバルククーラBa,Bbにそれぞれ接続する。なお、58はミルクチューブ54の中途に接続した開閉弁、59はレコーダジャー55に備える乳量センサ、60はレコーダジャー55に接続した真空ポンプ、61は送乳ライン56の中途に接続した開閉弁(二方弁)、62は送乳ライン56の中途に接続したミルクポンプ、63はレコーダジャー55の底部に接続した排乳部、64は排乳部63に備える開閉弁をそれぞれ示す。
【0017】
これにより、搾乳時には、不図示の乳頭センサにより牛体の乳頭が検出されるとともに、マニュピレータ53によりエンドエフェクタ51が移動制御され、各ティートカップ52…が牛体の乳房に対して自動装着又は自動離脱される。また、搾乳ロボットRにより搾乳された生乳は、ミルクチューブ54を介してレコーダジャー55に一旦収容され、乳量センサ59による乳流計測が行われる。なお、排乳部63を利用して乳試料の採取が行われる。一方、搾乳処理の終了によりミルクポンプ62が作動し、レコーダジャー55に一旦収容された生乳は、送乳ライン56及びバルククーラ切換弁57a(又は57b)を介してバルククーラBa(又はBb)に投入される。これにより、搾乳後の生乳は、集乳が行われるまで、バルククーラBa(及びBb)により一時貯留される。
【0018】
そして、このようなバルククーラBa,Bbに、本実施例に係るバルククーラ用監視装置1が付設される。この監視装置1は、各バルククーラBa,Bbにそれぞれ設置し、少なくともバルククーラBa,Bbの状態に係わるデータDt,Ds…を検出する検出機能Fs…を有する二台の子機2a,2bと、各子機2a,2bと通信可能に構成し、少なくとも子機2a,2bにより検出したデータDt…の一部又は全部を記憶する記憶機能Fmを有する単一の親機3を備える。この場合、図2に示すように、各子機2a,2bは、対応するバルククーラBa,Bbの外面における搾乳者の見やすい位置にそれぞれ設置する。他方、親機3は、バルククーラBa,Bbの設置場所に関係なく任意の場所に設置することができる。また、バルククーラBa,Bbは、制御装置40a,40bを備えるとともに、制御装置40a,40bには、バルククーラBa,Bbに備える冷凍機をON−OFFするための冷凍機スイッチ41a,41bを備える。
【0019】
子機2a(2bも同じ)は、図2に示すように、ケーシング21を備え、このケーシング21の正面パネル21fに、表示部22及び操作部23を配設する。表示部22は、データ(温度データ)Dtをリアルタイムで表示する温度表示機能Fd、即ち、乳温又は洗浄液温度をリアルタイムでディジタル表示(数値表示)する温度表示部22tを有するとともに、警報,異常,停電等の状態をランプ表示する状態表示部22eを有する。なお、温度表示部22tには、冷凍機及び真空ポンプ60の動作状況もリアルタイムで表示される。これにより、バルククーラBaの状態を、親機3を利用することなく、バルククーラBa側においてリアルタイムで直接確認できる。また、操作部23には、集乳完了スイッチ23k等を備える。
【0020】
一方、子機2aの内部には、図1に示すように、マイコン(マイクロコンピュータ)24を搭載し、このマイコン24に、表示部22及び操作部23を接続する。さらに、マイコン24の入力ポートには、バルククーラBaの所定位置に付設した温度センサ(サーミスタ)25を接続する。この温度センサ25によりバルククーラBaにおける乳温及び洗浄液温度(温度データDt)を検出することができる。なお、温度データDtの検出(サンプリング)は、予め設定した時間間隔で行われる。また、マイコン24の入力ポートには、バルク側信号として、冷凍機スイッチ41aのON操作に基づく冷凍機のON信号Ss(動作データDs)及びバルククーラ切換時の切換信号Scが入力するとともに、受乳側信号として、受乳システム50における真空ポンプ60のON信号Soが入力する。この場合、ON信号Ss,切換信号Sc及びON信号Soは、子機2aの入力ポートに入力させる場合を示したが、実際には、後述する親機3にも同様の入力ポートを備えており、配線し易いほうに接続することにより、ON信号Ss,切換信号Sc及びON信号Soは、子機2a又は親機3のいずれにも入力させることができる。よって、マイコン24及び温度センサ25は、バルククーラBaの状態に係わるデータ、即ち、温度データDt及び動作データDsを検出する検出機能Fsを有する。
【0021】
他方、親機3は、図2に示すように、ケーシング31を備え、このケーシング31の正面パネル31fに、表示部32及び操作部33を配設する。表示部32は、温度データDtを時間に対してグラフ表示するグラフ表示機能Ffを有する。このため、表示部32には、グラフ表示可能なカラー液晶ディスプレイを用いることができる。表示部32には、更に、各種履歴データや各種判定結果に係わるデータ、冷凍機及び真空ポンプ60の動作状況(タイムチャート)も表示される。これにより、各バルククーラBa,Bb…の温度状態を、各子機2a,2b…を利用することなく、親機3を利用して確認できるとともに、時間軸により表示される搾乳状態及び冷却状態により履歴全体を総合的に確認できる。また、操作部33には、各種ファンクションキー33a,33b,33c…、メニューキー33m、リセットキー等を備える。
【0022】
一方、親機3の内部には、図1に示すように、マイコン34を搭載し、このマイコン34に、表示部32及び操作部33を接続する。また、親機3には、マイコン34に接続したメモリ部35及びタイマ部36を備えるとともに、電源部37を備える。メモリ部35は、少なくとも各子機2a…により検出したデータDt…の一部又は全部を記憶する記憶機能Fmを有する。さらに、メモリ部35は、各種判定結果に係わるデータや時間データ等の各種データを記憶する。タイマ部36は、監視する際における各種設定時間のカウントアップ(カウントダウン)及び時刻データの取込みなどに用いる。
【0023】
電源部37は、直流電源であり、親機3の電源として用いられるのみならず、各子機2a…に対して給電を行う給電機能Fpを有する。このような親機3の給電機能Fpにより、子機2a,2bは電源搭載が不要になる。電源部37には、停電時に用いるバッテリも備えている。停電時には、マイコン34はバッテリの給電に切換え、かつ表示機能を停止させることにより、停電時における節電を図る停電処理機能を備えている。この場合、状態表示部22e…における停電ランプのみを点滅させ、表示部22…及び32をOFFにすることにより、基本的に全ての表示を停止させる。しかし、表示機能を除く温度検出やエラー処理等の動作は、仕様に従ってそのまま継続する。また、停電時には、集乳者は所定の操作、即ち、集乳完了スイッチ23kを短時間ON操作することにより、表示機能の全部(又は一部)を復帰させることができる。これにより、停電が発生しても本来の監視機能をそのまま維持できるとともに、可及的に電力消費を抑えて長時間の停電にも対応できる。
【0024】
さらに、親機3は、パソコン等の外部コンピュータ4に対して通信を行う通信機能Ftを備える。これにより、各種解析や統計等の各種処理を迅速かつ容易に行うことができる。また、各子機2a…には通信用のインタフェース26…を備えるとともに、親機3には通信用のインタフェース38を備え、インタフェース26…及び38を用いて各子機2a…と親機3を相互通信可能に接続する。この場合、親機3は、給電機能Fpを有するため、有線通信が望ましいが、無線通信を排除するものではない。さらに、親機3には、子機2a…が増設された際に接続するための複数の予備接続ポートが設けられている。
【0025】
次に、本実施例に係るバルククーラ用監視装置1の動作について、図1〜図4を参照しつつ図5及び図6に示すフローチャートに従って説明する。
【0026】
まず、任意のバルククーラBa(Bbも同じ)の監視サイクルについて説明する。今、集乳が完了してバルククーラBa内が空になっている状態を想定する。集乳の完了により、次の搾乳が行われるまでにバルククーラBa内の洗浄が行われる。洗浄は、40〔℃〕以上(40〜60〔℃〕)の洗浄液が用いられる。
【0027】
ところで、集乳を行う際には、集乳者により生乳の品質が判断される。この判断は、子機2aの状態表示部22eの表示に基づいて行われ、警報内容が発生して警報ランプが点灯していたり、異常内容が発生して異常ランプが点灯していた場合には、親機3の表示部32から詳細を確認して必要な処置を講じる。これに対して、警報ランプ及び異常ランプが点灯していない正常時には、集乳完了スイッチ23kをON操作して終了させる。なお、集乳完了スイッチ23kは、前述したように停電時に表示機能を復帰させるスイッチを兼ねているため、本来の集乳完了スイッチ23kとして操作する場合には、数秒以上(例えば、3秒以上)ON操作し続けることを条件にON操作が有効となる。
【0028】
一方、監視装置1は、集乳完了スイッチ23kがON操作された後、バルククーラBaに備える冷凍機スイッチ41aがON操作されるまでの間、即ち、冷凍機ON信号Ssが入力するまで、バルククーラBaに付設した温度センサ25から検出される洗浄液温度(温度データDt)を監視する(ステップS1)。そして、監視中に検出された洗浄液温度が、40〔℃〕を越えた場合には正常と判定する。これに対して、一度も40〔℃〕を越えない場合には、洗浄が不十分となるため、エラー処理を行う(ステップS2,SE)。この場合、判定した温度データDtは、バルククーラBaに対する洗浄が正常に行われないことを示すデータDtとなるため、子機2aにおける状態表示部22eの警報ランプを点灯させ、温度表示部22tにエラー番号と温度を交互表示させるとともに、親機3の表示部32に警報表示を行う。図4のグラフ表示TにおけるPa部分が洗浄工程を示している。なお、このエラー処理(他のエラー処理も同様)は、搾乳者の携帯電話等に自動通報することも可能である。
【0029】
洗浄が終了し、搾乳を行う間際になったなら、搾乳者は、バルククーラBaの冷凍機スイッチ41aをON操作する。これにより、バルククーラBaの冷却が一定時間遅延して開始する。なお、一定時間遅延して冷却運転できないバルククーラの場合には、搾乳を開始し、バルククーラに一定量の生乳が貯留されたなら、冷凍機スイッチ41aをON操作する。図4のグラフ表示Tにおけるtaが冷凍機スイッチ41aのON操作時点を示す。そして、搾乳が行われる。搾乳時には、搾乳された生乳が、ミルクチューブ54を介してレコーダジャー55に一旦収容され、乳量センサ59による乳流計測が行われる。また、搾乳処理の終了によりミルクポンプ62が作動し、レコーダジャー55に一旦収容された生乳は、送乳ライン56及びバルククーラ切換弁57aを介してバルククーラBaに投入される。
【0030】
他方、冷凍機スイッチ41aのON操作に基づいて冷凍機がONしたなら、ON信号Ssが子機2aのマイコン24に入力する。また、搾乳の開始により、子機2aのマイコン24には、真空ポンプ60のON信号Soが入力する。したがって、監視装置1は、ON信号Soの入力により、生乳の初期投入が開始したことを検出するとともに、この検出時点から60〔分〕間、前述したON信号Ss(動作データDs)の有無を検出(監視)する。そして、ON信号Ssの入力が有れば、正常と判定する。これに対して、ON信号Ssの入力が無ければ、エラー処理を行う(ステップS3,SE)。この場合のエラー処理は、子機2aにおける状態表示部22eの警報ランプを点灯させるとともに、親機3の表示部32に警報表示を行う。ON信号Ssの入力が無いケースとして、冷凍機スイッチ41aに対する操作忘れなどが考えられるため、さらに、この時点から20〔分〕間、ON信号Ssの有無を検出(監視)し、ON信号Ssの入力が有れば、正常と再判定する。これに対して、ON信号Ssの入力が無ければ、搾乳者に対して冷凍機スイッチ41aに対する操作忘れなどの警報を出力する。この場合の警報は、警報ランプを点灯させるとともに、上述したように、搾乳者の携帯電話等に自動通報することも可能である。なお、図4のグラフ表示Tにおけるtbが真空ポンプ60のON信号Soが入力した時点を示す。
【0031】
監視装置1は、ON信号Ssが入力した以降、投入された生乳が正常に冷却されているか否かの監視、即ち、冷却能力の監視を行う(ステップS4)。この場合、投入された生乳の乳温(温度データDt)が、60〔分〕以内に、32.2〜10.0〔℃〕まで冷却されるか否かを検出(監視)するとともに、さらに、この後60〔分〕以内に、10.0〜4.4〔℃〕まで冷却されるか否かを検出(監視)する。そして、これらの条件により冷却されている場合には正常と判定する。これに対して、これらの条件により冷却されていない場合には、エラー処理を行う(ステップS5,SE)。この場合、判定した温度データDtは、バルククーラBaに生乳が投入された際における冷却条件が満たされないことを示すデータDtとなるため、子機2aにおける状態表示部22eの警報ランプを点灯させ、温度表示部22tにエラー番号と温度を交互表示させるとともに、親機3の表示部32に警報表示を行う。なお、図4のグラフ表示TにおけるZaがこのときの監視期間を示している。
【0032】
この後、監視装置1は、乳温が設定した保冷温度の範囲外にならないか否かの監視、即ち、保冷状態の監視を行う(ステップS6)。具体的には、乳温(温度データDt)が2〜7〔℃〕の正常範囲を維持するか否かを監視し、この正常範囲を維持している場合には正常と判定する。これに対して、乳温が2〔℃〕を下回ったり或いは7〔℃〕を越えた場合には、エラー処理を行う(ステップS7,SE)。この場合、判定した温度データDtは、バルククーラBaに生乳が投入された際における冷却条件が満たされないことを示すデータDtとなるため、子機2aにおける状態表示部22eの警報ランプを点灯させ、温度表示部22tにエラー番号と温度を交互表示させるとともに、親機3の表示部32に警報表示を行う。図4のグラフ表示TにおけるZbがこのときの監視期間を示している。
【0033】
そして、保冷状態の監視は、次の投入(再投入)が発生するまで継続する(ステップS8)。一方、生乳の再投入、即ち、次回の搾乳が行われた場合には、再投入時における保冷状態の監視を行う(ステップS9)。生乳の再投入時には、図4のグラフ表示TにおけるPb部分のように、バルククーラBaにおける冷却中の生乳に対して、暖かい生乳が追加されるため、一時的に乳温(温度データDt)が上昇する。
【0034】
監視装置1は、このときの乳温を監視、具体的には、再投入を検出したtc時点から3〔時間〕を経過するまでに、10〔℃〕を越えないか否かを監視する。なお、再投入の検出は、真空ポンプ60におけるON信号Soの入力により検出する。そして、再投入の検出後、乳温が10〔℃〕を越えない場合は正常と判定する。これに対して、10〔℃〕を越えた場合には、エラー処理を行う(ステップS10,S11,SE)。この場合、判定した温度データDtは、バルククーラBaに生乳が投入された際における冷却条件が満たされないことを示すデータDtとなるため、子機2aにおける状態表示部22eの警報ランプを点灯させ、温度表示部22tにエラー番号と温度を交互表示させるとともに、親機3の表示部32に警報表示を行う。図4のグラフ表示TにおけるZcがこのときの監視期間を示している。
【0035】
再投入を検出したtc時点から3〔時間〕が経過、即ち、監視期間Zcを経過した後は、上述した通常の保冷状態の監視に戻り、前述したステップS6〜S11の監視処理を行う(図4中、監視期間Zd参照)。したがって、この後、再投入が発生した場合には、ステップS8〜S11の監視処理が行われることになる(図4中、監視期間Ze参照)。そして、この監視処理は、集乳完了スイッチ23kがON操作されるまで継続する(ステップS12)。図4中、監視期間Zfは、通常の保冷状態を示すとともに、監視期間Zgは、再投入が発生した場合の保冷状態を示す。また、図4中、td,teは、真空ポンプ60のON信号Soが入力した時点を示している。
【0036】
他方、集乳が行われ、集乳が完了した際には、前述したように集乳完了スイッチ23kがON操作される。これにより、前述したステップS1に戻り、洗浄状態の監視が行われる。図4のグラフ表示Tにおけるtfが集乳完了スイッチ23kのON操作時点を示している。以上の一連の動作が1監視サイクルとなる。その他、バルククーラBaの状態を監視するに当たっては、温度センサ25が正常に動作しているか否かの監視が行われる。この場合、故障等により温度センサ25の異常が検出された場合には所定のエラー処理が行われる。
【0037】
また、予め設定した規定値Ts(図4参照)を越えた乳温と時間の乗算値を累積し、累積した累積値に対して、警報を出力するための警報判定及び異常処理を行うための異常判定を行う判定機能を備えている。このような累積値を利用することにより、リアルタイムデータによっては検出できない品質低下要因を把握し、かつ対処することができる。この場合、異常判定は、予め異常判定値を設定し、累積値が異常判定値に達したなら異常判定を行うとともに、警報判定は、異常判定値の手前、例えば、異常判定値の3/5程度の水準に警報判定値を設定し、累積値が警報判定値に達したなら警報判定を行う。
【0038】
さらに、この判定機能に基づいて、異常判定が行われた際に異常処理を行う異常処理機能と、この異常処理を行う手前で警報を出力する警報処理機能を備えている。累積値に対して異常判定が行われた場合、この異常は、生乳の品質に係わるものであるため、生乳を廃棄しなければならない事態も生じる。したがって、警報処理機能により、異常処理を行う手前で警報を出力すれば、事前の対処、例えば、異常処理が行われる前に集乳を手配するなどにより、生乳が無駄になる二次的な弊害を回避できる。なお、警報の出力は、警報ランプを点灯させるとともに、前述したように、搾乳者の携帯電話等に自動通報することができる。
【0039】
他方、次のような各種の付属処理機能を備える。監視装置1を作動させるに際しては、各種の初期設定が必要になる。特に留意する初期設定としては、搾乳ロボットの使用設定と、バルククーラBa…の形式設定がある。搾乳ロボットの場合、いわば自動で搾乳処理が行われるため、バルククーラに対して常時間欠的に生乳が投入される。したがって、この場合、複数のバルククーラBa…をメインクーラとサブクーラに分け、通常の搾乳時には、メインクーラに生乳を投入するとともに、集乳時及び洗浄時には、サブクーラに生乳を投入し、この後、集乳及び洗浄が終了したならメインクーラへの投入を復帰させる。この際、上述した乳温と時間の乗算値を累積して累積値を求める処理は、メインクーラにおいて中断することになるため、搾乳ロボットの使用設定を行った場合には、中断した累積値を合算する処理を行う。また、バルククーラBa…の形式には、一般に密閉タイプと開放タイプが存在する。バルククーラBa…に開放タイプを使用する場合には、手洗い洗浄を行うため、洗浄液温度は上昇しない。したがって、開放タイプの使用設定を行った場合には、洗浄異常をキャンセルする処理を行う。
【0040】
一方、搾乳した生乳をバルククーラBa…に送る場合、途中の送乳ライン56に予冷装置を付設し、地下水との熱交換を行うことにより生乳を予冷する場合があり、この予冷装置を設けたことに伴う弊害をキャンセルする機能を備えている。即ち、予冷装置を設けた場合、ある程度冷却された生乳がバルククーラBa…に投入されるため、検出温度に基づいて自動でONする冷凍機がONしなかったり或いは手動で操作する冷凍機スイッチ41a…のON操作が忘れられていても直ちに生乳の品質に影響しない場合もある。したがって、予冷装置を備える場合には、真空ポンプ60のON信号Soの検出時点から60〔分〕間、冷凍機のON信号Ssの入力が無く、かつこの時間の経過時点で、乳温が前述した保冷温度の正常範囲である2〜7〔℃〕に入っている場合には、ON信号Ssに対する有無判定のための監視時間を延長する処理を行う。これにより、予冷装置を備えたことにより発生する弊害を回避できる。
【0041】
また、予め設定した一又は二以上のデータ採取時点になったなら、このデータ採取時点における日時データと温度データを採取して記憶する履歴記憶機能を備えている。この場合、データ採取時点には、少なくとも、洗浄液温度が設定温度(前述した40〔℃〕)に達した時点,生乳が投入されたことに基づく時点(冷却能力判定開始温度:前述した32.2〔℃〕),投入された生乳の乳温が所定の設定時間内に所定の設定温度に達した時点(前述した10.0〔℃〕及び4.4〔℃〕の二点),保冷中における生乳の乳温が上限温度に達した時点(正常範囲の上限値:前述した7〔℃〕),保冷中における生乳の乳温が下限温度に達した時点(正常範囲の下限値:前述した2〔℃〕),再投入された生乳の乳温が所定の設定時間内に所定の設定温度に達した時点(前述した10.0〔℃〕)の一又は二以上が含まれる。
【0042】
さらに、集乳者が集乳完了スイッチ23kに対するON操作を忘れた場合に対する補助機能を備えている。この場合、保冷温度の監視中に、洗浄液温度により40〔℃〕を越えてしまうため、本来ならエラー処理が行われてしまうが、この弊害を回避するため、洗浄開始による温度上昇時まで溯ってエラー処理をリセットし、洗浄が正常に行われたと判定する処理を行う。また、冷凍機スイッチ41a…に対するON操作を忘れた場合に対する補助機能を備えている。この場合、集乳後、搾乳開始前に、冷凍機スイッチ41a…をON操作したかをチェックする。そして、初期投入の検出から所定時間(60〔分〕)経過するまでに、冷凍機スイッチ41a…のON操作に基づく冷凍機のON信号Ssの入力が無く、かつ乳温が保冷温度の正常範囲(2〜7〔℃〕)を外れているときはエラー処理を行う。
【0043】
次に、バルククーラBaからバルククーラBbに切換を行う場合について説明する。図5に示すフローチャートにおけるステップS1〜S12は、図6に示すフローチャートのステップS21及びS22に対応する。今、集乳が行われる前に、バルククーラBaが一杯になったり、搾乳対象の変更等によりバルククーラの切換条件が発生した場合には、バルククーラBaからバルククーラBbに切換を行う。この場合、切換は、バルククーラ切換弁57aを閉じ、バルククーラ切換弁57bを開くことにより行われる(ステップS23,S24)。この際、各バルククーラ切換弁57a,57bの切換信号Sc…は、各子機2a,2bに入力する(ステップS25)。
【0044】
これにより、親機3は、バルククーラBaからバルククーラBbに切換わったことを検出することができ、親機3による監視もバルククーラBa側からバルククーラBb側に切換えられる(ステップS26,S27)。したがって、監視装置1は、各バルククーラBa,Bb…の使用状態に基づいて、対応するバルククーラBa,Bbの状態を確実に監視できる。なお、実施例は2台のバルククーラBa,Bbを示したが、バルククーラBa…は3台以上設置されていても同様の監視処理が可能である。したがって、この場合、2台目のバルククーラBbによる監視処理が行われ、さらに、バルククーラの切換条件が発生した場合であって、3台目のバルククーラが設置されている場合には、次のバルククーラに対する切換及び監視処理が同様に行われることになる(ステップS28,S29)。
【0045】
このように、本実施例に係る監視装置1によれば、複数のバルククーラBa,Bbに、少なくともバルククーラBa,Bbの状態に係わるデータDt,Dsを検出する検出機能Fsを有する複数の子機2a,2bをそれぞれ設置するとともに、これらの子機2a,2bと通信可能に構成し、少なくとも子機2a,2bにより検出したデータDtを記憶する記憶機能Fmを有する単一の親機3を設置したため、大規模な酪農施設であっても、各バルククーラBa,Bbにおける監視装置の一部を親機3が共有することができ、装置全体のコストダウンを図ることができる。また、装置故障が発生しても子機2a…又は親機3の交換等により対応できるため、この観点からもコスト的に有利になるとともに、メンテナンス性にも優れる。さらに、新たなバルククーラが設置される場合或いは仕様が変更される場合であっても、子機の追加或いは親機3のプログラム変更等により対応できるなど、システム全体の発展性及び融通性に優れる。しかも、複数のバルククーラBa,Bbの全体を親機3により一括(集中)して監視できるため、作業効率(管理効率)の向上を図れるとともに、管理ミスの防止にも寄与できる。
【0046】
以上、実施例について詳細に説明したが、本発明は、このような実施例に限定されるものではなく、細部の構成,形状,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。例えば、実施例は、2台のバルククーラBa,Bbが設置される場合を示したが、前述したように、3台以上であっても同様に実施できるとともに、1台であっても同様に実施できる。また、必要により子機2a,2b…に、記憶機能や判定機能等の他の機能を備えてもよい。さらに、データDt,Dsとして、温度データDt及び動作データDsを例示したが、他のデータを排除するものではない。一方、子機2a,2b及び親機3の表示形式として、温度表示機能Fd及びグラフ表示機能Ffを例示したが表示形式は任意である。なお、本発明における記憶機能Fmとは、紙等に記録する記録機能を含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の好適な実施例に係るバルククーラ用監視装置の全体を示すブロック構成図、
【図2】同バルククーラ用監視装置の外観構成図、
【図3】同バルククーラ用監視装置を付設するバルククーラを備える受乳システムの一例を示す構成図、
【図4】同バルククーラ用監視装置の表示部により表示される時間に対する乳温(洗浄液温度)のグラフ表示図、
【図5】同バルククーラ用監視装置の動作説明用フローチャート、
【図6】同バルククーラ用監視装置の他の動作説明用フローチャート、
【符号の説明】
【0048】
1:バルククーラ用監視装置,Ba:バルククーラ,Bb:バルククーラ,Ts:規定値,Dt:データ,Ds:データ,Fs:検出機能,2a:子機,2b:子機,Fm:記憶機能,3:親機
【出願人】 【識別番号】000103921
【氏名又は名称】オリオン機械株式会社
【出願日】 平成18年10月30日(2006.10.30)
【代理人】 【識別番号】100088579
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 茂


【公開番号】 特開2007−50007(P2007−50007A)
【公開日】 平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願番号】 特願2006−293753(P2006−293753)