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【発明の名称】 花粉交配具
【発明者】 【氏名】後 藤 一 成
【氏名】小 熊 勝 壽
【課題】作業者が片手で保持して確実に且つ高能率な交配作業ができる無動力花粉供給機構を備えた花粉交配具の提供。

【解決手段】可撓性を有する花粉容器1と、着脱自在に螺合する密閉蓋2と、密閉蓋2の中心部を貫通し花粉容器1に挿入された通気管3と、通気管3の先端に連結された容器内給排気管5と、上部に延長された通気管3の先端に連結された花粉噴出管6と、花粉噴出管6を囲んで挿通され通気管3に着脱自在に嵌着された羽根交配部材4とから構成され、花粉容器1を把持した手を握り締めることにより、容器内の空気と共に収容した花粉を花粉噴出管6から羽根交配部材4に噴射させ、握り締めた手を通常把持状態に戻すことにより原形に復元する容器に吸引される空気を容器内給排気管5から容器内に噴射させ、容器内の葯付き粗花粉10を撹拌し純花粉を分離させることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定容量で可撓性を有する合成樹脂製の円筒形状の花粉容器と、該花粉容器の口部に着脱自在に螺合する密閉蓋と、密閉蓋の中心部を貫通し花粉容器に挿入された通気管と、
花粉容器に挿入された通気管の先端に連結された容器内給排気管と、密閉蓋の上部に延長された通気管の先端に連結された花粉噴出管と、
前記花粉噴出管を囲んで挿通され通気管に着脱自在に嵌着された羽根交配部材とから構成され、
前記花粉容器を把持した手を握り締めることにより、容器内の空気と共に収容した花粉を花粉噴出管から羽根交配部材に噴射させ、握り締めた手を通常把持状態に戻すことにより原形に復元する容器に吸引される空気を容器内給排気管から容器内に噴射させ、容器内の葯付き粗花粉を撹拌し純花粉を分離させることを特徴とする花粉交配具。
【請求項2】
前記容器内給排気管は、通気管に連結リングを介して着脱自在に連通され、閉塞された先端部の円周面に所定間隔で均等に配置された複数の給排気孔を穿設し、該給排気孔を囲む管の外周に円筒状の金網で形成された篩金網を設け、
葯付きの粗花粉から、花粉のみの純花粉を篩い出し、通気管を介して花粉噴出管から羽根交配部材に噴射させることを特徴とする請求項1記載の花粉交配具。
【請求項3】
前記花粉噴出管は、通気管に連結リングを介して着脱自在に連通され、閉塞された先端部の円周面に所定間隔で均等に配置された複数の噴出孔を穿設し、
該噴射孔を囲む管の外周に、該噴出孔から噴射される花粉交じり空気を上方の前記羽根交配部の全面に放射させる方向に誘導する漏斗状の拡散管が設けられていることを特徴とする請求項1記載の花粉交配具。
【請求項4】
前記羽根交配部材は、前記花粉噴出管が連結された通気管に着脱自在に挿嵌固定される固定ゴム輪を備えた羽根止めリングと、該羽根止めリングの上面に所定間隔で均等に植え込まれたダチョウの羽根を含む大型鳥類の複数の羽根とから構成し、羽根交配部材の中央空洞間隙に配置された花粉噴出管から噴射された花粉を羽根の羽毛全体で受け止め付着させ、複数の開花した花器の雌しべの柱頭に花粉を接触付着させることを特徴とする請求項1記載の花粉交配具。
【請求項5】
前記通気管の花粉容器収納部分に並行し、上部が密閉蓋近傍に蓋網を備えて開口し、下部が容器内給排気管の先端近傍に管径を絞られた開口を備えた容器内通気管をさらに設け、前記花粉容器を把持した手を握り締めることにより、
容器内の空気が圧縮されたとき、その圧縮空気を該容器内通気管を介して前記給排気孔近傍に噴出させることにより充填された葯付き花粉の撹拌と分離を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の花粉交配具
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、人口受粉を必要とする果樹の花粉交配作業に用いる花粉交配具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、梨など人工授粉を必要とされる果樹の人口受粉は、竹棒に羽毛をつけた梵天に、花粉を付けて開花した花器の一つ一つに接触させて花粉を受粉させる方法がとられていた。この様な方法が最も確実な方法であるが、非常に手間がかかる作業であった。
【0003】
これらの作業の能率を高め、確実に行うために、特許文献1の発明が提案されている。この発明は、花粉収納部に収容された花粉を、花粉分散部により所定量ずつ送出し、送風により花粉搬送部を介して花粉交配具を供えた花粉交配部に花粉を供給するものであった。
【0004】
しかし、電動モータによる送風機構、花粉分離機構を備え、複雑な構造であるため、重量があり、肩に担いで操作しなければならない問題があった。従来の梵天に比べて大きな花粉交配部を備えていることから、交配作業の能率は従来の3〜5倍程度となる効果はあるものの、装置が高価であるため、2〜3日の短期間の開花期に作業を終了させねばならない梨園において、作業者の必要台数をそろえることは設備費用がかかりすぎる問題があった。
【0005】
また、これらの装置に用いる花粉は、葯から精製した純花粉を用いなければならず、花粉精製機や花粉混合機などの装置を備えなければならなかった。
【0006】
【特許文献1】特開2004−135568号公報(第2、3頁、図第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、作業者が片手で保持して確実に且つ高能率な交配作業ができる無動力花粉供給機構を備えた花粉交配具の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の花粉交配具は、所定容量で可撓性を有する合成樹脂製の円筒形状の花粉容器と、該花粉容器の口部に着脱自在に螺合する密閉蓋と、密閉蓋の中心部を貫通し花粉容器に挿入された通気管と、
花粉容器に挿入された通気管の先端に連結された容器内給排気管と、密閉蓋の上部に延長された通気管の先端に連結された花粉噴出管と、
前記花粉噴出管を囲んで挿通され通気管に着脱自在に嵌着された羽根交配部材とから構成され、
前記花粉容器を把持した手を握り締めることにより、容器内の空気と共に収容した花粉を花粉噴出管から羽根交配部材に噴射させ、握り締めた手を通常把持状態に戻すことにより原形に復元する容器に吸引される空気を容器内給排気管から容器内に噴射させ、容器内の葯付き粗花粉を撹拌し純花粉を分離させることを特徴とする。
【0009】
また、前記容器内給排気管は、通気管に連結リングを介して着脱自在に連通され、閉塞された先端部の円周面に所定間隔で均等に配置された複数の給排気孔を穿設し、該給排気孔を囲む管の外周に円筒状の金網で形成された篩金網を設け、葯付きの粗花粉から、花粉のみの純花粉を篩い出し、通気管を介して花粉噴出管から羽根交配部材に噴射させることを特徴とする。
【0010】
また、前記花粉噴出管は、通気管に連結リングを介して着脱自在に連通され、閉塞された先端部の円周面に所定間隔で均等に配置された複数の噴出孔を穿設し、該噴射孔を囲む管の外周に、該噴出孔から噴射される花粉交じり空気を上方の前記羽根交配部の全面に放射させる方向に誘導する漏斗状の拡散管が設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、前記羽根交配部材は、前記花粉噴出管が連結された通気管に着脱自在に挿嵌固定される固定ゴム輪を備えた羽根止めリングと、該羽根止めリングの上面に所定間隔で均等に植え込まれたダチョウの羽根を含む大型鳥類の複数の羽根とから構成し、羽根交配部材の中央空洞間隙に配置された花粉噴出管から噴射された花粉を羽根の羽毛全体で受け止め付着させ、複数の開花した花器の雌しべの柱頭に花粉を接触付着させることを特徴とする。
【0012】
また、前記通気管の花粉容器収納部分に並行し、上部が密閉蓋近傍に蓋網を備えて開口し、下部が容器内給排気管の先端近傍に管径を絞られた開口を備えた容器内通気管をさらに設け、前記花粉容器を把持した手を握り締めることにより、容器内の空気が圧縮されたとき、その圧縮空気を該容器内通気管を介して前記給排気孔近傍に噴出させることにより充填された葯付き花粉の撹拌と分離を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の花粉交配具によれば、従来の梵天型の用具に比べ4〜5倍効率よく確実な受粉作業を行うことができ、また、電気モータなどの動力を用いる従来の花粉交配機に比べても、小型で軽量であるため作業性に優れるため同等以上の作業効率を上げることができ、むしろ、作業疲労を軽減することができる。
【0014】
また、動力を要しないため、故障がなく維持管理が容易であり、且つ必要量の花粉を間歇的に供給補充するため花粉の無駄を最小とすることができる。
【0015】
さらに、花粉交配具が、単純な構成であるため、低コストで製作可能であり、作業者それぞれに配布利用させることができる。このことから、短期間の開花期の作業を低い設備投資で、効率よく実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の花粉交配具の実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の花粉交配具の全体構成を示す斜視図である。
【0018】
花粉交配具100は、所定容量で可撓性を有する合成樹脂製の円筒形状の花粉容器1と、該花粉容器1の口部に着脱自在に螺合する密閉蓋2と、密閉蓋2の中心部を貫通し花粉容器1に挿入された通気管3と、通気管3に着脱自在に嵌着された羽根交配部材4とから構成されている。
【0019】
花粉容器1は、作業時間分の交配用花粉を収容した上で、容器を握り締めた際に花粉噴出及び花粉撹拌のために内部空気を排出、吸気できる間隙空間を有する所定容量を有し、握り締めた際に内部空気を排出し、握り締めを解除したとき原形に復元する可撓性の合成樹脂で形成する。
【0020】
図1は、花粉の粘着性を低くして適度の密度にさせる増量剤と葯付きの粗花粉との混合物である花粉10を花粉容器1に収容した状態を示す。
【0021】
密閉蓋2は花粉容器1の口部に着脱自在に螺合されており、密閉蓋2の中心部を貫通する通気管3を保持している通気管支持部材2aと共に回動させて花粉容器1からはずして、葯付き粗花粉及び増量剤を充填する。
【0022】
前記羽根交配部材4は、通気管3に着脱自在に挿嵌固定される固定ゴム輪4cを備えた羽根止めリング4bと、該羽根止めリング4bの上面に所定間隔で均等に植え込まれたガチョウの羽根を含む大型鳥類の複数の羽根4aとから構成されている。
【0023】
図2は、本発明の花粉交配具の要部を断面視した斜視図である。図2を参照して、通気管3の上下に連結された部材について説明する。
【0024】
通気管3は、軽量な金属製のパイプであり、花粉容器1の握り締めにより出入りする給排気を通気させる内径5〜7mmを有し、作業者が把持する花粉容器から上方に30〜60センチ延出し、先端を開花した花器に向けやすいよう角度を付けて曲げられ、一方、容器内の下端も、作業者が花粉容器1を斜めに把持したとき、花粉容器1の下方になる側面に向けて角度を付けて曲げられている。
【0025】
花粉容器1に挿入された通気管3の先端には、連結リング3aを介して着脱自在に容器内給排気管5が連結され、密閉蓋2の上部に延長された通気管3の先端には、同様に連結リンクを介して着脱自在に花粉噴出管6が連結されている。
【0026】
前記容器内給排気管5は、通気管3に連結リングを介して着脱自在に連通され、閉塞された先端部の円周面に所定間隔で均等に配置された複数の給排気孔5aを穿設し、該給排気孔5aを囲む管の外周に円筒状の金網で形成された篩金網5bが設けられている。
【0027】
図5は、本発明の容器内給排気管5の実施の形態を示す斜視図である。容器内給排気管5の先端は閉塞蓋5dで閉塞され、篩金網5bは容器内給排気管5に挿嵌された固定リング5cに前後を挟まれるように固定されている。
この構成により、花粉容器1に収容された葯付きの粗花粉10から、花粉のみの純花粉を篩い出し、通気管3を介して羽根交配部材4に噴射させる。
【0028】
前記花粉噴出管6は、通気管3に連結リング3aを介して着脱自在に連通され、閉塞された先端部の円周面に所定間隔で均等に配置された複数の噴出孔6aを穿設し、該噴射孔6aを囲む管の外周に、該噴出孔6aから噴射される花粉交じり空気を上方の前記羽根交配部材4の全面に放射させる方向に誘導する漏斗状の拡散管6bが設けられている。
【0029】
図6は、本発明の花粉噴出管6の実施の形態を示す斜視図である。図示のように、花粉噴出管6の先端は閉塞蓋6cで閉塞され、端部が漏斗状に拡げられた拡散管6bが挿嵌合されている。
【0030】
なお、容器内給排気管5及び花粉噴出管6は、小さな複数の孔が穿設されており、微粉末の花粉が詰まることがあるので、通気管3から着脱して目詰まり、また格納時の清掃を容易に行えるようにしている。
【0031】
次に、図3及び図4を参照して、本発明の花粉交配具100の動作を説明する。
【0032】
図3は、本発明の花粉交配具を把持して握り締め花粉を噴出させた状態を示す断面斜視図である。
【0033】
図に示すように、花粉容器1を把持している手を握り締めて、花粉容器1を圧縮すると、内部の空気が容器内給排気管5先端の給排気孔5aから通気管3を介して外部に排出される。その排出される空気は、周囲の葯付き粗花粉10を篩金網で濾して、微細な純花粉と増量剤の混合物を混合気として排出する。
【0034】
花粉交じりの空気Aは、通気管3を介して連結された花粉噴出管6の先端の噴出孔6aから周囲に勢い良く噴出され、漏斗状に拡げられた拡散管6bは、噴出された花粉混じり空気を上方に拡散して放射させ、羽根交配部材4の羽根4aの羽毛全体に行き渡らせる。
【0035】
このように、花粉噴出管6は羽根交配部材4の中央空隙間隙に配設されているので、花粉は、羽根4の枝分かれした羽毛に広く付着させることができる。
【0036】
このため、本発明の実施の形態では、枝先に着いた複数の花器に対して同時に接触させることができ、交配作業を確実に且つ能率よく行うことができる。
【0037】
図4は、図3に続き、握り締めを解除した状態を示す断面斜視図である。図3に示したように花粉容器1を握り締めた後、握り締めた手を通常把持状態に戻すと、花粉容器1は原形に復元して通気管3を介して外気Bを吸い込む動作をする。
【0038】
この外気Bは、容器内給排気管5の給排気孔5aから勢い良く噴出されるので、花粉容器1内に収容された葯付き粗花粉10を撹拌し、純花粉を分離させる動きをする。
【0039】
なお、葯付き粗花粉の撹拌・分離は、さらに交配作業中の作業者の手の動きによる遥動で、ある程度行われる。
【0040】
図7は、本発明の第2の実施の形態に用いる容器内通気管を示す断面図であり、図8は、本発明の第2の実施の形態に用いる容器内通気管を示す斜視図である。
【0041】
この実施の形態では、前記通気管3の花粉容器1収納部分に並行し、上部が密閉蓋2近傍に蓋網7aを備えて開口し、下部が容器内給排気管5の先端近傍に管径を絞られた開口7bを備えた容器内通気管7をさらに設けている。容器内通気管7は通気管3及び容器内給排気管5に連結帯7cで連結固定されている。
【0042】
前記花粉容器1を把持した手を握り締めることにより、容器内の空気が圧縮されたとき、その圧縮空気を該容器内通気管7を介して前記給排気孔5a近傍に噴出させることにより充填された葯付き粗花粉の撹拌と分離を行うことができる。
【0043】
このように、容器内通気管7を付設することによれば、花粉容器1に収容する葯付き粗花粉の量が多い場合、例えば、花粉の充填回数を減らすために多量に充填した場合でも、容器内の空気を勢い良く給排気孔5aから噴出させることができる。
【0044】
なお、花粉容器1への花粉充填量は、手の握り締めにより排気、吸気させる容積を、余裕を持って確保した分量が望ましく、その場合、花粉容器に通常作業の作業休憩までの2時間を目安に充填し、作業による消費状況から、交配作業を管理しても良い。
【0045】
前記羽根交配部材4に用いる羽根は、適度な長さと、やわらかい羽毛を有するダチョウの羽根を用いることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の花粉交配具の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の花粉交配具の要部を断面視した斜視図である。
【図3】本発明の花粉交配具を把持して握り締め花粉を噴出させた状態を示す断面斜視図である。
【図4】図3に続き、握り締めを解除した状態を示す断面斜視図である。
【図5】本発明の容器内給排気管の実施の形態を示す斜視図である。
【図6】本発明の花粉噴出管の実施の形態を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に用いる容器内通気管を示す断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に用いる容器内通気管を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
1 花粉容器
2 密閉蓋
2a 通気管支持部材
3 通気管
3a 連結リング
4 羽根交配部材
4a 羽根
4b 羽根止めリング
4c 固定ゴム輪
5 容器内給排気管
5a 給排気孔
5b 篩金網
5c 固定リング
5d 閉塞蓋
6 花粉噴出管
6a 噴出孔
6b 拡散管
6c 閉塞蓋
7 容器内通気管
7a 蓋網
7b 開口
7c 連結帯
10 花粉(葯付き粗花粉)
100 花粉交配具
A 花粉交じり空気
B 外気
【出願人】 【識別番号】306018804
【氏名又は名称】有限会社 福島プラント工業
【識別番号】506133459
【氏名又は名称】小熊 勝壽
【出願日】 平成19年5月18日(2007.5.18)
【代理人】 【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
【公開番号】 特開2007−306924(P2007−306924A)
【公開日】 平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願番号】 特願2007−133087(P2007−133087)