| 【発明の名称】 |
ユーカリ属植物の組織培養方法及びクローン苗生産方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】村上 章
【氏名】村上 邦睦
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| 【要約】 |
【課題】定芽形成工程における定芽の形成率、不定芽増殖工程における不定芽の増殖性、及び、発根工程における発根性のいずれをも向上させることができる、ユーカリ属植物の組織培養方法を提供し、ユーカリ属植物のクローン苗の生産性を高める。
【解決手段】ユーカリ属植物の組織培養にあたり、定芽形成工程、不定芽増殖工程及び発根工程のうち、1以上の工程を塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムを含む培地を用いて行う。塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウム濃度は、定芽形成工程においては5〜250mM、不定芽増殖工程においては5〜90mM、発根工程においては5〜400mMの培地の提供。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ユーカリ属植物の組織から定芽を形成させる定芽形成工程を、塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムを含む培地を用いて行うことを特徴とする、ユーカリ属植物の組織培養方法。 【請求項2】 ユーカリ属植物の組織から不定芽を誘導して増殖させる不定芽増殖工程を、塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムを含む培地を用いて行うことを特徴とする、ユーカリ属植物の組織培養方法。 【請求項3】 ユーカリ属植物の組織を発根させる発根工程を、塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムを含む培地を用いて行うことを特徴とする、ユーカリ属植物の組織培養方法。 【請求項4】 請求項1に記載の定芽形成工程、請求項2に記載の不定芽増殖工程及び請求項3に記載の発根工程のうち、1以上の工程を含むことを特徴とする、ユーカリ属植物のクローン苗生産方法。 【請求項5】 ユーカリ属植物の組織から定芽を形成させる定芽形成工程、定芽形成工程で得られた定芽から不定芽を誘導して増殖させる不定芽増殖工程、不定芽増殖工程で得られた不定芽を発根させる発根工程からなる、ユーカリ属植物のクローン苗生産方法であって、上記定芽形成工程、不定芽増殖工程、及び、発根工程のうちの1以上の工程を、塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムを含む培地を用いて行うことを特徴とする、ユーカリ属植物のクローン苗生産方法。 【請求項6】 濃度5〜250mMの塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムを含む培地を用いて定芽形成工程を行うことを特徴とする、請求項1、4又は5に記載のユーカリ属植物のクローン苗生産方法。 【請求項7】 濃度5〜90mMの塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムを含む培地を用いて不定芽増殖工程を行うことを特徴とする、請求項2、4又は5に記載のユーカリ属植物のクローン苗生産方法。 【請求項8】 濃度5〜400mMの塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムを含む培地を用いて発根工程を行うことを特徴とする、請求項3、4又は5に記載のユーカリ属植物のクローン苗生産方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、組織培養により、ユーカリ属植物のクローン苗を生産する方法に関する。 【背景技術】 【0002】 植物組織を培養容器内で栄養繁殖、あるいは増殖させて大量のクローン苗を生産する組織培養技術は、栄養繁殖性の花卉、作物のみならず、優良形質を備えた植物個体を大量生産する方法として近年盛んに用いられており、生産品の均一化や高収量化等、大きな効果をもたらす一方、木本植物、即ち樹木においても、挿し木等が困難な種を中心として、その適用によるクローン苗の生産・大量増殖が期待されている。これは、パルプ用材等として有用な樹種を含むユーカリ属(Eucalyputus)においても例外ではない。 【0003】 一般に、木本植物の組織培養によるクローン苗の生産は、定芽形成工程、不定芽増殖工程及び発根工程を経て行われる。即ち、まず、屋外や温室等に生育している個体より採取された枝等を、適当な定芽形成用の培地を用いて培養し、頂芽や腋芽等の定芽を形成させた後、これらの定芽を、不定芽増殖用の培地を用いて培養することで不定芽を誘導し、増殖させる。次いで、増殖した不定芽を、今度は発根用培地に移植して培養することで発根させ、クローン苗を得るのである。 【0004】 しかしながら、ユーカリ属植物は、上記定芽形成工程における定芽の形成率、不定芽増殖工程における不定芽の増殖性(不定芽の増殖率や成長)、及び/又は発根工程における発根性(不定芽からの発根率や、発根した不定芽一本あたりの根数)等に関し、劣っている樹種が多い。そこで、ユーカリ属植物のクローン苗の生産性を高めることを目的として、これまでに、例えば、不定芽の増殖性、発根性等を向上させるために、組織培養に用いる培地組成の改変(例えば、特許文献1)、組織培養時の光条件の制御(例えば、特許文献2)、炭酸ガス濃度の制御(例えば、特許文献3)等が検討されてきた。 【0005】 【特許文献1】特開平6−133657 【特許文献2】特開2000−60332 【特許文献3】特開平8−252038 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 ユーカリ属植物のクローン苗の生産性を高めるための上記検討は、一定の成果を挙げてきている。しかし、大規模な植林等の用途に、これらのクローン苗を適用することを想定した場合に、その生産性は、まだ十分ではない。 【0007】 そこで、本発明者らは、ユーカリ属植物のクローン苗の生産性を高めることを目的とし、定芽形成工程における定芽の形成率、不定芽増殖工程における不定芽の増殖性、及び、発根工程における発根性のいずれをも向上させることができる、ユーカリ属植物の組織培養方法を提供するべく、研究を行った。 【課題を解決するための手段】 【0008】 上記研究の結果、本発明者らは、上記目的が、定芽形成工程、不定芽増殖工程及び発根工程を、それぞれ、塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムを含む培地を用いて行った場合に達成されることを見出し、本発明を完成した。 【0009】 すなわち、本発明は、ユーカリ属植物の組織から定芽を形成させる定芽形成工程を、塩化ナトリウム及び/もしくは塩化マグネシウムを含む培地を用いて行うことを特徴とする、ユーカリ属植物の組織培養方法、ユーカリ属植物の組織から不定芽を誘導して増殖させる不定芽増殖工程を、塩化ナトリウム及び/もしくは塩化マグネシウムを含む培地を用いて行うことを特徴とする、ユーカリ属植物の組織培養方法、又は、ユーカリ属植物の組織を発根させる発根工程を、塩化ナトリウム及び/もしくは塩化マグネシウムを含む培地を用いて行うことを特徴とする、ユーカリ属植物の組織培養方法に関し、あるいは、上記定芽形成工程、不定芽増殖工程及び発根工程のうち、1以上の工程を含むことを特徴とする、ユーカリ属植物のクローン苗生産方法に関する。 【発明の効果】 【0010】 本発明によれば、ユーカリ属植物の組織培養の定芽形成工程において、定芽形成率を向上させることができる。 【0011】 また、本発明によれば、ユーカリ属植物の組織培養の不定芽増殖工程において、不定芽の増殖率及び成長を向上させることができる。 【0012】 さらに、本発明によれば、ユーカリ属植物の発根工程において、発根率及び根数を向上させることができる。 【0013】 従って、本発明によれば、ユーカリ属植物のクローン苗の生産性を高め、これらのクローン苗を、大規模な植林等の用途に適用することを可能とする。 【発明を実施するための最良の形態】 【0014】 以下に、本発明を詳細に説明する。 【0015】 本発明に係る組織培養方法又はクローン苗生産方法の対象となる植物は、ユーカリ属に属する植物であれば、その種類を問わない。ユーカリ属に属する植物としては、例えば、ユーカリプタス・ビコスタータ(Eucalyptus bicostata)、ユーカリプタス・カマルドレンシス(E.camaldulensis)、ユーカリプタス・シトリオドーラ(E.citriodora)、ユーカリプタス・グロブルス(E.globulus)、ユーカリプタス・グランディス(E.grandis)、ユーカリプタス・マイデニー(E.maidenii)、ユーカリプタス・ニテンス(E.nitens)、ユーカリプタス・ユーロフィラ(E.urophylla)等を挙げることができる。 【0016】 本発明に係る組織培養方法の一態様では、このユーカリ属植物の組織から定芽を形成させる定芽形成工程を、塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムを含む培地を用いて行う。ここで定芽とは、頂芽や腋芽等、植物において普通に形成される芽のことをいう。 【0017】 ユーカリ属植物の組織から定芽を形成させるには、例えば、屋外や温室等に生育しているユーカリ属植物の個体から、頂芽や腋芽の原基を含む枝を採取し、その表面を殺菌した後、無菌条件下、これを定芽形成用培地に挿し付けて培養を行えばよい。約2〜4週間で、その原基から頂芽や腋芽が形成され、伸長してくる。 【0018】 表面殺菌は、有効塩素濃度0.5〜4%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液又は有効塩素濃度5〜15%の過酸化水素水溶液に、採取した枝を10〜20分間浸漬して行うことができる。定芽形成用培地は、本発明の必須成分である塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムを含む他、炭素源、植物ホルモンとしてオーキシン及び/又はサイトカイニン、更に培地固形剤を含む、公知の植物組織培養用培地を用いることができる。 【0019】 なお、定芽形成用培地中の塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムの量は、5〜250mMが好ましく、特に10〜200mMが好ましい。ここで、塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムの量とは、塩化ナトリウム又は塩化マグネシウムを単独で含む場合には、その塩化ナトリウム又は塩化マグネシウム単独の量のことであり、塩化ナトリウム及び塩化マグネシウムの両者を含む場合には、その両者を合計した量のことである。塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムの量が5mM未満でも、250mMより多くても、定芽の形成率向上に対する効果は見込めない。炭素源としてはショ糖1〜5w/v%、植物ホルモンとしてはベンジルアデニン(BAP)0.02〜1mg/l、培地固形剤としてはゲランガム0.2〜0.3w/v%又は寒天0.5〜1.0w/v%が好ましい。植物組織培養用培地としては、ムラシゲ・スクーグ(MS)培地を好適に使用することができる。光条件や温度等の環境条件は、そのユーカリ属植物の生育に好適な条件として、公知の環境条件を採用できる。 【0020】 また、本発明に係る組織培養方法の他の一態様では、ユーカリ属植物の組織から不定芽を誘導して増殖させる不定芽増殖工程を、塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムを含む培地を用いて行う。ここで不定芽とは、通常は芽が形成されない部位に形成される芽のことをいい、枝、茎、葉、根、カルス等から分化してくる芽の他、苗状原基や多芽体から分化してくる芽も、不定芽と総称する。また、多芽体とは、多数の不定芽を分化させた組織であり、適当な条件下で、定芽や不定芽を培養して誘導することができる。 【0021】 従って、ユーカリ属植物の組織から不定芽を誘導して増殖させるには、例えば、上記定芽形成工程に準じて(定芽形成用培地として、塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムを含む培地を用いる必要はない。)、ユーカリ属植物の組織から定芽を形成させた後、この定芽を、不定芽増殖用培地に置床して培養を行い、多芽体を誘導して、これを増殖すればよい。多芽体は、不定芽増殖用培地に定芽を置床した後、約2〜4週間で誘導される。誘導された多芽体を増殖するには、これを適当な大きさに分割して、その誘導に用いたのと同じ組成の不定芽増殖用培地に置床して培養するだけでよい。不定芽増殖用培地は、本発明の必須成分である塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムを含む他、炭素源、植物ホルモンとしてオーキシン及び/又はサイトカイニン、更に培地固形剤を含む、公知の植物組織培養用培地を用いることができる。 【0022】 なお、不定芽増殖用培地中の塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムの量は、5〜90mMが好ましく、特に10〜80mMが好ましい。ここで、塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムの量とは、前記と同様、塩化ナトリウム又は塩化マグネシウムを単独で含む場合には、その塩化ナトリウム又は塩化マグネシウム単独の量のことであり、塩化ナトリウム及び塩化マグネシウムの両者を含む場合には、その両者を合計した量のことである。塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムの量が5mM未満でも、90mMより多くても、不定芽の増殖性の向上に対する効果は見込めない。炭素源としてはショ糖1〜5w/v%、植物ホルモンとしてはベンジルアデニン(BAP)0.02〜1mg/l又はカイネチン(Kin)0.02〜1mg/l、培地固形剤としてはゲランガム0.2〜0.3w/v%又は寒天0.5〜1.0w/v%が好ましい。植物組織培養用培地としてはMS培地、又は、このMS培地を2倍程度にまで希釈した培地を好適に使用することができる。光条件や温度等の環境条件は、そのユーカリ属植物の生育に好適な条件として、公知の環境条件を採用できる。 【0023】 また、本発明に係る組織培養方法の更に他の一態様では、ユーカリ属植物の組織を発根させる発根工程を、塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムを含む培地を用いて行う。 【0024】 ユーカリ属植物の組織を発根させるには、例えば、上記定芽形成工程にて形成させた定芽、又は、不定芽増殖工程にて誘導・増殖させた不定芽を切取り、これを発根用培地に挿し付けて培養を行えばよい。発根用培地に挿し付けられた定芽又は不定芽は約2〜4週間で発根し、クローン苗を得ることができる。発根用培地は、本発明の必須成分である塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムを含む他、炭素源、植物ホルモンとしてオーキシンを含む、公知の植物組織培養用培地を用いることができる。この場合において、培地固化剤は使用しても良いが、使用せずに、フェノール樹脂やロックウール等を材料とする適当な空隙を有する支持体を、発根用液体培地で湿潤させ、これに定芽又は不定芽を挿し付けて発根させる方が、健全な根を得ることができる。 【0025】 なお、発根用培地中の塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムの量は、5〜350mMが好ましく、特に10〜300mMが好ましい。ここでも、塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムの量とは、塩化ナトリウム又は塩化マグネシウムを単独で含む場合には、その塩化ナトリウム又は塩化マグネシウム単独の量のことであり、塩化ナトリウム及び塩化マグネシウムの両者を含む場合には、その両者を合計した量のことである。塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムの量が5mM未満でも、350mMより多くても、発根性の向上に対する効果は見込めない。炭素源としてはショ糖1〜5w/v%、植物ホルモンとしてはインドール酪酸(IBA)0.5〜5mg/l又はナフタレン酢酸(NAA)0.5〜5mg/lが好ましい。炭素源としてショ糖を用いる代わりに、炭酸ガスを培養環境中に供給してもよい。植物組織培養用培地としては、MS培地又はB5培地を2〜8倍に希釈した培地を好適に使用することができる。光条件や温度等の環境条件は、そのユーカリ属植物の生育に好適な条件として、公知の環境条件を採用できる。 【0026】 本発明において、ユーカリ属植物のクローン苗は、上記定芽形成工程、不定芽増殖工程及び発根工程のうち、1以上の工程を経て生産される。生産されたクローン苗は、順化の後、育苗容器又は苗畑等に移植して育成することで、植林等の所定の目的に使用可能な苗とすることができる。この間の用土や、苗を育成する際の温度・光強度等の条件は、そのユーカリ属植物に適するように適宜設定すればよい。 【0027】 [作用] 本発明においては、塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムを含む培地を用い、ユーカリ属植物の組織を培養するが、公知の植物組織培養用培地の中で、塩化ナトリウム又は塩化マグネシウムをその組成に含んでいるものはない。 【0028】 そもそも、塩生植物として知られている植物を除き、通常の植物は、耐塩性がかなり強いとされているものであっても、塩素イオン濃度が300mM程度の培養液を用いて栽培した場合に、せいぜい約70%の相対成長量を維持できる程度の耐塩性しか備えていない。また、塩素イオン濃度300mM未満の培養液を用いて栽培した場合に、このような「耐塩性が強い」植物の生育が、塩素イオン濃度の存在下、促進されることもない(『植物栄養・肥料学』第150〜151頁、1993年、(株)朝倉書店発行)。ユーカリ属植物も塩生植物ではなく、耐塩性に関しては、通常の植物と変わりはないと考えられている。 【0029】 ところが、本発明者らは、塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムを含む培地が、ユーカリ属植物の組織培養において、定芽の形成率、不定芽の増殖性、そして発根性の全てを向上させる効果を有することを見出した。かかる効果が、どのようにしてもたらされるのか明らかではないが、ユーカリ属植物に共通する、何らかの生理学的性質(例えば、細胞内浸透圧等)に起因するものと推察される。 【実施例】 【0030】 以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。 【0031】 [実施例1] 定芽形成用培地として、塩化ナトリウム10、50、100、200もしくは300mM、又は、塩化マグネシウム50もしくは100mM、ショ糖1.5w/v%、BAP0.1mg/l、及び、ゲランガム0.25w/v%を含むMS培地を用意した。 【0032】 一方、10年生のユーカリプタス・グロブルスの当年生枝から、腋芽の原基を含む枝を採取し、有効塩素濃度1%の次亜塩素酸ナトリウム溶液に15分間浸漬して表面殺菌した後、滅菌水で洗浄し、無菌条件下、これを上記定芽形成用培地、又は、塩化ナトリウム及び/もしくは塩化マグネシウム無添加とした他は、上記定芽形成用培地と同組成の対照培地(定芽形成用)に挿し付け、25±1℃、16時間日長、光強度40μmol/cm2/sで培養を行った。 【0033】 培養開始から4週間後、培養に供した枝に形成された腋芽の数を調査し、結果を表1に示した。 【0034】 【表1】
【0035】 表1より明らかなように、定芽形成用培地として、塩化ナトリウム10、50、100もしくは200mM、又は、塩化マグネシウム50もしくは100mMを含むものを用いた場合には、いずれも、50%を超える腋芽の形成率、即ち定芽形成率を示した。これに対して、対照培地(定芽形成用)を用いた場合の定芽形成率は36%に過ぎず、上記定芽形成用培地が、定芽の形成率を向上させたことを示していた。 【0036】 [実施例2] 不定芽増殖用培地として、塩化ナトリウム10、50、80もしくは100mM、又は、塩化マグネシウム50もしくは80mM、ショ糖2.0w/v%、BAP0.02mg/l、及び、ゲランガム0.25w/v%を含むMS培地を用意した。 【0037】 一方、実施例1で形成された腋芽を枝から切取り、これを上記不定芽増殖用培地、又は、塩化ナトリウム及び/もしくは塩化マグネシウム無添加とした他は、上記不定芽増殖用培地と同組成の対照培地(不定芽増殖用)に置床し、25±1℃、16時間日長、光強度40μmol/cm2/sで培養を行い、多芽体を誘導・増殖した。 【0038】 培養開始から4週間後、誘導・増殖された多芽体の生重量、及び、この多芽体から分化してきている不定芽の長さを調査し、結果を表2に示した。 【0039】 【表2】
【0040】 表2より明らかなように、不定芽増殖用培地として、塩化ナトリウム10、50、もしくは80mM、又は、塩化マグネシウム50もしくは80mMを含むものを用いた場合には、いずれも、対照培地(不定芽増殖用)を用いた場合と比べて、生重量が重く、しかも、不定芽の伸長もよい多芽体が得られ、上記不定芽増殖用培地が、不定芽の増殖性を向上させたことを示していた。 【0041】 [実施例3] 発根用培地として、塩化ナトリウム10、50、100、200、300もしくは500mM、又は、塩化マグネシウム100もしくは300mM、IBA2.0mg/lを含む、4倍希釈MS培地を用意した。 【0042】 一方、実施例2で誘導・増殖させた多芽体から不定芽を切取り、これを上記発根用培地、又は、塩化ナトリウム及び/もしくは塩化マグネシウム無添加とした他は、上記発根用培地と同組成の対照培地(発根用)で湿潤させた、発泡フェノール樹脂(スミザーオアシス社製『オアシス(登録商標)』)に挿し付け、炭酸ガス濃度1000ppm±200ppm、25±1℃、16時間日長、光強度40μmol/cm2/sで培養を行った。 【0043】 培養開始から3週間後、発根が認められた不定芽の数、及び、発根が認められた不定芽について、その1本あたりの根数を調査し、結果を表3に示した。 【0044】 【表3】
【0045】 表3より明らかなように、発根用培地として、塩化ナトリウム10、50、100、200もしくは300mM、又は、塩化マグネシウム100もしくは300mMを含むものを用いた場合、発根率に関しては、対照培地(発根用)を用いた場合と同等程度か、若干劣る結果が得られたが、このとき発根した不定芽一本あたりに形成されている根数は、対照培地(発根用)を用いた場合と比べて大きく増加し、上記発根用培地が不定芽の発根性を向上させたことを示していた。 【0046】 [実施例4] 不定芽増殖用培地として、塩化ナトリウム10、50又は100mM、ショ糖2.0w/v%、BAP0.02mg/l、及び、ゲランガム0.25w/v%を含むMS培地を用意した。 【0047】 一方、10年生のユーカリプタス・グロブルスの当年生枝から、腋芽の原基を含む枝を採取し、実施例1と同様にして、表面殺菌等を行った後、対照培地(定芽形成用)に挿し付けて培養し、腋芽を形成させた。本実施例においては、こうして形成させた腋芽を枝から切取り、これを上記不定芽増殖用培地、又は、塩化ナトリウム無添加とした他は、上記不定芽増殖用培地と同組成の対照培地(不定芽増殖用)に置床し、25±1℃、16時間日長、光強度40μmol/cm2/sで培養を行い、多芽体を誘導・増殖した。 【0048】 培養開始から4週間後、誘導・増殖された多芽体の生重量、及び、この多芽体から分化してきている不定芽の長さを調査し、結果を表4に示した。 【0049】 【表4】
【0050】 表4より明らかなように、不定芽増殖用培地として、塩化ナトリウム10又は50mMを含むものを用いた場合には、いずれも、対照培地(不定芽増殖用)を用いた場合と比べて、生重量が重く、しかも、不定芽の伸長もよい多芽体が得られ、上記不定芽増殖用培地が、本実施例においても不定芽の増殖性を向上させたことを示していた。 【0051】 [実施例5] 発根用培地として、塩化ナトリウム10、50、100、200、300又は500mM、IBA2.0mg/lを含む、4倍希釈MS培地を用意した。 【0052】 一方、10年生のユーカリプタス・グロブルスの当年生枝から、腋芽の原基を含む枝を採取し、実施例1と同様にして、表面殺菌等を行い、対照培地(定芽形成用)に挿し付けて培養し、腋芽を形成させた。次いで、この腋芽を枝から切取り、これを実施例2と同様にして、対照培地(不定芽増殖用)に置床して培養し、多芽体を誘導・増殖した。本実施例においては、こうして誘導・増殖させた多芽体から不定芽を切取り、これを上記発根用培地、又は、塩化ナトリウム無添加とした他は、上記発根用培地と同組成の対照培地(発根用)で湿潤させた、発泡フェノール樹脂(スミザーオアシス社製『オアシス(登録商標)』)に挿し付け、炭酸ガス濃度1000±200ppm、25±1℃、16時間日長、光強度40μmol/cm2/sで培養を行った。 【0053】 培養開始から3週間後、発根が認められた不定芽の数、及び、発根が認められた不定芽について、その1本あたりの根数を調査し、結果を表5に示した。 【0054】 【表5】
【0055】 表5より明らかなように、発根用培地として、塩化ナトリウム10、50、100、200又は300mMを含むものを用いた場合、発根率に関しては、対照培地(発根用)を用いた場合と同等程度か、若干劣る結果が得られたが、このとき発根した不定芽一本あたりに形成されている根数は、対照培地(発根用)を用いた場合と比べて大きく増加し、上記発根用培地が、本実施例においても不定芽の発根性を向上させたことを示していた。 【0056】 [実施例6] 定芽形成用培地として、塩化ナトリウム10、100又は200mM、ショ糖1.5w/v%、BAP0.1mg/l、及び、ゲランガム0.25w/v%を含むMS培地を用意した。 【0057】 一方、6年生のユーカリプタス・シトリオドーラの当年生枝から、腋芽の原基を含む枝を採取し、有効塩素濃度1%の次亜塩素酸ナトリウム溶液に15分間浸漬して表面殺菌した後、滅菌水で洗浄し、無菌条件下、これを上記定芽形成用培地、又は、塩化ナトリウム無添加とした他は、上記定芽形成用培地と同組成の対照培地(定芽形成用)に挿し付け、25±1℃、16時間日長、光強度40μmol/cm2/sで培養を行った。 【0058】 培養開始から4週間後、培養に供した枝に形成された腋芽の数を調査し、結果を表6に示した。 【0059】 【表6】
【0060】 表6より明らかなように、定芽形成用培地として、塩化ナトリウムを含むものを用いた場合には、いずれも、40%を超える腋芽の形成率、即ち定芽形成率を示した。これに対して、対照培地(定芽形成用)を用いた場合の定芽形成率は24%に過ぎず、上記定芽形成用培地が、定芽の形成率を向上させたことを示していた。 【0061】 [実施例7] 不定芽増殖用培地として、塩化ナトリウム10、50又は80mM、ショ糖2.0w/v%、BAP0.02mg/l、及び、ゲランガム0.25w/v%を含むMS培地を用意した。 【0062】 一方、実施例6で形成された腋芽を枝から切取り、これを上記不定芽増殖用培地、又は、塩化ナトリウム無添加とした他は、上記不定芽増殖用培地と同組成の対照培地(不定芽増殖用)に置床し、25±1℃、16時間日長、光強度40μmol/cm2/sで培養を行い、多芽体を誘導・増殖した。 【0063】 培養開始から4週間後、誘導・増殖された多芽体の生重量、及び、この多芽体から分化してきている不定芽の長さを調査し、結果を表7に示した。 【0064】 【表7】
【0065】 表7より明らかなように、不定芽増殖用培地として、塩化ナトリウムを含むものを用いた場合には、いずれも、対照培地(不定芽増殖用)を用いた場合と比べて、生重量が重く、しかも、不定芽の伸長もよい多芽体が得られ、上記不定芽増殖用培地が、不定芽の増殖性を向上させたことを示していた。 【0066】 [実施例8] 発根用培地として、塩化ナトリウム50、200、300又は500mM、IBA2.0mg/lを含む、4倍希釈MS培地を用意した。 【0067】 一方、実施例7で誘導・増殖させた多芽体から不定芽を切取り、これを上記発根用培地、又は、塩化ナトリウム無添加とした他は、上記発根用培地と同組成の対照培地(発根用)で湿潤させた、発泡フェノール樹脂(スミザーオアシス社製『オアシス(登録商標)』)に挿し付け、炭酸ガス濃度1000±200ppm、25±1℃、16時間日長、光強度40μmol/cm2/sで培養を行った。 【0068】 培養開始から3週間後、発根が認められた不定芽の数、及び、発根が認められた不定芽について、その1本あたりの根数を調査し、結果を表8に示した。 【0069】 【表8】
【0070】 表8より明らかなように、発根用培地として、塩化ナトリウム50、200又は300mMを含むものを用いた場合、発根率に関しては、対照培地(発根用)を用いた場合と同等程度か、若干劣る結果が得られたが、このとき発根した不定芽一本あたりに形成されている根数は、対照培地(発根用)を用いた場合と比べて大きく増加し、上記発根用培地が不定芽の発根性を向上させたことを示していた。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000183484 【氏名又は名称】日本製紙株式会社
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| 【出願日】 |
平成17年6月22日(2005.6.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100074572 【弁理士】 【氏名又は名称】河澄 和夫
【識別番号】100126169 【弁理士】 【氏名又は名称】小田 淳子
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| 【公開番号】 |
特開2007−57(P2007−57A) |
| 【公開日】 |
平成19年1月11日(2007.1.11) |
| 【出願番号】 |
特願2005−182671(P2005−182671) |
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