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【発明の名称】 切断具
【発明者】 【氏名】丸尾 裕一郎

【要約】 【課題】本発明は、切断対象物を切断する際の作業性が良く、且つ、容易に持ち運ぶことのできる切断具を提供することを課題とする。

【解決手段】長尺な本体10の先端側で切断対象物Xを切断する切断具1であって、切断対象物Xを本体10に対して相対変位不能に規制する規制手段20と、前記本体10に対して相対変位することで該本体10に対して相対変位不能に規制される切断対象物Xを切断する刃体31を有する切断手段30と、前記相対変位不能に規制される切断対象物Xに対して前記切断手段30を付勢する付勢手段40と、前記本体10の基端側から駆動操作される操作手段50とを備え、前記操作手段50を駆動操作すると、該駆動操作によって発生する駆動力が駆動力伝達機構Sを介して伝達されることにより、前記駆動操作に連動して前記刃体31の相対変位が行われることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺な本体の先端側で切断対象物を切断する切断具であって、
切断対象物を本体に対して相対変位不能に規制する規制手段と、
前記本体に対して相対変位することで該本体に対して相対変位不能に規制される切断対象物を切断する刃体を有する切断手段と、
前記相対変位不能に規制される切断対象物に対して前記切断手段を付勢する付勢手段と、
前記本体の基端側から駆動操作される操作手段とを備え、
前記操作手段を駆動操作すると、該駆動操作によって発生する駆動力が駆動力伝達機構を介して伝達されることにより、前記駆動操作に連動して前記刃体の相対変位が行われることを特徴とする切断具。
【請求項2】
前記切断手段が前記規制手段に対して接離する方向に回転可能に構成されるとともに、
前記切断手段を前記規制手段に近接する向きに回転させるように付勢する第二の付勢手段と、
前記切断手段を前記第二の付勢手段の付勢力に対抗して前記規制手段から離間させるべく、前記本体の基端側から操作される第二の操作手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の切断具。
【請求項3】
前記規制手段、切断手段及び付勢手段が前記本体に対して着脱可能に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の切断具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、切断具に関し、特に、配電線に寄りかかっている倒木などの切断対象物を高所で切断すべく地上から操作される切断具に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所で発電される電力を消費地まで供給する配電線は、一般に、奥深い山中などを経由して架設されるものである。このような配電線は、電力を安全に供給すべく日常的に配電線の点検が行われており、例えば樹木が倒れて寄りかかるなどすると電力の安全な供給に支障を来たし得るため、配電線の点検においてこのような倒木が発見された場合には切断することにより除去されている。なお、配電線には、倒木以外にも樹木の枝などが寄りかかる場合もあり、これらも同様に切断される(以下、このような切断されるべき樹木等を「切断対象物」と呼ぶ。)。
【0003】
このような切断対象物を切断する際に、切断すべき箇所が手を伸ばしても届かない程度の高所若しくは遠方である場合には、一般に、先端に刃体が設けられた長尺な切断具を用い、該切断具全体を切断対象物に対して動かすことで切断を行なっている。しかしながら、このように遠距離から切断作業を行うのでは、先端側の刃体が切断対象物に当接する位置を安定させにくい上に、長尺となることで重くなりがちな切断具を持ち上げつつ作業を行う必要があるために、作業性が悪いという問題がある。
【0004】
さらに、通常切断具は刃体を切断対象物の上方から宛がって下方に向かって切断するように用いるのであるが、例えば切断対象物が配電線に寄りかかっている倒木である場合にこれを上方から切断していくと、倒木自体の重みによって倒木が刃体を噛み込むように下方に撓んでしまい、切断を行うことも刃体を取り除くことも困難となってしまう。
【0005】
また、刃体を切断対象物の下方から宛がって上方に向かって切断を行う場合には、上述のように鋸刃が倒木に噛み込まれるという事態は発生しないものの、切断具の全重量を支持しつつさらに上方に向けて力を加える必要があるため、そもそも作業性が大変に悪い。
【0006】
かかる問題点を解決すべく、例えば特許文献1に示すように、先端部に設けた鋸刃をエンジン若しくはモーター等の駆動手段で駆動することにより、切断を行う方法も提案されている。
【0007】
【特許文献1】特開2002−112632号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のようなエンジン若しくはモーター等の駆動手段で刃体を駆動するものは、刃体の駆動自体は容易に行うことができるが、先端側の刃体が切断対象物に当接する位置を安定させにくいという問題は依然として解決されていない点で作業性が悪い。また、このような駆動手段を設けるのでは、切断具が重くなってしまって持ち運びが不便となるため、特に、配電線が架設される奥深い山中などで用いるのには適さない。
【0009】
そこで、本発明は、切断対象物を切断する際の作業性が良く、且つ、容易に持ち運ぶことのできる切断具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る切断具は、長尺な本体の先端側で切断対象物を切断する切断具であって、切断対象物を本体に対して相対変位不能に規制する規制手段と、前記本体に対して相対変位することで該本体に対して相対変位不能に規制される切断対象物を切断する刃体を有する切断手段と、前記相対変位不能に規制される切断対象物に対して前記切断手段を付勢する付勢手段と、前記本体の基端側から駆動操作される操作手段とを備え、前記操作手段を駆動操作すると、該駆動操作によって発生する駆動力が駆動力伝達機構を介して伝達されることにより、前記駆動操作に連動して前記刃体の相対変位が行われることを特徴とする。
【0011】
上記構成からなる切断具によれば、規制手段によって切断対象物を本体に対して相対変位不能に規制するため、切断手段の刃体を切断対象物に対して安定に宛がった状態で切断を行うことができる。また、前記切断手段は、付勢手段によって切断対象物に対して(即ち、規制手段に向かって)付勢されるため、切断手段を切断対象物に常時宛がった状態とすることができる。しかも、前記切断手段の刃体の相対変位動作は、作業者が操作手段を前記本体の基端側から駆動操作することで実現される。
【0012】
また、前記切断具は、前記切断手段が前記規制手段に対して接離する方向に回転可能に構成されるとともに、前記切断手段を前記規制手段に近接する向きに回転させるように付勢する第二の付勢手段と、前記切断手段を前記第二の付勢手段の付勢力に対抗して前記規制手段から離間させるべく、前記本体の基端側から操作される第二の操作手段とをさらに備えるものであることが好ましい。
【0013】
かかる構成によると、切断対象物を切断するに際しては、第二の操作手段を操作して前記切断手段を前記規制手段から離間させて、前記切断手段と前記規制手段との間の空間を広げた状態とし、その空間に切断対象物を収容すればよい。従って、切断対象物に切断具をセットする作業を容易に行うことができる。なお、切断対象物の収容後には、第二の付勢手段によって前記切断手段が切断対象物に宛がわれた状態となる。
【0014】
さらに、前記切断具は、前記規制手段、切断手段及び付勢手段が前記本体に対して着脱可能に設けられるものであることが好ましい。
【0015】
かかる構成によると、切断手段を切断対象物の下方から宛がって上方に向かって切断を行う場合には、前記切断手段が前記規制手段よりも本体の基端側に位置する配置とすることができ、切断手段を切断対象物の上方から宛がって下方に向かって切断を行う場合には、前記切断手段が前記規制手段よりも前記本体の先端側に位置する配置とすることができる。従って、状況に応じて好適な配置を選択することができ、切断具を使い勝手の良いものとすることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明に係る切断具によれば、切断対象物を切断する際の作業性が良く、且つ、容易に持ち運ぶことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明に係る切断具の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0018】
本実施形態に係る切断具は、図1及び図2に示すように、長尺な本体10の先端側で切断対象物Xを切断する切断具1であり、切断対象物Xを切断すべく、切断対象物Xを本体10に対して相対変位不能に規制する規制手段20と、前記本体10に対して相対変位することで該本体10に対して相対変位不能に規制される切断対象物Xを切断する刃体31を有する切断手段30と、前記相対変位不能に規制される切断対象物Xに対して前記切断手段30を付勢する付勢手段40と、前記本体10の基端側から駆動操作される操作手段50とを備える。また、切断具1は、該操作手段50の駆動操作によって発生する駆動力を伝達する駆動力伝達機構Sを有しており、前記操作手段50を駆動操作すると、該駆動操作に連動して前記刃体31の相対変位が行われる。
【0019】
また、前記切断手段30は、前記規制手段20に対して接離する方向に回転可能に構成される。そして、前記切断具1には、前記切断手段30を前記規制手段20に近接する向きに回転させるように付勢する第二の付勢手段60と、前記切断手段30を前記第二の付勢手段60の付勢力に対抗して前記規制手段20から離間させるべく、前記本体10の基端側から操作される第二の操作手段70とが備えられる。さらに、前記切断具1には、前記切断手段30を保持する保持手段80が備えられており、該保持手段80が前記本体10に対して回転可能に設けられることにより、前記切断手段30が回転するとともに、前記第二の付勢手段60が保持手段80に取り付けられて付勢されることにより、前記切断手段30が前記規制手段20に近接する向きに付勢されることとなる。
【0020】
前記駆動力伝達機構Sは、前記操作手段50によって駆動力が与えられる駆動部S1と、該駆動部S1から前記駆動力を伝達される被駆動部S2とで構成される。具体的には、操作手段50と切断手段30との間には、操作手段50の駆動操作に伴って動作する被操作部材90が介在し、前記駆動部S1は、被操作部材90に設けられる。一方、前記被駆動部S2は、前記切断手段30に設けられる。前記被操作部材90は、前記操作手段50によって回転駆動される。
【0021】
より具体的には、前記駆動力伝達機構Sは、いわゆるラックアンドピニオン方式によるものであり、駆動部S1としてのラックと、被駆動部S2としてのピニオンとによって構成される。また、上述のとおり駆動部S1は被操作部材90に設けられるものであり、即ち、前記被操作部材90は、図3にも示されるように、ピニオン91と該ピニオン91を回転させるべく前記操作手段50が巻き掛けられるプーリー92とを備える。該ピニオン91は、プーリー92と同心に配置され、且つこれに連動して回転する。
【0022】
ところで、前記規制手段20、切断手段30及び付勢手段40は、前記本体10に対して着脱可能に設けられる。これにより、前記切断手段30及び規制手段20の配置関係を逆転させて、切断手段30を切断対象物Xの上方から宛がって下方に向かって切断する(第一の使い方)、若しくは、切断手段30を切断対象物Xの下方から宛がって上方に向かって切断する(第二の使い方)という主として二つの使い方が可能である。また、少なくとも前記切断手段30と保持手段80とは、一体的なアセンブリ100として設けられる。そして、前記アセンブリ100には、被操作部材90及び前記第二の操作手段70も付随的な構成要素として備えられる。
【0023】
具体的には、アセンブリ100の各構成部材は、アセンブリホルダー101に取り付けられて一体化され、該アセンブリホルダー101ごと本体10に対して着脱される。前記アセンブリホルダー101は、前記本体10にスライド可能に外嵌される筒状の部材であり、本体10の軸長方向に沿ってスライド可能となるように、該本体10にガイドされるガイド突起(図示されない)が内周面に設けられている。
【0024】
また、切断手段30を切断対象物Xの上方から宛がって下方に向かって切断すべく、前記切断手段30が前記規制手段20よりも前記本体10の先端側に位置する配置とした場合には、第二の操作手段70を下方に引っ張って、前記切断手段30を前記規制手段20から離間させる(即ち、前記切断手段30を本体10の先端側に引っ張り上げる)ことができるように、前記第二の操作手段70が前記切断手段30よりも本体10の先端側で保持されるように構成される。
【0025】
なお、前記切断具1には、前記本体10と作業者Wとを連結する連結部材110が設けられる。また、図2に示すように、補助者Aが前記切断具1を作業者Wとは反対側から引っ張るのに用いられる補助部材120が任意的に設けられる。
【0026】
以上が本実施形態に係る切断具1の主な構成であり、次に各構成要素についてより詳細に説明する。
【0027】
前記本体10は、長尺な棒形の部材であり、5m程度の長さを有する。また、該本体10は、二以上の部材によって構成されており、折り曲げたりその長さを調整したりすることができる。具体的に説明すると、本体10は、前記アセンブリ100や規制手段20が取り付けられる先端部材12、前記連結部材110や補助部材120が設けられる中間部材13、及び基端部材14の三つの部材を有する。
【0028】
該本体10の先端部(具体的には、前記先端部材12)には、前記アセンブリホルダー101のスライド方向を軸長方向に規制するためのガイド溝11が形成されており、アセンブリホルダー101の前記ガイド突起が係入する。そして、前記付勢手段40のストッパー42若しくは前記規制手段20が固定される位置を容易に調整すべく、所定間隔ごとに目盛りが設けられる。さらに、本体10の先端には、前記切断手段30を直接取り付けることが可能なように取付孔16が形成されている。
【0029】
また、本体10の中間部では、先端部材12及び中間部材13が互いに嵌合されており、且つ、相対的に回転可能となるようその嵌合部位を単一の軸で連結されている。また、該嵌合部位には、前記先端部材12及び中間部材13が所定の相対角度を有する状態で固定するための固定手段(好ましくは、蝶ナット)が設けられる。これにより、例えば切断具1の折り曲げ角度を調整及び固定して切断対象物Xを切断しやすい状態とすることができる。
【0030】
さらに、前記本体10の基端部では、前記基端部材14の一部が中間部材13に入り込む(若しくは収容される)態様で連結されている。また、該基端部では、基端部材14が中間部材13に所定長さだけ突入する若しくは収容される状態で固定するための固定具が設けられる。これにより、例えば切断具1の長さを調整及び固定して切断対象物を切断しやすい状態とすることができる。
【0031】
ところで、前記本体10は、切断具1を地面に対して安定化させる構造を基端部に有している。具体的には、前記本体10の基端部(具体的には、基端部材14)は、地面に突き刺すことができるように尖った状態に形成される。また、該基端部材14には、作業者Wが踏みつけて切断具1を安定させるための踏み付け部15が本体10の側方に突出する態様で形成される。
【0032】
前記規制手段20は、本体10に取り付けられる基端部から側方に突出して配置される。また、規制手段20は、切断対象物Xと当接する部位に該切断対象物Xを係止する突起21を有する。そして、切断作業時に切断手段30と干渉するのを防止すべく、図3に示されるように先端側が二股に分岐して形成される。また、規制手段20は、本体10に対して容易に着脱することができるよう、基端部が半割れ状の挟持部材によって構成されている。
【0033】
前記切断手段30は、いわゆる鋸であり、刃体31としての鋸歯が鋸の長手方向に沿って側部に配置される。また、該切断手段30は、長手方向に沿ってスライド可能に設けられ、これにより、前記刃体31が前記本体10に対して相対変位することとなる。また、該切断手段30は、前記本体10から側方に突出する態様で配置され、即ち、切断手段30が前記本体10の軸長方向と交差する方向にスライドする。
【0034】
また、前記切断手段30は、前記保持手段80としての鋸ホルダーに基端側を保持され、該保持手段80に対してスライドすることにより、前記本体10に対してもスライドすることとなる。具体的には、前記切断手段30は、軸方向に沿って長孔32が形成され、該長孔32に挿通された固定具81によって切断手段30の軸方向にスライド可能に保持手段80に保持される。さらに、切断手段30のうち刃体31が設けられていない基端部には、前記駆動力伝達機構Sを構成する被駆動部S2が設けられる。具体的には、切断手段30の基端側における側部に、駆動力伝達機構Sを構成するラック33が設けられる。なお、前記切断手段30の基端には、前記取付孔16に挿入(螺合)可能な取付用突起34が形成されている。
【0035】
前記付勢手段40は、いわゆるコイルバネ41を備えるものであり、該コイルバネ41は、本体10に固定されるストッパー42に一端部が支持されるとともに、アセンブリホルダー101の端部に設けられるフランジ部に他端部が当接する。また、前記切断手段30が前記規制手段20よりも前記本体10の先端側に位置する配置とした際に、前記第二の操作手段70を前記切断手段30よりも本体10の先端側で保持すべく、前記ストッパー42には、掛け渡し部43が設けられる。なお、該掛け渡し部43は、例えばリングキャッチと呼ばれる金具で構成される。
【0036】
前記操作手段50は、前記被操作部材90のプーリー92に巻き掛けられる紐状体であり、該紐状体のうちプーリー92の両側から垂れ下がる一対の部位を交互に引っ張ることによって駆動操作を行う。なお、前記紐状体は、有端のものでも無端(環状)のものでもよい。
【0037】
なお、前記操作手段50を操作する際にばらけて駆動操作しにくい場合があるため、切断具1には、前記操作手段50を束ねる収束部が設けられる。具体的には、前記規制手段20に収束部22が設けられ、付勢手段40のストッパー42に収束部44が設けられる。前記規制手段20の収束部22は、前記切断手段30が前記規制手段20よりも前記本体10の先端側に位置する配置とした場合に用いられ、付勢手段40の収束部44は、前記切断手段30が前記規制手段20よりも前記本体10の基端側に位置する配置とした場合に用いられる。該収束部22,44は、前記掛け渡し部43と同様に、例えばリングキャッチと呼ばれる金具で構成される。
【0038】
前記第二の付勢手段60は、いわゆるコイルバネであり、該第二の付勢手段60は、一端側が前記保持手段80に取り付けられるとともに、他端側がアセンブリホルダー101に取り付けられる。また、前記第二の操作手段70は、前記保持手段80に取り付けられる紐状体である。なお、該第二の操作手段70は、力を効率良く作用させることができるように、前記保持手段80の回転中心から離れた端部に取り付けられる。
【0039】
前記保持手段80は、前記切断手段30を内部に収容する態様で該切断手段30を保持する部材であり、一対の板材を切断手段30を間に挟んで対面させて構成される。また、保持手段80は、上述のように前記切断手段30を回転可能とすべく、前記被操作部材90のピニオン91の回転中心と同心で回転可能に設けられる。具体的には、前記保持手段80には、該保持手段80の回転中心を中心とした円弧状孔82が形成されており、該円弧状孔に挿通された固定具83によって前記アセンブリホルダー101と連結される。また、前記保持手段80は、保持する切断手段30を切断対象物Xに近接させる方向に付勢すべく、第二の付勢手段60によってアセンブリホルダー101と連結されている。
【0040】
本実施形態に係る切断具1は、以上のような構成を有するものであり、次に、その使用態様について説明する。なお、上述のように、切断具1は前記切断手段30及び規制手段20の配置関係を逆転させることで二つの使い方ができるものであるが、まず、前記切断手段30が規制手段20よりも基端側に配置される場合の使用態様について説明する。
【0041】
まず、前記第二の操作手段70を下方に引っ張って前記切断手段30を規制手段20から離間させて、前記切断手段30と前記規制手段20との間の空間を広げた状態として切断対象物Xを収容する。次に、前記第二の操作手段70を開放して、前記切断手段30と前記規制手段20との間に切断対象物Xを挟み込ませる。また、前記第二の操作手段70を開放した状態では、前記付勢手段40が切断対象物Xを切断手段30側に付勢する。
【0042】
次に、操作手段50のうち前記プーリー92の両側から垂れ下がる一対の部位を両手に持ち、交互に引っ張る。まず、前記一方の部位を下方に引っ張ると、前記プーリー92及び該プーリー92に連結されたピニオン91が回転し、該ピニオン91に連動してラック33が所定の方向に送られることによって前記切断手段30が駆動される。次に、前記他方の部位を下方に引っ張ると、プーリー92及び該プーリー92に連結されたピニオン91が逆方向に回転し、該ピニオン91に連動してラック33が逆方向に送られることによって前記切断手段30が逆方向に駆動される。この一連の操作を繰り返すと、前記切断手段30は付勢手段40によって上方に付勢されているので、切断手段30が徐々に上方に変位する態様で切断が行われる。
【0043】
一方、前記規制手段20が切断手段30よりも基端側に配置される場合の使用態様について説明する。まず、前記第二の操作手段70を下方に引っ張って前記切断手段30を規制手段20から離間させて、前記切断手段30と前記規制手段20との間の空間を広げた状態として切断対象物Xを収容する。この場合、該第二の操作手段70が前記ストッパー42の掛け渡し部43に掛け渡されているため、該第二の操作手段70を下方に引っ張ると、切断手段30が上方に引っ張り上げられる。また、上記の場合と同様に操作手段50の操作を繰り返すと、前記切断手段30は付勢手段40によって下方に付勢されているので、切断手段30が徐々に下方に変位する態様で切断が行われる。
【0044】
また、図2に示すように、切断手段30を切断対象物Xの上方から宛がって下方に向かって切断を行う場合には、切断後に切断対象物Xが上方から落下してくるおそれがあるため、前記本体10を中間部で折り曲げて使用される。さらに、切断手段30自体が落下するおそれがあるため、前記本体の中間部に補助部材120を取り付けるとともに、切断具1を挟んで作業者Wとは反対側に補助者Aを配置し、該補助者Aに補助部材120を引っ張らせた状態で切断作業が行われる。
【0045】
なお、前記アセンブリ100と規制手段20と付勢手段40とを前記本体10から取り外した上で、切断手段30の基端に設けられた取付用突起34を本体10の先端に設けられた取付孔16に挿入(螺合)することで前記切断手段30を本体10に直接取り付ければ、従来の切断具と同様の使い方(第三の使い方)で使用することも可能である。
【0046】
以上のように、本実施形態に係る切断具1によれば、規制手段20によって切断対象物Xを本体10に対して相対変位不能に規制するため、切断手段30の刃体31を切断対象物Xに対して安定に宛がった状態で切断を行うことができる。また、前記切断手段30は、付勢手段40によって切断対象物Xに対して(即ち、規制手段20に向かって)付勢されるため、切断手段30を切断対象物Xに常時宛がった状態とすることができる。しかも、前記切断手段30の刃体31の相対変位動作は、作業者Wが操作手段50を前記本体10の基端側から駆動操作することで実現される。即ち、操作手段50の駆動操作は作業者Wによって人力で行われるため、別途エンジン若しくはモーター等の駆動手段を備える必要がなくなり、切断具1を軽量なものとすることができる。従って、本実施形態に係る切断具1は、切断対象物Xを切断する際の作業性が良く、且つ、容易に持ち運ぶことができる。
【0047】
また、上記切断具1においては、切断対象物Xを切断するに際しては、第二の操作手段70を操作して前記切断手段30を前記規制手段20から離間させて、前記切断手段30と前記規制手段20との間の空間を広げた状態とし、その空間に切断対象物Xを収容すればよい。従って、切断対象物Xに切断具1をセットする作業を容易に行うことができる。なお、切断対象物Xの収容後には、第二の付勢手段60によって前記切断手段30が切断対象物Xに宛がわれた状態となる。
【0048】
前記切断手段30と保持手段80と被操作部材90と第二の操作手段70とは、アセンブリ100として一体化されるため、本体10に対して着脱を容易に行うことができる。
【0049】
しかも、上記切断具1においては、切断手段30を切断対象物Xの下方から宛がって上方に向かって切断を行う場合には、前記切断手段30が前記規制手段20よりも本体10の基端側に位置する配置とすることができ、切断手段30を切断対象物Xの上方から宛がって下方に向かって切断を行う場合には、前記切断手段30が前記規制手段20よりも前記本体10の先端側に位置する配置とすることができる。従って、状況に応じて好適な配置を選択することができ、切断具1を使い勝手の良いものとすることができる。
【0050】
なお、本発明に係る切断具は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0051】
例えば、上記実施形態に係る切断具1においては、アセンブリ100は主として前記切断手段30及び保持手段80によって構成されるものであったが、これに限定されるものではなく、アセンブリは、さらに付勢手段を備えられ、切断手段、保持手段及び付勢手段がアセンブリホルダーに取り付けられて一体化されるものであってもよい。このようにすれば、前記付勢手段がアセンブリに一体的に組み込まれるため、前記切断手段及び規制手段の配置関係を逆転させる際にはアセンブリ及び規制手段のみを入れ替えれば足り、着脱作業を簡素化することができる。
【0052】
また、切断手段としては、上記のような鋸以外にも、例えばチェーンソーなど、各種のものを適用することが可能である。ここで、切断手段としてチェーンソーを採用した場合には、切断手段としてのチェーンソー自体が前記本体に対して相対変位する代わりに、チェーンソーの鋸歯が前記本体に対して相対変位する構成となる。また、この場合、被操作部材は、プーリーと、該プーリーと同心に配置され且つこれに連動して回転するスプロケットとを備えて構成されるものとなる。即ち、該チェーンソーの鋸歯は、チェーンソーに備えられるスプロケットによって駆動される。そして、駆動力伝達機構を構成する駆動部は、前記スプロケットとなり、被駆動部は、チェーンソーの鋸歯となる。なお、この場合には、操作手段は、一方向に回転させるように構成される無端(環状)の紐状体である構成が考えられる。
【0053】
そして、切断手段としては、丸鋸を採用することもでき、この場合には、丸鋸が回転することによって丸鋸の鋸歯が前記本体に対して相対変位する構成となる。
【0054】
さらに、上記実施形態においては、前記切断手段30が前記規制手段20に対して接離する方向に回転可能に構成されるものであったが、これに限定されるものではなく、規制手段を回転させるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態に係る切断具を示す図であって、切断手段が規制手段よりも基端側に配置される態様における切断具を示す。
【図2】同実施形態に係る切断具を示す図であって、規制手段が切断手段よりも基端側に配置される態様における切断具を示す。
【図3】同実施形態に係る切断具における先端部の拡大斜視図を示す。
【符号の説明】
【0056】
1…切断具、10…本体、11…ガイド溝、12…先端部材、13…中間部材、14…基端部材、15…踏み付け部、16…取付孔、20…規制手段、21…突起、22…収束部、30…切断手段、31…刃体、32…長孔、33…ラック、34…取付用突起、40…付勢手段、41…コイルバネ、42…ストッパー、43…掛け渡し部、44…収束部、50…操作手段、60…第二の付勢手段、70…第二の操作手段、70…第二の操作手段、80…保持手段、81…固定具、82…円弧状孔、83…固定具、90…被操作部材、91…ピニオン、92…プーリー、100…アセンブリ、101…アセンブリホルダー、110…連結部材、120…補助部材、A…補助者、S…駆動力伝達機構、S1…駆動部、S2…被駆動部、W…作業者、X…切断対象物
【出願人】 【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
【出願日】 平成18年6月7日(2006.6.7)
【代理人】 【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇

【識別番号】100114421
【弁理士】
【氏名又は名称】薬丸 誠一

【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭

【識別番号】100117204
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 徳哉


【公開番号】 特開2007−325530(P2007−325530A)
【公開日】 平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願番号】 特願2006−158610(P2006−158610)