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【発明の名称】 栽培装置
【発明者】 【氏名】磯部 峯生

【要約】 【課題】栽培土壌に水分を自動的、かつ、均一に、長期間供給できる栽培装置を提供することにある。

【解決手段】栽培容器10に栽培土壌34を充填して植物35を栽培する栽培装置である。前記栽培容器10の底面に配置された自動給水器20と、前記自動給水器10から前記栽培容器10内に引き出された給水ヒモ31と、前記給水ヒモ31に接触する少なくとも1枚の給水材32と、前記給水材32に重ね合わせて前記栽培土壌34を仕切るとともに、前記植物35の根の進出を遮蔽する仕切り紙33と、からなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培容器に栽培土壌を充填して植物を栽培する栽培装置であって、
前記栽培容器の底面に配置された自動給水器と、前記自動給水器から前記栽培容器内に引き出された給水ヒモと、前記給水ヒモに接触する少なくとも1枚の給水材と、前記給水材に重ね合わせて前記栽培土壌を仕切るとともに、前記植物の根の進出を遮蔽する仕切り紙と、からなることを特徴とする栽培装置。
【請求項2】
自動給水器の貯水用空間の底面に設置した水位調整具が、外気に連通し、かつ、給水ヒモの一端部を挿入する水位調整室を有し、前記水位調整室の底面近傍に給水孔を設けるとともに、前記給水孔よりも上方に給気孔を配置したことを特徴とする請求項1に記載の栽培装置。
【請求項3】
自動給水器を埋設した埋設材の表面に仕切り紙を配置して栽培土壌から仕切ることを特徴とする請求項1または2に記載の栽培装置。
【請求項4】
栽培容器に栽培土壌を充填して植物を栽培する栽培装置であって、
前記栽培容器の外部に配置された自動給水器と、前記自動給水器から引き出された給水管と、前記給水管内に一端部を接続し、かつ、前記栽培容器内に引き込まれた給水ヒモと、前記栽培容器内で給水ヒモに接触する少なくとも1枚の給水材と、前記給水材に重ね合わせて前記栽培土壌を仕切るとともに、前記植物の根の進出を遮蔽する仕切り紙と、からなることを特徴とする栽培装置。
【請求項5】
自動給水器の貯水用空間の底面近傍に設置した水位調整具が、外気に連通し、かつ、給水管に連通する水位調整室を有し、前記水位調整室の底面近傍に給水孔を設けるとともに、前記給水孔よりも上方に給気孔を配置したことを特徴とする請求項4に記載の栽培装置。
【請求項6】
給水管に接続した中継給水具内に給水ヒモの一端部を挿入したことを特徴とする請求項4または5に記載の栽培装置。
【請求項7】
給水ヒモのうち、少なくとも前記栽培容器の外部で露出する部分を不透水性パイプに挿通したことを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項に記載の栽培装置。
【請求項8】
栽培容器の底面に敷設した埋設材の表面に仕切り紙を配置して栽培土壌から仕切ることを特徴とする請求項4ないし7のいずれか1項に記載の栽培装置。
【請求項9】
給水ヒモを沿わせる栽培容器の内側面と、仕切り紙との間に少なくとも1枚の給水材を配置したことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の栽培装置。
【請求項10】
給水ヒモが、少なくとも片面にアクリル分割繊維を配置した帯状シートをヒモ状に撚り合わせたものであることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の栽培装置。
【請求項11】
給水ヒモが、水分供給量を調整するための不透水性シートで部分的に被覆されていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の栽培装置。
【請求項12】
給水材が、少なくとも表裏面にアクリル分割繊維を配置したことを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載の栽培装置。
【請求項13】
仕切り紙が、合成繊維からなり、かつ、坪量30g/m以上であることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の栽培装置。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は栽培装置、特に、栽培土壌に水(液肥を含む)を自動的、かつ、均一に給水できる栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、植物を栽培する場合、例えば、プランターに植えた植物には毎日、あるいは、1日おきに潅水して栽培植物に水を供給する必要があり、煩雑であった。このため、自動給水できる栽培装置として、例えば、栽培容器内の土壌23に埋設した受け皿5から給水部材25(吸水用繊維)を前記土壌23中に引き出し、液体Wを供給するものが開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平2−26453号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前述の栽培装置では、前記給水部材25から土壌23に液体Wが均一に拡散しにくく、水分濃度のバラツキが大きく、植物の成育に差が生じやすい。また、長期間使用すると、前記給水部材25に植物の根が絡み付き、給水効率が低下するという問題点がある。
【0004】
本発明は、前記問題点に鑑み、栽培土壌に水分を自動的、かつ、均一に、長期間供給できる栽培装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかる栽培装置は、前記課題を解決すべく、栽培容器に栽培土壌を充填して植物を栽培する栽培装置であって、前記栽培容器の底面に配置された自動給水器と、前記自動給水器から前記栽培容器内に引き出された給水ヒモと、前記給水ヒモに接触する少なくとも1枚の給水材と、前記給水材に重ね合わせて前記栽培土壌を仕切るとともに、前記植物の根の進出を遮蔽する仕切り紙と、からなる構成としてある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、自動給水器から毛細管現象で給水ヒモに吸い上げられた水分が、給水材および仕切り紙を介して栽培土壌に自動的、かつ、均一に供給される。特に、前記仕切り紙は植物の根の進出を遮蔽し、給水ヒモに絡み付くのを防止するので、長期間、安定して水分を供給できる栽培装置が得られる。
【0007】
本発明にかかる実施形態としては、自動給水器の貯水用空間の底面に設置した水位調整具が、外気に連通し、かつ、給水ヒモの一端部を挿入する水位調整室を有し、前記水位調整室の底面近傍に給水孔を設けるとともに、前記給水孔よりも上方に給気孔を配置してもよい。
本実施形態によれば、給水ヒモの一端部から水位調整室内の水を毛細管現象で吸い上げることにより、長期間、水を安定して供給できる。
【0008】
本発明にかかる他の実施形態としては、自動給水器を埋設した、例えば、籾殻からなる埋設材の表面に仕切り紙を配置して栽培土壌から仕切ってもよい。
本実施形態によれば、籾殻からなる前記埋設材で自動給水器を埋設することにより、断熱性を高めることができるとともに、栽培容器の底面への植物の根の進出やナメクジ等の発生を防止できる。
【0009】
本発明にかかる他の栽培装置としては、栽培容器に栽培土壌を充填して植物を栽培する栽培装置であって、前記栽培容器の外部に配置された自動給水器と、前記自動給水器から引き出された給水管と、前記給水管内に一端部を接続し、かつ、前記栽培容器内に引き込まれた給水ヒモと、前記栽培容器内で給水ヒモに接触する少なくとも1枚の給水材と、前記給水材に重ね合わせて前記栽培土壌を仕切るとともに、前記植物の根の進出を遮蔽する仕切り紙と、からなる構成であってもよい。
【0010】
本発明によれば、自動給水器から給水管を介して供給された水が毛細管現象で給水ヒモに吸い上げられ、給水材および仕切り紙を介して栽培土壌に自動的、かつ、均一に供給される。特に、前記仕切り紙は植物の根の進出を遮蔽し、給水ヒモに絡み付くのを防止するので、長期間、安定して水分を供給できる栽培装置が得られる。
また、栽培容器の外部に自動給水器を配置してあるので、前記自動給水器から引き出した給水管を分岐することにより、複数の栽培容器に水を供給でき、使い勝手の良い栽培装置が得られる。
【0011】
本発明にかかる実施形態としては、自動給水器の貯水用空間の底面近傍に設置した水位調整具が、外気に連通し、かつ、給水管に連通する水位調整室を有し、前記水位調整室の底面近傍に給水孔を設けるとともに、前記給水孔よりも上方に給気孔を配置してもよい。
本実施形態よれば、水位調整室内の水を、給水管を介して給水ヒモの一端部から毛細管現象で吸い上げることにより、長期間、水を安定して栽培容器に供給できる。
【0012】
本発明にかかる他の実施形態としては、給水管に接続した中継給水具内に給水ヒモの一端部を挿入しておいてもよい。
本実施形態によれば、中継給水具を介して水をより安定的に供給できる。特に、前記中継給水具が透明であれば、水の供給状態を確認でき、便利である。
【0013】
本発明の別の実施形態としては、給水ヒモのうち、少なくとも前記栽培容器の外部で露出する部分を不透水性パイプに挿通しておいてもよい。
本実施形態によれば、給水ヒモからの水の漏れや蒸発を防止でき、より一層節水できる栽培装置が得られる。
【0014】
本発明の異なる実施形態としては、栽培容器の底面に敷設した埋設材の表面に仕切り紙を配置して栽培土壌から仕切るようにしてもよい。
本実施形態によれば、例えば、籾殻からなる前記埋設材を栽培容器の底面に敷設することにより、断熱性を高めることができるとともに、栽培容器の底面への植物の根の進出やナメクジ等の発生を防止できる。
【0015】
本発明にかかる実施形態としては、給水ヒモを沿わせる栽培容器の内側面と、仕切り紙との間に少なくとも1枚の給水材を配置してもよい。このため、例えば、栽培容器の内側面に、給水材、給水ヒモ、および、仕切り紙の順で配置してもよい。
本実施形態によれば、給水ヒモが吸い上げた水を給水材および仕切り紙を介して栽培土壌に供給でき、前述と同様な効果が得られる。
【0016】
本発明にかかる異なる実施形態としては、給水ヒモが、少なくとも片面にアクリル分割繊維を配置した帯状シートをヒモ状に撚り合わせたものであってもよい。
本実施形態によれば、アクリル分割繊維の少なくとも片面に設けた微細な亀裂によって毛細管現象を促進することにより、所望の給水能を確保できる。
【0017】
本発明にかかる新たな実施形態としては、給水ヒモが、水分供給量を調整するための不透水シートで部分的に被覆されていてもよい。不透水性シートとしては、例えば、合成樹脂フィルムに限らず、アルミホィール等の金属フィルムであってもよい。
本実施形態によれば、栽培土壌中に埋設した給水ヒモで供給する水分量を前記不透水性シートによる被覆面積の増減で調整することにより、栽培土壌の水分量を栽培植物に最適な水分量に調整できて便利である。
【0018】
本発明にかかる別の実施形態としては、給水材の少なくとも表裏面にアクリル分割繊維を配置してもよい。
本実施形態によれば、給水材の表裏面に形成した微細な亀裂による毛細管現象で効率的に給水ヒモから吸水し、仕切り紙に給水できる。
【0019】
本発明にかかる他の実施形態としては、仕切り紙が、合成繊維からなり、かつ、坪量30g/m以上であってもよい。
本実施形態によれば、仕切り紙で植物の根の進出を遮蔽し、給水ヒモに植物の根が絡み付くことを防止できる。このため、給水ヒモの給水能の低下を防止でき、長期間、安定して水を供給できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明に係る実施形態を図1ないし図12の添付図面に従って説明する。
第1実施形態は、図1ないし図4に示すように、平面略正方形の栽培容器10と、この栽培容器の底面に設置される自動給水器20と、この自動給水器20を埋設する埋設材30と、前記自動給水器20から引き出され、かつ、前記栽培容器10の内側面に沿って配置される給水ヒモ31と、前記給水ヒモ31に接触しつつ、被覆する給水材32と、前記自動給水器20、埋設材30、給水材32を被覆し、栽培土壌34から仕切るための仕切り紙33と、からなる。
【0021】
栽培容器10は、平面略方形の4角錐台形状を有しているとともに、隅部を面取りしてある。
【0022】
自動給水器20は、図2および図4に示すように、注水口21を密閉栓22で密閉される貯水用空間23aを有する給水器本体23と、前記給水器本体23の底面に配置された水位調整具24(図4参照)と、からなるものである。前記水位調整具24は、その天井面に設置した給水ヒモ挿入用筒部25が前記給水器本体23の天井面から突出しているとともに、その側壁上部に設けた通気孔26が通気管27を介して外気と連通している。さらに、前記水位調整具24内の水位調整室24aは、底面近傍に設けた給水孔28を介して貯水用空間23aに連通しているとともに、前記給水孔28と前記通気孔26との間に設けた給気孔29を介して前記貯水用空間23aに連通している。
【0023】
したがって、前記自動給水器20は、図4Aに示すように、貯水用空間23a内の水36が水位調整室23a内の所定の高さまで充填されている場合には、毛細管現象で給水ヒモ31の一端部が吸い上げた水を、給水材32および仕切り紙33を介して栽培土壌34に供給する。
【0024】
そして、図4Bに示すように、水位調整室24a内の水位が給気孔29よりも低くなると、通気管27を介して侵入した外気が給気孔29から貯水用空間23a内に漏れる。このため、貯水用空間23aと水位調整室24aとの気圧のバランスがくずれ、貯水用空間23a内の水が給水孔28を介して水位調整室24a内に侵入し、水位調整室24aの水位を押し上げ、前記給気孔29を塞ぐ。以後、同様の作用を繰り返すことにより、給水ヒモ31に水36を安定的に供給し続ける。なお、水36は単なる清水に限らず、液肥であってもよい。
【0025】
埋設材30は、後述する仕切り紙33を敷くために自動給水器20を埋設するためのものであるが、断熱効果を高めるとともに、ナメクジの発生および植物36の根の進出を防止できるものが好ましく、例えば、籾殻、パーライト、オガクズ、鹿沼土等が挙げられる。
【0026】
給水ヒモ31は、給水器本体23から水36を毛細管現象で吸い上げて栽培土壌34に供給するためのものである。例えば、繊維を束ねたもの、あるいは、帯状合成繊維シートを撚り合わせてロープ状にしたものが挙げられる。
【0027】
前記帯状合成繊維シートとしては、例えば、1.2〜3.0デニール、好ましくは1.2デニールのアクリル繊維を水に投入,攪拌して得たスラリーを抄造し、得られた湿潤シートの表裏面に水圧5〜15MPA(メガパスカル)、好ましくは3〜10MPAのウォータージェットで叩くスパンレス法を施す。これにより、前記アクリル繊維に微細な亀裂を生じさせ、表裏面を、0.1〜1.2デニール、好ましくは最小0.1デニールのアクリル分割繊維とした帯状合成繊維シートが得られる。
【0028】
また、別の帯状合成繊維シートとしては、1.2〜3.0デニールで、かつ、断面同心円形状のポリエステル複合繊維からなるスラリーを抄造して中層となる湿潤シートを得る。一方、アクリル繊維だけを含有するスラリーを抄造して表裏層となる湿潤シートを得る。ついで、前記湿潤シートを積層して3層構造の積層シートを得た後、その表裏面のアクリル繊維に水圧5〜15MPA(メガパスカル)、好ましくは3〜10MPAのウォータージェットで叩くスパンレス法を施す。これにより、前記アクリル繊維に微細な亀裂を生じさせ、表裏面を0.1〜1.2デニール、好ましくは最小0.1デニールのアクリル分割繊維とした帯状合成繊維シートが得られる。
【0029】
なお、前述の実施形態では、単層あるいは3層構造の帯状合成繊維シートについて説明したが、少なくとも片面にアクリル分割繊維を配置した2層構造の帯状合成繊維シートであってもよいことは勿論である。
【0030】
給水材32は、前記給水ヒモ31が吸い上げた水を広く均一に拡散し、後述する仕切り紙33を介して栽培土壌34に水を広く、かつ、均一に供給するためのものである。このため、本願発明に係る給水材32は多孔質性のいわゆるスポンジであってもよく、その空隙率、厚さ寸法は必要に応じて適宜選択できる。
【0031】
また、前記給水材32が不織布である場合には、例えば、アクリル繊維単体からなる単層あるいは2層の不織布であってもよく、また、アクリル繊維単体からなる不織布の間に、レーヨンおよびポリエステル繊維からなる不織布を中層として積層した3層構造であってもよい。いずれの場合も、前記表裏面に位置するアクリル繊維を水圧5〜15MPA(メガパスカル)、好ましくは3〜10MPAのウォータージェットで叩くことにより、前記アクリル繊維に微細な亀裂を生じさせ、0.1デニール(3〜3.5μ)〜1.2(10〜12μ)に分割したアクリル分割繊維としておくことが好ましい。0.1デニール未満であると、不織布を形成することが困難となるからであり、1.2デニールを越えると、所望の毛細管現象を確保できないからである。
【0032】
なお、前記中層にレーヨンを添加するのは、給水機能を高めるためであり、中層にポリエステルを添加するのは、各繊維を接着一体化して所定の強度を確保するためである。また、アクリル分割繊維を表裏層に配置するのは、毛細管現象を高めるとともに、中層に添加したレーヨンを被覆することにより、腐食を防止するためである。
【0033】
仕切り紙33は、植物の根が進出して給水ヒモ31に絡み付くのを防止するとともに、前記給水ヒモ31が供給する水を広く拡散させて栽培土壌34に供給するためのものである。このため、仕切り紙33には、栽培土壌34中に埋設しても腐食しないことが必要であり、例えば、三和製紙株式会社のサンモア(商品番号1445)が挙げられる。
【0034】
前記サンモアは、中心部にポリプロピレン、表層に融点130度のポリエチレンを配置した1.5デニールの断面同心円形状のES繊維(チッソ株式会社製)からなるスラリーを抄造し、得られた湿潤シートを加熱,乾燥することにより、前記ポリエチレンを溶融して各繊維を一体化したものである。
【0035】
前記仕切り紙33は、前述のような複合繊維でなく、1種類の合成繊維で形成してもよい。合成繊維としては、ビニロン、アクリル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。合成繊維で仕切り紙を形成する場合には、坪量30〜130g/m、特に、40g/m以上であることが好ましい。坪量30g/m未満であると、植物の根の進出を阻止できないからである。また、坪量130g/mを越えると、抄造作業が困難になるからである。
【0036】
なお、前記給水材32および仕切り紙33は別々に使用してもよいが、超音波溶着、ホッチキス、接着剤等で連続的、あるいは、不連続に予め一体化しておいてもよい。そして、給水材32と仕切り紙33との間に給水ヒモ31を予め挿入しておけば、現場における作業工数を減らすことができるという利点がある。
【0037】
栽培土壌34は、特に限定するものではなく、広く市販されているものであってもよい。
【0038】
第2実施形態は、図5ないし図7に示すように、いわゆるプランターとして市販されている平面略長方形の栽培容器10と、前記栽培容器10の底面に設置される自動給水器20と、この自動給水器20を埋設する埋設材30と、前記自動給水器20から引き出され、前記栽培容器10の内側面に沿って配置される給水ヒモ31と、前記給水ヒモ31を被覆する給水材32と、前記自動給器20、埋設材30、給水ヒモ31および給水材32を被覆し、栽培土壌34から仕切るための仕切り紙33と、からなる。本実施形態は、前述の第1実施形態とほぼ同様であり、同一部分には同一番号を附して説明する。
【0039】
なお、給水ヒモ31は栽培容器10の内側面に沿って配置するだけでなく、栽培容器10の中央に配置し、前記給水材32,仕切り紙33で被覆してもよい。
また、前述の実施形態によれば、埋設した給水ヒモ31を取り出し、不透水性シートで部分的に被覆することにより、栽培植物の状態に応じて水分量を調整できるという利点がある。
【0040】
第3実施形態は、図8ないし図10に示すように、1台の自動給水器20から3個の中継給水具40を介して3台の栽培容器に給水する場合である。
前記自動給水器20は、注水口を密閉栓22で開閉可能に密閉された貯水用空間23aを有し、かつ、縦長の直方体形状を有する給水器本体23と、前記給水器本体23の底面近傍の側壁に設置された水位調整具24(図9B参照)と、からなるものである。
【0041】
そして、前記水位調整具24に連通する給水用筒部41は、前記給水器本体23の底面近傍の側壁から突出している。また、前記水位調整具24は、その天井面に接続され、かつ、給水器本体23の天井面から突出する通気管27を介して外気と連通している。さらに、前記水位調整具24内の水位調整室24aは、底面近傍に設けた給水孔28を介して貯水用空間23aに連通しているとともに、前記給水孔28と前記通気孔26との間に設けた給気孔29を介して前記貯水用空間23aに連通している。
【0042】
前記給水用筒部41は、図8に示すように、それに連通する給水管42を介して三方に分岐する三方分岐バルブ43に接続されている。そして、前記三方分岐バルブ43は、3本の給水管44を介して中継給水具40にそれぞれ連通している。さらに、前記中継給水具40内に一端部を挿入した給水ヒモ31が、中間部をフレキシブルビニールパイプ45内に挿通しているとともに、栽培容器10内に引き込まれている。前記フレキシブルビニールパイプ45は水の漏れや蒸発を防止するためのものである。
【0043】
前記栽培容器10は、図10に示すように、その底面に敷き詰められた埋設材30と、前記中継給水具40に一端部を挿入し、かつ、前記栽培容器10の内側面に沿って配置された給水ヒモ31と、前記給水ヒモ31に接触しつつ、被覆する給水材32と、前記埋設材30および前記給水材32を被覆し、栽培土壌34から仕切るための仕切り紙33と、で構成されている。そして、前記栽培土壌34に栽培植物35を植え付けて使用される。なお、本実施形態では、埋設材30は必要に応じて使用すればよく、必ずしも使用する必要はない。他は前述の実施形態とほぼ同様であるので、同一部分には同一番号を附して説明を省略する。
【実施例1】
【0044】
(実施例1)
帯状給水材(NA93075 三和製紙株式会社)と、仕切り紙(サンモア1445 三和製紙株式会社)とを部分的に接合一体化する。そして、前記給水材と仕切り紙との間に給水ヒモを挿入するとともに、第2実施形態で開示した栽培容器の片側内側面に前記給水材を沿わせて栽培土壌を充填した。さらに、給水器本体に水を注入して満杯状態とした。
【0045】
前記給水材は、中心層を融点230のポリエステル、表層を融点120度のポリエステルで構成した2.2デニールの断面同心円形状の複合繊維(帝人製)と、1.7デニールのレーヨンを水に投入,攪拌してスラリーを得、得られたスラリーを抄造して中層となる湿潤シートを得た。一方、1.2デニールのアクリル繊維を水中に投入,攪拌してスラリーを得、得られたスラリーを抄造して表裏層となる2枚の湿潤シートを得た。そして、中層となる湿潤シートの表裏面に表裏層となる湿潤滑シートを積層して積層シートを得た。ついで、前記積層シートに水圧8〜9MPA(メガパスカル)のウォータージェットで叩くスパンレス法を施し、表裏面に位置する前記アクリル繊維に微細な亀裂を形成してアクリル分割繊維とした。さらに、前記積層シートを加熱,乾燥して前記中層に添加された融点120度のポリエステルを溶融一体化させてサンプルを得た。このため、最終の組成がポリエステル複合繊維15重量%、レーヨン20重量%、アクリル繊維65重量%の給水材が得られた。前記給水材の特性を測定した。測定結果を図8に示す。
【0046】
前記仕切り紙は、中心層がポリプロピレン(50重量%)、表層が融点130度のポリエチレン(50重量%)からなる断面同心円形状の複合繊維であり、平均長さ15mm、1.5デニールのES繊維(チッソ株式会社製)を水に投入,攪拌してスラリーを得た。そして、前記スラリーを連続抄造して得られた湿潤シートを加熱,乾燥し、表層のポリエチレンを溶融一体化させてサンプルを得た。前記仕切り紙の特性を測定した。測定結果を図9に示す。
【0047】
前記給水ヒモは、レーヨンを添加しない点を除き、前記給水材と同様の処理を施して得られた帯状シートを撚り合わせることによって形成された。
【0048】
(実施例2)
仕切り紙の片面に帯状給水材を部分的に接合一体化し、栽培容器の片側内側面に給水ヒモおよび給水材を順次沿わせて栽培土壌を充填した。他は前述の実施例1と同様に処理して実験を行った。
【0049】
(実施例3)
1枚の仕切り紙の片面に2枚の帯状給水材を重ねて部分的に接合し、部分的に3層構造とするとともに、前記給水材の間に給水ヒモを挿通した。そして、栽培容器の片側内側面に給水材を沿わせるとともに、栽培土壌を充填した。他は前述の実施例1と同様に処理して実験を行った。
【0050】
実施例1,2,3に係る計7個の栽培容器をビニール温室内に設置した。そして、約1ヶ月後に栽培土壌を指で触って給水状況を観察したところ、給水不足、部分的な斑給水、過多給水がなく、適度な均一の湿り気があることを確認できた。このため、7個の栽培容器に、トウモロコシ、トマト、きゅうり、なす、アスター、カーネーション、ヒマワリの種を1種類ずつ播き、約1ヶ月後の成育状況を観察した。一切給水しなかったにもかかわらず、給水不足、部分的な斑給水、過多給水による根腐れ、過湿等はなく、トウモロコシ等は発芽し、それらの苗が成育していることを確認できた。特に、トウモロコシについては、通常の栽培方法よりも高い発芽率で発芽していることを確認できた。
【0051】
また、実施例1,2,3と同様に準備した計6個の新たな栽培容器に、成育に多量の水分を必要とする前記ヒマワリの苗を3本ずつそれぞれ植え替え、約1ヶ月後の成育状況を調べたところ、順調に成育していることを確認できた。
【0052】
(実施例4)
第3実施形態で示したように、20リッターの自動給水器1台に給水管、分岐バルブおよび中継給水具を介して8個の栽培容器を接続するとともに、前記栽培容器に植物を適宜植え付け、平均温度30度前後の屋外において給水実験を行った。
実験の結果、約1週間の間、栽培植物は枯れることなく葉が茂り、安定的に給水できることを確認できた。通常、同程度の給水を行うためには、1個の栽培容器に朝夕2回、2リッターずつ、計4リッターの水を散水する必要がある。このため、通常の散水によれば、8個の栽培容器に1週間で計200リッター以上の水を散水する必要であったにもかかわらず、本実施形態によれば、約10分の1の水で対応できることが判った。
【0053】
なお、給水材は給水ヒモに接するとともに、仕切り紙に接する状態であればよい。例えば、給水ヒモと仕切り紙との間に給水材を挟んでもよく、あるいは、給水材と仕切り紙との間に給水ヒモを挟んでもよい。また、前記給水ヒモは、自動給水器を栽培容器の外部に配置する場合、埋設材を敷設せずに栽培容器の底面に直接配置してもよいことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係る栽培装置は、前述の実施形態に係る栽培装置に限らず、他の栽培装置にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1Aおよび図1Bは本発明に係る第1実施形態を示す平面図および断面図である。
【図2】図2Aおよび図2Bは図1で示した栽培装置の使用方法を説明するための平面図である。
【図3】図3Aおよび図3Bは図2に続く使用方法を説明するための平面図である。
【図4】図4Aおよび図4Bは図2Aで示した自動給水器の動作原理を示すための部分拡大断面図である。
【図5】図5Aおよび図5Bは本発明に係る第2実施形態を示す斜視図および断面図である。
【図6】図6Aおよび図6Bは図5で示した栽培装置の使用方法を説明するための斜視図である。
【図7】図7Aおよび図7Bは図6に続く栽培装置の使用方法を説明するための斜視図である。
【図8】本発明にかかる第3実施形態を示す平面図である。
【図9】図9Aは図8で示した自動給水器の断面図、図9Bは図9Aで示した水位調整具の斜視図である。
【図10】図10Aおよび図10Bは図8で示した栽培容器の部分断面図および横断面図である。
【図11】実施例1ないし4に使用した給水材の特性を示す図表である。
【図12】実施例1ないし4に使用した仕切り紙の特性を示す図表である。
【符号の説明】
【0056】
10:栽培容器
20:自動給水器
21:注水口
22:密閉栓
23:給水器本体
24:水位調整具
25:給水ヒモ挿入用筒部
26:通気孔
27:通気管
28:給水孔
29:給気孔
30:埋設材
31:給水ヒモ
32:給水材
33:仕切り紙
34:栽培土壌
35:栽培植物
36:水
40:中継給水具
41:給水用筒部
42,44:給水管
43:三方分岐バルブ
44:フレキシブルビニールパイプ
【出願人】 【識別番号】596045085
【氏名又は名称】磯部 峯生
【識別番号】398012410
【氏名又は名称】三和製紙株式会社
【出願日】 平成18年9月4日(2006.9.4)
【代理人】 【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏

【識別番号】100100170
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 厚司

【識別番号】100103012
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 隆宣


【公開番号】 特開2007−295915(P2007−295915A)
【公開日】 平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願番号】 特願2006−239041(P2006−239041)