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【発明の名称】 高枝刈機
【発明者】 【氏名】鈴木 學

【要約】 【課題】低草木や高枝を刈り取る作業中に刈刃の角度が変わらなこと、刈取部本体の小型化及びコストの低減化を図ること等が可能な高枝刈機を提供する。

【解決手段】刈取部本体20のジョイントケース21と刈刃支持ケース22との間に跨って、ノブナット54の左右回転によって操作杆2の長手方向に直交する方向にジョイントケース21と刈刃支持ケース22とを接離可能とするスライド可能な固定軸50を設ける。さらに、固定軸50の円周方向におけるジョイントケース21と刈刃支持ケース22との対向面間に、操作杆2の長手方向に直交する方向に向かって面同士で噛み合うことによって刈刃支持ケース22の回動を規制する突起部35及びリングギヤ部45を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン駆動力を伝達する駆動力伝達軸が内挿された操作杆の先端部に、回転駆動力を往復駆動力に変換して刈刃を往復動させる刈取部本体が着脱可能に取り付けられる高枝刈機において、
前記刈取部本体は、
前記操作杆に連なるジョイントケースと、
前記刈刃に連なると共に前記ジョイントケースに回動可能に連なった刈刃支持ケースと、
前記ジョイントケースと前記刈刃支持ケースとに跨って配設され、前記刈刃支持ケースを前記ジョイントケースに固定することによって前記刈刃を所望角度で固定する角度調整部と、を備えていると共に、
前記角度調整部は、
前記操作杆の長手方向に直交する方向に前記ジョイントケースと前記刈刃支持ケースとを接離可能とする接離手段と、
前記ジョイントケースと前記刈刃支持ケースとの対向面間に設けられ、前記操作杆の長手方向に直交する方向に向かって噛み合うことによって前記刈刃支持ケースの回動を規制する凹凸状の噛み合い手段と、を備えていることを特徴とする高枝刈機。
【請求項2】
前記接離手段は、
一端部が前記刈刃支持フレームに固定支持され、他端部が前記ジョイントケースを貫通した状態で前記ジョイントケースに摺動可能に支持されると共にネジ部が形成された固定軸と、
前記固定軸と前記ジョイントケースとの間に介設され、前記ジョイントケースと前記刈刃支持ケースとを離反する方向に付勢する付勢手段と、
前記固定軸のネジ部に噛み合うことにより前記固定軸を進退移動させて前記ジョイントケースと前記刈刃支持ケースとを接離可能とするナット部材と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の高枝刈機。
【請求項3】
前記噛み合い手段は、前記操作杆の長手方向に直交する方向に向かって延設された多角柱状或いはV字型の突起部とリングギヤ部とを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の高枝刈機。
【請求項4】
前記多角柱状の突起部或いは前記リングギヤ部は、前記ジョイントケース或いは前記刈刃支持ケースの対向面部に面接合することを特徴とする請求項3に記載の高枝刈機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、低草木や高枝を刈り取る高枝刈機に関し、さらに詳しくは、刈刃の角度調整を行うことができる高枝刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、低草木や高枝の水平切りや斜め切り等、樹木を望む形に剪定できるように刈刃の角度調節を行うことができる高枝刈機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図12に示されるように、この種の高枝刈機1にあっては、エンジン駆動力を伝達する駆動力伝達軸が内挿された操作杆2の先端部に、回転駆動力を往復駆動力に変換して刈刃(レシプロ刃)3を往復動させる刈取部本体4が着脱可能に取り付けられるようになっている。そして、刈取部本体4は、操作杆2に連なるジョイントケース5と、刈刃3に連なると共にジョイントケース5に回動可能に連なった刈刃支持ケース6との間に、刈刃支持ケース6をジョイントケース5に固定することによって刈刃3の角度調整を行う角度調整部7が配設されていた。
【0004】
【特許文献1】特許3457399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この角度調整部7は、図13に示されるように、刈刃支持ケース6に固定されたガイド部材8の案内溝9に、ジョイントケース5に設けられた固定部材としてのノブボルト10の軸部11が嵌め込まれている。そして、刈刃3が所望角度となるように刈刃支持ケース6を回動させたのちノブボルト10を締め込むことによって、刈刃支持ケース6をジョイントケース5に共締め固定して、刈刃3を所望角度で固定するように構成されていた。このため、刈刃支持ケース6はジョイントケース5に対してノブボルト10による固定、すなわち点による固定(点止め)がなされているので、低草木や高枝を刈り取る作業中にノブボルト10が緩んでしまうと、刈刃支持ケース6をジョイントケース5に共締め固定していた圧着力が減少し、刈刃支持ケース6が回動してしまう虞があった。そして、刈刃支持ケース6が回動してしまうと刈刃3の角度が変わってしまい、樹木を望む形に剪定できなくなってしまう。
【0006】
また、この角度調整部7によると、ガイド部材8やノブボルト10の外付け配置によって刈取部本体4が大型化してしまうだけでなく、構成部品の大型化によるコストの上昇を招くという問題もある。
【0007】
そこで、この発明は、上記した従来技術が有している問題点を解決するためになされたものであって、低草木や高枝を刈り取る作業中に刈刃の角度が変わらなこと、刈取部本体の小型化及びコストの低減化を図ること等が可能な高枝刈機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため第1の発明は、エンジン駆動力を伝達する駆動力伝達軸が内挿された操作杆の先端部に、回転駆動力を往復駆動力に変換して刈刃を往復動させる刈取部本体が着脱可能に取り付けられる高枝刈機において、
前記刈取部本体は、前記操作杆に連なるジョイントケースと、前記刈刃に連なると共に前記ジョイントケースに回動可能に連なった刈刃支持ケースと、前記ジョイントケースと前記刈刃支持ケースとに跨って配設され、前記刈刃支持ケースを前記ジョイントケースに固定することによって前記刈刃を所望角度で固定する角度調整部と、を備えていると共に、前記角度調整部は、前記操作杆の長手方向に直交する方向に前記ジョイントケースと前記刈刃支持ケースとを接離可能とする接離手段と、前記ジョイントケースと前記刈刃支持ケースとの対向面間に設けられ、前記操作杆の長手方向に直交する方向に向かって噛み合うことによって前記刈刃支持ケースの回動を規制する凹凸状の噛み合い手段と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するため第2の発明は、第1の発明において、前記接離手段は、一端部が前記刈刃支持フレームに固定支持され、他端部が前記ジョイントケースを貫通した状態で前記ジョイントケースに摺動可能に支持されると共にネジ部が形成された固定軸と、前記固定軸と前記ジョイントケースとの間に介設され、前記ジョイントケースと前記刈刃支持ケースとを離反する方向に付勢する付勢手段と、前記固定軸のネジ部に噛み合うことにより前記固定軸を進退移動させて前記ジョイントケースと前記刈刃支持ケースとを接離可能とするナット部材と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するため第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記噛み合い手段は、前記操作杆の長手方向に直交する方向に向かって延設された多角柱状或いはV字型の突起部とリングギヤ部とを備えていることを特徴とする。
【0011】
第1乃至第3の発明によれば、ジョイントケースと刈刃支持ケースとを結合しているナット部材が緩んだとしていも、突起部とリングギヤ部とが面同士で噛み合っている限り刈刃支持ケースの回動は規制される。すなわち、突起部とリングギヤ部とが噛み合わなくなるまでナット部材を緩めてジョイントケースと刈刃支持ケースとを離反させないと刈刃支持ケースは回動しない。これにより、低草木や高枝を刈り取る作業中に刈刃の角度が変わらない高枝刈機を提供することができる。
【0012】
さらには、ジョイントケースと刈刃支持ケースとの対向面間や刈取部本体内にナット部材を除いた角度調整部の大部分を配置したことにより、刈取部本体を小型化することができると共に、構成部材の小型化によるコストの低減化を図ることができる。
【0013】
上記目的を達成するため第4の発明は、第3の発明において、 前記突起部或いは前記リングギヤ部は、前記ジョイントケース或いは前記刈刃支持ケースの対向面部に面接合することを特徴とする。
【0014】
第4の発明によれば、ジョイントケースと刈刃支持ケースとがナット部材によって接合される際に、突起部或いはリングギヤ部の何れかが、互いに対向するジョイントケース或いは刈刃支持ケースの対向面部に面接合するので、菊座を用いた場合よりも位置精度の向上を図ることができるようになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の高枝刈機によれば、ナット部材が緩んでもジョイントケースと刈刃支持ケースとの対向面間に設けられた噛み合い部が面同士で噛み合っている限り刈刃支持ケースの回動が阻止される。これにより、低草木や高枝を刈り取る作業中に刈刃の角度が変わらない高枝刈機を提供することができる。さらには、ジョイントケースと刈刃支持ケースとの対向面間や刈取部本体内にナット部材を除いた角度調整部の大部分を配置することにより、刈取部本体を小型化することができると共に、構成部材の小型化によるコストの低減化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の最も好適と思われる実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の高枝刈機における刈取部本体の平面図、図2は、同刈取部本体の側面図、図3は、図2の刈取部本体の側断面図、図4は、図3中のA矢視図、図5は、同刈取部本体の平断面図、図6は、同例におけるジョイントケースと刈刃支持ケースとの連結部分の分解斜視図、図7は、同例における第1及び第2のフランジ面部の斜視図、図8は、同ジョイントケースを刈刃支持ケース側から視た際の側面図、図9は、同刈刃支持ケースをジョイントケース側から視た際の側面図、図10(a),(b)は、刈取作業に好適な範囲を示した刈取部本体の模式図、(c)は、収納、梱包時に好適な刈取部本体の模式図、図11(a)は、刈取作業に好適な範囲において刈刃を最大限上向きとした刈取部本体の側面図、(b)は、刈取作業に好適な範囲において刈刃を最大限下向きとした刈取部本体の側面図、(c)は、収納、梱包時に好適な刈取部本体の側面図である。
【0018】
なお、従来と同様な構成部材については同一の符号が付されている。
【0019】
本発明は、エンジン駆動力を伝達する駆動力伝達軸が内挿された操作杆の先端部に、回転駆動力を往復駆動力に変換して刈刃を往復動させる刈取部本体が着脱可能に取り付けられる高枝刈機に適用されるものである。
【0020】
図1,2に示されるように、この高枝刈機における刈取部本体20は、操作杆2の先端部に連なるジョイントケース21と、上下一対の往復動刃(以下、刈刃という)3の基端部が連なると共にジョイントケース21に回動可能に連なった刈刃支持ケース22と、ジョイントケース21と刈刃支持ケース(ギヤケースとも言う)22との間に跨って配設され、刈刃支持ケース22をジョイントケース21に固定することによって刈刃3を所望角度で固定する角度調整部23と、を備えて構成されている。
【0021】
なお、以下にあっては、刈取部本体20は操作杆2の先端部に取り付けられるため、操作杆2の長手方向を前後方向として説明すると共に、ジョイントケース21に対して刈刃支持ケース22が回動、接離するものとして説明する。
【0022】
また、図1中の符号12は、不使用時に刈刃3に被せるカバー、符号13は、刈刃2を摺動可能に支持する押さえ板(ブレードガイドとも言う)を示している。
【0023】
まず、ジョイントケース21について説明する。
図1〜5に示されるように、ジョイントケース21は筒状体に形成されており、その後部には、操作杆2の先端部が挿入される挿入部24が一体的に形成されている。この挿入部24は、固定ネジ(例えば、トルクスネジ、ネジナット等)25(図3,4に図示)の締め込み或いは緩めることによって径状を可変できるようにスリット26が入れられている(図4に図示)。そして、挿入部24は、操作杆2の挿抜時にあっては固定ネジ25を緩めることによって操作杆2よりも拡径し、また、操作杆2の固定時にあっては固定ネジ25の締め込みにより縮径して操作杆2に圧着するようになっている。
【0024】
さらに、この挿入部24には、図3,4に示されるように、挿入部24の側面を貫通する位置決めネジ27が前後方向に向かってスライド移動可能に設けられており、この位置決めネジ27の先端部が、挿入部24に挿入された操作杆2の予め設定された所定位置に設けられた凹部に嵌合することによって、操作杆2とジョイントケース21との位置決めがなされるようになっている。
【0025】
また、この挿入部24の前方には、図5に示されるように、ジョイントケース21の長手方向に向かった第1の回転軸28が、前後に並んだ2つの軸受部材(ボールベアリング)29,30により抜け止めされた状態で回転可能に軸支されている。この第1の回転軸28の前部には、かさ形の第1の歯車31が一体的に設けられていると共に、第1の回転軸28の後部には、操作杆2に内挿された駆動力伝達軸の先端のスプライン軸と結合するためのジョイント32が一体的に連なっている。
【0026】
さらに、このジョイントケース21の前部右側面には、図5,6に示されるように、第1の回転軸28と直交する方向、すなわち左右方向に向かって筒状に突設された第1の突出部33が一体的に形成されている。この第1の突出部33の内部には、後述する刈刃支持ケース22の第3の突出部43が摺接可能に挿入されることによって、ジョイントケース21に刈刃支持ケース22が回動可能に連なるようになっている。
【0027】
さらに、この第1の突出部33の先端部には、外周方向に向かって拡径形成された環状の第1のフランジ面部34が一体的に設けられていると共に、この第1のフランジ面部34には、図5〜8に示されるように、噛み合い手段の一部として、刈刃支持ケース22側に向かって延設された三角柱状の突起部35が放射状に複数配設されている。これら突起部35は、後述する固定軸50の円周上とななる位置に形成されている共に、先端角部35aが内向きに向かうように形成されている。また、先端各部35aと外側角部35b,35cとは面取り加工が施されている。なお、突起部35は、三角柱のみに限定されるものではなく、四角柱などの多角柱状或いはV字型であってもよい。
【0028】
さらにまた、この第1のフランジ面部34の外周部には、刈刃3の適切な刈取角度、すなわち、刈刃支持ケース22の適切な回動範囲を示すための一対の角度規制部材36a,36bが約180度の間隔をあけて一体的に突設されている。これら角度規制部材36a,36b間のうち、上方側に臨んだ角度規制部材36a,36b間には、外周部に沿って湾曲したフランジ部37が一体的に形成されていると共に、このフランジ部37のほぼ中間部には切り欠き部38が設けられている。
【0029】
また、下方側に臨んだ角度規制部材36a,36b間には、刈刃支持ケース22に設けられた当接部材39(図5,9に図示)が、第1のフランジ面部34の外周部に沿って往復動可能に配置されるようになっている。さらには、この当接部材39は、切り欠き部38に嵌合可能な形状とされている。
【0030】
なお、角度規制部材36a,36bがなければ、構造上、ジョイントケース21に対して刈刃支持フレーム22を360度回動することができる。
【0031】
下方側に臨んだ角度規制部材36a,36b間に当接部材39が配置されるのは、刈取作業に好適とされ、図10(a)に示されるように、当接部材39が角度規制部材36aに当接した状態にあっては、刈刃3は最大限上向きになる。この状態にあっては、ほぼ水平なジョイントケース21に対して刈刃支持フレーム22は反時計回りに約48度回動している。
【0032】
また、図10(b)に示されるように、当接部材39が角度規制部材36bに当接した状態にあっては、刈刃3は最大限下向きになる。この状態にあっては、ほぼ水平なジョイントケース21に対して刈刃支持フレーム22は時計回りに約84度回動している。
【0033】
一方、図10(c)に示されるように、当接部材39が切り欠き部38に嵌合されている状態にあっては、収納時、梱包時など機体全長を短縮したい場合に好適とされ、ほぼ水平なジョイントケース21に対して刈刃支持フレーム23が反時計回りに約180度回動している。なお、当接部材39を切り欠き部38に嵌合させる手順については後述する。
【0034】
また、図5,6に示されるように、ジョイントケース21の前部左側面には、第1の突出部33とは異なる側に向かって断面ハット型に突出された第2の突出部40が一体的に形成されている。この第2の突出部40の中央には、後述する固定軸50の軸端部が摺接可能に貫通する貫通孔41が穿設されている。
【0035】
次に、刈刃支持ケース22について説明する。
図5,6に示されるように、刈刃支持ケース22の左側部には、上述した当接部材39がジョイントケース21側に向かって突設されていると共に、第1の突出部33の内部に摺接可能に挿入される筒状の第3の突出部42が一体的に形成されている。さらに、この第3の突出部42の基部側には、先端部側よりも基部側を拡径するための段部43と、ジョイントケース21の第1のフランジ面部34に対向する第2のフランジ面部44とが形成されている。
【0036】
段部43は、第1のフランジ面部34と当接可能とされている。そして、この段部43が第1のフランジ面部34と当接した状態にあっては、ジョイントケース21から刈刃支持ケース22が離脱する方向にのみ移動が可能とされている。
【0037】
また、第2のフランジ面部44は、段部43と第1のフランジ面部34とが接合した状態にあっては、第1のフランジ面部34に適宜距離をあけて対向配置すると共に、この第2のフランジ面部44には、突起部35に噛み合い可能且つ第1のフランジ面部34に接合可能とされた噛み合い手段の一部としてのリングギヤ部45が、後述する回転軸50の円周上に位置するように一体的に形成されている(図6,7参照)。このリングギヤ部45の歯溝には、図10(a)〜(c)に示されるように、突起部35が1つおきに噛み合うようになっている。
【0038】
図5に示されるように、第3の突出部42の内部には、第1の回転軸28に直交する方向に延設された第2の回転軸46が軸受部材(ニードルベアリング)47を介して回転可能に軸支されている。この第2の回転軸46の左端部には、第1の歯車31に離脱可能に噛み合わされたかさ形の第2の歯車48が一体的に設けられている。この第2の歯車48と第1の歯車31とを噛み合わせる際、第1のフランジ面部34にリングギヤ部45の側端面が面接合されることにより、菊座を用いた場合よりも、位置精度の向上が図られるようになっている。なお、段部43を切削加工面とすることによって、第1の歯車31と第2の歯車48との噛み合わせ調整がなされている。
【0039】
また、この第2の歯車48の外径は、第1の突出部33の内径よりも小径とされており、第2の歯車48が第1の突出部33の内部を挿通可能とされている。一方、この第2の回転軸46の右端部には、第2の歯車48よりも小径とされたかさ形の第3の歯車49が一体的に形成されている。
【0040】
さらに、この第2の回転軸46は中空軸とされ、その内部にはジョイントケース21と刈刃支持ケース22との間に跨って回転しないように架設された固定軸50が貫通している。この固定軸50は、接離手段の一部であり、その右軸部は、刈刃支持ケース22の右側面部に設けられた凹部51に内嵌挿入された状態で、回転防止用平面部52により回転が防止された状態で支持固定されている。
【0041】
また、固定軸50の左軸部は、その軸端部がジョイントケース21の貫通孔41から外部に突出した状態でジョイントケース21に摺動可能に支持されている。さらに、この固定軸50の左軸部には適宜長さのネジ部53が設けられていると共に、このネジ部53には、接離手段のナット部材であるノブナット54が螺合している。
【0042】
また、この固定軸50の中央部の外周面には、左右に並列した軸受部材(ニードルベアリング)55,56を介して第2の回転軸46が回転可能に軸支されていると共に、第2の回転軸46の左端部側(第2の歯車48側)の抜け止めを行う環状のフランジ部57が一体的に形成されている。さらに、第2の回転軸46の右端部(第3の歯車49側)の抜け止めを行う止め輪58が嵌着されている。
【0043】
また、この刈刃支持ケース22内部には、固定軸50と直交する方向に延設された第3の回転軸59が軸受部材(ボールベアリング)60,61を介して回転可能に軸支されている。固定軸50に近接した第3の回転軸59の軸端部には、第3の歯車49と常時噛み合うかさ形の第4の歯車62がスプライン嵌合された状態で止め輪63によって抜け止め固定されている。また、この第3の回転軸59の他軸部には、刈刃3の基端部に連なった上下一対のコンロッド64,65を相対往復動させるための偏心カムシャフト66が一体的に設けられている。
【0044】
これにより、エンジン駆動力を伝達する駆動力伝達軸の回転駆動力が第1の回転軸28に伝達されたのち、第1及び第2の歯車31,48により約90度曲げられて第2の回転軸46に伝達され、第2の回転軸46に伝達された回転駆動力が、第3及び第4の歯車49,62により約90度曲げられて第3の回転軸59に伝達される。そして、この第3の回転軸59に連なった偏心カムシャフト66がコンロッド64,65を相対往復動させることによって刈刃3が往復動するようになっている。
【0045】
なお、図5中の符号67,68は、刈刃支持ケース22内部に潤滑用のグリースを注入するためのグリスニップルである。
【0046】
また、刈刃支持ケース22には、刈刃支持ケース22の回動を容易化するための把持部70がフランジ部69を介してネジ止め固定されている(図1〜3参照)。
【0047】
次に、角度調整部23について説明する。
角度調整部23は、操作杆2の長手方向に直交する方向にジョイントケース21と刈刃支持ケース22とを接離可能とする接離手段と、ジョイントケース21と刈刃支持ケース22との対向面間に設けられ、操作杆2の長手方向に直交する方向に向かって噛み合うことによって刈刃支持ケース22の回動を規制する凹凸状の噛み合い手段と、を備えている。
【0048】
具体的には、この角度調整部23は、接離手段として、第1の回転軸28に直交するようにジョイントケース21と刈刃支持ケース22との間に跨って架設され、ジョイントケース21には摺動可能に支持され、刈刃支持ケース22には回動しないように固定支持された固定軸50と、固定軸50の軸端部に形成されたネジ部53に噛み合った状態で回動することによって固定軸50を進退移動させるノブナット54と、固定軸50のフランジ部57とジョイントケース21との間に介設され、刈刃支持ケース22をジョイントケース21から離脱する方向に常時付勢する付勢手段としての付勢バネ71と、を備えている。
【0049】
さらにまた、噛み合い手段として、固定軸50の円周上に設けられていると共に、ジョイントケース21と刈刃支持ケース22との対向面としての第1及び第2のフランジ面部34,44間に設けられ、操作杆2の長手方向に直交する方向に向かって面同士で噛み合うことによって刈刃支持ケース22の回動を規制する三角柱状或いはV字型の突起部35とリングギヤ部45と、を備えている。
【0050】
さらに、図5に示されるように、固定軸50の左端部には袋ナット72が取り付け固定されている。この袋ナット72は、作業者が不用意にノブナット54を最大限緩めてしまっても、ジョイントケース21から刈刃支持ケース22が脱落することがないようにノブナット54の回動規制(抜け止め)を行っている。
【0051】
さらに、ジョイントケース21とノブナット54との間には、ワッシャ73が配設されていると共に、ジョイントケース21と付勢バネ70との間にもワッシャ74が配設されている。
【0052】
そして、図5に示された状態において、ノブナット54を反締め込み方向、つまり緩める方向に回動すると、付勢バネ71の付勢力に押圧された固定軸50が図中右側、つまり刈刃支持ケース22がジョイントケース21から離脱する方向に向かってスライド移動する。それにしたがって、刈刃支持ケース22本体もジョイントケース21から離脱する方向に移動する。ノブナット54をさらに緩める方向に回動すると、やがて突起部35とリングギヤ部45との噛み合いが解除される。そして、突起部35とリングギヤ部45との噛み合いが解除された状態にあっては、刈刃支持ケース22は、図10(a),(b)に示されるように、当接部材39が角度規制部材36a或いは36bに当接する範囲内において、第1の突出部33廻りに回動可能となっている。
【0053】
ところで、図10(c)に示されるように、刈刃支持ケース22をジョイントケース21に対して約180度回動するには、回動する刈刃支持ケース22の当接部材39が角度規制部材36a,36bに当接しないように、ノブナット54をさらに緩める方向に回動する必要がある。なお、突起部35とリングギヤ部45との噛み合いが解除された状態にあっては、刈刃支持ケース22が回動しないように手で把持部69等を押さえながらノブナット54を緩めるようにして刈刃支持ケース22をスライド移動させる。そして、ノブナット54をさらに緩める方向に回動して、当接部材39が角度規制部材36a,36bに当接しないように刈刃支持ケース22をジョイントケース21から離脱する方向に向かってスライド移動させることによって、刈刃支持ケース22はジョイントケース21に対して約360度の回動が可能になる。
【0054】
なお、刈刃支持ケース22が回動可能な状態にあっては、第1の突出部33の内部から第3の突出部42が脱落することがないように固定軸50のスライド量、つまりネジ部53の長さが設定されている。
【0055】
このとき、ジョイントケース21と刈刃支持ケース22とは、第1及び第3の突出部33,42、固定軸50により連なっている一方で、第2の歯車48は、第1の歯車31から離脱して第1の突出部33の内部に位置している。
【0056】
そして、所望角度だけ回動させた刈刃支持ケース22を固定する場合には、ノブナット54を締め込む方向に回動すればよい。ノブナット54を締め込む方向に回動すると、付勢バネ71の付勢力に抗って固定軸50がジョイントケース21に向かって刈刃支持ケース22がスライド移動する。そして、突起部35とリングギヤ部45とが噛み合い始めた時点で刈刃支持ケース22の回動が規制されると共に、刈刃支持ケース22のスライド移動は、リングギヤ部45の側面が第1のフランジ面部34に当接した時点(段部43が第1のフランジ面部34に当接した時点でもある)で終了する。これにより、図11(a)〜(c)に示されるように、所望角度だけ回動させた刈刃支持ケース22をジョイントケース21に固定することにより、刈刃3を所望角度に固定することができる。
【0057】
なお、第2の歯車48が第1の歯車31に噛み合わさる際、第1のフランジ面部34にリングギヤ部45の側端面が面接合するので、菊座を用いた場合よりも位置精度が向上する。
【0058】
以上述べたように、ジョイントケース21と刈刃支持ケース22とを結合しているノブナット54が緩んだとしていも、突起部35とリングギヤ部45とが面同士で噛み合っている限り刈刃支持ケース22の回動は規制される。すなわち、突起部35とリングギヤ部45とが噛み合わなくなるまでノブナット54を緩めてジョイントケース21と刈刃支持ケース22とを離反させないと刈刃支持ケース22は回動しない。これにより、低草木や高枝を刈り取る作業中に刈刃の角度が変わらない高枝刈機を提供することができる。
【0059】
さらには、ジョイントケース21と刈刃支持ケース22との対向面間や刈取部本体20内にノブナット54を除いた角度調整部23の大部分を配置したことにより、刈取部本体20を小型化することができると共に、構成部材の小型化によるコストの低減化を図ることができる。
【0060】
また、ジョイントケース21と刈刃支持ケース22とがノブナット54によって結合される際に、リングギヤ部45が対向するジョイントケース21の第1のフランジ面部34に面接合するので、菊座を用いた場合よりも位置精度の向上を図ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の高枝刈機における刈取部本体の平面図である。
【図2】同刈取部本体の側面図である。
【図3】図2の刈取部本体の側断面図である。
【図4】図3中のA矢視図である。
【図5】同刈取部本体の平断面図である。
【図6】同例におけるジョイントケースと刈刃支持ケースとの連結部分の分解斜視図である。
【図7】同例における第1及び第2のフランジ面部の斜視図である。
【図8】同ジョイントケースを刈刃支持ケース側から視た際の側面図である。
【図9】同刈刃支持ケースをジョイントケース側から視た際の側面図である。
【図10】(a),(b)は、刈取作業に好適な範囲を示した刈取部本体の模式図、(c)は、収納、梱包時に好適な刈取部本体の模式図である。
【図11】(a)は、刈取作業に好適な範囲において刈刃を最大限上向きとした刈取部本体の側面図、(b)は、刈取作業に好適な範囲において刈刃を最大限下向きとした刈取部本体の側面図、(c)は、収納、梱包時に好適な刈取部本体の側面図である。
【図12】従来の高枝刈機の斜視図である。
【図13】従来の高枝刈機における刈取部本体の側面図である。
【符号の説明】
【0062】
2 操作杆
3 刈刃
20 刈取部本体
21 ジョイントケース
22 刈刃支持ケース
23 角度調整部
35 突起部(噛み合い手段)
45 リングギヤ部(噛み合い手段)
50 固定軸(接離手段)
53 ネジ部
54 ノブナット(接離手段)
71 付勢バネ(付勢手段)
【出願人】 【識別番号】000250270
【氏名又は名称】落合刃物工業株式会社
【出願日】 平成18年4月27日(2006.4.27)
【代理人】 【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所


【公開番号】 特開2007−289126(P2007−289126A)
【公開日】 平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願番号】 特願2006−123504(P2006−123504)