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【発明の名称】 観賞植物の培地の固定方法
【発明者】 【氏名】塚本 剛正

【氏名】棚橋 昭

【要約】 【課題】本発明は観賞植物の培地の固定剤に関するものである。

【解決手段】テラリウム及び寄せ植え及び鉢植え及び植物苗などの製品の運搬輸送時の振動や傾きによる型崩れを防ぐために、アルギン酸ナトリウムの水溶液と塩化カルシウムの水溶液に酢酸で溶解させたキトサンの水溶液を混合して作った水溶液とからなる観賞植物の培地の固定剤を提供しようとするものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観賞植物の培地にアルギン酸ナトリウムの水溶液を浸透させたのちに、塩化カルシウムの水溶液に酢酸で溶解させたキトサンの水溶液を混合して作った水溶液を浸透させて該培地を固定する固定方法。
【請求項2】
アルギン酸ナトリウムの水溶液と、塩化カルシウムの水溶液に酢酸で溶解させたキトサンの水溶液を混合して作った水溶液との2液からなる観賞植物の培地の固定剤。
【請求項3】
前記培地の固定剤を施して製作されるテラリウム及び寄せ植え及び鉢植え及び植物苗などの製品。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、観賞植物の培地の固定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開平7−23655号公報では、テラリウムといわれる、ガラス製等の透明容器の中に土を入れ各種の植物や人形等を植えつけたもので、商品として製作されたものを、型崩れを起さないように輸送するため、培地の少なくとも表層にキトサンと天然多糖類との混合液を施し、乾燥することで、培地の表層を固定している。
【0003】
しかし、最近の傾向として、透明な容器に、土を洗浄して根を露出させた観賞植物を、様々な色に彩色し通気性及び保水性を備えた小礫からなる培地に配植し、彩色された小礫で培地の全層に模様を描くものが商品化され、容器及び観賞植物及び培地の模様からなる全体の意匠が重要な商品要素となっており、各種植物の選定、容器の選定、容器内への配置、培地に描く模様や色の組合せは専門的な配慮が必要とされる。このため、各材料からなる組立セットのようなものでは商品としての価値が損なわれ、専門家の手になる完成したものをそのまま輸送することが必要になっている。
【特許文献1】特開平7−23655号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
透明な容器に、土を洗浄して根を露出させた観賞植物を、様々な色に彩色し通気性及び保水性を備えた小礫からなる培地に配植し、彩色された小礫で培地の全層に模様を描いたものを商品として流通させるとき、運搬、輸送時の振動や傾きによって容器内の培地が型崩れを起こすことや、長時間の運搬で培地の乾燥が進み植物体に障害が現れることで、商品価値を無くしてしまうというような問題があり、商品普及の障害となっている。
【0005】
上記に参照した文献例では、使用する固定剤としてキトサンと天然多糖類の混合液を使用する場合は、該混合液は強い粘性を示すため、該混合液が全層にゆきわたるのが困難となり、またキトサンと天然多糖類が均一に混合されないでだまが残る場合もある。透明な容器に植えつけられた観賞植物や各種の人形等を表層において固定するには適するが、彩色された培地の全層に渡る模様が崩れないように固定するには不十分なものとなる。また、固定剤を乾燥させることで固定するため、固定されるまでに一定の時間が必要となり、その間植物に灌水することは困難で、乾燥を嫌う植物の場合は適さない。また乾燥後に形成される皮膜は耐水性が十分とはいえず、度重なる灌水でやわらかくなるという課題を抱えている。
【0006】
本発明は、長時間の運搬、輸送時に、観賞植物の培地を全層にわたって固定し振動や傾きによる容器内の培地の型崩れを防ぎ、観賞植物の配置及び彩色された小礫で培地の全層に描かれる模様を型崩れすることなく完成した状態を保ったまま輸送することと、観賞植物の培地と根の乾燥を防ぎ、長期間にわたって抗菌作用を保ちカビや細菌の発生を抑制し、観賞植物の生育が活性化することを可能とする固定方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1は、観賞植物の培地にアルギン酸ナトリウムの水溶液を浸透させたのちに、塩化カルシウムの水溶液に酢酸で溶解させたキトサンの水溶液を混合して作った水溶液を浸透させて該培地を固定する固定方法。
【0008】
請求項2は、アルギン酸ナトリウムの水溶液と、塩化カルシウムの水溶液に酢酸で溶解させたキトサンの水溶液を混合して作った水溶液との2液からなる観賞植物の培地の固定剤。
【0009】
請求項3は、前記培地の固定剤を施して製作されるテラリウム及び寄せ植え及び鉢植え及び植物苗などの製品。
【発明の効果】
【0010】
本発明の観賞植物の培地の固定方法では、アルギン酸ナトリウムの水溶液を培地の全層に浸透させる。アルギン酸ナトリウムはキトサンとアルギン酸ナトリウムを溶かした希酢酸溶液に比較して粘性は低いため、容易に全層に浸透させることができる。
【0011】
そののちに塩化カルシウムの水溶液とキトサンを溶かした希酢酸溶液を混合した溶液を該培地の全層に浸透させる。
【0012】
その際に、アルギン酸ナトリウムはカルシウムイオンを取り込みアルギン酸カルシウムのゲルとなり、このゲル化とともにアルギン酸カルシウムとキトサンはイオン性相互作用により高分子複合体を形成し、培地の小礫間を接着し培地の全層を固定し、植物の根を被覆する。このときキトサンも培地全層と植物の根圏に固定される。
【0013】
キトサンは、抗菌作用と植物に対しては活性化作用を持ち、固定された培地内での菌類の発生を抑制するため、培地が汚れるのを防ぎ、植物の生育を活性化し、また、アルギン酸カルシウムのゲルと高分子複合体を形成することで、耐水性を向上させ、灌水による培地の崩壊を防ぎ、培地を強固に固定する。
【0014】
アルギン酸カルシウムのゲル化とアルギン酸カルシウムとキトサンの高分子複合体の形成は瞬時に起こり、培地が固定されるのに時間を要することもなく、また、固定後にすぐ灌水しても問題がない。余剰の塩化ナトリウムなどは少量の水で洗浄することができ、植物に悪影響をあたえることもない。
【0015】
アルギン酸カルシウムのゲル及びアルギン酸カルシウムとキトサンの高分子複合体で固定された培地は、運搬、輸送時の振動や傾きにも耐え、容器を逆さにしても培地は固定されたままである。培地を固定した製品を名古屋から東京へ輸送したが、観賞植物の転倒や、培地の型崩れなどは全くなかった。
【0016】
さらに、固定された培地は、植物の生育に必要な通水性および通気性を保つ。キトサンは耐水性を向上させるため、灌水を繰り返しても、固定された培地が崩れにくくなる。
【0017】
アルギン酸ナトリウムからアルギン酸カルシウムへの化学反応の過程で生成される塩化ナトリウムは、灌水後の余剰な水分を排出することで簡単に除去できる。
【0018】
培地内の小礫間に反応しないで残るアルギン酸ナトリウムは保水性を保ち、培地が乾燥することを防ぐ効果を持つ。
【0019】
アルギン酸ナトリウム及びアルギン酸カルシウム及びキトサンは、長期間にわたり根に付着しても、植物になんら悪影響を与えず、培地の中では生分解性を持ち、長期間を経て、自然に分解されるため、特別に除去する処置は必要としない。
【0020】
本発明の培地の固定方法を施して、運搬、輸送した製品はそのまま店頭に並べ、顧客に販売することができ、灌水も通常の観賞植物と同様に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に固定剤を調整して、実際に施用した実施例を示した。
【実施例1】
【0022】
(固定剤の溶液1の調整)市販のアルギン酸5〜20gを室温下において水を加えて攪拌し溶解して1リットルとしたものを溶液1とした。
【0023】
(固定剤の溶液2の調整)市販の塩化カルシウム100〜300gを水で溶かして0.5リットルとしたものと市販のキトサン(脱アセチル化度80%以上)1〜1.5gを0.5%酢酸水溶液0.1リットルで溶かしたあと水を加えて0.5リットルにしたものを混合して1リットルとしたものを溶液2とした。
【実施例2】
【0024】
(植物の根の保護)植えつける前に洗浄して土などを落とした観賞植物の根を固定剤の溶液1に漬け、すぐに固定剤の溶液2に漬ける。根のまわりに付着したアルギン酸ナトリウムの表面にアルギン酸カルシウムの皮膜ができ、さらにアルギン酸カルシウムの皮膜とキトサンが高分子複合体を形成すると考えられる。このため、アルギン酸カルシウムの皮膜の耐水性が向上し、皮膜から皮膜の内容液であるアルギン酸ナトリウム中にキトサンが徐々に溶けて植物を活性化すると考えられる。
【実施例3】
【0025】
(培地の固定)ガラスの透明な容器内にセラミックを原料とする粒径1〜10mmの多孔質の彩色された粒状礫を充填し、全層に模様を描き、観賞植物および装飾品を各種配置して植付けた後、実施例1に示した固定剤の溶液1を培地の全層に浸透させ、その後固定剤の溶液2を培地の全層に浸透させて培地の全層を固定する。少量の灌水をして余剰の水を排出する。得られた製品を名古屋と東京間の往復輸送を試みたが、培地の移動などの異常は見られず発送時と同じ状態を保ち、植えつけた植物の移動もなく輸送期間中に灌水をしなくても元気な状態を保った。
【出願人】 【識別番号】505000516
【氏名又は名称】有限会社ネオトロピカ
【出願日】 平成18年4月20日(2006.4.20)
【代理人】
【公開番号】 特開2007−282609(P2007−282609A)
【公開日】 平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願番号】 特願2006−116690(P2006−116690)