| 【発明の名称】 |
きのこの菌床栽培法及びきのこ菌床の製造方法並びにその製造装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】豊増 哲郎
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| 【要約】 |
【課題】一つの菌床から一定の大きさで、品質のよい子実体を確実に1個を発生させることのできるきのこの菌床栽培法と、きのこ菌床の製造方法ならびにその製造装置を提供する。
【解決手段】複数の菌床成型部を有する固定型枠の下方に、上下一対の板状体間に通気性を保持せてなる育成パネル部材を近接配置し、前記菌床成型部に菌床素材をそれぞれ充填し、各菌床成型部に充填された菌床素材を、上方から押圧して所要の厚みを有する板状に賦形したのち、育成パネル部材6上に板状で小型の成形菌床FMを上方から押圧して押出したのち、成形菌床FMを育成パネル部材6上で子実体の収穫まで培養する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 所要間隔で上下に配置される一対のプラスチック製の板状体間に、複数の細長形状の芯材を前記板状体の板面と直交する状態で配置し、板状体間に通気性を持たせてなる育成パネル部材上に、 あらかじめ所要形状で、かつ一定の厚さの板状に賦形された小型の成型菌床を載置して栽培すること を特徴とするきのこの菌床栽培法。 【請求項2】 前記成型菌床は、 菌糸が蔓延した菌糸塊を細分化して粉状にした菌床素材を、上面の表面積が30〜70cm2 前後で、厚さが1.5〜3.5cm前後、質量が200g以下の板状のものであること を特徴とする請求項1に記載のきのこの菌床栽培法。 【請求項3】 前記育成パネル部材は、 プラスチック製の薄い板状体を、上下に所要間隔をおいて保持し、前記板状体と同一素材からなる、上下方向の幅が狭い複数の細長形状の芯材を、各端縁が対向する板状体の板面と直交する方向に間隔を存して配置固定し、上下の板状体間に通気性を保持させたものであること を特徴とする請求項1に記載のきのこの菌床栽培法。 【請求項4】 所要形状の孔を上下に貫通させて形成した複数の菌床成型部を有する固定型枠の下方に、上下一対の板状体間に通気性を保持せてなる育成パネル部材を近接配置し、 前記固定型枠の菌床成型部に、菌糸を蔓延させた菌糸塊を細分化した菌床素材をそれぞれ充填し、 各菌床成型部に充填された前記菌床素材を、上方から押圧して所要の厚みを有する板状に賦形したのち、 前記育成パネル部材を下降させるとともに、賦形された板状で小型の成形菌床を上方から押圧して育成パネル部材上に押出すこと を特徴とするきのこ菌床の製造方法。 【請求項5】 所要形状の孔を上下に貫通させて形成した複数の菌床成型部を有する固定型枠と、 前記菌床成型部とほぼ同一形状の押圧子を、各菌床成型部に対応させて垂設配置された、前記固定型枠上に上下動自在に配置される上部押し型と、 前記固定型枠の下方に上下動自在に配置される育成パネル部材とからなること を特徴とするきのこ菌床の製造装置。 【請求項6】 前記育成パネル部材は、 上下一対の板状体間に通気性を保持させたもので、前記固定型枠の下方に配置され、エアシリンダによって上下動する板状の可動部材上に配置されていること を特徴とする請求項5に記載のきのこ菌床の製造装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 この発明は、きのこ、特にしいたけの菌床栽培方法と、当該菌床の製造方法およびその製造装置に関するもので、きのこ栽培技術に係るものである。 【背景技術】 【0002】 きのこの栽培法は、原木を用いる原木栽培と、おがくず等に栄養源を添加してなる培地を用いる菌床栽培に大別される。 【0003】 菌床栽培とは、予め必要な栄養源を含む培地を調整し菌床とし、そして菌床を殺菌処理後、種菌を接種して培養し、子実体を成長させて収穫するという方法で、原木栽培に比較して栽培を手軽に行なうことができ、栽培場所の確保も容易であるので大量生産が可能である。特に、原木の不足や栽培者の高齢化という問題も絡まって、ますますその比率が高くなってきている。 【0004】 シイタケなどにおける菌床栽培は、栽培の初期に菌の培養が必要であるため、培地の殺菌処理は勿論のこと、温度や湿度、光の照射量など、環境管理をきびしく行なう必要があり、管理を怠ると、菌糸が生育しないばかりか、菌床が雑菌に汚染され、腐敗等により悪臭を放ったりする場合も多々ある。 【0005】 かかる問題に鑑み、培地の殺菌処理および培養時の環境管理に関する技術として、例えば、特開平7−312976号公報(特許文献1)においては、仕切板を備えた培養容器内で、培地の殺菌処理を常圧の飽和水蒸気により行ない、種菌後は、培地の表面をシートで覆うことにより、温度および湿度管理を適切にし、熟成培養は、無菌培養終了後、培地を当該培養容器から菌床単位で取出し、大気解放下の通常の非無菌培養によって、きのこを製造する方法が開示されている。 【0006】 また、この特許文献1では、密閉状に形成された培養室内に培養棚を形成し、当該培養棚には、内部が格子状に配置された仕切板で区画された区画室を有する培養容器を、進退自在に収納することも開示され、培地を区画室に盛り込んで培養する装置も併せて開示されている。 【0007】 一方、きのこの成長を均一化することができ、収穫に際して、きのこの成長度を測定することなく、全体を一度に収穫することができる方法と、当該方法を実施するための装置が、特開平6−153694号公報(特許文献2)に記載されている。 【0008】 特許文献2に記載の技術は、菌床栽培において、培養初期段階、つまり菌の育成時には光照射を行ない、培地表面に形成される褐変被膜の成長を促進させ、子実体原基が形成される直前に、培地を格子状等の孔の開けられた光不透過性部材で覆い、波長が350〜600nm付近の光を選択的に遮断して子実体を限定的に発生させ、きのこの成長を均一化する、という方法と、この方法を効率的に行なうためのきのこ培地製造装置、きのこ栽培装置、きのこ収穫装置とからなる装置が併せて開示されている。 【0009】 他方、本発明の発明者は、きのこ、特にシイタケの菌床栽培法およびそれに用いられる菌床製造装置にかかる技術に関し、特許出願(特願2005−083134号)を行なっている。 【0010】 前記発明は、きのこの菌床栽培において、栽培期間の大幅な短縮が可能で、機械による処理を可能とし、人手を掛けずにきのこを大量生産することが可能で、間引き作業を不用とするにもかかわらず、大きさの揃ったMクラスの規格品が主体となり、規格外品の発生が少なくなるので、製品選別の手間を大幅に割愛できる、という効果を得るために、予め菌種を接種し、培養させてきのこ菌糸が蔓延した菌床塊を、細分化した後、細片状の小型菌床を形成し、当該小型菌床に1個の子実体を形成させて育成培養する、というきのこの菌床栽培方法に関する技術である。 【0011】 さらに、発明者は、型枠が複数形成されてなる菌床成型器と、型枠内で成型された菌床を、菌床成型器から押し抜きするための、型枠に対応する押型を有する菌床押出器から構成され、菌床を均一な品質で、同時に複数製造することが可能な製造装置も併せて提案した。 【特許文献1】特開平 7−312976号公報 (特許請求の範囲) 【特許文献2】特開平 6−153694号公報 (特許請求の範囲) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0012】 きのこ、特に、しいたけの培養において、殺菌又は滅菌処理は非常に重要なことであって、この処理をきちんと行なっていないと、雑菌汚染等により目的とする菌の増殖培養を行うことはできなくなる。また、きのこの栽培は、無菌状態もしくは無菌に近い状態で培養しなければならない期間と、無菌でなくても培養可能な期間(熟成培養期間)の2つの期間が存在するが、熟成培養期間においては、屋外で栽培しても問題になる場合はほとんどないが、培養の初期段階は、純粋培養もしくかそれに近い状態での培養が必要なため、無菌室、もしくはそれに準ずる環境下で培養する必要があり、特別の装置等を有する環境下(無菌培養室など)でなければならない。 【0013】 しかしながら、無菌培養室などは、その収容できる容量に制限がある場合がほとんどであるため、一般的に、無菌状態で培養しなければならない期間が終了すると、培地(菌床)を非無菌状態の環境下に移動(横持ち)させて熟成培養(子実体形成)させている。 【0014】 特許文献1に記載の技術では、無菌培養から子実体形成段階に移行する際、培地(菌床)を培養容器から取出さなければならず、取出した培地(菌床)を更に別の容器等に入れなければならないが、このような作業は手作業で行なわなければならない場合が多く、多大な労力、そして相当な時間を必要とするため、自動化が切望されている。 【0015】 また、特許文献2に記載の技術は、特定の波長の光を遮断するために、光不透過性部材を用いているが、菌床が小型で、かつ大量に存在する場合、当該菌床を光不透過性部材で覆うことは相当な労力を要する。さらに、一度覆った光透過性部材は、必要な時期がくれば剥がさなければならず、この時もまた相当な労力を要す。さらに、培地製造装置等も併せて開示されているが、かかる装置では、あらかじめ成型された菌床を製造することはできない。 【0016】 また、本発明者が先にした発明は、優れた菌床を製造できる方法であるが、菌床の製造や栽培の効率性、特に、横持ちに関する問題点は改善されておらず、かかる作業は、従来通り大変な労力と時間を要するので、先にした発明を更に改良して、より効率的にきのこ等を栽培できる方法や装置の開発等が要求されていた。 【0017】 この発明はかかる現状に鑑み、きのこの菌床栽培において、一つの菌床から一定の大きさで、かつ品質のよい子実体を確実に1個を発生させることのできるきのこの菌床栽培法と、かかるきのこを発生させるきのこ菌床の製造方法、ならびに前記製造方法に使用するための製造装置を提供せんとするものである。 【課題を解決するための手段】 【0018】 前記の課題を解決するため、この発明の請求項1に記載の発明は、 所要間隔で上下に配置される一対のプラスチック製の板状体間に、複数の細長形状の芯材を前記板状体の板面と直交する状態で配置し、板状体間に通気性を持たせてなる育成パネル部材上に、 あらかじめ所要形状で、かつ一定の厚さの板状に賦形された小型の成型菌床を載置して栽培すること を特徴とするきのこの菌床栽培法である。 【0019】 また、この発明の請求項2に記載の発明は、 請求項1に記載のきのこの菌床栽培法において、 前記成型菌床は、 菌糸が蔓延した菌糸塊を細分化して粉状にした菌床素材を、上面の表面積が30〜70cm2 前後で、厚さが1.5〜3.5cm前後、質量が200g以下の板状のものであること を特徴とするものである。 【0020】 また、この発明の請求項3に記載の発明は、 請求項1に記載のきのこの菌床栽培法において、 前記育成パネル部材は、 プラスチック製の薄い板状体を、上下に所要間隔をおいて保持し、前記板状体と同一素材からなる、上下方向の幅が狭い複数の細長形状の芯材を、各端縁が対向する板状体の板面と直交する方向に間隔を存して配置固定し、上下の板状体間に通気性を保持させたものであること を特徴とするものである。 【0021】 また、この発明の請求項4に記載の発明は、 所要形状の孔を上下に貫通させて形成した複数の菌床成型部を有する固定型枠の下方に、上下一対の板状体間に通気性を保持せてなる育成パネル部材を近接配置し、 前記固定型枠の菌床成型部に、菌糸を蔓延させた菌糸塊を細分化した菌床素材をそれぞれ充填し、 各菌床成型部に充填された前記菌床素材を、上方から押圧して所要の厚みを有する板状に賦形したのち、 前記育成パネル部材を下降させるとともに、賦形された板状で小型の成形菌床を上方から押圧して育成パネル部材上に押出すこと を特徴とするきのこ菌床の製造方法である。 【0022】 さらに、この発明の請求項5に記載の発明は、 所要形状の孔を上下に貫通させて形成した複数の菌床成型部を有する固定型枠と、 前記菌床成型部とほぼ同一形状の押圧子を、各菌床成型部に対応させて垂設配置された、前記固定型枠上に上下動自在に配置される上部押し型と、 前記固定型枠の下方に上下動自在に配置される育成パネル部材とからなること を特徴とするきのこ菌床の製造装置である。 【0023】 また、この発明の請求項6に記載の発明は、 請求項5に記載のきのこ菌床の製造装置において、 前記育成パネル部材は、 上下一対の板状体間に通気性を保持させたもので、前記固定型枠の下方に配置され、エアシリンダによって上下動する板状の可動部材上に配置されていること を特徴とするものである。 【発明の効果】 【0024】 この発明に係るきのこの栽培方法によれば、所要の形状と厚みを有する板状で、かつ小型の成型菌床を、所要間隔で上下に配置される一対のプラスチック製の板状体間に、複数の細長形状の芯材を介在させてダンボール状に構成し、板状体間に通気性を持たせてなる育成パネル部材上に載置して行なうため、栽培時の環境管理を容易に、かつ確実に栽培を行なうことが可能となるので、良質で、品質のバラツキの少ないきのこを栽培することが可能となる。 【0025】 また、この発明のきのこ菌床の栽培方法は、上下一対の板状体間に通気性を持たせるためダンボール状に構成された育成パネル部材上に、所要の形状と厚みを有する板状で、かつ小型の成型菌床を自動的に並べて載置させ、この状態を維持しながらきのこ菌糸の培養と完熟化を行なうので、きのこ栽培がきわめて容易となる。さらに、成型菌床を載置した育成パネル部材を上下方向に積み重ねることによって、場所を占めることなく大量のきのこを栽培することが可能となる。また、栽培場所を移動させる、いわゆる横持ちの際の労力と時間も激減させることができる。 【0026】 さらに、この発明のきのこ菌床の製造装置は、所要形状の孔を上下に貫通させて形成した複数の菌床成型部を有する固定型枠と、前記菌床成型部とほぼ同一形状の押圧子を、各菌床成型部に対応させて垂設配置された、前記固定型枠上に上下動自在に配置される上部押し型と、前記固定型枠の下方に上下動自在に配置される育成パネル部材とからなるため、構成がきわめて簡単である。さらにまた、育成パネル部材上に所要の形状と厚みを有する板状で、かつ小型に成型された成型菌床を、菌床を自動的に載置することができるので、きのこ菌床の製造がきわめて容易なものとなる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0027】 以下、この発明にかかるきのこの菌床栽培法及びきのこ菌床の製造方法、並びにその製造装置について、添付の図面を参照しながら詳細に説明するが、この発明は図示した実施例にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を変更しない範囲内において種々変更を加えることが可能なものである。 【0028】 この発明において、きのこ菌床を形成する菌床素材は、以下の方法によって調整するものである。 【0029】 たとえば、広葉樹オガクズの木質原料に、市販のきのこ栽培用栄養源を、重量比で4:1〜3:1の割合で混合し、水分を60〜65%に調整した後、容量800ccのきのこ培養ビン(ポリプロピレン製)に約500g詰め込み、高圧殺菌する。 【0030】 ついで、きのこ種菌、より具体的にはシイタケ種菌を接種して温度23℃、湿度70〜80%、暗条件下で90日間培養すると、シイタケ菌糸が菌床表面に蔓延するので、これを菌床塊とする。 【0031】 かくして得られた菌床塊は、これを細分化して粉状として菌床素材とする。得た菌床素材は、子実体が1個形成するに適した重量及び/又は厚さに成型して小型の成型菌床とし、この成型菌床を用いて子実体を発生させるもので、具体的には、以下に詳述するような板状の複数の成型菌床に成型するものである。 【0032】 成形して細分化させた菌床素材の大きさは、きのこの種類、培地の材質、栄養源の種類と添加量などにより変化するものであるが、1個の、より正確には実質的に1個のきのこ子実体を生育させるためには、菌床素材を賦形して、上面の表面積が、少なくとも30〜70cm2 前後、厚さが1.5〜3.5cm前後で、質量は200g以下の板状のものとすることが好ましい。 【0033】 前記質量の決定は、あらかじめビンあるいは袋に充填した菌床培地で、たとえば、シイタケ菌を培養し、しかる後に菌床塊を掻き出して細分化し、子実体の発生を可能にする最小の培地重量を計算で求めることで行なうことができる。 また、成型菌床の形状は、方形、矩形あるいは円盤状などであってもよく、格段の制限はない。 【0034】 なお、小型で板状の成型菌床の成型には、後述するこの発明にかかるきのこ菌床の製造装置によって行なうものである。 【0035】 この小型で板状の成型菌床は、従来方法と同様に、保湿のためシートなどで被覆し、温度23℃で2〜3週間培養して完熟させることができる。その際、1個の子実体を、その表面、特に上面から、より確実に発生させるために、成型菌床における子実体形成面の外気との接触を、プラスチックフィルムやシートなどの非通気性材料で被覆することにより抑制し、また、子実体非形成面の外気との接触を、布や不織布などの通気性材料で被覆することにより促進することが好ましい。 【0036】 完熟した成型菌床からの子実体形成は、通常、湿度90%、照度500luxというようなの条件下に行われる。その際、子実体形成時に、整形菌床の4周と底面は、子実体の形成を阻害する材料、プラスチックフィルムやシート、あるいは木質板などで被覆し、子実体の発生を、その上面から発生することを確実にするのが好ましい。 【0037】 なお、1kg〜2kgの円柱状、あるいは2.5kgの直方体状の菌床を用いてシイタケを栽培した場合、子実体は、通常、菌床の側面から発生し、その発生個数は不確定である。しかしながら、この発明の方法によれば、子実体は、主として、板状の成型菌床の上面から1個発生させることができる。 【0038】 その際、菌床塊を再成形せず、最初から菌床を小型の平板状に形成し、この菌床に種菌を接種して培養すると、シイタケでは少なくとも40日以上の長期の培養基間を要することから、菌床上面の乾燥などに起因して、子実体の発生は極めて困難となる。 【0039】 この発明のきのこ菌床の製造装置1は、図1で明らかなように、所要の高さを有する方形の枠部材からなる基台2と、この基台2上に固定される固定型枠3と、この固定型枠3の下方に配置される上下動自在な板状の可動部材4と、前記固定型枠3の上方に配置される上下動自在な上部押し型5と、前記可動部材4上に取出し自在に載置される育成パネル部材6とから構成されるものであって、基本的に、小型でかつ全体が板状の成型菌床を製造するためのものである。 【0040】 前記固定型枠3は、約20〜40mm前後の厚みを有する金属製の方形の板状体、実施例では約20mmの板状体からなるもので、この板状体に、上下に貫通する直径が約80mmの透孔からなる菌床成型部31が、たとえば、縦横4個づつ計16個形成することによって、一度に16個の平板状で小型の成型菌床を製造することができるよう構成されている。 【0041】 前記可動部材4は、所要の厚みを有する方形で金属製の板状体からなるもので、基台2内の所要の高さに配置された基板9と、前記固定型枠3間に、基板9に装着した下方のエアシリンダ7によって上下動自在に配置されたものである。 【0042】 前記上部押し型5は、所要の厚みを有する方形の金属製の板状体からなるもので、その下面には、前記の固定型枠3に形成された透孔からなる菌床成型部31と相対する位置に、それぞれ菌床成型部31とほぼ同一の径と、固定型枠3の厚みよりも大きな厚みを有する押圧子51,51・・・を垂設したものである。 【0043】 この上部押し型5は、基台2に方形に配置された4本のガイドレール8,8の先端部に配置された基板9に設けられた上方のエアシリンダ7によって、上下動するよう構成されているものである。 なお、前記可動部材4及び上部押し型5は、いずれも前記ガイドレール8と係合し、ガイドレール8に沿って上下動するもので、各エアシリンダ7は、一台のエアコンプレッサ(実施例では圧力0.5Mpa)からのエアを分岐させ、それぞれの動力源としている。 【0044】 その際、エアコンプレッサからのエアを、フィルターレギュレータを介して分岐し、さらに両配管ともマニュアルバルブを介し、さらに、圧力調整弁、逆止弁、スピードコントローラーを設けているので、エアシリンダ7の押圧力および可動スピードを調節することが可能である。 また、この実施例では、マニュアルバルブによりエアシリンダ7,7にそれぞれ送られるエア供給を調節しているが、マニュアルバルブの代わりに、シーケンサーと電磁弁を用いれば、この発明にかかるきのこ菌床の製造装置1の操作を、より自動化することが可能となる。 【0045】 前記育成パネル部材6は、図4に示すように、ポリプロピレンもしくはポリカーボネイトなどのプラスチック製の薄い板状体61,61を上下に所要間隔をおいて保持し、前記板状体61,61と同一素材からなる、上下方向の幅が狭い複数の細長形状の芯材62,62・・・を、各端縁が対向する板状体61の板面と直交する方向に間隔を存して配置固定し、通気部Sを形成して上下の板状体61,61間に通気性を保持させたもので、その厚み(高さ)は約2.5mm程度である。なお、育成パネル部材6は金属製であってもよく、単なる板状体で構成してもよい。 【0046】 つぎに、この発明にかかるきのこ菌床の製造装置1を使用したきのこ菌床の製造方法を、図2を参照しながら説明する。 【0047】 まず、きのこ菌床の製造装置1の可動部材4上に育成パネル部材6を、固定型枠3と相対させて載置したのち、下方のエアシリンダ7を作動させ、育成パネル部材6と固定型枠3とが当接もしくは近接状態を保持するよう可動部材4を上昇させ、その状態を保持する。 【0048】 ついで、所定期間培養して菌糸が蔓延した菌糸塊を細分化し、粉状にした菌床素材Mを適宜手段によって、図2(a)に示すように固定型枠3上に供給したのち、図2(b)に示すように固定型枠3上に均一な厚みになるよう均すと、菌床素材Mが各菌床成型部31に送り込まれると同時に、固定型枠3上に一定の厚みを有する状態で菌床素材Mが存在する。 【0049】 この状態で、上方のエアシリンダ7を作動させ、図2(c)に示すように、押圧子51,51を一定の速度で下降させると、各押圧子51がそれぞれ菌床素材Mを菌床成型部31内に押し込むと同時に、菌床成型部31内に各押圧子51が入り込み、菌床素材Mを所定の硬さと厚みとなるよう押圧し、所望の形状と厚み、硬さを有する小型の成型菌床FMを成型する。 【0050】 なお、成型菌床FMの厚みおよび硬さは、基本的には、押圧子51の菌床成型部31内への送り込み量(ストローク)を調整することによって容易に達成させることができるが、一度の押圧操作のみだけでなく、数度にわたり押圧、徐圧を繰り返すことによっても可能である。さらに、エアシリンダ7のストローク長は、手動もしくはシーケンサーなどにより調節可能にしておくことが望ましい。 【0051】 かくして成型菌床FMの成型が終了すると、下方のエアシリンダ7を作動させ、可動部材4を所定の位置まで下げると同時に、上方のエアシリンダ7を下降させると、図2(d)に示すように、成型された小型の成型菌床FMが、各菌床成型部31から育成パネル部材6上に同時に押し出されて載置される。 【0052】 しかるのち、図2(e)に示すように、上方のエアシリンダ7を作動させて上部押し型5を上方に引き上げて元の位置に戻すとともに、下方のエアシリンダ7も下部の基板9まで下降させたのち、下部の基板9から適宜手段で育成パネル部材6を取出し、菌床完熟用の部屋など栽培のための場所に育成パネル部材6を搬送するものである。 【0053】 栽培あるいは搬送に際しては、図3に示すように、成型菌床FMを所要の間隔を存して載置した育成パネル部材6,6・・・を、上下方向に積み重ねることによって、より容易に培養室や完熟室への運搬が可能となるとともに、栽培に場所を占めることなく効率的に栽培を実施することができる。 【0054】 また、この発明のきのこの栽培方法は、小型で板状の成型菌床FMを、育成パネル部材6上に配置して栽培するに際し、育成パネル部材6が通気部Sを有しているので、冷気や暖気あるいは冷水を、この通気部Sに通過させることにより、成型菌床FMの温度を常に一定に保持することができる。 さらに、前記通気部S内に強制的に冷気や冷水を送り込むことによって、成型菌床FMに子実体を発生させるための温度刺激を与えることもできるなど、栽培のための温度管理を効率的に行なうことができる。 【0055】 前記の実施例において、各エアシリンダ7には、図示はしないが、安全弁を設け、設定した圧力以上の圧力が加わった場合、圧力が抜けて押圧力が加わらないように設定しておくと、安全性の高い装置にすることが可能で、かつ必要以上に菌床を押圧することを防ぐことが可能となる。 【0056】 また、上部のエアシリンダ7の最大ストローク長は、押圧子51が固定型枠3より下部に突き出ることがないように、下方のエアシリンダ7の最大ストローク長は、育成パネル部材6の表面が固定型枠3の裏面に当接することが必要である。 【0057】 さらに、固定型枠3は、実施例では、厚さ約20mmの金属製の方形板状体に、上下に貫通する直径が約80mmの透孔からなる菌床成型部31を、縦横4個づつ計16個形成することによって、一度に16個の平板状で小型の成型菌床を製造することができるよう構成しているが、菌床成型部31および対峙する押圧子51の形状には特段の制限はない。また、固定型枠3と上部押し型5は、所望の大きさの成型菌床を得るため、セットで基台2に対して取替え自在であることが好ましい。 【0058】 また、成型する小型の成型菌床FMは、1個の、より正確には実質的に1個のきのこ子実体を生育させるため、上面の表面積が、少なくとも30〜70cm2 前後、厚さが1.5〜3.5cm前後で、質量は200g以下の板状のものであることが好ましいので、使用する固定型枠3の厚みや、菌床成型部31の径は、上記条件を達成することのできるものとすることが好ましい。 【図面の簡単な説明】 【0059】 【図1】この発明にかかるきのこ菌床の製造装置の全体を示す概略説明図である。 【図2】図1に示す製造装置を使用したきのこ菌床の製造工程を示す説明図であって、(a)は培地素材を固定型枠上に供給した状態を、(b)は培地素材を均一に均した状態を、(c)は培地素材を押圧している状態を、(d)は育成パネル上に成型菌床を押し出した状態を、(e)は工程終了状態をそれぞれ示すものである。 【図3】この発明にかかるきのこ菌床の栽培方法の一例を表す斜視図である。 【図4】この発明かかるきのこ菌床の栽培方法に使用する育成パネルの一例を示す斜視図である。 【符号の説明】 【0060】 1 きのこ菌床の製造装置 2 基台 3 固定型枠 4 可動部材 5 上部押し型 6 育成パネル部材 7 エアシリンダ 8 ガイドレール 9 基板 M 培地素材 FM 成型菌床
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| 【出願人】 |
【識別番号】596111690 【氏名又は名称】財団法人日本きのこ研究所
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| 【出願日】 |
平成18年4月17日(2006.4.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100069903 【弁理士】 【氏名又は名称】幸田 全弘
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| 【公開番号】 |
特開2007−282560(P2007−282560A) |
| 【公開日】 |
平成19年11月1日(2007.11.1) |
| 【出願番号】 |
特願2006−112891(P2006−112891) |
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