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【発明の名称】 水田用水口
【発明者】 【氏名】堤 睦子

【要約】 【課題】浮遊するゴミや草の通過を阻止し、開閉可能であって水流量と圃場水深とを調節可能とし、洗掘への耐久強度も秀れ、しかも比較的小型、軽量であって土畦水口への設置や撤去も容易で、経済的にも秀れた新規な圃場用水口を提供する。

【解決手段】畦R巾以下の巾寸法とした底板部2と、圃場Fがわに向けた抱持状断面形であって、その開放部4の両端縁に呼び込み板部35,35を形成して鉛直状に立設された集水胴部3とからなり、該集水胴部3の下方寄りで側溝Gがわに面した位置に接続用スリーブ51付きの排水口5が穿設されると共に、呼び込み板部35,35の背面がわに土石装填空間部6,6が形成され、当該集水胴部3側溝Gがわ適宜高さ位置には水平翼部7が形成される一方、一対の呼び込み板部35,35の間に高さ加減自在となる排水調整部8が着脱自在に組み合わされてなる水田用水口である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
畦巾以下の巾寸法で畦方向に細長状となるようにした底板部と、平断面において該底板部側溝がわ側縁またはその近傍から同圃場がわ側縁に向けた抱持状断面形であって、その抱え込みがわに確保した開放部の両端縁には夫々呼び込み板部が同開放部内に一部突出状となるように形成された上、畦高さに応じた高さ寸法のものとして当該底板部から鉛直状に立設、一体化してなるものとした集水胴部とからなり、該集水胴部の下方寄りで側溝がわに面した位置か、あるいは当該底板部で集水胴部平面内に属する位置かの何れかには、接続用スリーブ付きとした排水口が穿設されると共に、前記呼び込み板部の背面がわとなる当該底板部上には夫々土石装填空間部が形成され、且つ当該集水胴部側溝がわ適宜高さ位置には水平翼部が形成されるようにする一方、一対の呼び込み板部の間の開放部の底板部からの高さ範囲部分、または底板部に用意した排水口の同底板部からの高さ範囲部分の何れかまたは双方には、高さ加減自在となる排水調整部が着脱自在に組み合わされてなるものとしたことを特徴とする水田用水口。
【請求項2】
畦巾以下の巾寸法で畦方向に細長状となるようにした底板部と、平断面において該底板部側溝がわ側縁またはその近傍から同圃場がわ側縁に向けた抱持状断面形であって、その抱え込みがわに確保した開放部の両端縁には夫々呼び込み板部が同開放部内に一部突出状となるように形成された上、畦高さに応じた高さ寸法のものとして当該底板部から鉛直状に立設、一体化してなるものとした集水胴部とからなり、該集水胴部の下方寄りで側溝がわに面した位置か、あるいは当該底板部で集水胴部平面内に属する位置かの何れかには、接続用スリーブ付きとした排水口が穿設されると共に、前記呼び込み板部の背面がわとなる当該底板部上には夫々土石装填空間部が形成され、且つ当該集水胴部側溝がわ適宜高さ位置には水平翼部が形成されるようにする一方、一対の呼び込み板部の間の開放部の底板部からの高さ範囲部分、または底板部に用意した排水口の同底板部からの高さ範囲部分の何れかまたは双方には、高さ加減自在となる排水調整部が着脱自在に組み合わされ、それら排水調整部の組み合わされた高さ範囲部分以下からの排水を阻止して圃場水位を任意に設定し得るものとなるようにしたことを特徴とする水田用水口。
【請求項3】
畦巾以下の巾寸法で畦方向に細長状となるようにした底板部と、平断面において該底板部側溝がわ側縁またはその近傍から同圃場がわ側縁に向けた概略矩形枠状をなす抱持状断面形であって、その抱え込みがわに確保した開放部の両端縁には夫々呼び込み板部が同開放部内に一部突出状となり、各呼び込み板部の底板部から上方の対峙縁内側の夫々にレール溝を形成した上、畦高さに応じた高さ寸法のものとして当該底板部から鉛直状に立設、一体化してなるものとした集水胴部とからなり、該集水胴部の下方寄りで側溝がわに面した位置か、あるいは当該底板部で集水胴部平面内に属する位置かの何れかには、接続用スリーブ付きとした排水口が穿設されると共に、前記呼び込み板部の背面がわとなる当該底板部上には夫々、畦方向外がわに向けて平断面コ字型あるいはU字型に開口する土石装填空間部が形成され、且つ当該集水胴部側溝がわ適宜高さ位置には水平翼部が形成されるようにする一方、一対の呼び込み板部の対峙レール溝間における開放部の底板部からの高さ範囲部分、または底板部に用意した排水口の同底板部からの高さ範囲部分の何れかまたは双方には、異なる上下寸法に設定され複数の中から適宜選択された1個の堰板あるいは筒体を上方抜き取り可能に挿し込み装着するものか、および/または上下適宜寸法毎に分割、形成された複数の堰板または筒体かの何れかを、上方抜き取り可能に積み上げ状、挿し込み装着されたものとし、高さ加減自在となる排水調整部が、組み合わされてなるものとしたことを特徴とする水田用水口。
【請求項4】
畦巾以下の巾寸法で畦方向に細長状となるようにした底板部と、平断面において該底板部側溝がわ側縁またはその近傍から同圃場がわ側縁に向けた概略矩形枠状をなす抱持状断面形であって、その抱え込みがわに確保した開放部の両端縁には夫々呼び込み板部が同開放部内に一部突出状となり、各呼び込み板部の底板部から上方の対峙縁内側に、該底板部から上方に開放する侵入土砂排除用の洗浄用鉛直筒型空間を奥部に伴う一対のレール溝を形成した上、畦高さに応じた高さ寸法のものとして当該底板部から鉛直状に立設、一体化してなるものとした集水胴部とからなり、該集水胴部の下方寄りで側溝がわに面した位置か、あるいは当該底板部で集水胴部平面内に属する位置かの何れかには、接続用スリーブ付きとした排水口が穿設されると共に、前記呼び込み板部の背面がわとなる当該底板部上には夫々、畦方向外がわに向けて平断面コ字型あるいはU字型に開口する土石装填空間部が形成され、且つ当該集水胴部側溝がわ適宜高さ位置には水平翼部が形成されるようにする一方、一対の呼び込み板部の対峙レール溝間における開放部の底板部からの高さ範囲部分には、上下適宜寸法毎に分割、形成された複数枚の堰板を、上方抜き取り可能に積み上げ状、挿し込み装着され、高さ加減自在となる排水調整部が、組み合わされてなるものとしたことを特徴とする水田用水口。
【請求項5】
畦巾以下の巾寸法で畦方向に細長状となるようにした底板部と、平断面において該底板部側溝がわ側縁またはその近傍から同圃場がわ側縁に向けた概略矩形枠状をなす抱持状断面形であって、その抱え込みがわに確保した開放部の両端縁には夫々呼び込み板部が同開放部内に一部突出状となり、各呼び込み板部の底板部から上方の対峙縁内側に、該底板部から上方に開放する侵入土砂排除用の洗浄用鉛直筒型空間を奥部に伴う一対のレール溝を形成した上、畦高さに応じた高さ寸法のものとして当該底板部から鉛直状に立設、一体化してなるものとした集水胴部とからなり、該集水胴部の下方寄りで側溝がわに面した位置か、あるいは当該底板部で集水胴部平面内に属する位置かの何れかには、接続用スリーブ付きとした排水口が穿設されると共に、前記呼び込み板部の背面がわとなる当該底板部上には夫々、畦方向外がわに向けて平断面コ字型あるいはU字型に開口する土石装填空間部が形成され、且つ当該集水胴部側溝がわ適宜高さ位置には水平翼部が形成されるようにする一方、一対の呼び込み板部の対峙レール溝間における開放部の底板部からの高さ範囲部分には、上下適宜寸法毎に分割、形成された複数枚の堰板を、上方抜き取り可能に積み上げ状、挿し込み装着され、高さ加減自在となる排水調整部が組み合わされ、左右土石装填空間部、左右呼び込み板部および各洗浄用鉛直筒型空間を奥部に伴う一対のレール溝、ならびに集水胴部を形成、区画する各縦壁面に囲まれた底板部左右適所の夫々に、定着用の杭を打ち込み可能とする杭打ち孔が上下貫通状に穿孔されてなるものとしたことを特徴とする水田用水口。
【請求項6】
畦巾以下の巾寸法で畦方向に細長状となるようにした底板部と、平断面において該底板部側溝がわ側縁またはその近傍から同圃場がわ側縁に向けた概略矩形枠状をなす抱持状断面形であって、その抱え込みがわに確保した開放部の両端縁には夫々呼び込み板部が同開放部内に一部突出状となり、各呼び込み板部の底板部から上方の対峙縁内側に、該底板部から上方に開放する侵入土砂排除用の洗浄用鉛直筒型空間を奥部に伴う一対のレール溝を形成した上、畦高さに応じた高さ寸法のものとして当該底板部から鉛直状に立設、一体化してなるものとした集水胴部とからなり、当該底板部の前端を呼び込み板部より前方に延伸させ定着用前端をなし、該集水胴部の下方寄りで側溝がわに面した位置か、あるいは当該底板部で集水胴部平面内に属する位置かの何れかには、接続用スリーブ付きとした排水口が穿設されると共に、前記呼び込み板部の背面がわとなる当該底板部上には夫々、畦方向外がわに向けて平断面コ字型あるいはU字型に開口する土石装填空間部が形成され、且つ当該集水胴部側溝がわ適宜高さ位置には水平翼部が形成されるようにする一方、一対の呼び込み板部の対峙レール溝間における開放部の底板部からの高さ範囲部分には、上下適宜寸法毎に分割、形成され、高さ加減自在となる複数枚の堰板を、上方抜き取り可能に積み上げ状、挿し込み装着されてなる排水調整部が組み合わされ、左右土石装填空間部、左右呼び込み板部および各洗浄用鉛直筒型空間を奥部に伴う一対のレール溝、ならびに集水胴部を形成、区画する各縦壁面に囲まれた底板部左右適所の夫々に、定着用の杭を打ち込み可能とする杭打ち孔が上下貫通状に穿孔されてなるものとしたことを特徴とする水田用水口。
【請求項7】
集水胴部が、その左右側面壁夫々の相対する上端の適所夫々に、夫々上向きに開口され、開放部から取り外した一枚または複数枚の堰板を、複数の場合には前後または上下に重ね合わせ、垂直あるいは水平姿勢、もしくは前後何れかに傾斜された姿勢の何れかに支持可能とするよう、横架状に収納可能とする縦断面U字状の収納用装着溝を形設されてなるものとした、前記請求項3ないし6何れか一項記載の水田用水口。
【請求項8】
畦巾以下の巾寸法に設定された平板状底板部と、平断面において該底板部側溝がわ側縁またはその近傍から同圃場がわ側縁に向けた円弧型抱持状断面形であって、その抱え込みがわに確保した開放部の両端縁には夫々呼び込み板部が同開放部内に一部突出状となるように形成された上、畦高さに応じた高さ寸法のものとして当該底板部から鉛直状に立設、一体化してなるものとした平断面、所定角度開放状円筒型の集水胴部とからなり、当該底板部で集水胴部平面内に属する位置には、接続用スリーブ付きとした排水口が穿設されると共に、前記呼び込み板部の背面がわとなる当該底板部上には夫々土石装填空間部が形成され、且つ当該集水胴部側溝がわ適宜高さ位置には水平翼部が形成されるようにする一方、底板部に用意した排水口の同底板部からの高さ範囲部分には、互いに異なる高さ寸法の複数個の筒体の中から、所望高さのものを一個選択して適宜組み合わせるか、または互いに組み合わせ可能な複数個の筒体を、所望の総高さ寸法に設定するよう組み合わせるかの何れかにより、高さ加減自在となる排水調整部が着脱自在に組み合わされてなるものとしたことを特徴とする水田用水口。
【請求項9】
設置対象の側溝内壁面に接合状に設置、固定される背面に一体化され、平断面において側溝下流がわに向けた抱持状断面形をなし、側溝下流側の抱え込みがわに確保した開放部の両端縁には夫々鉛直状の一対のレール溝が対峙状に設けられた上、側溝深さに応じた高さ寸法のものとした集水胴部と、該集水胴部下端開口に一体化されて閉鎖状とする底板部とを有し、当該背面の底板部近傍となる下側要所に、対象側溝壁面に開口された支流口に対応可能な排水口を穿設し、一対の対峙レール溝間における開放部の底板部から所定高さ範囲部分には、上下適宜寸法毎に分割、形成された複数枚の堰板を、上方抜き取り可能に積み上げ状、挿し込み装着され、高さ加減自在となる排水調整部が組み合わされ、当該集水胴部の背面とは反対がわとなる前面には、対象側溝の上流側から下流側に向け、該側溝底面または底板部の水深位置の何れか一方から流水面付近か、あるいはそれよりも上側に達するよう漸次上昇する傾斜面壁、ならびに該傾斜面壁の下側空間を閉塞する周面壁を有する、浮遊ゴミ排除用の傾斜誘導体が一体的に添設されてなるものとしたことを特徴とする水田用水口。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、圃場の灌水技術に関連するあらゆる分野をその技術分野とするものであり、水路や水田等に水口を施設する分野は勿論のこと、その製造および設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
水稲栽培における間断灌水等の水管理は、水田の上流側となる土畦の一部と、下流側土畦の一部とに水口を開口し、夫々の開閉操作ならびに水尻の水深調節等を適正に行う必要があり、従前までは、これらの水口に肥料袋に土を詰めた土嚢や比較的大きな石等の複数個を充填状に配置させ、隙間に泥を詰める等して水密状に閉鎖し、開放する際には手作業によって土嚢や石を取り除き、再度閉鎖する際には充填状に配置させ、それらの充填高さによって圃場の水深を調節するというのが一般的であった。
【0003】
このような従来型の灌水管理は、開閉操作の毎に比較的重量の嵩む土嚢や石等を持ち上げて移動させ、閉鎖の際には、土嚢同士や石同士および畦水尻との隙間に泥を詰める等の煩雑で負担の大きな作業が不可欠な上、適正な水深に調節するのにも、土嚢や石の配置を何度も換えて調整しなければならず、多大な時間と労力とを要しており、これら充填物の形状が一定でないため、水没部分における漏水の確認も難しく、頻繁に農圃を見回らなくてはならず、十分な時間を取れない兼業農家等にあっては正確な水管理をあきらめ、通勤前後という朝夕の限られた時間に僅かな修正を加える程度に留めざるを得ないという状況となっていた。
【0004】
さらに、土嚢や石による水口の閉鎖は、降雨等による増水に起因する給排水量の増加等によって水口との境や泥を詰めた隙間等が洗掘され、必要量を大幅に超える量の水が流入してしまい、さらに、その後の流失によって十分な灌水が行われなくなってしまうことがある外、前年の収穫後に土中に透き込んだ稲藁の一部や、除草された草等が水面に浮いて水尻に流れ、用水路に流出して下流側の水を汚すことがあり、また、同様に外部のゴミ等が用水路を通じて圃場に流入してしまい、苗を倒したり稲に傷を付ける等の弊害を生じることもあり、多くの改善点が残されていると云わざるを得ないものであった。
【0005】
(従来の技術)
そうした中にも、その打開策となるようなものとして、例えば特開平9−163879号公報「水田用給排水口」発明として提案されているもののように、周囲枠裏面側に縦・横リブを直交させるよう形成して十分に補強し、下部周面部の前縁から断面L字形の埋込み支持部を垂下させ、中央に開口した開口部の裏面左右に互いに向かい合う一対のガイド溝を形成し、畦に沿って縦に埋設されるゲート部材と、裏面側に縦・横リブを直交させるよう形成して十分に補強し、左右の側縁部を上記ガイド溝に対して昇降可能に、且つ密に嵌合させる堰板との合成樹脂製の二部材からなり、圃場の水口に埋設したゲート部材に対し、堰板を昇降操作することによって該堰板の下端とゲート部材下側枠部分との間に開口される流水口を通じて通水可能とし、堰板の開度によって流量を調節できるようにしたものや、特開2003−55947号公報「水田用給水ゲート」発明の、上端から下端に亘って空隙部が設けられたゲート本体に取水口を穿設し、前記空隙部に取水口を開閉するゲート板が昇降可能に挿通されると共に、取水口に網状体を設けたものとし、畦の水口に突き刺して利用可能として網状体がゴミや草等の浮遊物の通過を阻止できるようにしたものがある。
【0006】
また、特開平9−140279号公報「排水弁」発明に開示されたもののように、保護筒体の側壁の所定位置に排水口を設け、底壁に穿設された貫通孔と連通すると共に、該底壁上に伸縮可能な蛇腹部を有する排水筒を垂設し、該排水筒の上端から立ち上げた連結棒を保護筒体の上方に設けた係止部材に挿通して上下動可能に保持する一方、保護筒体の底壁下面に、垂直水路、第1水平水路、第2水平水路を備えた補助桝を接続したものとし、伸縮性を有する蛇腹部が、排水筒の高さ調節を可能とし、泥や浮きゴミ等が排水筒内に流入しても作動不能となることがなく、田面水位を所定の高さに設定することができ、しかも装置全体がコンパクトとなり、水田への設置、施工作業が簡単に行なえるようにしたもの、あるいは、用水路に面した水口にゴミや草などの浮遊物が侵入するのを防ぐようにする技術として、特開平9−74931号公報「用水路における水田用給水口の目詰まり防止装置」発明のように、給水口が開口する用水路の水路壁に沿って上流側から下流側に向けて該水路壁から漸次離れる様に配する侵入防護体と、この侵入防護体を水路壁に着脱可能に保持する掛止金具とからなり、用水路中を流下するゴミや草等の浮遊物が給水口に侵入しないよう下流側へと誘導する技術等が散見される。
【0007】
しかし、前者の「水田用給排水口」発明は、流水量の調節は可能であっても田面水深の調節ができない上、ゲート部材左右側端部と土畦水口との接合部分が洗掘に対して弱いことと、流水中に浮遊するゴミや草等を分離できないという欠点があり、二番目に示した「水田用給水ゲート」発明は、網状体が流水中の浮遊物を分離、除去できるものの、やはり水深の調節ができず、洗掘に対する設置強度も弱く、網状体にゴミが堰き止められた状態で水圧が高まると、網状体が破損したり、水田用給水ゲート自体が畦から離脱してしまう虞があり、水管理や降雨時など頻繁に確認しなければならないという欠点を拭いされないものであった。
【0008】
また、三番目に示した「排水弁」発明は、ゴム製等の蛇腹部を伸縮させるようにして圃場の水深を所望の水位に調節することが可能となるようにした上、保護筒体内に流入した泥やゴミ、草等を簡便に排除することができ、ゴミ類の堰き止めを防止して円滑な流水を可能としてはいるが、複数年に渡って利用することを考慮すると、伸縮性および水密性を要する部分にゴム製等の比較的柔軟な素材を用いる構造は耐久強度に不安を残すものであり、或程度の期間使用した後には、蛇腹部が劣化、破損してしまうことも予想され、どうしても頻繁なメンテナンスや交換等が不可欠となって経済的にも不利なものであると云わざるを得ない。
【0009】
さらに、後者の「用水路における水田用給水口の目詰まり防止装置」発明は、用水路に面した水口に設置し、用水路中に浮遊しているゴミや草等が水田に流入するのを防止するようにしているが、流入水量の調節や堰き止め等を行うことはできず、前述の「水田用給排水口」発明や「水田用給水ゲート」発明等のような水口を、圃場側の給水口に追加、設置しなければならないものとなっていた。
【特許文献1】(1)特開平9−163879号公報 (2)2003−55947号公報 (3)特開平9−140279号公報 (4)特開平9−74931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある「水田用給排水口」発明をはじめ、「水田用給水ゲート」発明や「排水弁」発明、「用水路における水田用給水口の目詰まり防止装置」発明など何れもが、流れくるゴミや草等の処理、洗掘に対する強度、水深調節、部材の耐久性能、機能維持のための管理などの点において、何らかの改善の余地が残されていて実用上で不安を残すものであった。
【0011】
(発明の目的)
そこで、この発明は、流水中を浮遊するゴミや草の通過を阻止し、開閉可能である上、水流量と圃場水深とを調節可能とし、洗掘への耐久強度にも秀れ、しかも比較的小型、軽量であって土畦水口への設置や撤去も容易に行うことができ、経済的にも秀れた新たな圃場用水口の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の水田用水口を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の水田用水口は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、畦巾以下の巾寸法で畦方向に細長状となるようにした底板部と、平断面において該底板部側溝がわ側縁またはその近傍から同圃場がわ側縁に向けた抱持状断面形であって、その抱え込みがわに確保した開放部の両端縁には夫々呼び込み板部が同開放部内に一部突出状となるように形成された上、畦高さに応じた高さ寸法のものとして当該底板部から鉛直状に立設、一体化してなるものとした集水胴部とからなり、該集水胴部の下方寄りで側溝がわに面した位置か、あるいは当該底板部で集水胴部平面内に属する位置かの何れかには、接続用スリーブ付きとした排水口が穿設されると共に、前記呼び込み板部の背面がわとなる当該底板部上には夫々土石装填空間部が形成され、且つ当該集水胴部側溝がわ適宜高さ位置には水平翼部が形成されるようにする一方、一対の呼び込み板部の間の開放部の底板部からの高さ範囲部分、または底板部に用意した排水口の同底板部からの高さ範囲部分の何れかまたは双方には、高さ加減自在となる排水調整部が着脱自在に組み合わされてなるものとした構成を要旨とする水田用水口である。
【0013】
この基本的な構成からなる水田用水口を換言すると、畦巾以下の巾寸法で畦方向に細長状となるようにした底板部と、平断面において該底板部側溝がわ側縁またはその近傍から同圃場がわ側縁に向けた抱持状断面形であって、その抱え込みがわに確保した開放部の両端縁には夫々呼び込み板部が同開放部内に一部突出状となるように形成された上、畦高さに応じた高さ寸法のものとして当該底板部から鉛直状に立設、一体化してなるものとした集水胴部とからなり、該集水胴部の下方寄りで側溝がわに面した位置か、あるいは当該底板部で集水胴部平面内に属する位置かの何れかには、接続用スリーブ付きとした排水口が穿設されると共に、前記呼び込み板部の背面がわとなる当該底板部上には夫々土石装填空間部が形成され、且つ当該集水胴部側溝がわ適宜高さ位置には水平翼部が形成されるようにする一方、一対の呼び込み板部の間の開放部の底板部からの高さ範囲部分、または底板部に用意した排水口の同底板部からの高さ範囲部分の何れかまたは双方には、高さ加減自在となる排水調整部が着脱自在に組み合わされ、それら排水調整部の組み合わされた高さ範囲部分以下からの排水を阻止して圃場水位を任意に設定し得るものとなるようにした構成からなる水田用水口となる。
【0014】
より具体的には、畦巾以下の巾寸法で畦方向に細長状となるようにした底板部と、平断面において該底板部側溝がわ側縁またはその近傍から同圃場がわ側縁に向けた概略矩形枠状をなす抱持状断面形であって、その抱え込みがわに確保した開放部の両端縁には夫々呼び込み板部が同開放部内に一部突出状となり、各呼び込み板部の底板部から上方の対峙縁内側の夫々にレール溝を形成した上、畦高さに応じた高さ寸法のものとして当該底板部から鉛直状に立設、一体化してなるものとした集水胴部とからなり、該集水胴部の下方寄りで側溝がわに面した位置か、あるいは当該底板部で集水胴部平面内に属する位置かの何れかには、接続用スリーブ付きとした排水口が穿設されると共に、前記呼び込み板部の背面がわとなる当該底板部上には夫々、畦方向外がわに向けて平断面コ字型あるいはU字型に開口する土石装填空間部が形成され、且つ当該集水胴部側溝がわ適宜高さ位置には水平翼部が形成されるようにする一方、一対の呼び込み板部の対峙レール溝間における開放部の底板部からの高さ範囲部分、または底板部に用意した排水口の同底板部からの高さ範囲部分の何れかまたは双方には、異なる上下寸法に設定され複数の中から適宜選択された1個の堰板あるいは筒体を上方抜き取り可能に挿し込み装着するものか、および/または上下適宜寸法毎に分割、形成された複数の堰板または筒体かの何れかを、上方抜き取り可能に積み上げ状、挿し込み装着されたものとし、高さ加減自在となる排水調整部が、組み合わされてなるものとした水田用水口となる。
【0015】
さらに具体的なものとして示すと、畦巾以下の巾寸法で畦方向に細長状となるようにした底板部と、平断面において該底板部側溝がわ側縁またはその近傍から同圃場がわ側縁に向けた概略矩形枠状をなす抱持状断面形であって、その抱え込みがわに確保した開放部の両端縁には夫々呼び込み板部が同開放部内に一部突出状となり、各呼び込み板部の底板部から上方の対峙縁内側に、該底板部から上方に開放する侵入土砂排除用の洗浄用鉛直筒型空間を奥部に伴う一対のレール溝を形成した上、畦高さに応じた高さ寸法のものとして当該底板部から鉛直状に立設、一体化してなるものとした集水胴部とからなり、該集水胴部の下方寄りで側溝がわに面した位置か、あるいは当該底板部で集水胴部平面内に属する位置かの何れかには、接続用スリーブ付きとした排水口が穿設されると共に、前記呼び込み板部の背面がわとなる当該底板部上には夫々、畦方向外がわに向けて平断面コ字型あるいはU字型に開口する土石装填空間部が形成され、且つ当該集水胴部側溝がわ適宜高さ位置には水平翼部が形成されるようにする一方、一対の呼び込み板部の対峙レール溝間における開放部の底板部からの高さ範囲部分には、上下適宜寸法毎に分割、形成された複数枚の堰板を、上方抜き取り可能に積み上げ状、挿し込み装着され、高さ加減自在となる排水調整部が、組み合わされてなるものとした水田用水口となる。
【0016】
同様に、畦巾以下の巾寸法で畦方向に細長状となるようにした底板部と、平断面において該底板部側溝がわ側縁またはその近傍から同圃場がわ側縁に向けた概略矩形枠状をなす抱持状断面形であって、その抱え込みがわに確保した開放部の両端縁には夫々呼び込み板部が同開放部内に一部突出状となり、各呼び込み板部の底板部から上方の対峙縁内側に、該底板部から上方に開放する侵入土砂排除用の洗浄用鉛直筒型空間を奥部に伴う一対のレール溝を形成した上、畦高さに応じた高さ寸法のものとして当該底板部から鉛直状に立設、一体化してなるものとした集水胴部とからなり、該集水胴部の下方寄りで側溝がわに面した位置か、あるいは当該底板部で集水胴部平面内に属する位置かの何れかには、接続用スリーブ付きとした排水口が穿設されると共に、前記呼び込み板部の背面がわとなる当該底板部上には夫々、畦方向外がわに向けて平断面コ字型あるいはU字型に開口する土石装填空間部が形成され、且つ当該集水胴部側溝がわ適宜高さ位置には水平翼部が形成されるようにする一方、一対の呼び込み板部の対峙レール溝間における開放部の底板部からの高さ範囲部分には、上下適宜寸法毎に分割、形成された複数枚の堰板を、上方抜き取り可能に積み上げ状、挿し込み装着され、高さ加減自在となる排水調整部が組み合わされ、左右土石装填空間部、左右呼び込み板部および各洗浄用鉛直筒型空間を奥部に伴う一対のレール溝、ならびに集水胴部を形成、区画する各縦壁面に囲まれた底板部左右適所の夫々に、定着用の杭を打ち込み可能とする杭打ち孔が上下貫通状に穿孔されてなるものとした水田用水口ということができる。
【0017】
また、畦巾以下の巾寸法で畦方向に細長状となるようにした底板部と、平断面において該底板部側溝がわ側縁またはその近傍から同圃場がわ側縁に向けた概略矩形枠状をなす抱持状断面形であって、その抱え込みがわに確保した開放部の両端縁には夫々呼び込み板部が同開放部内に一部突出状となり、各呼び込み板部の底板部から上方の対峙縁内側に、該底板部から上方に開放する侵入土砂排除用の洗浄用鉛直筒型空間を奥部に伴う一対のレール溝を形成した上、畦高さに応じた高さ寸法のものとして当該底板部から鉛直状に立設、一体化してなるものとした集水胴部とからなり、当該底板部の前端を呼び込み板部より前方に延伸させ定着用前端をなし、該集水胴部の下方寄りで側溝がわに面した位置か、あるいは当該底板部で集水胴部平面内に属する位置かの何れかには、接続用スリーブ付きとした排水口が穿設されると共に、前記呼び込み板部の背面がわとなる当該底板部上には夫々、畦方向外がわに向けて平断面コ字型あるいはU字型に開口する土石装填空間部が形成され、且つ当該集水胴部側溝がわ適宜高さ位置には水平翼部が形成されるようにする一方、一対の呼び込み板部の対峙レール溝間における開放部の底板部からの高さ範囲部分には、上下適宜寸法毎に分割、形成され、高さ加減自在となる複数枚の堰板を、上方抜き取り可能に積み上げ状、挿し込み装着されてなる排水調整部が組み合わされ、左右土石装填空間部、左右呼び込み板部および各洗浄用鉛直筒型空間を奥部に伴う一対のレール溝、ならびに集水胴部を形成、区画する各縦壁面に囲まれた底板部左右適所の夫々に、定着用の杭を打ち込み可能とする杭打ち孔が上下貫通状に穿孔されてなるものとした水田用水口とすることができる。
【0018】
この発明の基本的な構成からなる水田用水口を、表現を変えて示すならば、畦巾以下の巾寸法に設定された平板状底板部と、平断面において該底板部側溝がわ側縁またはその近傍から同圃場がわ側縁に向けた円弧型抱持状断面形であって、その抱え込みがわに確保した開放部の両端縁には夫々呼び込み板部が同開放部内に一部突出状となるように形成された上、畦高さに応じた高さ寸法のものとして当該底板部から鉛直状に立設、一体化してなるものとした平断面、所定角度開放状円筒型の集水胴部とからなり、当該底板部で集水胴部平面内に属する位置には、接続用スリーブ付きとした排水口が穿設されると共に、前記呼び込み板部の背面がわとなる当該底板部上には夫々土石装填空間部が形成され、且つ当該集水胴部側溝がわ適宜高さ位置には水平翼部が形成されるようにする一方、底板部に用意した排水口の同底板部からの高さ範囲部分には、互いに異なる高さ寸法の複数個の筒体の中から、所望高さのものを一個選択して適宜組み合わせるか、または互いに組み合わせ可能な複数個の筒体を、所望の総高さ寸法に設定するよう組み合わせるかの何れかにより、高さ加減自在となる排水調整部が着脱自在に組み合わされてなる構成とした水田用水口といえる。
【0019】
(関連する発明1)
上記した、水田用水口に関連し、この発明には、それの基本的構成を有し、側溝流水中に設置可能とするものも包含している。
即ち、設置対象の側溝内壁面に接合状に設置、固定される背面に一体化され、平断面において側溝下流がわに向けた抱持状断面形をなし、側溝下流側の抱え込みがわに確保した開放部の両端縁には夫々鉛直状の一対のレール溝が対峙状に設けられた上、側溝深さに応じた高さ寸法のものとした集水胴部と、該集水胴部下端開口に一体化されて閉鎖状とする底板部とを有し、当該背面の底板部近傍となる下側要所に、対象側溝壁面に開口された支流口に対応可能な排水口を穿設し、一対の対峙レール溝間における開放部の底板部から所定高さ範囲部分には、上下適宜寸法毎に分割、形成された複数枚の堰板を、上方抜き取り可能に積み上げ状、挿し込み装着され、高さ加減自在となる排水調整部が組み合わされ、当該集水胴部の背面とは反対がわとなる前面には、対象側溝の上流側から下流側に向け、該側溝底面または底板部の水深位置の何れか一方から流水面付近か、あるいはそれよりも上側に達するよう漸次上昇する傾斜面壁、ならびに該傾斜面壁の下側空間を閉塞する周面壁を有する、浮遊ゴミ排除用の傾斜誘導体が一体的に添設されてなる構成とした水田用水口である。
【発明の効果】
【0020】
以上のとおり、この発明の水田用水口によれば、圃場の設置対象となる畦巾内に、集水胴部の開放部を圃場側に面し、開放部に臨む底板部前部を圃場所定深さの地中に配するよう埋設すると共に、接続用スリーブ付きとした排水口に側溝に繋がる排水管を接続するようにして簡単に設置することができ、しかも開放部両端縁の夫々に形成された呼び込み板部が畦との接続部の洗掘を防止して円滑な集水を可能とし、各呼び込み板部の背面側となる底板部上に形成された土石装填空間部に土石類を充填し、集水胴部側溝がわの水平翼部を畦中に埋設状として土畦中への定着力を高めることができる上、排水調整部の高さ加減を調節することによって圃場の水位を任意且つ自在に設定することができ、さらに、開放部の開閉操作をも実現可能とすることができ、土中からの撤去や運搬する際には、当該水平翼部がハンドルの役割を果たして作業効率を高めることができるという秀れた特徴を発揮するものである。
【0021】
排水調整部を、一対の呼び込み板部の対峙レール溝間における開放部の底板部からの高さ範囲部分に、互いに異なる高さ寸法の複数枚の堰板から所望高さのものを一個選択して適宜組み合わせるか、または上下適宜寸法毎に分割、形成された複数枚の堰板を、上方抜き取り可能に積み上げ状、挿し込み装着されるようにしたものでは、堰板を抜き挿したり、交換する等の操作によって任意の水深に設定することができ、設定水位を超えた水量分が、最上位の堰板上端を超えて溢れ出るよう排水され、圃場水中に浮遊する大部分のゴミや草等を堰き止め状とするものとなり、さらに、集水胴部の下方寄りで側溝がわに面した位置に排水口を設けたものの場合には、最上位の堰板を乗り越えたゴミ類が、集水胴部内の底板部上に滞留され、側溝への流出を、確実に防止できるものとなるという特徴を発揮することになる。
【0022】
また、排水調整部を、底板部に用意した排水口の同底板部からの高さ範囲部分に、互いに異なる高さ寸法の複数個の筒体の中から所望高さのものを一個選択して適宜組み合わせるか、または互いに組み合わせ可能な複数個の筒体を所望の総高さ寸法に設定するよう組み合わせるかの何れかにより、高さ加減自在となるよう着脱自在に組み合わされてなるものでは、装着した筒体の高さ寸法によって圃場の水位を管理することが可能となり、筒体の全周上端縁によって水中に浮遊するゴミや草類を堰き止めることができ、ゴミ類の流出を防止できるものとなる上、集水胴部を開放部が形成された円筒型のものとした場合には、筐体状の集水胴部に比較し、より簡素な構造のものとすることができて一段と小型、軽量化を進めることができるという利点があり、また、開放部左右のレール溝の奥部夫々に洗浄用鉛直筒型空間を形成したものでは、堰板の抜き挿し操作を繰り返した際に、レール溝に土砂類やゴミ類が詰まって完全な閉鎖ができなくなった場合にも、各洗浄用鉛直筒型空間を利用して各レール溝内の詰まりを除去、水洗いし、簡便且つ短時間の中に圃場の水位を損ねることなく隙間のない閉鎖状態に復旧ができるという効果が得られる。
【0023】
底板部左右適所の夫々に、杭打ち孔を上下貫通状に穿孔するようにしたものでは、定着用の杭を打ち込みが可能となり、より安定的な設置を実現できるものとすることができ、また、底板部の前端を呼び込み板部より前方に延伸させ定着用前端を形成したものでは、該定着用前端を含む底板部を、圃場地面より掘り下げた位置に埋設することによって水田用水口の定着力を高め、洗掘による前倒や離脱を確実に防止できるものになるという利点があり、集水胴部の左右側面壁夫々の相対する上端の適所夫々に、夫々縦断面U字状に上向き開口された収納用装着溝が形成されるようにしたものでは、開放部から取り外した一枚または複数枚の堰板を、複数の場合には前後または上下に重ね合わせ、垂直あるいは水平姿勢もしくは前後何れかに傾斜させた姿勢の何れかに支持可能とするよう横架状に収納可能となり、取り外した堰板の紛失を防止し、水深調節の度毎に調節用の複数枚の堰板を持ち運ぶ必要をなくし、圃場の水管理を効率的に行えるようにできるという効果を奏するものとなる。
【0024】
さらにまた、設置対象の側溝内壁面に接合状に設置、固定される背面壁下側要所に、側溝壁面に開口した支流口に対応可能な排水口を穿設し、側溝下流がわに開放部を形成した抱持状断面形であって、開放部両端縁のレール溝間に、上下適宜寸法毎に分割、形成した複数枚の堰板を、上方抜き取り可能に積み上げ状、挿し込み装着され、高さ加減自在となる排水調整部が組み合わされた集水胴部を設け、当該集水胴部の背面壁とは反対がわとなる前壁面には、対象側溝の上流側から下流側に向け、該側溝底面または集水胴部下端の何れか一方から流水面付近か、あるいはそれよりも上側に達するよう漸次上昇する傾斜面壁、ならびに該傾斜面壁の下側空間を閉塞する周面壁を有する傾斜誘導体が添設されてなるものでは、側溝の上流がわからゴミや稲藁、草等の浮遊物を含んで流れ下る用水を、当該傾斜誘導体の上面に沿って上向きに誘導して堰き止め状にすると共に、集水胴部開放部から離れる方向に向わせ、そのまま下流側に流れ去るように誘導し、開放部から集水胴部中に流れ込む水を清浄に保つことが可能となり、しかも排水調整部を適宜操作するようにして排水口を通じて圃場等へ供給される水量を適正に調節できると共に、開閉操作することができ、清浄な用水の流量を正確に管理することができるようになるという秀れた効果を発揮するものとなり、しかも当該傾斜面壁の下側空間を周面壁によって閉塞するようにしたものでは、不要な乱流等の発生を低減して水流を安定的に管理することができるという利点が得られるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
底板部は、その上面に集水胴部を立設状に一体化支持可能とし、該集水胴部諸共に土畦中に埋設状に設置可能として安定的に定着可能とするという機能を果たすものであり、集水胴部を立設するに十分な面積および厚みを有し、水中や土砂中に設置された場合にも高い耐腐食性や耐久強度を有するものとしなければならず、運搬や設置、撤去作業が容易な程度に十分に小型、計量化されたものとすべきであり、塩化ビニール、ABS、ポリカーボネート、ポリプロピレン等の各種合成樹脂製、またはGFRP、CFRP等のファイバー樹脂製あるいはそれらの複合樹脂製、もしくはアルミニウム、ステンレス鋼、各種鍍金鋼等の金属製等とすることができ、また、合成樹脂と金属との複合素材製とすること等も可能であり、また、後述する実施例にも示すように、左右各呼び込み板部および開放部の直下付近となる圃場地面を洗掘から保護して水田用水口の前倒を阻止できるよう、その前端を左右呼び込み板部および開放部よりも前方に延伸形成し、定着用前端としたものにすることができ、さらに、定着用の杭を打ち込み可能とする杭打ち孔を、集水胴部に囲まれた集水範囲以外の適所に穿孔したものとすることが可能である。
【0026】
集水胴部は、土畦またはコンクリート製畦あるいは側溝等の巾寸法内の適所に排水口を設定可能とし、該排水口の周囲所定範囲を周囲の土砂やコンクリート壁等から隔離し、同排水口に臨む排水調整部を設置可能とする機能を果たすものであり、平断面において底板部側溝がわ側縁またはその近傍から同圃場がわ側縁に向けた抱持状断面形に形成され、その抱え込みがわに開放部を形成し、同開放部両端縁夫々に呼び込み板部を同開放部内に一部突出状となるように形成したものとすべきであり、背後の土砂を堰留め支持可能とする程度の十分な強度を有し、設置箇所の畦高さと略同等程度か、あるいはそれよりも僅かに高い高さ寸法に設定されたものとするのが望ましく、前記底板部と同様、水中や土砂中に設置されたときにも高い耐腐食性や耐久強度を有するものとし、運搬や設置、撤去作業が容易な程度に十分に小型、計量化されたものとすべきであり、塩化ビニール、ABS、ポリカーボネート、ポリプロピレン等の各種合成樹脂製、またはGFRP、CFRP等のファイバー樹脂製あるいはそれらの複合樹脂製、もしくはアルミニウム、ステンレス鋼、各種鍍金鋼等の金属製等とすることができ、また合成樹脂と金属との複合素材製とすること等も可能である。
【0027】
開放部は、外側の用水をその左右開口端間を通じて集水胴部内底板部上に誘導し、排水口を通じて排水可能とし、または排水口を通じて集水胴部内底板部上に流入した用水を、その左右開口端間を通じて外部に排出可能とし、各左右端縁の夫々に呼び込み板部を形成可能とする機能を果たすものであり、集水胴部の所定範囲に底板部から上方に開放されたものとしなければならず、呼び込み板部が同開放部内に一部突出状となるように形成されたものとすべきであり、適宜排水調整部を設けたものとすることができる。
【0028】
呼び込み板部は、開放部の両端縁の夫々を洗掘から保護すると共に、用水を集水胴部内に案内する機能を果たすものであり、開放部内に一部突出状となるよう形成されたものとしなければならず、後述する実施例にも示すように、背後に土石装填空間部を形成したものとすべきであり、集水胴部内側に排水調整部装着用のレール溝を形成したものとすることができ、集水胴部内に流入しようとする用水の流れを妨げない程度に平滑面状に形成されたものとすべきであり、より具体的には鉛直状平板や平断面円弧状板などからなるものとすることが可能である。
【0029】
レール溝は、集水胴部開放部の両端縁夫々に形成された各呼び込み板部間に排水調整部を形成可能とし、実質的に堰板の左右端縁を上下方向に摺動装着および離脱可能とするよう案内、支持可能とすると共に、装着された堰板両端縁との間に用水を十分に堰き止めできる程度の閉鎖状態を確保可能とする機能を果たし、左右呼び込み板部の夫々に対峙状に形成されたものとし、十分な強度をもって堰板を支持可能とするものとしなければならず、上端部分が堰板の装着を容易にするようレール溝巾を拡開させたものとするのが望ましく、後述する実施例にも示すように、各レール溝奥側の夫々に洗浄用鉛直筒型空間を形成したものとすることができる。
【0030】
洗浄用鉛直筒型空間は、レール溝に浸入してしまった土砂やゴミ、草、稲藁等の異物を簡便に除去、洗浄可能とするよう、レール溝の上下間に渡って洗浄操作空間および異物類の排除用空間を確保するという機能を果たすものであり、レール溝の奥部をそれよりも広い空間内に開放状とし、レール溝に浸入した土砂類等の異物を円滑に排除可能とするものとしなければならず、レール溝の奥部と集水胴部上端にのみ開口し、それ以外の周壁面からは土砂等の異物が一切浸入しないよう包囲された空間からなるものとすべきであり、上端開口からの異物の浸入を防止し、洗浄作業のときのみ開閉する上蓋を設けたものとすることができる。
【0031】
収納用装着溝は、対峙するレール溝間から取り外した堰板の1枚または複数枚を集水胴部の上側適所に一時的に収納可能とし、必要に応じて簡便に取り出してレール溝間に装着可能とするという機能を果たし、集水胴部内への用水の円滑な流入や排水を妨げずに堰板の収納および取り出しが可能な構造としなければならず、集水胴部の上端に開放されて堰板を簡単に収納、取り出しできるものとすべきであり、集水胴部の左右側面壁夫々の相対する上端適所に夫々上向きに開口するようにし、開放部から取り外した一枚または複数枚の堰板を、複数の場合には前後または上下に重ね合わせ、垂直あるいは水平姿勢もしくは前後何れかに傾斜させた姿勢の何れかに支持可能とするよう、横架状に収納可能とする縦断面U字状に形成されたものとすることができ、装着した堰板の両端部を固定できるバンドや開閉鉤等の仮固定機構を設けたものとすることが可能である。
【0032】
排水口は、圃場または側溝等から集水胴部内に流入した用水を側溝あるいは圃場等に円滑に排出するか、もしくは、圃場または側溝等から流入した用水を集水胴部を通じて側溝あるいは圃場などに向けて放出可能とするかの何れかを可能とすると共に、畦中に埋設された配管に接続可能な接続用スリーブを集水胴部または底板部の何れかに一体形成するという機能を果たし、集水胴部の下方寄りで側溝あるいは圃場がわに面した位置か、あるいは当該底板部で集水胴部平面内に属する位置かの何れかに配され、十分な排水量を確保できる形状、寸法に設定されたものとしなければならず、後述する実施例に示すように、底板部より僅か上方の集水胴部適所に配置され、当該排水口下側に底板部、集水胴部および堰板によって包囲された滞留空間を確保し、堰板を超えて集水胴部内に流入したゴミや草類を堰き止め状とすることができるようにしたものとすることができる。
【0033】
接続用スリーブ付は、畦中に埋設されて側溝と圃場とを通水可能とする配管を排水口に対して簡便に接続可能とする機能を果たすものであり、より具体的には、塩化ビニール管、コンクリート管またはその保管のフレキシブルパイプや金属製管等に比較的容易に接続できる内外径に設定されたものとすべきであり、必要に応じて着脱可能とするネジ機構や嵌着機構を有するもの、および/またはパッキンやコーキングを利用可能としたもの等とすることができる。
【0034】
土石装填空間部は、集水胴部の側溝側と圃場側との間にあって土畦中に埋設可能となる左右側部の夫々に、周囲土畦の土石類を充填状として、当該水田用水口の埋設状態における定着力を強化可能とする機能を果たすものであり、集水胴部開放部の左右に配された呼び込み板部夫々の背後側に、左右外側に向けて平断面U字型またはコ字型に開放したものとすべきであり、後述する実施例にも示すように、平断面形状を左右外側に向けて拡開状に形成したものとすることができる。
【0035】
水平翼部は、当該水田用水口の運搬や取扱いの際に把手部分となり、土畦中に埋設されたときには、埋め立て土石中に配されて定着力を高める機能を果たすものであり、集水胴部外周壁の比較的上側となる適所に十分な強度を有して一体化されたものとしなければならず、後述する実施例のように、水平板状に形成されたものとするのが望ましい。
【0036】
排水調整部は、一対の呼び込み板部間の開放部の底板部から排水下限水位、または底板部に用意した排水口の同底板部からの排水下限水位の何れかまたは双方を、加減自在として圃場の水深を任意の水位に調節、設定可能とすると共に、用水の流出または流入を停止あるいは排水口の通水を全開状態に制御可能とする機能を果たし、より具体的には、後述する実施例にもあるように、左右呼び込み板部間に、適宜上下寸法毎に分割された複数枚の堰板を着脱可能に装着して底板部上面から左右呼び込み板部間、開放部の所望水深高さ位置までを閉鎖可能とし、必要に応じて堰板を着脱、交換操作して設定水深の変更を可能としたもの、または、底板部に開口された排水口に、水深設定用の筒体を着脱、交換可能に立設し、あるいは、互いに接続可能な複数の筒体を、所望の水深に合致する高さ寸法に組み合わせ、この組み合わせ筒体を、底板部の排水口に対して立設状に接続してなるもの等とすることができる。
【0037】
堰板は、開放部を挟み配された左右呼び込み板部間に着脱自在に配されて底板部上の所望の水深位置まで用水を堰き止め可能とし、その設定水深を超えた分を排水口に向けて自動的に排出可能とするか、または、排水口を通じて流入した用水の設定水深を超えた分を外側に向けて自動的に排水可能とするかの何れか一方の機能を果たすものであり、十分な対水圧強度を有するものとしなければならず、対峙するレール溝間に上下摺動自在、且つ確りと嵌合状態を維持できる形状、寸法に設定されたものとすべきであり、複数枚に分割されたものの場合には、上下端同士の接合部分が、圃場水深の設定水位を長時間に渡って保持できる程度に十分な水密性を確保可能なものとし、装着状態における上端縁が水平状の姿勢に保たれるように設定されたものとするのが望ましい。
【0038】
筒体は、低板部に開口された排水口に着脱自在に配されて底板部上の所望の水深位置まで用水を堰き止め可能とし、その設定水深を超えた分を排水口に向けて自動的に排出可能とするか、または、排水口を通じて流入した用水の設定水深を超えた分を外側に向けて自動的に排水可能とするかの何れか一方の機能を果たし、十分な水圧強度を有するものとしなければならず、排水口に対して確りと嵌合、立設できる形状、寸法に設定され、適宜水深毎に高さの異なる複数の筒体を準備し、何れか一つを選択して排水口に接続するものとすることができる外、複数の筒体同士を適宜接続して、設置高さを自在に変更できるものとし排水口に接続可能としたものとすることができ、各接続部分が、圃場水深の設定水位を長時間に渡って保持できる程度に十分な水密性を確保可能なものとし、装着状態における上端縁が水平状の姿勢に保たれるように設定されたものとするのが望ましい。
【0039】
傾斜誘導体は、集水胴部を側溝の流水中に設置した場合に、下流側に向けられた開放部に用水中に浮遊するゴミや草、稲藁等が接近、流入しないよう迂回させ、該開放部よりも下流側に円滑に誘導可能とする機能を果たすものであり、側溝上流から流れ下る用水を集水胴部の上流側から下流側に相当する範囲において側溝底面から次第に上方に向けて誘導し、浮遊ゴミ類を用水諸共上昇させ、あるいは集水胴部の開放部から遠ざける向きに誘導し、ゴミや草類が集水胴部内に流入しないように整流するものとしなければならず、より具体的には、後述する実施例にも示すように、集水胴部の背面壁とは反対がわとなる前壁面に対象側溝の上流側から下流側に向け、該側溝底面または底板部の何れか一方から流水面付近か、あるいはそれよりも上側に達するよう漸次上昇する傾斜面壁、ならびに該傾斜面壁の下側空間を閉塞する周面壁を有するものとすることができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する幾つかの実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【実施例1】
【0040】
図1の水田用水口の斜視図、図2の堰板を取り外した水田用水口の斜視図、図3の背面側から観た水田用水口の斜視図、図4の設置利用される水田用水口の縦断面図、および図5の設置状態にある水田用水口の平面図に示される事例は、畦R巾以下の巾寸法で畦R方向に細長状となるようにした底板部2と、平断面において該底板部2側溝Gがわ側縁またはその近傍から同圃場Fがわ側縁に向けた抱持状断面形であって、その抱え込みがわに確保した開放部4の両端縁には夫々呼び込み板部35,35が同開放部4内に一部突出状となるように形成された上、畦R高さに応じた高さ寸法のものとして当該底板部2から鉛直状に立設、一体化してなるものとした集水胴部3とからなり、該集水胴部3の下方寄りで側溝Gがわに面した位置には、接続用スリーブ51付きとした排水口5が穿設されると共に、前記呼び込み板部35,35の背面がわとなる当該底板部2上には夫々土石装填空間部6,6が形成され、且つ当該集水胴部3側溝Gがわ適宜高さ位置には水平翼部7が形成されるようにする一方、一対の呼び込み板部35,35の間の開放部4の底板部2からの高さ範囲部分には、高さ加減自在となる排水調整部8が着脱自在に組み合わされてなる、この発明の水田用水口における代表的な一実施例を示すものである。
【0041】
当該水田用水口1は、図2および図3中に示すように、矩形平板状の底板部2と、該底板部2上に前面および天面が開口されてなる概略筐体状に立設された集水胴部3とを有し、その全体が塩化ビニール板および塩化ビニール管から形成されており、底板部2および集水胴部3の背面壁31は、縦横300・×460・、厚さ5・の塩化ビニール板を、設置の際に畦方向となる左右長さが300・、畦巾方向となる前後奥行き寸法を150・に設定した底板部2と、同畦方向となる左右長さを300・、鉛直高さ寸法を310・に設定した背面31とを互いに直角状に形成するよう縦断面L字型に折曲し、該背面壁31の中央から左右80・の箇所には、夫々底板部2上面と背面壁31前面とに直角状に接合された前後巾95・、高さ300・、厚さ5・の塩化ビニール板製、左右内壁面部32,32が接着剤によって一体化され、さらにこれら左右内壁面部32,32から夫々25・左右外側となる位置には、前後巾100・、高さ300・、厚さ5・の塩化ビニール板製の左右外壁面部34,34が、同様に夫々底板部2上面と背面壁31前面とに直角状に接合、一体化したものとなっている。
【0042】
左右外壁面部34,34の各前端には、左右巾70・、高さ300・、厚さ5・の塩化ビニール板製、呼び込み板部35,35が、左右外側端縁を底板部2左右外側端縁に一致させた配置関係に、背面壁31に平行状に立設された姿勢に接着、一体化してあり、それら中央がわ端縁は、左右内壁面部32,32の前端間に形成された矩形状開放部4の中央側に僅かに突出するようにし、底板部2上の左右内壁面部32,32の前端縁と、これに上下間平行に約5・の隙間を有して対峙する呼び込み板部35,35の左右内側端後側縁との間には、後述する排水調節部8の一部を形成するレール溝36,36が形成され、左右内壁面部32,32の前端縁上側角部分には、装着用面取り38,38が形成されている。
【0043】
左右外壁面部34,34と左右内壁面部32,32との間には、呼び込み板部35,35背面から25・の位置に夫々、左右巾25・、高さ300・、厚さ5・の塩化ビニール板製の隔壁板39,39を呼び込み板部35,35に平行状に配置させ、それら下端縁を底板部2上面に、また左右端縁の夫々を対応する左右外壁面部34,34と左右内壁面部32,32とに接着、一体化したものとし、底板部2上であって左右内壁面部32,32前端外側面、左右隔壁板39,39前側面、左右外壁面部34,34前端内側面および呼び込み板部35,35左右内側背面の各縦壁面によって包囲され、上端および左右の対応するレール溝36,36にのみ開放状となる洗浄用鉛直筒型空間37,37を形成してある。
【0044】
底板部2上の背面壁31左右側前面と、左右外壁面部34,34左右外側面および呼び込み板部35,35の左右外側背面とによって包囲される範囲には、それら壁面によって前後方向縦断面L字型、平断面が外側に開放するコ字型に設定された土石装填空間部6,6を形成してあり、当該集水胴部3背面壁31の左右内壁面部32,32間(開放部4左右間)に位置する左右中央であって底板部2の上方30・となる箇所には、開口直径100・の排水口5が、当該背面壁31の背面に対して55・、水平状に突出された塩化ビニール管製の接続用スリーブ51を接着、一体化したものとし、また、集水胴部3の背面壁31背面側の上端縁から30・の箇所には、左右横巾300・、前後奥行き25・、厚さ5・の塩化ビニール板製の水平翼部7が、背面壁31左右端間に水平姿勢に接着、一体化したものとしてある。
【0045】
排水調節部8は、図1中に示すように、左右巾220・、高さ100・、厚さ5・の塩化ビニール板製の2枚、および同じく左右巾と厚さとを同じに設定した塩化ビニール板製であり、高さ寸法を50・とした1枚、同様に高さ寸法を35・に設定した1枚の合計4枚の堰板81,81,……を、左右レール溝36,36に上方から装着し、上下適宜組み合わせた全高を285・に設定可能としたものとし、任意に選択した堰板81,81,……を装着し、所望の水深に調節可能となるようにしてある。
【0046】
さらに、左右内壁面部32,32の上端縁には、前後巾20・、深さ約50・の側断面概略U字型に形成された収納用装着溝33,33が上方開放状に設定されており、底板部2の背面壁31、左右内壁面部32,32、左右外壁面部34,34、および左右隔壁板39,39によって包囲された範囲の中央付近には、上下肉厚方向に貫通する直径20・の杭打ち孔21,21が穿設され、左右呼び込み板部35,35よりも前方に張り出した底板部2前端縁が定着用前端23を形成するようにしてある。
【0047】
当該水田用水口1は、図1ないし図5中に示したもののように、背面壁31の肉厚方向に排水口5を貫通させたものの外に、図6の底板部に排水口を形成した水田用水口の斜視図、および図7の底板部に排水口を形成した水田用水口の設置状態における縦断面図中に示すように、背面壁31と左右呼び込み板部35,35およびその開放部4に装着される堰板81,81,……とによって包囲される底板部2の略中央に、該底板部2の厚方向に向けて穿設され、底板部2の下面に鉛直状の接続用スリーブ51を垂下状に突設、一体化したものとすることができ、当該鉛直状の排水口5には、必要に応じて図示しない排水調整部の円筒体を接続可能とする着脱用円筒枠を形成したものとすることができる。
【実施例2】
【0048】
図8の円筒型集水胴部を有する水田用水口の斜視図、図9の設置状態にある水田用水口の縦断面図、および図10の設置状態にある水田用水口の平面図に示される事例は、畦R巾以下の巾寸法に設定した平板状底板部2と、平断面において該底板部2側溝Gがわ側縁またはその近傍から同圃場Fがわ側縁に向けた円弧型抱持状断面形であって、その抱え込みがわに確保した開放部4の両端縁には夫々呼び込み板部35,35が同開放部4内に一部突出状となるように形成された上、畦R高さに応じた高さ寸法のものとして当該底板部2から鉛直状に立設、一体化してなるものとした平断面、所定角度開放状円筒型の集水胴部3とからなり、当該底板部2で集水胴部3平面内に属する位置には、接続用スリーブ51付きとした排水口5が穿設されると共に、前記呼び込み板部35,35の背面がわとなる当該底板部2上には夫々土石装填空間部6,6が形成され、且つ当該集水胴部3側溝Gがわ適宜高さ位置には水平翼部7が形成されるようにする一方、底板部2に用意した排水口5の同底板部2からの高さ範囲部分には、互いに異なる高さ寸法の複数個の円筒体82,82,……の中から、所望高さのものを一個選択して適宜組み合わせるか、あるいは互いに組み合わせ可能な複数個の円筒体82,82,……を、所望の総高さ寸法に設定するよう組み合わせるかの何れかにより、高さ加減自在となる排水調整部8が着脱自在に組み合わされてなる、この発明に包含される水田用水口における代表的な他の一実施例を示している。
【0049】
当該水田用水口1は、肉厚5・に設定された塩化ビニール板製、200・×180・の矩形状平板からなる底板部2の中央に、肉厚方向に貫通する直径80・または100・の排水口5を穿孔し、底板部2の底面側に開口する排水口5には所定長さ寸法の接続用スリーブ51を下向き突設状に接続し、また底板部2の上面側に開放する同排水口5には、後述する排水調整部8の円筒体82を接続可能とする着脱用円筒枠36を所定高さ分、鉛直状に突設したものとしてあり、該着脱用円筒枠36の外側となる底板部2上面には、同着脱用円筒枠36の外径寸法よりも一回り大きな直径150・に設定され、約90°の角度範囲分を全高280・に渡って切除され、開放部4を形成した塩化ビニール管製の集水胴部3が、排水口5の周囲を同心状に包囲するよう立設してある。
【0050】
集水胴部3の開放部4は、底板部2上の設置の際に圃場F側となる方向に向けられ、該塩化ビニール管から切除した円筒板を1/2に縦割りし、その内周面を圃場F側に向けるよう、集水胴部3の開放部4左右端縁およびそれらに対応する底板部2上面に接着、一体化して開放部4の左右に平面拡開状の配置、姿勢となる左右一対の呼び込み板部35,35を形成してあり、さらに、集水胴部3の背面側外周壁面には、設置の際に底板部2の側溝G側となる左右角部分に対応する箇所夫々には、上下端間に渡り矩形板状の塩化ビニール板製の補強板31,31を夫々結合し、底板部2上の集水胴部3左右外側夫々に、左右呼び込み板部35,35と左右補強板31,31とに囲まれ、平断面形において左右外側に拡開状となる土砂充填空間部6,6を形成し、これら補強板31,31の間であって集水胴部3背面側の上端寄りとなる高さ位置には、塩化ビニール板製の水平板からなる水平翼部7を掛け渡し状に接着、一体化してある。
【実施例3】
【0051】
図11の流路内側壁に水田用水口の装着部を形成した側溝の斜視図、および図12の側溝内側壁に設置された水田用水口の斜視図に示される事例は、設置対象の側溝G内壁面に接合状に設置、固定される背面31に一体化され、平断面において側溝G下流がわに向けた抱持状断面形をなし、側溝G下流側の抱え込みがわに確保した開放部4の両端縁には夫々鉛直状の一対のレール溝36,36が対峙状に設けられた上、側溝G深さに応じた高さ寸法のものとした集水胴部3と、該集水胴部3下端開口に一体化されて閉鎖状とする底板部2とを有し、当該背面31の底板部2近傍となる下側要所に、対象側溝G壁面に開口された支流口Bに対応可能な排水口5を穿設し、一対の対峙レール溝36,36間における開放部4の底板部2から所定高さ範囲部分には、上下適宜寸法毎に分割、形成された複数枚の堰板81,81,……を上方抜き取り可能に積み上げ状、挿し込み装着され、高さ加減自在となる排水調整部8が組み合わされ、当該集水胴部3の背面31とは反対がわとなる前面には、対象側溝Gの上流側から下流側に向け、該側溝G底面または底板部2の水深位置の何れか一方から流水面付近か、あるいはそれよりも上側に達するよう漸次上昇する傾斜面壁91、ならびに該傾斜面壁91の下側空間を閉塞する周面壁92を有する、浮遊ゴミ排除用の傾斜誘導体9が一体的に添設されてなる、この発明に包含される水田用水口における他の実施例を示すものである。
【0052】
設置の対象となる農業用水路は、図11中に示すように、コンクリート製の側溝Gからなり、水門Sよりも上流側の内側壁面には、当該水田用水口1を装着可能とする凹型嵌着部Pが形成され、該嵌着部Pの中央寄りであって水面よりも下側となる適所には所定直径の支流口Bが穿孔されている。
【0053】
当該水田用水口1は、側溝Gの凹型嵌着部Pに接合可能な鉛直矩形平板状の背面壁31を有し、該背面壁31の平断面において側溝G中央側、さらに、図11および図12中の白抜き矢印に示す流れ方向の上流側から下流側へと、側溝G下流がわに向けた抱持状断面形をなすよう形成され、しかも側溝G深さに応じた高さ寸法のものとするよう、塩化ビニール板を組み合わせてなる集水胴部3を設け、該集水胴部3の背面壁31の設置の際に、側溝G凹型嵌着部Pの支流口Bに一致する箇所に略同一直径の排水口5を形成したものとしている。
【0054】
当該集水胴部3の下端開口には、塩化ビリール板製の底板部2を接着、一体化したものとし、該底板部2の下流側端縁、集水胴部3の前面壁下流側端縁、およびこれらに対応する背面壁31によって囲まれた矩形状の開放部4を形成し、該開放部4に対応する前面壁端縁および背面壁31には、上下間に渡って対峙する一対のレール溝36,36が形成され、これら対峙レール溝36,36間には、上下適宜寸法毎に分割、形成された複数枚の堰板81,81,……を上方抜き取り可能に積み上げ状、挿し込み装着され、高さ加減自在となる排水調整部8が組み込まれたものとしてある。
【0055】
さらに、当該集水胴部3の前面壁は、該集水胴部3の流水方向寸法を超えて上流側に遡り延伸され、その上流側から下流側に向け、該底板部2の水深位置から、下流側の水門Sによって上昇された流水面W付近に達するよう漸次上昇する傾斜面壁91、ならびに該傾斜面壁91の下側空間を全て閉塞状とする周面壁92を有し、流水方向に沿った縦断面が上流がわから下流がわに次第に拡開する直角三角形状に形成されるようにした浮遊ゴミ排除用の傾斜誘導体9を一体に添設してなるものとしてある。
【0056】
(実施例の作用)
以上のとおりの構成からなるこの発明の水田用水口1は、図4の設置状態にある水田用水口の縦断面図、および図5の設置状態にある水田用水口の平面図中に示すように、既存の塩化ビニール管製の排水パイプBが、その一端を水田F側に、他端を側溝G側に開放するよう埋設された水田F水尻の畦Rに、以下のようにして設置することができる。
まず、畦Rの水田F側に面する所定範囲を、水田Fの地面から70・ないし100・の深さまで掘り下げ、当該水田用水口1集水胴部3の背面壁31を畦R土中に配し、底板部2を水田Fの地面下に埋設して水平状に設置すると共に、背面壁31を畦R方向に平行状且つ鉛直状の姿勢とし、排水口5の接続用スリーブ51を既存排水パイプBに対応、接続させた上、図4および図5中に示す底板部2の左右に開口された杭打ち孔21,21の夫々に杭22,22を打ち込み、さらに背面壁31の水平翼部7の上下および底板部2上の左右土石装填空間部6,6夫々に土石を隙間無く充填し、各呼び込み板部35,35の前面左右外側に畦Rの水田Fがわ側壁面が連続するよう埋め戻し、畦Rの埋設部分を突き固め確りと定着させる。
【0057】
当該集水胴部3開放部4の左右レール溝36,36間に、所望する水田Fの水深に一致する高さ位置まで、上下適宜寸法毎に分割、形成した1枚または複数枚の堰板81,81,……を上方から挿し込み装着し、図4中に示すように、最下位とした高さ100・の堰板81の一部もしくは全体が水田Fの地中に埋設状となり、最上位となる堰板81が水田Fの水面W位置を、所望する任意の水位に設定する。
【0058】
当該水田用水口1は、開放部4に装着した堰板81,81,……が、水田Fの水位Wを所望の水深に設定し、その水位Wを超えると、同図4中の実線矢印に示すように、堰板81,81……を乗り越えて集水胴部3内に流入するが、水田Fの水中に浮遊するゴミや草、稲藁等の大部分は堰板81,81,……によって堰き止められ、側溝Gがわに流出することはない。
しかしながら、僅かではあってもゴミや草類が、堰板81,81,……を乗り越えて集水胴部3内に流れ込んでしまうことがあり、このようなゴミ類は、集水胴部3内の底板部2上面から排水口5下縁までの高低差中にと留められ、用水のみが円滑に排出されることとなり、水田Fの見回りの際に集水胴部3内に滞留しているゴミ類を1日に1度程度、排除、清掃するだけで、ゴミや草類の水田Fからの流出を防止することが可能となる。
【0059】
降雨等によって大量の水が水田用水口1を通じて流出するときには、底板部2の前端に形成された定着用前端23を水田F地面下に埋設してあって水田用水口1自体が前倒しないよう強固に支持され、さらに左右の呼び込み板部35,35が、それら左右側に隣接状となる畦Rの水田Fがわ壁面を洗掘から保護すると共に水流を開放部4がわに誘導するし、しかもそれら呼び込み板部35,35の背後に形成された土石装填空間部6,6および水平翼部7の上下に充填された土石が、杭打ち孔21,21に打ち込まれた杭22,22と共に水田用水口1を強固に定着させる。
【0060】
水田Fの水位を変更、設定する場合には、開放部4に装着された排水調整部8堰板81,81……を、レール溝36,36に沿って上方に抜き取り、所望する水深に合致する高さ寸法となる組み合わせの堰板81,81……を挿し込み、高さ加減を自在に調節して水深調節を行うことが可能であり、挿し込み操作に際しては各レール溝36,36の上端に形成された装着用面取り38,38が、堰板81,81……の装着作業を円滑化するものとなり、しかも水深調節によって余剰となった堰板81,81……は、図4中に示す左右の収納用装着溝33,33間に掛け渡し状に装着して一時的に収納して置くことが可能である。
【0061】
当該水田用水口1は、全ての堰板81,81……を、左右レール溝36,36間に装着することによって完全閉鎖し、水田F水位Wが畦Rの略全高に達したときにのみ、堰板81,81……の上端縁を乗り越えて排水されるよう設定され、最下位の堰体81のみを残すか、または全ての堰板81,81……を取り外せば、水田Fの地面が略露出されるまで排水されることとなる。
【0062】
また、堰板81,81……の抜き挿し操作の際に、左右レール溝36,36に土砂等が詰まって堰板81,81……間に隙間が生じるような場合には、目詰まりを生じた堰板81,81……を一旦取り外し、各レール溝36,36の奥がわに繋がる洗浄用鉛直筒型空間37,37を通じて細い棒やブラシ等を挿し込んだり、水を供給したりすることによって簡便に排除することが可能であり、洗浄後は速やかに堰板81,81……を装着することが可能である。
【0063】
左右隔壁板39は、図1中に示すように、背面壁31、左右内壁面部32,32、左右外壁面部34,34によって包囲された杭打ち孔21,21用の空間と、レール溝36,36の奥に繋がる洗浄用鉛直筒型空間37,37とを分離して、杭打ち孔21,21用の空間中に不要な土砂類が浸入するのを阻止すると共に、左右内壁面部32,32と左右外壁面部34,34との前端側同士を連結して集水胴部3ならびに左右呼び込み板部35,35の支持強度を高めるものとなる。
【0064】
水田Fの収穫期を迎え、当該水田用水口1を撤去する場合には、水平翼部7を含む集水胴部3の周囲ならびに定着用前端23を掘り起こし、左右土石装填空間部6,6に充填された土石を排除した上、排水パイプBから接続用スリーブ51を外すようにして畦R土中から取り外し、水平翼部7と底板部2定着用前端23とを保持して運搬することが可能であり、全体が塩化ビニール製のため非常に軽量で持ち運びや設置および撤去作業も容易に行うことが可能であって、空洞状となった水尻畦部分Rと水田F地面とを埋め戻して撤去作業を完了することとなり、付着した土石類を十分に洗浄して保管すれば、錆や腐食等が発生しない塩化ビニール製であることから翌年以降もそのまま継続使用が可能になり、長年に渡って設置利用することができることになる。
【0065】
当該水田用水口1は、水田Fの排水側となる水尻畦部分Rに、開放部4を水田F側に向け、背面壁31を側溝G側に向けて埋設、設置した場合について示したが、同様の水尻畦部分Rの側溝G側に開放部4を向け、背面壁31を水田F側に向けて埋設、設置すること、または、水田F上流側となる水口畦部分の水田F側に開放部4を向け、背面壁31を側溝G側に向けて埋設、設置することや、あるいは、同水田F上流側となる水口畦部分の側溝G側に開放部4を向け、水田F側に背面壁31を向けて埋設、設置すること等、様々な設置が可能であり、さらに、開放部4から流入した用水が排水口5を通じて排水されるものとする外に、排水口5を通じて供給された用水を開放部4を通じて外部に流出させるものとするよう設置、使用することも不可能ではない。
【0066】
また、図6および図7中に示したように底板部2の中央付近に鉛直状の接続用スリーブ51を形成した排水口5を設けてなる水田用水口1によれば、水田Fから隣接する側溝Gまでの高低差が大きく、鉛直状に立ち上げられた排水パイプBが設置されている水田Fに設置するのに適しており、設置および撤去、運搬作業も、前記図1ないし図6中に示したものと同等に簡便に行うことが可能であり、さらに、排水口5に図示しない円筒体(接続状態の上端縁が堰板81,81,……よりも低い)を追加して接続することによって集水胴部3内に滞留空間を形成することができ、これによって集水胴部3内に流入したゴミや草類を堰き止め、側溝Gに排出されるのを防止することが可能となる。
【0067】
図8に示した水田用水口1は、塩化ビニール管を用いて集水胴部3ならびに左右呼び込み板35,35を形成したものとし、略全体を塩化ビニール板の組み合わせから形成した前記図1ないし図7中に示してある水田用水口1に比較して一段と小型、軽量化することが可能となり、図9および図10に示すように、水田Fの水尻となる畦Rへ設置する際には、前述のものと略同様に、畦Rの既存または新設した排水パイプB上に対応する箇所を水田F地面より70・ないし100・程度掘り起こし、露出状となった排水パイプBに底板部2排水口5の接続用スリーブ51を接続し、底板部2を水田F地中に配置するよう埋設し、底板部2上の左右呼び込み板部35,35背面がわの土石装填空間部6,6、および左右の補強板31,31に掛け渡された水平翼部7の上下がわ夫々に土石を隙間なく充填して突き固め、強固に定着させたものとする。
【0068】
水田Fの水深調節に際しては、図8ならびに図9中に示すように、所望の水深に底板部2の埋設深さを加えた高さ寸法に合致する排水調整部8の円筒体82の下端を、排水口5に形成された着脱用円筒枠36に嵌合状に装着し、該円筒体82の上端が設定水面Wに一致するよう設定したものとなし、設定水位Wを超えた水が、円筒体82の上端縁を乗り越え、同図9中の実線矢印に示すように、排水口5および排水パイプBを通じて側溝Gに排出されることとなり、設定水深Wを変更する場合には、予め複数準備しておいた高さ寸法の異なる複数の円筒体82,82,……の中から、所望水深に合致するものを選択して交換装着することによって調節することが可能であり、集水胴部3同等の高さの円筒体82を装着すれば全閉状態となり、畦Rの全高を超える程度の水位Wに達したときにだけ排水され、円筒体82を取り外すと着脱用円筒枠36の高さ寸法に略一致する水深まで排水されることとなり、図示していないが、該着脱用円筒枠36の上端位置を水田Fの地面と同じか、またはそれよりも低い位置に設置したときには、水田Fの地面が露出するレベルまで排水可能となる。
【0069】
左右呼び込み板35,35は、集水胴部3を製造するのに用いた塩化ビニール管から開放部4を形成するため除去した円弧状板を、1/2に縦割截断して得られたものを利用するようにして無駄をなくし、図1ないし図7に示した角型の水田用水口1に比較して製造コストを凡そ2/3程度に抑えることができ、さらに経済的に製造することができ、しかも左右の呼び込み板35,35は、左右外側に隣接する畦R側壁面の洗掘を防止すると共に、それらの曲面形状が水田Fの水を円滑に誘導可能とし、それらの背後に形成された土石装填空間部6,6、左右補強板31,31および水平翼部7が、畦Rへの強固な一体化を可能にする。
【0070】
当該水田用水口1を撤去する場合には、底板部2の前縁や水平翼部7、左右補強板31,31および左右土石装填空間部6,6を含む集水胴部3周囲の土石を掘り起こし、排水パイプBから排水口5の接続用スリーブ51を離脱させるようにして撤去し、水平翼部7および底板部2の縁部等を把持して運搬することが可能であり、比較的軽量な塩化ビニール製として持ち運びが容易であり、付着した土砂等を十分に洗浄すれば、翌年以降も錆や腐食等を発生することなく長期に渡って設置、利用することが可能である。
【0071】
図11に示したような側溝Gの側面壁に対し、図12中に示したように、傾斜誘導体9を一体に形成した水田用水口1を設置する場合には、背面壁31の左右端縁を凹型嵌着部Pの左右溝に嵌合させるように、上方から下方にスライドさせて装着し、背面壁31の排水口5を側溝Gの支流口Bに合致させると共に、傾斜誘導体9の底部が側溝Gの底面に接合状となるよう設置した上、集水胴部3下流がわの開放部4のレール溝36,36間には、所望の流入水量を確保出来る程度の高さに設定できる1枚または複数枚の排水調整部8堰板81,81,……を装着したものとする。
【0072】
図12中に示したように設置された当該水田用水口1は、傾斜誘導体9の傾斜面壁91が側溝G内を流れ、水田用水口1開放部4付近を通過しようとする農業用水を下流側に向かうに従って次第に上昇させ、水中に浮遊するゴミや草、稲藁等が、同図12中に白抜き矢印で示すように、緩やかな堰き止め状となり、開放部4から遠ざかる側に誘導されて下流がわの水門Sを乗り越えて速やかに流下することとなり、これらゴミ類が分離、除去された清浄な用水だけが、同図12中の二点差線矢印に示すように、排水調整部8堰板81,堰板81,……の端縁上を通過して集水胴部3内に流入し、排水口5を通じて隣接する図示しない水田に供給されることとなり、僅かではあるが、当該集水胴部3内に流入してしまったゴミや草類は、底板部2上面と排水口5の開口下縁との高低差によって形成された空間に滞留され、水田への流入が阻止されることから、見回りに来たときに簡便に取り除くことが可能である。
また、撤去する際には、水田側の排水パイプB端部を適宜閉鎖した後に、当該水田用水口1を凹型嵌着部Pに沿って引き上げて容易に取り外すことが可能であり、全体が塩化ビニール製であることから運搬も容易であって、しかも錆や腐食による劣化もなく、長年に渡って繰り返し利用することが可能である。
【0073】
(実施例の効果)
以上のような構成からなる実施例1の水田用水口1は、前記この発明の効果の項で記載の特徴に加え、その全体を塩化ビニール製として高い耐久性と小型軽量化とを果たすことができ、比較的巾の狭い畦にも支障無く設置可能であり、仮令作業者一人であっても簡便に運搬、設置および撤去できる上、錆や腐食も発生せず、複数年に渡って何度も利用することができ、経済的にも秀れているという特徴を有し、しかも集水胴部3が上方に開放されていて、設置状態においてゴミや草、稲藁等が流入したときにも、畦Rを足場とした作業者が簡便に手を伸ばしてこれら異物を取り除くことができるという効果が得られるものとなっている。
【0074】
また、当該水田用水口1は、図1中に示したように、左右一対のレール溝36,36の一部を形成する左右内壁面部32,32の各前端縁上端に、装着用面取り38,38を形成してあり、複数枚の堰板81,81,……の装着作業性を格段に高め、しかも集水胴部3の左右壁面を左右内壁面部32,32と、その外側に配された左右外壁面部34,34とから形成したことにより、左右内壁面部32,32の前端縁と、これに対峙する呼び込み板部35,35の中央側端縁裏面側との間に、堰板81,81……の左右端寄りとなる中途適所を前後側から挾持可能とするレール溝36,36を形成し、さらに左右外壁面部34,34の前方端縁内側面が、堰板81,81,……の左右端縁の左右方向のスライド移動を規制するものとなり、上下複数に分割された堰板81,81,……の各左右端側を十分な強度によって支持できるとという利点がある。
【0075】
左右内壁面部32,32の各上端に形成された収納用装着溝33,33の外側にも、夫々左右外壁面部34,34の上端縁を対応させてあり、レール溝36,36から取り外した堰板81,81,……を収納用装着溝33,33に掛け渡し状に装着、収納したときに、左右外壁面部34,34の上端縁が、収納してある堰板81,81,……の左右方向のスライド移動を規制するものとなり、収納した堰板81,81,……が不用意に離脱、紛失してしまうのを防止できるという効果を奏する。
【0076】
図2中に示したように、レール溝36,36の各奥側であって左右内壁面部32,32と左右外壁面部34,34との間に形成された左右の洗浄用鉛直筒型空間37,37が、底板部2左右側に杭打ち孔21,21を形成した空間との間を、左右隔壁板39,39によって隔離されたものとしたものでは、杭打ち孔21,21等から浸入する土等がレール溝36,36側に流出し、また、図4中に示したように、打ち込まれた杭22,22が傾いてレール溝36,36や収納用装着溝33,33に装着されている堰板81,81,……(図示せず)に干渉してしまうのを阻止できる外、杭22,22それ自体の前倒を阻止し、しかも集水胴部3左右側壁面の剛性を高める効果が得られる。
【0077】
図6および図7中に示した水田用水口1のように、底板部2に排水口5を形成したものでは、図7中に示したように、水田Fの地面から側溝Gの水面までの高低差が大きく、既存の排水パイプBの接続端が鉛直状に立ち上げられている場合に支障なく接続することができるものとなる。
【0078】
実施例2の水田用水口1は、図8中に示したように、塩化ビニール管製の集水胴部3およびその開放部4を形成するために切除した円弧板材を利用して左右呼び込み板部35,35を形成したものとしたことにより、さらなる大幅な構造の簡素化と、小型、軽量化とを果たし、しかも集水胴部3に囲まれた底板部2中央に着脱用円筒枠36を有する排水口5を形成したものでは、円筒体82による排水調整部8を実現させることができ、高さ寸法の異なる円筒体82を交換するだけで水田Fの水深を簡便に調節、設定できるようになり、水田Fの水管理の作業効率とその経済性とを高めることができる上、市販の塩化ビニール管を所望の高さ寸法に切断して円筒体82を製造し、各水田Fに応じてより正確な水深管理を簡便に実現でき、さらに集水胴部3が上方に開放されており、集水胴部3内の底板部2上であって円筒体82の周囲にゴミや草、稲藁等が浸入したときにも、畦R上の作業者が手を伸ばして簡便に取り除くことができ、排水中にゴミ類が混入することを確実に防止するという秀れた特徴を発揮する。
【0079】
実施例3に示した水田用水口1は、図12中に示したように、側溝Gの内側壁に形成された凹型嵌着部Pに対して集水胴部3の背面壁31を嵌着状に装着できるものとなっていて着脱作業性に秀れ、しかも強固な固定が可能であって流失等の弊害の発生を防止できる上、その設置状態において集水胴部3の側溝Gの中央寄りとなる前面壁に傾斜誘導体9を一体化し、側溝Gを流れ下るゴミや草、稲藁等の浮遊物が傾斜誘導体9の傾斜面壁91によって水面付近まで上昇され、水門Sに堰き止められずに円滑に下流側に流れ去るように誘導されることとなり、排水調整部8を通じて集水胴部3内にゴミや草類が流入するのを防止できるという効果が期待できる。
【0080】
また、集水胴部3の底部を底板部2によって閉鎖し、傾斜誘導体9の傾斜面壁91の下側を周面壁92で包囲したものでは、側溝Gを流下する水流を安定的に整流可能とし、乱流等の発生を阻止すると共に、当該傾斜面壁91が水流の圧力を受けて側溝G底面に押し付けられるものとなって水量が多いほど定着力が高まり、水田用水口1自体の破損や離脱、流失等の発生を防止できるという利点が得られる。
【0081】
(結 び)
叙述の如く、この発明の水田用水口は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で大幅に軽量且つ低廉化して遥かに経済的なものとすることができる上、従前からの「水田用給排水口」や「水田用給水ゲート」等に比較して正確な水深設定やゴミ、草、稲藁等の異物の通過を防止でき、水田の水管理の作業性を大幅に改善し得るものとなり、設置および撤去作業も容易なことから、高齢化や兼業化が進み、水田管理の作業性の向上と作業時間の短縮化を望む稲作農家は勿論のこと、各種農業用機材等を取り扱う農業用資材業界においても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【図面の簡単な説明】
【0082】
図面は、この発明の水田用水口の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【図1】排水調整部を組み合わせる水田用水口を示す斜視図である。
【図2】水田用水口を示す斜視図である。
【図3】背面側から観た水田用水口を示す斜視図である。
【図4】設置状態にある水田用水口を縦断面化して示す側面図である。
【図5】設置状態にある水田用水口を示す平面図である。
【図6】底板部に排水口を設けた水田用水口を示す斜視図である。
【図7】設置状態にある水田用水口を縦断面化して示す側面図である。
【図8】円筒型集水胴部を有する水田用水口を示す斜視図である。
【図9】設置状態にある水田用水口を縦断面化して示す側面図である。
【図10】設置状態にある水田用水口を示す平面図である。
【図11】内側壁に凹型嵌着部を設けた側溝を示す斜視図である。
【図12】側溝内に設置した水田用水口を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0083】
1 水田用水口
2 底板部
21 同 杭打ち孔
22 同 杭
23 同 定着用前端
3 集水胴部
31 同 背面壁(補強板)
32 同 左(右)内壁面部
33 同 収納用装着溝
34 同 左(右)外壁面部
35 同 呼び込み板部
36 同 レール溝(着脱用円筒枠)
37 同 洗浄用鉛直筒型空間
38 同 装着用面取り
39 同 左(右)隔壁板
4 開放部
5 排水口
51 同 接続用スリーブ
6 土石装填空間部
7 水平翼部
8 排水調整部
81 同 堰板
82 同 円筒体
9 傾斜誘導体
91 同 傾斜面壁
92 同 周面壁
R 畦
F 圃場(水田)
W 同 水面
G 側溝
B 同 支流口(排水パイプ)
S 同 水門
P 同 凹型嵌着部
【出願人】 【識別番号】506123863
【氏名又は名称】有限会社 堤化機工業
【出願日】 平成18年4月11日(2006.4.11)
【代理人】 【識別番号】100083437
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 實


【公開番号】 特開2007−275023(P2007−275023A)
【公開日】 平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願番号】 特願2006−109185(P2006−109185)