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【発明の名称】 作物の栽培方法
【発明者】 【氏名】鈴木 一美

【氏名】中山 淳

【氏名】青木 宏史

【要約】 【課題】作物から力強い幹根の発生と伸長を促し、地上部の維持を安定長期化させ、茎葉の生育および果実の肥大、充実を安定的に旺盛にすることができる作物の栽培方法を提供すること。

【解決手段】土壌又は培養土2を雨水が入らないように包み込んだ生分解性樹脂シート1を畑地(耕土)4中に一部又は全部を埋め込み、栽培作物3を前記生分解性樹脂シート1内の土壌又は培養土2に植生して、栽培作物3の根圏を前記生分解性樹脂シート1によって畑地(耕土)4と隔離し、定植初期の前記土壌又は培養土2中の水分含有量をpF2.0〜2.5に制御して、前記栽培作物3の茎基部3bから太い幹根3cを発生させることを特徴とする作物の栽培方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌又は培養土を雨水が入らないように包み込んだ生分解性樹脂シートを畑地(耕土)中に一部又は全部を埋め込み、栽培作物を前記生分解性樹脂シート内の土壌又は培養土に植生して、栽培作物の根圏を前記生分解性樹脂シートによって畑地(耕土)と隔離し、定植初期の前記土壌又は培養土中の水分含有量をpF2.0〜2.5に制御して、前記栽培作物の茎基部から太い幹根を発生させることを特徴とする作物の栽培方法。
【請求項2】
前記栽培作物の苗を、鉢内において通常の育苗期間の50〜100%増で育苗させた後、前記土壌又は培養土に植生することを特徴とする請求項1記載の作物の栽培方法。
【請求項3】
定植初期の前記土壌又は培養土中の水分含有量をpF2.3〜2.5に制御することを特徴とする請求項1又は2記載の作物の栽培方法。
【請求項4】
前記幹根を、生分解が進行した前記生分解性樹脂シートを貫通させて地表から30cm以上の深さに伸長させることを特徴とする請求項1、2又は3記載の作物の栽培方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、作物の栽培方法に関し、詳しくはトマトなどの栽培において、地上部の維持を安定長期化させ、良品多収を達成することができる作物の栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作物を栽培する際に、栽培土壌と隔離するために、育成袋や栽培ポットを用いる手法が知られている(特許文献1、2)。
【0003】
特許文献1に記載の栽培手法は、不透水性の不織布製の袋内に培養土を充填した育成袋を用意し、その育成袋を畑の畦などに埋め込んでおいて栽培するものである。
【特許文献1】特開平07−312986号公報
【特許文献2】特開平07−203776号公報:生分解樹脂を用いた栽培ポット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、変形果等の不良果の発生を抑えることができず、作物の良品多収を達成できない問題がある。
【0005】
本発明者らは、このような従来技術が有する問題点について鋭意検討した結果、作物の良品多収を達成するには、地上部の維持を長期的に安定化させることが重要であり、そのためには、地上部の影響を受けない安全な深さ(30cm以上)にまで太い幹根を伸長させ、ここから発生する毛細根により十分な養水分吸収圏を確保することが重要であることを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は、作物から力強い幹根の発生と伸長を促し、地上部の維持を安定長期化させ、茎葉の生育および果実の肥大、充実を安定的に旺盛にすることができる作物の栽培方法を提供することを課題とする。
【0007】
更に、本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0009】
(請求項1)
土壌又は培養土を雨水が入らないように包み込んだ生分解性樹脂シートを畑地(耕土)中に一部又は全部を埋め込み、栽培作物を前記生分解性樹脂シート内の土壌又は培養土に植生して、栽培作物の根圏を前記生分解性樹脂シートによって畑地(耕土)と隔離し、定植初期の前記土壌又は培養土中の水分含有量をpF2.0〜2.5に制御して、前記栽培作物の茎基部から太い幹根を発生させることを特徴とする作物の栽培方法。
【0010】
(請求項2)
前記栽培作物の苗を、鉢内において通常の育苗期間の50〜100%増で育苗させた後、前記土壌又は培養土に植生することを特徴とする請求項1記載の作物の栽培方法。
【0011】
(請求項3)
定植初期の前記土壌又は培養土中の水分含有量をpF2.3〜2.5に制御することを特徴とする請求項1又は2記載の作物の栽培方法。
【0012】
(請求項4)
前記幹根を、生分解が進行した前記生分解性樹脂シートを貫通させて地表から30cm以上の深さに伸長させることを特徴とする請求項1、2又は3記載の作物の栽培方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、作物から力強い幹根の発生と伸長を促し、地上部の維持を安定長期化させ、茎葉の生育および果実の肥大、充実を安定的に旺盛にすることができる作物の栽培方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の最良の実施形態について図面を用いて説明する。
【0015】
図1は本発明に用いる生分解性樹脂シートの一例を示す概略断面図であり、図1において、1は生分解性樹脂シート、2は生分解性樹脂シート1内に包まれた土壌又は培養土(以下、土壌等という)、3は生分解性樹脂シート1内の土壌等2に植生された栽培作物である。
【0016】
生分解性樹脂シート1は袋状に形成されている。袋状に形成する手段は特に限定されないが、後述するように、生分解性樹脂シート1によって包まれた土壌等2中の水分管理を行い得るようにするため、上部から雨水が浸入しないように、栽培作物3の植生部位以外が生分解性樹脂シート1によって全体的に包囲された形態とすることが好ましい。
【0017】
生分解性樹脂シート1を袋状に形成する際の形態は、図1に示すように1株の栽培作物3が単独で植生されるものであってもよいし、図2に示すように長尺状に形成して複数株の栽培作物3が植生されるものであってもよい。
【0018】
栽培作物3の植生は、栽培作物3を土壌等2と共に生分解性樹脂シート1によって包み込むようにしてもよいし、予め土壌等2を包み込んだ生分解性樹脂シート1の一部に植生穴をあけて植生するようにしてもよい。
【0019】
生分解性樹脂シート1は、土壌微生物、光、水分、熱、化学変化により崩壊する樹脂によって形成された樹脂シートであり、好ましくは土壌微生物や光により崩壊する樹脂によって形成された樹脂シートであり、更に好ましくは土壌微生物により分解する樹脂によって形成された樹脂シートである。
【0020】
土壌中の微生物によって分解される生分解性は大きく分けて微生物産出系、天然物利用系或いは化学合成系があるが、現在実用化され始めている生分解性樹脂としては脂肪族ポリエステル系、変性ポリビニルアルコール、或いはでんぷん変性体などに大別される。脂肪族ポリエステルとしてはポリブチレンサクシネートやポリヒドロキシブチレートなどがあり、半合成系重合体としてポリ乳酸がある。
【0021】
生分解性樹脂シート1の崩壊速度は、畑土(耕土)に接触するとその中に存在する微生物によって経時的に生分解されて土壌に同化するものであり、かつ生分解性樹脂組成物が畑土中において30日間に30〜60%の重量減少を生じるよう制御することが好ましい。定植初期の水分コントロールが可能なように初期には崩壊が進まず閉鎖環境を維持していて、その後幹根の成長時期(特に30cm以上に長く太くなってきた時期)にはその幹根によってシートを突き破りやすくなるように崩壊が進んでいることが好ましい。
【0022】
生分解性樹脂は、前記樹脂の1種又は2種以上を混合して使用できる。また、前記樹脂の他に、必要に応じて崩壊速度を調整するための充填剤、成形性を向上させるための可塑剤、pH調整剤等を添加してもよく、これらの添加剤は土壌に同化するものであれば特に限定されない。例えば、前記充填剤としては鉱物質のタルクやカオリン、炭酸カルシウム、マイカ等の無機充填剤、または澱粉、小麦粉、もみ殻、セルロース、グルテン等の有機充填剤、可塑剤としてはグリセリン、エチレングリコール等を使用できる。
【0023】
なお、pHは使用する前記充填剤の種類及び量によって調整することができる。これらの添加剤は、前記生分解性樹脂組成物に所定速度の崩壊性を発現させるとともに、シートの保管性等を良くするために、前記樹脂100重量部に対してそれぞれ次の範囲内で配合することが好ましい。無機充填剤は0〜50重量部が好ましく、特に0〜20重量部が好ましい。有機充填剤は0〜70重量部が好ましく、特に0〜40重量部が好ましい。可塑剤は0〜100重量部が好ましく、特に0〜50重量部が好ましい。
【0024】
生分解性樹脂シートは、単層は勿論、多層フィルム(白層と黒層からなる2層フィルムなど)でも構わない。
【0025】
生分解性樹脂シート1は、地表部、側面及び底部の少なくとも一部の崩壊時期に変化を持たせることも好ましい。崩壊時期に変化を持たせる手段は特に限定されないが、地表部、側面及び底部の各部の素材を崩壊時期の異なる樹脂で形成する手法でもよいし、あるいは同種樹脂で厚みを変化させる手法などでもよい。
【0026】
生分解性樹脂シート1は、崩壊の過程において、底部が最も早く崩壊し、次いで、側面、地上部の順に崩壊が進むのが望ましい。これにより土中からの病害虫菌等の侵入を軽減できる。地表部分の生分解性樹脂シート1は、マルチング効果(主として病害虫防除、遮光、水分調整など)も期待される。
【0027】
土壌等2の量は1株当り0.01〜1000Lとし、生育調節、移動の程度などの違いにより当該土壌等2の量を上記の範囲内で調整することが好ましい。
【0028】
土壌等2に培養土を用いる場合は、無機質成分と有機質素材からなることが好ましい。無機質成分と有機質素材の配合比は2〜4:6〜8の範囲程度が好ましい。
【0029】
無機質成分は、養分を安定供給できる幹質成分であれば特に限定されない。また有機質素材は物理性改良効果を発揮する有機質素材であれば特に限定されない。
【0030】
次に、かかる生分解性樹脂シート1を用いた作物の栽培方法の一例について説明する。
【0031】
本発明では、土壌等2を包み込んだ生分解性樹脂シート1の一部又は全部を畑土(耕土)に埋め込み、その土壌等2に栽培作物3を植生することで、栽培作物3の根圏を畑土から隔離した後、この定植初期の生分解性樹脂シート1内の土壌等2中の水分含有量をpF2.0〜2.5に節水抑制するように制御する。
【0032】
図3は定植直後の生分解性樹脂シート1内の栽培作物3の様子を示している。図中、3aは栽培作物3の根(巻根)、3bは栽培作物の茎基部、4は畑土(耕土)である。
【0033】
本発明によれば、栽培作物3の根3aが生分解性樹脂シート1によって土壌等2と共に袋状に包み込まれることにより、栽培作物3の根圏が既存の畑土4から隔離されるので、定植初期の水分のコントロールが容易となる。また、畑土4中の害虫や病原菌による定植初期の感染又は発病を抑えることができる。
【0034】
水分含有量がpF2.0を下回ると水分過多になり、またpF2.5を超えるようになると水分不足になるために好ましくない。pF2.3〜2.5に制御することがより好ましい。
【0035】
図4は定植後にこのような節水管理を行って栽培した生分解性樹脂シート1内の栽培作物3の様子を示している。水分含有量をpF2.0〜2.5に節水抑制することで、同図に示すように、栽培作物3の茎基部3bから新たな通常より極めて太くて力強い幹根(二次根)3cを発生させる。
【0036】
このような力強い幹根3cは、栽培作物3の巻根3a内に蓄えられた多量の養分を生かした根群に、生分解性樹脂シート1内環境の規制刺激(ホルモン的刺激)が加えられることにより、栽培作物3の茎基部3bから新たに発生し、その伸長が促される。この現象は、生分解性樹脂シート1によって既成毛細根の伸長を抑え、根群内のオーキシン(成長ホルモン)レベルの上昇を招いた結果と考えられる。その結果、栽培作物3の茎基部3bから新たに発生する根群のうち、生分解性樹脂シート2の刺激を受けにくくオーキシンレベルの上昇を招かない太い根のみが伸長し、幹根3cの役割を果たすものと思われる。
【0037】
慣行栽培による通常の栽培根は、浅根の傾向が観察されるが、このようにして発生させた太い幹根3cは、いち早く水分を求めて深根化する傾向があるので、やがて生分解性樹脂シート1の底部まで達するようになる。
【0038】
一方、生分解性樹脂シート1は生分解性樹脂からなるため、図5に示すように、畑土4中で次第に生分解されて崩壊現象が現れ、脆弱化していく。生分解性樹脂シート1の底部まで達した幹根3cは、この脆弱化した生分解性樹脂シート1を容易に貫通し、畑土4中の深くまで伸長する。そして、幹根3cから発生する毛細根により、養水分吸収圏が確保され、地上部の維持を安定長期化させることができる。これにより、良品多収が達成される。
【0039】
生分解性樹脂シート1の崩壊現象は、幹根3cの発生及び伸長に合わせて現れるようにする必要があるが、トマト栽培の場合、若苗では60日内外、大苗では30日内外に現れるようにすることが望ましい。
【0040】
また、幹根3cは、地表から30cm以上の深さまで伸長させることが好ましい。これにより地上部の影響を受けない安全な深さまで根を誘導することができる。
【0041】
このような幹根3cが伸長した栽培作物3は、適切な土壌水分の節水管理と十分な採光により、根の伸長を助け光合成を促進することによって、定植初期から葉肉を厚くし、茎葉を硬くすることができるので、定植後の健全株の確保と維持が可能となる。その後は適切な肥培管理によって収穫期後半も容易に草勢を維持させることができ、品質の向上と多収化が確約できる。
【0042】
生分解性樹脂シート1内に植生される栽培作物3は、予め鉢内において苗づくり(根づくり)した後に生分解性樹脂シート1に植生されるが、この栽培作物3の苗は乾物率の高い根を作ることで、成熟苗(充実根)を確保することが望ましい。このため、採光に心掛け、多灌水を避けて水切りを十分にし、柔らかい苗を作らないようにする必要がある。
【0043】
このような成熟苗を確保するため、本発明において栽培作物3の育苗は、通常の育苗期間の50〜100%増にすることが好ましい。これにより鉢内に根群を一杯に発達させ、巻根3aを十分に確保することができる。従って、将来の幹根を発生させるに必要な養分を十分に蓄えた根群を確保することができる。
【0044】
生分解性樹脂シート1内には、殺菌、殺虫処理した理化学性の優れた土壌又は培養土を充填することが好ましい。栽培前期の害虫や病原菌の感染または発病を防止すると共に、容易に幹根3cの発生を促すことができる。殺菌、殺虫処理は、特に限定されず、種々の方法を採用できる。
【0045】
また、生分解性樹脂シート1内には、光合成細菌類、放線菌類および糸状菌類などの有効菌(有益菌)を添加し、馴化、増殖させることも好ましい。有効菌を添加し、馴化、増殖させることにより、土壌線虫や病原菌等の活性化と栽培作物3内への感染を抑制することもできる(土壌中の有益なミクロフローラーの改善に貢献できる)。増殖した有効菌類は、幹根3cが生分解性樹脂シート1を貫通、あるいは生分解性樹脂シート1の生分解後に、二次的に耕土全体に拡大して、更に有効性を高める効果がある。
【0046】
生分解性樹脂シート1を畑土4中に埋め込む場合は、図6(A)に示すように、生分解性樹脂シート1の上部のみを地上部に露出させるようにしてもよいし、また図6(B)に示すように生分解性樹脂シート1の一部、すなわち上部から距離Lまでを地上部に露出させるようにしてもよい。距離Lは0〜50cmの範囲が好ましい。いずれの場合も、栽培作物の植生部位以外からは生分解性樹脂シート1の内部に雨水が浸入しないようにする。
【0047】
図6(B)に示すように生分解性樹脂シート1の上部にある高さまで露出させる場合、地上に曝される部位は、光劣化等による崩壊が生じ、土壌中の部位は土壌中の微生物により分解される。
【0048】
本発明において、図7に示すように、生分解性樹脂シート1を畑土4に埋め込む場合には、畑土4全体に慣行に従い施用することができるが、穴を掘った土に埋め込む場合には、生分解性樹脂シート1の底部の外側に置肥5を行うことが好ましい。かかる置肥5は簡便に肥料成分を供給でき、生分解性樹脂シート1が崩壊して幹根3cが生分解性樹脂シート1から外部に伸長した場合に深部から肥料成分を吸収し、根の成長が促進される。また、置肥5は多孔性の樹脂袋や崩壊性の樹脂袋により形成することもできる。置肥・施用に用いられる肥料は当該作物の目標収量に合わせた施用量が望ましい。
【0049】
火山灰土地帯10a当り収量10tを目指す場合、吸収量はおよそ窒素30kg、リン酸10kg、カリウム50kgなので、施肥量はおよそ窒素45kg、リン酸50kg、カリウム70kgとなる。
【0050】
かかる施用を行うことにより、更に生育が安定し、良品多収という効果を助長することができる。
【0051】
本発明の作物の栽培方法3は、トマト・ナス・ピーマン等の果菜類、ほうれん草・レタスなどの葉菜類、ダイコン・ニンジンなどの根菜類、蚕豆・インゲンなどの豆類等からなる野菜類、みかん・なし・サクランボなどの果実類、草花やラン等の花卉類、さらには松、杉等の樹木類にも適用可能である。
【実施例】
【0052】
以下、実施例により本発明の効果を例証する。
【0053】
実施例1
1.栽培作物の育苗
トマト苗(品種;みそら(自根株))を、有機質培養土を収容した鉢内に植生し、以下の通り育苗を行い、根群を鉢内に一杯に発達させて巻根を十分に確保した。
【0054】
有機質培養土は、みかど育種農場社製「パワー培土」とエスカサービス社製「エスカ有機」を用いた。配合比はパワー培土:エスカ有機=7:3混合とした。
【0055】
育苗期間;平成17年1月15日〜平成17年3月15日の61日間(通常育苗期間60日間)
灌水;播種期から5葉期までは表土が白くならない程度に十分な灌水を行い、5葉から8葉期(定植期)は萎れない程度の灌水を行う。
【0056】
2.栽培作物の定植
<試験区>
生分解性樹脂シートを用いて袋状に加工し、その中に上記の有機質培養土を約15リットル充填した。
【0057】
次いで、この有機質培養土を包み込んだ生分解性樹脂シートを地上部に20cm露出するようにして、慣行の畑地に埋め込んだ。
【0058】
生分解性樹脂シートの上部に植生穴をあけ、その植生穴に上記トマト苗を定植した。トマト苗は、定植前に根鉢を水に十分に浸漬した。
【0059】
成長後半に幹根が生分解性樹脂シートを破って外に伸長することを想定して、生分解性樹脂シート底部の外側にも前述のエスカ有機を作型施用基準に合わせて施用した。
【0060】
耕種概要は以下の通りである。
【0061】
定植日;平成17年3月15日
仕立て方;2本立て
灌水;定植後は培養土中の水分含有量をpF2.0〜2.5の範囲内となるように水分管理した。
【0062】
<対照区>
実施例と同様に育苗したトマト苗を、生分解性樹脂シートを使用せずに畑土中に直接定植し栽培を行った。
【0063】
評価
(1)試験区における根群の発生状況と半促成トマトの時期別養分吸収量の変化
上記のように定植した栽培作物について、(I)定植期、(II)第1花房着果期、(III)第1花房着色期、(IV)全花房収穫終了期の各時期における根群の発達状況(根群の深さと広がり)と同時期における養分吸収量の変化との関係について調査した。
【0064】
その結果を図8に示す。
【0065】
同図に示すように、定植後に発生した幹根が、第1花房着果期から第1花房着色期の間に地上から30cm以上の深さまで伸長し、根群の広がりも広くなっている。また、それに伴って養分吸収量も増大していることがわかる。
【0066】
(2)試験区及び対照区における太い根幹の発生状況
結果を図9の写真に示す。同写真の左側の3株が試験区であり、右側の2株が対照区である。
【0067】
同写真から明らかなように、試験区では茎基部から太く且つ30cm以上の長さの幹根が発生していることがわかる。対照区では細くて浅根性の細い根が無数に発生しているが、太く且つ30cm以上の長さの幹根は認められないことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に用いる生分解性樹脂シートの一例を示す概略断面図
【図2】本発明に用いる生分解性樹脂シートの他の例を示す概略斜視図
【図3】定植直後の生分解性樹脂シート内の栽培作物の様子を示す図
【図4】定植後に節水管理を行って栽培した生分解性樹脂シート内の栽培作物の様子を示す図
【図5】崩壊した生分解性樹脂シート内の栽培作物の様子を示す図
【図6】(A)(B)は本発明に用いる生分解性樹脂シートの埋め込み例を示す図
【図7】本発明に係る栽培方法の他の態様を示す図
【図8】根群の発生状況と半促成トマトの時期別養分吸収量の変化との関係を示す図
【図9】試験区及び対照区における太い根幹の発生状況を示す写真
【符号の説明】
【0069】
1:生分解性樹脂シート
2:土壌又は培養土
3:栽培作物
3a:根(巻根)
3b:茎基部
3c:幹根
4:畑土(耕土)
5:置肥
【出願人】 【識別番号】000126148
【氏名又は名称】株式会社みかど育種農場
【出願日】 平成18年3月6日(2006.3.6)
【代理人】 【識別番号】100101340
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英一


【公開番号】 特開2007−236228(P2007−236228A)
【公開日】 平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願番号】 特願2006−60098(P2006−60098)