| 【発明の名称】 |
植物の育成方法および育成ハウス |
| 【発明者】 |
【氏名】釜原 董隆
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 補光によって果菜類または葉菜類を育成する際に、ピーク波長660nmである赤色光(R)と、ピーク波長450nmである青色光(B)と、ピーク波長730nmである遠赤色光(FR)とについて、ハウス内で透過太陽光がR/Bの比およびR/FRの比がともに小さくなるように補光を照射する植物の育成方法。 【請求項2】 補光によって果菜類または葉菜類を育成する際に、ピーク波長450nmである青色光(B)、ピーク波長660nmである赤色光(R)およびピーク波長730nmである遠赤色光(FR)のうちの少なくとも1種含む光をハウス内で照射することにより、透過太陽光におけるR/Bの比およびR/FRの比がともに小さくなる植物の育成方法。 【請求項3】 照射青色光は、発生する雲の量に比例させて強くする請求項1または2記載の育成方法。 【請求項4】 天井および周壁を透光資材で構成することで太陽光を利用する育成ハウスであって、ハウス内に微発熱光源を設置し、該光源によって少なくとも青色光(B)と遠赤色光(FR)とを照射することにより、透過太陽光におけるR/Bの比およびR/FRの比をともに小さくするとともに、各微発熱光源を各栽培植物に近接させて配置している育成ハウス。 【請求項5】 微発熱光源が、赤色光、青色光または遠赤色光を発光するFE光源またはLED光源であり、該FE光源は、電子放出の陰極において、多数のダイヤモンド超微粒子を絶縁基板上に分散配置し、先端が尖鋭な非晶質炭素の微小エミッタをダイヤモンド超微粒子相互間に形成する請求項4記載の育成ハウス。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、果菜類または葉菜類のような野菜類の生育速度と生育度が優れ且つ栄養成分の光合成を促進させる植物の育成方法ならびに該方法を達成する育成ハウスに関する。ナスやキュウリなどの果菜類について、その生育速度と生育度は、果実の数とその重さに相当する。 【背景技術】 【0002】 近年、食に対する消費者の安全志向および健康志向の高まりとともに、常に病原菌や害虫の侵入に晒される開放型の露地栽培に代わって、太陽光によらず人工光源による光合成を利用する閉鎖型である太陽光併用型または完全人工光型の植物工場が注目されている。この種の植物工場は、例えば、天井壁および側壁をFRP製のパネル体で構成し、内部の生育室または育苗室内に栽培ベッドを配置し、該ベッドの上面側に光照射の照明装置を取り付け、一方、栽培ベッドの下側面に向かって液肥供給装置を設置する。この場合、栽培ベッドはV字形に傾斜して並置され、該栽培ベッドに設けた開孔に栽培植物の幼苗が保持され、裏面側から液肥をその根に向かって吹き掛けるとともに、表面側からその葉に向かって人工光を照射する。 【0003】 植物工場で用いる光照射装置には、特開昭63−240731号、特許第2950911号、特開平5−137457号および特開平8−266152号に開示するように、高圧ナトリウムランプ、メタルハライドランプ、水銀ランプ、昼光色蛍光灯、高演色性蛍光灯などを使用する。反射板付きのランプは、栽培植物の上端から100〜200cm程度離し、天井からコ−ドによって吊り下げたり、傾斜した栽培ベッドの面と平行に長尺の蛍光灯を水平方向に配列している。 【0004】 これらのランプや蛍光灯は比較的高輝度である反面、植物工場の天井や壁が断熱性の高い材料で覆われているので、該ランプから放射される発熱を適宜に除去しないと、この放射熱で栽培植物に葉焼けなどが発生して商品品質の低下を招く。このため、ランプを栽培植物より1〜2m上方に離すうえに、植物工場には空調設備が必須になる。天井付近にランプ用空間を設け、ランプと栽培植物とを隔離したり、ウオータジャケットを取り付けてランプからの発熱を水に吸収させる設備を付設すると、植物工場の建設費は非常に高価になる。また、空調の電気代が夏期に急増して工場のランニングコストが非常に嵩み、採算性の向上に障害となり、農業経営の成立を困難にする要因になる。 【特許文献1】特開昭63−240731号公報 【特許文献2】特許第2950911号公報 【特許文献3】特開平5−137457号公報 【特許文献4】特開平8−266152号公報 【非特許文献1】植物工場ハンドブック(高辻正基編、東海大学出版会発行) 【非特許文献2】植物工場の基礎と実際(高辻正基著・裳華書房発行) 【非特許文献3】全面改訂・水耕栽培百科(武川満夫編、財団法人富民協会発行) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 葉菜類については、その栽培に人工光による補光が用いられている。その例として、非特許文献1の108頁と112頁を引用する。この人工光源には、植物育成用高圧ナトリウムランプを使用し、光条件を人工光で再現する必要性はないので、照度で5000ルクス程度を補光の目安とする。補光方法として、冬期における朝夕の日照時間の延長、雨や曇天時の日照不足を補う目的で補光を行なう。補光用ランプは、日照時間が短くなる冬期間の早朝と夕方にそれぞれ点灯する。このように葉菜類で5000〜8000ルクスの明るさの補光を行い、果菜類においては、補光の電気量に見合う生産量の増加が見込めないので補光は実施されていない。 【0006】 野菜類の育成について、その生長や成分は環境によって異なるのは当然であり、環境条件の中で最も基本となるのは、植物生理の原動力となる太陽光である。つまり、太陽光が原動力となって植物の生長や成分を形成するので、非特許文献2では植物の主要な光反応のスペクトルを図1に示し、図1では単位エネルギー当たりの効果の相対値を表している。図1に示す植物の光反応の作用スペクトルの形から判断して、たとえ太陽光の補光であっても、その太陽光のスペクトルバランスを壊すような補光であれば、栽培環境は自然環境と異なったものとなってしまう。このような環境で栽培された植物は、たとえ有機肥料を使用しても、ビタミンなどの栄養成分や味が露地栽培のものよりも劣ってしまう。この観点から、主に補光栽培に使用する光源を選択すれば、陽光ランプ、BOCランプ、ツルーライト(True-Lite)蛍光ランプはかなり自然光に近いけれども十分ではなく、発熱量が高い点も解決されていない。 【0007】 従来技術として、LED(発光ダイオード)光源を用いた栽培試験において、ピーク波長450nmの青色LED光源と、ピーク波長660nmの赤色LED光源と、ピーク波長730nmの遠赤色LED光源を用いてリーフレタスの水耕栽培試験が報告されている。この試験では、全光量を100μmol/m2sとし、青色光を8%以上添加した赤色光を照射すると、自然光と同様の草型と葉色を保ちつつ、効率良く栽培できることが判明している。しかしながら、栽培中に青色光が不足すると、節間と葉柄の伸長が促進された徒長症状を呈する。植物栽培用の光源として、LED光源の利点を最大限に利用するには、太陽光を併用せず、人工光のみの完全制御型の植物工場が適していると判断している。 【0008】 植物工場は前記のランプや蛍光灯の発熱問題に加えて、ハウス栽培された野菜類が露地栽培のものと比較すると味が劣り、栄養成分のバランスが異なることも広く知られている。このため、安全性の点では植物工場で育成された野菜類が有利であっても、消費者には自然な味の点で露地栽培の野菜類が依然として好まれ、しかも安全の点で農薬を使わない有機肥料で栽培された野菜類が非常にもてはやされている。 【0009】 植物の育成に関して、ハウスで栽培した農作物に対して、旬の露地において無農薬の有機肥料で栽培した農作物が、最も味が良好で栄養が豊富であると一般に信じられている。この点について、農作物が本来の味と栄養成分に近くなるのは、それぞれが活発に自然繁殖できる環境であって、その農作物の原種が発生した環境またはその近辺であると推定できる。各農作物における自然繁殖の環境つまり原種発生の環境では、当然、無農薬で有機栽培されているから肥料の添加を行われていないから、原種発生の環境を求める際に肥料の有無は無視することができる。 【0010】 各農作物における原種発生の環境を知るには、その環境を成立させる主たる要因が太陽光であって、従たる要因である土壌、水耕溶液、温度,湿度,風の流れなどの大気環境についてはどの場所でも実質的に同一であると仮定しておく。太陽光に関して、ハウスで栽培した農作物は、自然繁殖の場合とスペクトルバランスが異なり、その味と栄養成分について問題が発生する。スペクトルバランスを壊すような補光であると、栽培環境が自然繁殖の環境と異なり、農作物はその栽培環境に応じた味と栄養成分を合成するから、自然繁殖の環境と異なった分だけ味も栄養成分も低下してしまう。 【0011】 太陽光の環境は、スペクトルバランスと明るさという2つの要素を持ち、明るさについては照度(単位:lx)、光束(単位:lm)、光度(単位:cd)、輝度(単位:ntまたはcd/m2)で表現される。また、太陽光のスペクトルバランスについて、非特許文献2の78〜79頁および95〜96頁を参照すると、植物の主要な光反応のスペクトルを図1に示している。図1に示すように、植物は基本的には光合成(1)によって成長するが、それ以外の重要な光反応に光形態形成がある。この光形態形成には、弱光反応(3,4)と強光反応(2)があり、フィトクロームという色素の働きを介して種子発芽、花芽分化、開花、子葉の展開、葉緑素合成、節間伸長などの植物の質的な変化を誘起する。強光下における葉緑素合成は青色光によって促進され、赤色光によって阻害される傾向がある。光合成に対しては、赤色光の効果が最も大きいが、葉の正常な形態形成には青色光が必要とされ、要するに波長640〜690nmの赤色光と、波長420〜470nmの青色光が有効である。スペクトル分布を変えた生育実験によると、植物の健全な生育には、赤色光(R)と青色光(B)がバランスよく配合されていることが望ましいと判断できる。この2つのスペクトルの比はR/Bの比で表し、この値は一般に1〜10の範囲が良いと説明されている。 【0012】 本発明者は、病原菌や害虫の侵入に晒されることが少なくて安全性が高い太陽光併用型の育成ハウスや植物工場について、栽培植物の栄養成分と味覚が露地栽培のものと比肩または凌駕しうる育成方法に関して鋭意研究と実験を行っている。この結果、本発明者は、高輝度で微発熱のFE(Field Emission、電界放出)またはLED(発光ダイオード)光源などを植物育成に利用するだけでなく、可視光線の一部を選択して育成ハウスや植物工場における植物育成に適用するに至ったものである。 【0013】 本発明は、従来の育成ハウスや植物工場における栽培植物の味覚と栄養に関する前記の問題点を改善するために提案されたものであり、栽培植物の生育を促進し且つその栄養成分が露地栽培のものと比肩または凌駕できる植物の育成方法を提供することを目的としている。本発明の他の目的は、青色光、赤色光および遠赤色光を太陽光の補光として照射することにより、栽培植物の生育速度および栄養成分が優れている植物の育成方法を提供することである。本発明の別の目的は、青色光、赤色光および遠赤色光を太陽光の補光として照射するとともに、天井および周壁を透光資材で構成する太陽光併用型の育成ハウスを提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0014】 本発明に係る植物の育成方法は、補光によって果菜類または葉菜類を育成する際に、ピーク波長660nmである赤色光(R)と、ピーク波長450nmである青色光(B)と、ピーク波長730nmである遠赤色光(FR)とについて、ハウス内で透過太陽光がR/Bの比およびR/FRの比がともに小さくなるように補光を照射する。 【0015】 本発明に係る植物の育成方法は、補光によって果菜類または葉菜類を育成する際に、ピーク波長450nmである青色光(B)、ピーク波長660nmである赤色光(R)およびピーク波長730nmである遠赤色光(FR)のうちの少なくとも1種含む光をハウス内で照射すると好ましい。この照射により、透過太陽光におけるR/Bの比およびR/FRの比がともに小さくなる。 【0016】 本発明の育成方法において、青色光を透過太陽光のR/Bの比の上昇分だけ照射し、且つ透過太陽光について低下したR/FRの比を上昇させるために補光を微量照射してもよい。また、照射青色光は、発生する雲の量に比例させて強くするならば、雲量測定器を用いて自動制御することが望ましい。 【0017】 本発明に係る植物の育成ハウスは、天井および周壁を透光資材で構成することで太陽光を利用する。この育成ハウスは、いわゆる太陽光併用型の植物工場や野菜工場を包含するものである。この育成ハウスは、ハウス内に微発熱光源を設置し、該光源によって少なくとも青色光(B)と遠赤色光(FR)とを照射することにより、透過太陽光におけるR/Bの比およびR/FRの比をともに小さくするとともに、各微発熱光源を各栽培植物に近接させて配置している。 【0018】 本発明の育成ハウスにおいて、微発熱光源は、赤色光、青色光または遠赤色光を発光するFE光源またはLED光源であると好ましい。このFE光源は、電子放出の陰極において、多数のダイヤモンド超微粒子を絶縁基板上に分散配置し、先端が尖鋭な非晶質炭素の微小エミッタをダイヤモンド超微粒子相互間に形成する。 【0019】 本発明では、光の比つまりスペクトルを変化させるためには、特定の波長領域の光のみを使う必要があり、青色光では420〜470nmの範囲でピーク波長450nm、赤色光では615〜680nmの範囲でピーク波長660nm、そして遠赤色光では700〜750nmの範囲でピーク波長730nmを用いると好ましい。機能が最も強いピーク波長と低い機能の波長とを比較すると、ピーク波長を使った方が低い照度で目的の機能を発揮することができる。好適なピーク波長の光源がない場合には、図1を参考にしてピークに近い機能の波長を使えばよい。実際には、全ての波長の光源が揃っているわけではなく、特定の波長のものしかなく、例えば、LEDならば青色光は470nmピークの青色しか存在しない。このように、蛍光体の種類によって発光する色が異なるために、380〜780nmの可視光の内で未だ発見されていない蛍光体がある可能性がある。 【0020】 蛍光体を発光させて選択発色できる発光素子として、LED光源、FE(Field Emission、電界放出)光源、蛍光ランプやテレビモニタのブラウン管などが列挙でき、このように特定波長の光を作り出せる光源は、これらのほかにも各種開発されている。これらの光源は、特定の波長をピーク波長とした放物線状のスペクトルの光を発光させる機能を持つ。 【0021】 最近、図1の右端に位置する波長730nmをピークとする遠赤色光(FR)について、顕著な節間伸長効果が見いだされ、赤色光(R)と遠赤色光(FR)との比R/FRも植物の生育に無視できない効果を持つことが判明し、R/FR<1の場合に植物の伸長が促進され、R/FR>1の場合には矮小化の傾向があるとのデータがある。一般に、植物群落内へは短い波長の可視光が通りにくいため、群落内部では波長が長い遠赤色光の存在割合が大きく、R/FRの比は1より小さくなる。この条件に適応した植物が自然繁殖したので、遠赤色光は現状の植物が伸長成長を促進するように働く。この反面、光形態形成の多くは赤色光によって促進され、遠赤色光によって可逆的に阻害される。 【0022】 前記の研究発表に関して、栽培装置内にLED光源を取り付けて確認実験を行った。使用したLEDは、中心波長660nmで出力300mcdの赤色LED(商品名:H300、スタンレー電気製)、中心波長45nmで出力1000mcdの青色LED(商品名:NLPD500、日亜化学製)である。光合成有効光量子束密度で測定することにより、R/B=10の場合は、赤色LED480個および青色LED114個を約16×17cmのプリント基板上に配列し、同様にR/B=5およびR/B=20についても所定数の赤色LEDおよび青色LEDをプリント基板上に配列する。各プリント基板は、栽培トレイの上方15cmに設置し、周囲三方をアルミホイルで囲って反射率を高め、該栽培トレイ面の光量子束密度をほぼ150μmol/m2sに設定する。メタルハライドランプによる比較実験においても、同程度の光量子束密度になるように調整する。これらの栽培装置は、温度20℃、湿度70%、日長14時間に設定したグロースキャビネット内に収納して実験を行なう。 【0023】 試料には、葉菜類である2g強のサラダナを用い、各栽培トレイに定植し、2週間後に収穫して、収穫時の生体重量、その部分重量(葉、茎、根)、草丈、葉数、葉面積、乾物重量およびその部分重量について測定する。R/Bの比を変えた実験では、R/B=10の場合が生体重量および乾物重量のいずれも最も優れており、続いてR/B=5さらにR/B=20であった。R/B=20の場合には、葉が細長く丸まり、形態的に商品価値が低くなったことを考慮すると、植物の成長に赤色光は必須とはいえ、赤色光の比率が一定以上に高まると植物の成長を抑制するものと推定できる。一方、R/B=5およびR/B=10の場合では、メタルハライドランプの場合と比べて形態的に遜色は見られなかった。このように、光形態形成の強光下反応、光形態形成の赤色光効果、光形態形成の遠赤色光効果のバランスが、植物の成長に大きく関わり合っていることが明らかである。 【0024】 本発明において、光の比の基準である波長領域を青色光(B)で波長420〜470nm、赤色光(R)で波長615〜680nm、遠赤色光(FR)で波長700〜750nmとした理由は、波長380〜780nmの可視光におけるスペクトルのバランス状態を光の比によって光形態形成の機能の強弱を評価するためである。図1における植物の光反応の作用スペクトルを参照すれば、光形態形成の強光下反応は、青色光領域の420〜470nmにおいてピーク波長と強い機能の波長が含まれている。光形態形成の赤色光効果と、光形態形成の強光下反応の赤色光波長部分とについて、2機能のそれぞれのピーク波長と強い機能の波長は、赤色光領域の615〜680nmに含まれている。また、光形態形成の遠赤色光効果については、遠赤色光領域の700〜750nmにおいてピーク波長と強い機能の波長が含まれている。したがって、光形態形成の強光下反応には、RとBが関係するから、R/Bの比として評価する。また、光形態形成の赤色光効果と遠赤色光効果には、RとFRが関係するから、R/FRの比として評価する。これにより、太陽光の可視光380〜780nmにおけるスペクトルバランスの変化を光形態形成反応の機能の変化として把握することができる。 【0025】 本発明に関して、太陽光併用型の育成ハウスや植物工場では、全ての可視光を含む太陽光が育成植物に常に照射されているから、太陽光を完全に遮断する完全制御型のシステムと比べて人工光源の照度および照射時間が少なくてもよいうえに、前記のR/Bの比およびR/FRの比を利用して植物の理想的な育成を行なうことが期待できる。つまり、補光によって透過太陽光のR/Bの比およびR/FRの比を変化させ、より自然繁殖に近い状態を現出させると、栽培植物の生育をより促進し且つその栄養成分が露地栽培のものと比肩または凌駕することが可能になると推定できる。 【0026】 この確認のため、太陽光併用型の育成ハウスや植物工場で用いるポリエチレンのビニルシートについて、高知県において平成16年5月25日に、太陽光が該ビニルシートを透過した際の変化を放射輝度計(商品名:SR−2、トプコン製)によって測定し、その測定結果を図2から図4に示す。図2では、厚さ0.05mmのビニルシートで組み立てた育成ハウス(縦2m、横2.5m、高さ2m)内で、該ビニルシートを透過した太陽光の可視光線を測定し、図3では3分後にビニルシート外の同一場所で測定し、図3はさらに3分後にビニルシート外の同一場所で測定し、これらは実験条件に関する記録である。放射輝度計は三脚で固定し、3回の測定中には移動させず、該放射輝度計と白色板との角度はすべて同一角度である。 【0027】 図2から図4の測定結果から、放射輝度に関して、 透過率=[シート内/シート外1+(シート外1−シート外2)]×100=[116.71/130.64+(130.64−130.62)]×100=89.36(%) である。測定日は快晴日で35秒の測定時間中照度は安定している(図2から図4参照)。つまり、3分間の時間差により生ずる太陽光の輝度低下は、上式においてシート外1と外2の差を外1に加算することによって校正した。校正精度はシート外1から外2までの3分間の輝度低下とシート内から外1までの3分間のそれが同一であれば校正精度100%という性格の校正法を採用した。実際の輝度低下は、図2〜4の測定条件を参照すれば判るように、シート内と外1の間に生ずる照度低下と外1と外2の間に生ずる照度低下がともに1000ルクスである。したがって、3分間の時刻の差は上記校正法で求めることによって実験結果に大した影響はないと推定する。 【0028】 ビニルシートを透過する前と後で光の比が、どのように変化したかを算出して、下記の表1〜3に示す。 【0029】 【表1】
【0030】 【表2】
【0031】 【表3】
【0032】 表1〜3では、シート内と外1と外2の測定時刻がそれぞれ3分間隔であるから、シート外1と外2の差をシート外1に加算することによって下式が成立する。 シート内測定時刻のシート外の太陽光スペクトル=(シート外1のスペクトル)+[(シート外1のスペクトル)−(シート外2のスペクトル) この式で求めたスペクトルがビニルシートを透過する前の太陽光であり、シート内の測定地がビニルシートを透過した彼の太陽光である。この等式を使用してシート内測定時刻のシート外の太陽光スペクトルを算出し、さらに光の比を算出する。 【0033】 ビニルシートを透過する前の光の比 R/Bの比=4.5835271/3.2408204≒1.4143107 R/FRの比=4.5835271/2.9729010≒1.5417692 ビニルシートを透過した後の光の比 R/Bの比=4.1935218/2.7541377≒1.5226260 R/FRの比=4.1935218/2.7818510≒1.5074574 【0034】 ポリエチレンのビニルシートを太陽光が透過した時の、透過前と後の光の比を表3に示す。太陽光はポリエチレンのビニルシートを透過すると、透過前よりも透過後の方がR/Bの比は大きくなり、R/FRの比は小さくなる。この現象は、波長が短いほど減衰が大きいために透過率が小さくなるという物理現象である。 【0035】 次に、それぞれの種の原種が他の種と共存し群落を作り繁殖していた場所、つまりそれぞれの農作物の原種が発生した故郷の群落の光環境を推認するために放射輝度計で木陰の測定を行なう。植物の故郷の群落つまり木陰の光の比を知るために、平成17年9月15日に林の中と外の測定を行なう。この林の状態と天候は、高知県におけるすべり山という一般的な場所である。放射輝度とスペクトルの測定値は、図5〜8の棒グラフに示す。この棒グラフは、木陰を林の中そして林の外を日向と表示する。図5および図6の太陽光1と、図7および図8の太陽光2は、林の中と日向を3分以内に測定し1セットとして表示している。林の中と日向とでは縦軸の放射輝度(日向に単位を合わせると日陰の棒グラフが低すぎる)が極端に異なるので、林の中の棒グラフの傾向がつかみにくい。したがって、林の中の棒グラフの縦軸ひと目盛りの数値を変えて、スペクトルのパターンを把握しやすくした。これら3つの棒グラフを2セット添付している。日向つまり裸地(露地)で直接照射される太陽光を測定したスペクトルと、林の中つまり群落内部へ差し込む太陽光を測定したスペクトルを比較すると、そのバランスは大きく変化している。下記の表4において、光の比の変化を示す。 【0036】 【表4】
【0037】 表4において、木陰の照度は、時刻14:42で1500ルクス、時刻14:49で2000ルクスである。このデータの問題点は数々あり、雲の有無つまり時刻が7分しか経過してないのに1.7万ルクスもの照度低下は薄雲が多いことを意味し、中途半端な測定時刻であり、その測定を2回しかしておらず、そして木が鬱蒼とし過ぎているために太陽光を暗くし過ぎている。この測定によって得られた結論は、日向よりも木陰の方がR/Bの比とR/FRの比はともに小さくなることである。平成17年9月24日に、これらの問題を解消する目的で、高知県の住宅の庭の木陰および葉陰を測定し、その測定値を図9〜26に示す。また、表5〜7に木陰と日向のR/Bの比とR/FRの比を示す。 【0038】 【表5】
【0039】 【表6】
【0040】 【表7】
【0041】 この測定では、木陰の測定後3分以内に日向を測定し、これを1組として9組の測定を行なう。木陰の測定は木陰の放射輝度測定中(測定時間35秒)の日向の照度を日向照度として記録した。これは、放射輝度測定のスタート時の照度と終了時の照度、さらにその35秒間の最高照度と最低照度を測定して記録している。木陰照度は、参考のために放射輝度測定直後に別の照度計で測定している。 【0042】 日向の測定は日向の放射輝度測定中の日向の照度を測定し、日向照度として記録している。茂みの中央、左、右、は、一般的な住宅の庭の測定場所である。つまり、木陰にも暗さの程度があるので、別々の暗さの場所を測定場所として時刻の変化で光の比がどのように変化するかを測定する。測定日の測定時刻は、雲ひとつない快晴であった。しかし、表5〜7の時刻11:25から12:24までの照度変化では薄雲があったことを示している。薄雲の多さの傾向を検討すると、最も明るい正午に近づくにつれて照度が上昇せねばならないのに降下している。 【0043】 時刻11:29 69000ルクス 時刻11:32 68000ルクス 前記の照度変化:[l−(68000÷69000)]×100≒1.45(%) 時刻11:52 70000ルクス 時刻11:56 69000ルクス 前記の照度変化:[l−(69000÷70000)]×100≒1.43(%) 【0044】 また、放射輝度測定中の85秒の間に、太陽光照度がどれだけ安定しているかを知るために誤差を算出した。表5〜7の誤差欄を参照すれば判るように測定中の太陽光は雲が掛かっているにもかかわらず、かなり安定している。誤差は0%〜1.45%であり18回の測定で誤差0%が10回で56%、1%以上の誤差3回で17%であった。したがって、表5〜7に示した光の比は雲が掛かっている状態ではあるが、測定中の太陽光の誤差を考慮の上であればデータとして十分に信頼できる。図27〜30では、光の比の時刻による変化を折れ線グラフとして示し、折れ線グラフには照度と誤差を併記した。今回の測定の結果として、日向のR/Bの比およびR/FRの比よりも、日陰のR/Bの比およびR/FRの比は小さくなり、葉陰、草陰など、植物の種類および密生の度合で暗さの程度が異なり、光の比も異なるという傾向がある。 【0045】 各農作物の原種は、その産地の環境(温度、湿度、通風、水捌けなど)と、その産地の天候(年間の快晴、晴れ、曇り、雨の割合)に適応した形態と光合成機能を持って発生する。この発生は動物や昆虫などと同様に、発生個体にとってその環境が最高に近い繁殖環境であると推定できる。人間と同様に、植物もある程度悪環境に適応できるけれども、やはり最も適した環境があるのが当然である。植物である農作物は、勝手に群落から裸地へ適応したのではなく、人間によって農作物として群落から引き出されたのが事実である。群落と、そこから引き出された裸地と、閉じ込められているビニルハウス内部とにおける光の比は、前述の通りである。すなわち、群落内部では光の比は裸地よりも小さく、ビニルハウス内では裸地よりもR/Bの比は大きく且つR/FRの比は小さくなる。 【0046】 農作物は、原種が適応して繁殖していた群落内から引き出され、単一種の群落として太陽光を浴びることになる。したがって、光の比は、裸地(露地)において、相対的にR/Bの比およびR/FRの比がともに大きくなる方向に変化する。この光の比について、植物と天候を関連させた図31によって説明する。 【0047】 それぞれの植物は群落内で生まれ、各植物にとって群落は好適な生存環境である。各植物の原種が他の種と共存して群落を作り、その群落内部のどの位置に適応して繁殖していたかを正確に把握することは不可能であり、現在では群落内部のその繁殖位置の光の比を正確に把握することはできない。ただし、陰性植物や半陰性植物の中には、ワサビのように原種の繁殖が確認されたり定性的に再現できる種も存在する。この場合には、原種が発生した環境が存在するので特定可能である。前記のように、群落内の太陽光は、裸地の太陽光と違って葉陰、草陰、木陰などが群落内部の位置が異なると明るさの程度も光の比も異なり、光の比が大き過ぎても小さ過ぎても居心地が良くないから、例えば、図31においてトマトとキュウリを入れ替えることは好ましくない。 【0048】 ナスについて、農作物として単一群落で露地栽培するために、居心地の良い群落の環境から引き出された裸地では、その光の比は居心地の良い群落の環境よりもR/Bの比およびR/FRの比ともに大き過ぎる。ハウスで栽培されるナスは、裸地の太陽光がビニル内へ透過する時に、短い波長は通りにくいために、裸地よりもR/Bの比は大きく且つR/FRの比は小さくなる。 【0049】 植物にとって、光飽和点と必要最低照度がともに低いほど、一日間の有効繁殖照度領域が長時間となって有利であるから、前記の仮説が正しいことになるけれども、それぞれの植物について光飽和点と必要最低照度はそれぞれ異なっている。これは、それぞれの植物の原種がどの場所におけるどのような群落内のどの位置に発生したかに応じて、それぞれの位置の光環境に適応して光飽和点と必要最低照度が定まり、それを現在でもそのまま保持しているからである。 【0050】 雲が太陽の光環境に与える影響について考察する。天気に影響する雲の種類は、薄曇りとなる上空の巻雲またはそれ以外の雲に大別される。それ以外の雲は、下層の雲である浮雲や綿雲のような積雲、層積雲、中層にできる羊雲などの高積雲があり、さらにその上に前線の雨雲である高層雲がある。積雲が発達すると積乱雲となる。積雲や層積雲は、雲と雲の間に巻雲のような薄雲さえ無ければそこは大快晴であり、少しの薄雲があっても快晴である。この場合、例えば雲が空全体の60%でも残りの40%は快晴であるが、太陽の軌道上に雲が集まれば例え雲の割合が60%であっても快晴時間は短縮される。逆に、太陽の軌道を雲がさえぎらなければ、快晴時間は延長される。太陽の軌道に雲が掛かると、薄雲が掛かっただけで照度が低下し、太陽が完全に雲から出れば、約9万ルクスに上昇するようにさらに照度が大きくなる。積雲、層積雲などの場合には、雲が掛かるだけで4〜5万ルクス以下にまで太陽光を暗くするし、雲から出ると巻雲のような薄雲さえなければ快晴の明るさになる。次に、薄雲80%以下の晴れである薄曇りの場合には、薄雲が少なければ明確に影を作るほど強い日照量を持ち、薄雲の割合が80%に近づくにつれて曇天並みに低下する。 【0051】 【表8】
【0052】 【表9】
【0053】 雲が光の比に対してどのような影響を与えているかについて検証するために、高知県において平成16年8月11日(表8参照)と12日(表9参照)の光の比を算出し、表10、11および表12〜15として示す。8月11日と8月12日の実験プログラムと実験条件の一覧表から同一時刻の照度を比較すると、8月11日の方が12日よりも1万数千ルクス暗いことが判る。これは同一時刻であるにもかかわらず、薄雲のために10%以上暗くなっており、その一部を下記に抜粋する。 【0054】 時刻13:04の時:[1−(87000÷98000)]×100≒11.2(%) 時刻13:30の時:[l−(82000÷93000)]×100≒11.8(%) 時刻14:00の時:[l−(70000÷85000)]×100≒17.6(%) 時刻15:00の時:[l一(58000÷66000)]×100≒12.1(%) 【0055】 表10、11および表12〜15によると、光の比に対する雲の影響はR/Bの比を大きくする方向に働くことが判る。これは夕焼けが赤く見える現象、つまり夕方の太陽光は地球大気を斜めに通過するので正午前後よりも夕方に近づくほど大気中の雲や塵に衝突し波長の短い領域は減衰する。しかし波長の長い領域の色つまり赤色は波長の短い青色に比較すると、その波長が大きい分だけ大気中の雲や塵に衝突しにくいので夕焼けは赤く見える。これは一般的に知られている事実であり、8月12日の光の比の表12〜15を見れば、13:04から時刻の経過に伴って、夕方、日没まで遅くなるほどR/Bの比は大きくなる。つまり青色光が減衰して夕焼けがそのまま光の比になって現れていることが判る。 【0056】 【表10】
【0057】 【表11】
【0058】 【表12】
【0059】 【表13】
【0060】 【表14】
【0061】 【表15】
【0062】 次に、8月12日よりも同一時刻で1万数千ルクスも暗い11日の光の比を算出し12日と比較する。これによって雲が光の比に対してどういう影響があるかが判明する。表10、11と表12、13とを比較すると、雲がR/Bの比を大きくすることを明瞭に示している。 【0063】 それぞれの植物の原種は群落内の最も適した照度と光の比の環境下に発生するが、木陰、葉陰、草陰などが暗すぎることは実際に測定することによって確認した。そこで簡略実験として、平成17年10月12日において、植木鉢に植えた植物を日向に出し、葉陰の測定位置における照度を下記の表16に示す。このような日向で55000ルクスの時には、葉陰と葉陰の間は日向であっても、葉陰間の日向は十分暗くなり、1万〜3万ルクスである。葉陰は全ての部分が同一照度ではなく、日向との境界線部分へ近づくにつれて明るくなり、照度が大きく変化し不安定である。この結果から、ナスの光飽和点である4万ルクスの故郷の群落の繁殖点は、一面に木漏れ日が差し込んでいる状況であると推定できる。 【0064】 【表16】
【0065】 曇天や雨天が多い時は、農作物の収穫量が減少したり果物の味が落ちる傾向があることは広く一般に知られている。つまり、植物はR/Bの比、R/FRの比のバランスが崩れている時は収穫や味などが落ちる傾向があると換言できる。ハウス栽培の野菜は、露地栽培のものと比較すると味が違うし、栄養成分のバランスも違うということが広く知られたために、近年、露地栽培の野菜、それも有機肥料による野菜がもてはやされている。植物の成長や成分は、環境によって変化することは当然のことであり、環境条件の中で最も基本となるのは植物生理の原動力となる太陽光であり、太陽光が原動力となって植物の成長やその成分を形成する。換言すれば、一般的に晴れた日が多いほど収穫良好で味も良いという傾向はあるが、この季節は晴れ、曇り、雨の割合がこうなった時が最高であるという研究は行われていないので定量的には不明である。雨天、曇天が極端に多い時は、収穫が少なく味も不十分であることも事実であり、それぞれの植物の旬の季節の、その旬の季節らしい天候が続く時が好適であることは否定できない。したがって、味と栄養成分を農作物本来の状態に近づけるためには、光の比を裸地よりもR/Bの比を小さくしR/FRの比も小さくすべきである。雲が多ければ多いほどビニルシートが厚ければ厚いほどR/Bの比が大きくなるから、味と栄養のバランスが農作物本来の状態と異なってしまう。 【0066】 太陽の光環境における照度について、光飽和点と必要最低照度は定量的に究明されている。また、完全制御型植物工場について、既に光の比が研究されており、R/Bの比は一般に1〜10、R/FR<1の場合が良いというデータが存在する。しかし、太陽光併用型の植物工場やビニルシートやガラスなどの透光資材によって作られた育成ハウス、さらに裸地での着地栽培等においては、光の比のバランスを植物が好むように改善する研究は進んでいない。それぞれの種の原種がどのような群落に属し、その群落内部のどの位置で繁殖していたかに関して、ワサビ、朝鮮人参、山芋などのように現在でもその原種が自然界に繁殖している場合には、R/Bの比、R/FRの比に関する最適範囲を測定・解析して特定することが可能である。一方、現時点では、トマト、ナス、キュウリのように既に自然界で繁殖していない植物について、群落内部のどの位置に適応して繁殖していたのか現在では知ることができず、群落内部のその繁殖位置の光の比について、正確に把握することは不可能である。これらの植物の原種が発生した光環境の特定には、栽培実験によって任意のスペクトルを設定し、栽培結果を比較考察し、さらにスペクトルを変更して栽培実験を繰り返して絞り込んでいく。 【0067】 裸地から群落内へ太陽光が差し込んだ時のR/Bの比は、表4〜7のように、大幅に減少する。表4〜7は、木陰、葉陰での光の比であり、木漏れ日の光の比はこれほど小さくはならないにしても、実際の木漏れ日の光の比も測定すべきである。一方、トマトの光飽和点は7万ルクス、最低必要照度は4.6万ルクスで、ナスの光飽和点4万ルクス、最低必要照度2.4万ルクス、キュウリは光飽和点5.5万ルクス、最低必要照度3万ルクスである(非特許文献3の68、74,115頁を引用)。この照度は、故郷の群落内にそれぞれの種の原種が発生したその繁殖位置での値に相当する。光飽和点以上における光の比を知るために、測定所要時間1秒前後の放射輝度測定器を用いて、良く晴れた日の植物群落内に一面の木漏れ日が差し込む場所を測定する。前述したように、木漏れ日は、照度が大きく変化し不安定であるから必ず木漏れ日の日向と木陰を数多く測定しておくことが望ましい。 【0068】 本発明では、特定のピーク波長を有する光源を用いて、太陽の光の比を当該植物の故郷の群落内の太陽の光の比に近づけるために、該光源として例えばテレビモニタを使用する。前記の非特許文献2の78頁を引用すると、大体640〜690nmの範囲の赤色光と、420〜470nmの範囲の青色光とが有効であり、スペクトル分布を変えた生育実験によれば、植物の健全な生育には、赤色光と青色光がバランスよく配合されていることが望ましく、この二つのスペクトルの比はR/Bの比と呼ばれ、この値は一般に1〜10の範囲がよいと開示している。自然の太陽光下では、赤〜青まで7色の光がバランス良く配合されているから、このバランスを壊す必要はなく、太陽光が故郷の群落内へ差し込む前と後で、そのスペクトルバランスを適切に変化させることが必要である。 【0069】 前記のように、太陽光は、群落内へ差し込むことによってR/Bの比およびR/FRの比の両方ともに低下する。本発明では、自然の太陽光スペクトル分布を人工光源によって当該植物の故郷の群落内に差し込む太陽光のスペクトルバランスに近づける生育実験を行っている。 【0070】 栽培実験に使用するテレビモニタ1(図32および図33を参照)には、パソコン2をモニターケーブル(図示しない)を介して接続し、パソコン2の色設定機能を使って、紫色光は表17を参照し、赤色光は表18を参照して調節する。調節した結果を放射輝度計3(商品名:SR−2)で測定し、その測定態様について図34と図35を参照すればよい。測定データは、縦軸を太陽光の測定データの単位に合わせて作る。使用したテレビモニタ1は下記の通りである。図34と図35において、輝度計3は、水平台5の上に載置し、該水平台とテレビモニタ1は比較的大きい檜の板6の上に配置する。テレビモニタ1と水平台5との水平距離は431mmである。板6の上には、テレビモニタ1と水平台5との間に土7を薄く敷いて水平にならす。土7は、板6による光の反射を防ぐために敷設している。 【0071】 【表17】
【0072】 【表18】
【0073】 紫色光表示のモニタについて TVメーカ:SONY(モデル:CPI)−17SF9,トリニトロンカラー コンピュータディスプレイ 赤色光表示のモニタについて TVメーカ:DELL(モデル:No./型号:DlO28L) 【0074】 用いる放射輝度計の測定条件を下記に示す。 (1)メーカ:株式会社トプコン (2)商品名称:SR−2 (3)測定角 テレビモニタのブラウン管の測定角は、表19のように2度であり、これ以外の測定角は0.2度を使用する。 (4)測定距離と測定径(mmφ)の関係は表19に示す。 【0075】 【表19】
【0076】 (5)キャリブレーション モニタの受光素子には光電子倍管を使用している。この受光素子は、時間による感度変化が多少あるので、1時間に1回程度のキャリブレーションを行なう。 (6)精度 輝度 ±2.5%以内 (標準の光Aに対して) 色度 ±0.002以内(標準の光Aに対して) 精度保証範囲 測定角 20 1〜2000 cd/m2 0.20 100〜200000 cd/m2 波長 ±0.3nm(但し、水銀の特定輝線に対して) (7)応答速度 測定時間:約35秒(ローカル測定、測定角2度、標準の光A 5cd/m2を超える) (8)放射輝度の測定条件 輝度とは、ある方向から見た物の輝きである。1m2当たり1カンデラの輝度を1ニトという。照度が単位面積当りにどれだけ光が到達しているのかを表わすのに対し、輝度はその結果、ある方向から見た時どれだけ明るく見えるかを表わす。したがって、放射輝度計の測定法について、その取扱説明書に下記の注意書きが明記されている。 【0077】 図36のように白色板8は光源10と直交し、放射輝度計(商品名:SR−2)3は白色板8に対して45度の角度で測定するか、または図37のように白色板8に対して輝度計3は90度の角度で測定し、光源10からの光を45度で受ける。ある方向から見た時の見たままの明るさが測定値として得られるから、平成17年9月15日と9月24日の測定は白色板8に対して太陽光の入射角が時刻の経過に伴って変化する明るさを輝度計3が図36の角度(45度)で測定した。平成16年8月11日12日と10月13日16日の測定は、太陽光の入射角が白色板8に対して時刻の経過に伴って変化する明るさを輝度計3が図37の角度(90度)で測定した。図38において、放射輝度計3を治具9に取り付け、図37に示す測定位置を具体的に示す。 【0078】 測定法 (1)測定は日没後に暗闇で実施する。付近に街路灯があったが、測定機器に直射はしていない。この街路灯の影響は、測定目的を阻害するほどではない。 (2)測定の手順は午後5:35にSR−2の電源を入れて、午後6:35と午後7:35にキャリブレーションしてから測定した。 (3)測定結果は表20および表21に示す。 【0079】 【表20】
【0080】 【表21】
【0081】 前記の補光条件を有するテレビモニタを図32と図33に示す育成ハウスに設置し、ナスに対して図39のように照射した。図39(2)は栽培植物22に近接させて設置した光源に、成長した植物の葉が接触している様子を示している。この際に、植物の葉がモニタに接触してもよいか、さらに光が植物の一部の葉だけに当たることが育成に関してどのように影響するかということを検討する。光源の接触に関しては、太陽光の熱はその大半が赤外線により、可視光の範囲は380〜780nmであって可視光であっても波長が長くなるにつれて熱が高くなる。一方、植物は、葉の気孔から水分を蒸発させ、その気化熱によって温度の上昇を防ぐと同時に最も適した葉温になるように調節する。太陽光下の植物葉とその近傍の温度は、日向の温度と風通しのない暗箱内の温度と比較照合すれば判るようにかなり高温である(表22の温度欄の葉始めと葉終わりの温度を参照)。植物は動物のように移動ができないために、植物は人間に比べるとかなりの高温域まで適性を持ち、太陽の可視光領域の波長であれば葉に接触させても問題はない。 【0082】 【表22】
注)葉の直上とは葉先から30cm程度上方に温度計を吊るして測定し、箱の中とは密閉された暗箱の中の温度である。 【0083】 光が植物の一部の葉だけに当ることに関し、それぞれの農作物の原種は、通常、該農作物の原種にとって最も適した環境下に発生すると推定できる。農作物の原種は、最適の環境下つまり故郷の群落内で発生したのに、その故郷の群落内から裸地に引き出され、農作物として露地栽培されており、この事実の証拠となるのが農作物の光飽和点と必要最低照度である。植物にとって光飽和点と必要最低照度はともに低いほど、一日の有効繁殖頻度領域が長時間となるので有利である。それぞれの農作物が地球に発生した場所、それが全て裸地の露地であるのならば、光飽和点や必要最低照度は各農作物についてほぼ一律でなくてはならないのに、実際には表23に示すように大きく異なっている。この理由として考えられるのは、それぞれの農作物の原種が発生した場所が異なっていると推定するしかない。表23には、いくつかの農作物の光飽和点と必要最低照度を表示する。 【0084】 【表23】
【0085】 日向の照度は、前記の表8と表9、表22および表24および表25を参照すれば明らかであるように、表23に示す植物が好む光飽和点と必要最低照度に比べて、明るすぎることが明瞭に表れている。一方、日陰については、表4〜7および表23を参照すると判るように、暗すぎることが明瞭である。つまり、植物にとって表23の最適の照度に比べて、日向は明る過ぎ且つ日陰は暗過ぎる。それぞれの農作物の原種が発生した光環境は、日向でも日陰でもないことから、残るのは木漏れ日の状態しかない。木漏れ日を人工的に作って測定した表16およびその状況から判るように、木陰と木漏れ日は全体として1万ルクスから3万ルクスまでの範囲にある。 【0086】 【表24】
【0087】 【表25】
【0088】 木陰と木漏れ日には下記のような特徴がある。 1.日向が55000ルクスの時、木陰と木陰の間の日向つまり木漏れ日は31000ルクスである。木漏れ日は日向であっても、裸地の日向よりもかなり暗い。 2.木漏れ日の照度は木陰に近づけば近づくほど低下する。 3.木陰の照度は日向に近づくほどに上昇する。 【0089】 それぞれの農作物の原種の故郷の群落内の光環境は、明るさもスペクトルも一定ではない。さらに時刻の変化に伴って太陽の角度が変化するに連れて木陰の位置もゆるやかに移動する。このように群落内の木漏れ日の明るさとそれに伴うスペクトルのバランスつまり光の比は、大きくバラついていると同時に不安定である。それぞれの農作物の原種は、木漏れ日という明るさも光の比もともに広い範囲でばらついている光環境の中に発生したから、裸地での露地裁培のように全ての葉に均一な光が均一に当たる必要はなく、図39(2)に示すように光源と栽培植物22の葉が接触してもよい。高い発熱を伴う光源、例えば高圧ナトリウムランプ、水銀ランプ、メタルハライドランプまたは蛍光灯などは、葉に接触させるべきでない。一方、LED、FEおよびテレビモニタのバックライトのように、発熱量が小さい光源は、表22における葉始めと葉終わりの温度測定を行い、確認の上で接触させることが可能である。光が植物の一部の葉だけに当たっても育成に何ら影響がないから、光源を図39(2)のように一部の葉に接触照射てもよく、植物の茎に巻き付けたり垂らしてもよい。 【0090】 葉をテレビモニタに接触させることにより、どれだけ明るさが増加するかを測定した。テレビモニタ画面から40mmの個所で赤色光が26〜27.4ルクスの時に、照度計をテレビモニタ画面に接触させると31.4〜32.4ルクスであった。この効率として、[1−(27÷32)]×100=15.6(%)向上する。一方、紫色光は40mmの個所で74.5〜76.2ルクスの時、接触させると83.1〜84.8ルクスであった。この効率として、[l−(75÷84)]×100=10.7(%)向上する。 【0091】 表5〜7に示す日向の光の比は、厳密には木漏れ日に相当する。表5〜7の測定場所は、庭木と家の陰に囲まれた場所であり、天候は晴れである。また、晴れの天候である場所の照度は午前ll時11分に52000ルクスであり、その隣の駐車場で午前ll時10分に74000ルクスであるように、同じ日向でも、広く開いた場所よりも庭木や家の影に囲まれた場所は非常に暗い。このため、ビニルハウスに太陽光を遮る障害物を取り付けて木漏れ日を作ればよい。例えば、トマト、ナス、キュウリなどが、群落内部のどの位置の光環境に適応して発生したかを把握することは不可能であるから、これらの原種が発生した光環境を特定するには、太陽光を遮る障害物によって木漏れ日を作り、この木漏れ日のスペクトルを調節してそれぞれの原種が発生した群落内のスペクトルバランスに近づける。このために、選択発色できる発光素子として、特定の波長の光を作り出せる各種の光源が開発されているから、これらの光源を使って光の比をつまりスペクトルを変化させて栽培実験を行ない、いくつかのスペクトルを設定して栽培結果を比較検討することにより、栽培実験を繰り返してスペクトルを絞り込んでいくことで特定すればよい。 【発明の効果】 【0092】 本発明に係る植物の育成方法は、果菜類や葉菜類について補光の有効範囲を拡大するとともに、補光コストの大幅な低減と補光効果の大幅な向上を実現する。本発明の育成方法は、光の比を変えるだけの低い電気料金で所定の補光効果を発現でき、例えばナスの場合では84ルクスで所定の補光効果を発現する。従来では、ナス、トマト、キュウリなどの果菜類は、開花、結実のために非常に強い光を必要とするため、完全制御型の植物工場での栽培は不可能であるとされ、太陽光併用型の植物工場においても、高輝度で非常に明るい光を補光として照射しなければ生産量が向上せず、生産量が向上しても電気料金が高額となるので実用化されていない。 【0093】 本発明に係る育成ハウスまたは植物工場は、植物育成用のFE光源やLED光源などを用いることによって小型化を達成してコンパクトな太陽光併用型の設備になる。この育成ハウスでは、裸地での露地栽培の光の比よりもR/Bの比、R/FRの比をともに小さくすることにより、レタスや小松菜などの葉菜類、ナスなどの果菜類、ワサビなどの根菜類の栽培植物について、生育期間の点において相当に短期間の栽培が可能となると同時に、栄養成分、味や香りについても、農作物本来の栄養成分、味、香りに戻す。現状では、農作物は旬の露地栽培から周年栽培可能な施設農業に移行するに伴い、味も栄養成分のバランスも濃度も劣化する方向に変化しているため、露地栽培の野菜であって特に有機肥料で無農薬の野菜がもてはやされている。本発明方法は、現在の施設農業を改善して旬の露地栽培の前の状態である農作物の原種が発生した光環境に近づけるから、農作物本来の栄養成分、味、香りに戻し、栽培植物を食材としての商品価値を高める。 【0094】 本発明の育成ハウスで用いるFE光源やLED光源などの微発熱光源は、低い輝度で透過太陽光の比を植物育成に適した値に変化させることが可能であり、徴発熱であるので常に栽培植物に近接および接触配置することができ、従来よりも照明および冷房に要する電気料金を削減できる。微発熱光源を用いると、太陽光併用の育成ハウスや植物工場において、夏期の冷房電気代などで工場のランニングコストが低くなり、採算性が向上して太陽光併用の育成ハウスや植物工場の普及を促進させる。この微発熱光源は、栽培植物に近接および接触配置しても、徴発熱であるので栽培植物に葉焼けが発生しない。 【実施例1】 【0095】 次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。実施例1では、太陽光併用の育成ハウス11(図32)において、赤色光および青色光の混合である紫色光を照射するテレビモニタ1の画面を太陽光の補光として用い、果菜であるナス(種子:千両2号、タキイ交配製)について生育速度および栄養成分を測定した。測定結果として、混合光である紫色光を照射するテレビモニタ画面を太陽光の補光として用い、果菜であるナス(種子:千両2号、タキイ交配製)について生育速度および栄養成分を測定した。測定結果には、補光として赤色光を照射する場合(比較例1)と、補光せずに太陽光だけで栽培する場合(比較例2)を加える。 【0096】 実施例1では、補光光源としてテレビモニタ1を用いる。このテレビモニタは、SONY製のモデル:CPD−17SF9(トリニトロンカラー、コンピュータディスプレイ)である。この補光光源は表17のように調節し、図34と図35に示す配置によって放射輝度計で測定する。 【0097】 この補光光源の測定条件は、前記のように、その赤色光成分のピーク波長は625〜630nmであり、遠赤色光のピーク波長は705〜710nm、青色光成分のピーク波長は445〜450nnである。紫色光の照度は、光源から40mm離れた位置で74.5〜76.2ルクスであり、照度計を接触させると83.1〜84.8ルクスである。この紫色光は、輝度が35.07(cd/m2)、放射輝度が0.31(w/srm2)である。 【0098】 比較例1では、補光光源として赤色光のテレビモニタ画面を用い、このテレビモニタは、DELL製のモデルNo./型号:DlO28Lであり、赤色光のピーク波長は625〜630nmであり、遠赤色光のピーク波長は705〜710nmである。赤色光の照度は、光源から40mm離れた位置で26.0〜27.4ルクスであり、照度計を接触させると31.4〜32.4ルクスである。この赤色光の調節は表18のように調節し、実施例1と同様に図34と図35に示す配置によって放射輝度計で測定する。その測定条件は、前記のように、その赤色光は輝度が16.64(cd/m2)、放射輝度が0.08(w/srm2)である。 【0099】 比較例2では、補光せずに太陽光だけで栽培する。 【0100】 育成ハウス11は、図32および図33に示すように、水平のベニヤ板12の上に園芸マット13を水平に載せ、該園芸マットの4枚の仕切り板15を平行に立設する。各仕切り板15は高さ2250mm×幅760mmであり、高さ350mm×横2280mmである2枚の支持板16で固定する。3区画17の中央にそれぞれ高さ350mm×縦横350mmのベニヤ板製の鉢18を置き、該鉢の底壁中央に直径4mmの貫通孔20を形成する。育成ハウス11は、各仕切り15,15間の全体をポリエチレンシート21で覆う。 【0101】 実験の順序として、実施例1および比較例1と2に用いるナスの種子を、平成16年12月7日に100ppmのジベレリン溶液に一晩漬ける。ついで12月8日に、種子をpH2.6以下の強酸性水に一晩漬け、種子を消毒する。12月9日から、5〜6℃の冷蔵庫で1日保管する。播種は12月10日に行なう。 【0102】 播種は、ポリエチレンシートで覆った縦横300mm×横720mmの苗床に8cm間隔の条播きにする。種子が本葉6枚程度の苗に育ったら、3個の鉢18の中央にそれぞれ定植する。各苗は目視で同じぐらいの大きさのものを選定し、写真撮影しておく。定植直後にジョロでいずれかの鉢18に水を散布し、その鉢の底から水が落ちた時点で停止する。この時の水の量をあらかじめ計量しておき、他の2個の鉢18にも同量の水を散布する。3個の鉢18を育成ハウス11に入れる。 【0103】 育成ハウス11内において、実施例1および比較例1で用いるテレビモニタ1の画面は、栽培植物22であるナスの苗に近接させて設置する。この設置位置は、例えば、定植時には図39(1)であり、生育すると図39(2)になる。テレビモニタ1の画面は、朝4時から夕方の7時30分まで点灯する。また、補光目的が光の比改善であることから曇天や雨天などの天候にかかわらず毎日点灯する。 【0104】 育成時における日の出、日の入りについて、日の出前の曙、東雲、日の入り直後の黄昏などを含めて太陽が傾くことにより、太陽光が昼間よりも大気中を通過する距離が長くなって光の比が大きくなる(表10〜11および表12〜15を参照)。この光の比を改善する目的で、日の出直前から日の入り直後まで補光する。これは補光照度が低いために微調節の効果を見込んで実施した。補光照度を高くするにしたがって、補光スタート時刻と終了時刻は育成実験による比較検証を実施して決める必要がある。 【0105】 実施例1における実施期間中の日の出、日の入り時刻は下記の通りである。 4月22日:6時41分(日の入り) 4月23日:6時42分(日の入り) 5月31日:4時57分(日の出)、7時10分(日の入り) 6月 5日:4時55分(日の出)、7時13分(日の入り) 6月 9日:4時55分(日の出)、7時15分(日の入り) 【0106】 育成時において、散水は毎日行なう。散水量はジョロを用いて1日2リットルとする。育成過程において、接ぎ木、整枝、剪定などを一切行わず、自然の状態で生育速度を測定する。3本のナスの苗について、開花結実後に葉が黄緑色になって枯れかけたので、園芸化成肥料(レジャーライフ製)を4月13日に3本それぞれに15gずつ施した。実施例1、比較例1、比較例2について、開花の記録を図40〜42に表示する。 【0107】 実施例1におけるナス果実の収穫(図40参照): トマトトーンをつけた日以降は結実日と称する。 4月19日:成熟40g 5月 6日:成熟115g 5月19日:成熟52g(結実日4月26日、結実日から収穫までの期間23日) 成熟67g(結実日4月30日、結実日から収穫までの期間19日) 成熟50g(結実日5月2日、結実日から収穫までの期間17日) 6月 1日:未成熟39g(結実日5月6日、結実日から収穫までの期間26日) 未成熟28g(結実日5月6日、結実日から収穫までの期間26日) 未成熟19g(結実日5月9日、結実日から収穫までの期間23日) 未成熟17g(結実日5月9日、結実日から収穫までの期間23日) 6月 3日:未成熟12.5g(結実日5月14日、結実日から収穫までの期間20日) 6月15日:未成熟10g(結実日5月25日、結実日から収穫までの期間21日) 【0108】 比較例1におけるナス果実の収穫(図41参照) 4月19日:成熟50g 成熟65g(結実日4月7日、結実目から収穫までの期間12日) 5月26日:成熟66g(結実日5月6日、結実日から収穫までの期間20日) 成熟75g(結実日5月6日、結実日から収穫までの期間20日) 5月31日:成熟55g(結実日5月9日、結実日から収穫までの期間22日) 6月 8日:未成熟13g(結実日5月11日、結実日から収穫までの期間28日) 未成熟12.5g(結実日5月16日、結実日から収穫までの期間23日) 未成熟17.5g(結実日5月17日、結実日から収穫までの期間22日) 6月15日:未成熟5g 【0109】 比較例2におけるナス果実の収穫(図42参照) 4月19日:成熟50g(結実日4月7日、結実日から収穫までの期間12日) 成熟50g(結実日3月31日、結実日から収穫までの期間19日) 5月31日:成熟45g(結実日5月11日、結実日から収穫までの期間20日) 未成熟30g(結実日5月11日、結実日から収穫までの期間20日) 未成熟34g(結実日5月11日、結実日から収穫までの期間20日) 未成熟22g(結実日5月11日、結実日から収穫までの期間20日) 6月 8日:未成熟13g(結実日5月9日、結実日から収穫までの期間30日) 未成熟18g(結実日5月16日、結実日から収穫までの期間23日) 6月15日:未成熟7g(結実日6月3日、結実日から収穫までの期間12日) 未成熟25g(結実目5月31日、結実日から収穫までの期間15日) 未成熟21g(結実日5月31日、結実日から収穫までの期間15日) 【0110】 実験結果の解析 光飽和点とは光合成速度飽和光強度のことであり、太陽光の可視光の中で光合成能力の大きな波長とその波長領域は、青色光の420〜470nm(445nmピーク)の範囲と赤色光の640〜690nm(465nmピーク)の範囲とされている。したがって、上記の波長領域であれば赤色光でも赤色と青色の混合光でも、補光よって太陽光スペクトルにおける補光された波長を増幅する。光合成能力の大きい波長を増幅することにより、植物の育成が促進されることが明らかである。 【0111】 次に、補光によって成長力と栄養成分量がバランス良く促進されることをこの実施例の実験条件と結果から立証できる事実を説明する。この実験における光条件は、前記のように下記の通りである。 比較例2(表ではA): 市販のビニルハウスを裸地に設置し、自然の太陽光のみを照射する。 比較例1(以下の表ではB): 前記Aのビニルハウス内に、赤色光だけを補光する。 実施例1(以下の表ではC): 前記Aのビニルハウス内に、赤色と青色の混合光を補光する。 【0112】 この実験の結果の概要を表26に再表示する。 【表26】
【0113】 表26から、 1.収穫量を多いものから順に並べると実施例1、比較例1、比較例2である。 2.栄養成分を多いものから順に並べると実施例1、比較例2、比較例1である。 【0114】 これを考察するに際し、開花時におけるホルモン剤の処理後から収穫までの日数を一覧にすると下記の表27になり、この結果はすべて同一肥料、同一施肥量である。 【0115】 【表27】
【0116】 表26から、成熟・未成熟を含めた全収穫重量で比較すると、実施例1は比較例2の1.67倍、比較例1は比較例2の1.35倍であり、これは1回限りの施肥且つ同一施肥量における結果にすぎない。実際の栽培では、長期間の断続的な施肥によって得られた成熟果実のみの収穫量で比較するのに対し、この実験の施肥は1回限りである。したがって、長期間断続的な施肥によって成熟果実がどれだけ収穫できるかについて、開花、収穫そして枯れるまでに他のデータを含めた総合的な考察を行なうべきであり、この考察を以下で行っている。 【0117】 表26から、成熟果実数について、実施例1は比較例2の1.67倍、比較例1も比較例2の1.67倍であり、成熟果実の総重量について、実施例1は比較例2の2.23倍、比較例1は比較例2の2.14倍である。この数値が、この実験における「実際の栽培における収穫量」を考察するための値になる。比較例2、比較例1、実施例1には、基本的にこの値だけの相違がある、実際には、ナスは成熟果実の収穫が始まると、10日〜14日に1回程度施肥し、収穫・施肥を繰り返しながら栽培していく。 【0118】 野菜栽培の基礎(鈴木芳夫他著、社団法人農山漁村文化協会発行)の183、187頁を引用すると、ナスはふつう一つの花房に数個の花芽ができ、そのうち一つだけが発育してほかは退化する。花の寿命は長く、3〜4日は開花をつづけ、開花前日から開花後2〜3日間は受精能力がある。ナスは開花後50〜60日で成熟し、成熟すると艶がなくなって黄かっ色となる。生食用は、開花後15〜20日の種子の硬化がはじまらないうちの未成熟のものを収穫する。その大きさは、品種の特性、市場の好み、用途などによって異なり、ふつうの品種では80g程度である。 【0119】 前記のように、ナスは開花すれば17〜18日後が収穫日である。このため、施肥後何日目に開花したかが、重要ファクターとなる(図43参照)。 つまり、実施例1は施肥後13日目に開花し、ホルモン剤によって結実させた。 比較例1は施肥後23日日に開花した。 比較例2は施肥後26日日に開花した。 【0120】 ナスは花にホルモン剤を噴霧することによって、開花したらほとんど確実に結実して収穫できるから、農作業を怠けさえしない限り、花の数は収穫個数に近似する。施肥は一番果実の収穫の少し前から行なう。施肥はその果実の数に合わせて量を加減する。これ以降の施肥は、葉の数、草丈、幹の太さ、果実の数などを観察して量を加減し、定期的に行なう。この点から、表26に示す収穫量において、比較例2、比較例1、実施例1の未成熟果実数とその重量を比較することは無意味であり、未成熟果実はその後に繰り返される施肥の対象であり、最終的に収穫される。一方、全収穫量は、同一施肥量による照明の効果を示すことになるから比較の対象として有効である。照明の効果として評価すべき点は、図43において開花の終点から枯れるまでの時間である。実施例1は、既に枯れ始め、樹勢が衰退して葉の全てが黄緑で褐色が多くなり、落葉も始まっているのに開花した。図43を参照すれば、この傾向に関して、比較例1よりも比較例2の方が顕著であることが判る。 【0121】 植物は基本的には光合成によって成長する。図1を参照すると、光合成能力も成長分だけ必ず増加する。光合成以外の重要な光反応に光形態形成があり、種子発芽、花芽分化、開化、子葉の展開、葉緑素合成、節間伸長などの植物の質的な変化を誘起する。これには、図1の強光下反応において、赤色光効果、近赤色光効果の動き、つまり赤色光と青色光そして近赤外線のそれぞれがバランス良く配合されている必要がある。農作物は、人間によって故郷の群落から裸地に引き出されて以来、異なった光の比の環境下で栽培され続けているから、光合成能力を増幅し植物の成長を促進すれば、成長力と栄養成分がバランス良く促進されるか否かをこの考察結果から究明する。 【0122】 図43から下記の諸点が明らかである。 1.施肥から開花までの日数 実施例1:13日 比較例1:23日 比較例2:26日 花芽分化、開花は光形態形成であり、光の比が当該植物の好む光である方が順調に開花する。実施例1は比較例1と比較例2に比べて開花が非常に早く、比較例1と比較例2は大差がない。 【0123】 2.開花数(個数) 実施例1:26 比較例1:23 比較例2:22 光の比が当該植物に適している場合の方が開花数が多くなるのは当然である。 【0124】 3.開花の終点と枯れるまでの間隔(日数) 実施例1:0 比較例2:5 比較例1:13 適した光環境下である場合の方が元気で勢いが強い。枯れかけていても葉緑素を作り光形態形成が活発であり生きるエネルギーが強い。 【0125】 4.収穫の終点と枯れるまでの間隔(日数) 実施例1:8 比較例2:8 比較例1:15 比較例2、比較例1ともに2度目の収穫が終点であり、1度目は無肥料で市販の人工培土に含まれていた肥料成分で熟した果実であり、その肥料を吸いつくして全ての葉が黄緑色となり枯れる寸前に施肥した肥料で熟したのが2度目の収穫である。実施例1は3度目の収穫が終点であり、2度目と3度目が施肥した肥料で熟した果実である。実施例1のように枯れる間近かまで果実を成熟させるエネルギを持つことは、バランスの良い光の比を持つ光環境であることの証拠である。 【0126】 5.施肥から枯れるまでの日数 実施例1:44 比較例2:56 比較例1:58 6.全収穫量(成熟・未成熟の合計個数と重量(表28) 【0127】 【表28】
【0128】 ナスは土が肥えていないと落下が増加する。特に果実が成熟する過程で肥料を必要とし、一番果の収穫の少し前から施肥を始めて以後定期的に施す。施肥した肥料を吸いつくすと、未成熟の果実をそのままにして枯れてしまう。光の比が良好な光環境下であると、生命エネルギが旺盛なために、肥料を早く吸いつくして枯れてしまう。 【0129】 全ての可視光は、図1の光合成曲線(1)を参照すれば判るように、それなりに光合成能力を持っているので、補光すればそれなりの効果を発揮する。それ故に、補光なしの比較例2が、最も全収穫重量が少ないのは当然である。従来の補光は、通常5000〜8000ルクスの明るさで実施するのが一般的であるのに、光源から40mm離れた位置で比較例1が26〜27.4ルクス、実施例1は74.5〜76.2ルクスの明るさしかない。実施例1は、前記1〜5に示すように、補光照度の増加が僅かであるにもかかわらず、収穫量が非常に多くなっている。実施例1は、比較例1よりも補光照度が多少大きいけれども、通常の補光の5000〜8000ルクスに比べて50ルクス程度の増加であるから、補光照度が大きいから実施例1の方が比較例1よりも収穫量が多いと結論づけることはできない。実施例1のように、76ルクス程度の補光照度で顕著な効果があること自体が特筆すべき現象であり、この程度の補光照度で大きな作用効果を達成するには、光合成を活発に行なわさせるのではなく、光形態形成効果によって伸長成長を促進させる。光形態形成が比較例1よりも実施例1の方が顕著に大きいのは、太陽光の可視光のバランスが良いからである。一方、合計個数が比較例2より比較例1が少ないのは、太陽光の可視光のバランスを壊して悪化させているからである。 【0130】 前記1〜5項を総合評価すると、光合成について実施例1、比較例1が比較例2よりも大きくなり、光の比について実施例1が比較例1、比較例2よりも非常に良好であることが明瞭である。しかし光の比について比較例1は微妙な関係になる。光の比を大幅に悪化させれば、成熟・未成熟を含めた全収穫数が比較例2よりも少なくなると予想できる。しかし、比較例1の結果は、光合成による成長の力を劣化させるほど悪化せず、光合成速度がむしろ早くなっていることが判る。比較例1について、前記1〜5項の中の1,2項は良化してはいるが大差なし、5項は悪化しているが大差なし、3,4項の合計個数は少し悪化している。全体評価では、比較例1は光の比が少し壊れているが、光合成速度は速くなっている。実施例1は、光合成速度が速くなり、光の比も良化されて両者の相乗効果によって成熟・未成熟を含めた全収穫量が増大する。 【0131】 前記の総合評価を踏まえて、実際の栽培状況をシュミレーションし、図43を参照しながら補光なしの比較例2と比較する。実施例1は、開花するとホルモン剤を噴霧して結実させ、落下防止作業後10日経過時に施肥し、この時には比較例2は未だ未開花である。実施例1が一番果を収穫した頃に、比較例2はやっとホルモン剤を噴霧し終わって数日経過した頃である。実施例1が2回目の施肥を終了して収穫の盛りを迎えている頃に、比較例2はやっと一番果収穫の頃である。しかも、実施例1の光環境は光の比が良い方向に改善されているために、比較例2よりも光形態形成が活発で生命エネルギが強く、1回の施肥当りの収穫量が2.2倍(324÷145≒2.23、表26の成熟果実の重量を参照)であり、施肥の間隔も一般的な10〜14日に1回程度よりも30%程度短く、7日〜10日に1回となる。ナスは肥料に比例して収穫が増加するといえる。さらに、同一の肥料量で2.2倍(表26参照)の収穫があるから、実施例1の収穫量は比較例2に比べて飛躍的に増加すると推測できる。 【0132】 前記の実験結果において、栄養成分を多いものから順に並べると実施例1、比較例2、比較例1である点について考察する。下の表29は栄養成分に関する実験結果である。 【0133】 【表29】
【0134】 栄養成分に関する実験結果は、実施例1の方が比較例2、比較例1よりも微妙ではあっても、良い数値を示している。比較例2と比較例1とではほとんど甲乙付け難い結果であるが、クロロゲン酸に限定して比較すると、下記の通りである。 実施例1は比較例2の1.18倍で、比較例1の1.73〜1.44倍である。 比較例2は比較例1の1.47〜1.22倍である。 【0135】 実施例1、比較例1、比較例2は、カリウムやビタミンKについて大差なしであるにもかかわらず、大差があるのはポリフェノールであるクロロゲン酸のみである。栄養成分についても、収穫量と同様に下記のような結果となる。 実施例1は光の比が改良されている。 比較例1は光の比が少し壊れている。 【0136】 この実施例では、その効果を正確に比較検討できるように、接ぎ木、整枝、剪定などを一切行なわず自然の状態で栽培した。このために、草丈は1m足らずでかなり低く、枝が四方八方へ伸びるために茂みのような状態になる。このような草木において、背の高い先端部や南側の枝や葉に日が当たり、その枝葉の間から木漏れ日がテレビモニタ側の枝葉に当たる状態で栽培が行なわれた。整枝、剪定を行ないながら栽培する一般的な方法と異なり、ナスの木の中ほどから下の部分(図39のテレビモニタ1の画面の部分)は群落内の光環境そのものになる。この実験は比較のために一切の人為的な手入れをせずに行ない、一方、実際の栽培では照度計で測定しながら、この部分の木漏れ日が最も適切な照度(飽和光強度とは限らない)と光の比になるように手入れをすることが重要である。 【0137】 群落内の木漏れ日の光環境については、実施例1、比較例1、比較例2の3例ともに同一環境で栽培している。同一条件であるということは補光なしの太陽光のみで栽培した比較例2も、その原種が発生した故郷の群落内の光の比の中で育ったことになるから、多少でも特別な効果があるはずであるが、栽培実験を実施したのが4月13日からであり、最後の収穫日が6月8日であったために露地栽培できなかった。平成15年度園芸学会春季大会で発表された「ナスの果実品質について」という資料によると 千両二号(品種名)に含まれるクロロゲン酸は0.09g/100gであると記載されているから、比較例2ではクロロゲン酸が0.22g/100g(表29参照)であって2.4倍に増加している。また、海洋深層水利用によってナス(品種名は不明)に含まれるクロロゲン酸を0.061g/100gから0.100g/100gに増加させたという情報を入手している。この方法での増加率は1.64倍であるから、比較例2における増加率の方が大きい。 【0138】 他の栄養成分について、五訂・日本食品標準成分表(科学技術庁資源調査会編、独立行政法人国立印刷局発行)によれば、カリウムは220mg/100gである。一方、比較例2では、カリウムは300mg/100g(表29参照)であり、標準成分の1.4倍になる。したがって、その原種が発生した故郷の群落内の光の比に近づけて栽培することにより、各農作物本来の栄養に近づけうるものと推定できる。 【実施例2】 【0139】 ナスの故郷の群落内の光の比を推認するために、インドとは異なるが日本の一般住宅の庭で3万〜4万ルクスの木漏れ日の光の比を測定した。図44〜55は、上記の木漏れ日と日向の太陽光のスペクトルであり、木漏れ日の放射輝度を測定してから、その2分〜3分以内に日向の放射輝度を測定する。表30〜36において、木漏れ日と日向の光の比の差は、木陰と日向の光の比の差ほど大きくはないことが判る(表4〜7参照)。 【0140】 【表30】
【0141】 【表31】
【0142】 【表32】
【0143】 【表33】
【0144】 【表34】
【0145】 【表35】
【0146】 【表36】
【0147】 テレビモニタ画面の紫色光と赤色光が、太陽光の光の比に対してどれだけ影響力があるかを知るために、表31と表34において、テレビモニタ画面の紫色光(表17参照)を測定太陽光(図46、図49、図52、図54)に加算して得たスペクトルの光の比と、太陽光の光の比(表31と表34)との差を太陽光に紫色光を足す前と後の差として示す。この差が示しているように、テレビモニタ画面の紫色光はR/Bの比を低下させ、R/FRの比を微増させる。同様に、表32と表35において、テレビモニタ画面の赤色光(表18参照)を測定太陽光に加算して得たスペクトルの光の比と、太陽光の光の比(表30と表33)の差を太陽光に赤色光を足す前と後の差として示す。この差が示しているように、テレビモニタ画面の赤色光はR/Bの比とR/FRの比の両方とも微増させる。 【0148】 表3を参照すると、太陽光がビニルシートを透過することでR/Bの比は大きくなり、R/FRの比は小さくなる。一方、太陽光が群落内へ差し込むことによって、R/Bの比およびR/FRの比がともに小さくなり(表4〜7参照)、換言すれば光の比は群落内よりも裸地の方が大きい。つまり、ビニルハウス内においては、R/Bの比およびR/FRの比がともに大きくなる裸地に比べると、裸地よりも光の比のバランスがいっそう大きく崩れていることを示唆している。ビニルハウス内の方が裸地よりも光の比のバランスがいっそう崩れているということは、ハウス栽培された野菜類が露地栽培のものよりも味が劣り、栄養成分のバランスも異なってしまうことの参考になる。 【0149】 テレビモニタ画面の赤色光は、ビニルハウス内で崩れた光の比のバランスのままで、R/Bの比とR/FRの比をともに故郷の群落とは逆方向へつまり高くするため、光の比をさらに悪化させる。その証拠として、表26と表27を参照すると、前記の比較例1は比較例2よりもテレビモニタ画面の赤色光の分だけ光が多いので、光合成速度は速くなっている。また、表29を参照すれば判るように、クロロゲン酸に限定して比較すると、比較例2の方が比較例1よりも1.47〜1.22倍多い。表32と表35に示すように、光の比は僅かしか悪化せず、且つテレビモニタ画面の赤色光の分だけ補光効果があることにより、前記の比較例1は栄養的には問題を多少有していても、育成速度については少し改善されている。 【0150】 テレビモニタ画面の紫色光は、その赤色光成分がテレビモニタ画面の赤色光とほとんど同じであるので、該赤色光成分の効果や影響についてはテレビモニタ画面の赤色光と同様である。一方、紫色光の青色光成分はR/Bの比を小さくする。表30と表36の時において、太陽光が木漏れ日になった時の減少量と、太陽光に紫色光を足す前と後の差(表31参照)を比較すれば判るように、この青色光成分程度の輝度(明るさ)では、日向の太陽光を木漏れ日の太陽光にできない。この反面、整技、剪定などをせずに茂み状態を作り、一部の葉に木漏れ日が当たることとの併合の効果により、前記の実施例1ではかなり大きな効果を得る(表26〜29および図52参照)。要するに、植物の原種が発生した故郷の群落内の光の比により近づけた光でその植物を栽培することにより、栄養成分がその植物本来の状態に近づき、且つ育成速度も速くなることを意味している。 【図面の簡単な説明】 【0151】 【図1】植物の光反応の作用スペクトルを示すグラフである。 【図2】ビニルシートを透過した太陽光をに測定したスペクトルである。 【図3】ビニルシート外の裸地の太陽光をに測定したスペクトルである。 【図4】ビニルシート外の裸地の太陽光を図3の3分後に測定したスペクトルである。 【図5】林の中の木陰で測定したスペクトルであり、スペクトルパターンを把握しやすくするために縦軸の目盛りの単位を変更したもの。 【図6】林の中の日向で測定したスペクトルである。 【図7】林の中の木陰で測定したスペクトルであり、スペクトルパターンを把握しやすくするために縦軸の目盛りの単位を変更している。 【図8】林の中の日向で別の時間に測定したスペクトルである。 【図9】庭の茂みの中央の木陰を測定したスペクトルであり、スペクトルパターンを把握しやすくするために縦軸の目盛りの単位を変更している。 【図10】図9で庭の茂みの中央の木陰を測定した直後に日向を測定したスペクトルである。 【図11】庭の茂みの右の木陰を測定したスペクトルであり、スペクトルパターンを把握しやすくするために縦軸の目盛りの単位を変更している。 【図12】図11で庭の茂みの右の木陰を測定した直後に日向を測定したスペクトルである。 【図13】庭の茂みの左の木陰を測定したスペクトルであり、スペクトルパターンを把握しやすくするために縦軸の目盛りの単位を変更している。 【図14】図13で庭の茂みの左の木陰を測定した直後に日向を測定したスペクトルである。 【図15】庭の茂みの中央の木陰を測定したスペクトルであり、スペクトルパターンを把握しやすくするために縦軸の目盛りの単位を変更している。 【図16】図15で庭の茂みの中央の木陰を測定した直後に日向を測定したスペクトルである。 【図17】庭の茂みの右の木陰を測定したスペクトルであり、スペクトルパターンを把握しやすくするために縦軸の目盛りの単位を変更している。 【図18】図17で庭の茂みの右の木陰を測定した直後に日向を測定したスペクトルである。 【図19】庭の茂みの左の木陰を測定したスペクトルであり、スペクトルパターンを把握しやすくするために縦軸の目盛りの単位を変更している。 【図20】図19で庭の茂みの左の木陰を測定した直後に日向を測定したスペクトルである。 【図21】庭の茂みの右の木陰を測定したスペクトルであり、スペクトルパターンを把握しやすくするために縦軸の目盛りの単位を変更している。 【図22】図21で庭の茂みの右の木陰を測定した直後に日向を測定したスペクトルである。 【図23】庭の茂みの中央の木陰を測定したスペクトルであり、スペクトルパターンを把握しやすくするために縦軸の目盛りの単位を変更している。 【図24】図23で庭の茂みの中央の木陰を測定した直後に日向を測定したスペクトルである。 【図25】庭の茂みの左の木陰を測定したスペクトルであり、スペクトルパターンを把握しやすくするために縦軸の目盛りの単位を変更している。 【図26】図25で庭の茂みの中央の木陰を測定した直後に日向を測定したスペクトルである。 【図27】木陰におけるR/Bの比の波長領域を示すグラフである。 【図28】日向におけるR/Bの比の波長領域を示すグラフである。 【図29】木陰におけるR/FRの比の波長領域を示すグラフである。 【図30】日向におけるR/FRの比の波長領域を示すグラフである。 【図31】天候の特性表を示す説明図である。 【図32】実施例1で用いる育成ハウスを示す概略側面図である。 【図33】図32に示す育成ハウスの概略平面図である。 【図34】テレビモニタ画面の放射輝度を測定する機器の取付位置を示す概略側面図である。 【図35】図34の測定機器の取付位置を示す概略平面図である。 【図36】放射輝度計の測定位置を示す概略説明図である。 【図37】放射輝度計の別の測定位置を示す概略説明図である。 【図38】図37の測定位置における放射輝度計の側面図である。 【図39】栽培植物に対する光源の取付位置を示す側面図であり、(1)は定植時および(2)は生育時である。 【図40】実施例1の育成結果を示す時系列グラフである。 【図41】比較例1の育成結果を示す時系列グラフである。 【図42】比較例2の育成結果を示す時系列グラフである。 【図43】実施例1、比較例1、比較例2におけるナスの施肥から枯死までを示す時系列図である。 【図44】40000ルクスの木漏れ日を測定したスペクトルである。 【図45】40000ルクスの木漏れ日を測定したスペクトルである。 【図46】56500ルクスの太陽光を測定したスペクトルである。 【図47】38000ルクスの木漏れ日を測定したスペクトルである。 【図48】38000ルクスの木漏れ日を測定したスペクトルである。 【図49】58000ルクスの太陽光を測定したスペクトルである。 【図50】36000ルクスの木漏れ日を測定したスペクトルである。 【図51】36000ルクスの木漏れ日を測定したスペクトルである。 【図52】58500ルクスの太陽光を測定したスペクトルである。 【図53】30000ルクスの木漏れ日を測定したスペクトルである。 【図54】30000ルクスの木漏れ日を測定したスペクトルである。 【図55】60000ルクスの太陽光を測定したスペクトルである。 【符号の説明】 【0152】 1 テレビモニタ 2 パソコン 3 放射輝度計 11 育成ハウス 13 園芸マット 15 仕切り板 18 鉢 22 栽培植物
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| 【出願人】 |
【識別番号】504302945 【氏名又は名称】釜原 董隆
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| 【出願日】 |
平成18年2月22日(2006.2.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100079234 【弁理士】 【氏名又は名称】神崎 彰夫
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| 【公開番号】 |
特開2007−222039(P2007−222039A) |
| 【公開日】 |
平成19年9月6日(2007.9.6) |
| 【出願番号】 |
特願2006−45135(P2006−45135) |
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