| 【発明の名称】 |
苗株挿し方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】岡田 英博
【氏名】内田 哲也
【氏名】木下 栄一郎
【氏名】松岡 実
【氏名】勝野 志郎
【氏名】村並 昌実
【氏名】大久保 嘉彦
【氏名】黒瀬 英明
【氏名】土井 宏貴
【氏名】山根 暢宏
|
| 【要約】 |
【課題】苗株挿しにおいて、培土の容水量が高すぎると、穴開けにより開けた苗株挿し用の穴に周囲の培土から濁った水がにじみ出て、前記穴の位置を判別しにくくなり苗の株挿し作業が困難になる。また、培土が軟かくなりすぎ、株挿しした苗を培土で十分に保持できなくなって苗の姿勢が不安定になるおそれがある。
【解決手段】培土(3)を育苗器(2)に充填し、充填した培土(3)の容水量が該培土(3)の最大容水量の70%以下となるよう前記育苗器(2)に灌水し、育苗器(2)内の培土(3)に苗株挿し用の穴(8)を開け、該穴(8)に苗(1)を株挿しする苗株挿し方法とした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 培土(3)を育苗器(2)に充填し、充填した培土(3)の容水量が該培土(3)の最大容水量の70%以下となるよう前記育苗器(2)に灌水し、育苗器(2)内の培土(3)に苗株挿し用の穴(8)を開け、該穴(8)に苗(1)を株挿しする苗株挿し方法。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、例えばい草苗や菊苗等の苗を育苗器内に株挿しする苗株挿し方法に関するものである。 【背景技術】 【0002】 培土に代えて発泡ウレタンを素材とした育苗マットを育苗器である育苗箱に収容させて、この育苗マットに形成された苗株挿し用の穴にい草の苗を株挿しし、覆土して育苗する技術が知られている(特許文献1参照。)。 【特許文献1】特開2005ー318848号公報(第1頁、図1) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 苗を株挿しするにあたり、床部として例えば水稲育苗用培土のような通常の培土を用いようとすると、株挿し時あるいは苗株挿し用の穴開け時の培土の抵抗を小さくして適正に且つ容易に株挿しあるいは穴開けが行えるようにするために、培土を軟かくする必要があり、そのために灌水量を多くして培土の容水量(水分量)を高くすることが考えられる。 【0004】 ところが、培土の容水量が高すぎると、前記穴開けにより開けた苗株挿し用の穴に周囲の培土から濁った水がにじみ出て、前記穴の位置を判別しにくくなり苗の株挿し作業が困難になる。また、培土が軟かくなりすぎ、株挿しした苗を培土で十分に保持できなくなって苗の姿勢が不安定になるおそれがある。 【課題を解決するための手段】 【0005】 上記課題を解決するべく、本発明は次の技術的手段を講じた。 すなわち、培土(3)を育苗器(2)に充填し、充填した培土(3)の容水量が該培土(3)の最大容水量の70%以下となるよう前記育苗器(2)に灌水し、育苗器(2)内の培土(3)に苗株挿し用の穴(8)を開け、該穴(8)に苗(1)を株挿しする苗株挿し方法とした。 【0006】 従って、この苗株挿し方法によると、育苗器(2)に充填した培土(3)の容水量が該培土(3)の最大容水量の70%以下となる灌水量で前記育苗器(2)に灌水し、前記培土(3)に苗株挿し用の穴(8)を開けるので、培土(3)を苗株挿しに適した所望の硬軟度に維持しながら、苗株挿し用の穴(8)に周囲の培土(3)から濁った水がにじみ出ることも少なくなる。そして、前記穴(8)に株挿しされた苗(1)は、所望の軟かさに維持される培土(3)により、株挿し後に周囲から前記穴(8)に培土が流動する。 【発明の効果】 【0007】 よって、前記灌水により培土(3)を軟かくできるので、株挿し時あるいは苗株挿し用の穴開け時の培土(3)の抵抗を小さくでき、株挿し時には苗(1)の根元部(7)の損傷等も抑えることができ、適正に且つ容易に株挿しあるいは穴開けが行える。また、苗株挿し用の穴(8)に周囲の培土(3)から濁った水がにじみ出にくくなるので、前記穴(8)の位置を良好に判別でき、該穴(8)の位置に容易に苗の株挿しが行える。しかも、株挿し後に周囲から前記穴(8)に培土(3)が流動するので、株挿しした苗(1)の根元部(7)で該苗(1)をしっかりと保持でき、該苗(1)の姿勢を適正に安定させることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0008】 本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。 い草苗1は、圃場に移植する前に、育苗箱2の培土3に株挿を行って育苗し、この株挿による育苗の後に、育苗箱2から取出して分離した苗株を手植、又は機械植等で圃場に植付けるものである。 【0009】 ここにおいて、この発明に係るい草苗株挿培土3は、粘土及びシルトを10〜50%含んだ土壌を乾燥後、粉砕して粒径2mm以下の精土を主体として、篩選別された粒径3mm以下のピートモス、ココナツピート、バーク堆肥、又は、粒径2mm以下のバーミキュライトを配合して株挿培土3を生成することを特徴とするものである。このような株挿培土3は、保水性や透水性、保肥性等が強く、粘土との結合によって流動性、粘性も良好であるため、株挿する場合の抵抗力は小さく、い草苗1の株挿を円滑に行わせる。株挿時の培土3面は株挿跡穴8が直ちに埋戻されて、い草苗1の株挿姿勢を乱れないように支持する。又、株挿後の育苗では肥料を徐々に長期間にわたって供給して、肥効性を高めることができる。 【0010】 又、い草苗1の株挿方法は、前記株挿培土3を充填した育苗箱2を灌水して、株挿しする。尚、前記灌水は、育苗箱2を水槽等に浸漬する底面灌水であってもよい。前記株挿培土3を育苗箱2に充填した状態で灌水すると、株挿培土3は水分を含んで流動性、粘性及び培土の締まり等を増す。この灌水の後で株挿培土3にい草苗1を株挿すると、この培土3が軟いため株挿の抵抗力が小さく、株挿穴を円滑、容易に形成することができる。株挿直後は、株挿によって形成された株挿跡穴8が培土3の流動性によって埋戻されて、株挿された苗株元部7を支持する。このときの株挿跡穴8の埋戻培土部9は粘性、土壌締まり性を有するため、株挿したい草苗1を支持し、株挿姿勢を安定させる。 【0011】 このような培土3の組成材料や、容量比等の諸元は、次の通りである。即ち、 A: 粒径2mm以下の粘土とシルトを10〜50%含む精土。 B: 粒径3mm以下のピートモス C: 粒径3mm以下のココナツピート D: 粒径3mm以下のバーク堆肥 E: 粒径2mm以下のバーミキュライト 培土の容量比: A=50〜95% B〜E=5〜50% 仮比量: 0.5〜1.0 PH: 5.0〜7.0 EC(電気伝導度): 0.2〜0.8 mS/an 水分: 10〜30% NーPーK: 80〜150ー80〜1000ー80〜200mg/L このうち精土Aは、自然の山土から株取されたもので、粘土とシルトを10〜50%含んだ山土を乾燥させた後、粉砕して粒径2mm以下の土壌を篩選別したものである。又、この精土A生成のために加熱サイロや、造粒機等を使用して加工することも可能である。又、このようにして生成した精土Aを主体として、この精土Aに配合するためのピートモスB、ココナツピートC、バーク堆肥D、又は、バーミキュライトEは、何れか一種、又は二種以上を配合、乃至混合して培土3を生成する。ここにピートモスBは、水苔、スゲ、カヤ等の堆積物から成る。ココナツピートCは、ヤシ殻を粉枠したものである。バーク堆肥Dは、針葉樹、広葉樹等の樹皮や、チップ等を堆肥化したものである。又、バーミキュライトEは、ひる石を焼成したものである。このような培土構成物質材料B〜Eとしての特性は、軽量であり、水分や肥料養分を保持する保水性、保肥性や、透水性等に優れている。又、バーク堆肥では微量要素養分を保持している。これらピートモスBや、ココナツピートC、及びバーク堆肥D等の粒径は略3mm以下のものを篩選別し、バーミキュライトEの粒径は2 以下に篩選別する。そして、これらの混合した培土の各容量比は、精土Aが50〜95%であるのに対して、他のピートモスB、ココナツピートC、バーク堆肥D、又はバーミキュライトE等の容量比を5〜50%として設定する。 【0012】 このようにして生成された培土は、保水性、透水性、保肥等に優れ、育苗し易い状態となる。又、培土の軽量化、及び粒径を細粒化し、又膨軟化して、灌水することによって、適度の流動性と粘性を有して、株挿の抵抗力を小さくして、株挿を容易にすると共に、株挿後の苗株元部7の支持力を増す。この株挿用培土3の株挿抵抗値は、5〜60gfで、安定した株挿苗1の支持姿勢(直立状)を維持できる。又、これに対して、従来のセル苗用培土の抵抗値は、60〜120gfでやや固く、い草の茎部が折損することがある。又、水稲用培土の抵抗値は、150gf以下で、全く株挿しできない状態であった。この結果、この培土1を用いて株挿した場合は、培土としての適度の流動性、粘性、及び土締性を有して、後述する株挿し用穴8の埋戻しが速かに行われて、直立状の株挿苗姿勢を直立状に保持し安定させる。このい草苗1の株挿を行うには、図2のように、底面部に通水穴15を有した平面視矩形状の育苗箱2を用いて、この育苗箱2内に前記乾燥状態の培土3を充填する。この培土詰めした育苗箱2を灌水して、培土3部に水5を浸透させる。このとき、培土3は膨軟性を有して土壌孔隙や、土壌空気を多量有するが、水5が培土3の孔隙部に浸透して、土壌空気が抜気される。そして、培土3は適宜の流動性と、粘性、土締り性を有する。 【0013】 前述した前記育苗箱2への灌水において、その灌水量は、培土3の最大容水量の30%以上70%以下に設定する。従って、灌水により、培土3の容水量は、該培土の最大容水量の30%以上70%以下になる。この灌水量により、培土3を苗株挿しに適した所望の硬軟度に維持しながら、後述する苗株挿し用穴8に周囲の培土3から濁った水がにじみ出ることも少なくなり、人手で株挿し作業をする場合は作業者が苗株挿し用穴8を視認してその位置が分かりやすく、機械で株挿し作業をする場合は苗株挿し用穴8の位置検出において誤検出を防止できる。尚、培土3の容水量とは土壌が重力に抗して保持しうる全水分含量であり、培土3の最大容水量とはで土壌の全孔隙が水分で満たされた状態となる最大に保持しうる水分容量(厳密にはPH0のときの水分)をいう。尚、底面灌水の場合、灌水量が培土3の最大容水量の30%以上70%以下となるよう、水槽等に育苗箱2を浸漬した後、所定時間放置して水切りを行えばよい。 【0014】 この灌水した育苗箱2の培土上面の縦横に所定ピッチで複数の株挿し用穴8を開け、この株挿し用穴8にい草の稚苗1を株挿して植付ける(図1)。このい草苗1の苗株元部7を培土3中に上側から垂直状に挿込んで株挿する。前記株挿し用穴8は、株挿直後に周囲の培土3の流れ込みによって、埋戻培土部9として埋められて、株挿苗1の苗根部7を支持して、株挿姿勢を安定させる。 【0015】 前記育苗箱2を用いて培土3を詰めて、株挿するとき、この育苗箱2の上面と略同一面にまで一杯に培土詰める。その後に灌水を行うと培土面が2〜3mm沈下する。この状態で株挿しを行う。灌水によって培土面が沈下すると、培土3は水を含んだ状態で、適度の流動性と、粘性等を有して膨軟になる。この状態で株挿すると、株挿苗1の根元部7周りに形成された培土3面に生じる株挿し用穴8は直ちに埋戻されて、埋戻培土部9によって株元部7が支持される。このとき、埋戻培土部9が十分に行われて難いときは、育苗箱2の上面には2〜3mmの深さ間隔を生じているために、培土を追加して覆土することも可能である。この覆土によって株挿跡穴8を埋めて、株挿苗1を安定に支持することができる。 【0016】 前記育苗箱2は、図2のように横側10に対して縦側11を長く形成した長方形に構成している。又、い草苗1は、図3のように苗根部7の左右両側に新しい芽12を有することが多いが、この新芽12を育苗箱2の縦側11に沿う条方向に向けて株挿するのが望ましい。新芽は育苗に伴って縦方向へ伸び広がるため、移植時に新芽部分が切断されたり、分離されるような損傷を少くすることができ、欠株を防止できる。 【0017】 又、前記培土3は、長期間放置されて水分が蒸発しても収縮が少ない性質があり、これにより複数の苗株を広い育苗箱2に株挿ししても、床部の収縮により株挿しした苗が倒れて該苗の姿勢が悪化するようなことが抑えられ、苗を良好に成育することができる。いいかえると、広い育苗箱2でマット状に苗を株挿ししてい草のマット苗を容易に得ることができ、移植機による移植作業も容易になる。従来は、株挿しした苗の姿勢を安定させるために、一株ごとに分離された育苗ポットやマット状の床材の一株分の穴等に苗を一株づつ株挿しする構成であるので、育苗ポットやマット状の床材等の取扱いが煩しくまた育苗コストも高くなり、容易に株挿し作業が行えない課題がある。又、株挿しした苗は、育苗箱2内の培土3で育苗されるので、従来の発泡樹脂等のマット状の床材で育苗するのに比較して根張りが良く、良好に成育する。 【0018】 尚、1個の株挿し用穴8に対してい草苗1の苗株を複数株挿してもよい。これにより、育苗されるい草のマット苗の強度向上が図れ、圃場への移植作業等での苗の取り扱いが容易になる。又、育苗箱2上で苗株数が増えて苗が高い密度で育苗されるので、増収効果が図れると共に、育苗された苗を移植機の苗載台に載せて植付装置により一株分づつ掻き取って移植するとき、移植欠株を防止できる。 【0019】 又、育苗箱2内の苗密度を上昇させるにあたり、所定ピッチで苗を株挿しした育苗箱2を圃場での移植作業直前に傾けて該育苗箱2の下位側の端部を地面にたたきつけることにより、育苗箱2内のマット苗を圧縮して苗密度を上昇させることもできる。このとき、育苗箱2をその長手方向(移植機の苗載台における苗の縦送り方向)に傾けて該育苗箱2の長手方向端部を地面にたたきつければ、育苗箱2内のマット苗はその長手方向で圧縮されるので、マット苗の短手方向(移植機の苗載台における苗の横送り方向)で圧縮されてマット苗の横幅が狭くなることにより移植機の植付装置が苗を掻き取れずに移植欠株が発生するようなことを防止できる。 【0020】 尚、育苗箱2内で横方向(短手方向)に筋状に複数条に苗を株挿しし、上記方法により育苗箱2の長手方向に育苗箱2内の苗を圧縮すれば、株挿し条の条間が縮まりマット苗を得ることができる。尚、筋状に複数条に苗を株挿しする代わりに、育苗箱2の横方向(短手方向)の穴開けピッチが育苗箱2の縦方向(長手方向)穴開けピッチより小さくなるように苗株挿し用の穴8を開け、該苗株挿し用の穴8に株挿ししてもよい。 【0021】 又、い草苗1を育苗箱2で株挿育苗して、マット状に育苗されたマット苗として移植する場合に、マット苗の底面に横方向に伸びる根毛が抵抗となって移植の邪魔となり易いため、このマット苗底面の根毛群を切断して、移植機へ供給する。前記育苗箱2は、底面17に通水穴15や、横方向に沿うしぼ16等を形成して、培土2に対する、給排水や通気性を良好にし、根毛群の伸び方向を整えるようにしている。 【0022】 尚、育苗されたい草苗を移植機により圃場に移植するのであるが、移植機には制御装置を設け、移植作業中等に故障などの不具合が発生すると、その不具合箇所、不具合内容及び不具合対応方法等の不具合情報を移植機のディスプレイ表示装置に表示し、移植作業者に告知する。このとき、移植作業者では不具合を解消することが困難な場合があるので、移植機を販売した販売店や移植機のメンテナンス管理を行うメンテナンス者等の不具合解消のための連絡先が併せてディスプレイ表示装置に表示される構成とすれば、不具合解消を手間取ることなく迅速に行える。その後、例えば移植作業者の不具合対応により不具合が解消されると、ディスプレイ表示装置の不具合情報が消去されるが、その不具合情報は、履歴として制御装置に記憶され、後日回収して今後のメンテナンスや移植機開発等に利用することができる構成となっている。これにより、移植機のメンテナンスや開発を適正に行える。従来は、不具合が解消されると不具合情報が消去されていたので、機械の故障履歴等が判らず、移植機のメンテナンスが必要な箇所や適切なメンテナンス時期が判断できず、メンテナンスの効率が悪い。 【0023】 尚、株挿し用の培土3として、前述のものに代えて、容積比でピートモス50〜90%、ヤシガラピート5〜30%、籾殻くん炭5〜20%の三種の組成材料からなる培土を使用することができる。この培土は、水分30〜50%、仮比重0.1〜0.3、窒素が80mg/l以下となる施肥量で調整する。この培土は、軽量で保水性があり、株挿し抵抗も小さくなる。尚、培土を育苗箱2に充填して灌水した後、育苗箱2内で沈下した培土上に更に培土を充填して灌水すれば、育苗箱2内の培土を所望の厚さにでき、苗の株挿し姿勢の安定化が図れる。 【0024】 又、株挿し用の培土3として、上記培土と、容積比で粘土70〜98%、シルト2〜30%で且つ窒素が80mg/l以下となる施肥量で調整された培土とを、容積比略1:1で混合した混合培土を使用することができる。この混合培土は、圧縮したときの縮み量が少なく、育苗箱2を傾けて該育苗箱2の下位側の端部を地面にたたきつけてマット苗を圧縮したとき、該マット苗の縮み量を少なく適正にできる。この混合培土は、育苗箱2に充填した後、上側から所定の灌水量(育苗箱1箱あたり約0.8〜1.2リットル)で灌水し、培土の容水量の適正化を図ることが好ましい。 【0025】 又、培土3の種類に応じて、苗株挿し用穴8すなわち株挿しされる苗株の配列ピッチを変えてもよい。例えば野菜育苗用培土のような縮み量が大きい培土を使用するときは、長い(広い)配列ピッチで株挿しし、例えば粘土を含んだ培土のような縮み量が小さい培土を使用するときは、短い(狭い)配列ピッチで株挿しする。これにより、マット苗を圧縮したとき、苗の密度を所望に維持できる。 【0026】 尚、前述では培土3への灌水量を設定する方法について説明したが、培土3への灌水量に応じて株挿し用穴8の深さを変更することもできる。すなわち、灌水量が培土3の最大容水量の80%以上で多いとき、苗株挿し用穴8へ水がにじみ出ないように、株挿し用穴8の深さを10mm以内となるよう浅くする。逆に、灌水量が培土3の最大容水量の50%以上80%未満で少ないとき、硬い培土3に対して軽い力で株挿しできるように、株挿し用穴8の深さを20mm以上に深くする。これにより、株挿し作業や苗株挿し用穴8の判別を容易に行える。尚、灌水量が多くなる底面灌水時は株挿し用穴8を浅くし、灌水量が少なくなる通常の上側からの灌水時は株挿し用穴8を深くするようにしてもよい。 【0027】 尚、図4に示すように、横並びに配列される複数の穴開け突起20を備える穴開け具21を設け、該穴開け具21を育苗箱2内の培土3上面に押圧して株挿し用穴8を開けることができる。このとき、一方向に延びる複数のスリット22と、該スリット22方向における位置を示す側面の目盛り23とを備える案内板24を設け、該案内板24を育苗箱2上に載せて目盛り23により穴開け位置を確認しながら各穴開け突起20をスリット22を通して下方へ突出させて押圧することで、穴開け具21による穴開け作業が容易に行える。尚、案内板24を培土3上面に接触させずに使用できるので、穴開け具21により穴開け部以外の培土3を押圧することを防止でき、培土3が全体的に硬くなることで株挿し抵抗が大きくなったり、培土3の深さが浅くなったり、灌水で水分の高い培土3が穴開け具21に多量に付着したりして、株挿し作業が困難になるのを防止している。 【0028】 又、前述の株挿し用穴8に代えて、育苗箱2内の培土3上に筋状に溝を付け、該溝に苗を株挿ししてもよい。図6に示すように、横並びに配列される複数の溝付け板(円板)25を備える溝付け具26により、育苗箱2内の培土3上に筋状に溝を付けることもできる。この溝付け具26は、作業者がハンドル27を把持して培土上面で溝付け板(円板)25を回転させながら移動させる構成となっている。このとき、複数の溝付け板(円板)25を移動方向に案内する複数のスリット22を備える案内板24を設け(図7)、該案内板24を育苗箱2上に載せて各溝付け板(円板)25をスリット22を通して下方へ突出させて培土3を押圧する。従って、前記スリット22で溝付け具26の移動方向を規制でき、溝付けの適正化且つ容易化が図れる。尚、案内板24を培土3上面に接触させずに使用できるので、溝付け具26により溝付け部以外の培土3を押圧することを防止でき、培土3が全体的に硬くなることで株挿し抵抗が大きくなったり、培土3の深さが浅くなったり、灌水で水分の高い培土3が溝付け具26に多量に付着したりして、株挿し作業が困難になるのを防止している。 【0029】 又、前記溝を付けるにあたり、図8に示す株挿し前処理機28を使用し、培土供給装置29、灌水装置30及び溝付け装置31の順に育苗箱2をコンベア32上で搬送して、育苗箱2へ培土3を充填し、灌水した後、培土3上に筋状に溝を付けることができる。溝付け装置31は、横並びに配列される複数の溝付け板(円板)33と、該溝付け板(円板)33に付着する土を剥離してコンベア32の搬送上手側へ飛ばすブラシ34とを備える。このような株挿し前処理機28により、株挿しのための前処理を能率良く行える。この株挿し前処理機28の前に床土詰め装置35及び播種装置36をコンベア37の搬送上手から順に設けた播種用ユニット38を接続することにより、株挿し前処理機28の培土供給装置29が覆土装置となって育苗箱へ播種する通常の播種機として使用できる。これにより、株挿し前処理機28の汎用性の向上が図れ、い草用の幅狭(約21cm)の育苗箱2で水稲用の播種作業も行える。尚、播種作業を行うときは、灌水装置30を播種装置36と培土供給装置29との間に移動させる。 【0030】 尚、以上の苗株挿し方法や株挿し前処理方法は、株挿し機等の装置により自動的に行う構成としてもよい。 【図面の簡単な説明】 【0031】 【図1】株挿状態を示す一部の側断面図 【図2】育苗箱の斜視図 【図3】株挿状態を示すい草苗部の斜視図 【図4】穴開け具を示す正面図 【図5】案内板を示す斜視図 【図6】溝付け具を示す斜視図 【図7】案内板を示す斜視図 【図8】株挿し前処理機を示す側面図 【符号の説明】 【0032】 1:い草苗、2:育苗箱、3:培土、8:苗株挿し用穴
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000000125 【氏名又は名称】井関農機株式会社
|
| 【出願日】 |
平成18年1月31日(2006.1.31) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2007−202423(P2007−202423A) |
| 【公開日】 |
平成19年8月16日(2007.8.16) |
| 【出願番号】 |
特願2006−22126(P2006−22126) |
|