| 【発明の名称】 |
植栽体及び駐車場 |
| 【発明者】 |
【氏名】江原 宏
【氏名】小泉 昌士
【氏名】小林 正樹
【氏名】湯川 ゆかり
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| 【要約】 |
【課題】繊維補強セメント板の廃材のリサイクル焼成品で多孔質成形体を形成することが可能であり、しかも土などを必要とすることなく、また場所を選ぶことなく、簡単に緑化を行なうことができる植栽体を提供する、
【解決手段】0.01〜0.1mmの範囲の孔径のものが全体の50%以上である細孔1を有し、空隙率が40〜90%の範囲である多孔質成形体2の表面に、植物4を定着させ植栽体を形成する。この多孔質成形体2は、保水性が植物の生育に好適であり、しかもこの細孔1に植物4の根3が容易に入り込んで定着する。そして、このような細孔1を有する多孔質成形体2は、繊維補強セメント板の廃材である有機繊維が含有された無機質原料を焼成したリサイクル焼成品で作製することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 0.01〜0.1mmの範囲の孔径のものが全体の50%以上である細孔を有し、空隙率が40〜90%の範囲である多孔質成形体の表面に、根を細孔内に入り込ませた状態で植物を定着させて成ることを特徴とする植栽体。 【請求項2】 多孔質成形体は、有機繊維が含有された無機質原料を焼成して形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の植栽体。 【請求項3】 多孔質成形体の植物を定着させた面以外の面に、保水マットを重ねて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の植栽体。 【請求項4】 多孔質成形体の植物に潅水する潅水ノズルを備えて成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の植栽体。 【請求項5】 自動車の車輪が通る部分以外の床面に、請求項1乃至4のいずれかに記載の植栽体を配置して成ることを特徴とする駐車場。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、芝生などの植物を表面に定着させた植栽体、及びこの植栽体を用いた駐車場に関するものである。 【背景技術】 【0002】 建築物の外装材などに用いられる繊維補強セメント板は、産業廃棄物として排出される量が増えている。そこでこの繊維補強セメント板を無機質原料として再利用し、この無機質原料を焼成して多孔質のリサイクル焼成品を製造することが提案されている(特許文献1参照)。 【0003】 そしてこのリサイクル焼成品は保水性、通水性、通気性が良好であるという特性を有するものであり、これらの特性を活かしてこのリサイクル焼成品から植木鉢を作製することが提案されている(特許文献2参照) 【特許文献1】特開2003−206186号公報 【特許文献2】特開2005−65595号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかし、産業廃棄物として排出される繊維補強セメント板の量は、近年、益々増えており、繊維補強セメント板の廃材を無機質原料として再利用して焼成したリサイクル焼成品について、その利用用途の新たな開発が望まれている。 【0005】 本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、繊維補強セメント板の廃材のリサイクル焼成品で多孔質成形体を形成することが可能であり、しかも土などを必要とすることなく、また場所を選ぶことなく、簡単に緑化を行なうことができる植栽体を提供することを目的とするものであり、またこの植栽体を用いて緑化することができる駐車場を提供することを目的とするものである。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明の請求項1に係る植栽体は、0.01〜0.1mmの範囲の孔径のものが全体の50%以上である細孔1を有し、空隙率が40〜90%の範囲である多孔質成形体2の表面に、根3を細孔1内に入り込ませた状態で植物4を定着させて成ることを特徴とするものである。 【0007】 また請求項2の発明は、請求項1において、上記多孔質成形体2は、有機繊維が含有された無機質原料を焼成して形成されたものであることを特徴とするものである。 【0008】 また請求項3の発明は、請求項1又は2において、多孔質成形体2の植物4を定着させた面以外の面に、保水マット5を重ねて成ることを特徴とするものである。 【0009】 また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、多孔質成形体2の植物4に潅水する潅水ノズル6を備えて成ることを特徴とするものである。 【0010】 また本発明の請求項5に係る駐車場は、自動車7の車輪8が通る部分以外の床面9に、請求項1乃至4のいずれかに記載の植栽体Aを配置して成ることを特徴とするものである。 【発明の効果】 【0011】 0.01〜0.1mmの範囲の孔径のものが全体の50%以上である細孔1を有し、空隙率が40〜90%の範囲である多孔質成形体2は、細孔1による保水性が植物の生育に好適であり、しかもこの細孔1には植物4の根3が容易に入り込んで、多孔質成形体2の表面に芝生などの植物4を容易に定着させることができるものである。従って、植物4を定着させた多孔質成形体2を置くことによって、土などを必要とすることなく、また場所を選ぶことなく、簡単に緑化を行なうことができるものである。そして、このような細孔1を有する多孔質成形体2は、繊維補強セメント板の廃材である有機繊維が含有された無機質原料を焼成したリサイクル焼成品で作製することができ、リサイクル焼成品の新たな利用用途とすることが可能になるものである。 【発明を実施するための最良の形態】 【0012】 以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。 【0013】 多孔質成形体2は連続気泡となった多数の細孔1を全体に均一且つ密に有して形成されるものであり、この細孔1はその孔径が0.01〜0.1mmの範囲のものが全体の50%以上を占めると共に、空隙率が40〜90%の範囲になるように細孔1が形成されているものである。 【0014】 多孔質成形体2において細孔1の孔径の分布の測定は、例えば公知の水銀圧入法で行なうことができるものであり、孔径が0.01〜0.1mmの範囲の細孔1が全体の50%未満であると、多孔質成形体2の保水性が植物4の成育に良好なものになり難い。このため、孔径が0.01〜0.1mmの範囲の細孔1が全体の50%以上であることが必要であり、勿論、孔径が0.01〜0.1mmの範囲の細孔1が全体の100%であることが最も望ましい。しかもこのように細孔1の孔径が0.01〜0.1mmの範囲であると、芝生などの植物4の根3が入り込んで、多孔質成形体2の表面に植物4が定着し易くなるものである。 【0015】 また、多孔質成形体2の空隙率が40%未満では、多孔質成形体2の保水性が不十分であって、植物4を良好に成育させることが難しい。逆に多孔質成形体2の空隙率が90%を超えると、多孔質成形体2の強度が低下し、割れや欠けが生じ易くなる。このため、多孔質成形体2の空隙率は40〜90%の範囲に設定されるものである。 【0016】 このような孔径の細孔1と空隙率を有する多孔質成形体2は、無機質原材料の焼成によって製造することができる。この無機質原材料としては各種のものを使用することができ、例えばアルミナ、シリカ、セメント、セメント焼成品粉末、カオリン、ベントナイト、その他各種の粘土、パーライト、軽石粉、タイル粉、スラグ等を用いることができるが、なかでも、建築用外装材の廃材としての補強繊維を含有する繊維補強セメント板の廃材の粉体を好適に用いることができるものであり、廃棄物を有効に再利用することができると共に材料コストが安価な製造が可能となるものである。繊維補強セメント板の廃材中に含まれる繊維分は、有機繊維であることが好ましく、このような有機繊維としては、パルプなどの天然繊維をはじめとして、ビニル繊維などの化学繊維なども例示することができる。なかでもパルプは、焼成時に有害なガスが発生せず、また、きれいに燃え抜けるため、とりわけ好ましい繊維分である。 【0017】 無機質原材料の組成としてより好ましい例を挙げると、繊維補強セメント板の粉砕粉15〜80質量%、アルミナ15〜60質量%、その他、粘土等を配合したものである。繊維補強セメント板の廃材は、粉体として配合されるが、この粉体の粒径は、他の成分との混合を容易とし、また焼成後に微細な空隙が多数形成された多孔質成形体を得るために、50〜500μmの範囲内にあるのが好ましい。この50〜500μmの範囲は、繊維補強セメント板の廃材を鋸引きした時に生ずる粉体の粒径が分布する範囲であり、従って上記粉体は、産業廃棄物として排出された繊維補強セメント板の廃材を鋸引きすることにより容易に得ることができるものである。勿論、粉砕機によって繊維補強セメント板の廃材を粉砕して得られた粉体であってもよい。成形性を向上させるためのバインダーには、従来の無機物焼成品と同様に、水を用いることができるが、主原料である繊維補強セメント板の廃材やアルミナ等の粉体を成形可能とすることができる限り特に限定されるものではなく、有機塩、無機塩などを含む水溶液や有機溶媒などもバインダーとして使用することができる。 【0018】 上記のような繊維補強セメント板の廃材やアルミナ等を主原料とし、これらの粉体とともにバインダーを配合することによって、焼成用材料を得ることができるものであり、この焼成用材料にはさらにシリカ分を配合することもできる。このようにシリカ分を配合することによって、焼成前におこなう成形の成形性を向上させることができるものであり、このようなシリカ分として珪石、珪砂などを用いることができ、その配合量は50質量%以下が好ましい。尚、シリカ分を配合する際には、配合作業の効率を高めるために、主原料の一つであるアルミナをも含有する、シャモット、木節粘土、長石、カオリン、ムライトなどを用いることができる。 【0019】 そして焼成用材料を成形し、これを焼成することによって、多孔質成形体2を得ることができるものである。焼成温度は、繊維補強セメント板の廃材中に含まれる繊維分が燃え抜ける温度以上であればよく、特に限定されるものではないが、焼成温度が余りに高温であると、焼成工程が複雑になり、コストアップにつながるとともに、耐久性などを含めた性能が低下するおそれがあるので、例えば1200〜1300℃前後を一応の目安とすることができる。焼成温度が1300℃の時、一般に、繊維補強セメント板の廃材の配合比率が15質量%未満では、得られた多孔質成形体2に吸水率の低下が認められ、配合比率が80%を超えると焼成時に溶融が起こり易くなる。また、アルミナ分については、焼成温度が1300℃の時、配合比率が15質量%未満では溶融し易く、60質量%以上では焼成不足となり、多孔質成形体2の強度の低下をきたす傾向がある。尚、焼成時の雰囲気については、酸化雰囲気又は還元雰囲気のいずれであっても得られる多孔質成形体2の性能に特に影響はない。 【0020】 上記のようにして、0.01〜0.1mmの範囲の孔径のものが全体の50%以上である細孔1を有し、空隙率が40〜90%の範囲である多孔質成形体2を得ることができるものであり、多孔質成形体2は例えば、方形や矩形の板状に形成することができる。そしてこの板状の多孔質成形体2の片側の表面に植物4を定着させることによって、図1に示すような植栽体Aを得ることができるものである。多孔質成形体2の上面に種子を撒布し、水遣りを行なって種子が発芽すると、根は多孔質成形体2の細孔1内に入り込み、多孔質成形体2の表面から剥離しないように植物4を定着させることができるものである。 【0021】 このように形成される本発明に係る植栽体Aは、多孔質成形体2の保水性が植物4の生育に好適であり、また細孔1に根が入り込むことによって多孔質成形体2の表面に植物4を定着させることができるので、土などを用いる必要なく、植物4を定着させて生育することができるものである。特に繊維補強セメント板の廃材を無機質原料として用いて多孔質成形体2を作製する場合、多孔質成形体2中には珪酸カルシウムが含まれることになり、pHを弱アルカリに維持することができると共に、カルシウム分がミネラルとして溶出され、植物4の育成に適しているものである。 【0022】 多孔質成形体2に定着させる植物4としては、芝を代表的なものとして挙げることができる。また芝以外にも、かいわれ、スプラウト、及びミントやバジルなどのハーブ類を水耕栽培と同じようにして栽培するようにすることができるものであり、この場合には育った植物4をそのまま食べることができる。さらにワイルドフラワーで比較的背丈が低く根が細い植物、例えばヒメナデシコ、スイートアリッサム、ツキミソウ、ナツユキソウなどを定着させて生育させることもできる。 【0023】 従って、このように植物4を定着させた植栽体Aを屋上、ベランダ、玄関アプローチ、外壁面、室内、その他のコンクリート面など土がない場所や、さらに公園、運動場、広場、通路などの公共の場所に置いたり取り付けたりするだけで、土を必要とすることなく緑化を行なうことができるものである。特に、植物4として芝を定着させた場合には、例えば30cm×30cm程度の大きさのタイル状に形成した植栽体Aを敷き並べるだけで、芝生を形成することができるものである。例えば、室内にパター練習用の本物の芝グリーンを形成することに応用したりすることができるものであり、しかも植栽体Aを並べる枚数で長さを自由に変えることができるものである。またダイニングテーブルの上に植栽体Aを置くことによって、ダイニングテーブルの中央に芝があるという爽やかな演出をすることも可能になるものである。そして植物4が芝の場合、芝は根が伸びるのに従って地上部の茎や葉も伸びるが、多孔質成形体2の細孔1に対して芝の根はあまり深く入り込まず、伸びすぎることがないので、地上部の茎や葉の生長が抑制されるものであり、芝を刈る手間を省くことができるものである。 【0024】 植栽体Aの多孔質成形体2は上記のように高い保水性を有するが、多孔質成形体2の植物4を定着させた面以外の面、例えば多孔質成形体2の下面に保水マット5を重ね、保水マット5に保水された水が多孔質成形体2に下面から供給されるようにしてもよい。このように保水マット5を用いて多孔質成形体2に給水されるようにすることによって、水遣りの回数を減らして、イージーメンテナンス性を向上することができるものである。保水マット5としては、吸水性が高く、保水性が良好であるものであれば特に制限されることなく用いることができるが、スポンジや、高吸水性樹脂を内包した吸水ポリマーマットを用いることができる。またケナフをマット状にしたものは、保水性能は吸水ポリマーよりも劣るが、環境にやさしい素材として使用することができる。 【0025】 また、設置した植栽体Aの上に潅水ノズル6を配置して設け、例えば一定時間毎に潅水ノズル6から自動的に植栽体Aの植物4を定着させた面に散水するようにすることによって、水遣りの手間をなくし、イージーメンテナンス性をさらに向上することができるものである。 【0026】 図2は、上記のように芝などの植物4を定着させた植栽体Aを敷いて形成した駐車場を示すものであり、コンクリートで形成される床面9に、自動車7の車輪8が通る部分以外の全面において植栽体Aを並べて載置するようにしてある。植栽体Aを並べる配置は任意であり、自由な形状に配置することができるものである。このようにして、住宅のコンクリート面で形成される駐車場を簡単に芝生で緑化することができるものであり、夏の暑いコンクリートの照り返しを緩和することができ、また芝生の上を歩くこともできるものである。 【実施例】 【0027】 次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。 【0028】 セメント50質量%、珪石粉35質量%、パルプ繊維8質量%を含む組成のセメント系外装材の廃材を粉砕し、有機繊維含有の無機質原料とした。そして、この無機質原料の粉体と、アルミナの粉体と、粘土とを次の範囲内の組成比で混合した。 【0029】 有機繊維含有の無機質原料 35〜45質量% アルミナ 30〜35質量% 粘土 25〜30質量% そして上記の原材料を水とともに混練し、方形の板状に成形した後に、約1300℃で焼成することによって、多孔質成形体を作製した。この際に、上記の範囲内で原材料の組成比を変更することによって、表1の実施例1〜4及び比較例1〜2のように、空隙率と0.01〜0.1mm径の細孔の比率が異なる多孔質成形体を作製するようにした。この実施例1〜4及び比較例1〜2の多孔質成形体について、比重、吸水率を測定し、表1に示す。 【0030】 【表1】
【0031】 また各多孔質成形体の表面に芝草の種子を撒布して水遣りをし、芝の生育及び定着状態を観察した。その結果、実施例1〜4のものでは、芝の生育は良好であり、また芝の根が細孔内に良好に入り込んでおり、多孔質成形体の表面から剥がれるようなことなく芝を定着させることができた。一方、比較例1〜2のものでは、芝の生育は不良であり、また細孔内への芝の根の入り込みが不十分であり、芝は多孔質成形体の表面から容易に剥がれて定着も不十分であった。 【図面の簡単な説明】 【0032】 【図1】本発明の実施の形態の一例を示す断面図である。 【図2】同上の駐車場を示す平面図である。 【符号の説明】 【0033】 1 細孔 2 多孔質成形体 3 根 4 植物 5 保水マット 6 潅水ノズル 7 自動車 8 車輪 9 床面
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| 【出願人】 |
【識別番号】503367376 【氏名又は名称】クボタ松下電工外装株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年1月26日(2006.1.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100087767 【弁理士】 【氏名又は名称】西川 惠清
【識別番号】100085604 【弁理士】 【氏名又は名称】森 厚夫
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| 【公開番号】 |
特開2007−195455(P2007−195455A) |
| 【公開日】 |
平成19年8月9日(2007.8.9) |
| 【出願番号】 |
特願2006−17849(P2006−17849) |
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