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【発明の名称】 緑化工法
【発明者】 【氏名】湯澤 祥

【氏名】島田 三郎

【氏名】稗田 省三

【要約】 【課題】植生苗を嵌入するための植生ポットを簡単且つ容易に植栽地に打ち込めるようにすると共に、植生ポットへの植生苗の植え込みを簡単容易化した緑化工法を提供する。

【解決手段】植栽地に敷設する防草・植生マット10を、その下面からの雑草の発芽や育成を抑制するが、該マット上に伸びた匍匐茎1aからの根は通す粗さをもった不織布によって形成する。上記マット10上から植栽地に打ち込む植生ポット11は、テーパー状植生凹窪13が形成された容体14の周面及び下面にそれぞれ複数の開口15a,15bがあり、該容体14の下端に打込み用ピン状部16を有し、容体の上端にフランジ部12を有する。上記フランジ部で該防草・植生マットにおける植生ポット打込み部周辺を接地させる。上記植生凹窪13の形状に適合させた苗ポットにおいて予め該形状を保持可能にした培土に育苗した植生苗を、上記植生凹窪13に嵌入することにより植生する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植栽地に敷設する防草・植生マットを、その下面からの雑草の発芽や育成を抑制するが、該マット上に伸びた匍匐茎からの根を通す粗さをもった不織布によって形成し、
上開きのテーパー状植生凹窪が形成された周面に開口のある容体の下端に打込み用ピン状部を有すると共に、上記容体の上端にフランジ部を有する植生ポットを、上記植栽地に敷設した防草・植生マット上から必要な植生間隔で該植栽地に打ち込むことにより、上記フランジ部で該防草・植生マットにおける植生ポット打込み部周辺を接地させ、
上記テーパー状植生凹窪の形状に適合させた苗ポットにおいて予め該形状を保持可能にした培土に育苗してなる植生苗を上記植生凹窪に嵌入することにより植生する、
ことを特徴とする緑化工法。
【請求項2】
上記植生ポットの打ち込みを、上記植生凹窪に嵌入されるガイド部を有し、該植生凹窪内面及び上記容体上端のフランジ部のうちの全部または一部に当接する打込み力伝達面を有する打ち込み具を用い、その頭部の押圧または叩打によって行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の緑化工法。
【請求項3】
上記不織布が、ポリプロピレン繊維をスパンボンド法によって結合することにより形成され、目付が100〜400g/m3、嵩密度が0.05〜0.28/cm3の範囲である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の緑化工法。
【請求項4】
植生する植物が、匍匐茎を有する植物である、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の緑化工法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、広大な面積の緑地、河川堤防や道路に沿う法面等に、効率的に芝類等の植生を行って緑化する工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、広い面積の緑地、河川堤防や道路に沿う法面等に芝や蔦などの植物を植え、それを育成しようとする場合に、育成する植物以外の雑草類が先に繁茂して、育成すべき植物の生長を妨げるため、その雑草類の生育を抑制する防草シートを植栽地の地面上に敷設し、苗木を植え付けたコーン状の育苗ポットを所定の間隔をあけた配置でその防草シートの上から土中に打ち込んで固定するようにした緑化工法は、例えば特許文献1において提案されている。
【0003】
また、上記コーン状の育苗ポットに対する培土及び苗木の充填を容易にするため、育苗ポットを垂直方向に二分した2個の半割部材の組み合わせによって構成し、その上端外周にフランジを設けて、地面に敷設した防草シートの上からそれを打ち込んだ際にポット外周に地面の露出部分が生じるのをなくすようにしたものも、特許文献2において提案されている。
【0004】
しかしながら、上記公知の緑化工法において用いられる育苗ポットは、それを土中に打ち込むのが容易であるとは言えず、即ち、一般的にはその育苗ポットに苗木を植え込んでから該ポットを土中に打ち込むようにしているが、苗木が邪魔になって育苗ポットを簡単且つ容易に防草シートを通して打ち込むことが困難であり、逆にその育苗ポットの打ち込みを苗木の植え込み前に行うと、今度は苗木の植え込み自体が困難になって、それに多大の手数を要することになる。特許文献2において提案されている育苗ポットは、それに対する苗木の植え込みの困難性を解消するためのものであり、いかにそのポットに対する苗木の植え込みが困難であるかを示している。そして、特に、広大な面積の植栽地の緑化を行う場合には、上記育苗ポットに対する植え込みをできるだけ簡単化することが、緑化のための労力及び費用を低減することが必要になる。
【0005】
また、上記公知の緑化工法において用いられる防草シートは、育成する植物の周囲での雑草の発芽や育成を抑制するが、該シートを利用して植生するのに適した地上を這う匍匐茎(ランナー、ストロン等)を有する植物の育成に適するとは限らず、即ち、それらの匍匐茎からの根を土中にまで通しやすいとは限らない、という問題がある。
【0006】
【特許文献1】特開平11−229385号公報
【特許文献2】特開2004−254604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の技術的課題は、植生苗を嵌入するための植生ポットを簡単且つ容易に植栽地に打ち込めるようにした緑化工法を提供することにあり、更に具体的には、打ち込み後にその周囲の防草・植生マットを地面に押し付ける植生ポットのフランジ部を利用して、該ポットへの植生苗の植え込み前に該ポットを植栽地に容易に打ち込めるようにした緑化工法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の技術的課題は、上記植生ポットに対する植生苗の植え込みを簡単容易化した緑化工法を提供することにある。
本発明の更に他の技術的課題は、育成する植物の周囲での雑草の発芽や育成を抑制するが、地上を這う匍匐茎(ランナー、ストロン等)を有する植物の育成に適し、それらの匍匐茎からの根を土中にまで通しやすい防草・植生シートを用いた緑化工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の緑化工法は、植栽地に敷設する防草・植生マットを、その下面からの雑草の発芽や育成を抑制するが、該マット上に伸びた匍匐茎からの根を通す粗さをもった不織布によって形成し、上開きのテーパー状植生凹窪が形成された周面に開口のある容体の下端に打込み用ピン状部を有すると共に、上記容体の上端にフランジ部を有する植生ポットを、上記植栽地に敷設した防草・植生マット上から必要な植生間隔で該植栽地に打ち込むことにより、上記フランジ部で該防草・植生マットにおける植生ポット打込み部周辺を接地させ、上記テーパー状植生凹窪の形状に適合させた苗ポットにおいて予め該形状を保持可能にした培土に育苗してなる植生苗を上記植生凹窪に嵌入することにより植生することを特徴とするものである。
【0010】
本発明の好ましい実施形態においては、上記植生ポットの打ち込みが、上記植生凹窪に嵌入されるガイド部を有し、該植生凹窪内面及び上記容体上端のフランジ部のうちの全部または一部に当接する打込み力伝達面を有する打ち込み具を用い、その頭部の押圧または叩打によって行われる。
また、本発明の他の好ましい実施形態においては、上記不織布として、ポリプロピレン繊維をスパンボンド法によって結合することにより形成され、目付が100〜400g/m3、嵩密度が0.05〜0.28/cm3の範囲内のものを用いるのが適している。
本発明における緑化工法において植生する植物としては、芝類や蔦類を主体とし、匍匐茎を有する植物が用いられる。
【0011】
上記構成を有する本発明の緑化工法においては、まず、植栽地に防草・植生マットを敷設するが、該マットは、その下からの雑草類の発芽、生育を抑制しながらも、地表面を這う匍匐茎を有する植物等の根が該マットを通して植栽地の地中にまで伸びるのを許容するので、それらの植物の植生にきわめて有効なものである。
また、上記植栽地に適宜間隔で打ち込まれる上記植生ポットは、その容体の植生凹窪に打ち込み具のガイド部を嵌入し、打ち込み具の頭部を押圧または叩打することにより打込み力伝達面を介して植栽地に打ち込むようにしているので、その作業を簡単且つ容易に行うことができる。
【0012】
植栽地に打ち込んだ上記植生ポットに対する植生苗の植え付けは、その容体の上開きのテーパー状をなす植生凹窪に、その凹窪の形状に適合させた苗ポットにおいて予め該形状を保持可能にした培土に育苗してなる植生苗を嵌入することにより行うので、格別の手数を要することなく、きわめて能率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
以上に詳述した本発明の緑化工法によれば、植生苗を嵌入するための植生ポットを簡単且つ容易に植栽地に打ち込むことができ、更に具体的には、打ち込み後にその周囲の防草・植生マットを地面に押し付ける植生ポットのフランジ部や植生凹窪内面を利用して、該ポットへの植生苗の植え込み前に、該ポットを植栽地に容易に打ち込むことができ、上記植生ポットに対する植生苗の植え込みを簡単且つ容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明に係る緑化工法の実施例について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る緑化工法によって植栽地に植物が植生された状態を示し、図2及び図3はその植生に用いる植生ポットの構成を示している。
本発明に係る緑化工法においては、図1に示すように、まず、植栽地に防草・植生マット10を敷設する。この防草・植生マット10は、その下面における雑草類の発芽や育成を抑制するが、以下に説明するところによって植栽地に植え付けた植物1から該マット10上に伸びた匍匐茎1aがその一部から降ろす根1bは下面まで通すような粗さの不織布によって形成したものである。そのため、植え付けた植物1の匍匐茎1aからの根は防草・植生マット10を通して活着し、該植物1は繁茂するが、該マット10の下にあり、あるいは外部から飛来した雑草類の種子が発芽、育成するのは抑制され、育成すべき植物1以外の雑草類が先に繁茂して該植物1の生長を妨げることはない。
【0015】
上記防草・植生マット10を形成する不織布としては、ポリプロピレン繊維をスパンボンド法によって結合することにより形成され、目付が100〜400g/m3、より望ましくは100〜300g/m3、嵩密度が0.05〜0.28/cm3の範囲内のものが、防草効果においてすぐれると同時に匍匐茎からの根6を通す点で適している。上記範囲を超えると、防草効果はすぐれるが匍匐茎からの根1bが通りにくくなり、一方、上記範囲以下では十分な防草効果が得られなくなる。
上記スパンボンド法によるポリプロピレン繊維の不織布は、ニードルパンチ法で引張強度を得ることが望ましいが、ある程度の嵩密度が得られれば、ヒートセット法その他の方法によってもよい。
【0016】
なお、上記防草・植生マット10を形成する不織布としては、上記と同等の機能を有する他の素材のもので形成することができる。この不織布は、上記植物1が植栽地全面に繁茂する時点以降に分解するような生分解性を有していることが望まれる。
また、上記防草・植生マット10には、植物の植付け間隙、例えば30cmごとに植え付け位置を示すマーキングを付しておくのが望ましい。
【0017】
次に、上記植栽地に敷設した防草・植生マット10上から、上端にフランジ部12を有する植生ポット11を、必要な植生間隔で該植栽地に打ち込み、該フランジ部12で該防草・植生マット10における植生ポット打込み部周辺を地面に押圧し、接地させる。
この植生ポット11は、図2乃至図4に示すように、上開きのテーパー状植生凹窪13が形成された容体14の周面及び下面にそれぞれ複数の開口15a,15bがあり、該容体14の下端に打込み用ピン状部16を有すると共に、上記容体14の上端に前記フランジ部12を有するもので、合成樹脂により一体成形されている。上記開口15bは、ピン状部16に設けた溝17の上端に形成されたものであり、下方への根の伸長に有効なものである。この植生ポット11も生分解性を有する合成樹脂製とするのが望まれる。
【0018】
上記植生ポット11の打ち込みには、図5に示すような打ち込み具20が用いられる。この打ち込み具20は、その本体部21に小径の握り部21aを設け、先端に植生ポット11における上記植生凹窪13に嵌入されるガイド部22を有し、該植生凹窪13の内面及び上記容体14の上端のフランジ部12に当接する打込み力伝達面を有するもので、上記本体部21の頭部24の押圧またはハンマーによる叩打によって、上記打ち込みが行われるものである。上記打ち込み具20の打ち込み力伝達面は、上記植生凹窪13の内面及び上記容体14の上端のフランジ部12の表面のうちの一部とすることもできる。
【0019】
上記防草・植生マット10上からのこの植生ポット11の打ち込みにより、上記フランジ部12でマット10における植生ポット打込み部周辺を地面に押圧、接地させるが、これにより上記マット10の地面からの浮き上がりが抑制され、雑草類の発芽、生育が一層抑制され、しかも、地表面を這う匍匐茎1aの根1bが該マット10を通して植栽地の地中にまで伸びるのを助長することができる。
また、上記フランジ部12は、マット10を地面に押圧、接地させるのに有効に機能するばかりでなく、植生凹窪13の内面と共に、上記打ち込み具20による打ち込み時に、その打込み力伝達面が当接して植生ポット11を地面に垂直に打ち込むためにも有効に機能するものである。
【0020】
一方、この緑化工法において植生する植物1は、図6に示すように、上記植生ポット11における上開きのテーパー状植生凹窪13の形状に適合させた苗ポット31において育苗される。この苗ポット31は、その多数を連結した連接ポット30として、塩化ビニール等の合成樹脂シートによって形成され、その多数の苗ポット31に、予め植生すべき植物1を培土32によって育苗するが、この培土32は、そこで育てた植生苗2を植生ポット11へ植え付ける時に、苗ポット31の形状、つまり、植生ポット11における上開きのテーパー状植生凹窪13の形状を保持可能にした培土であることが必要がある。ただし、これは培土32の形状が崩れない程度であればよく、特にその形状に固化することを意味するものではない。
【0021】
上記苗ポット31で育苗した植生苗2は、該苗ポット31が植生ポット11の上開きのテーパー状植生凹窪13の形状に適合させたものであるから、そのテーパーにより苗ポット31から容易に抜き出すことができ、また、苗ポット31から抜き出したときに植生苗2の培土32がその形状を保持するので、その培土32を植生ポット11の植生凹窪13に投入するだけで容易に嵌入することができ、その簡単な操作だけで植生作業を完了することができる。
【0022】
植生後は、植物1の根が上記容体14の開口15から外部に伸び、また、匍匐茎1aが植生ポット11の周囲に伸びてそこから出た根1bが防草・植生マット10を通して活着し、植生した植物1が繁茂する。一方、雑草類は上記防草・植生マット10によりその発芽、成育が抑制されるので、植物1の成長を妨げることはない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に基づいて所期の植物が植生された状態を一部を破断して示す斜視図である。
【図2】本発明の緑化工法に用いる植生ポットの斜視図である。
【図3】同断面図である。
【図4】同平面図である
【図5】本発明の緑化工法において用いる打ち込み具の斜視図である。
【図6】本発明の緑化工法において用いる苗ポットの連設体における育苗状態を示すの断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 植物
1a 匍匐茎
1b 根
2 植生苗
10 防草・植生マット
11 植生ポット
12 フランジ部
13 植生凹窪
14 容体
15a,15b 開口
16 打込み用ピン状部
20 打ち込み具
22 ガイド部
24 頭部
31 苗ポット
32 培土
【出願人】 【識別番号】599124024
【氏名又は名称】株式会社イングス
【識別番号】000175021
【氏名又は名称】三井化学産資株式会社
【出願日】 平成17年12月27日(2005.12.27)
【代理人】 【識別番号】100072453
【弁理士】
【氏名又は名称】林 宏

【識別番号】100114199
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 正彦

【識別番号】100119404
【弁理士】
【氏名又は名称】林 直生樹


【公開番号】 特開2007−174934(P2007−174934A)
【公開日】 平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願番号】 特願2005−374900(P2005−374900)