| 【発明の名称】 |
果物・野菜棚用鋼線およびそれを用いた果物・野菜棚 |
| 【発明者】 |
【氏名】多田 好宣
【氏名】高野 光司
【氏名】木崎 雅之
【氏名】大村 圭一
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| 【要約】 |
【課題】錆び難く加工しやすい果物・野菜棚用鋼線およびそれを用いた果物・野菜棚を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.001〜0.03%を含有し、Nb:0.05〜1.0%,Ti:0.05〜1.0%,V:0.05〜1.0%のうち1種類以上を含有し、好ましくは、さらに、質量%で、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.05〜1.0%、P:0.04%以下、S:0.005%以下、Cr:10.5〜18.0%、O:0.01%以下、N:0.003〜0.04%を含有する高純度フェライト系ステンレス鋼線からなることを特徴とする果物・野菜棚用鋼線およびそれを用いた果物・野菜棚。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 質量%で、C:0.001〜0.03%を含有し、Nb:0.05〜1.0%,Ti:0.05〜1.0%,V:0.05〜1.0%のうち1種類以上を含有する高純度フェライト系ステンレス鋼線からなることを特徴とする果物・野菜棚用鋼線。 【請求項2】 さらに、質量%で、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.05〜1.0%、P:0.04%以下、S:0.005%以下、Cr:10.5〜18.0%、O:0.01%以下、N:0.003〜0.04%を含有する高純度フェライト系ステンレス鋼線からなることを特徴とする請求項1に記載の果物・野菜棚用鋼線。 【請求項3】 引張強さが600〜1000N/mm2であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の果物・野菜棚用鋼線棚用鋼線。 【請求項4】 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の高純度フェライト系ステンレス鋼線から製造されたことを特徴とする果物・野菜棚。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、果物・野菜棚用鋼線およびそれを用いた果物・野菜棚に関する。 具体的には、葡萄棚などの果物・野菜棚に用いるフェライト系ステンレス鋼線およびそれを用いたおよびそれを用いた果物・野菜棚に関する。 【背景技術】 【0002】 葡萄棚などの果物・野菜棚に関しては、従来から種々の提案がなされている。 例えば、下記特許文献1には、母枝から育成した新枝を鋼線に巻き付けることによって、手作業による新枝の支持を行わないで良くなる作業性のよい葡萄棚の構造が提案されている。 また、下記特許文献2には、果樹棚を作る際のように、既に張ってある母線針金の途中に他の針金を接続するための針金接続機が提案されている。 さらに、果樹棚に用いる線条体に関しては、軽量、耐腐食性、強度特性に優れたポリオキシメチレン高配向結晶体からなる果樹支持用線条体が提案されている。 【0003】 従来、例えば葡萄棚などの果樹棚の以下の部分には鉄線やSUS304ステンレス鋼線が用いられている。 (a)小張リ用(葡萄がぶら下がるところ) ・支柱用 ・支柱間用 (b)杭通し用 (c)支柱線用 (d)周囲用 しかし、従来使用されている鉄線は加工し易いが錆び易いという問題点があり、また、SUS304ステンレス鋼線は錆びにくいが硬く曲げ加工し難いという問題点があるため、錆び難く加工しやすい鋼線素材が求められていた。 【特許文献1】特開平9−94032号公報 【特許文献2】特開昭61−46336号公報 【特許文献3】特開昭61−135519号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 本発明は、前述のような従来技術の問題点を解決し、錆び難く加工しやすい果物・野菜棚用鋼線およびそれを用いた果物・野菜棚を提供することを課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0005】 本発明は、上記課題を解決するために種々検討した結果、高純度フェライト鋼を用いたステンレス鋼線を用いることにより、錆び難く加工しやすい果物・野菜棚用鋼線およびそれを用いた果物・野菜棚を提供するものであり、その要旨とするところは特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。 【0006】 (1)質量%で、C:0.001〜0.03%を含有し、Nb:0.05〜1.0%,Ti:0.05〜1.0%,V:0.05〜1.0%のうち1種類以上を含有する高純度フェライト系ステンレス鋼線からなることを特徴とする果物・野菜棚用鋼線。 (2)さらに、質量%で、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.05〜1.0%、P:0.04%以下、S:0.005%以下、Cr:10.5〜18.0%、O:0.01%以下、N:0.003〜0.04%を含有する高純度フェライト系ステンレス鋼線からなることを特徴とする(1)に記載の果物・野菜棚用鋼線。 (3)引張強さが600〜1000N/mm2であることを特徴とする(1)または(2)に記載の果物・野菜棚用鋼線。 (4)(1)乃至(3)の何れか1項に記載の高純度フェライト系ステンレス鋼線から製造されたことを特徴とする果物・野菜棚。 【発明の効果】 【0007】 本発明によれば、果物・野菜棚用鋼線として、高純度フェライト鋼を用いたステンレス鋼線を用いることにより、1)耐久性、果物及び果物・野菜への影響及び作業時の安全性から耐食性を有し、から耐食性を有し、2)手作業での加工性(繰り返し曲げ、切断、締結等)及び安全性(切断面が鋭利にならないこと)に優れ、3)棚張り時の緩みがない果物・野菜棚用鋼線およびそれを用いた果物・野菜棚を提供することができるなど産業上有用な著しい効果を奏する。 【発明を実施するための最良の形態】 【0008】 まず、本発明の技術思想を以下に示す。 【表1】
表1に示すように、葡萄棚などの果物・野菜棚に用いる鋼線は、まず、屋外環境で錆びにくいことが必要である。錆びると表面に凹凸ができ枝を傷つける、また、手入れや収穫時に錆びが目に入る恐れがあるためである。 特に、メッキ、樹脂被覆鉄線は疵がつくとそこから発銹するので、切断部から錆びないことが必要であり、錆びにより鋼線が切れないことが重要である。 【0009】 次に、コイルから手作業で直線化しやすいこと(スプリングバック小) が必要である。また、手作業での直線鋼線の繰り返し曲げ加工で硬くならないことが重要であり、切断時、手作業で切り易い強度であること、締結時、手でしっかり締め付けられることが必要である。また、作業時の安全面から、切断面が加工硬化で鋭利にならないことが必要である。 さらに、棚の張りの緩みが発生しない強度であることが必要であり、引張強度:≧600N/mm2が必要である。 表1に示すように、本発明の高純度フェライト鋼線は、SUS304相当の耐食性と 鉄線並の加工性を持つステンレス鋼線であるため、果物・野菜棚用鋼線に適している。 【0010】 以下に、先ず、本発明の請求項1に記載の限定理由について説明する。以下の説明における化学成分は全て質量%を示す。 請求項1の果物・野菜棚用鋼線は、質量%で、C:0.001〜0.03%を含有し、Nb:0.05〜1.0%,Ti:0.05〜1.0%,V:0.05〜1.0%のうち1種類以上を含有する高純度フェライト系ステンレス鋼線からなることを特徴とする。 【0011】 Cは、鋼の強度を確保するために、0.001%以上含有させる。−方、Nbと結合してNb炭化物を形成するが、0.03%を超えて含有させると、Cr炭窒化物が生成して、耐食性,冷間加工性,靭性が劣化する。そのため、上限をC:0.03%とする。好ましい範囲は、0.005〜0.02%以下である。 Nbは、炭窒化物を形成してCを固定することで、Cr炭窒化物の生成を抑制し、耐食性,靭性を向上させる(特に溶接部の耐食性と靭性を向上する)。そのため、0.05%以上含有させる。しかしながら、1.0%を超えて含有させると、粗大炭窒化物が形成されるため逆に冷間加工性および靭性が劣化する.そのため、上限を1.0%に限定する。好ましい範囲は、0.2%〜0.6%,(Nb+Ti)/(C+N)≧10である。 【0012】 Tiは、Nbと同様に炭窒化物を形成してCを固定することでCr炭窒化物の生成を抑制し、耐食性,靭性を向上させる.また、微細なTi炭窒化物により微細なフェライト粒を得て、靭性を確保する。そのため、0.05%以上含有させる。しかしながら、1.0%を超えて含有さえると、粗大炭窒化物や酸化物が形成されるため逆に冷間加工性,靭性のみならず表面庇をも劣化するため、上限を1.0%に限定する。好ましい範囲は、0.05〜0.2%である。 ここで、Nbは粗大酸化物を形成し難いため、好ましくはTiよりもNb単独添加の方が表面庇の観点から好ましい。 【0013】 Vは、微細な炭窒化物により微細フェライト粒を得て靭性を確保するために0.05%以上含有させるが、1.0%を超えて含有させると粗大なV系炭窒化物が生成し、逆に靭性が劣化する。そのため、上限を1.0%に限定する。好ましくは、0.05〜0.5%の範囲である。 上記の高純度フェライト系ステンレス鋼線は、低Cとし、Nb,Ti,Vのうち1種類以上を含有させることにより、錆にくい高耐食性となる成分とするとともに、手作業で加工(曲げ、切断、締結等)が容易であるうえ、加工硬化を低減することができる。 加工硬化のし易さは、加工時の歪み量と加工誘起マルテンサイト量によって決まり、SUS304は加工誘起マルテンサイトが発生し易いのに対し、本発明の高純度フェライト系ステンレス鋼は加工誘起マルテンサイトが発生しないため、加工硬化しにくい。 【0014】 次に、請求項2に記載の限定理由について説明する。以下の説明における化学成分は全て質量%を示す。 請求項2に記載の果物・野菜棚用鋼線は、請求項1に記載の成分に加えて、さらに、質量%で、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.05〜1.0%、P:0.04%以下、S:0.005%以下、Cr:10.5〜18.0%、O:0.01%以下、N:0.003〜0.04%を含有する高純度フェライト系ステンレス鋼線からなることを特徴とする。 【0015】 Siは、脱酸のため0.05%以上含有させる。しかしながら、1.0%を超えて含有させると冷間加工性および靭性が劣化する.そのため、上限を1.0%に限定する。好ましい範囲は、0.1〜0.4%である. Mnは、脱酸のため0.05%以上含有させる。しかしながら、1.0%を超えて含有させると耐食性および冷間加工性が劣化する.そのため、上限を0.5%に限定する。好ましい範囲は、0.1〜0.3%である。 【0016】 Pは、冷間加工性および靭性を劣化させるため、0.04%以下に限定する。好ましくは、0.025%以下である。 Sは、冷間加工性および靭性または耐食性をも劣化させるため、0.005%以下に限定する。好ましくは、0.003%以下である。 Crは、基本的に耐食性を確保するため10.5%以上含有させるが、18.0%を超えて含有させると線材圧延中に再結晶し難くなり、しわ庇が発生し易くなるばかりか圧延口一ルと焼き付きが生じ、線材表面庇が多発する。そのため、上限を18.0%に限定する。好ましい範囲は12.0%〜17.0%である。 【0017】 Oは、靭性を確保するため、0.010%以下に限定することが好ましく、さらに好ましくは、0.008%以下である。 Nは、鋼の強度を確保するために、0.003%以上含有させる。−方、Nbと結合してNb炭化物を形成するが、0.04%を超えて含有させると、Cr炭窒化物が生成して、耐食性,冷間加工性,靭性が劣化する。そのため、上限をN:0.04%とする。好ましい範囲は、0.005〜0.02%以下である。 【0018】 本発明においては、上記以外の成分については特に限定しないが、必要に応じ、下記のCu,Ni,Mo,Al,Bを含有させてもよく、残部は不可避的不純物およびFeからなる。 Cuは、Cr量の添加を規制しつつ耐食性を向上させるのに有効であり、必要に応じてCu:1.0%以下を含有させる。しかしながら、それ以上含有させると冷間加工性が劣化する。好ましくは、Cu:0.05〜0.8%である。 Ni,Moは、Cr量の添加を規制しつつ耐食性を向上させるのに有効であり、必要に応じてNi:1.0%以下,Mo:3.0%以下を含有させる。しかしながら、それ以上含有させると冷間加工性が劣化する。好ましくは、Ni:0.05〜0.8%,Mo:0.1〜2.5%である。 【0019】 Alは、脱酸を行うと共に、微細な窒化物(AlN)を生成するため含有させてもよいが、0.1%を超えて含有させると逆に靭性が劣化する。そのため上限を0.1%に限定する.好ましい範囲は、0.002%〜0.06%である。 Bは、粒界のP偏析を抑制し、冷間加工性を更に向上させるため・必用に応じて0.0003%以上含有させる.しかしながら、0.010%を超えて含有させると粗大ボライドにより逆に冷間加工性および靭性が劣化する。そのため、上限を0.010%に限定する。好ましい範囲は、0.001〜0.008%である。 【0020】 次に、請求項3に記載の限定理由について説明する。 請求項3に記載の果物・野菜棚用鋼線は、請求項1または請求項2に記載の成分に加えて、引張強さが600〜1000N/mm2であることを特徴とする。 果樹棚用鋼線は熱処理後伸線加工によって製造するが、高強度であれば加工し難くなるため、引張強度を1000N/mm2以下、かつ棚の張りの緩みが発生しないように600 N/mm2以上にする。 【0021】 本発明のおいては、引張強さを制御する方法は問わないが、1)熱処理温度850〜1100℃、2)伸線減面率20%〜95%付与とすることが好ましい。 また、引張強さ1000N/mm2以下で高強度側に調整する場合、時効硬化処理(200℃X1h)の付与を実施することが好ましく、張りの緩みの観点から、緩み易さから、高強度側800〜1000N/mm2が望ましい。 以上のように、本発明の高純度フェライト系ステンレス鋼線は、加工しやすく、張りの緩みが発生しない強度を確保できるため、果物・野菜棚に用いる鋼線として最適である。 【実施例】 【0022】 以下に本発明の実施例について説明する. 表1に実施例の鋼線の化学組成および耐食性、手作業性を示す。 耐食性の評価方法は、葡萄棚用鋼線(φ2mm程度)に試作した後に、JIS塩水噴霧試験(35℃、5%塩化ナトリウム水溶液)で100h試験し、発銹×,無発銹○で評価した。 また、手作業性の評価方法は、葡萄棚用鋼線(φ2mm程度)に試作した後に、複雑な巻き加工を施し、人の素手で直線に戻せるか否かで評価し、戻せる場合○,戻せない場合×とした。 表1に示すように、本発明鋼は、耐食性および手作業性が何れも○であったが、比較鋼は耐食性または手作業性の何れかが×であった。 【0023】 次に、下記条件にて、熱処理、伸線減面率、引張強さの、棚張りの緩み、靭性、結晶粗大への影響について表2に示す。 <実施条件> a)使用材料:表1に示すA鋼 b)棚の張りの緩みの評価方法: 葡萄棚用鋼線(φ2mm程度)に試作した後に、葡萄棚に張り、 緩みを確認し、緩まない場合○,緩んだ場合×とした。 c)延性の評価方法: 180℃密着曲げ試験で割れが発生しない場合○、割れが発生した場合×とした。 d)結晶粒粗大: 粒度No.4以上の場合○、粒度No.4未満の場合×とした。 e)時効処理条件:200℃x1h 表2に示すように、本発明例は、棚張りの緩み、延性、結晶粗大の何れも○であった。 一方、比較例は、棚張りの緩み、延性、結晶粗大の何れかが×であった。 以上の実施例から本発明例の優位性が確認された。 【0024】 【表2】
【0025】 【表3】
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| 【出願人】 |
【識別番号】503378420 【氏名又は名称】新日鐵住金ステンレス株式会社
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| 【出願日】 |
平成17年12月22日(2005.12.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100097995 【弁理士】 【氏名又は名称】松本 悦一
【識別番号】100074790 【弁理士】 【氏名又は名称】椎名 彊
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| 【公開番号】 |
特開2007−166976(P2007−166976A) |
| 【公開日】 |
平成19年7月5日(2007.7.5) |
| 【出願番号】 |
特願2005−369195(P2005−369195) |
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