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【発明の名称】 ミズゴケを用いた吸水体
【発明者】 【氏名】星 ひとみ

【氏名】武田 実

【氏名】志村 光春

【要約】 【課題】ミズゴケの吸水力を活用して、水を電気エネルギーの助けなしに効率よく揚水して、例えば、特定の領域の湿度を向上させる手段を提供すること。

【解決手段】ミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物が連続的に接触してなる、好適には棒状の物体の2個以上が、互いのミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物部分が接触した状態で組み合わさってなる吸水体を提供し、当該吸水体を通じて揚水を行い、目的領域で吸水された水を解放することにより、上記の課題を解決することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物が連続的に接触してなる物体の2個以上が、互いのミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物部分が接触した状態で組み合わさってなる吸水体。
【請求項2】
前記吸水体において、ミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物が連続的に接触してなる物体が棒状体であり、2個以上の当該棒状体の互いの端部近傍において、ミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物部分同士が接触してなる、請求項1記載の吸水体。
【請求項3】
前記吸水体において、当該吸水体を構成する棒状体の長さが10〜80cmである、請求項2記載の吸水体。
【請求項4】
前記吸水体において、当該吸水体を構成する棒状体の長さが20〜40cmである、請求項2記載の吸水体。
【請求項5】
ミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物の露出部が設けられている、請求項1〜4のいずれかに記載の吸水体。
【請求項6】
前記吸水体におけるミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物の露出部に、生長ミズゴケが接触していることを特徴とする、請求項5記載の吸水体。
【請求項7】
前記吸水体におけるミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物の一部を水と接触させ、当該水を、ミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物の吸水力により吸水体全体に浸潤させることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の吸水体の使用方法。
【請求項8】
前記吸水体におけるミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物の一部を水と接触させ、当該水を、ミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物の吸水力により吸水体全体に浸潤させ、かつ、当該ミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物の露出部において当該水を蒸散させることにより、当該露出部近傍の湿度を上昇させることを特徴とする、請求項5又は6記載の吸水体の使用方法。
【請求項9】
前記吸水体の使用方法において、当該吸水体におけるミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物の一部を接触させる水の水位よりも、当該ミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物の露出部の方が高い位置にあることを特徴とする、請求項8記載の吸水体の使用方法。
【請求項10】
請求項5又は6記載の吸水体における、ミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物の露出部の近傍にコケ植物が配置されていることを特徴とする、コケ植物の生育システム。
【請求項11】
前記コケ植物の生育システムにおいて、請求項5又は6記載の吸水体におけるミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物の露出部と、コケ植物の近傍が、同一の閉鎖空間としてなることを特徴とする、請求項10記載のコケ植物の生育システム。
【請求項12】
前記コケ植物の生育システムにおいて、請求項5又は6記載の吸水体におけるミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物の露出部に水を浸潤・蒸散させることにより、コケ植物近傍の湿度を上昇させて当該コケ植物の生育を促進することを特徴とする、請求項10又は11記載のコケ植物の生育システムの使用方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ミズゴケを用いた特定の構成を有する吸水体と、その使用方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来より、ミズゴケには優れた吸水力があり、戦争中は脱脂綿代わりに用いられた旨の報告もなされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特定の環境では、湿度が高い方が望まれる場合が認められる。例えば、日本の太平洋側における冬期の乾燥時には、当該乾燥により風邪がはやることが知られており、例えば、室内の湿度を積極的に高くすることにより、喉を乾燥から保護する試みがなされている。また、コケ植物を養生する場合、その近傍の湿度が高く保たれることが好適であることがわかってきた。
【0004】
しかしながら、このような環境の湿度を向上させるには、加湿器等を用いなければならず、特に、近年試みられている壁面緑化にコケ植物を利用し、当該コケ植物近傍の湿度を高めようとすると、電気力を用いた揚水ポンプや灌水器を使用する必要がある。
【0005】
上述したように、ミズゴケには優れた吸水力が認められており、このミズゴケの吸水力を活用して、特定の領域の湿度を向上させる手段を提供することが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、下記の吸水体を提供することにより、上記の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、ミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物が連続的に接触してなる物体の2個以上が、互いのミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物部分が接触した状態で組み合わさってなる吸水体(以下、本吸水体ともいう)を提供する発明である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、ミズゴケの吸水力を活用して、水を電気エネルギーの助けなしに効率よく揚水して、例えば、特定の領域の湿度を向上させる手段が提供される。この湿度向上により、例えば、壁面のコケ植物の養生を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
「ミズゴケ」とは、ミズゴケの植物体であり、生命活動が維持されている生長ミズゴケであっても、乾燥や煮沸処理等により生命活動が終焉している乾燥ミズゴケであってもよい。「ミズゴケ粉砕物」とは、かかる「ミズゴケ」をミキサー等で細かく粉砕した粉砕物である。さらに「連続して接触」とは、ミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物同士が物体中で触れあっており、当該ミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物の一端に水が接触した場合に、当該物体中の互いに触れあっているミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物の全体に当該水が浸潤し得る状態を意味する。このように、本吸水体を構成する個々の物体は、実質的にミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物からなる物体である。この物体の一定の形状を保つために、例えば、袋状物や筒状物にミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物を充填したり、芯部材を入れたりすることも可能である。また、粘土、粉砕紙、さらには、これらの混合物、増粘多糖類等のつなぎ成分をミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物の中に混合して、ミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物自体を固めてもよい。
【0010】
本吸水体は、上記のような2個以上の物体が、互いのミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物部分が接触した状態で組み合わさってなるものである。文字通り、本吸水体は、水を効率よく吸って浸潤することを特徴とするものであるが、上記の物体単独では、上方向への吸水力は限界があり、30〜40cmの高さを超える位から、徐々に吸水のスピードが低下する。しかしながら、不思議なことに、2個以上の物体をミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物部分が接触した状態で組み合わせると、この吸水スピードは、全体の高さが高くなっても低下せず、数メートル、数十メートルの規模で揚水を行うことが可能である。
【0011】
上記物体の形状は、棒状体であることが好適である。すなわち、2個以上の当該棒状体の互いの端部近傍において、ミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物部分同士が接触してなることにより、全体として長いホースのような形状となり、当該ホース状物の一端から他端に向けて、たとえ、当該ホース状物を垂直方向に伸ばしても、当該ホース状物の下端部のミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物に接触した水は、同上端部のミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物に向けて、効率よく揚水される。当該棒状体の長さは、10〜80cm程度が好適であり、20〜40cm程度が、水を効率よく揚水し得るという点においてさらに好適である。
【0012】
本吸水体は、ミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物の優れた吸水力を活かして、水を、電気エネルギーを用いることなしに目的地点まで揚水・吸水することができる。目的地点にて、揚水・吸水された水を解放することにより、当該地点で遠隔、特に、低地からの水を得ることができる。これは、例えば、非常時の水供給手段として有望である。また、ビル壁面等に施工したコケ植物の養生をする手段として非常に有用である。すなわち、コケ植物が効率よく生育するためには、その近傍の湿度が向上していることが好適であり、そのために、壁面のコケ緑化には灌水装置が用いられることが多い。本発明では、壁面の下部から、本吸水体を介して揚水された水を、養生を目的とするコケ植物の近傍にて解放して、水蒸気としてコケ植物に与えることが可能となる。具体的には、養生を目的とするコケ植物の近傍にて、本吸水体のミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物を露出させた露出部を設けることで、この養生を可能とすることができる。また、当該露出部の長さ当たりの容積を、本吸収体の揚水部のミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物よりも小さくして、当該露出部を下側に向けることによって、揚水部を介して当該露出部に浸潤した水を下側に滴下させて、これを灌水手段として用いることもできる。
【0013】
なお、当該露出部に、生長ミズゴケを接触させることで、当該生長ミズゴケの養生をしながら、周囲の湿度を向上させてコケ植物の養生を行うことができる。また、この生長ミズゴケと共に、モウセンゴケやサギソウ等の食虫植物等の高層湿原に生育する植物を、当該露出部に植え込むことで、当該食虫植物等の養生も行うことができる。
【0014】
なお、上記コケ植物は、特に限定されないが、例えば、スナゴケ、ハイゴケ、スギゴケ、カサゴケ、シノブゴケ、シッポゴケ、オオシッポゴケ、ヒノキゴケ等、さらには、これらが混合されて用いられる。例えば、日光に対する様々な特性を有するコケ植物を組み合わせることにより、様々な微気象に対応してコケ植物を養生することが可能である。好適に用いられる組み合わせの例は、スナゴケとハイゴケの組み合わせである。
【0015】
このように、本発明は、本吸水体におけるミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物の一部を水と接触させ、当該水を、ミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物の吸水力により吸水体全体に浸潤させることを特徴とする、本吸水体の使用方法を提供する発明である。
【0016】
また、本発明は、本吸水体におけるミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物の一部を水と接触させ、当該水を、ミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物の吸水力により吸水体全体に浸潤させ、かつ、当該ミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物の露出部において当該水を蒸散させることにより、当該露出部近傍の湿度を上昇させることを特徴とする、本吸水体の使用方法を提供する発明である。
【0017】
また、本発明は、本吸水体の使用方法において、当該吸水体におけるミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物の一部を接触させる水の水位よりも、当該ミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物の露出部の方が高い位置にあることを特徴とする、本吸水体の使用方法を提供する発明である。
【0018】
また、本発明は、本吸水体における、ミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物の露出部の近傍にコケ植物が配置されていることを特徴とする、コケ植物の生育システム(以下、本生育システムともいう)を提供する発明である。
【0019】
また、本生育システムにおいて、本吸水体におけるミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物の露出部と、コケ植物の近傍を、同一の閉鎖空間とすることができる。当該閉鎖空間は、例えば、当該露出部とコケ植物とを透明なビニールで包み込むことで構成することができる。なお、この閉鎖空間は厳密なる密閉空間とする必要はなく、ある程度の通気がある方が好適であり得る。
【0020】
このように、本発明は、本生育システムにおいて、本吸水体におけるミズゴケ及び/又はミズゴケ粉砕物の露出部に水を浸潤・蒸散させることにより、コケ植物近傍の湿度を上昇させて当該コケ植物の生育を促進することを特徴とする、本システムの使用方法を提供する発明である。
【出願人】 【識別番号】596118194
【氏名又は名称】志村 光春
【出願日】 平成17年12月14日(2005.12.14)
【代理人】
【公開番号】 特開2007−159481(P2007−159481A)
【公開日】 平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願番号】 特願2005−359886(P2005−359886)